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重点分野について(SDGsワーキンググループ)

2014年2月21日

重点分野1.貧困撲滅

 あらゆる形態の貧困撲滅は、引き続き、持続可能な開発のための最も重要な優先課題であり、必要条件である。この追求は、未完のMDG事業の実現に向けて、強力な中核となるであろう。考えられる領域としては、絶対的貧困の撲滅、相対的貧困の軽減、国内レベルと国際レベルの両方における格差への取り組み、財産および利益を生む資産へのアクセス、すべての男女を対象とした融資および市場、子ども、若者、失業者、障害のある人々、先住民および地域コミュニティと高齢者を含む貧困者の脆弱性を軽減するための社会保護が挙げられる。貧困は多面的であるため、進捗は他のすべての重点分野における行動と結び付いている。

重点分野2.食料安全保障と栄養

 農業生産力の持続可能性の増進と、フードシステムの改善は、経済的福祉に加えて、食料安全保障と栄養の確保、飢餓の撲滅に重要である。考えられる領域としては、すべての人による、手頃な価格の、十分で安全かつ栄養価の高い食料への、年間を通じたアクセスの確保、フードサプライチェーンでの農作物の収穫後損失と食料廃棄の削減、小自作農、女性、先住民および地域コミュニティを含むすべての人による、信用取引およびその他の金融サービス、土地保有および農事相談事業へのアクセスの改善、土着の持続可能な農業慣習の促進、土地の劣化と砂漠化の阻止および改善と並行して行う、適切なかんがい、種子および肥料の利用による農業生産力の向上、有毒化学物質の使用中止、農業における水利用の効率性の向上、動植物の遺伝資源の保全、あらゆる形態の有害な農業補助金の廃止、市場情報の提供と一次産品市場の監視、最新の技術の研究とアクセス、気候変動に対する農業システムと食料供給の回復力の強化、農村における非農業部門の雇用の機会創出と農村の開発の促進が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、 貧困撲滅、保健医療、水、エネルギー、気候変動、ジェンダーの平等、海洋、生態系と生物多様性が含まれる。

重点分野3.保健医療と人口動態

 健康な人々の集団は、持続可能な開発のための重要な資産である。健康寿命の延伸は、広く共通の取り組みである。それゆえ、すべての人のための適切かつ手頃な価格で入手可能な保健医療サービスの確保が、漸進的に実現されなければならない。考えられる領域としては、保健医療制度の強化、医学および公衆衛生の知識と最新の技術の普及、国民皆保険制度、予防可能な小児および妊産婦の死亡の阻止、マラリア、HIV/エイズ、結核および顧みられない熱帯病を含む感染症の予防と治療、有害な慣行の廃止、すべての人のための手頃な価格の必須医薬品およびワクチンの確保、健康的な食生活とライフスタイルの促進、非感染性疾患(NCD)への取り組み、有害な汚染物質と薬物への暴露など、疾患の環境要因への対処、障害のある人々と高齢者の保健医療関係のニーズへの対応、性と生殖に関する保健医療へのアクセス、室内および屋外の大気の質の改善、交通事故の削減が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、食料安全保障と栄養、水と公衆衛生、経済成長、持続可能な消費と生産、気候変動、平等の促進とジェンダーの平等が含まれる。

重点分野4.教育

 誰もが教育を受ける権利を持つが、教育は生涯にわたる機会を切り開き、世代を超えた貧困撲滅の達成に不可欠である。教育への普遍的なアクセスと質の高い教育の達成も、ジェンダーの平等と女性のエンパワメントの促進、価値観の形成と、必要なスキルを備えた生産性の高い労働力の創出に重要である。考えられる領域としては、少年少女を対象とした普遍的初等教育、どの子どもも少なくとも中等教育までは確実に受けられるようにするための大きな進展、生涯学習の機会、特に最も疎外されている者に焦点を合わせた、あらゆるレベルにおける教育への平等なアクセスの確保、あらゆる教育レベルにおける高い修了率の達成、あらゆるレベルにおける効果的な学習成果の確保と、職業訓練等を通じた、労働市場の需要に合致した知識と技能の伝授、すべての成人に 識字能力を付けさせること、障害のある人々の教育へのアクセスの改善、必要に応じた早期幼児教育の機会の拡大、多様な文化の下で持続可能な開発を進める方法に関する認識の向上など、教育カリキュラムへの持続可能な開発の統合が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、貧困撲滅、栄養、保健医療、ジェンダーの平等、経済成長、雇用および持続可能な消費と生産が含まれる。

