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総合福祉部会 第5回 H22.7.27 資料2-2

「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見(分野A 法の理念・目的・範囲)【その2】

目次

(分野A 法の理念・目的・範囲)

<項目A-4 支援(サービス)選択権を前提とした受給権>

論点A-4-1) 「地域で生活する権利」を担保していくために、サービス選択権を前提とした受給権が必要との意見があるが、これについてどう考えるか?

論点A-4-2) 条約第19 条の「特定の生活様式を義務づけられないこと」をふまえた規定を盛り込むか、盛り込むとしたらどのように盛り込むか?

論点A-4-3) 障害者の福祉支援(サービス)提供にかかる国ならびに地方公共団体の役割を どう考えるか?

<項目A-5 法の守備範囲>

論点A-5-1) 「総合福祉法」の守備範囲をどう考えるか?福祉サービス以外の、医療、労働分野、コミュニケーション、また、障害児、高齢者の分野との機能分担や(制度の谷間を生まない)連携について推進会議の方向性に沿った形でどう進めていくか?

論点A-5-2) 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法、その他の既存の法律のあり方、並びに総合福祉法との関係についてどう考えるか?

<項目A-6 その他>

論点A-6-1) 「分野A 法の理念・目的・範囲」についてのその他の論点及び意見

(分野A 法の理念・目的・範囲)

<項目A-4 支援(サービス)選択権を前提とした受給権>

論点A-4-1) 「地域で生活する権利」を担保していくために、サービス選択権を前提とした受給権が必要との意見があるが、これについてどう考えるか?

【伊澤委員】

○ 結論

 支援の受給に関する権利を明示する必要は感じる。

○ 理由

 ただ、選択権と併せ、個別の計画だてが出来る仕組みが必要だが、支援の社会資源が足りない状況の中でどこまで強調できるか疑問もある。

【石橋委員】

○ 結論

 「権利」ばかりを主張するのは如何なものか。
 基本的人権が保障され、憲法を順守する法であれば、当然サービス選択権は事前に存在する。

○ 理由

 サービス選択権や受給権は、支援(サービス)が社会に構築され、当事者のニーズを把握できる相談体制の確立が前提です。

【氏田委員】

○ 結論

 障害者自立支援法では障害程度区分により受けることのできるサービスが限定されているので「受給権」が必要と思うが、新しい法律が本人主体の法律になった時、「受給権」という文言が適切か検討する必要がある。

○ 理由

 ノーマライゼーションの考え方でいえば、障害者は、障害があるために必要な特別な援 助を求める権利を有する。受給は、給付を受けるということでは、受動的で「権利の主体」にふさわしい文言と思わない。本人のサービス選択権と選択したサービスは合理的配慮のもとに保障されることを「受給権」という文言でなく明記すべきである。

【大久保委員】

○ 結論

 受給権を明記することは難しいと考える。

○ 理由

 受給権を明記した場合、個々人によって異なるニーズに対して、サービスの種類やサービスの支給量の確保が求められることになる。現実のサービス基盤の整備状況や財政規律、客観的かつ公平な支給決定などを考えた場合、受給権の明記は困難と考える。

【大濱委員】

○ 結論

 明記すべき。
 地域生活における必要な介護制度の保障、住宅保障を含めて、行政責任で担保することも明記すべき。
 重度の障害者がホームヘルプサービスを希望しているのに、単価の安い集団介護(デイサービスや通所・ショートステイ)を事実上強要する事例が多く見られる。こういう強要がされないようにすべき。

○ 理由

 必要な人に対しては、長時間の介護の保障がされるべきであり、同時に地域で暮らすためには住宅の確保(行政による賃貸契約の保証人代行サービスなど)もされる必要がある。

【岡部委員】

○ 結論

 受給権には24時間の見守り支援を含むサービスの選択権が前提とされるべきである。 (論点A-3-2 を参照のこと)

○ 理由

 「他の者との平等の選択の自由をもって地域社会で生活する平等の権利」(条約第19条)を担保するためにはそのために必要なサービスの選択の自由も確保されなくてはならない。

