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総合福祉部会 第12回 H23.2.15 資料5

「日中活動とGH・CH、住まい方支援」作業チーム報告

平成23年1月25日

(目次)

1.日中活動

(1)発達障害、高次脳機能障害、難病、軽度知的障害などのある人たちへの必要な福祉サービスについて

(2)現行の介護給付、訓練等給付と地域生活支援事業という区分について

(3)自立訓練(機能訓練・生活訓練)、生活介護等の日中活動系支援体系のあり方について

(4)療養介護等の重症心身障害児・者への支援について

(5)地域活動支援センター、日中一時支援、短期入所について

(6)定員の緩和等について

(7)日中活動への通所保障について

2.グループホーム・ケアホーム

(1)グループホーム・ケアホームの制度について

①グループホーム等の意義について

②グループホーム・ケアホームの区分と設置基準等のあり方について

③グループホーム等の生活支援機能のあり方について

(2)グループホーム等の設置促進について

(3)民間住宅の活用促進のための建築基準法の見直しについて

3.住まい方支援

(1)地域での住まいの確保(居住サポート事業)等について

(2)一般住宅やグループホーム等への家賃補助等について

(3)公営住宅の利用促進について

<作業チームのメンバー>

座 長 大久保常明 社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会常務理事
副座長 光増 昌久 障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会副代表
小野 浩 きょうされん常任理事
清水 明彦 西宮市社会福祉協議会障害者生活支援グループ グループ長
奈良崎真弓 ステージ編集委員 平野方紹 日本社会事業大学准教授

1.日中活動

(1)発達障害、高次脳機能障害、難病、軽度知的障害などのある人たちへの必要な福祉サービスについて

はじめに

 これまでの福祉サービスは、対象に発達障害、高次脳機能障害、難病、軽度知的障害などのある人たちなどを特に想定していないと考えられる。先ずは、それらの人たちの福祉ニーズを把握することが前提であるが、現行の福祉サービスの状況を踏まえ、想定される今後の求められる福祉サービスについて検討した。

結論とその説明

(結論1)

 現行の福祉サービスでは、居宅介護(ホームヘルプ)や通院介助、移動支援などのサービスの利用が考えられる。特に重要な福祉サービスとして、相談支援(アウトリーチや見守り等を含む)の拡充が必要と考える。また、障害の特性に応じた生活訓練(訪問型を含む)や就労支援や居場所(たまり場)の提供などが必要と考えられる。

(結論1-説明1)

 先ずは、個々人のニーズを把握するうえで、身近な相談支援体制が何よりも大切となるが、これらの人たちの多くが家族との同居など在宅の場合が想定される。また、現行の日中活動サービスの継続的かつ定期的な利用も想定されるが、さほど多くないと思われる。

(結論1-説明2)

 家族を含めた相談支援(訪問相談、見守り、環境調整などを含む。)が重要と考えられる。つまり、福祉サービスに繋げることを中心とした相談支援だけではなく、暮しを支える幅広い厚みのある相談支援体制を構築していく必要がある。

(結論1-説明3)

 難病の人たちには、通院介助や移動支援、居宅介護などとともに医療・リハビリテーションと福祉サービスの連携が必要である。発達障害、軽度知的障害のある人については、障害特性に配慮したソーシャルスキルトレーニング(訪問型含む)、就労支援や利用しやすい居場所(たまり場)の提供が考えられる。

おわりに

 現状の相談支援事業は財政基盤が脆弱であり、かつ、その役割や機能が未整 理な状況もみられ、今後それらをどのように整理、拡充していくかという課題 がある。
 なお、知的障害や発達障害のある人たちに対する生活訓練は、福祉の分野だ けでの対応ではなく、特別支援学校卒業者を対象とした専修科というかたちな ど、教育の分野での対応も検討する必要があると考える。

(2)現行の介護給付、訓練等給付と地域生活支援事業という区分について

はじめに

 国として、障害福祉における介護保険の活用という方向性がないなかで、これまでの給付体系を見直すとともに国と地方自治体の機能等を改めて検討した。

結論とその説明

(結論1)

 介護給付と訓練等給付を分ける必要性はなく、総合福祉法(仮称)においては、個別給付を一本化することが適当である。

(結論2)

 総合福祉法(仮称)においても、現行の地域生活支援事業のような市町村の裁量に配慮した仕組みを設ける必要はあると考えられる。ただし、その仕組みや福祉サービスについては再検討する必要がある。

(結論1-説明1)

 介護保険の活用という前提がない今、介護給付と訓練等給付に分ける必要はない。

(結論2-説明1)

 地域生活支援事業のような市町村の創意工夫、裁量で可能となる事業の仕組みは、残しておく必要はある。しかし、大きな地域格差が出ている現状から、全ての自治体で一定水準の事業ができるような財政面を含めた新たな仕組みが必要と考えられる。

(結論2-説明2)

 現行の地域生活支援事業においては、個別給付に移行すべきものや個別給付に馴染まないものなどがある。総合福祉法(仮称)でそれらを再検討することが必要である。

おわりに

 地方自治体の裁量による事業は、一方で地域格差が危惧される。全ての自治体で一定水準の事業ができるような財政面を含めた新たな仕組みの検討が必要と考えられる。
 また、個別給付と地域生活支援事業の組み合わせやそれらに対する地方自治体独自の上乗せなど、国と地方自治体がその役割と機能を発揮し、地域福祉が推進されるような仕組みが期待される。

(3)自立訓練(機能訓練・生活訓練)、生活介護等の日中活動系支援体系のあり方について

はじめに

 現行の日中活動サービスの体系は複雑で、現実に提供されるサービス内容も利用者のニーズの必ずしも対応できてないのではないかとの課題が見受けられる。それらを踏まえ、今後の日中活動サービスならびにその体系のあり方に視点を当てた。

