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CBID国内の事例(50音順)

CBRアジア太平洋ネットワークは、CBID(障害者も高齢者も何かに困っている人、みんなでつくる地域福祉)の好事例を選出して、2015年第三回アジア太平洋CBR会議で発表していただく予定です。国内のCBIDの事例収集は日本財団のご協力を得て実施しています。日本の事例をここにご紹介します。
日本代表には、一般社団法人草の根ささえあいプロジェクトが選ばれました。

2014.7.11付け

1.NPO法人いけま福祉支援センター

事業:2011~
組織:2004~
http://npoikema.sakura.ne.jp/

<対象地・人口>  

沖縄県池間島、人口672人、農(山魚)村。

<目標> 

「今日も楽しいね」と笑って生きられる島を目指す。

<地域の課題>

コミュニティの再生

<対象者> 

池間島島民(高齢者、幼稚園・小中学生)、来島者(小学生、高校生、大学生)

<カバーした人数> 

1680名(年間)

<活動概要>
<関係当事者> 

地域住民

<実施していること>

島の活性化と住民(主に高齢者)を元気にするため、高齢者世帯を中心に民泊事業を実施。元気なコミュニティ作りための島おこし活動には、①情報共有のための新聞発行、②イーヌブー(池間湿原)再生、③緑化〔居場所〕作り、④耕作放棄地再生、⑤地元学によるあるもの探し、⑥島の原風景保全と住民自らによる自治推進のためのシマ憲章策定などがある。高齢者の経験や生活の知恵を記録にとどめ、そこから次世代へひき繋ぐべき島の宝物を再発見していく「アマイ・ウムクトゥ」企画では、①島こよみ(カレンダー)制作、②手仕事の継承、③在来作物の復活、④直接的に継承・発展させていく場として「シマ学校」の開講、⑤高齢者生産物を販路開発としての「テンプラ屋」、⑥くらし資料館(高齢者の語り部など)などがあり、高齢者の生きがい作りを目的にさまざまな活動が実施されている。

<プロセス>

直面する難しい課題に取り組むことが新たな事業開始に進展し、持続性の確保につながっている。あるもの探し(価値の再確認)により進展してきた。
CBRマトリックスで活動が分析されている。

2.一般社団法人草の根ささえあいプロジェクト

猫の手バンク事業 2011年4月~
組織:2011年4月~ 
http://grassroots.jimdo.com/

<対象地・人口>

愛知県名古屋市、人口227万人、政令指定都市

<目標>

本人が他者を信じ、自ら他者との関係性を築き、社会から孤立しない状態を作ること。

<対象者>

障害の有無にかかわらず、社会的孤立・生活困窮に陥っている人:発達障害者、精神障害者、知的障害者、身体障害者、引きこもり、ニート、SNEP、セクシャルマイノリティ

<カバーした人数>

41人

<関係当事者>

必要に応じた多様な連携が発展し、公的ネットワークと地域ネットワークが構築され、現在福祉系ネットワークでは110団体とつながっている。

<実施していること>

社会的孤立に陥っている人へのアウトリーチとして主に①パーソルアシスタント、②アドボカシとコミュニケーション、③スキル開発を丁寧に行っている。その活動をCBRマトリックスを使用して分析し、猫の手バンクの活動のステップを明らかにした。調査から4つの機能を見出した。①通訳機能、②ネットワーク機能、③インフォーマル機能、④見守り機能。リスク軽減がエンパワメントにつながることも見出した。

<対象者の変化>

本人がエンパワーされていくプロセスが丁寧に記述されている。
コミュニティの変化:本人中心の活動により、それまで出会わなかった専門分野の支援者が知り合い、日常的に協力体制がとれるようになった。

<波及効果>

地域で緊急かつ関心の高い課題について考えるプロジェクトが発生し2年目も継続している。(4か所)、自助グループと勉強会が立ち上がった。

<その他の特記事項>

日本のCBID事例選考会で日本代表に選ばれ、CBRアジア太平洋ネットワークでの選考会に提出された。
また、『できることもちよりワークショップマニュアル&支援立ち上げプロジェクト報告書』は一部が英語に翻訳され、国連のサイトに掲載されている。(ニュースレター4月号)
http://www.un.org/disabilities/default.asp?PID=312

