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[カナダ]政府がアクセシブル・カナダ法案について議会で説明

カナダ政府によれば、カースティー・ダンカン・カナダ科学大臣(The Honourable Kirsty Duncan, Minister of Science of Canada)が、2018年6月20日、新しく提案するアクセシブル・カナダ法案について議会で説明したとのことです。

 アクセシブル・カナダ法案は、建築物、雇用、情報、商品・サービスの調達・配達、公共交通など非常に広範な領域のアクセシビリティーを確保するための連邦法で、カナダ政府は、過去30年で最も重要な法律であるとしています。

 この法律案作成にあたって、カナダ政府は2016年から、特別な機関を開設して、実態調査をしたり、障害者団体から意見を聞いたり、Facebookを開設してカナダ国民から広く意見を求めたりとかなり周到に準備を進めてきたものです。2017年7月には、その結果をまとめたレポートを作成しています。

 カナダ政府は、この法案の成立にかなり力をいれているとのことで、今後6年間に2億9000万ドルの予算をつけるとしています。

 政府の本件に関するニュースは、下のサイトにあります。

https://www.canada.ca/en/employment-social-development/news/2018/06/minister-duncan-introduces-the-proposed-accessible-canada-act.html

提案されたアクセシブル・カナダ法 - 平易な言葉での要約

要約者:雇用と社会開発カナダ

ページ上

・序論

・法案の概要

  • 前書き
  • アクセシビリティの障害を取り除き、防止することですべてのカナダ人に利益をもたらす
  • 定義
  • 法案の理念は何ですか?
  • 誰が法案に従う必要がありますか?
  • カナダ人権法の重要性
  • 大臣の役割と責任
  • 規制対象機関の義務
  • アクセシビリティ基準の作成
  • アクセシビリティ法の施行 
  • 申立て
  • 文化を変えて意識を高める
  • 発効
  • 改正

この文書はアクセシブル・カナダ法のためのカナダ政府の法律案(脚注1)である。法律案は新しい法律を作成する又は既存の法律を変更するために議会が検討するよう提出された提案である。

序論

障害のあるカナダ人の広範な助言に従って、スポーツ・障害者担当大臣は議会にアクセシビリティ法律制定を提案するのを誇りに思う。これは全てのカナダ人のアクセシビリティを改善するという政府の誓約を満たし、連邦政府の問題にも適用されるだろう。大臣の提案は首相の指令に応じたものであるが、カナダ全域の連邦管轄地域内でより一貫したアクセシビリティを導き、カナダ政府が模範を示して指導することが確実になるだろう。

法案の概要

前書き

議会で承認されると、その法律は障害者の既存の権利や保護を強化することになる。それはカナダの権利と自由憲章、カナダ人権法、国際連合の障害者の権利に関する条約のカナダの承認を含むものである。前書きではまた、その法律の原理を述べている。それはアクセシビリティの障壁が障害のあるカナダ人やその家族に及ぼしている影響や様々な差別の複合的な影響、カナダにおける障害者及び障害のない人々の間での継続的かつ組織的な不平等に対処する必要性を含む。最後に能力に係わらず全てのカナダ人にとってアクセシビリティの向上がもたらす利点についてより広く述べている。

アクセシビリティの障壁を取り除き防止することにより、全てのカナダ人に利益をもたらす

この法案の目的は連邦管轄区域でカナダをバリアフリーにすることである。この法案は連邦規則の下でアクセシビリティ障壁をどのように特定して取り除き、新たな障壁を防止するか説明している。

そして以下を含む:

・建造された環境(建築物及び公共空間)

・雇用(雇用機会及び雇用政策と実施)

・情報通信技術(デジタル・コンテンツとそれにアクセスするための技術)

・財・サービスの調達

・プログラムとサービスの提供

・運輸(州又は国境を越えて運行する航空・鉄道・フェリー・バス運送業者による)

