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総合福祉部会 第10回 H22.12.7 資料8

合同作業チーム(医療)議事要旨(11月19日)

1.日時:平成22年11月19日(金)14:00~17:00

2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂

3.出席者

堂本座長、伊澤委員、河﨑委員、川﨑委員、関口委員、広田委員

4.議事要旨

(1)精神医療の質の向上に努めることの根拠となる規定を設けることについて

○年次目標をいれたロードマップの策定を

  • 地域移行には時間が必要。年次目標をいれたプログラム形式の立法はできないか。
  • 強制入院を減らすためには、地域の受け皿づくりと病院の体制整備を同時に進行しなければならない。ロードマップを描き、地域と病院における改革を同時進行して初めて動 かなかったものが動く。

○精神医療の質の向上には精神科医の養成・増員が急務

  • 精神科医は一定の数しかいない。地域に出ることを考えると精神科医の増員が必要。養成期間を考慮して、長いスパンで考える必要がある。

○精神科特例の廃止と質の高い医療に見合う診療報酬を

  • 病院より診療所の方が収益性が高い。精神科の診療報酬を高くしないと意欲的な医療の提供は期待できない。精神科特例を外して一般医療と同等にするべき。精神科特例を外 せば人材の争奪戦になるが、経営者の呼び込み努力が求められれば、劣悪な病院は淘汰 される。
  • 現に努力しても地域格差により、精神科医を確保できない実情がある。診療所に人材流出する流れに歯止めをかけなくてはならない。
  • 精神保健福祉法改正で達成できなかった医療の質の向上、人権の保障を基本法に盛り込むべき。基本法に精神科医の増員の根拠として「障害者に関わる医療従事者の数を十分 に確保する」と書き込んではどうか。

○地域で機能する診療所への改善が必要

  • 診療所は夜間は開けないので利用者にとっては使い勝手が悪い。診療所がまとまって夜間窓口を設けるなど、地域で機能するよう、診療所に対する制度改善が必要。

○非自発的入院を減少させるシステムの構築

  • 未然防止のためにワンストップサービスが必要。レスパイトできる駆け込み施設を。
  • イタリアでは病院に行く前に精神保健センター等で処置するから入院がほとんど不要。
  • 日本にはそのようなステーションがない。
  • クライシス・ハウスに入れば2、3日で落ち着く。落ち着いた後は環境調整が重要。
  • 海外で実施しているのは主に公立施設。人身の自由を制約するのであれば公が行うべき。システム構築は基本的に公が行い、民間がどう関わるかはその後の問題。
  • 基本法に「非自発的入院を減少させるシステムの構築」と書き込んではどうか。

(2)一般医療における問題点の解消に努めることの根拠となる規定を設けることについて

  • 一般医療における拘束の問題は合同・作業チームの2月から始まる2期で。

○「障害を理由として全ての医療を拒むことがあってはならない」

  • 合併症をもつ精神科疾患の患者を他科が入院を拒否することは多い。偏見がある。精神科疾患患者の一般医療における適正手続の保障について検討する必要がある。
  • 虐待防止法の対象に病院を含めるか、含めないかが問題。医療部門も含んだ虐待防止法が必要。
  • 基本法に「障害を理由として全ての医療を拒むことがあってはならない」と書き込んではどうか。

○医療法施行規則10条3項は削除すべき

  • 「精神病患者を精神病室でない病室に入院させないこと」としている医療法施行規則10条3項は削除すべき。また、他科受診すると診療報酬が7割減になることが問題。施行規則が偏見を助長している。

(3)精神医療の法体系のあり方について

○当事者として

  • 精神医療が一般の医療法体系の中にある方が精神障害者が差別されないと思う。できる限り一般医療法に包摂し、はみ出る部分については別途定める。一般医療法を拡大すれば済む話。非自発的入院についてはそれに特化した取決めが必要。権利条約で否定している強制入院を一般医療法には包含しにくいかもしれない。そのため、精神保健福祉法を「適正手続法」に改正する必要がある。72 時間経過したら適正手続法に従うことが必要なのではないか。
  • これまでの法律は強制医療の担保法。イタリアでバザーリア法施行前は医師は疾病 を診ていたが、施行後は患者の環境・生育史・家族関係などを診るようになった。

○家族の立場から

  • 保護者制度がなくなったら、行政が代行すべき。保健所の機能を強化し、PSW などを増加する必要がある。家族の意識をドラスティックに変える法律であって欲しい。
  • 強制入院を担保する部分は可能な限り削ってほしい。地域においては地域保健法で保健所の機能強化を図ることが大事。

○医師の立場から

  • 精神医療の世界では、自発的入院については一般医療法で、非自発的入院については精神保健法で、という考え方はない。精神障害者が自発的に入院する場合は一般医療法で、ということには反対。精神保健は精神保健の法律が必要。精神保健福祉センターは含めなければいけない。地域保健法では必要性が十分に伝わるか。
  • 精神医療に携わる人間としては、精神保健医療について1つの法律の下で行いたい。予防的なことを「地域保健法」の中で行っていけるか疑問。メンタルヘルスは国家的プロジェクトが必要な課題。

まとめ

  • 推進会議への報告は、医療法に入れられるものについては入れ、精神保健に特化した医療・適正手続について別途、法を制定し、地域保健法で精神保健福祉センターをカバーする、としてはどうか。