音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

フォーラム CS障害者放送統一機構

高田 英一

CS障害者放送統一機構 理事長

大嶋 雄三

CS障害者放送統一機構 専務理事

「目で聴くテレビ」の発展

新しい発展

2009年には障害者福祉に新しい発展があり、さらに2010年に引き継がれました。

それは大きくは政府が昨年2009年12月に「障害者制度改革推進本部」を発足させたことです。

その下に「障害者制度改革推進会議」(以下「推進会議」)を設け、「障害者権利条約」をベースとして、障害者自立支援法の廃止と共に新しく「障害者総合福祉法」等を関する議論を進め、早ければ3年間で「障害者制度」改革を実現するとしています。

もう一つは私たちの放送に関して2009年に改正された著作権法が、政令も整備されてこの2010年1月1日の実施されたことです。著作権法改正のポイントは著作権者の権利を制限し、放送等で公開された番組に視聴覚障害者を対象にして自由に「字幕・手話・副音声」を付加して複製、放送することができるようになったことです。これは大きな前進ですが、まだ問題は残っています。

それは、「字幕・手話・副音声」を付加して複製する費用、それを放送する費用を誰が負担するかと言うことです。

私たちは、障害者の完全と言わなくても平等の実現のために、それは当然政府が負担すべきと考えています。また、それが「障害者権利条約」の理念であり、規定です。国内法を整備して、「障害者権利条約」を批准することが急がれます。

「推進会議」の「リアルタイム・中継放送」

「推進会議」が2月2日の第2回会議以降「目で聴くテレビ」によって、全編「字幕・手話」を付加してリアルタイムで中継放送(以下「リアルタイム・中継放送」)されるようになりました。これによって、「推進会議」が障害当事者に公開され、内容を知ることが出来るようになりました。

これまで多くの政府関係の会議は密室になっていましたが、この「リアルタイム・中継放送」によって、障害者が会議の内容をいち早く詳しく知ることが出来るようになりました。今のところ、この「リアルタイム・中継放送」は障害者生活支援用具であるチューナー「アイ・ドラゴン」の支給を受けられる聴覚障害者しか見ることが出来ませんが、「アイ・ドラゴン」は公共施設に備えられているところもあるので、その数を増やせばより多くの障害者、国民が見られるようになるでしょう。

「目で聴くテレビ」は、これまで聴覚障害者の情報保障のために、努力してきましたが、ここにいたってより多くの障害者、国民のお役に立てるようになったことを心から喜びたいと思います。そして、国民の皆さまがより多く障害者の問題をわがこととして理解を深めて頂くことを願っています。

よきデジタル時代を迎えるために

2011年7月にアナログ放送が停止され、本格的なデジタル時代を迎えます。でも、それだけでは私たちの情報保障の平等が保障されるわけではありません。その前に解決しなければならない課題は数多くあります。そのため、「障害者制度改革推進本部」は、3年間と言わずデジタル時代に入る前に「制度改革」を果たせるよう私たちも力を尽くしたいと思います。

 

(1)日本のデジタル放送が解決しなければならないこと

昨年のシンポジウムで私は、今進められているデジタル放送の問題点として、アラブ基準では手話を付与した放送ができないシステムになっている問題を指摘し、その解決策を提案しました。

その後1年でどのように変わったかが問われます。

 

(2)解決を目指して

総務省の平林課長はじめ事務当局の皆様には真剣に相談に乗っていただき、この場でお礼を申し上げます。しかし問題は解決したわけではありません。2010年度1年間かけて継続的追及の条件とテーブルは保障していただきましたが、それを本当に聴覚障害者が要望する方向で解決する取り組みにしなければなりません。この解決策の実現は障害者権利条約に基づく国内制度改革につながるものであり、条約批准の条件にもなる重要な課題です。

手話を付与した放送が全面的に実現するように,その可能性が開かれるように国が引き続き努力かつ協力をしていただけるようにお願いいたします。