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八女市障害者基本計画

平成8年 3月 八女市

5 章

健康・医療の充実

障害は、早期発見・早期治療が大切ですが、発生の予防が基本です。また、障害に対し、それぞれに応じた適切な医療サービスの提供が望まれます・
この章では、障害の予防のための保健・医療知識の普及、早期発見・早期治療対策、保健・医療サービス等について述べています。





<施策の体系>
                          ┌1.障害の発生予防・早期発見 ─────┬(1)保健・医療知識の普及
│                    ├(2)早期予防・早期発見施策の充実
│                    └(3)関係機関との連携
├2.心身障害児の早期療育体制の充実 ───(1)企業に対する啓発
保健・医療の充実 ─┼3.精神保健福祉施策の充実 ──────┬(1)よりよい精神医療の確保
│                    ├(2)福祉施策・社会復帰の充実
│                    ├(3)痴呆性高齢者施策の推進
│                    └(4)医療費自己負担の軽減
└4.保健・医療サービスの充実 ─────┬(1)救急医療体制の確保
├(2)リハビリテーションション体制の充実
├(3)医療体制の充実
└(4)総合的な保健・医療サービスの充実

5章 保健・医療の充実

1.障害の発生予防・早期発見

【現状】
障害は発生を予防することが基本であり、さらに、早期発見、早期治療により障害を治癒・軽減し、機能の回復を図ることが可能となります。
実態調査による障害の原因は、身体障害者では、脳血管障害や骨関節障害が多くなっています。心身障害児の原因で多いのは先天性ですが、原因のわからない人が40%をこえています。

障害の原因
◇身体障害者(複数回答)
障害の原因(身体障害者):棒グラフ
◇心身障害児(単数回答)
障害の原因(心身障害児):棒グラフ
《資料》障害者(児)実態調査(平成7年)

【課題】
障害の予防と早期発見を図るためには、母子保健をはじめ、それぞれのライフステージに応じた各分野にわたる保健・医療に関する知識の普及や各種相談・健康診査事業等の推進が必要です。

【施策】
1.保健・医療知識の普及
○保健・医療の正しい知識の普及啓発のため、健康教育、健康相談等の充実を図り、広く参加を呼びかけます。
○交通事故、労働災害、スポーツ事故防止等の安全対策に関する知識の普及に努めます。
2.早期予防、早期発見施策の充実
○腎臓病の早期発見のため、全ての人の乳幼児からの検尿体制確立を図ります。
○妊産婦、乳幼児に対する健康相談及び健康診査を充実させ、受診率の向上を図ります。

3.関係機関との連携
○医療機関、保健所等との連携を図り、相談体制や早期発見時の対応など円滑に行えるよう努めます。

2.心身障害児の早期療育体制の充実

【現状】
発育期における乳幼児の障害に対しては、特に早期発見、早期療育の効果が大きいと言われています。
このため、乳幼児健康診査等の母子保健対策が重要であり、異常が発見された場合は早期に適切な治療・療育を行うことにより、障害の発生を防止又は軽減し、発達を促すことができます。

3歳児健診受診結果 (人)
年度 経過観察 再検査 要精密検査 現在の治療を継続 治療が必要
平成2年 35
平成2年 16
平成2年 23
平成2年 28
平成2年 57
《資料》八女保健所

障害児に関して相談、診察、検査に行ったことがあるかを尋ねたところ、「こども専門病院以外の病院、診療所」が最も多く、ついで「児童相談所」、「こども専門病院」の順となっています。「学校」や「精神保健福祉センター」などは少ない結果となっています。

相談、検査、検査先上位5位
相談、検査、検査先上位5位:棒グラフ
《資料》障害者(児)実態調査(平成7年)

【課題】
乳幼児の障害を効果的に軽減するには、特に早期発見、早期治療が重要であると考えられます。異常が発見された場合は、可能な限り早期に、障害の種類や程度に応じた適切な治療・療育を行うことで発生を防止あるいは軽減し、発達を促すことができます。そこで、保健所、児童相談所、関係医療機関及び心身障害児施設等の連携、療育機能の充実が課題となってきます。
保育所における障害児の受入れ体制の充実を図るとともに、保育所職員の研修等を通して、本市の障害児保育の質の向上を図っていくことが必要です。

