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総合福祉部会 第5回 H22.7.27 参考資料6-1

野原委員提出資料

(第5回総合福祉部会)「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見

提出委員 野原 正平

* ここでいう「難病」とは、狭い意味での難病=特定疾患(医療費の公費助成対象:56疾患)のみを指すのではなく、広い意味で、5,000~7,000ある(厚労省)とされる「原因や治療法がわからない」難治性疾患や、長期慢性疾患、小児慢性疾患も含めた医学的、福祉的、社会的総合概念として使用しています。

Ⅰ 論点の各論に入る前に、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向」(第1次意見)…平成22年6月7日、障がい者制度改革推進会議…について、他に表明する場がないのでこの機会に2点の意見を述べます。

 (1)難病や高次脳機能障害、発達障害など、わが国の障害者施策になぜ多くの谷間ができたのか。難病についてみると、第1 次意見書では70 年代に「難病対策要綱」が実施されたことが叙述(32ページ)されています…が、上記の問題意識は欠落しています。
 難病患者側からみると、私たちが毎年約90万筆の全国的な国会請願署名で「難病の総合対策」を訴えてきた(何回かは採択され、何回かは不採択になった)にも拘らず、国は①「難病は医療(治療研究)の対象」として狭くとらえ、したがって「福祉の対象」から疎外されてきたということ、②「難病対策要綱」の果たしてきた医学における先進的役割や、その分野でニーズに基づいて実施されてきた不十分な「福祉的役割」について、未整理のまま長期に放置されてきたということが言えると思います。
 前記の理由も関係して、患者の生活実態調査も行われてないことから、データもなく科学的な検討が行われ難い現況でもあります。このまま進めば、「立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見も十分踏まえることなく施行した」拙速の結果、多くの障害者を傷つけた「この反省を踏まえて、今後の施策・実施に当たる」(弁護団と国との基本合意:二-2)とした「基本合意」にもとり、障害者自立支援法の失敗の二の舞になる心配はないのか懸念されます。
 この問題の整理は、本部会での今後の論点や施策展開に大きく絡むと思われます。

 (2)4)医療(20ページ)についての「問題意識」が、「特に精神医療に関しては、医療と福祉が混在し制度上の問題点を多く含んでいる精神保健福祉法の抜本的改正が必要である」とされ、精神の問題に多く言及し、痰の吸引などが注視されています。
 しかし、難病患者は、医療と福祉に関して注目されている精神の患者・家族と同じような、またはそれ以上の制度上の問題を含めた難問題を抱えています。病気そのものが解明されていない、医療保険すら適用されない(病気の研究・解明がされていない)多くの患者・家族がいます。高額の治療費を生涯払い続けなければならず、これができなければ生きていくことが困難な事例がたくさんあります。薬の開発もされず、あっても保険外適用で使えないで苦慮している数千疾病におよぶ稀少難病の人たち、慢性的な痛みや気持ちの悪さ、他の諸症状のために社会生活が著しく制限されているが医療でも福祉でも救われずにジッと我慢して生きている患者たちが実に多くいます。…こういうことがなぜ推進会議のみなさんの問題意識に上らないのか…理解に苦しみます。これで、「難病を含めた福祉」が実態に即して論議が進むのだろうかと大きな不安を抱かざるを得ません。私たちは、こういう事態が起こり得ることを懸念して第1 回総合福祉部会への意見書でもそれ以前にも推進会議や部会への難病患者当事者の参画・増員を強く求めてきました。
 上記2点の意見について、推進会議の見解をお聞きしたいと思います。

(3)なお、この意見をまとめるにあたり、日本難病・疾病団体協議会の加盟組織より意見が寄せられており、参考資料として添付するので新法づくりにあたってはこれらの意見も考慮することを要望するものです。(これらの加盟組織からの意見は、日本難病・疾病団体協議会の見解とは必ずしも一致しない点もありますが、そのまま掲載しました。)

Ⅱ 示された論点についての意見

 「難病と福祉」「医療と福祉」の関連と大枠での整理ができていない中で示された各論点については、全体の論点設定もこれで良いのかという問題意識もあり、意見が出し難いというのが実感ですが、現状での意見を以下述べます。

(以下、論点に対する意見として資料2-1~資料2-5に掲載。