重点分野5.ジェンダーの平等と女性のエンパワメント

 男女および少年少女に平等な機会を提供することは、持続可能な開発に対する彼らの権利、可能性および貢献の完全な実現のために必要である。それゆえ、ジェンダーの平等の達成と女性のエンパワメントは重要である。考えられる領域としては、少女と女性に対するあらゆる形態の暴力の阻止、あらゆるレベルにおける教育への平等なアクセスの確保、女性のための平等な雇用の機会と、同一労働に対する同一賃金の確保、あらゆる年齢の女性に対するあらゆる形態の差別の廃止、意思決定への女性の平等な参加の確保、資産と資源への平等なアクセス、性と生殖に関する健康、ジェンダー別のデータによって裏付けられたジェンダー平等政策の促進が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる重点分野には、貧困撲滅、食料安全保障、水、エネルギー、保健医療、教育、雇用および経済成長が含まれる。

重点分野6.水と公衆衛生

 水は、生命を維持するために欠かすことのできない自然資源である。水の安全が保障される世界に向けて、水不足と干ばつ、汚染、水系感染症、水害、淡水生物の多様性の喪失と、水域における侵略的外来種の広がりを含む水関連の課題に取り組むために、水循環全体を考慮しなければならない。安全な飲み水と公衆衛生システムへの、すべての人によるアクセスの確保は、あらゆる家庭、学校、保健医療施設、職場および難民収容所において必要である。考えられる領域としては、農村部と都市部における安全な飲み水と公衆衛生システムのための、川、湖、貯水池、運河および帯水層の淡水のバルク輸送と保管に使用する、人造物と自然物の両方の適切な施設およびインフラストラクチャーの提供、水利用効率の向上、廃水処理の拡大、リサイクルと再利用、集水地域ごとの総合的な水資源管理と境界を越えた適切な協力を含む効果的な水管理の強化、山、河川流域および湿地などの水関連の生態系の保護と回復、供給量の範囲内での真水の使用、水採取技術への投資、水域における汚染と有毒物質投棄の阻止、帯水層の保護、水域における侵略的外来種の除去、水害のリスクと影響の削減が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、貧困撲滅、食料安全保障、教育、保健医療、経済成長、工業化、エネルギー、持続可能な都市、生態系と生物多様性の回復力が含まれる。

重点分野7.エネルギー

 エネルギーは経済成長と社会的発展の機動力として重要な役割を果たす。すべての人による、手頃な価格の安定した最新のエネルギー資源への、すべての人のアクセス確保も、貧困撲滅と基本的なサービスの提供に重要である。しかし、エネルギーの使用によって機会がもたらされるが、同時に、解決が必要な、持続可能な開発に関する課題も数多く提起される。考えられる領域としては、男女両方による、最新のエネルギーサービスへの普遍的なアクセスの確保、よりクリーンな低排出またはゼロ排出のエネルギー技術の採用、再生可能エネルギーに関する政策余地と必要なインセンティブの提供などによる、世界のエネルギー使用における再生可能エネルギーの割合の増加、建造物、製造業、農業および輸送機関におけるエネルギー効率の向上、無駄の多い消費を促進する非効率的な化石燃料補助金の段階的廃止、近代的エネルギーのインフラストラクチャーに対する投資への資金の動員、適切な規制の枠組みと実現を可能にする環境に関する知識と経験の共有、持続可能なエネルギーに関する連携の促進、最新のエネルギー技術に関する能力構築と技術移転が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、貧困撲滅と経済成長に加えて、食料安全保障、教育、保健医療、水、ジェンダーの平等、持続可能な消費と生産および気候変動が含まれる。

重点分野8.経済成長

 経済成長は社会面および環境面での進展に必要である。持続的かつインクルーシブな経済成長の達成は、引き続き、貧困撲滅と相互繁栄の実現のための最も確実な手段である。考えられる領域としては、開放的で、ルールに基づいた、差別のない平等な多国間貿易システムの促進、マクロ経済政策の調整、後発開発途上国のための貿易の円滑化と優先的な市場アクセスの促進、債務の持続可能性の確保、国際的な技術協力と技術移転の促進、生産性の高い部門および活動への構造改革の奨励、技術の向上と価値の付加、経済活動関連のエネルギーおよび資源の生産性の改善、生産性の高い高賃金の仕事の創出が挙げられる。実現を可能にする重要な要因には、道路、電気および通信などのインフラストラクチャーへの投資、税制計画および運営の改善と、エネルギーおよび資源の生産性向上を促進する資源価格の決定と財政政策、経済成長の利益のより平等な共有を含む、伝道力のある規制・財政制度、投資、起業、中小企業の設立および革新に好意的な風潮、すべての人(男女とも)による金融サービスおよび市場へのアクセスが含まれる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、貧困撲滅、教育、保健医療、雇用、工業化、インフラストラクチャーと持続可能な消費と生産が含まれる。