結論とその説明

(結論1)

 日中活動サービスのひとつとして、現行の「自立訓練」的な支援内容も必要である。ただし、それぞれの障害種別から求める機能は様々であり、そのサービス内容については再検討が必要と考えられる。なお、標準利用期限の設定については、利用者個々人の状況に応じたものとするべきで、見直す必要があると考えられる。

(結論2)

 日中活動サービスは、障害者のより身近な地域で必要なサービスが提供されることが求められる。また、その内容は、従来の創作・趣味活動、自立訓練、生産活動などとともに、居場所の提供なども含み広くとらえる必要がある。また、医療的ケアを必要とする人には、看護師を手厚く配置するなどの対応が必要であるとともに、視覚、聴覚障害のある人たちなどが日中活動サービスを利用する場合は、通訳・介助員を付ける必要がある。

(結論3)

 現行の日中活動サービスの事業体系は複雑であり、就労系は別として、生活介護、自立訓練等は、例えば、デイアクティビティセンター(仮称)としてまとめ、個別のニーズに応じた日中活動プログラムを提供するよう、よりシンプルな体系にする必要があると考えられる。
 一方、個別のニーズに応じた日中活動プログラムの提供を一定水準保障するための専門家や職員の配置、設備等を確保するための基準と計画行政の観点から、一定の事業体系(サービス体系)を設定する必要性も考えられる。

(結論1-説明1)

 「自立訓練」の必要性について特に異論はみられない。実態として、特別支援学校の新卒者には、すぐに就労継続支援B型には行けないので、「自立訓練」を受けている人が多いと思われる。

(結論1-説明2)

 日中活動サービスは個別給付であり、利用契約や個別プログラムが機能し、それを基本とすれば、標準利用期間の設定は不要と考えられる。なお、訓練的なサービスは有期限であることに留意する必要がある。

(結論2-説明1)

 就労を中心とした現行制度には問題があり、働けないまでも、障害者の社会参加のありかたの多様性を認める必要がある。就労せずとも地域の中で自尊心をもって自らの役割を果たしていける環境を確保することが重要であり、社会参加、居場所機能や文化芸術活動などについても、しっかりと日中活動サービスに位置付けることが重要と考える。

(結論2-説明2)

 医療的ケアを必要とする人も様々な日中活動サービスを求める場合があり、それらの人を受け入れる場合は、看護師を手厚く配置したり、訪問看護との連携が必要である。視覚、聴覚障害のある人たちなどが日中活動サービスを利用する場合は、通訳・介助員を付ける必要がある。

(結論3-説明1)

 利用者の立場からは、同じようなサービスであれば、一本化してくれた方が分かりやすい。また、現行の日中活動サービスの体系が複雑であり、シンプルなサービス体系にする必要があるとの意見が多い。個別給付の利点を活かして、個々人の必要に応じたサービスに基づいた支給決定に対して、事業所がそれに応じたサービスを提供するというシンプルな仕組みが必要ではないか。

(結論3-説明2)

 就労系は別として、生活介護、自立訓練等は、デイアクティビティセンター(仮称)としてまとめ、個別の要望(個別支援計画)で日中活動のプログラム提供をするよう、多様な要望に応えられるようにすることが考えられる。

(結論3-説明3)

 日中活動支援は簡素化を図り、重度や高齢、疾病等を有する人たちを主たる対象とする生活支援型と中軽度者や就業希望者、離職者を主たる対象とした生産活動型とし、二つの事業を多機能的に運営することも可能とする体系が考えられる。

(結論3-説明4)

 支給決定されたサービスについて、それが適切に提供される体制を確保するため、最低基準の設定が必要となる。様々な事業を一つにまとめることはできないのではないか。また、タイプを分けるからこそ自治体は計画的に施設を整備し、公費を支出することができる。いずれにしても、日中活動サービスという大きな括りの中で、サービスメニュー(事業体系と標準化されたプログラム)は設定することになると思われる。

おわりに

 現行の日中活動サービスにおける報酬体系により、事業者が報酬額に着目したサービスを展開し、利用者のニーズと異なるサービスを利用せざるを得ない現状がある。利用者が身近な地域で、必要とする様々なサービスを利用できるような報酬体系を検討する必要がある。

(4)療養介護等の重症心身障害児・者への支援について

はじめに

 重症心身障害児・者への支援については、特に医療と福祉の連携が重要であり、現状の課題を踏まえ、今後の方向性を検討した。

結論とその説明

(結論1)

 重症心身障害児・者の通園・通所サービスの法定化が必要である。また、現行の療養介護事業は入所医療施設のみに限定せず、通所の医療施設にも認める必要がある。一方、現行の生活介護の通所サービスを利用する場合は、医療的ニーズに配慮して、看護師を手厚く配置するなど職員配置等の支援体制が必要である。

(結論2)

 重症心身障害児が成人となった場合、別の法律体系のもと成人としての人権に配慮した、年齢相応の日常生活を支援する必要がある。ただし、その際、医療を含む支援体制の著しい変化は避けるべきであり、継続的に一貫した支援体制が確保できるような仕組みが必要である。

(結論1-説明1)

 親の人たちは、どんなに障害が重くても、できる限り地域で共に暮らしたいと願っているが、最近、特に濃厚な医療的ケアを必要とする超重症児といわれる人たちが増加の傾向にあり、通所、通園が困難な実態がある。このため医療型の通所の整備が要請されている。一方、生活介護事業など福祉型の通所にあっても、重症心身障害児・者が利用するものについては、看護師の複数配置を必須要件とする必要がある。

(結論1-説明2)