3.社会福祉法人こころん

事業名とくになし。
組織:2002年NPO法人こころんネットワーク県南設立、2011年社会福祉法人
http://www.cocoron.or.jp/

<対象地>

福島県県南地域(白河市、泉崎村、矢吹町)、人口15万人

<目標>

精神障碍者の自立支援。

<地域課題>

障害者問題、食育、就労、農業

<対象者>

精神障害者、発達障害者、知的障害者

<カバーした人数>

100人

<関係当事者>

財団、自治体、地域住人。関係機関からの照会、口コミで拡大(地域の人、企業、医療従事者などを含む)

<実施していること>

農業、加工所、直売所&カフェ(こころや)、移動販売など障害者の就労システムをつくり、関係するすべての人の利益につながる。
農家:農産物・加工品の販売、農業技術の伝承。地域:遊休農地の再生、地域交流の場、高齢者の生きがいづくり。

<方法>

農業や里山再生という地域資源を活かしたシステムを作り、生活全般の支援、福祉・農業・食育を組み合わせたビジネスモデルで、経済、生活、対人関係問題に対応し、生活を整える、きめ細やかな支援。地域ネットワークの促進。

<対象者の変化>

働く意識が強まり、意欲的になった。働くことで病気の快復が見られた。地域連携が深まった。毎日おいしいものが食べられる。いろいろな仕事に発展できる可能性がある。企業との関係が深まった。農家への支援。

<地域の変化>

偏見がなくなった。自然に障害者と接することができるようになった。
早期対応・相談機関への照会。

<その他>

福島原発事故のあと、被災地での医療・福祉サービスが無くなり、アウトリーチ普及のための人材育成事業に参加し、県全体の連携を促進している。

4.のわみ相談所

ホームレス・生活困窮者及び就職困難者の自立支援(2007年~)
組織:1998年~
http://heartland.geocities.jp/nowami38/nowamisoudansyo.html

<対象地>

愛知県一宮市を中心とする尾張地域、人口60万人。地方都市

<目標>

相談に訪れた全ての人に必要な支援を行うことにより公共の福祉に貢献。(団体としての目標に、日本国憲法に定める基本的人権の尊重、国際規約にある経済的社会的文化的権利実現のために活動)

<対象者>

高齢者、精神障害者、知的障害者、発達障害者、外国人、ホームレス、生活困窮者、就職困難者、DV被害者、居場所のない人。

<カバーした人数>

3,000人

<活動概要>

<関係当事者>

自治体、地域住民
支援された人が支援者になれるよう、その人の能力を最大に引き出す努力、問題解決後の支援者として活動を継続。
実施していること:2007年に一宮市に事務所と簡易宿泊所(2008年から女子シェルター)現在6か所。フードバンク拠点。NPO法人のわみサポートセンター(就労支援)との協働で食堂、談話室、リサイクル、便利屋、弁当工場。2013年に共同墓地を一宮市の寺に完成させた。話し合い、学習会の開催。

<方法>

駐車場を借りて炊き出し、生活保護申請・アパート入居支援、顔見知りになってから話し合いと学習会開催へと進展。

<対象者の変化>

支援された人が支援者になれるように、その人の抱えている問題を解決しながら、その人の能力を最大限に引き出す努力をし、問題解決後も支援者として参加し続けられるように支援した。
人とのコミュニケーションが苦手だった人が自分の思いを人に伝えられるようになった。お酒とギャンブルに依存していた人が長期の支援と働くことによりボランティア活動ができるようになった。自分のことで精一杯だった人が人のために積極的に行動するようになった。

5.NPO法人ハックの家

事業名は記述なし。
組織:1996(NPO法人は2004~) 
http://hakkunoie.com/

<対象地>

岩手県田野畑村、人口3,500人、農(山魚)村

<目標>

障害があってもなくても普通に地域で生活しているということの実現。障害者という言葉が必要ないところまでいけるとすごい!スタッフ・障害者・地域の人が誰かわからない。普通にそこにいること。仮設住宅の住民も参加

<対象者>

高齢者、子ども、身体障害者、精神、知的、発達障害者、その他

<カバーした人数>

56人(その他の実数は不明)

<活動概要>
<関係当事者>

地域住民その他。

<活動>

学童の開設、高齢者のちょこっと仕事の支援、地域の食材を利用してパンの製造販売、障害児・者支援、生産活動(パン、さき織、漬物、カフェ、ルアー)

