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第2 障害者制度改革の基本的考え方

障害者権利条約の締結に向け、国内法制をその理念・趣旨に沿う形 で整備するとともに、日本が目指すべき社会である、障害の有無にか かわらず、それぞれの個性の差異と多様性が尊重され、それぞれの人 格を認め合う「共生社会」を実現することを目的とし、制度改革を進 めるに当たっての基本的な考え方は次のとおりとする。

1.「権利の主体」である社会の一員
すべての障害者を、福祉・医療等を中心とした「施策の客体」に 留めることなく、「権利の主体」である社会の一員としてその責任 を分担し、必要な支援を受けながら、自らの決定・選択に基づき、 社会のあらゆる分野の活動に参加・参画する主体としてとらえる。

2.「差別」のない社会づくり
何人も障害を理由とする差別を受けない権利を有することを確認 するとともに、差別を禁止し、権利の侵害から救済を受ける法制度 を構築し、差別のない社会づくりを目指すものとする。なお、差別 には合理的配慮が提供されない場合も含むものとする。また、女性 であることによって複合的差別を受けるおそれのある障害のある女 性の基本的人権に配慮する。

3.「社会モデル」(注)的観点からの新たな位置付け
障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、様々な社 会環境との相互作用や社会との関係性の在り方によって生ずるもの であるという「社会モデル」的認識を踏まえ、障害のとらえ方や障 害者の範囲、障害者への各種支援制度等を見直すとともに、障害者 の日常生活及び社会生活のあらゆる分野への参加を可能かつ容易に するため、公共的施設、輸送機関、情報通信等の社会環境の改善を 図る。

4.「地域生活」を可能とするための支援
すべての障害者が家族への依存から脱却し、自ら選択した地域に おいて自立した生活を営む権利を有することを確認するとともに、 その実現のために24 時間介助等を含む支援制度の構築を目指す。 制度の構築に当たっては、地域間格差が生じないよう十分に留意す る。

5.「共生社会」の実現
障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計 画的に推進し、もって障害者への支援と人権の確保を図ることによ り、障害の有無にかかわらず、それぞれの個性の差異と多様性が尊 重され、それぞれの人格を認め合う共生社会の実現を図る。