 重症心身障害児者通園・通所の法定化が必要である。現行の療養介護は、医療入所施設(病院)の入所だけに認められ、通所には認められていないという問題がある。現行の療養介護は入所医療施設のみに限定せず、通所の医療施設にも認めるべきである。また、重症心身障害者は、単なる生活介護による支援となった場合、心身機能の退行やQOLの低下、環境の変化による生命の危険なども危惧され、それらに配慮した職員配置等の支援体制が必要である。

(結論1-説明3)

 重症心身障害の人にとって、生活介護は、単に介護を受けているというものではなく、自己実現に向けた支援体系を考える必要がある。

(結論2-説明1)

 重症心身障害児者(以下「重症児者」という)は、18 歳に達したからといって、年齢で区分し、別体系の療養介護に移行させ、かつ,係る職員やかかわり方まで変えてしまうということは、重症児者にとって、著しい環境の変化となり、生命の危機にさらされることになる。成人になり、法律体系が変わることになっても、職員配置基準を児童福祉法と同じくし、法律体系を超えて一貫した支援体制を可能にする必要がある。なお、一貫した支援体制の中で、成人には成人としての人権に配慮し、その年齢に相応の日常生活の支援を行うよう配慮する必要がある。

(結論2-説明2)

 現在の療養介護は入院を前提としている日中活動であるが、重症心身障害児が18歳になって成人期の日中活動サービスに移行する場合の事業体制と支援体制は一体的に運営できる配慮が必要である。事業体系は児童と18 歳以上は分けても、一体的に運営することも可能ではないか。

おわりに

 現行の療養介護は、医療と福祉との報酬の差がかなり大きく、実際、事業があっても事業を受ける医院や病院がないため、重い障害のある人の行き場がないというような現実があるとの指摘があった。また、現行の重症心身障害児・者通園事業を補助事業から個別給付にする場合は、利用者が少ない地域では、経済的に運営が困難になることが想定されるとの意見もあり、報酬体系の課題として検討が必要である。

(5)地域活動支援センター、日中一時支援、短期入所について

はじめに

 地域活動支援センター、日中一時支援、短期入所については、地域生活において必要に応じて利用するなど、柔軟な日中サービスとして考えられるが、それらの実際の利用実態や課題を踏まえ、今後のあり方を検討した。

結論とその説明

(結論1)

 地域活動支援センターについては、地域によってそのサービス内容は様々な実態があり、日中活動サービスの個別給付に馴染む場合や相談やたまり場的な内容のものもある。今後、それらの機能を整理し、どのように制度の中で位置付けるか検討が必要と考えられる。

(結論2)

 日中一時支援については、全国どこでも使えるようにするためには、現行の日中一時支援は、従来の短期入所の日中利用(個別給付)のように個別給付に戻す必要がある。

(結論3)

 現行の日中一時支援を廃止し、かつての短期入所の日中利用(個別給付)を設ける必要がある。また、その日中利用はサービス間の隙間を埋めるためにもタイムケア型を検討する必要がある。また、短期入所についても医療的ケアを必要とする人に配慮する必要がある。
 なお、現行の医療型の短期入所では、日中利用後の短期入所の報酬設定がないので、日中活動を欠席して短期入所を使うなどの不便さが出てきている。児童・18歳以上と同じような制度設計にすることが必要である。

(結論1-説明1)

 地域活動支援センターはデイアクティビティーセンターに整理する方がよい。定員も、社会福祉法を考えると10 名であればよい。特に、精神障害や知的障害では、居場所機能の評価と再構築は大きな地域課題である。

(結論1-説明2)

 制度の谷間の障害者をどうするか。例えば、難病患者に障害が発現した際、一定期間利用することができるような制度はどう考えるか。

(結論1-説明3)

 地域生活支援事業は、個別給付に馴染まないものもあるので、それはそれで残さなくてはいけない。また、地方に行けば行くほど人が集まらない。5名でも事業を展開することができるような仕組みが必要である。気楽に利用でき、たまり場的に利用することができる場所が望ましい。例えば、相談支援事業者に厚みを持たせて、たまり場になり、ワンストップの相談も行い、サービスに繋げるバイアスにもなる機能がほしい。地方では、相談やたまり場をまとめてやるような形は、特に精神の分野では広がっている。小規模多機能的なところを残さなければ、地方ではやっていけない。

(結論1-説明4)

 現行の地域活動支援センターは、地方や都市など地域によって、その機能は多様な実態があるように思われるところから、それらの機能を整理して、今後の制度の中での位置づけを検討する必要がある。

(結論2-説明1)

 日中一時支援事業は地域生活支援事業の選択事業であり、実施していない市町村があるようである。また、助成金や報酬が少ないため受託する事業所が少なくなったり、事業を停止する事業者がみられる。事業者がないとの理由で実施していない市町村も多いようである。全国どこでも使えるようにするためには、現行の日中一時支援は、従来の短期入所の日中利用(個別給付)のように個別給付に戻すべきでないか。

(結論3-説明1)

 現行の日中一時支援を廃止し、かつての短期入所の日中利用(個別給付)を設ける必要がある。また、その日中利用はサービス間の隙間を埋めるためにもタイムケア型としてはどうか。また、短期入所についても医療的ケアを必要とする人に配慮した条件整備が必要である。

(結論3-説明2)

 タイムケアサービスは恒常的でないので自治体もプランを作れない。もしやるなら、イギリスのようにチケット制にして、例えば30時間分渡す形にすれば自治体も対応できる。支援量を定量化していかないと基盤整備も進まない。

(結論3-説明3)

 児童・18 歳以上の短期入所の報酬改訂時(平成21 年4 月)日中活動を利用した後の短期入所の新しい単価ができて、それまでの混乱は整理された。一方医療型の短期入所では、日中利用後の短期入所の報酬設定がないので、日中活動を欠席して短期入所を使うなどの不便さが出てきている。児童・18 歳以上と同じような制度設計にすることが必要である。