【小澤委員】

○ 結論

  • 質問の理解がむずかしい。
  • 改正・障害者基本法と、予定・障害者差別禁止法の2つの法に明記すればよいと思う。

【小田島委員】

○ 結論

 施設から出てきたときに、必要なお金を、国や市役所が出すようにする。

○ 理由

 施設から出てきても、お金がないと地域で暮らせないから。

【小野委員】

○ 結論

 受給権のみではなく、請求権を前提とした制度とすべき。その際にも、障害程度区分の 廃止が必要になる。

○ 理由

 受給権のみだと、本人の権利としての性格付けが弱いため。

【門屋委員】

○ 結論

 個別性があることを前提として、基本的には支援選択権による受給権があるべきながら、個人によっては選択には際限がないことや、支援の社会的整備の未成熟などによって提供できない限界も考えられることから、一定の受給の制限が起こりうると考える。

○ 理由

 いつの時代にも、社会の情勢に応じて支援の具体的内容は制度としても変化することが予測される。基本的には最低生活の保障を基準として支援の内容を常に最低生活を満たすものとして作る必要がある。病院・施設などでの生活も否定されるべきではなく、生命の維持継続などに関しては、現状ではどの地域でも生活可能とはいえない。努力目標としての支援整備は将来に向けての課題であることから、選択権=受給権とはなりえないと考える。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 基本的には賛成であるが、サービスの選択に当たっては、選択できるサービスが十分に用意され、自分にあっているものを選べる権利が選択権である。受給権に関係する手帳制度の見直しも必要になると考える。

○ 理由

 サービスの選択権は十分な情報の説明とそれを理解する支援を受けた上で判断すべきことである。申請主義で何の説明もなく、「申請がないから受給権なし」とならないように、常に情報を与えられながら、利用者にとって必要なサービスを選択し、受給できるようにすべきである。

【北浦委員】

○ 結論

 障害者が、自己の生活の場を自らの選択により決定することは当然の権利であり、そのために必要なサービス基盤・制度が多様に構築されなければならない。

○ 理由

 障害者が、自らの必要に応じて、給付を申請する権利があるが、サービス受給権があっ ても、給付が受けられるサービス基盤がなければ受けることができない。

【北野委員】

○ 結論

 「支援の受給権」「支援の選択権」ともに必要不可欠である。

○ 理由

 「その日常生活で、分かりづらい・やりにくい・使いにくい等の状況のあるすべての市 民が、自ら選びとった他の市民と同様の役割や社会参加・参画する権利を行使するため」 には、「必要な支援や合理的配慮を権利づけ」なければならない。その際、必要な「支援 の受給権」は、当然のことであるが、それが「自ら選びとった市民生活」として成立する ためには、「支援の選択権」もまた必要不可欠である。

【君塚委員】

○ 結論

 要検討

○ 理由

 社会資源、事業者側の安定などが関係するので、その整理・改善無くしては絵に描いた餅に終わる心配がある。限られた資源において、ニーズとウオンズ(wants)とが、交錯して、一定の上限や内容をきめる区分が必要である。重度な方を排除しないような、そして声の大きな人の一人勝ちと成らないような仕組みが不可欠である。

【齋藤委員】

○ 結論

 地域で生活する権利を保障していくためには地域生活するためのサービスの受給権が認められなければならない。しかし、サービス一般の選択権を前提とする受給権としてしまうとどんなサービスでもこれを保障しなければいけないことになってしまう。

【清水委員】

○ 結論

 同意

○ 理由

 自分が自分として生きるために、自分の存在のねうちに基づいて、必要な支援を得る権利を明確にすべき。それは、一人ひとりの(個別的な)ものであるから。

【竹端委員】

○ 結論

 必要なサービスを選ぶ権利と、必要なサービスを受ける権利のふたつは特に必要です。

○ 理由

 今までふたつの権利を守るとは法のなかに書かれていませんでした。だから、重い障害があるから、○○だから、という理由をつけ、地域でのくらしをあきらめ、施設や病院でくらすしかない、と言われてきました。これはさべつです。このさべつをやめるためには、地域であたり前(他の人との平等)のくらしをする上で、必要なサービスを選ぶ権利と、必要なサービスを受ける権利のふたつを法で保しょうすべきです。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 障害者が基本的人権の主体として、その有する権利自由を行使するために必要な「支援を受ける権利」は、憲法の諸規定を根拠とする権利として認められるべきである。なお、「受給権」という用語については、障害者を契約の主体、あるいは人権の主体と捉える新法において、適切な用語といえるのか、検討する必要がある。

