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八女市障害者基本計画

平成8年 3月

八女市

4 章

雇用・就業の推進

障害者の自立した生活にとって、就労は大切な要因です。企業やその従業員の啓発を図り雇用環境を整備するとともに、障害者それぞれにあった就労支援を行うことが大切です。





<施策の体系>
                          ┌1.雇用環境の整備促進 ──(1)雇用促進のための啓発広報の推進
                          ├2.雇用率達成の促進 ──┬(1)企業に対する啓発
                          │             └(2)職場環境づくり
        雇用・就業の推進 ─┼3.障害種別施策の推進 ──(1)障害者雇用施策
                          └4.就労支援 ──────┬(1)職業能力開発体制
                                        ├(2)関係機関の連携強化
                                        └(3)福祉的就労支援  
        




4章 雇用・就業の推進

1.雇用環境の整備促進


【現状】
 障害者の雇用対策は、関係法令の改正による対象者の拡大など、徐々に改善されてきてはいますが、本市における雇用状況は、必ずしも十分であるとはいえません。

八女市関係各種事業参加企業
職場定着推進チーム設置事業所数 4社
障害者職業生活相談員選任企業数 2社
(社)福岡県障害者雇用促進協会長表彰
(平成3~7年度)
優良勤労障害者:1人(平成3年度)
優良勤労障害者:1人(平成6年度)
障害者雇用優良事業所:2社(平成7年度)



 実態調査によると、身体障害者のうち現在仕事をしている人は約3割で、そのうち自営業者と常勤雇用者(役員も含む)がおよそ3分の1ずっとなっています。知的障害者等は、仕事をしている人が約2割で、常勤雇用者が3割強、自営業または家族従業者、パート・アルバイトがそれぞれ約18%という結果が出ています。

就労の状況
身体障害者 知的障害者等
就労状況(身体障害者):円グラフ 就労状況(知的障害者等):円グラフ
《資料》八女市障害者実態調査(平成7年度)


【課題】
 働く権利は基本的人権の一つであり、それは障害の有無にかかわらず守られなければなりません。それには、本人の意志と周囲の理解が大切です。さらに、行政機関や企業には、障害者を積種的に雇用する社会的責任が求められています。障害ゆえに就職の機会が狭められることのないよう、働く場の提供や必要な支援を行っていかなければなりません。

【施策】
1.雇用促進のための啓発広報の推進
 ○障害者の雇用の促進を図るため、事業主に対し障害者雇用についての講習会、セミナー等を開催し、障害者の雇用に関する事業主の理解と認識を深めます。
 ○障害者が安心して働けるよう、地域に働く労働者に対する啓発・教育を推進します。


2.雇用率達成の促進


【現状】
 国、地方公共団体及び民間企業等は、障害者の雇用に関し社会連帯の理念に基づき、障害者を一定の割合で雇用することが、障害者の雇用の促進等に関する法律において義務づけられています。
 筑後地区(八女、大牟田、久留米、甘木安定所管内)における民間企業の事業所別雇用率は、企業規模が63~99人、100~299人、500~999人の企業は法定雇用率(1.6%)を上回っていますが、300~499人及び1,000人以上の規模の企業ではわずかに下回っています。

民間企業における事業所規模別雇用率
民間企業における事業所規模別雇用率:棒グラフ



【課題】
 筑後地区の合計雇用率は、1.79%で、全国平均(平成7年)の1.45%よりも0.34ポイント、県計1.50%よりも0.29ポイント上回っています。しかし、雇用率未達成企業は依然として多く、雇用率が低い傾向にある規模の大きい企業に対する啓発が必要です、働く場の確保とともにまた、障害を持つ人が職場で長く働いていくことができるよう、働きやすい職場環境を整えることも重要となります。行政内にも職業生活に関する相談指導体制を整備するとともに、障害者に配慮した環境づくりのため、事業主及び従来員の理解を求めていく必要があります。

【施策】
1.企業に対する啓発
 ○地域の全ての企業の雇用率が達成できるように、関係機関と協力し雇用のための啓発に努めます。

2.職場環境づくり  ○職業相談に対する相談員を配置し、障害者の職場適応や能力の向上のための指導・相談の充実を図ります。
 ○障害者の職場環境づくりについて、講習会の開催等企業の職場環境の整備を支援します。


3.障害種別施策の推進


【現状】
 民間企業における雇用者の数は増加傾向にあります。特に、身体障害者以外の障害者雇用数については、昭和62年以降法令として、精神薄弱者も雇用制度上実雇用算定の対象とされる等、身体障害者とほぼ同様な対策が実施されているため、雇用者数は年々増加の様子をみせています。しかし、職種の偏りがあるなど、雇用の拡大には未だ困難な状況にあります。

