音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

障害保健福祉研究情報システム(DINF)・メールマガジン バックナンバー

第46号(2010年3月1日配信)

□…… DINF: 障害保健福祉研究情報システム・メールマガジン ……………□
                第46号(2010年3月1日配信) 刊行:不定期
■…………………………………………………………………………………■
 DINF(Disability INFormation Resources)は、
 財団法人日本障害者リハビリテーション協会が
 障害者の保健と福祉に関わる研究を支援するために、
 国内外から広く関連する情報を収集し障害者関連の情報を
 提供しているサイトです。
 【 DINFホームページ 】http://www.dinf.ne.jp
 【 お問合せ 】webmaster@dinf.ne.jp
 【 配信停止の申請 】
 メールの件名に「配信停止の申請」と書き、
 登録されているメールアドレスよりお送り下さい。
 webmaster@dinf.ne.jp
 【 プライバシーポリシーについて 】
 個人情報を適切に保護するため、お預かりした情報は取扱いに
 つきましては細心の注意を払っています。
------------------------------------------------------
■ 目次
------------------------------------------------------
【1】注目記事
【2】新着情報
【3】セミナー案内
【4】ウェブ担当者コラム
------------------------------------------------------
【1】注目記事
------------------------------------------------------
●認知症の人のための図書館サービスガイドライン
団塊の世代が1年1年確実に高齢者のグループに入っていくため、
高齢者層への図書館サービスについて考えることは重要なテーマのひとつです。
ところが、日本では高齢者への図書館サービスは、
まだまだこれからの取り組みのように思われます。
IFLAは、2007年に「Guidelines for Library Services to Persons with Dementia」
をまとめました。
http://archive.ifla.org/VII/s9/nd1/Profrep104.pdf
DINFでは、その翻訳を行い、
「認知症の人のための図書館サービスガイドライン」として掲載してます。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/info/dementia_iflaprofrep104.html
「認知症の人のための図書館サービスガイドライン」は、
『図書館雑誌』2009年7月号の特集、「2010年「国民読書年」に向けて-
多様な読書ニーズに応える」でも取り上げられました。
記事は、ガイドラインをまとめた、
ヘレ・アレンドルップ・モーテンセン(リュングビュー・トーベク公共図書館)、
ギッダ・スカット・ニールセン(フリーランス図書館コンサルタント)両氏が執筆し、
当協会の野村美佐子が翻訳しました。
図書館における新たな視点-認知症の人のためのサービスガイドライン-
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/ifla/jla0907_dementia_jp.html
DINFでは、海外の図書館の高齢者へのサービスに関する記事もいくつか収録しています。
「認知症の人のための図書館サービスガイドライン」の序文には
次のように書かれています。
  認知症の人は徐々に記憶を失っていき、人格が大きく変化する場合もある。
  また身体的制約が増え、日常生活の多く、あるいは大部分において、
  介助が必要となる。
  このような精神的および身体的制約にもかかわらず、
  認知症の人は多岐にわたる図書館サービスから大いに利益を得ることができる。
  このガイドラインを発行する目的は、図書館に対する意識の向上で、
  認知症に苦しむ人々の家族や友人だけでなく、
  図書館の専門職員、介護者、公共政策立案者にも、
  多様な図書館サービスや資料が、喜びや娯楽を提供すると同時に、
  記憶を刺激する手助けもできるということに高い関心を持ってもらうことにある。
公共図書館が認知症の人にサービスするには、次のことがポイントとなります。
・図書館員は、認知症関連の疾病について豊富な知識を身につけ、
 これらの利用者がどのように反応するかを知る必要がある。
・参考文献を参照する。
・この分野の専門家に相談し、関連のある研修や会議に参加し、
 できればよき指導者とともに、しばらくの間、
 介護施設で認知症の人を観察することが強く勧められる。
・サービス計画を成功させるには、複数の専門家による協力が重要である。
・家族や介護者との密接な協力とともに、忍耐と思いやりも必要である。
図書や視聴覚資料は、施設での生活の質を高めることができます。
楽しい記憶を呼び起こすことによって、
利用者がアイデンティティの感覚を取り戻す手助けをすることができます。
ガイドラインでは、絵本、図書の朗読、郷土史、オーディオブック、音楽など、