○ 理由

 障害者に「地域で生活する権利」が実質的に保障されるためには、障害者が自ら選択した支援を受けることが「権利」として保障されることが必要である。そして、この「権利」が憲法の諸規定により支えられたものであることを明確にしておくことが、財政的事情により支援が不相当に削減されることを防止するとともに、地域間格差を解消するための契機にもなると考えられる。

【田中(正)委員】

○ 結論

 受給権を明記するには、環境整備(基盤整備と財源確保)が必要なため、現状では難しい。

○ 理由

 現実のサービス基盤の整備状況や財政規律、客観的かつ公平な支給決定などを考えた場合、現状では困難である。

【中西委員】

○ 結論

 サービス選択権を前提とした受給権を認めることは、総合福祉法の中で実現すべきである。障害者基本法の中にもサービスの受給権を明記し、さらに差別禁止法を制定し介助を受けて地域で暮らす権利を謳うべきである。

○ 理由

 障害者自立支援法の欠陥はサービスの受給の権利が明確でなかったため国庫負担基準が設けられた点にある。今後このようなことが起こらないためにもサービス受給権を法律上、総合福祉法の中では明記する必要がある。

【中原委員】

○ 結論

 選択権を前提とした受給権を担保するには、本人の望むサービスを選択することが可能となるよう、十分な基盤整備が必要である。

○ 理由

 サービスを選択し利用する権利があっても、利用できるサービスがなければ意味をなさない。サービスの基盤整備と利用するための仕組みつくりが大切である。

【奈良崎委員】

○ 結論

 福祉サービス情報を流すことが大切

○ 理由

 テレビやラジオや新聞などに載せること大切

【西滝委員】

○ 結論

 サービス選択権は聴覚のみの障害者にとっては特に必要とはしない。手話通訳者の設置や派遣が社会制度としておこなわれている現在、固有の手話通訳サービスの選択権はかえって混乱や手話通訳事業の発展への弊害を招くことになる。

○ 理由

 「いつでもどこでもどんなときでも」派遣できる手話通訳制度を求めている。そのために「ポストの数ほどの手話通訳者」を養成してきた。今後も聴覚障害者のためのみならず、手話通訳を必要とする国民全体のためのコミュニケーション保障制度を目指したい。

【野原委員】

○ 結論

 社会的な基盤整備は、選択権担保の重要な前提である。

○ 理由

 医療、療養病床の整備、ピアカウンセリングを含めた相談支援、経済的自立支援などの社会的なサポート、合理的な配慮はサービスの選択権を担保する重要な基盤である。

【東川委員】

○ 結論

 障害者を「権利をもつ人」とするならば、支援を受ける権利は、当然必要である。また、自己決定や自己決定をするための支援を考えに入れた相談のしくみが必要であり、そこにピアサポートやセルフマネジメント(同じ障害を持つ仲間同士の支援や評価。判定)を位置づけることも必ず大切である。

○ 理由

 選ぶ権利がなければ、権利が保障されているとは言えない。そのためにも、住んでいる地域による差を生み出さないような仕組みが必要である。

【平野委員】

○ 結論

 サービス選択権を保障するためには、「自分にはどんなニードがあるかを知る」「そのためにどんな解決方法があるのかを理解する」「サービスを利用しようという意欲を持てる(問題を解決しようと言う意欲を持てる)」「どうやってサービスを利用出来るか制度にアクセス出来る」ということが保障されなければ、選択権は実効化されないと思える。

○ 理由

 知的障害者や精神障害者の場合、そもそも自分が要援護状態にあることを自覚していなかったり、適切な理解が図られないこともしばしばある。また、ひどい状況に放置され、サービス利用の意欲を喪失していることも少なくない。サービス選択も大事が、その前に障害をエンパワメントし、制度にアクセスする支援がなければならない。

