総合福祉部会 第11 回
H23.1.25 資料19
合同作業チーム(医療)議事要旨(12月)
1.日時:平成22年12月7日(火)14:00~17:00
2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂
3.出席者
堂本座長、三田副座長、伊澤委員、河﨑委員、川﨑委員、関口委員、広田委員
4.議事要旨
(1)第1回及び第2回作業チームにおける確認事項
【非自発的入院を減らしていくことについて】
- イタリアでは強制入院を徐々に減らしていくための目標値を掲げており、この手法は使えるかもしれない。
- 現状としては、任意入院6割、医療保護入院4割で、措置入院の割合は非常に低い。ただし、ベストな比率についての判断は困難である。できるだけ自分の意思で入院してもらうという点は問題ない。
- 目標を定めると、そこまではよいことになってしまう。
- ある県では、自殺願望のある当事者がソフト救急の窓口で任意入院を希望したが、一人暮らしで保護者がいないという理由で警察官通報による措置入院を勧められた。自発的な入院を希望する当事者が任意入院できない仕組みはおかしい。
- 医療保護入院が基本にあるという現状が問題。本人が入院するのに納得しているのであれば、入院契約を交わせる能力があるのだから、任意入院にすべき。任意入院の書類の様式に保護者の記載欄があるのはおかしい。
- そもそもそのような運用は違法である。任意入院に関してそのような様式はない。ただ、連絡先という意味での保護者として書いてもらっている病院もある。
- 窓口の対応に問題がある。
- 任意入院の法的手続を明確に規定すべき。整理が必要。
- 現行法でも整理は可能。
- 更生保護法の制定により意識改革がなされたように、新法の制定は有効。
- 強制入院をなるべく減らすように。他の形で医療に結びつかないと。不幸な形で精神医療に結びつかないように。違う入院形態で、という方向性を書いてほしい。
【精神医療の法体系のあり方について】
- 精神保健福祉法の福祉部分が総合福祉法(仮称)に移行すれば、医療部分については残る。
- 地域保健法で、というわけではなく、保健施策も含めた医療を別に定めるべき。
- 地域保健法は全く機能していない。ニューヨークでは当事者の退院後、市がアパートを借り上げて、支援者も1対1でついて、2年間就労訓練や通学のサポートを行う通過型の支援が実施されている。
- そのような機能を果たせる精神保健福祉センターにしていくべき。
- 精神保健福祉センターは9時から5時までしか開いておらず、全く機能していない
- 保健所法で保健師の配置について規定し、増員がなされた。精神について特化した法律を制定する意義は何か。
- 医療の中でメリハリをつける必要がある。
- 一般医療と同等の金と人をかけるべき。社会的入院が解消され地域移行が進めば、人手が要るのは決まっている。病床の削減目標を立て、5年毎に見直すなど、突出して多いベッド数の削減に向けた取組が必要。いくつ減らすということは厚生労働省が言うべき。
- 地域での受け皿の確保と並行する必要がある。
- 精神に特化した医療法の制定に賛成。単に一般医療に組み入れてよいものか疑問。
- 受け皿の確保と病床削減は何年かかける必要がある。
- 意見が分かれている点は、中間的な部分をどこで整備するか。地域医療と福祉がオーバーラップしてくる部分が医療と一緒になれば、第二の強制医療になってしまう。
- 精神保健福祉法が廃止されれば、国の所管課もなくなるのでは。
- むしろ国の関与は大きくなる。
- 救急のニーズはほとんどクリニックの患者。地域医療の裾野だけが広がっても意味がない。
- 刑務所、拘置所及び入管に拘禁されている全ての障害者に対して医療が保障されなければならない。また、条約には記載がないが、自由を束縛される場合の適正手続は記載しなくてはいけない。
- 土日はクリニックが開いていないので、薬の処方にも手間取る。精神科救急の整備が必要。
- 当番クリニック制を整備すべき。
- 開業している指定医が病院において指定医の職務を行うことも可能。
(2)推進会議の第二次意見素案について内容確認と意見交換
- 地域での定着支援や生活支援の充実が必要。
- 医療については難病等だけで精神はいつも入っておらず、地域移行の項目において記載されている。医療にも記載するよう主張すべきではないか。
- 素案で障害者基本法に反映されず漏れた部分は、附則にいれることも考えるべき。総合福祉法とは別に基本法で担保するべき。精神に特化したものを時限立法的に入れたい。
(3)地域生活支援・地域移行について
【社会的入院の解消】
- 相談支援事業という表記は不適切。生活支援という表記の方が良い。