重点分野9.工業化

 工業化による構造改革は、生産性の向上、雇用創出および生活水準の向上、経済の多様化の促進と技術向上の重要な推進力である。考えられる領域としては、工業開発のための十分な政策余地の確保、健全なインフラストラクチャーへの投資、科学と数学、工学および技術的スキルの強化、工業起業家精神と企業設立の奨励、工業部門におけるディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の創出、工業生産を支援する制度の強化、技術の向上と価値の付加、開発途上国の工業製品および加工品にとって有利な市場アクセスの確保、適切な再工業化、低所得の消費者に商品とサービスおよび環境面で持続可能な製品とサービスを提供する新たな産業の促進、また、開発を支援する技術協力と技術移転により、有害な化学物質、廃棄および汚染を段階的に廃止し、工業における原材料の使用を最小限に抑え、原材料の再生を最大限に実現する、高いエネルギー効率と資源効率および環境に優しい工業プロセスに基づいた、持続可能な工業開発が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、貧困撲滅、教育、雇用、経済成長、インフラストラクチャー、エネルギーおよび持続可能な消費と生産が含まれる。

重点分野10.インフラストラクチャー

 効率的で生産性の高い、世界での競争力のある経済には、適切に機能するインフラストラクチャーが必要である。水、公衆衛生、エネルギー、輸送および通信にかかわる適切かつ安定したインフラストラクチャーの提供は、社会的・経済的発展と生活の質の向上に必要である。インフラストラクチャーの設計と開発では、効率性の向上、環境保護および人類の福祉を目的としなければならない。この点に関して、考えられる領域としては、水供給システムの改善、農業用の灌漑、水採取および貯水のインフラストラクチャーの開発、貿易のための国境を越えたインフラストラクチャーのニーズと、開発途上国が直面している関連課題への対処、下水および廃水処理の開発、最新のエネルギーサービスへのアクセスのためのインフラストラクチャーの提供、さらに、道路と鉄道のリンク、港およびICTの接続性などの安定した輸送と通信の提供、インフラストラクチャーの適切な運営と維持のための技術的および経済的支援の提供、障害のある人々のためのアクセシビリティ、都市空間の適切な使用と関連インフラストラクチャーの計画立案、ライフサイクルアセスメントの観点からの、既存のインフラストラクチャーと計画されたインフラストラクチャーの環境面と社会面への影響に対する十分な配慮が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、貧困撲滅、食料安全保障、水と公衆衛生、保健医療、エネルギー、経済成長、工業化、持続可能な都市、持続可能な消費と生産および気候変動が含まれる。

重点分野11.すべての人のための雇用とディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)

 インクルーシブかつ確固としたな経済と社会では、仕事を求めているすべての人に、雇用とディーセントワークを提供しなければならない。完全雇用とディーセントワークの達成は、ソーシャルインクルージョンに必要である。この重点分野の追求において考えられる領域としては、マクロ経済政策による完全雇用の促進、若者の失業問題への取り組み、女性の労働力参加の促進、インフォーマルセクターでの雇用からフォーマルセクターでの雇用への移行の奨励、生産性に見合った適正賃金、ジェンダーに基づく差別と、障害のある人々や高齢者の差別など、その他の形態の労働市場における差別の撤廃、離職者に対する研修と再教育、退職者、障害のある人々および高齢者のための社会保障制度、中小企業支援、若者、女性およびその他の弱者集団向けの信用取引へのアクセスの拡大、国際労働機関(ILO)の規範と基準に従った移住労働者の権利保護が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、貧困撲滅、食料安全保障、教育、経済成長、工業化、持続可能な消費と生産および海洋が含まれる。

重点分野12.平等の促進

 国内における格差は、社会を不安定にし、経済成長にも悪影響を与える可能性がある。国家間の格差は、世界の連帯と共通の課題に取り組むための国際協力に悪影響を与える可能性がある。国内の社会集団間の格差に対処するにあたり、考えられる領域としては、法律、政策および慣習における差別の撤廃、経済面、社会面、政治面および環境面の格差などの社会集団間の格差の軽減、先住民、少数派、移住者、難民、障害のある人々、高齢者、子どもと若者などの社会から取り残されている集団のエンパワメントとインクルージョン、社会的保護システムの強化、所得分布の最低層における1人当たり国民所得の特異的に高い伸びの促進、社会から取り残された集団を含むすべての人の経済的機会の平等の確保が挙げられる。開発途上国における高度な、かつ、持続的な成長を通じての国家間のさらなる平等の促進にあたり、考えられる領域としては、教育における進展、工業化、インフラストラクチャー、エネルギーおよび実施手段が挙げられる。