様々な資料やサービスの何がどのように好まれるかについてまとめられています。
従来の図書館資料の中心であった本にこだわらず、
音楽や電子メディア、「回想法キット」なども紹介されています。
  コンピューターゲームなどの、その他の新しい電子メディアは、
  新世代の認知症の人の興味を引くようになるであろう。
  多くの高齢者はすでにコンピューターに親しんでいるので、
  介護者や親類、あるいは図書館員の助けを借りて
  インターネットで検索することを楽しめるであろう。
  コンピューターの画面上の画像を、会話を進めたり、
  特定のテーマについて図解したりするために利用してもよい。
  図書館員は介護者に関連のあるサイトを紹介することができる。
デンマークでは、図書館や高齢者施設が回想法キットを
デンマーク回想法センターから借用したり、
購入したりすることができるそうです。
図書館は、認知症に関する資料を提供する役割も期待されます。
日本では、認知症のためのサービスと検索すると
このような資料提供の役割を果たしている図書館をいくつか見つけることができます。
具体的なサービスとしては、宅配サービスや郵送サービスなど、
日本では「図書館利用に障害のある人へのサービス」として
行われてきたサービスのノウハウを活用できそうな内容も紹介されています。
認知症の人に対する図書館サービスの提供のためには、
介護施設を定期的に訪問する図書館員が、施設職員と緊密に協力し合うことが重要です。
区内に六カ所の特別養護老人ホームと四カ所の老人保健施設がある墨田区では、
障害者サービスを行なっている四つの図書館が協力して、
こうした施設に出かけていってサービスを行なっています。
その実践については、山内薫『本と人をつなぐ図書館員』の
「第四章 遠い記憶を呼びさますもの」(p.64-p.80)でまとめられています。
http://www.d-kobo.jp/12_22.html
スウェーデンの読みやすい図書センターが計画した「読書指導員」のように
集団生活グループやデイ・センターのスタッフの中から「読書指導員」を選び、
読書への関心を刺激し、朗読や図書館訪問などを織り込んで
読書時間をアレンジする仕事を担ってもらうようなしくみもあります。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/easy/sweden.html
日本でも、これからさらに事例が増えていくことを期待します。
【DINF関連ページ】
用語解説:国際図書館連盟
(International Federation of Library Associations and Institutions:IFLA)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/glossary/IFLA.html
認知症の人のための図書館サービスガイドライン(HTML版)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/info/dementia_iflaprofrep104.html
認知症の人のための図書館サービスガイドライン(PDF版)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/info/IFLA_Guidelines.pdf
図書館における新たな視点-認知症の人のためのサービスガイドライン-
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/ifla/jla0907_dementia_jp.html
老人ホームにおける回想法を使用した図書館サービス
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/library/library_service.html
「シニアスペース:図書館におけるベビーブーム世代、高齢者とその家族のための場所」
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/info/080810ifla.html
【参考文献】
山内薫著『本と人をつなぐ図書館員:障害のある人、赤ちゃんから高齢者まで』
(読書工房 2008年1月)
http://www.d-kobo.jp/12_22.html
バーバラ・T.メイツ著,高島涼子,川崎良孝,金智鉉訳
『高齢者への図書館サービスガイド』
(京都大学図書館情報学研究会 2006年11月)
*日本図書館協会の出版物一覧:2006年の委託販売本
http://www.jla.or.jp/publish/bindex.html
------------------------------------------------------
【2】新着情報
------------------------------------------------------
【情報アクセス-IFLA】
(2月10日 新着)
新分野の開拓:印刷物を読めない障害がある人々のアクセスを拡大する
バーチャルグローバルライブラリーサービス
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/ifla/rae_090825.html
  利用者が自ら選択する情報に確実にアクセスできるようにするには、
  印刷物を読めない障害がある人々のための図書館はどうしたらよいのだろうか?