- 指定相談は使いにくい。自分の運営している相談事業所では、毎月会費500円程度で主治医を把握した上で夜間の携帯連絡先を教えている。報酬は雀の涙でボランティア状態。
- 現状の入院期間はどのくらいか。長期に及ぶ措置入院は昔の話。
- 現在、ずっと措置入院ということはない。
【退院する人を地域で支える地域移行支援システムの構築】
- 社会モデルと言ったところで地域に人材があるか。
- 精神医療福祉の財源比率が97:3ということについてはなんとかしなければならない。
- 地域移行支援システムの構築について、全てを福祉サービスとして行うのはいいのか。医療も必要ではないか。
- 医師からの紹介状を得ているからこそ、不調となった際、訪問介護を通じて医療機関につながる。医療も必要。
- 精神医療費が1.9兆円で、医療と福祉の財源比率について偏りがあるということは強調しない方が良い。国民の誤解を招くおそれがある。医療費トータルの中での、といった方が良い。
- 精神科病床が全体の25%に対し、財源では25%を占めていないことを示したい。
- 医療の必要性についても書くべき。
- 何かのときのバックアップとしての医療は必要。
- 「医療モデル」から「社会モデル」へ、とすると医療を排除することとなり、不適切。「医療と福祉の統合モデル」という表現はどうか。
- 社会モデルとは、そもそも医療を含む側面がある。
- 福祉も医療と対等になるべき。福祉も主治医の診断に従っている。
スタッフの教育が必要。 - 「医療と福祉が連携したシステムの構築」の必要性をうたうこととする。
- 自立支援法改正法で、PSWの位置づけられ方が明確になった。48時間研修を受けた認定ピアカウンセラーも存在する。PSWの下で働く認定ピアカウンセラーという案は不適切。資金について公的な低利貸付が可能となれば社会復帰施設の整備が進む。
- 本人不在でやらないでほしい。「当事者の主体性を尊重し」を明記するべき。
- 24時間365日電話相談でき、駆けつけられるセンターを各県1箇所は設置するべき。
精神保健福祉センターは必要。 - 「基本法にこれだけは入れなくてはならない」、という議論が必要。
- 当事者が求めているのは、相談支援よりご飯を食べさせてくれること。「相談支援」ではなく、「生活支援」と記述するべき。
- 現在の相談支援事業と全く同じ意味合いではないとすれば、書き入れておいた方が良い。
- 同行支援を受ける場合は相談にとどまらない。住居は重要。退院後、GH・CHに入って、と段階を踏むような現状の流れは良くない。ある自治体では施設がないからいきなりアパート単位で入居させている。
- 本人が情報を得て住居を選べるようにする必要がある。
【上記システムを構築するに当たり、従来の障壁の解消が必要】
○地域移行を妨げてきた理由
- 地域移行を妨げてきた理由として、「家族の反対」を加えてほしい。
- 社会資源が不足していたときは家族は反対していた。
○財源の確保について
- 「安心して駆け込めるドロップインセンター(シェルターなどの居場所)を設ける。」と記述する。
【地域移行を推進するには住居確保は最重要課題】
- GHなら病院、家族が安心して出せるということで選ぶこともある。
- 「公営住宅」のうち、GHは「でも、しか」施設となっている。
- 以前GH、CHを削除すべきと提言したが、GHは入れた方が良い。
- GHは3年経ったら出る、ということで落ち着かない。
- 「公営住宅を提供」と言うのでなく「多様な住宅(公的な住居を含む)を整備」と言う。
- 入院中は年金だけでやっていけるが、退院すると費用がまかなえない。
- 昨年の今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会で、入院中から生活保護を支給するという決定が出された。
- 退院に当たっては、生活保護となるケースも少なくないので、医療費扶助、住宅扶助、所得保障の要件を退院後の当事者が備えるようにする必要がある。職員の対応の悪さを書き込むのは難しい。主体性で読み込むべき。
- 生活保護の窓口の対応が悪い。生活保護を受けられず、結局再入院となる。
- 「退院する障害者が地域生活を営むにあたって、公的機関は合理的配慮をもって円滑に支援すること。」と追記する。
- 安心入居制度等、地域によって対応は様々。
- 地域生活支援センターも金さえあれば、食事・ベッドの提供は可能。中間の場として精神保健福祉センターに限定すべきではない。
- 「訪問型診療への診療報酬上の手当て」とあるが、ACT(包括的地域生活支援)は全国でまだ10程しかない。
- 最近は、ACTに限らず病院も訪問を行っている。
【地域移行支援に必要な人材育成】
- 地域移行に伴う体制確保が重要。
【地域移行に必要な就学支援、就労支援】
- 地域生活支援センターよりも就労支援センターの方が家族、本人ともに登録しやすい。
以上