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障害保健福祉研究情報システム(DINF)・メールマガジン バックナンバー

第22号(2008年5月12日配信)

□…… DINF: 障害保健福祉研究情報システム・メールマガジン ……………□
                第22号(2008年5月12日配信) 刊行:不定期
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 財団法人日本障害者リハビリテーション協会が
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■   目次
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【1】注目記事
【2】新着情報
【3】セミナーのご案内
【4】ウェブ担当者コラム
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【1】注目記事
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●野沢和弘『障害者差別をなくすための千葉県条例』(2007年8月)
 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/law/nozawa.html
2006年10月、千葉県で、「障害者差別をなくす条例」
(正式名称・障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例)が
成立しました。
本コンテンツは、千葉県障害者差別をなくす研究会座長の野沢和弘氏に
2007年8月に書き下ろしていただいたものです。
2004年9月、条例制定に向けた取り組みとして千葉県障害福祉課が行なったのは、
「差別に当たると思われる事例」を募集することでした。
その結果、県内各地から教育、雇用など日常生活の様々な場面における事例が、
800件近くも寄せられました。事例の詳細は、千葉県庁のウェブサイトで見ることができます。
  寄せられた「障害者差別に当たると思われる事例」
  http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_syoufuku/keikaku/sabetu/sabetuzirei.html
2005年1月、「障害者差別をなくすための研究会」が組織されました。
29名の委員は、障害当事者、医療・教育・福祉・労働などの分野の識者で構成されましたが、
当初は各障害の大変さや辛さを競うように主張して、議論がかみ合わなかったといいます。
研究会を重ねていくとともに、それぞれの障害の独特の苦労や差別への理解が深まっていきました。
研究会の傍聴に訪れた県庁各課の職員が33課に上ることも紹介されています。
障害者差別をなくすためには広範囲の取り組みが必要なためです。
  「障害者差別をなくすための研究会」について
  http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_syoufuku/keikaku/sabetu/170120sabetu.html
条例案は、2005年12月にできました。
条例案の構成は、4本の柱から成り立っています。
・県民の目に「差別とは何か」を明らかにするための「なくすべき差別」の例示 
・実際に差別行為があった場合の「解決のための仕組み」 
・差別の背景にある構造的な問題に取り組む「社会の仕組み自体を変えていく取組み」 
・頑張っている人を応援する仕組み
条例案は、2006年2月議会に出されましたが、議員の反対が根強く、
議論不足で継続審査となりました。
2006年6月議会でも修正しなければ否決するというところに追い込まれ、
知事は条例原案を撤回しました。
2006年10月11日、ひどい差別は「公表」できる等が削除された大幅修正の条例案が
自民党から賛成され、原案を支持した他会派も賛成に回り、条例が成立しました。
  撤回した条例案と成立した条例の比較表(PDF)
  http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_syoufuku/keikaku/sabetu/jobunhikaku.pdf
2007年7月に条例は施行され、少しずつ、さまざまな相談が寄せられるようになってきています。
野沢氏は、コンテンツの中で次のように書いています。
  私たちが作ろうとしている条例は、障害者のための条例ではあるけれども、
  決して障害者のためだけではない。すべての人間にとって、とくに子どもたちに、
  お互いの人間の違い、お互いの悲しみやつらさを分かり合い理解しあって、
  同じ時代を同じ地域で生きていこうという一つの大きな根拠になるのではないかと
  確信した。(「ヒアリングとタウンミーティング」より)
  同時代に生きる人々がお互いの違いを理解し、
  その違いを楽しむような寛容の精神とゆとりを社会のまん中に据えなければ、
  これからの成熟社会など築いていけるわけがないと思う。
  障害種別が違えばお互いの障害のことはあまり知らなかった障害者たちが
  議論を重ねて理解するようになり、あれだけ反対された議会との相互理解を進めて、
  この条例は成立した。
  そのプロセスがこれからの成熟社会を築いていく可能性を示していると私は思う。 
  (「成立~施行」より)
これが『障害者差別をなくすための千葉県条例』の核となる精神なのです。
DINF関連ページ:
障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/law/anti/chiba.html
参考サイト:
千葉県障害福祉課『障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり』
http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_syoufuku/keikaku/sabetu/sabetuzirei.html
参考文献:
野沢和弘『条例のある街:障害のある人もない人も暮らしやすい時代に』
(ぶどう社 2007年1月)
http://www.budousha.co.jp/booklist/book/jourei.htm
東敏裕監修,DPI日本会議編集『障害者の権利条約でこう変わるQ&A』
(解放出版社 2007年12月)
http://www.hanmoto.com/bd/ISBN978-4-7592-6118-9.html
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【2】新着情報
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【研究調査】
(5月1日 新着)
セミナー 視覚障害者および印刷字を読めない障害がある人々のための図書館を考える 