  IFLAの印刷物を読めない障害がある人々のための図書館サービス分科会と
  DAISYコンソーシアムは、どのような組織も単独では
  これを達成できないことを認識し、この命題を確実に達成するために、
  グローバルライブラリープロジェクトの開発に共同で取り組んできました。
  このプロジェクトでは、図書館利用者によって、どのようにコンテンツが共有され、
  収集され、アクセスされるかを明らかにすることを試みています。
  このコンテンツでは、これら2つの組織が中心となって進めている
  グローバルライブラリープロジェクトの概要を述べています。
【情報アクセス-情報アクセシビリティ:ITを活用した情報支援】
(2月15日 新着)
情報障害のある人への支援の現状と課題
-視覚と聴覚の両方に障害のある人(盲ろう者)へのパソコン支援を中心に-
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/it/support_sugita0908.html
  杉田正幸「情報障害のある人への支援の現状と課題
  -視覚と聴覚の両方に障害のある人(盲ろう者)へのパソコン支援を中心に」
  (情報の科学と技術 59(8) 2009.8.1 p.378-384)の転載です。
  杉田氏は、2001 年から大阪府立中央図書館で盲ろう者へのパソコン個別指導、
  2003年度から盲ろう者向けのインターネット講習会を行っています。
  著者は、各地での盲ろう者へのパソコン支援の経験、
  通訳者やパソコンボランティアなどを対象とした支援者の人材養成を紹介し、
  日本での盲ろう者へのパソコン支援の現状について報告しています。
  また、2009年3月に米国ロサンゼルスでの「第24回障害者とテクノロジー会議」での
  盲ろう者への情報支援技術について勉強してきた経験、
  パーキンス盲学校やヘレン・ケラー・ナショナル・センターでの
  盲ろう者へのコミュニケーション支援、パソコンを使った支援、
  職業教育訓練の見学を通して、日本の現状との違いについて報告しています。
  日本での盲ろう者へのパソコン支援の課題と今後への展望について述べています。
【情報アクセス-転載「マリタイムス」】
(2月15日 新着)
「マリタイムス」No.126 2010年2月15日発行
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/newsletter/maritimes_1002.html
  ダウン症の岡本真理さんは17年間、継続してマリタイムスを発行してきました。
  マリタイムスは、日常生活や社会で起こった出来事に対して、
  真理さんが感じたことを自分自身の言葉で綴り、
  手書きで封筒に1人1人の宛名を書き、
  季節の切手を貼ってポストに投函しています。
  DINFでは真理さんが心をこめて執筆しているマリタイムスを多くの方々に
  読んでいただきたいと考え、マリタイムス124号(2009年10月号)より
  紹介をはじめました。
  126号は、インターネットを始めたこと、マリタイムスのDINF掲載のこと、
  角界のニュースについて、ショートステイのこと、
  マイケル・ジャクソンの「THIS IS IT」を購入したことなど。
  生活を楽しみつつ、新たなチャレンジを始めている
  真里さんの様子が伝わってきます。
【調査・研究-厚生労働科学研究】
(2月17日 新着)
平成20年度厚生労働科学研究費補助金
障害保健福祉総合研究推進事業報告書
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/kousei/h20houkoku/index.html
  外国人研究者招へい事業
  ・テレサ・M・ヴォーン氏 招へい報告
  外国への研究委託事業
  ・「筋萎縮性側索硬化症(ALS)末期患者症例において、
    脳波による脳計算機インターフェースによるコミュニケーションが
    QOLに及ぼす効果の研究」
   テレサ・M.・ヴォーン
    アメリカ合衆国ニューヨーク州健康局ワズワースセンター神経疾患研究室
    (脳計算機インターフェース研究調整官 兼 科学研究官)
  若手研究者育成活用事業
  ・「8ヶ月齢から20ヶ月齢の乳幼児における社会的行動獲得の時系列
    ~広汎性発達障害児における社会的行動発達過程検討のための予備的研究~」
   稲田 尚子(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
  ・「広汎性発達障害の子どもを持つ母親の子ども・家庭・学校認知に関する研究」
   加藤 公子(中京大学 現代社会学部)
  ・「精神障害者の自立支援のための住居確保に関する研究」
   長沼 洋一(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
ライフステージを包括する地域生活支援システムの構築を目指す
相談支援事業者の在り方と自立支援協議会の機能に関する研究
-障害者自立支援法の見直しポイントと障害をもつ人たちの暮らし-
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/kousei/lifestage/index.html
罪を犯した障がい者の地域生活支援に関する研究