【福井委員】

○ 結論

 「地域で生活する権利」を担保するため、サービス選択権を前提とした受給権の必要は、当然の権利である。

○ 理由

 前提として、現状の社会資源の乏しさを急速に克服していく、格段の公的努力が望まれる。と同時に、障害者に対する差別、無理解を無くしていくための教育の普及、世論の構築が必要であることは、論をまたないところである。

【藤岡委員】

○ 結論

 当事者に支援選択権のあることを条文で明記すべき。

○ 理由

 支援請求権が根拠は憲法第13条の自己決定権であり、当事者に選択権があることが根本だから。
 在宅支援を求める当事者に公権力が収容施設での入所を選択する権限は原理的にない。
 にも関わらず、それを条文で明記しなければ、そのような不条理が抑止できないから。

【増田委員】

○ 結論

 地域の中に多様で選択できる社会資源や支援システムが,地域格差なく用意されていく必要がある.その中で支援を受けながら選択できる仕組みも丁寧に構築していく.

○ 理由

 障害程度区分の仕組みなどで必要な支援が制限されたり,必要な支援が受けられないような状況を改善することが緊急の課題である.そうした基盤整備の中で選択する権利や支援を受ける権利が行使できる.

【三浦委員】

○ 結論

 いかなる地域にあっても、サービスの選択を可能とするためのサービスの基盤の整備(サービス事業所の量と質、運営条件の確保)と、必要なだけのサービスを受給できるような財政基盤づくりが不可欠である。

○ 理由

 現状で、地域生活支援サービスの基盤整備は極めて不充分なうえに、サービスの支給量制限がある。
 権利(受給権や選択権)が示されても、誰が、どのように支援メニュー(選択肢)を準備するのかが問題。生活が描けない現状と財源を見合わせ、可能な基盤整備を急ぐべきであると考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 必要性は同意する。しかし地域は市町村だけでなく広域の市町村も視野に入れるべきでないか

○ 理由

 地域では選べる資源や福祉サービスの提供がないところがある。選べるサービスがない場合に広域の市町村でサービスが選択でき利用できるような制度にすべきでないか

【森委員】

○ 結論

 必要という意見について賛同する。

○ 理由

 地域で生活する権利を担保するためには、サービス選択権を前提とした受給権は必須のことである。また、サービスの選択肢の幅を拡げることは、誰もが暮らしやすい社会実現のためにも重要である。

【山本委員】

○ 結論

 必要である

○ 理由

 選択肢が非常に限られた中で、施設や精神病院で暮らさざるを得ない実態があり、また退院条件としてグループホームやケアホームに入り、日中活動も強制される例があり、選択権は重要である。

論点A-4-2) 条約第19 条の「特定の生活様式を義務づけられないこと」をふまえた規定を盛り込むか、盛り込むとしたらどのように盛り込むか?

【荒井委員】

○ 結論

 3-2における「すべての障害者が、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利」の議論に包含して、議論してはどうか。

○ 理由

 2)「特定の生活様式を義務付けられないこと」は、3 2)の理念規定で論点と重複するのではないか。

【伊澤委員】

○ 結論

 表現はすぐには思い浮かばないが、「(年齢相応の)あたりまえの暮らしの実現」を要素として盛り込む。

○ 理由

 障がい者というだけで特別の生活様式の押し付けはNG。精神科病院での療養という名の特殊な生活の強要は、やはりあってはならない。

【石橋委員】

○ 結論

 「義務」ではなく「努力する」方向性を示すにとどめる。

○ 理由

 生活様式は、人それぞれで形にはめる事ができないのが現実である。
 問題は選択肢がないことである。
 また、生活様式の定義が必要。おそらく施設を想定されたものであろうが、それならば明確にそのように記載されるべきではないか。
 なお、施設での生活を選択する権利もあることを踏まえれば、選択権で保障できると考える。

【氏田委員】

○ 結論

 条約第19条の「どこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと」を基本として考えるなら、論点A-3-2 のところで述べたように、「障害者が自分の意思で地域生活および地域生活のスタイルを選択できる権利」を明記する。

