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総合福祉部会 第13回 H23.4.26 参考資料10-1

石橋委員提出資料

平成23年2月22日

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部殿

総合福祉部構成員
社団法人全国肢体不自由児・者父母の会連合会
理事 石橋 吉章

 「第1期作業チーム報告書に対する厚生労働省からのコメント」に対する意見を下記の通り提出いたします。
 ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

 総合福祉部会は、「障がい者制度改革推進会議」の下に設置された部会です。
 同部会では、2月15日の第12回会合で部会長がコメントしたように、国連の「障害者権利条約」と、厚生労働省と障害者自立支援法違憲訴訟原告団との「基本合意文書」に基づいて議論を進めています。
 また、平成22年6月29日に閣議決定された「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」では、総合福祉部会における議論との整合性を図るとしていること、及び、「障害者の権利条約」を受けて進められる「障害者基本法」の改正方向からも乖離しているコメントと考えます。
 総合福祉部会は、障害者自立支援法を改正する議論をしているのではなく、これから新しく創られる新法、『障害者施策の根幹となる「障害者総合福祉法(仮称)」の骨格』を議論しています。
 新しく創られる新法が、障害者福祉を一歩も二歩も前に進める、将来を見据えたものとなるように努力をしています。
 貴省におかれましても、上記を踏まえご検討いただけるよう切に願います。


総合福祉部会 第13回 H23.4.26 参考資料10-2

茨木委員提出資料

厚労省コメントに対する意見と質問

総合福祉部会委員 茨木尚子

 2月総合福祉部会で説明のあった「厚労省からのコメント」について、以下のとおりの意見と質問を述べさせていただきます。

1.作業チームの議論の基盤となっている論点表及び委員意見の確認事項について

 部会では、作業チームの議論に入る前に、総合福祉法の論点表を示し、これを部会で確認したのち、全体会議で各委員の意見交流を行ってきました。作業チームは、この論点表の分担論点と、全体会議での議論の内容をふまえて検討しています。今回、厚労省のコメントでは、この部会の論点に基づく議論の過程で示した「自立支援法に基づく現状からの留意点」を掲げておられます。その後、部会作業チーム報告のポイントを挙げて、それに対する厚労省のコメントを示すという書きぶりになっています。
 我々がこれまで部会で議論してきた新しい法律の論点の基盤となった①障害者の権利条約②訴訟団との基本合意文書③推進会議の第1次意見書などについて、厚労省はどのように踏まえて今回のコメントを示されたのかについてご説明ください。またそれに基づいた総合福祉法の論点表や、9月までの全体会での議論の方向性について、どのように踏まえて、今回のコメント作成に至ったのかについての説明も合わせてお願いいたします。

1.相談支援、支給決定チームへのコメントについて

 相談支援体制の提案(国庫補助事業、人件費相当の義務的経費など)について、一般的な相談にかかる財源は、「既に地方自治体が自らの財源で実施すること(一般財源化)となっていること、「地域主権戦略大綱」等で示された地域主権の流れ(補助金の一般財源化)を踏まえた検討が必要とコメントされています。
 自立支援法での相談支援事業の設置及び運営にかかる費用の財源は地方交付税であり、自治体の裁量的経費に委ねられています。これが相談支援体制の不十分さや地域格差を生んでいるという指摘が部会討議でもありました。また障害者の相談支援体制については、必ずしも市町村を単位とするのが適当ではなく、広域連携が必要であるということも指摘されています。
 我々はそれを踏まえて、ニーズに基づく障害者支援を支える相談支援体制について議論を重ねて、今回の提案をしました。障害者の地域生活を支える相談支援体制は地域の「一般的な相談」と定義され一般財源化されるものなのでしょうか。大綱に示されている「全国画一的な保険・現金給付に対するものや地方の自由裁量拡大に寄与しない義務的な負担金・補助金などは、一括交付金化の対象外とする」という文言に示されている内容と今回 のコメントについての見解を示してください。

2.改正法で示されている「基幹型相談センター」を中心とする相談支援体制の内容について

 作業チーム検討の途上で、12月に改正法が成立し、平成24年4月から新たな相談支援体制がスタートするスケジュールが示されています。その中で「基幹型相談支援センター」という機関を中心に相談支援体制の強化が提案されています。おそらく今後基幹型相談支援センターの機能などの詳細が示されて行くことと思いますが、我々の新たな法律内容の検討にとって非常に重要な改正になると思われます。ぜひ、現時点でのスケジュールや改正内容の詳細について、説明を求めたいと思います。また、部会の検討する新法との「つなぎ」についてどのように考えておられるのかもお示しください。


