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戦後25年:いまだ地雷・不発弾の処理に追われ戦争が原因のリハビリテーションに直面するベトナム

ケイ シュライナー (kays@uark.edu)
アーカンソー大学、アメリカ

項目 内容
転載元 webマガジン ディスアビリティ・ワールドNo.17(2003年1月-3月)
(英語)http://www.disabilityworld.org/index.htm

ベトナム戦争終結から25年以上経過してもベトナムはいまだに地雷や不発弾の撤去、そして戦争による負傷者や疾患を持った人々のリハビリテーションという大きな課題を背負っている。前に報告をしたようにベトナムの最も深刻な問題は戦争に関連した障害もしくは戦争に起因する。

ベトナムはこの問題解決のために大きな進歩を遂げてきた。1975年以降、400万もの爆弾や地雷が撤去された。しかしながら、VVAF(米国ベトナム退役軍人財団)の推測によると、いまだに国土の地中の20%に地雷と不発弾が眠っている。

1974年のアメリカとの戦争終結以降、38,000もの人々が地雷や不発弾に接触し命を落とし、64,000もの人々が負傷している。61の省及び市に不発弾と地雷が残っている。

ある地域では他の地域よりも不発弾や地雷が集中して埋まっている。クアン・トリ省は戦争中に軍事境界線だった地域があり1500万発もの地雷がこの省だけで残存している。これは全ベトナムの40%にあたる。

現在実施されているプロジェクト

いくつかのプロジェクトが市民の安全のために現在進行中である。ユニセフは総額1000万USドルを投入し回避することの出来る児童の死亡事故や負傷、障害を取り除く事を決定、その決定は地雷や不発弾との接触も含まれている。

VVAFは今後3年間に1000万USドルを投入し地雷や不発弾の調査と場所の特定、撤去、廃棄、そして地雷についての認識を高める教育プログラムを実施する。VVAFはさらに地雷や不発弾の被害者の支援を提供する。このプロジェクトはVVAFが1995年以来現在までベトナムとの共同事業として継続してきたものでベトナム軍はVVAFに地雷、不発弾の発見と撤去、廃棄に協力してきた。

障害をもった児童の統合教育または「特殊教育」の選択

ベトナムでは児童の置かれた状況が大きな関心事となっている。前の記事で触れたように多くのベトナムの子ども達は枯れ葉剤や地雷、不発弾が原因で障害を持っている。ベトナムには全てが戦争に起因するものではないが14才以下の障害児がおよそ100万人いる。クアン・トリ省だけでも6800名もの子ども達と若者が障害を持っている。

現在、ベトナム政府と国民は障害を持った子ども達の教育の難しい選択に迫られている。障害を持った子ども達と若者達の教育は統合教育の環境で行われるべきかあるいはメインストリーム社会と関係の希薄な特殊学級で行われるべきかという選択である。

ほとんどの国々でもそうであるようにこれは簡単に答えが見つかる問題ではない。ベトナムは両方のアプローチをとっているようである。例えばクアン・トリ省では、障害を持った子や恵まれない子供達の教育や職業訓練を行うための新しくKids First リハビリテーションビレッジが建設中である。ワシントンに拠点を置くKids Firstの資金によりビレッジが完成すると15棟の建物を構成し、そこでは子ども達が居住し、治療や職業訓練やレクリエーションを受けることが出来る。建物は5年以内に完成する予定だが、今年の終わりにはビレッジ開村の予定である。

Kids Firstリハビリテーションビレッジは「特殊」な場所の一例で障害児や恵まれない子ども達が支援を受けている。ベトナムでは、7000名の障害児が72校の障害児専用の学校に通っている。多くの第三者の観察によると、これらの学校は他では受けることの出来ない教育を施している。障害児の家族は、子供に教育を受けさせる事は経済的に困難であり、また障害を汚点と思い子ども達を家の外に出すのを躊躇させている事が多い。

これに対し二人のベトナム人の専門家は障害児にとって、統合教育とエンポワーメントこそが必要だと訴える。心理学者のNGUYEN THI OANH氏は、統合教育は社会で自立した生活を卒業後送っていく上で不可欠と主張している。児童に対する「特殊」な扱いは児童の自信を喪失させ、援助してくれる他者に完全に頼り切るようになってしまうかもしれない。

OANH氏は障害者に、ただ所得援助をするのではなく自立して生きていくための自信をつけさせる必要があると言う。一番の良い方法は適切な教育と自活していくための訓練を提供する事である。

障害児教育センター長Trinh Duc Duy 博士も同じ考えだ。Duy博士は障害児は幼稚園に入れる年齢に達したら普通学校で教育を受けるべきと考えている。障害児にとって健常児と学び遊ぶ経験は長い目で見ると実社会に出ていった時に役に立つ。センターではハタイ, ビンフー,クァンニン そしてティエンザンでその試みを実施している。これらの地域では今では8割もの障害児が学校へ通うようになった。

(この記事はベトナムタイムズの記事を元に書かれました)