重点分野13.持続可能な都市と居住地

 すべての人のための、持続可能な都市と平均的で手頃な価格の居住地の建設は、引き続き重要な事業である。持続可能な都市と居住地には先住民コミュニティの居住地も含まれるが、これらは社会経済面および環境面の課題への取り組みと、回復力のある社会の建設の中心となる。考えられる領域としては、適切かつ手頃な価格での住宅、インフラストラクチャーと基本的なサービスの提供などを通じた、スラムで暮らしている人々の生活の改善、安全なパブリックスペースおよび公共サービスへのアクセス、都市計画能力の向上、都市、都市周辺地域および農村地域の間でのプラス方向の経済的・社会的連携の強化、安全で手頃な価格の、アクセシブルかつ持続可能な輸送機関へのアクセスの提供と、道路の安全および都市の大気質の改善、廃棄物および廃水管理の改善、自然災害に対する回復力の強化、社会的連帯および個人のセキュリティーの強化と、障害のある人々のためのアクセシブルな都市の促進が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、貧困撲滅、食料安全保障、経済成長、インフラストラクチャー、持続可能な消費と生産、気候変動およびジェンダーの平等が含まれる。

重点分野14.持続可能な消費と生産

 グローバルで持続可能な開発を達成するには、経済および社会における生産と消費の方法を根本的に変えることが不可欠である。工業化社会および経済は、持続可能な消費と生産様式への移行をもたらし、他の人々はその体験とノウハウから利益を得ると期待される。この課題の緊急性を考慮し、国際協力の支援の下、すべての人が尽力しなければならない。持続可能な消費と生産様式の促進は、すべての人の基本的なサービスへの、すべての人の平等なアクセスの確保と、資源の枯渇と環境面の持続可能性への取り組みに極めて重要となる。

 持続可能な消費と生産(SCP)に関する10年枠組みプログラムは、国際協力のための主要な枠組みで、十分な資金提供が必要となる。考えられる領域としては、持続可能な公的調達、持続可能なサプライチェーン、持続可能な観光の促進、食料生産および消費における廃棄の削減、先進国と開発途上国における、差異はあるが次第に収束していく意欲レベルを伴う、エネルギー効率と原材料生産性の向上、持続可能な建造物と建築、合意された枠組みに従った、化学物質および有害物質の健全な管理、廃棄の防止、削減、リサイクルと再利用、持続可能なライフスタイルに関する意識向上と教育、企業の総合的な報告を含む、社会的および環境的責任に関する報告と持続可能な財政運営の強化が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、食料安全保障、教育、保健医療、経済成長、工業化、インフラストラクチャー、エネルギー、持続可能な都市と居住地、気候変動、海洋、生態系および生物多様性が含まれる。

重点分野15.気候

 気候変動は持続可能な開発と貧困撲滅に深刻な脅威をもたらす。考えられる領域としては、温室効果ガス排出の公平な削減による、地球の平均気温の上昇の制限などの国際公約の再確認と強化、効果的な実施手段の提供、開発途上国の回復力と適応能力の構築、地球全体の温室効果ガス排出を削減することを目的とした、インフラストラクチャーと産業における、特に低炭素化を進める解決策への投資に対する経済的なインセンティブの導入、低炭素化を進める、気候変動に強い開発戦略および計画の策定が挙げられる。共通だが差異のある責任とそれぞれの能力の原則を含む、気候変動に関する国際連合枠組み条約(UNFCCC)の原則と、2015年の強力かつ効果的な合意に向けて現在進行中の交渉における強い意欲を支持し、かつ、強く促すことを考慮しなければならない。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、食料安全保障、水、教育、保健医療、エネルギー、持続可能な消費と生産、持続可能な都市、海洋、生態系と生物多様性が含まれる。

重点分野16.海洋資源と海洋

 海洋資源と海洋の保全と持続可能な利用は、人類に経済的・社会的利益と生態系サービスを確実にもたらす。考えられる領域としては、陸地を拠点とする活動が原因のものも含めた海洋汚染およびがれきの削減、海洋の酸性化を含む海洋生息環境の破壊の阻止、持続可能な海洋資源開発の促進、排他的経済水域の内外に存在する魚類資源の捕獲の規制、違法、無報告、無規制(IUU)漁業と破壊的漁業慣習への対処、有害な補助金の撤廃、海洋を統制する地域的および国際的な管理体制の完全な実施の確保と、海洋保護区の設置が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、食料安全保障、水、雇用、経済成長、気候変動、生態系と生物多様性が含まれる。