この法案は政府が将来、他の優先事項を特定することも可能にする。

定義

この法案は法律で使用される重要な用語を定義する。「障害」と「障壁」という用語は、法律が誰にとって利益になるように意図しているのか、法律がどのように成功するのかを記述しているため重要である。

主要な定義

障壁

以下のことを意味する:物理的・建築的・技術的・態度的なこと、情報やコミュニケーションに基づくこと、また政策や実施の結果であること、それらは身体障害・精神障害・知的障害・学習障害・コミュニケーション障害・感覚障害又は機能制限のある人の完全かつ平等な社会参加を妨げること

障害

障壁との相互作用によって人の完全かつ平等な社会の参加を阻止する身体障害・精神障害・知的障害・学習障害・コミュニケーション障害・感覚障害又は機能制限 - 本質的に永続的、一時的、間欠的にかかわらない

法案の理念は何ですか?

法案の理念は将来の解釈を導くことを意図している。理念はアクセシビリティの障壁が障害者と障害のないカナダ人の間で不平等の中心にあるという理解に根ざしている。この原則はカナダ法と国際法と合致し、法案の目標を明らかにしている。

主な理念は:

  • 既得の尊厳
  • 平等の機会
  • バリアフリー政府
  • 自立性
  • 包括的なデザイン
  • 意味のある関与

誰が法律に従う必要がありますか?

この法律は連邦責任下にある組織(規制対象機関)に広く適用される。:

  • 議会;上院、庶民院、議会図書館、国会議員保護サービス(議会の特権を尊重するための順守と施行規則を調整したもの)を含む
  • カナダ政府;政府機関、クラウン・コーポレーションとその代理店を含む
  • 連邦規制の民間部門;運輸部門・放送及び電気通信サービス・銀行・金融部門における組織を含む
  • カナダ軍隊、カナダ騎馬警官局(RCMP);一方で特定の職務を遂行するために必要な一定の身体的要件など職業上の要件に関する考慮を可能にする

カナダ人権法の重要性

カナダはカナダ人の人権を守るための強固な枠組みを持っている。カナダ人権法は機会の平等を促進し、差別から人を守る。この法案はカナダ人権法の目的を支持し、その法律に基づく義務を軽減するものではない。

大臣の役割と責任

この法案は政府が大臣に法律の責任を命ずることを認め、法律に基づく大臣の権限と責任を記述する。この政府はスポーツ・障害者担当大臣が以下の権力及び責任を遂行することを明記する。:

・アクセシビリティに関連する政策とプログラムを施行する

・アクセシビリティに関連するデータの取集、分析及び公表をする

・アクセシビリティの取り組みを体系化するために州政府と領土政府と協力する。そして

・アクセシビリティを支援する活動について毎年議会に報告する

スポーツ・障害者担当大臣は周期的に法律の自主的な見直しを始め、その見直しを議会に報告する責任も負う。さらにカナダ政府は議会の命令によって、独立したチーフ・アクセシブル担当者を任命する。その担当者は全ての分野にわたってこの法律の実施において監視し、スポーツ・障害者担当大臣に報告する。その独立したチーフ・アクセシブル担当者は新しい問題や組織的な問題についてスポーツ・障害者担当大臣に報告し、助言する責任を負う。

議会自体はこの法律に基づいて最初の規制が実施されてから5年後にこの法律の見直しを行う。

スポーツ・障害者担当大臣がアクセシビリティの責任を持つ唯一の人物また組織ではない。

運輸大臣及びカナダ運輸局は権能、責任、権限を強化しながら、連邦交通ネットワークにおけるアクセス可能な輸送の確保を引き続き担当者する。カナダ通信委員会はアクセシビリティ計画と進展報告に新たな責任を負って、放送及び電気通信サービスに関するアクセシビリティの責任を引き続き負う。新しい権限は、2017年度予算で発表された放送と通信の法的枠組みの見直しの一環として考慮される可能性がある。