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/daisy/Croatia_seminar/index.html
  2008年2月27日、28日にクロアチアのザグレブで行われた、
  IFLA盲人図書館分科会・DAISYコンソーシアム・クロアチア視覚障害者図書館主催の
  IFLAとDAISYの紹介を目的とするセミナーのプログラムを翻訳したものです。
  プログラムは、IFLAの紹介、DAISYの紹介、
  各国からの報告(クロアチア、エストニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ)
  著作権と国際図書館、図書館サービスの開発、DAISYの現在と将来で構成されます。
【刊行物:月刊ノーマライゼーション】
(5月9日 新着)
月刊ノーマライゼーション 2008年5月号 (通巻322号)目次
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n322/index.html
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【3】セミナーのご案内
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●読みやすい(Easy-To-Read)図書とマルチメディアDAISY
趣旨:
スウェーデンの読みやすい図書基金の所長であり、1997年に
国際図書館連盟(IFLA)より出版された「読みやすい図書ガイドライン」の
執筆者であるブロール・トロンバッケ氏を招き、
「読みやすく、わかりやすい」図書の出版や情報の提供に関する
スウェーデンでの取り組みについて講演をしていただく。
その講演を受けて、(財)日本障害者リハビリテーション協会は、
マルチメディアDAISYによる読みやすい図書を推進する活動について報告を行う。
さらに、意見交換では、知的障害者やディスレクシアなど読み書き障害者を支援する
「読みやすい」図書の日本での普及について話し合う場を提供する。
日時:平成20年5月29日(木)18:00-20:30(受付17:30より)
主催:(財)日本障害者リハビリテーション協会 
参加費:無料
定員:先着100名
会場:日本財団ビル 大会議室 東京都港区赤坂1丁目2番2号
プログラム:
18:00 開会挨拶
片石修三  (財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 常務理事)
18:10-18:50 講演 「読みやすさ、わかりやすさに向けたスウェーデンの取り組み」
ブロール・トロンバッケ 読みやすい図書基金所長
18:50-19:10 報告「マルチメディアDAISYによる読みやすい図書の推進の活動」
(財)日本障害者リハビリテーション協会
休憩
19:25-20:25  質疑および意見交換
モデレータ:河村 宏  国立身体障害者リハビリテーションセンター特別研究員
20:30 閉会
申込先・問合せ:
日本障害者リハビリテーション協会 情報センター内
TEL:03-5273-0796 / FAX:03-5273-0615  /e-mail: dinf-j@dinf.ne.jp
URL: http://www.normanet.ne.jp/info/seminar080529.html
担当:有田・太田・野村
参考:
DINFメールマガジン11号 【1】注目記事 ●読みやすい図書について
http://www.dinf.ne.jp/form/no11.txt
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【4】ウェブ担当者コラム
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●中邑賢龍『発達障害の子どもの「ユニークさ」を伸ばすテクノロジー』
(中央法規出版 2007年12月)
 http://www.chuohoki.jp/ebooks/commodity_param/ctc/+/shc/0/cmc/2961
本書は、発達障害の子どものために「今すぐできる支援の技術を考えてみる」
ことを目的とした本です。
「障害を補助する技術」と「障害に応じた学習環境整備などの技術」という
2つの合理的配慮について、意義と具体的ツールについて解説しています。
支援技術は、次の8つに分けて、紹介されています。
・注意集中を助ける技術
・理解を助ける技術
・記憶を助ける技術
・思考の整理を助ける技術
・読みを助ける技術
・書くことを助ける技術
・計算を助ける技術
・コミュニケーションを助ける技術
技術は、「電子技術を活用したハイテクノロジー」だけではなく、
ちょっとした工夫やサングラスのような「ローテクノロジー」も含まれます。
第1章第3節で、日本の高等教育を断念してアメリカに渡り、
モンタナ大学に進学し、インディアナポリス大学で博士号を取得した
吉田藍香さんの事例が紹介されています。
DINFでは『目に見えない障害のある大学生の就学支援:アメリカモンタナ大学の実例』を
掲載していますので、合わせて読んでいただくと、米国での支援の実態が
より詳しくご理解いただけると思います。
なお、米国には、AHEAD:Association on Higher Education And Disability
(http://www.ahead.org/)という大学等の高等教育機関で障害者支援にかかわる
専門家の組織があり、毎年夏に(今年は7月14日から7月19日まで)国際会議を開催しています。
DINF関連ページ:
目に見えない障害のある大学生の就学支援:アメリカモンタナ大学の実例
 渡部テイラー美香(モンタナ大学障害学生サービス部コーディネーター)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/ld/dss.html
研究会「発達障害のある大学生への支援」
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/ld/071121_workshop/index.html
アメリカの障害学生サービスとE-テキスト
-2007年 AHEAD(高等教育と障害のための会議)国際会議に参加して-
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/else/topics/usa_e.html
□□■ 編集後記………………………………
情報センターでは、机の配置換えを行いました。
同じ部屋なのですが、広くなり、空気がおいしくなったような気がします。
部屋のきれいさと心のすっきり感が連動するのは本当のようです。
 発行元:(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター
 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
 TEL:03-5273-0796 FAX:03-5273-0615
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