総合福祉部会 第13回 H23.4.26 参考資料10-3

尾上委員提出資料

1.障害者権利条約、推進会議意見、閣議決定、基本合意等をふまえたコメントの作成を

 2010年年6月29日付けの閣議決定「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」には、以下の通り記している。
 「政府は、障がい者制度改革推進会議の「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」を最大限に尊重し、下記のとおり、障害者の権利に関する条約(仮称)の締結に必要な国内法の整備を始めとする我が国の障害者に係る制度の集中的な改革の推進を図るものとする」

 ここに記されている通り、第一次意見を最大限尊重し、権利条約の締結に必要な国内法の整備をはじめとする制度改革の一環として、現在の総合福祉部会の議論があることを確認しておく必要がある。

 にもかかわらず、今回の厚生労働省のコメントには、この閣議決定に記されている障害者権利条約や「最大限尊重」するとされている第一次意見について、一つもふれられていない。
 また、2010年1月7日に障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国(厚生労働省)との間に結ばれた基本合意文書も参照された節は全く見受けられない。

 厚生労働省が今回のコメントを作成するに当たって、閣議決定や自ら「国(厚生労働省)」として結んできた約束を履行しようとしているのかとの疑念を持たせるようなコメントとなっているのは、政府に対する信頼を損ないかねないものとの危惧を持たざるを得ない。

 他方、この間、総合福祉部会での議論の論点として作成された『「障害者総合福祉法」(仮称)の論点』は、「①推進会議の第1次意見書+第3回推進会議議事録、②障害者権利条約本文、③自立支援法訴訟基本合意文書、④民主党障害者政策PT報告」を基本視点、根拠として作成されている。
 これらの基本文書を参照することなく、「障害者自立支援法」の制度説明に終始するコメントを厚生労働省が作成されるならば、議論はすれ違ったままであり、生産的な議論とならないことは明白である。
 あらためて、これらの文書をふまえた生産的なコメントを作成することを求めるものである。

2.障害者権利条約第19条に記されている「パーソナルアシスタンス」へのアクセス確保のためにどのような措置が必要と考えるか?

 厚生労働省のコメントで障害者権利条約が参照されていないことから来る具体的な問題として、パーソナルアシスタンスへのアクセス確保の措置がふれられていないことが、その一つの例としてあげられる。
 障害者権利条約第19条には、「(b)障害のある人が、地域社会における生活及びインクルージョンを支援するために並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(パーソナル・アシスタンスを含む。)にアクセスすること」(長瀬・川島訳)を確保できるような「効果的かつ適切な措置」を締約国に求めている。
 ここに記されている、「パーソナルアシスタンス」を念頭において、作業チームでは検討を積み重ねてきた。そのための具体的な方策として、「パーソナルアシスタンス制度」の確立に向けて、現行の重度訪問介護を改革し、充実発展させる」ということを提言した。
 締約国に求められている「パーソナルアシスタンス」へのアクセス確保のために、厚生労働省としてどのような措置が必要と考えているのか?を明らかにすべきである。

3.担当部署の職務として作業チーム報告をふまえた財源確保に向けた試算、並びにデーターの開示を

 前述の閣議決定の中の「地域生活の実現とインクルーシブな社会の構築」では、「障害者が自ら選択する地域への移行支援や移行後の生活支援の充実、及び平等な社会参加を柱に据えた施策を展開するとともに、そのために必要な財源を確保し、財政上の措置を講ずるよう努める」とある。
 引用した文章の最後にある通り、「必要な財源を確保し、財政上の措置を講ずるよう努める」とある部分をふまえた、担当部署としての責務を果たすべきである。
 今回の厚生労働省のコメントでは、「国の財政支出については、財源に制約がある中で、他の福祉施策及びその他国全体の諸施策との間で均衡を図りながら、実現可能性や国民的な合意の必要性等を踏まえた検討」といったことが繰り返し述べられている。
 だとするならば、今回の第1期作業チームの報告を受け止めて、どの程度の財源が必要になっていくのか、その試算、並びにその基礎となるデーターの開示を担当部署として責任をもって行うべきである。