○ 理由

 他者の決定に従わざるを得ない状況は権利侵害に当たる。
 自らの選択を前提とした「地域で生活をする権利」を新法では担保すべきである。
 尚、選択肢が少なく限られているという現状があるので「選択肢を可能な範囲で準備す ることを求めることが出来る」という権利が保障される必要がある。

【大久保委員】

○ 結論

 「特定の生活様式を義務づけられないこと」をそのまま規定に盛り込むことは不適当と考える。権利条約の「どこで誰と生活するかを選択する」という「自らの選択」を基本とすることによってその主旨を反映できるものと考える。

○ 理由

 「特定の生活様式を義務づけられないこと」については、その解釈についての議論が不十分であるとともに、そのまま規定に盛り込む文言としても難解であると考える。また、権利条約の「どこで誰と生活するかを選択する」という「自らの選択」を基本とすることによってその主旨を反映できるものと考える。なお、「選択」は、選択肢が用意されることが前提だが、選択肢が限られているなかでの選択については、「特定の生活様式を義務づけている」ことにはならないと考える。

【大濱委員】

○ 結論

 入所施設やGH・CHではなく、自宅(借家での1人生活も含む)で暮らすことも選択できるように権利として具体的に明記すべき。
 また、デイサービスなど日中のみ特定の場所に集まって集団介護を受ける事も特定の生活様式といえる。これも強要(義務付け)されない事を明記すべき。訪問系サービスなど1対1の介護を障害者が選べば、それを受けられる事を明記すべき。

○ 理由

 長時間介護利用者は、市町村より「重度訪問介護の予算が足りないので、デイサービスなど集団介護に行くように」と強要される事例が多い。

【岡部委員】

○ 結論

 盛り込むべきである。また、福祉法という性格上、サービスの選択権を前提とした受給権の確保というかたちで整理される必要がある。(論点A-3-2で具体的に言及)

○ 理由

 入所施設やグループホームなどの特定のサービスしか選択できないことによって「特定の生活様式」を強いられることを防止するため。

【小澤委員】

○ 結論

  • この部分は、政府仮訳では「特定の生活施設で生活する義務を負わない」(2009 年)とあり、質問の訳文と相当異なるので、回答が困難。
  • 一般的に、生活様式という表現は、その人の文化、宗教、行動規範をすべて含むので、この法に、そのような表現はなじむのかは疑問。

○ 理由

  • 英文と比較しても、いずれの訳がよいのか、はんだんできないので、ほりゅうします。

【小田島委員】

○ 結論

 本人が自分のことは自分で決められるようにする。

○ 理由

 親や施設の職員が全部決めてしまうから。

【小野委員】

○ 結論

 そのままの表記を規定に盛り込むべき。これについても、障害程度区分の廃止が必要。

○ 理由

 入所施設への長期入所、精神科病院の社会的入院を解消するため。

【門屋委員】

○ 結論

 義務付けることはすべきでないが、現実には特定の生活様式を選択せざるを得ないことは起こりうると考える。

○ 理由

 法的に障害ゆえに特定の生活様式を義務付けるとする規定はあってはならない。義務付けなくとも結果義務的になる事例に関しては、権利の侵害が起こっているかどうかを基準として判断されるべきである。事例によって改善や制度改革や資源開発を繰り返していくことが今後の課題である。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 盛り込む。「障がい者は自ら住む場を選択し、主体的に地域で暮らす権利をもつ。そのためには障がい者の自己決定支援をし、サービス・社会資源の整備・充実を行う必要がある」

○ 理由

 障がい者が地域社会で障がいの無い人と等しく生活するためには、本人中心計画に基づいたサービスが提供されるべきで、そのことは保障されるべきと考える。

【北浦委員】

○ 結論

 特定の生活様式を義務づけるとは、施設入所のようなサービス体系を指すと受け取れるが、施設入所は本人の生命の維持のために選択したのであって、特定の生活様式を義務付けたものには当たらない。生存権の維持のために施設入所も多様な選択肢としてあるべき姿である。