おわりに

 現行の地域活動支援センターについては、一方で運営費(報酬)の問題が指摘され、財政的な支援の仕組みが課題として適されている。また、短期入所については、通所サービスに短期入所を併設するとともに、グループホーム等にも同様に併設すべきで、地域で生活する精神障害者が休息等の目的で気軽にそれらを利用できることにより、地域生活の継続がより可能となるとの意見があった。これらの日中のサービスについては、特に、必要なとき、いつでも利用できるという視点にたって整備していくことが求められる。なお、短期「入所」という表現が、施設への「入所」を連想させ、違和感があるので検討を望む声があった。

(6)定員の緩和等について

はじめに

 現在の日中活動サービス体系における定員の要件は、特に、人口の少ない過疎地などで大きな課題となっている。身近な地域での重要な日中活動の場として利用されてきている小規模事業所等の意義を踏まえ検討した。

結論とその説明

(結論1)

 10名に満たない日中活動サービスの事業所は、全国の過疎地等に存在し続けている状況があり、5名でも事業を展開できる何らかの仕組みが必要である。一方、重症心身障害児・者通園事業B型は1日5名の基準で運営しているが、これらの事業への今後の対応についても十分に配慮する必要がある。

(結論1-説明1)

 地方に行けば行くほど人が集まらない。5名でも事業を展開することができるような仕組みが必要である。また、気楽に利用でき、たまり場的に利用することができる場所が望ましい。

(結論1-説明2)

 現在の重症心身障害児・者通園事業B 型は1日5名の基準で運営している。地方や利用者が少ない地域で、この通園事業が個別給付なった場合は、運営が困難になる可能性がある。十分な配慮が必要である。

(7)日中活動への通所保障について

はじめに

 日中活動サービスを利用する際、通所に係る送迎の支援は不可欠となっている。それに対する福祉サービスとしての位置づけが定かではなく、財政的支援も不十分な現状がある。それらを踏まえ検討した。

結論とその説明

(結論1)

 日中活動サービスを利用するには移動支援(送迎)が不可欠であり、その費用について、報酬上評価する仕組みが必要と考えられる。
 なお、報酬の算定にあたっては、移動支援(送迎)の支援内容を再検討するとともに、公共交通機関等の利用による通所者の扱いを併せて検討する必要がある。

(結論1-説明1)

 日中活動サービスを利用するには送迎は必要である。送迎が必要な人には送迎を機能としてもたせる事業体系とする必要がある。また、医療的ケアを必要とする人の送迎には看護師の添乗も必要になる。現行の生活介護には送迎経費も含まれているとの解釈があるが、他の通所事業には送迎経費は含まれていない。基金事業で300 万円の補助が実施されているが、実績に応じて報酬に含まれるような制度にする必要がある。

(結論1-説明2)

 送迎について、声かけや見守りを含めた支援として位置づけるのか、単なる移動手段として位置づけるのかという議論がある。また、一方、通所の際の移動支援の利用や交通費の支給を求める意見がある。

2.グループホーム・ケアホーム

(1)グループホーム・ケアホームの制度について

はじめに

 グループホームが、地域の住まいとして提起されて20 年余りが経過する。入居者も約6万人に達し、今後、地域生活移行を推進するうえで、グループホームはさらに普及していくことが考えられるが、その設置基準等や支援機能について、種々の課題も見受けられる。これらを踏まえ、もう一度原点に立って、地域の住まいとしてのグループホーム制度のあり方等を検討した。

①グループホーム等の意義について

結論とその説明

(結論1)

 グループホーム等での支援は、地域生活における居住空間確保と基本的な生活支援、家事支援、夜間支援などともに入居者一人ひとりに必要なパーソナルな支援の両方が重なったものと考えられる。一人ひとりがよりその人らしさを発揮できる状況を生み出し、住民として暮らしていくための住まい方支援のひとつといえる。
 なお、グループホーム等については、「特定の生活様式を義務づけられない」ためにも、地域生活移行においてそれらを唯一のものとするのではなく、自分で自分の暮らしを選ぶ、選択肢の一つと考える必要がある。

(結論1-説明1)

 地域社会で自立生活をすすめるための共同住居(家)という原点に立った制度構築をしなければならない。グループホーム等での支援は、居住空間確保及び基本的な生活支援、家事支援、夜間支援などと一人ひとりに必要なパーソナルな支援の両方が重なったものとして考えるべきである。一人ひとりがよりその人らしさを発揮できる状況を生み出し、住民として暮らしていくことが大切である。

(結論1-説明2)

 利用者がグループでお互いに刺激しあって、助け合っていくこともグループホームの理念ではないか。住む場所をただ提供するというだけではなく、仲間で助け合っていくために、どうやって支援していくかという議論も重要と思われる。

(結論1-説明3)

 「特定の生活様式を義務づけられない」ためにも、地域移行においてグループホーム等を唯一のものとしてはならない。また、終の棲家として位置づけるのではなく、将来的に一般住宅での暮らしをめざすためのステップとして位置づける必要もある。権利条約にいう、誰とどこで暮らすか自分で選択できる、ということを踏まえて、グループホーム等は自分で自分の暮らしを選ぶ、選択肢の一つだと考える必要がある。

②グループホーム・ケアホームの区分と設置基準等のあり方について

結論とその説明

(結論1)

 現行のグルーホーム、ケアホームの区分は、グルーホームに一本化することが妥当である。定員規模については、グルーホームの本来的趣旨である家庭的な環境として、4~5人の規模を原則とする必要がある。また、同一敷地内のとらえ方など再検討する必要もあると考える。

(結論1-説明1)

