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自立生活 国際フォーラム 日本語版

第3分科会資料:自立生活に向かって正しい道を歩んでいるか

韓国小児マヒ協会  キム・ドンホー

自立生活推進運動は韓国の障害を持った人々にはthe Impact of ADAの翻訳を通して知られています。ADAがたどってきた道はアメリカの障害を持った人々にとってだけでなく、世界中の障害を持った人々にとって画期的なものでした。自立生活推進運動の歴史は様々なリーダー達の実質的貢献なしには成し得なかったということは周知の事実です。そのリーダー達が自立生活の権利の獲得、障害のある人々に力を与えてくれたのです。ジャスティン・ダート、リズ・サベージ、パット・ライト、エド・ロバート、ジュディ・ヒューマンをはじめ、たくさんのリーダー達によって成し遂げられたのです。CILのほか多くの団体がADAの活動のために多大な貢献を果たしてくれました。ADAの活動を通して私たちはかつてマーティン・ルーサーキングが言った様に、自由というものは、痛みを伴う経験を通して迫害者によって与えられるのではなく、迫害されているものが主張して初めて手に入れることができるのである、ということを学びました。
1990年代半ば、韓国の障害を持った人々はこれ以上自分達の殻に引きこもっている訳にはいかないのだということを認識し始めていました。自分達はどこかが壊れていたり病気であったりする訳ではなく、ましてやどこかを治したりする必要などないのだということに気づいたのです。社会または個人による妨げも、社会を変えることでなくすことができるのです。障害を持った人々自身が決断していかなければならないのです。医療やリハビリの関係者ではなく。韓国の障害を持った人々にとって自立生活運動というのは自由獲得運動であり、不名誉、拒絶、不平等、人間性の否定を終わらせる活動に思えたのです。努力を惜しまぬものは人間としての権利を獲得できるということを知っています。アメリカ自立生活運動のすばらしい成果に関わることになりました。1996年韓国ポリオ財団は自立生活運動の著者を評価しました。韓国ポリオ財団は韓国で最初の自助団体であり、障害を持った人々のための様々なサービスを提供しています。ほとんどの役員が過去にポリオを経験しており、社会や障害を持った人々のためにすばらしい活動を行っています。自立生活についてもっと知るため、財団はアメリカや日本よりいろいろな資料を集めています。たくさんの記事や雑誌、その他の資料が集まってきています。1997年の春、Chungnipポリオセンターという会員制の団体が自立生活のためのプロジェクトを始めました。プロジェクトメンバーは一週間自立生活運動の中心であるバークレーのCILを訪れました。一週間は自立生活について学ぶには短すぎました。しかし訪問自体は意味があり画期的なことでした。歴史的事実を目の当たりにする栄誉に与ったのです。訪れたメンバーは多大な影響を受けパイオニアとなる決心をしたのです。韓国における自立生活運動の初めての出発点となった歴史的瞬間でした。
 どこへ行き何をするかを決めるまでには時間を要しました。自立生活という考え方をどのようにしてアメリカとは異なった文化背景の韓国に取り入れたら良いのかということが問題でした。しかし、文化的な違いが何もしないことの言い訳にはならないという結論に達しました。そして自立生活への旅を出発させたのです。
 1998年のはじめ、韓国ポリオ財団ではいくつかの自立生活のためのプログラムに着手しました。主たるサービスやプログラムは翻訳、情報の提供、カウンセリング、資料の翻訳、韓国と日本でセミナーを開催することでした。1998年5月韓国と日本の自立生活セミナーが韓国ソウルのポリオ財団で開催されました。日本のHuman Care Association と韓国ポリオ財団により開催されました。日本が経験してきたことは韓国の障害を持った人々にとって刺激となり自立生活運動に対する強い責任を感じ、運動の遂行を誓いました。障害を持った人々やリハビリを行った人々がセミナーそのものでした。セミナーに参加した障害を持った人々は自分達自身で自分達の生活をコントロールする新たな意味を発見したのです。この発見が自由、自立、革命とさえいえる方向へ導いてくれるのです。