スポーツ・障害者担当大臣は他の全ての部門、雇用及び建造された環境のためにこの法律を実施する。

規制対象機関の義務

法案は全ての規制対象機関の3つの義務を述べている。

  1. アクセシビリティ計画:規制対象機関は障害者と協議してアクセシビリティ計画を作成する必要がある。これらの計画はアクセシビリティを向上させ、法的義務を果たすための戦略を記述する。その機関はこれらの計画を公表しなければならない。(そしてカナダ政府にいつどこで公表されるか知らせる)3年ごとに更新する(あるいは新しい規制があればそれより早く)。
  2. フィードバック・ツール:規制対象機関は職員と利用者からのフィードバックを受け取り、対応する方法を設定する必要がある。フィードバックには組織がどのようにアクセシビリティ計画を達成しているか、また個人が直面している障壁についての申立てが含まれる可能性がある。
  3. 進展報告:障害者と協議して規制対象機関はアクセシビリティ計画をどのように達成したかを詳述する進展報告書を作成し、公表する必要がある。報告書では障害者にどのように相談したかを説明する必要がある。進展報告書には彼らが受け取ったフィードバックの主な懸念事項とその対応方法が記載されなければならない。

将来の規制では、規制対象機関がこれらの要件をどのように実施しなければならないかを詳述されるかもしれない。その内容にはアクセシビリティ計画と進展報告書を何時、どのように発行する必要があるかが含まれるであろう。

アクセシビリティ基準の作成

この法案はアクセシビリティ基準モデルを作るカナダ・アクセシビリティ基準開発機関の創設を提案している。一般にこれらの基準は組織がどのように障壁を特定して除去し、防止するかを定めている。カナダ政府が規則を制定した場合、このアクセシビリティ基準は組織に法的義務を創るのである。戦略的方向性を設定し、活動を監督し、その最高経営責任者(CEO)に助言を行うために、この標準機関は取締役会を設ける。法案はまた取締役の大半が障害者であるべきで、カナダ社会の多様性を反映すべきと規則している。取締役の役職はパートタイムで最高4年の任期で理事会によって任命される。

アクセシビリティ基準を作るために、この法案は、専門家、障害者、および基準を満たさなければならないセクターまたは組織の代表者を含む技術委員会を標準機関が形成することを可能にする。 アクセシビリティ基準は公表され、スポーツ・障害者担当大臣に提出され、大臣は法律の下で義務化することを考える。 利害関係者と一般の人々は基準についてコメントする機会があり、標準機関は研究を行い、技術的な援助を与える。 最後に、標準機関がスポーツ・障害者担当大臣にその業務に関する年次報告書を提出し、大臣がそれを議会に提出することをこの法案は提案している。

法律、規則、および基準がどのように連携するか

法律【特定の】(Act):

  • 法律【特定の】(Act)によって、議会が人または機関に権限を与える(授権法と呼ばれる)。 法律【特定の】(Act)とは、より広範な規約を制定し、より具体的な規約(規則)を作成して実施する権限を含む特定の権限を、人または機関に与える法律(law)。

規則:

  • 規則は一種の法律であり、義務的で拘束力がある。
  • 規則は部署または機関によって作成され、政府によって承認された規約の文書。
  • カナダ政府の規則の承認は、利害関係者の関与、規則の影響の調査、およびパブリックコメントの機会を提供する一連のプロセスに従う。

基準:

  • 標準とは、共通の繰り返し使用を意図した文書。 それは合意によって作成され、公認の機関によって承認される。 基準は、最適な秩序または質の高さを達成することを目的とした活動またはその結果のための規約、ガイドライン、または特性を設定する。 基準は自主的であり、法律や規則で採択されない限り、法的強制力はない。

アクセシビリティ法の施行

この法案は、アクセシビリティ計画、アクセシビリティ・フィードバック・ツール、および進捗報告のような、規制対象機関に対する新たな義務を提案している。 優先分野におけるアクセシビリティ基準が考案され、規則に採用されると、規制対象機関はより多くの責任を負うことになる。