 グルーホーム、ケアホームの事業名は、介護給付と訓練等給付で分けたが、実態からしてもグループホームで統一すべきである。

(結論1-説明2)

 知的障害の人が仲間と生活し、仲間と関係性を持ってやっていくということは、視野に入る人数の限界があると思う。まとまるのは4から5人ではないか。生活の場なので家庭に近い規模にすべき。

(結論1-説明3)

 定員が7人以上はグループホームの枠組みから外して、新しい体系として整理してはどうか。住居定員が2人から可能になって、利用する人の暮らし方の多様性ができてきて評価できる。適正な入居者定員は4~5人として、緊急枠などや体験入居用を含め1住居6名の定員を最大としてはどうか。一方、大規模化を抑制する一方、地域の事情も勘案した検討が必要と考える。なお、重度障害者等が入居するグループホームについては、夜間支援体制の観点から、規模について一定の配慮が必要となるかもしれない。

(結論1-説明4)

 現在、地域によってグループホーム等の設置基準に関しては、解釈の格差があり、同一敷地内で複数かつ入居者数が20人、30人となっている例もでてきた。設置に関しては、都市計画的な見方もとりながら検討する必要性がある。障害のある人が1 ヶ所の地域で多数住むことはどうなのか、普通の暮らしはどのようなものなのか、地域の住宅政策も含めて検討が必要である。特に、既存の施設を使って運営する場合、2 ユニット(10 人を2棟)、都道府県知事が認めれば3ユニットまで可能な現行の考え方は見直す必要がある。

③グループホーム等の生活支援体制のあり方について

結論とその説明

(結論1)

 現在、入居者の高齢化が進む一方、重度の障害や様々なニーズのある人たちの入居も増加することが想定されるなかで、グルーホーム等で提供する標準的サービスと入居者一人ひとりが必要に応じて利用するサービスとの関係を検討、整理し、居宅介護等の訪問系サービスの活用を含めた生活支援体制を確保する必要がある。
 一方、高齢化等により日中活動サービスに通うことが困難であったり、必要としない入居者の日中支援のあり方を検討する必要がある。

(結論1-説明1)

 今後、高齢、重度・重複障害、医療的ケアや行動障害など様々なニーズのある人たちの利用が多くなることが想定され、介助等個別支援を必要とするそれらの人たちに対して、一般住宅と居宅介護等を活用することで、地域での自立生活が可能となる。また、それらの人たちも利用できるようハード面での整備を推進するとともに、職員の夜間常駐、休日の日中支援、医療的ケアの実施が可能となるよう、報酬、運営基準、人員配置の見直しを図る必要がある。

(結論1-説明2)

 例えば、ALSや筋ジスなど人工呼吸療法に対応し、医療と連携のとれるグループホームのニーズが高まっている。海外の例では、訪問看護師とヘルパーの支援を受けて地域で生活できるようになっている。呼吸器装着の重度障害者であってもグループホームは選択肢のひとつとなりえる。

(結論1-説明3)

 知的障害のある人たちにおいても重度訪問介護等を活用し、パーソナルアシスタントなど支援付き自立生活(サポーテッドリビング)も一般化されるべきである。日中活動に行かないときは、本人の支援計画に基づいて、重度訪問介護を利用できるようにする必要がある。

(結論1-説明4)

 特に、医療的な援助も日常的に必要とする超重症・準超重症の重症心身障害児者に対するグループホーム等における日常的支援については慎重に検討し、環境条件が確保される必要がある。

(結論1-説明5)

 アルコール等依存症の場合など家事援助以上の支援が必要な人たちがいるため、パーソナルアシスタント等による支援を組み合わせられるようにする必要がある。

(結論1-説明5)

 グループホーム、ケアホームで居宅介護を使えない場合、福祉ホームだと居宅介護の利用が可能なので、必要との意見も多い。

(結論1-説明6)

 グループホーム等において、服薬を含めた健康管理の支援、金銭管理の支援、夜間・早朝時間帯の支援は必要不可欠であり、グループホーム等でこれらの部分をどこまで担うのか整理する必要がある。

(結論1-説明7)

 グループホーム等の支援として全てを入れ込んでしまうと、かえって利用しにくくなる。最低限のものはそこに備わっていて、それ以外のパーソナルなものはオプションで、多様なサービスを利用できるようにすることの方が良いのではないか。食事や掃除などの家事という基本部分をベースに、あとは自分の希望で選べるような仕組みが考えられる。グループホームに住みながら、本人がパーソナルアシスタンスなどの支援を活用するなどにより、一人ひとりの暮しの質が向上することになる。

(結論1-説明8)

 グループホーム等の入居者個々人が必要とする支援サービスは、外から提供するか、グループホーム等の事業所から提供するのかは、入居者が選択できることでよいのではないか。

(結論1-説明9)

 現状の職員体制は、短期間の非常勤によって支えられており、多様な個別ニーズに対応できていない。職員体制の整備が必要である。特に、夜間支援体制の強化が急務の課題である。支援が必要な全ての住居に夜間世話人(夜間支援員)を配置する必要がある。

(結論1-説明10)

 グループホーム等のサービス管理責任者は入居者30 人に1 名の配置である。利用者の意向に基づく個別支援計画の策定と提供管理、評価・検証、関係機関との連携、自立支援協議会に参加し社会資源開発へ繋げる等、広範囲な業務を担う一方で、入居者の地域生活経験に伴う生活ニーズも多様化するが普通である。専従可能な報酬単価の見直しと、サービス管理責任者の研修を強化する必要が生じている。

(結論1-説明11)

 入居者が高齢化し、日中活動サービスを利用することが困難となった場合、入居者によっては日中活動サービスを希望しない場合や必要としない場合もあるが、現行のグループホーム等は夕方から朝までの支援を原則としており、それらの人たちへの支援体制を確保するため、日中の支援もできるようにする必要がある。