このセミナーでの「仲間同士のカウンセリング」は参加者が最も興味を持っていたもののひとつで、自分も障害を持っているという利点を生かし、同じような仲間を助けることができるというのは伝統的なカウンセリングに真っ向から対立するようなものだったからです。韓国ポリオ財団はこの秋、仲間同士のカウンセラー候補のための研修を開始する予定です。研修を受けた仲間同士のためのカウンセラーはここ韓国で初めてその知識と経験をお客様のために生かすことになります。この財団のほか障害者のための組織が自立生活運動の推進に参加しています。1997年にはChunjangheop(青年障害者運動団体)が自立生活に関する調査機関を設立し、韓国における自立生活の促進に注力しています。この機関は1997年11月に調査報告書を発表しました。自立生活センターは韓国南東のTeajeonにあり、自立生活スキルのサービスを精神薄弱の人々のためにスタートさせました。
 今までのところほんの2,3人の障害を持った人々と自助組織だけが韓国での自立生活の理解に関するいろいろな活動に参加しているのみです。活動の成功への重大な妨げとなっているのは、リハビリ中の人々や障害者団体が自立生活の実例や自分達のニーズを明らかにし理解する能力と責任を受け入れないからなのです。ほかの国々同様韓国でも障害を持たないリハビリ中の人やスペシャリストによりサービス組織や障害者団体は運営されています。DPI、WBUなど国際障害者団体への報告によると障害者団体がリハビリ中の人や医療関係者によってのみ運営されているもっとも悪い例の国のひとつなのです。本当に限られた数の韓国の障害者が重要事項の決定や検討に関わるようになって10年にも満たないのです。ほとんどの障害者団体では運営メンバーとして障害者を選ばないのです。今のところ予想していた通りどの障害者団体も自立生活に関する問題に何の関心も示していません。障害を持った人々によると現在ある団体を利用することは難しく、なぜならそれらの団体の排他的な人々が自立生活に対して反対だからなのだということです。ですから自立生活のため早急に行わなければならないのは障害を持った人々の増え続ける要求に答える体制をつくることなのです。状況を悪くしているのは身勝手、覇権主義、偏愛など障害者ではない人々によって運営されている団体や組織によるものが主な障害となって自立生活運動の推進を妨げているのです。障害者団体からの協力は期待できず、より深刻なのは自立生活を正しいと認めない官僚をどう説得するかということです。たくさんの段階の国からの許可がなければ自立生活サービス組織の設立は不可能です。状況はかなり厳しいです。しかし障害を持った人々の状況が不利だからといってただ待っている訳にはいかないのです。過去からの脱出が最後の使命なのです。現在の状況下での現実的選択肢としてポリオ財団は1998年内に自立生活プログラムを立ち上げ実行することにしました。同時に財団は全力を結集して国に対し行動を起こす様働きかけていきます。
 自立生活運動とその考え方を広めることはアメリカでの政治的または社会的活動すなわち市民権運動や自立精神が尊重され栄誉をたたえられたのと非常に似ています。自立生活の歴史はアメリカにおける市民権運動と結びつけることができます。障害を持った人々の市民権が韓国での市民権運動に含まれてはいないのですが。韓国人は家族の絆が非常に強く、伝統的な家族の責任というのが独立精神と自尊心を伝える障害となっているのです。この深く根差した家族制度により自立生活をアメリカのやりかたであると考えるのです。歴史は国により異なるものですが、市民権の普遍性は国の特性によって異なった評価を下されるべきものであってはならないのです。市民権を獲得するためすばらしい目的のもと最悪の状況下で戦い勝利をおさめた人々や国々をみてきました。
 自立生活は選択するか否かではなく、生か死かという問題なのです。施設へ逆戻りし植物人間としてみじめに生きていくことから逃れる唯一の方法なのです。韓国の障害を持った人々は社会を改善し障害を持った人々の権利を理解し受け入れてくれるようにしていきます。主体性を持って自立生活を実現し市民権に高い価値を与えてくれる韓国人の自立生活のモデルを確立します。最も重要なことは寛大なリハビリ中の人々もしくは専門家、政府、政治家の貧しい精神的奴隷としての最も虐げられた人間にならない権利のために。