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国際セミナー報告書
インクルーシブな障害者雇用の現在-ソーシャル・ファームの新しい流れ

日本側パネリストの当日配布資料

中崎 ひとみ
 がんばカンパニー

福祉制度を利用してソーシャルファームを運営

  1. 障害者の働く場所を創るために障害者作業所を利用した
    1986年4月設立 無認可の小規模作業所で立ち上げた
    理念 「共生、共働、共育」
  2. 福祉施設ではなく障害者が働き経済的な自立が出来ることを目指し続けた
    1995年作業所ではあるが障害者も全員と雇用契約を締結
    障害者の労働権を確保することを実現した
  3. 障害者が働きやすい共働の関係を作ったら、障害者手帳を持たないハンデキャップのある人達も働きやすかった
    母子家庭、高齢者、ニート、元ホームレスなど様々な人が入ってきた
  4. 1998年にイタリアの「社会的協同組合」に出会い、見学に・・
    間もなく「ソーシャルファーム」に出会った。私たちが追い求めていたものであった
  5. 日本ではソーシャルファームの制度がないので、福祉の制度を利用して施設を増やしていった。その過程で、福祉のサービスを提供する施設と労働を行う施設に分類していった
     ①A型事業所―2事業所
     ②生活介護事業所(B型との多機能)―2事業所
     ③高齢者デイサービスセンター―1事業所
  6. 最も雇用人数が多い現在の就労継続支援A型事業所では・・・
       がんばカンパニーとあんふぁんカフェ(菓子製造とカフェ) 以下合計人数記載
      ・定員60人  実員53人(自立支援法内の利用者)
       内 知的障害34人 身体障害9人 精神障害10人(内発達障害3人)
      ・職員(自立支援法の利用者でない人)26人
       内 母子家庭4人…生活保護受給者や刑余者(執行猶予)も
       (引きこもりや薬物依存症者は支援法内対象者になったので利用者にカウント)
  7. 雇用創出(労働統合型)と福祉支援(サービス提供型)の2種類を行っている
      法人全体での雇用は環境的なハンデキャップを持った人も含めて
      ・全体雇用者数 107人
       障害者54人(利用者以外1名) 高齢者3名(65才以上) 母子家庭7人

ソーシャルファームとまちづくり

社会福祉法人一麦会(麦の郷)
リハビリテーション研究所
 所長 伊藤 静美

1)「ほっとけやん」 放っておくことはできない

麦の郷の原点は、1977年 障害をもつ人たちの置かれている厳しい現実に出会った市民が「これはほっとけやん、知ってしまった責任」と立ち上げた6畳一間の「たつのこ」共同作業所が始まりです。

1988年(有)障害者自立工場としてクリーニング業を始めました。1995年ソーシャルファームピネルとして事業開始(日本初の精神障害者福祉工場)。職種はクリーニング、印刷、ウエス製造、食品加工・販売と次々と仕事をおこし、就労に結びつきにくい人たちと共にスタッフも働いています。

障害種別はさまざまで能力のある障害をもつ人は法人職員として、他には高齢者やひとり親家庭の人たちもいます。

年間総売上 2億5千万

A型 44人(平均給与 1,027,049円/年)

B型 98人(平均給与  298,875円/年)

働く人 167人(法人職員)

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障害児通園施設:2ヵ所

児童デイサービス事業:2ヵ所

生活介護事業:2ヵ所

自立訓練事業:2ヵ所

就労継続支援事業A型:8ヵ所(出張所含む)

就労継続支援事業B型:9ヵ所(出張所含む)

就業生活支援センター1ヵ所

障害者委託相談支援:3ヵ所

地域活動支援センターⅠ型事業:2ヵ所

ひきこもり者社会参加支援センター:1ヵ所

グループホーム・ケアホーム:9ヵ所

訪問看護ステーション:1ヵ所

居宅介護支援事業:2ヵ所

2)すでに見えてきた未来の姿

それがソーシャルファーム(社会的企業)であり共に生きる健全な社会の姿なのです。

麦の郷は、創立以来35年間 働く場と住まいの場づくり、そして、なかまづくりとまちづくりを終始一貫して追求してきました。決して自己完結はしません。

先ず地域に根ざし、多くの人と手を結び地域課題を知ることから始めました。麦の郷本部所在地(西和佐地区)の人口は約5300人。うち70歳以上 903人、ひとり暮らしの高齢者65歳以上 304人(本年調べ)

和歌山県に於いては、近畿2府4県中(1位)全国(10位)と非常に高齢化の進んでいることが見てとれます。

ここに又、地域住民のニーズと麦の郷の仕事おこしの出番があることに気付かされます。

社会的排除ともいえる買い物弱者(難民)問題に小地域(学区や自治会)で何ができるか?

当然、食材や日用品の配達や見守りなどという仕事おこしにもつながります。そこで、昨年夏より農産物直売所「麦市」を開店いたしました。

その他、地区社会福祉協議会と合同で取り組むさくら祭りと夏祭り(18回)があります。さくら祭りには、地区社協の中に住民の弁当代金(約400人分)が予算化されています。このような取り組みは、地域住民の誇りとなりまちの知名度を上げことにもつながります。そして、何よりも住民が楽しみながら麦の郷づくりに参加しているということです。共同作業所やソーシャルファームづくりは、地域住民の共有財産としてより発展させ次世代に引き継ぐ貴重な社会資源のひとつになると確信しています。

資料1(西和佐地区社会福祉協議会 総会より)

 自治会 民生児童委員協議会 婦人会 老人会 人権委員会など各種団体で組織されている

議題5

平成24年度 西和佐地区社会福祉協議会事業計画書(案)

  1. 「社会を明るくする運動」(愛の協賛金)に更生保護女性会と連携して募金活動を展開する。
  2. 地区「敬老事業」を実施する。
  3. 地区「歳末たすけあい運動」を実施し、配分については民生児童委員協議会へ協力を依頼する。
  4. 地区協議会会員の拡大を図る。
  5. 「麦の郷」との交流会を実施する(年2回)
  6. 研修事業を実施する。
  7. その他、地区福祉向上に必要な事業を展開する。