カナダ通信委員会は、既存の権限を使用して放送および電気通信サービスに関する追従および施行に責任を負う。 カナダ運輸局は権限が強化され、輸送部門における遵守及び施行活動に責任を負う。 アクセシビリティ委員は理事会によって任命され、連邦管轄内の他のすべての活動および分野の申立てを処理する責任を負うとともに遵守および施行活動の責任を負うスポーツ・障害者担当大臣に報告する。

規制対象機関が義務を果たすことを確実にするため、この法案は積極的な追従活動の組み合わせをすることを提案している。

これらの活動は以下を含める:

  • 検査:役員は、規制対象機関がその法律および規制の要件に従っていることを確認するために検査を実施する。
  • コンプライアンス監査:彼らがその法律および規則に従っていることを確認するために、役員は、規制対象機関の記録およびその他の関連情報を調べることができる。
  • コンプライアンス命令:規制対象機関が責任を果たしていないと役員が考えた場合、責任を果たすために活動を停止または開始するよう命令することができる。
  • 警告を伴う違反の通知:規制対象機関が法律に違反していると思われる正当な理由がある場合、役員はこの法律とその規則を遵守する旨の警告を発することができる。
  • 罰則違反の通知:規制対象機関が法律に違反していると思われる十分な理由がある場合、役員はこの通知発行と罰金を科すことができる。
  • 行政上の金銭的罰則:法令違反の性質と重大性に従って、役員は規制対象機関に罰金(最高$ 250,000)を支払うよう要求することができる。
  • コンプライアンス契約:違反通知が発行されると、規制対象機関はコンプライアンス契約を締結し、特定の時間内で違反に対処することに同意することになる。 コンプライアンス契約を締結すれば、罰金を軽減することもできる。

これらの施行活動の中で、規制対象機関は、決定に異議を申立てたり、誤りがないことを確認するために行政上の審査を求める権利を有する。

 

申立て

この法律は、ある組織が法律および規制に基づいて彼らの新しい義務を履行しなかったため、身体的、心理的、または金銭的損害を経験した場合、個人は申立てをし、補償を受ける権利を提供する。

アクセシビリティに関する申立てに対処する責任は4団体が請け負う。

  • カナダの通信委員会は、放送および電気通信サービスに関するアクセシビリティ障壁に関連する申立てを引き続き受け、
  • 連邦交通システムに関連する申立ては、引き続きカナダ運輸局によって対処される。
  • 連邦公共部門労働関係と雇用委員会に問題を提起する資格のある連邦公務員と議会職員の申立ては理事会によって対処される。
  • 他のすべての申立てはアクセシビリティ委員によって提出され決定される。

カナダ人権委員会がこの法律に基づく差別に関する申立てに対処することを認めるカナダ人権法のもとで、この権利は既存の申立て処理を否定するものではない。

文化を変えて意識を高める

2016年以来、毎年5月の最後の週から6月の第1週まで、ナショナル・アクセシビリティ・ウィークが開催されている。 カナダ人が地域社会や職場での包括とアクセシビリティを促進し、進歩を祝福し、さらに障壁を打破するためのインスピレーションを得るための週である。 この法律は、5月の最後の日曜日に正式にNational AccessAbility Weekを制定する予定である。

発効

提案された法は、理事会によって定められた1日または複数日に効力を発する(または施行する)。

改正

議会が法案を可決すれば、カナダ人権法、カナダ交通法、電気通信法、放送法など、連邦当局の下で問題を扱う他の法律も改訂する必要がある。

脚注

脚注1

この文書で提供されているテキストは、法案として解釈されるものではなく、法的立場はない。 この文書は提案されている連邦アクセシビリティ規則の概要を高いレベルで提供することを目的としている。 解釈の質問については、議会のウェブサイトのLEGISinfoセクションにある法案の参照をすすめる。

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日付の変更:

2018-06-21