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総合福祉部会 第11 回
H23.1.25 資料21

合同作業チーム【障害児支援】議事概要

1.日 時:平成22年12月7日(火)14:25~17:00

2.場 所:厚生労働省低層棟2階講堂

3.出席者
大谷 恭子 (弁護士) 座長
宮田 広善 (全国児童発達支援協議会副会長) 副座長
柏女 霊峰 (淑徳大学教授)
君塚 葵 (全国肢体不自由児施設運営協議会会長)
水津 正紀 ((社)全国重症心身障害児(者)を守る会理事 )
長瀬 修 (東京大学大学院特任准教授)

4.議事要旨
【全体会議で水津委員が発言した件について】

  • 全体会議での水津委員の発言のとおり、「可能な限り無償」に「資力を考慮して」 を加えることにする。(この場合は、若い世代では資力がないことを配慮する意図)
  • 了承

【障害者基本法・障害児条項イメージの修正案に対する他チーム委員からの意見について】

  • 12月1日付で修正案に対する意見が合同作業チーム宛に届いている。お子さんの体験談をもとに早期発見の重要性を述べているが、チームとしてどのように対応したら よいか。
  • 早期発見を削除した経緯は、障害のある子ども及び家族への支援において、発見に力を注ぎすぎるのは問題であろうということで、現在のものになった。
  • 早期支援を行うためには早期発見をすることが必要で、早期支援の中に早期発見の意味も含まれると考えるので、このままでよいのではないか。

全委員

  • 了承

【つなぎ法の施行について】

  • つなぎ法が施行されることになるが、今後の議論の進め方として、施行の内容をこのチームとして深めていくのか、それとも施行される部分とは別に他に必要なことを議 論するのか。個人の意見としては、施行の検討は検討として進めてもらった上で、必 要に応じて適宜報告してもらう形でよいのではないのかと考えている。
  • それでよいのではないか。チームとしては他に不足していることはないかという観点で議論することでよいのではないか。

全委員

  • 了承

【障害児支援の見直しに関する検討会報告書に沿って議論】
(基本的視点について)

  • 平成20年7月22日に出された障害児支援の見直しに関する報告書をバージョンアップさせるような形を考えている。報告書は①子どもの将来の自立に向けた発達支援、
  • ②子どものライフステージに応じた一貫した支援、③家族を含めたトータルな支援、 ④できるだけ子ども・家族にとって身近な地域における支援と4つの視点が示されている。
  • この見直しの基本的な視点と障害者基本法に盛り込みべき事項との整合はとれているのか。これまでの議論を踏まえ、今なら入れた方が良いと考えられるものはないか検討したい。
  • 合同作業チームの名称は、「障害児支援」だが、権利条約の議論を振り返って見ると、支援という言葉が適切かどうかと思う。支援には収まらないものがあるだろう。「障 害児」として、支援を削除した方がいいのではないかと思っている。
  • 確かに、障害のある子どもに特化するのではなく、子育て一般に支援をどのように位置づけるかという視点が重要だ
  • 今の情勢から考えると、障害児の権利擁護の観点も重要だと思う。この他、経営、人材育成についての視点も重要。さらに、子ども家庭福祉システムと障害児支援システ ムの相互乗り入れについても検討すべき。政策評価体制の在り方についても、議論す るべきだ。
  • 障害のある子ども自身が権利主体であるのは確認済み。親権者との関係の在り方で、第一義的責任は親権者にある。責任を果たすための支援を国が整備すべき。 基本的視点としては、権利擁護、権利保障が最初にあるのではないか。
  • 子どもの権利保障を立て、意見表明権をその中にいれるということでどうか。
  • これまで検討会等では、支援される客体としての障害児だったが、権利をもつという視点で見直す必要がある。
  • 障害児の自立については、可能性を伸ばす、例えば、重度心身障害児については呼びかけに反応することも、自立にかかわってくる。
  • いろいろな自立があるだろう。支援を受けて自立するが、どのような支援が必要なのかを要求する力が必要になるだろう。
  • どんな障害であっても、共通の概念があるべきだろう。基本的には、意見表明をする力を引き出せるかどうかにかかってくるだろう。
  • 第一項目として、権利擁護の視点を追加したい。この時、アドボカシーの視点を盛り込み、障害のある子ども自身が権利の主体であることを主張できるような仕組みづく りが必要になるだろう。
  • 次の視点、ライフステージに応じた一貫した支援という時、子どもと大人が同じようにという意味ではないだろう。児者一貫というと、見えにくくなる。子どもは、子ど もという視点が重要だろう。
  • 成長は、すべての場所で保障されるべきで、その際支援する人は変わるだろうが、地域で育てるという育ちの場が変わることはないだろう。
  • 引き継ぎが上手くいかず、連携ができていない。子どもについては、発達における臨界期があり、それをのがすと機能獲得を取り返せない。
  • 可能な限り早期に支援を始めることは、確認されている。一貫した支援については、異論はないが、前提として生活の場で支援が提供されること、地域での支援がなけれ ば一貫した支援にならない。「子どものライフステージに応じた一貫した支援」と「子 ども・家族にとって身近な地域における支援」は、一体的にするべきで、「できるだ け」は、削除しても良いのではないか。
  • 障害者権利条約では「障害者の権利を尊重する態度を育成すること」とあり、尊厳の尊重も必要ではないか。
  • 尊厳は、自立の中に含まれているという理解が、以前の検討会では多かった。