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/kousei/crime/index.html
【調査・研究-国際比較・海外事情】
(2月22日 新着)
福祉的就労分野における労働法適用に関する研究会報告書
-国際的動向を踏まえた福祉と雇用の積極的融合へ-
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/hikaku/matsui091130/index.html
  本研究は、福祉的就労分野、とくに障害者自立支援法に基づく就労継続支援事業
  (非雇用型)の利用者の就労実態の把握を通じて、
  福祉的就労の現状の問題点を明らかにするとともに、労働法適用の可能性、
  またはそれにかわる法的保護のあり方について、この研究の一環として行う
  欧米諸国における関連法制度などの調査結果も参考にしながら、
  国内法制度整備に向けた提言としてとりまとめることを目的に、実施したものです。
  本報告書は、研究の成果をとりまとめたもので、
  第1章福祉的就労における労働保護上の問題点、
  第2章諸外国における「福祉的就労」分野における労働保護法の現状と動向、
  第3章今後の課題と方向、及び付属資料から構成されます。
------------------------------------------------------
【3】セミナー案内
------------------------------------------------------
●障害者放送協議会シンポジウム「障害者と災害」
■日時:2010年3月12日(金) 午後12時30分~4時30分
■会場:戸山サンライズ 2階 大研修室 (東京都新宿区戸山1-22-1)
■参加費:無料
■開催趣旨
災害時における障害者の支援や情報保障の取り組みについては、
国の「災害時要援護者避難支援ガイドライン」(改訂版)が
平成18(2006)年3月に出されて以降も、引き続き各地で進められているところです。
このシンポジウムでは、それらの取り組みの最新動向を紹介しながら、
障害者が望んでいることはなにか、
各地でどのような経験が生まれているのか事例を出し合い交流し、
今後の活動の展望を探ります。
■お申し込み、問い合わせ
3月1日(月)までにFAX、Eメール、または電話にて
下記の連絡先までお申し込みください。
(先着順・参加証などはお送りいたしません)
事務局(日本障害者リハビリテーション協会内)
電話:03-5292-7628
FAX:03-5292-7630
E-mail: rehab@dinf.ne.jp
URL:http://www.normanet.ne.jp/~housou/0312/
■プログラム(順不同・敬称略)
12:30 開会
基調説明 矢澤 健司(障害者放送協議会 災害時情報保障委員長)
13:00
国の取り組み 内閣府防災担当付参事官(災害応急対策担当) 山崎 一樹
13:30
被災地からの報告 ~2007年新潟県中越沖地震の経験
 片桐 宜嗣((社)新潟県手をつなぐ育成会理事長)
14:00
取り組み事例
・八幡 隆司((特)ゆめ風基金理事)
・棚橋 公郎((福)岐阜アソシア 視覚障害者生活情報センターぎふ サービス課長)
・池松 麻穂、吉田めぐみ((福)浦河べてるの家)/
 河村 宏(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
・(特)CS障害者放送統一機構
○ファシリテーター 岩井 和彦((特)全国視覚障害者情報提供施設協会理事長)
15:45 質疑応答とディスカッション
16:30 閉会 
(途中休憩あり)
*プログラムは変更する場合があります。
------------------------------------------------------
●文部科学省委託事業 平成21年度中間報告会
 「発達障害等に対応した教材等の在り方に関する調査研究事業」
■開催趣旨
現在一部で提供が行なわれているマルチメディアDAISY形式の
電子教科書の仕様と活用方法について、
国内の教育現場のニーズと実態を把握して現状を分析し、
その教育的効果を極力客観的に測定することは急務です。
文部科学省の委託を受けて、平成21年度用の教科書を用いて
DAISY教科書を小・中学校の研究協力校に提供し、
前もって策定した評価方針案により予備実験を行い、
試作電子教科書の効果測定を行いました。
その結果を中間報告として、
この事業の研究グループより報告会を行ないます。
■主催:財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
■日時:2010年3月14日(日) 13:30~16:30
■報告者
田中 裕美子(大阪芸術大学初等芸術教育学科教授)
河村 宏(DAISYコンソーシアム会長)
井上 芳郎(全国LD親の会)
神山 忠(岐阜県立関特別支援学校教諭)
二峰 紀子(特定非営利活動法人かかわり教室理事)
(財)日本障害者リハビリテーション協会
■会場:戸山サンライズ 大研修室 http://www.normanet.ne.jp/~ww100006/tizu.htm
■定員:先着20名(定員になり次第締め切りとする)
 
■参加費:無料
■情報保障:要約筆記あり。希望に応じて手話通訳・点字プログラム・磁気ループを用意。
■申込先・問合せ
(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター内