おわりに

 グループホームの本来の家庭的な規模での運営を可能とするとともに、夜間も職員を配置するため、また、高齢、重度・重複障害、医療的ケアや行動障害など様々なニーズのある人たちへの一定水準の支援体制を確保するためには、そのための報酬体系の実現が必要となる。一方、今後、パーソナルな訪問系サービスを積極的に活用していくうえで、それらの報酬体系や国庫補助基準の取扱いも課題になる。報酬体系の検討にあたって配慮を求めたい。
 なお、設置基準における、いわゆる「一つ屋根の下」と「共有スペース」の取扱いと支援体制について、ニーズの実態を踏まえ、柔軟な対応を含め検討する必要があると思われる。

(2)グループホーム等の設置促進について

はじめに

 グループホーム等の設置促進のための福祉施策について検討した。

結論とその説明

(結論1)

 グループホーム等の設置を促進するうえで、国庫補助での整備費の積極的な確保が重要である。また、重度の障害や様々なニーズのある入居者への支援も想定し、安定的運営に係る報酬額が必要である。

(結論2)

 グループホーム等を建設する際の地域住民への理解促進について、事業者にのみに委ねる仕組みを見直し、行政と事業者が連携・協力する仕組みとする必要がある。

(結論1-説明1)

 地域生活移行を促進する上で、グループホームの住居を確保する国庫補助による整備促進が必要である。また、報酬単価が低く、人材確保や事業運営に困難があり、グループホーム、ケアホーム単独では経営が成り立たない現状があるため、積極的に整備を推進するための予算確保が必要である。

(結論1-説明2)

 重度の障害者(「重症心身障害者を含む」)でも生活可能なグループホーム制度の確立が必要である。そのためハード面での整備を推進するための公的な整備費の充実が更に必要である。また、夜間を含めた支援体制の充実が求められる。

(結論2-説明1)

 グループホームを建設する場合、借家で借りる場合も含めて地域住民の反対が全国各地で起きており、なかには建設を断念する場合もある。一方、建設に当たって地域住民の理解を求めることについて、もっぱら事業者に委ねている現状がある。障害者計画や障害福祉計画並びに公費支給の主体である地方自治体が、責務として事業者と連携・協力して住民の理解促進を図る必要がある。

おわりに

 グループホーム等の設置促進にあたっては、特に、整備費や報酬単価という公的費用負担の課題が大きい。障害福祉関係予算の確保と関連して今後の検討に期待したい。

(3)民間住宅の活用促進のための建築基準法の見直し

はじめに

 グループホーム等の設置促進にあたって、現行の建築基準法が大きな壁となっている。そこで、同法に着目し検討した。

結論とその説明

(結論1)

 グループホーム・ケアホームの民間住宅の活用促進にあたっては、建築基準法の規制を緩和し、一般住居として取り扱う必要がある。

(結論1-説明1)

 グループホーム等の民間住宅の活用に際し、全国的に建築基準法が大きな問題となっている。現状では寄宿舎への用途変更が強いられ、厳しい基準が適用され、防火壁などの工事を行わなければならないことになる。それによって、民間住宅の活用が困難となり、地域の重要な住まいとなっているグループホーム等の整備が進まない事態となっている。

(結論1-説明2)

 現行の建築基準法は、そもそも、現在のグループホームという住居形態を想定していないと考えられる。グループホームは、地域社会で住民としての普通の住まいを提供し、入居者に必要な人的支援等を行うことを基本としたものと考えられる。従って、特別な住居ではなく、一般住居に暮らすことが共生社会のひとつのかたちと考える。

おわりに

 障害者の住宅施策は、国土交通省の障害福祉施策と連携した取り組みなくして進展は望めない。法令の改正も視野に入れた国土交通省と厚生労働省の積極的な連携・協力を望みたい。

3.住まい方支援

(1)地域での住まいの確保(居住サポート事業)等について

はじめに

 居住サポート事業は住宅の確保等において重要なサービスとされてきたが、その実態を踏まえ、今後のすまいの確保等への支援のあり方について検討した。結論とその説明

(結論1)

 現行の居住サポート事業の支援内容の重要性は認められるが、相談支援事業との関連を含めた位置付けや実施状況などを再検証し、今後の事業の制度上の位置づけを検討する必要がある。

(結論1-説明1)

 居住サポート事業は、障害者が「地域で生活する権利」を実質化するための事業として重要な役割を果たすものである。この事業に加えて、日常生活の支援、ニーズの随時の聞き取りの他、地域住民と障害者との交流をはかる役割を担うことが望ましい。

(結論1-説明2)

 一定の成果はあり今後も必要である。官民共同で地域連携の場を作り情報収集や活動が広がったことにより成果が認められた。必要なのは住宅探しを行う人材確保で、委託費は一律ではなく、必要状態、人口、障害者数などによってランクを考えるべきである。

(結論1-説明3)

 現行制度では居住サポート事業者を受託する事業者が少なく、住宅部門との連携も不十分であり、実施市町村も多くない。福祉分門だけではなく、住宅部門と連携した形の実効性のある居住サポートの仕組みが必要である。また、グループホーム等から単身生活に移行する場合も事業対象とする必要がある。居住サポートの拡充によって、グループホーム等以外の第3 の地域生活の道が広がっていく。そのためにも重要な事業である。

(結論1-説明4)

 居住サポート事業は必要な機能であるが、制度が未熟で一人仕事になる地域が多く、業務として成熟していない。グループホームのバックアップ機能等とのリンクする仕組みを検討する必要がある。

(結論1-説明5)