○ 理由

 障害者の支援サービス体系の一つとしての施設入所を、特定の生活様式を義務付けるものとして排除することになれば、重い障害のある者については、必要とする支援サービスが受けられなくなって、生命を維持する権利が損なわれることになり、逆差別になるのではないか。

【北野委員】

○ 結論

 その日常生活で、分かりづらい・やりにくい・使いにくい等の状況のあるすべての市民が、自ら選びとった他の市民と同様の役割や社会参加・参画する権利を行使するために、必要な支援や合理的配慮を権利づければ足りる。

○ 理由

 「自ら選びとった他の市民と同様の役割や社会参加・参画する権利を行使」した生活とは何なのかを鑑みれば足りる。

【君塚委員】

○ 結論

 この規定の言葉の意味するところが曖昧である。要検討。

○ 理由

 義務づけをしないと守れなくなることも考える必要がある。

【近藤委員】

○ 結論

 「住まいの場」については、自己選択・自己決定の尊重が必要であるが、選択肢がないことや必要とする所得がないため、特定の生活様式を選ばざるを得ない状況を作り出さないための規定が必要である。
 そのためには、住まいの場や支援サービスの整備、所得保障策を促進する規定が必要である。

○ 理由

 本当の「選択」を可能とする基盤整備と、必要とする所得の確保が不可欠なため。

【齋藤委員】

○ 結論

 地域で生活する権利があいまいなものになってしまわぬよう、特定の生活様式が強制されない様な規定は必要である。特定の生活様式とは条約第19条にあるように、地域社会から孤立及び隔離となるような生活を指すことを規定すればよい。

【清水委員】

○ 結論

 盛り込むべき

○ 理由

 結果的に特定の生活様式を義務付けてしまっていることをまずきっちりと認識し、私たちの今までを悔い改めなければなりません。しかし、もちろんその方向を目指し努力していくことであり、一足飛びに解決することとは思えません。それでも方向だけはしっかりと。そのことがみんなの希望にもつながると思うのです。

【竹端委員】

○ 結論

 「障害をりゆうに、くらす場所やくらし方が限ていされてはならない。今、入所しせつや精神びょういんに入っている人みんなに聞きとり調さをして、出たい人は出られるようにする。」という地いき移行についての規定をいれる。

○ 理由

 どんなに重い障害がある人にも、地域でのあたりまえ(他の者との平等)のくらしを保しょうすること、そのために必要な介じょや医りょう的なケアも地域でととのえること、がひつようです。そうしないと、入所しせつや精神びょういんといった「特定の生活様式」でしかくらせないと「義務づけら」れるひとが出てきます。それをしないための、具たい的な規定がひつようです。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 「特定の生活様式を義務づけられないこと」については、差別禁止法の内容として盛り込むべきである。

○ 理由

 新法は障害者の基本的人権の行使を実質化するために必要な「支援」を受けるためのものであると位置づけることが適切である。そして、障害を理由として、一定の生活様式を義務付けられるとすれば、それは憲法14条違反の問題として、差別禁止法の中で禁止され、是正が図られるべき問題であると考えられる。

【田中(正)委員】

○ 結論

 「特定の生活様式を義務づけられないこと」を規定に盛り込む場合は、現状の変更に対する猶予期間が必要となる。段階的な対応が求められる。

○ 理由

 「特定の生活様式を義務づけられないこと」の解釈について議論が必要。
 規定に盛り込む前の共通理解が必要。権利条約の「どこで誰と生活するかを選択する」という「自らの選択」を基本とする暮らしの希望を確認することから始めることが望ましい。

【中西委員】

○ 結論

 総合福祉法の目的で地域での自立生活を目的とすることとともに19 条の特定の生活様式を義務付けられないことを書き込む。

○ 理由

 自己選択による決定といわれ、在宅サービスがない選択肢がない中で施設を選ばされてきた現実があり、施設での生活を義務付けられてきたといえる。間接差別が行われていたといえる。誰もが自分の選択ができるように、充分なサービス利用権を認めた上で、個人が選択をできるようにすべきである。

【中原委員】

○ 結論

 「特定の生活様式」の解釈についての議論が不十分であり、このまま規定に盛り込むのは適当でない。
 そもそも、従来の措置制度にかわり、平成15年より施行された支援費制度以降は利用契約制度であることから、現状において義務づけとはなっていない。