<方法>

もともとある地域住民のつながりを中心に実施してきた。人が集まるところ、仕事をしながらおしゃべりするところ、自然と参加。

<対象者の変化>

本人が地元商店で買い物する時誰かがサポートしてくれるようになった。小さな「うれしい」が増えた。その他、震災以後、近隣以外の団体や個人とのつながりができた。いろいろな人が参加することにより、ハックのみんなが一人で活動できる場所が増えた。

<その他の特徴>

もともと、お互いを気にかけあう関係がある。
震災後、田野畑以外の団体や個人とのつながりが出来て、活動が広がった。(社会福祉法人むそうとその関係者の支援が入り、福祉も向上した。)

6.チームチャッカ 〔株式会社 農楽〕

薪プロジェクト:2010年~
組織:2014年~

<対象地>

滋賀県東近江市、人口11万4千人。地方都市。

<目標>

適正な森林整備、木質バイオマスの活用、障害者等の中間的就労の場の提供。

<背景>

障害者だけでなく、経済的困窮・社会的孤立に陥る若者が増加。放置森林では獣害、整備の資金調達のため、雑木活用のしくみづくりが必要だった。

<チームチャッカ>

障害者等のよるコミュニティビジネスの実現

<対象者>

精神障害者、知的障害者、発達障害者、その他

<活動概要>
<関係当事者>

薪事業者(薪遊庭)、コンサルタント(農楽)、障害者就労生活支援センター―Tekito- 

<実施していること>

森林資源の活用の仕組みの中で、障害者が役割を持ち、働く自信を取り戻す。

<方法>

行政・コンサルタントがコーディネーターとして仕組みづくり。
中間的就労の場としても機能。

<変化>

福祉関係者と地域の関係者がそれぞれの課題をもって参加することでそれぞれにプラスの効果が出た。里山の整備、資源活用、障害者への理解促進により障害者などは次の就職へステップアップ。

<その他の特徴>

分野を超えた連携(市役所内。市民のネットワークに自治体も参加)障害者等の中間的就労の場作りは農業にも広がる。三方よし研究会(医療・介護・福祉・が参加する仕組みづくり)に見られる連携はテレビ番組や雑誌でも取り上げられ、全国的にも注目されている。  
東近江魅知普請曼荼羅の図は、市民、行政を含むまちぐるみの人的ネットワークを示している。

7.社会福祉法人一麦会、麦の郷

http://www7.ocn.ne.jp/~ichibaku/
団体:1977年~

<事業名>

すみよい地域を築き上げる、ほっとけやんネットワークを充実させるプロジェクト。

<対象地>

和歌山県和歌山市、紀ノ川市、岩出市、人口368,780人。地方都市

<目標>

実践の自己完結を戒め、関係機関や団体、地域住民との協働により、よりよい地域や実践を作り上げる。「ほっとけやん」
「囲い込み」や限定されたキャパシティの中で多くの利用希望者に利用待機を強いるような実践とは大きく異なる。

<対象者>

身体障害者(視覚、聴覚、盲ろう者)、精神、知的、発達、若者

<カバーした人数>

1,531人。

<活動概要>
<関係当事者>

和歌山市保健所、百渓クリニック、西和輪地区社会福祉協議会、婦人会、高齢者協同組合。

<実施したこと>

事業は5つの部会と27の事業所で実施される。
以下、CBRマトリックスに沿って活動を記述。主な活動は次のとおり。
保健:地域の医療機関との連携・協力。
教育:市民が創り上げた自主療育の場作り。(後にこじか園へと進展)、学齢期の障害をもつ子供たちの療育の場、親育ちの場。放課後の遊びの場。
生計:1987年に精神障害者の共同作業所「いこいの家」設立。1995年に精神障害者福祉工場「ソーシャルファームピネル」誕生。
社会:多くが法律婚、事実婚によりパートナーと人生を歩んでいる。映画「ふるさとをください」は麦の郷が舞台。
エンパワメント:「コミュニティを動かす」過程で、当事者団体の結成があり、地域で当事者も実践者もエンパワーされた。

<CBIDで実践したこと(特徴)>

5つの運動の流れが合流して実践されている。1.共同作業所運動、2.精神障害の人たちの社会復帰運動、3.障害乳幼児・発達支援運動、4.不登校の子どもたち、ひきこもりの青年たちの居場所づくり実践。5.高齢障碍者支援を目指した運動。
対象者の変化:福祉の対象者から主体へ、となることを目指した結果、当事者主体の事業おこしが行われている。マイノリティのひとたちの主体的参加。
コミュニティの変化:麦の郷の実践に地域住民が参加することで麦の郷とともに自分たちの暮らしを考えるようになった。反対していた地域の方が徐々に麦の郷に興味をもち取り組みに参加するようになった。