民間企業雇用者数
民間企業雇用者数:棒グラフ
※八女公共職業安定所障害者求職登録者のみ
《資料》八女公共職業安定所



 障害別にみた仕事の有無で、仕事をしている割合が最も多いのは聴覚または平衡機能障害の人で、約36%を占めています。その他、肢体不自由者、心臓機能障害者、腎臓機能障害者がそれぞれ30%を超えています。
 一方、仕事をしていない人について、その理由としては、病気または高齢のためであるとの理由がどの障害の人も多いのですが、音声、言語、そしゃく機能障害者の半数以上が重度の障害のためだと回答しています。

仕事の有無:身体障害者
(%)
人数 している していない 無回答
全体 987 30.5 66.5 3.0
視覚障害 199 20.6 76.4 3.0
聴覚または平衡機能障害 91 36.3 60.4 3.3
音声、言語、そしゃく等障害 52 28.8 67.3 3.8
肢体不自由 483 34.0 63.6 2.5
心臓機能障害 76 32.9 63.2 3.9
腎臓機能障害 32 34.4 65.6
呼吸機能障害 17 23.5 76.5
膀胱または直腸機能障害 11 27.3 72.7
その他 12.5 75.0 12.5
無回答 18 22.2 61.1 16.7



 また全体の約7%は、働く場や適職がないことや、通勤が困難なことを理由にあげていますが、これらの人は働く意思があってもそれがかなっていない状況にあると考えられます。

仕事をしていない理由:身体障害者
重度の障害のため 病気又は高齢のため 通勤が困難なため 働く場又は
適職がないため
全体



【課題】
 障害者の雇用対策の推進にあたっては、障害の種類による特性に配慮しながら、適切に対応しうる施策を推進する必要があります。
 障害の種類によっては、雇用の場の確保が極めて困難な状況にあるものもあり、就労可能な職域の開発により雇用の促進を図る必要があります。また、事業所内において就労している障害者の健康管理等の体制を整備し継続雇用を図る必要があります。
 特に精神障害者については、事業者サイドの理解が十分でなく、今後事業主及び従業員に理解を求めていかなければなりません。

【施策】
1.障害者雇用施策
 ○聴覚障害者の雇用促進のため、企業内職員の手話教室への参加を積極的に推進するなど、職場環境づくりの指導に努めます。
 ○内部障害者については、職場の健康管理体制づくりの指導に努めます。
 ○中途障害者については、円滑な職場復帰を図るための対策を推進します。
 ○障害者雇用の実態を把握し、問題点解決に向け努力します。
 ○適正な職業選択及び職場適応のため、障害種別に専門相談員を配置し、相談、指導の充実に努めます。
 ○知的障害者、精神障害者の職業指導と訓練のための場や機会を設け、職場参加を促進します。


4.就労支援

【現状】
 身体障害者において障害を受けたあと、仕事に就くための技能、技術を修得した人は1割強、特に修得していないという人が半数以上にのぼっています。
 また、技能・技術を修得した(している)ひとは、それを個人的に修得した人が多く、全体の3割以上をしめています。盲学校、ろう学校、養護学校は全体の4分1となっています。

 就労についての要望は、身体障害者が内職などの職業紹介を希望する割合が多いのに対し、知的障害者等は通所または入所による職業訓練を望む人が多くなっています。就労についての要望は、身体障害者が内職などの職業紹介を希望する割合が多いのに対し、知的障害者等は通所または入所による職業訓練を望む人が多くなっています。

【課題】
 雇用の場の拡大はもちろんですが、就業のための技術・技能を修得したり、訓練が受けられるよう施設等の整備が必要です。特に、職業訓練を望む人が知的障害者等に多いのは、就業の意思がありながらその条件に合致できる機会が少ないという現状がうかがえます、関係機関との連携を深めつつ知的障害者等を中心とした職業的自立促進のための事業を展開していく必要があります。

【施策】
1.職業能力開発体制
 ○職業能力開発のための施設を整備し、職業訓練や能力開発訓練の場を提供します。
 ○障害者の就労支援を促進します。特に精神障害者の社会適応のための訓練を指導します。

2.関係機関の連携強化
 ○障害の態様に応じた職業訓練、職業指導等を一貫して行うため、関係機関、施設等の相互の連携を緊密にし、効果的な職業リハビリテーションが行われるよう体制整備に努めます。

3.福祉的就労支援
 ○就労が困難な重度の障害者等に対しては、共同作業所等の福祉的就労の場の確保に努めます。


主題:
八女市障害者基本計画

発行者:
八女市

発行年月:
平成8年3月

文献に関する問い合わせ先:
〒834
 福岡県八女市大字本町647
  八女市役所市民部福祉事務所
   (TEL)0943-23-1111
   (FAX)0943-22-2186

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