(基本的視点として確認された事項)

  • 基本的な視点に、「尊厳の尊重」と「障害のない子どもと等しく権利を保障する」という視点を追加する。また、権利擁護の視点を加えること、さらに、意見表明権につ いてもアドボカシーの視点を盛り込み加えることとする。
  • 子どものライフステージに応じた一貫した支援、この「一貫」した保障の大前提は生活の場、地域の場、家庭の場が基本となる。支援者が変わることはあるが、地域の支 援は一貫する。
  • 家族を含めたトータルな支援は既に確認済み。家族には代替的なものを含む。代替的な監護に対する支援についても追加することについては、家族にいれるのか、地域に おける支援にいれるのか。それとも別立てにするかについては検討が必要。
  • 「できるだけ子ども・家族にとって身近な地域における支援」の「できるだけ」は削除する。

(今後の障害児支援の在り方:早期発見・早期支援)

  • 追加した基本的視点を踏まえつつ、議論していきたい。例えば、医療機関との連携を作っていくとあるが、連携を作るのに何が足りないのか。どうすればよいか。
  • 早期発見についてNICUから出られない重症児の問題がある。
    母子入園という法定化された制度が肢体不自由児施設にある。一般小児科病棟を退院 後、母子が2 か月前後一緒に入園しさまざまな療育支援をうけ、自宅での生活を送れ るようにする。NICUから出てそのまま施設入所というケースが多いが、母子入院 のように一度でも一緒に家庭で生活することにより、親にとって家族としての認識が 生まれる。
    ただし、医師不足などから、ニーズはあるが、全国での利用が少なくなってきている。
  • 利用が減ってきている要因は何か。
  • 施設と病院との連携がうまく取れない。また、NICUの受け皿となる肢体不自由児施設での専門スタッフが不足している。
  • 医師が社会資源を活用しきれていないということもある。
  • 議論の進め方として、前回のチーム打合せの際に宮田副座長が論点ペーパーを整理したが、そのペーパーに沿ってやった方がよいのではないか。私も意見としてまとめた ものをペーパーとして出させていただいている。
  • そもそも、「障害の子ども」と表現する必要があるのか。極論にはなるが、例えば「特別に支援が必要な児童」という表現でも良いのではないか。
  • 論点としては、地域自立支援協議会と要保護児童対策地域協議会の役割分担をどのようにするのか。保育所等訪問支援事業については、家庭訪問も含むものにするべきだ ろう。次の論点として、児童デイサービスの事業規模を小規模にしていく必要がある。 障害児保育給付については、現在は日額だが、月額にしていく必要もある。さらに、 家庭的養護を追加していくべきだろう。この他、虐待についても検討が必要になるだ ろう。
  • 施設でいうと定員、障害種別といった枠の問題もある。これを打破しないといけない。
    保育所等訪問支援が創設されるが、障害児(者)地域療育等支援事業のようにアウト リーチ的な役割が必要。

(次回以降の議論について)

  • 追加した視点を踏まえて、改革に当たり何が必要かという視点で引き続き議論したい。
    障害のある子どもの支援を子ども施策に位置づけていくために、何が必要なのか、現 在ある仕組みの何を発展させるのか、今日の議論を踏まえて深めてゆきたい。

以上