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<質疑応答>

●会場 全難聴の川井と申します。先ほどの総務省の平林様からご説明いただいたことに質問したいと思います。私は約十数年前に聞こえなくなり、普通の職場に勤めていたのですが、突然、電話ができなくなりました。ほとんどの連絡調整を電話でしていた者にとって、それは仕事ができなくなるということです。ですから、すべての仕事から外されました。「電話に代わるFAXがあるじゃないか」と言われるかもしれませんが、FAXでは自分の意思が相手に届いているかはっきり分かりません。また最近になってメールが出てきましたが、メールも返事があって初めて意思疎通ができます。そうでなくて、電話は同時にその場で意思疎通ができるものです。今は音声電話が社会に浸透して、仕事の多くの部分を占めていると思います。ですから電話リレーサービスの必要性をひしひしと感じています。

その後、情報通信アクセシビリティのガイドラインやJIS規定が国際的に提案され、国際標準化がなされたことはありがたいと思っています。この中には、電話リレーサービスを可能な限り実施しなさいという規定が書いてございます。

しかし今、「国際提案から返ってきた中に書いてある電話リレーサービスは、日本の規定にあわないから取り外すべきだ」という議論が大部分です。電話リレーサービスを日本の規定にしたいと思った気持ちからどんどん離れているのが現状です。同時に、有料の電話リレーサービスも行われています。しかし有料なので、例えば私が会社でこれに申し込み、電話をかけるたびに料金を負担してくださいと言ったら、会社はなんと言うでしょう。「もう君は明日から来ないでいいよ。そんな電話の会話ぐらい、代われるものはすぐいるんだ」と言うのではないでしょうか。

われわれが企業やいろいろな場所で電話をするときには、何の負担もかけずにできるようにしなければなりません。そのような通信のインフラストラクチャーでなければなりません。そうしなければ、障害者の役には立ちません。ですから、そういう意味で、せっかく国際提案で電話リレーサービスを認められた状況になったのですから、日本の規定でも、電話リレーサービスをJIS化したものの中に入れてほしいと願います。国として、義務付ける施策を打ち出していただかない限り、電話のインフラストラクチャーとして認められることはありません。企業が自主的に行うとすべて有料です。それでは、日本中のすべての雇用現場で、そのような電話を使う人は要りませんという話になるでしょう。ぜひとも日本としての義務付け規定を盛り込んでいただきたいと思います。以上です。

 

●平林 まず、JIS規格は総務省が決めるものではないということを申しあげたいと思います。確かに、おっしゃるように国際標準化された勧告の中にはサービスの部分も含まれています。ただJIS自体はもともと鉱工業品の規格を定めるものです。それで、規格の対象から外れてしまっているというものです。ただ、JISの基となったガイドラインにおいては、もちろんサービスの部分も合わせて使っていただいているということもあります。機器だけでなくサービスも含めていることによって、障害者、高齢者にとってもアクセスを確保することに結果的につながる面があるのはおっしゃるとおりだと思います。私どもとしても、電話リレーサービス等の提供に対して、助成を行っています。

答えるのが難しいのですが、情報通信アクセス協議会においては、機器だけでなくサービスの重要性も認識しており、どうやって電話リレーサービス等を進めていくか知恵を出し合っていると聞いています。その中で、私どもも微力ながら努力していきたいと思います。ストレートに良い解決策が出るかはわかりませんが、おっしゃる趣旨は理解できますので、努力していきたいと思います。

 

●会場 橘高(きったか)と申します。先ほどからいろいろと考えていただいているなという感じが非常にしまして心強い限りですが、質問の前に一つ申しあげます。総務省では原口大臣が「チャレンジド」という言葉を使おうとしておられるとのことですが、NHKで昨年10月半ばぐらいに5回にわたって「チャレンジド」という特別ドラマがあり、一般的にも相当おなじみ深いと思われるということを申し添えて、本題に入ります。

1つめの質問は、総務省のホームページは視覚障害者が聞きやすく、必要に応じてテキストデータに落とせるようなHTMLもしくはテキスト情報になっているかということです。

2つめの質問です。デジタル放送について私は無限の可能性を描いています。ただ視覚障害者にとって、テレビの受信機を操作するリモコンは一体どのボタンを押したらどういう操作ができるのかを頭へたたき込むのが大変なんです。これに関するアイディアについて提案をさせていただいています。その可能性について、今日はパナソニックの方もいらっしゃるので、前進できるようにお願いしたいと思います。

アイデアというのは、1つは、押しボタンに凸文字をつけていただき、その解説を取扱説明書に含めることです。取扱説明書は、テキストデータで、フロッピーディスクやUSBメモリーに入れていただきます。有料でも買いますので。実は9割の視覚障害者が点字が読めません。凸文字を触って理解できればそれでボタンが理解できます。2つめのアイデアは、QRコードです。それを携帯電話で読み取ります。視覚障害者の9割は、QRコード読み取り可能の携帯電話を使っています。工夫しなければいけないのは、字句です。決まった押しボタンをどうやってQRコードで読ませるかだと思います。3つめは、パナソニックで「ものしりトーク」という視覚障害者向けのチップで録音できる機器が販売されています。2~3割が持っています。このチップを各ボタンに貼り付ければ、この機械を持っていればそれで読み取れます。持ってない人のために価格の安い「ものしりトーク」を販売してもらえれば出来ると思います。新しい技術を開発費をかけてやらなくても、現存するものを活用するという考え方に立ってもらうといいのではないかと、提案させていただきましたので、お答えいただきたいと思います。

 

●平林 総務省のホームページに限らず、政府、各省庁も、先ほど「運用モデル」についてご紹介しましたが、そういったものに則ってホームページを作成しましょうということになっています。総務省もそれに則ってやっていますが、実はいろいろと調べてみると、点数でいうと65点ぐらいになるとご指摘を受けました。そういう意味では、正直なかなか不十分であると素直に認めざるを得ません。この点では、来年度の予算でホームページにどれくらいのアクセシビリティが確保されているか評価できるツールを開発しようとしています。2008年にウェブの国際標準も変わったということがありますので、地方公共団体の人も自分のホームページでどれだけアクセシビリティが確保できているか判定できる、そのようなオープンソースのツールを開発して使っていただこうと思っています。

 

●青木(パナソニック(株)AVCネットワークス社) 貴重なご意見をありがとうございます。デジタル放送のリモコンのキーは、たくさんついていますけれど、今日は持ってきておりませんが、一方では簡単に操作できるようにキーの数を絞った「かんたんリモコン」なども開発しています。ボタンを大きく操作しやすくしたりなど、できるだけ皆さんに使いやすいテレビを開発していきたいと考えています。