【施策】
1.療育・指導体制の充実
○保健所との協力のもと3歳児健診等の充実により、早期発児、早期療育体制の充実を図ります。
○障害発見後の母子訓練の場を確保し、支援に努めます。
○保育所の障害児保育の確立に努力するとともに、保育所の職員の質の向上のため研修体制の確立に努めます。
○心身障害児療育センター建設に努力し、心身障害児の総合的療育を図ります。

3.精神保健福祉施策の充実

【現状】
精神障害者に対する施策は、医療中心で行われてきたため、社会復帰やリハビリテーション体制が遅れがちであります。本市においては八女地区精神障害者家族会により、八女市社会福祉会館において共同作業所が開設されていますが、通所しているのは一部の人と思われます。
知的障害者等の実態調査によれば、約7割が治療や訓練(リハビリテーション)を受けたことがあると回答しています。ただしその大半が病院や診療所で受けており、公的訓練施設や適所施設の利用はわずかとなっています。治療や訓練に対する希望としても、通院による訓練を望む人が最も多い(約23%)結果となっています。

治療、訓練の有無
治療、訓練の有無:円グラフ
《資料》障害者(児)実態調査(平成7年)

【課題】
現代社会は社会環境の複雑化により、心の健康が損なわれやすい状況にあります。今後は精神障害者等の人権に配慮しつつ、適性な精神医療の確保を行うことが必要です。
また、高齢化に伴う痴呆性高齢者の対策も検討されるべき課題となっています。

治療や訓練に利用したところ
治療や訓練に利用したところ:棒グラフ
《資料》障害者(児)実態調査(平成7年)

【施策】
1.よりよい精神医療の確保
○いつでも緊急の精神科対応ができるよう、精神科救急医療システムの整備を進めます。
○精神障害者の人権に配慮しつつ、適切な医療が確保できるよう体制の整備を図ります。
2.福祉施策・社会復帰の充実
○授産施設又は精神障害者生活訓練施設の整備を目指します。
○社会復帰施設の整備を促進し、必要に応じて近隣市町村もしくは圏域での協力・連携を図ります。
3.痴呆性高齢者施策の推進
○老人性痴呆疾患等に対する保健・医療体制め整備と、在宅ケアの充実を図ります。
4.医療費自己負担の軽減
○重度の精神障害者については、重度障害者医療制度の適用がされるよう、関係機関に働きかけます。

4.保健・医療サービスの充実


【現状】
近年の社会状況の変化、高齢化の進展等に伴い、保健、医療に対するニーズも多様化してきており、それに伴う医療費も年々増加の傾向にあります。

各種医療費給付状況
各種医療費給付状況:棒グラフ
《資料》八女保健所

【課題】
実態調査によると、なんらかのかたちで健康を害している人が身体障害者で68.6%、心身障害児で58.4%、知的障害者等で64.4%となっており、障害をもつ多くの人が健康問題に直面しています。そして、これらの人の大半が健康問題と障害とは直接関係があると答えており、障害が健康状態に密接に関係していることを示しています。
日頃の健康管理、障害の軽減や機能回復のための医療、リハビリテーション、健康増進などを一貫してかつ適切に受診でき、または指導を受けとることができるような地域に根ざした保健・医療サービスの充実が必要です。

【施策】
1.救急医療体制の確保
○夜間や休日にも緊急時の対応が的確にできるよう救急医療体制の充実を図ります。

2.リハビリテーション体制の充実
○相談・判定機能と施設機能、医療機能の統合連携を通じ、総合的なリハビリテーションの体制整備を図ります。

3.医療体制の充実
○八女市・郡の透析者のうち半数は市外の病院に通院しており、市内の病院で透析できるよう整備に努めます。

4.総合的な保健・医療サービスの充実
○通院が困難な障害者の移送サービス対策の充実を図ります。
○外来透析者の通院交通費の助成や、通院のためのタクシー券支給の制度見直しを図ります。
○医療機関における生活相談等を充実するため、医療ソーシャルワーカーの配置促進に努め、障害者の健康に対する不安を取り除くよう努めます。
○障害者の歯科医療の確保のため、歯科医師会等関係機関に協力を要請します。


主題:
八女市障害者基本計画

発行者:
八女市

発行年月:
平成8年3月

文献に関する問い合わせ先:
〒834
福岡県八女市大字本町647
八女市役所市民部福祉事務所
(TEL)0943-23-1111
(FAX)0943-22-2186

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