8.クラブハウス サン・マリーナ

http://www.jhcitabashi.com/history.html
1992年設立

<事業名>

板橋区精神障がい者ソーシャルハウス事業
クラブハウス サン・マリーナ
「相互支援活動・地域交流・地域貢献事業」

<対象地>

東京都板橋区 中核都市 人口542,544人

<目標>

精神障害のある人、障害のある人が住民として地域住民とインクルーシブな地域社会作りに参加・参画して共に生きるまちづくり。

<対象者>

高齢者、子ども、精神障害者、知的障害者、発達障害者、更生保護の対象者

<カバーした人数>

320人

<活動概要>
<期間>

2013年4月から2015年3月

<関係当事者>

企業、商店街、地元大学、専門職、元議員、町会(住民)など。

<CBIDで実施したこと>

包括的な支援体制づくりを地域の課題として、障害の有無に関わらず、豊かな人生経験をもとにした、自助・互助を地域力にする全員参加の体制作りに取り組む。
アウトリーチ(友愛訪問活動)、自助グループリーダー育成講座、就労支援として過渡的雇用、啓発のためのフォーラム、商店街フリースペース「まもんりん坊ハウス」等でのバザーと地域交流。

<対象者の変化>

アンケート回答ではエンパワーされた人たちの言葉が紹介されている。

<コミュニティの変化>

支援者や関係当事者の心の変化が紹介されている。

<その他の特徴>

国際的にはアジアクラブハウスとつながりを持ち交流している。2014年8月29日から31日まで第4回アジアクラブハウス会議を東京で開催する。

9.社会福祉法人むそう

1999年~現在まで
子どもから大人までの24時間365日の地域支援
http://www.musou03.org/

<対象地>

愛知県半田市
地方都市 人口12万人

<目標>

24時間365日必要な人に、必要なときに、必要なサービスを届ける。
どんなに障害が重くても生まれ住み慣れた地域で一生暮らしていける地域の仕組みをつくること。

<対象者>

高齢者、子ども、身体障害者、精神障害者、知的障害者、発達障害者、家族

<カバーした人数>

150人

<関係当事者>

商店街、病院、訪問看護ステーション、大学、学校、保育園、企業、財団、自治体、地域住民、中間支援NPO,農家、福祉事業所

<CBIDで実施していること>

包括的な暮らしを包み込む支援を実施している。それは基本的な支援、居住支援、日中活動支援、医療、社会参加支援、権利擁護など。

<方法>

学生ヘルパーの活用、地元も主婦や高齢者の活用。イベント開催やイベントへの協力、勉強会の開催など。

<対象者の変化>

親なき後も生活の質をおとすことなく地域で暮らし続けられるようになった。余暇の選択肢、活動範囲が広がった。障害が重くても働き、賃金を得ることができるようになった。

<コミュニティの変化>

障害のある人が地域でくらしていることを身近に感じ、障害理解や差別が減った。飲食店、小売店、娯楽施設、公共交通機関などさまざまな協力者が増えた。

10.社会福祉法人むそう東京

2013年1月から現在まで
<事業名>

医療依存度の高い子どもの地域ケア

<対象地>

東京23区 中核都市

<目標>

医療と福祉の連携により、医療依存度の高い子どもたちの生活を支え、社会とつないでいくことで生活の質を高めていく。

<対象者>

子ども、身体障害者、知的障害者、発達障害者、家族

<カバーした人数>

70人

<活動概要>
<関係当事者>

病院、訪問看護ステーション、大学、学校、財団、自治体、地域住民、福祉事業所

<方法>

研究事業への参画。ケア会議開催、イベントの開催。

<CBIDで実施していること>

包括的な暮らしを包み込む支援を実施している。それは基本的な支援、居住支援、日中活動支援、医療、社会参加支援、権利擁護など。

<対象者の変化>

家と病院以外に居場所ができたことで、友達ができたり、家でできない活動ができるなど、年齢に応じた経験をしている。発達の支援により、将来の生活の質の低下を食い止めている。

<コミュニティの変化>

医療と福祉の連携が進んだ。