 総合福祉部会・作業チーム報告に対して、厚労省として色々な意見や思いがあるのかも分からないが、推進会議や総合福祉部会を意識するあまり、障害者施策の前進という肝心な点を見失わないようにしてほしい。推進会議・総合福祉部会の構成員も、厚生労働省も障害者の生活を少しでも向上させていくために努力するという点では同じ立場にあるべきであろう。
 現在、社会保障と税の一体改革の議論が政府で進められようとしている時に、先進国の中でも低位水準にある障害者予算を確保していくために、総合福祉部会メンバーと協力関係をもって、誠実に作業を進めていくことをお願いしたい。


総合福祉部会 第13回 H23.4.26 参考資料10-4

竹端委員提出資料

2月の総合福祉法部会における厚生労働省の「コメント」に関する質問

竹端寛(山梨学院大学)

1,「地域生活の権利」を保障するための、国の義務的な役割はどの程度のものだとお考えですか?

 今回のコメントにおいて、何度か「地域主権戦略大綱」を根拠に、部会の提案については「この流れを踏まえた検討が必要」という、否定的とも取れるコメントを出しておられます。一方、昨年6月に閣議決定された大綱においては、「ひも付き補助金の一括交付金化」の中で、「全国画一的な保険・現金給付に対するものや地方の自由裁量拡大に寄与しない義務的な負担金・補助金などは、一括交付金化の対象外とする」と書かれています。
 障害者権利条約19条で言われている「地域生活の権利」を守るための施策とは、その最低限のものは「義務的な負担金・補助金」として、全国一律に保障すべきであり、地方の裁量に任せるのは、最低限の義務を果たした上での、+αの部分であると私は考えます。
 厚労省はこの点をどうお考えですか?

2,作業チームの議論の経過を踏まえて、誠実なコメントを

 第一期の「地域生活支援事業の見直しと自治体の役割」作業チームにおいては、一つ一つの地域生活支援事業について、そのメリット・デメリットを比較検討した上で、最終的に「できる限り自立支援給付、義務的経費化」した方がよい、という結論をだしました。例えば、移動支援やコミュニケーション支援、補装具に関しても、現行の地域生活支援事業で行っている内容のメリット・デメリットについて、利用する当事者代表や自治体の長の立場など、様々な立場から議論をし、上記の結論に至っています。これは議事録を読んで頂ければご理解頂けると思います。
 一方、厚生労働省のコメントでは、「それぞれのメリットを踏まえて、サービス毎に検討される必要があると考えます」と書かれています。まず、私たちのチームの3回の議論をきちんと確認されましたか? その上で、どこが具体的にどのように「メリットよりデメリットが大きい」ので、地域生活支援事業に残したい、という主張なのでしょうか? 私たちの議論を踏まえる事なく、現行制度の枠組みを守るために、法施行時から厚生労働省が説明している内容について、その後の実態を踏まえることなく主張をしておられませんか? 私たちの議論を踏まえた上で、改めて地域生活支援事業の方がメリットは大きい、という根拠を明確にお知らせ下さい。

3,今回の留意点・コメントは上位規定ですか?

 今回の厚労省の「コメント」の書きぶりは、「厚労省が示した主な留意点」「部会作業チームの報告のポイント」「厚労省の主なコメント」と3つが並んでいます。これを普通に見れば、「厚労省の留意点」に対して、「作業チームの報告のポイント」がずれている部分を、「厚労省が主なコメント」として出した、と受け取る事ができます。まず、この認識でいいのでしょうか?
 厚労省の「留意点」とは、本来、『「障害者総合福祉法」(仮称)の論点』に関しての「留意点」です。また部会の議論の基本は、上記の「論点」にあります。上記の「論点」について納得しておられないのかもしれませんが、この「論点」に沿うことなく、厚労省が出された「留意点」のみに基づいて、それに沿わない「作業チームの報告」に関しては、「コメント」として反論する、というのは、部会の議論の流れに反してはいませんか? さらには、この留意点・コメントは、部会の総意で決めた「論点」よりも上位に規定されているもの、と厚労省はお考えですか?
 その点についての厚労省のお考えをお聞かせ下さい。