TEL:03-5273-0796 / FAX:03-5273-0615 / e-mail: daisy-seminar@dinf.ne.jp
URL: http://www.normanet.ne.jp/info/seminar100314.html
担当:吉広・長田・有田
------------------------------------------------------
【4】ウェブ担当者コラム
------------------------------------------------------
●国際セミナー「障害者の新しい雇用 -インクルーシブな雇用の実現-」
 http://www.normanet.ne.jp/info/seminar100131.html
1月31日に上記セミナーが開催され、障害者の雇用に関心を持つ
行政、福祉、研究の分野から約150人以上の参加があった。
当協会では障害者を含むインクルーシブな雇用を促進する手法として、
ソーシャル・エンタープライズの1つとなるソーシャル・ファーム(Social Firm)に
焦点をあてたセミナーをここ数年来開催している
最初に恩賜財団済生会理事長、炭谷茂氏より、セミナーの内容について
参加者に理解していただくための基調講演があった。
日本では、失業者は300万人を超え、最近の失業率は5.1%。
さらに企業では雇用調整助成金という制度を使って、
本来は解雇したいけれどもこの助成金を使って雇用を確保しているという。
炭谷氏は、日本におけるリサイクリングなど社会的な貢献をする
「ソーシャル・ファーム」の取り組みについて具体的に話してくれた。
そしてソーシャル・ファームの「新しい公、新しい人間とのつながり」への
可能性についても語ってくれた。
次にドイツでのソーシャル・ファームの確立に多大な貢献をし、
現在はその経験を生かし、途上国セルビアでの国連のプロジェクトに関わっている、
ゲロルド・シュワルツ氏の講演があった。
ソーシャル・ファームの成功の要因が、国による法律や財政上そして、
公共調達での支援、NPOのコンサルティング団体の設立、
企業とのパートナーシップにあると明言している。
次に日英の交流に力を注いでいるフィリーダ・パービス氏から、
英国のソーシャル・エンタープライズの定義、状況が話された。
そしてソーシャル・ファームなど社会的志向の企業に資本を提供する
社会投資銀行などの紹介をしながら
ソーシャル・ファイナンスについて概説が提示された。
英国のホワイトボックス・デジタル社の創立者、デビッド・バーカー氏は、
どのような社会的背景を持とうと十分な教育と訓練を受ける能力があると信じ、
自ら起業したIT関連のソーシャル・エンタープライズを
社会的に不利な人たちの雇用に結び付けた事例を語ってくれた。
以上の講演を受けて日本のソーシャル・ファームと考えられる事例が
北海道で共働学舎新得農場を経営している宮島望氏と
埼玉のNPO法人ぬくもり福祉会たんぽぽ会長の桑山氏から紹介された。
パネルディスカッションは浦和大学の寺島彰教授のコーディネートにより、
一昨年、ソーシャル・ファーム・ジャパンを設立した炭谷氏が語った
日本におけるソーシャル・ファームの2,000ヶ所創設構想に関連して、
そのためにはどのような課題があり、
その課題をどのようにして解決していくかということについて焦点があてられた。
討議は、会場からでた質問は、ソーシャル・ファーム設立の際のリスクを
どうするのかという問題に集中した。
東京家政大学の教授であり、豊芯会の理事長、上野容子氏は、
「リスクはあるが、仕事が先にあり、
関係者はそれを支援するというスタンスではなくて、
障害者と一緒になってやっていくことでビジネス展開がある。」と
自らの経験を踏まえて答えてくれた。
日本でソーシャル・ファームが発展していくためには、
政府や一般市民にソーシャル・ファームについてもっと知ってもらうこと、
政府にそのためのよりよい制度を作ってもらうための働きかけ、
そして発展させたいと願う関係者の一体となった活動などが
重要な鍵となることを確認した。
このセミナー録は後日DINFでも公開いたします。
□□■ 編集後記………………………………
今日から3月ですね。
あっという間の2ヶ月でした。
………………………………………………………………………………
●障害者福祉の総合情報誌
月刊『ノーマライゼーション』(定価800円)
最新刊 2月号
 特集「新しい総合リハビリテーションに向けて」
http://www.normanet.ne.jp/~info/m_norma/
●障害者福祉専門職の方必読!
季刊『リハビリテーション研究』(定価1200円)
最新刊 142号
 特集「権利条約を踏まえた障害者法・政策の課題」
CD-ROM版発売中(1号~100号分、ブックレット付。9500円)
http://www.normanet.ne.jp/~info/rihaken/
………………………………………………………………………………
 発行元:(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター
 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
 TEL:03-5273-0796 FAX:03-5273-0615
………………………………………………………………………………■■■

DINFメルマガお申し込みフォームへ