 相談支援事業の付帯事業的な位置づけとなっており、機能や役割が不明瞭であるとともに、相談事業本体を圧迫している面もある。また、本事業における支援が、住居の確保や緊急時対応など限定的な場面に限られているが、地域での安心できる暮らしを継続的にサポートするような、訪問型の生活サポート事業として機能強化し、独立して運営可能な事業とすることを望みたい。相談支援の範疇でなく、義務的施策として明記し、義務的経費負担とする必要がある。

(結論1-説明6)

 居住サポート事業の位置付けが弱いので、独立させるべきである。地域移行に於いて賃貸住宅を考える場合、公的な保証人機構と連動した必要な事業である。また、事業が機能するには、あんしん賃貸住宅の登録が不可欠であるが、その部分が未整備のままである。緊急時に対応可能な安心できる地域生活拠点機能を事業者そのものに付加する必要がある。

(結論1-説明7)

 居住サポート事業は必須化されるべきとは考えるが、何より必要なのは24時間365日の待機介助であり、居住サポート事業は予算も貧しく対象者期間も限られていることが問題である。

(結論1-説明8)

 居住サポート事業に24 時間の見守りを課していることは不合理であり、これは介助サービスで保障されるべきサービスである。また、公的保証人を獲得するために多額の自己負担を必要とすることは非現実的であり、一方、住宅改造をする費用補填は低額なため、住宅はほとんどない。

(結論1-説明9)

 障害者の地域における生活を支えるためには、夜間や緊急時に対応が可能な拠点機能としての「地域生活拠点センター」の新設、整備が不可欠である。

(結論1-説明10)

 高齢者分野における「シルバーハウジングプロジェクト」(公営住宅に福祉目的住宅設置のうえ、支援サポーターによる巡回支援が実施されている)の障害者バージョンを作り、居住サポート事業との連結をはかる必要もある。

おわりに

 住宅の確保等の支援については、そのサービスを切り分けるというより、地域生活支援の一環として位置づけ、機能強化を図れるような仕組みを期待する意見が多かった。また、賃貸契約書などが本人に分かりやすい契約書となるように工夫してほしいとの要望があった。

(2)一般住宅やグループホーム等への家賃補助等について

はじめに

 地域での住まいとして、グループホーム等や公共住宅、民間住宅の活用が益々求められるなか、特に、主たる収入を障害基礎年金と福祉的就労の工賃などに依存する人たちにとって、その家賃は重い負担となっている。また、それらの住宅の確保に向けた様々な施策が必要と考えられる。それらの視点から検討を行った。

結論とその説明

(結論1)

 地域での住宅問題の解決のためには、グループホーム等や公共住宅、民間住宅の賃貸などにおいて、障害者の受け入れを拡大していくことが必要である。そのために、厚生労働省と国土交通省等の関係省庁が密接に連携した住宅施策を講じていく必要があり、一方で家賃補助、住宅手当などによる経済的支援策が重要と考える。

(結論2)

 民間住宅の障害者の受け入れを拡大のために、一般住宅の行政による借り上げや一定以上の規模を有する新築集合住宅に対して、障害を持つ人に配慮された住戸の義務付けとその際の公的助成などが考えられる。

(結論3)

 事業体に対する税制の優遇(不動産取得税、固定資産税、都市計画税等の減額もしくは免除)を設ける必要がある。また、住居提供者に対する経済的支援策や優遇策を講じる必要がある。

(結論1-説明1)

 障害者の所得保障が不十分であるという理由のみで安易に住宅問題を考えるのではなく、国民全体の住宅施策の中で障害のある人の住宅問題も位置づけ考える必要がある。都市計画の中に、障害者住宅の整備目標を組み込むべきであり、公営住宅、民間住宅、行政における都市計画の3つの観点から総合的に進める必要がある。また、住まいの確保について、自立支援協議会のようなシステムを作り、連携して取り組む必要がある。

(結論1-説明2)

 日本の厳しい住宅事情の中で既存住宅の活用だけでなく、障害者が生活しやすい住宅建設が可能となる様な積極的な支援策が必要である。

(結論1-説明3)

 「高齢者の居住の安定の確保に関する法律」と同様に、法制度でしっかり位置づけたうえで、障害者向けの住宅が地域内で確保されるような方策を推進していく必要がある。また、国交省が取り組んでいる高齢者専用賃貸住宅制度のような仕組みの賃貸物件制度を推進できないか。

(結論1-説明4)

 家賃補助的な施策が早急に必要との意見が多く出ている。民間住居への入居 促進のため、家賃補助や住宅手当の創設が望ましい。生活保護と同様に、障害 者の基礎年金に住宅手当が上積みされるべきではないか。

(結論1-説明5)

 住宅手当の創設、保証人制度の充実、住宅改修費の支援等とともに、居住支援協議会の必置規定化等、一般住宅の確保をめぐる課題を早急に解決すべきである。

(結論1-説明6)

 住宅手当とした場合、広く国民を対象とした手当制度や生活保護制度における住宅扶助などとの関係を整理する必要がある。また、住宅手当は、住宅を必要とする人とそうでない人がいるので、ニーズとかみ合うかという問題がある。障害年金をすぐに引き上げることができれば良いが、それぞれの住宅の状況を踏まえると一律に年金の手当とするのはどうか。家賃に応じて住宅手当を支給するのが現実的であるし、社会の理解も得られやすい。

(結論1-説明7)

 入所施設における補足給付と同額の2 万5 千円相当の金額を家賃などの補助に当てることが可能な仕組みを作る。また、家を借り上げる際に必要な保証人を自立支援協議会などの仕組みを活用して自治体ごとに確保できるようにする必要がある。

(結論2-説明1)