重点分野17.生態系と生物多様性

 人類は基本的に、その福祉と社会の発展のためにサービスを提供してくれる生態系の能力に依存している。考えられる関連領域としては、絶滅危惧種の保護と生物多様性喪失の阻止、絶滅危惧種の密猟と密売の禁止、養殖種と関連野生種の両方の遺伝的多様性の保全、遺伝資源の活用による公正かつ平等な利益の共有の確保、持続可能な森林管理の促進、森林破壊と森林の農地への転換の遅延、阻止および逆転、悪化した森林生態系の回復と森林保護地区の拡大、土地と資源の保有権の保障、森林関連の雇用の支援、先住民および地域コミュニティの、意思決定への参加および森林の保全とその持続可能な利用から得られる利益の共有におけるインクルージョンの確保、先住民の伝統的な知識の普及と保護が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、貧困撲滅、食料安全保障、保健医療、水、雇用、持続可能な消費と生産、気候変動および法の支配が含まれる。

重点分野18.実施手段

 実施手段は、貿易、持続可能な開発のための資金調達、能力構築、環境に優しい技術の開発と移転を含む、持続可能な開発の達成に不可欠な要素である。この点に関して、開発のためのグローバルパートナーシップが、持続可能な開発イニシアティブのすべての可能性を解き放つ鍵として重視されてきた。開発途上国では今なお、国内の持続可能な開発事業に外部の支援を必要としているが、その独自の国内活動も、迅速な成功の促進に同様に重要である。特に、特別な事情のある国々、アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国および小島嶼開発途上国のニーズと、中所得国が直面している特有の課題を考慮しなければならない。開発のためのグローバルパートナーシップの強化による国際開発協力が不可欠である。

考えられる領域としては、開放的で、ルールに基づいた多国間貿易システム内での、開発を支援する貿易改革のさらなる進展、合意されたスケジュールに従ってODAの目標を達成するという先進国による再公約、合意された原則に基づく開発協力における説明責任の強化、送金、外国からの直接投資、機関投資家およびその他の長期投資家と革新的な資金調達など、複数の資金源からの追加資金の動員、科学技術面での協力と技術移転の促進、開発途上国向けの能力構築の取り組みと、南南協力、南北協力、三角協力などを通じた、すべての国による知識の共有と技術協力の強化が挙げられる。広くステークホルダーの関与を得るきっかけを提供するために、考えられる領域としては、すべての分野を支援するインクルーシブなイニシアティブとパートナーシップの創造、そのようなイニシアティブとパートナーシップによる資源動員戦略の開発、イニシアティブとパートナーシップの達成に関する定期的な監視と報告のシステム、多数のステークホルダーが関与するイニシアティブおよびパートナーシップと、持続可能な開発を支援する政府および政府間の取り組みとの綿密な調整と連携が含まれる。

重点分野19.平和的かつ非暴力的社会、有能な機関

 開発の権利を含むすべての人権の尊重を基礎とした、平和的かつ非暴力的でインクルーシブな社会の創造は、持続可能な開発の土台となる。国内および国家間の平等は、平和的かつ非暴力的でインクルーシブな社会の重要な決定要因である。

 考えられる領域としては、効果的で責任のある、透明性の高い機関、すべての人を対象とした公共サービスの提供、公共財政管理における透明性の向上、あらゆる形態の汚職との闘い、一般の人々の情報アクセスの改善、インクルーシブで参加型の意思決定、地方自治体の強化、市民社会の強化、報道、結社および言論の自由、あらゆるレベルにおける法律の支配の強化、違法な資金の流れの阻止、組織犯罪との闘い、子どもと女性に対するものを含む、犯罪、暴力、虐待、搾取の削減、法人格の付与と、すべての人に対する所有権および利用・アクセス権の付与、独立した、迅速な対応をする司法制度へのアクセスの提供が挙げられる。インターリンケージ(相互連携)の対象となる他の重点分野には、貧困撲滅、経済成長、持続可能な都市、平等の促進、ジェンダーの平等が含まれる。


原文:
Focus areas document: OWG SDGs - 21 February 2014
United Nations Sustainable Development Knowledge Platform : Sustainable Development Goals (SDGs) : Open Working Group (OWG)
http://sustainabledevelopment.un.org/focussdgs.html
http://www.worldwewant2015.org/node/424933