総合福祉部会 第5回 H22.7.27 参考資料1-2
岡部委員提出資料
論点C-1-1)にかんする参考資料
岡部耕典「当事者支援・権利擁護の点からみる地域生活支援」:季刊介護労働127号(2010.6)より抜粋
「支援を受けた自律」という課題
地域での自律/自立した生活に必要な支援において、日常動作にかんする身体的なケアはその一部に過ぎない。地域において自律する主体として生活するためには、障害者権利条約第19条が例示する「在宅サービス」と「居住サービス」だけでなく、同第12 条が求める成年後見制度の濫用防止やそのためにも必要な法的能力の行使(意思決定)に対する支援が必要な障害当事者もいることも忘れてはならない。
身体介護や動作的な活動の補完を行う〈自立〉のための支援と同時に、認知的な活動において当事者の意向を汲み取り一緒に考えるという認知的な活動に対する〈自律〉のための支援がパーソナルアシスタントによって提供される必要がある。つまり、「支援をうけた自立」と同時に「支援をうけた自律」を是とし、「自立支援」と同時に「自律支援」をパーソナルアシスタンスが提供する便宜の内容として確認する必要がある。
自立支援と自律支援の便宜の内容 1
類型 | 便宜の内容 |
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自立支援 |
<上記の便宜の内容に加えて下記等を含み、かつそれが統一的に提供されることが必要>
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自律支援 |
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なお、金銭管理/利用支援はきわめて重要な地域生活支援であり、その意味からは地域福祉権利擁護事業と相談支援事業の一体化も検討されてよいだろう。成年後見制度をあくまで「ラスト・リゾート(最後の拠りどころ)」とするための取り組みが――その個別給付化の手前に――求められているのではないだろうか。2
注
1 岡部耕典(2006)『障害者自立支援法とケアの自律』明石書店,p.118
2 その実践として、寺本晃久・岡部耕典・末永弘・岩橋誠治(2008)『良い支援?』生活書院、ピープルファースト東久留米『知的障害者が入所施設ではなく地域で生きていくための本』生活書院など。