 公営障害者住宅の新設が優先されるべきであるが、一般住宅の行政による借り上げによる確保を検討すべきである。その場合、建設時から行政が借り上げを保障し、改造の補助など誘導策をとる必要がある。家賃についても、補填する仕組みが必要である。また、一定以上の規模を有する新築集合住宅に対して、障害を持つ人に配慮された住戸を義務付け、それに対して、一定割合の公的助成を行うことが考えられる。

(結論3-説明1)

 事業体に対する税制の優遇(不動産取得税、固定資産税、都市計画税等の減額もしくは免除)を設ける必要がある。また、障害特性に応じた建築構造のための助成金をさらに拡充する必要がある。一方、民間の土地や住宅提供者については、固定資産税などの税制優遇策を講じる必要があとともに、住宅改造と現状回復工事への助成制度が必要である。

おわりに

 家賃補助の議論において、障害者の所得保障の仕組みを見直すことが先決ではないかという意見もあった。
 また、トライアル入居(法人契約アパートの試験入居を経て、その居住実績により個人契約への切り替え促進)の制度化なども必要との意見とともに、大家への「障害者・高齢者を入居拒否しない」などの条件付けの廃止を望む声もあった。

(3)公営住宅の利用促進について

はじめに

 現状では、住宅の確保において、公営住宅は重要な社会資源のひとつであり、その視点から検討した。

結論とその説明

(結論1)

 地域での住まいの確保において、社会資源としての公営住宅の活用が望まれるが、地域間格差が顕著であり、優先枠の拡大に向けた何らかの仕組みが必要である。なお、一方で、公営住宅に偏重することなく、民間の賃貸住宅への入居も進めていく施策を講じる必要がある。

(結論1-説明1)

 公営住宅は低家賃であり、住まいとしての重要な社会資源といえる。公営住宅を使いやすくするように自治体を指導していくことが必要である。また、バリアフリー化した公営住宅を拡充して、障害特性をも考慮する住宅提供の仕組みをつくり、優先的に提供されることが望ましい。

(結論1-説明2)

 公営住宅については、バリアフリー住居やグループホームなどの優先枠を拡大するため、それを制度化する必要がある。

(結論1-説明3)

 知的障害者は単身でも公営住宅に申し込みができるようになったが、単身用の公営住宅は空きが少ないので実際には入居できない人が多い

(結論1-説明4)

 1つの公営住宅の建物に障害者が集まるのは、問題はないか。特化した居住の形はいかがなものか。市民との混在/混住がインクリュージョンの要ではないか。権利条約の「他のものとの平等」の理念にからすれば、公営住宅よりは民間の賃貸住宅を借りやすくする施策が重要といえる。民間の賃貸住宅への入居を進めながら、不十分な場合には、暫定的な措置として公営住宅への入居優先枠を拡大することが考えられる。

(結論1-説明5)

 特定の住居形態に、特定の人々が集住する問題は残るが、障害のある人が公営住宅を選択する上では入居しやすくする政策は必要である。

(結論1-説明6)

 公営の障害者住宅の新設は急務であり、公営住宅の建築前に、障害のある人がいる家庭などを対象に公募をかけて、ユニバーサルデザインを施した一戸建てなども創出していく必要があると考える。

おわりに

 公営住宅の利用促進にあたっては、省庁をまたいだ住宅施策であるとともに、国と地方自治体の連携が重要であり、それらを踏まえた取り組みを望みたい。

「日中活動とGH・CH、住まい方支援」作業チーム報告(補足)

平成23年2月15日

1.日中活動

(1)現行の介護給付、訓練等給付と地域生活支援事業という区分について

(結論1・結論2-補足説明)

 ここで使用する個別給付という表現は、給付方式の呼称であるとともに、国庫負担金(義務的経費)としての意義があることを踏まえる必要がある。

(3)自立訓練(機能訓練・生活訓練)、生活介護等の日中活動系支援体系のあり方について

(結論2-補足説明)

 通訳・介助員をつける必要があるのは「視覚、聴覚障害のある人たちなど」という表現より、例えば、「移動やコミュニケーションに障害のある人たちなど」とする方が適切である。

(4)療養介護等の重症心身障害児・者への支援について

(結論1-補足説明)

 平成22年に児童福祉法が改正され、重症心身障害児の通園事業は医療型児童発達支援に替わる予定となったが、これらを利用する18歳以上の重症心身障害者の行く先は不明確である。医療職を手厚くした生活介護にするか、新たな医療的ケアを伴う通所福祉施設を制度化するなどの検討が必要である。

(結論2-補足説明)

 児童期から成人期において一貫した支援体制は必要であるが、制度としての法体系での一本化は不適切である。18 歳未満の重症心身障害児は他の障害児と同様に在宅を中心とし、入所する時は、有期間・有目的の医療型障害児入所施設を基本とすべきである。18 歳未満の重症心身障害児が、療養型施設に新たに入所することとならない体系が必要である。

(5)地域活動支援センター、日中一時支援、短期入所について

(結論3-補足説明)

 精神障害者にとっては、短期入所は新たな社会的入院を生み出さないため、強制入院防止のためにも最も重要な資源である。しかし、現行では精神障害者を受け入れる短期入所施設がほとんどなく、支給決定を受けても利用できない現状がある。

2.グループホーム・ケアホーム

(1)グループホーム・ケアホームの制度について

②グループホーム・ケアホームの区分と設置基準等のあり方について

(結論1-補足説明1)

 精神障害者にとって転居は大きな負担となる。サテライト型グループホームを認めていくことにより、グループホームの支援が不要となっても、そのまま同じアパートに住み続けることが可能となる

(結論1-補足説明2)

 現行の福祉ホームをグループホーム制度のなかで位置づけるか(個別給付)、地域生活支援事業(市町村事業)で存続させるか、小規模化の課題と併せて検討する必要がある。