以上


総合福祉部会 第13回 H23.4.26 参考資料10-5

山本委員提出資料

厚生労働省コメントについて

山本眞理

 大前提として、障害者改革推進本部は「1 障害者の権利に関する条約(仮称)の締結に必要な国内法の整備を始めとする我が国の障害者に係る制度の集中的な改革を行い、関係行政機関相互間の緊密な連携を確保しつつ、障害者施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、内閣に障がい者制度改革推進本部(以下「本部」という。)を設置する。」としており、障害者権利条約の国内履行に向けての制度改革のために設けられている。
 したがって改革推進会議も更にその下にある、総合福祉部会も障害者権利条約の履行のための国内法整備を目的としているはずだ。
 21世紀最初の人権条約である障害者権利条約は障害者にのみ新しい人権を認めたものではなく、すでにすべての人に認められている人権を実質的に障害者に保障するための条約であり、人権問題である以上財政問題により左右されてはならない。人権の視点から総合福祉法(仮称)も議論されるべきである。
 なおもうひとつの前提として、厚生労働省の言う中立性・公平性・客観性および限られた国費というなら、まず心神喪失者等医療観察法の廃止。
 心神喪失者等医療観察法は精神障害者差別以外何の立法事実もない法律であり、差別と偏見を国家が作出助長し、更に何の効果ももたらさずひたすら社会的入院を作り出している法律であり、毎年200億円以上の費用が5年間積み上げられ、更に施設収容の1割が長期化することは厚生労働省も公言しており、この金額は青天井で伸びていく。廃止しかない

1 「法と理念」部会チーム報告書

○地域生活の権利保障法としての理念規定は必須

○権利法としての位置づけにより、更にすべての法律への波及効果が必要

○国民の合意はまさに政府が主導して得るべきこと

○障害者の定義について、全国一律で透明で公平な手続きを厚生労働省は主張している。定義が全国一律であっても、個別の障害者が求める支援が全国一律に支給される担保がなければ、何の意味もない
国の責務、およびナショナルミニマムは必須

○そもそも新法へのアクセスを権利として保障するためには相談支援は義務ではなく、この法の求める権利保障のための支援として、権利として規定される必要があり、それについては全国一律であるべき

○自立支援法下の申請権侵害は看過し得ない状況であり、何らかの歯止めは必須

2 「施設体系~訪問系」チームについて

○条約の以下をかんがみれば、他のものと平等な権利としての介助保障は当然であり、財政を理由として制限はあってはならない

前文

(c) すべての人権及び基本的自由の普遍性、不可分性、相互依存性及び相互関連性、並びに障害のある人に対してすべての人権及び基本的自由の差別のない完全な享有を保障する必要性を再確認し、

(なお外務省のサイト人権外交「人権外交 日本の基本的立場」以下にもhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken.html

「(3)市民的、政治的、経済的、社会的、文化的権利等すべての人権は不可分、相互依存的かつ相互補完的であり、あらゆる人権・権利をバランス良く擁護・促進する必要があること。」と明記されている

第3条 一般原則

この条約の原則は、次のとおりとする。

(a) 固有の尊厳、個人の自律(自ら選択する自由を含む。)及び人の自立に対する尊重

第5条 平等及び非差別〔無差別〕

第19条 自立した生活〔生活の自律〕及び地域社会へのインクルージョン

この条約の締約国は、障害のあるすべての人に対し、他の者と平等の選択の自由をもって地域社会で生活する平等の権利を認める。締約国は、障害のある人によるこの権利の完全な享有並びに地域社会への障害のある人の完全なインクルージョン及び参加を容易にするための効果的かつ適切な措置をとるものとし、特に次のことを確保する。

(a) 障害のある人が、他の者との平等を基礎として、居住地及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること、並びに特定の生活様式で生活するよう義務づけられないこと。

(b) 障害のある人が、地域社会における生活及びインクルージョンを支援するために並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(パーソナル・アシスタンスを含む。)にアクセスすること。

(c)一般住民向けの地域社会サービス及び施設〔設備〕が、障害のある人にとって他の者との平等を基礎として利用可能であり、かつ、障害のある人の必要〔ニーズ〕に応ずること。

3 「医療」合同作業チームについて

○「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」はあくまで障害者権利条約、12条、14条、15条、17条、19条、25条、26条を元に検討されるべきであり、そうした宣言を厚生労働省はすべきである