○ 理由

 問題なのは、地域の基盤整備が脆弱なことで選択肢が少ないことである。また、利用者本人の希望を十分に把握した上で、その人にあった最適な生活様式を選択する仕組みが不十分なことである。

【奈良崎委員】

○ 結論

 盛り込むこと

○ 理由

 私たちは、どこでだれと一緒に暮らすのか、自分で選ぶことができます

【西滝委員】

○ 結論

 社会環境の整備が十分ではない現状において自己選択・自己決定が厳しい現実の中で、「特定の生活様式を義務づけられない」ことが本人の不利益につながることになるのであれば盛り込まないほうが良い。

○ 理由

 「特定の生活様式」を求めるか否かは自己選択・自己決定による。多面的で豊富な支援の方策の充実が前提条件である。

【東川委員】

○ 結論

 現在の医療観察法の課題などを考えると、第19 条の「特定の生活様式を義務づけられないこと」を盛り込むことは必要である。こうした法律の必要性そのものを論議することがまず求められるが、必要であったとしても、その決定権を医療関係者だけにまかせるのであってはならない。当事者代表や市民、司法関係者などで検討するような新たなしくみの検討が求められる。
 宗教上の生活の仕方の違い、生まれ育った家庭環境の習慣の違いなどは社会の決まりを大きく外れている場合以外は決して強制や義務ずけられてはならないと思う。

○ 理由

 障害があっても、当たり前の市民としての権利が認められないことは、原則としてあってはならない。

【平野委員】

○ 結論

 特定の生活様式を障害当事者の意向等を無視して強制することが問題であり、特定の生活様式が問題ではなく、それを強制することが問題であると考えられる。規定するとすれば「正当な理由なく、本人の意に反して特別な生活様式を強制してはならない」とすべきではないのか。

○ 理由

 障害者の「最善の利益の保障」という観点からすれば、「特定」だからその選択肢を拝上することは障害者の利益を損なうこととなる(障害者が施設を利用する権利もある…必要なサービスを受ける権利)。障害者にとって必要であれば、それを奪うことは好ましくない。ただ、本人の意向などを尊重せずに強制することは、障害者の権利を尊重する立場と相容れないので、「強制する」ことは解消すべきである。

【福井委員】

○ 結論

 権利条約のこの規定は、当然盛り込むべきである。

○ 理由

 施設や病院での生活を余儀なくされている人たちも、地域で当たり前に暮らす権利を有するからである。望ましいところでの生活を強制してはならず、国も自治体も必要なサービスを提供し、障害のない人と同じように、地域の公共サービスを快適に使用できるようにしなければならない。

【藤岡委員】

論点A-3-2)で触れました。

【増田委員】

○ 結論

 現在,特定の生活様式を義務付けられて暮らしている人の実態を明らかにする必要があ る.
 その実態から規定を考えていく.

【三浦委員】

○ 結論

 実現可能で皆が合意できるかたちの規定を検討する。

○ 理由

 現状では、条約で言う特定の生活様式(入所や入院)を希望する人々、その様式外では、生命の危機にさらされると感じる人々が数多くおられる。
 その人々を無視・否定はできない。問題は生活様式を義務づけられることであることを明らかにして、合意形成をはかるべきである。

【光増委員】

○ 結論

 特定の生活様式の表現ををわかりやすくした上で規定を盛り込んではどうか

○ 理由

 特定の生活様式に長時間、継続的に拘束される問題を条約では解釈しているが、特定の生活様式の住居や日中活動を一時的、経過的に使わざる終えない現状も論議する必要がある。谷間に置かれがちな人、福祉サービスを受けようとしても受けられなく困難な生活が続いている人と家族も多くいる現実もある。

【森委員】

○ 結論

 誰と、どこに、住むか自己決定、自己選択権を明記すべきである。

○ 理由

 地域移行や地域生活支援の充実を柱に据えた施策の展開が必要である。

【山本委員】

○ 結論

 盛り込むべきである。法の目的として掲げられるべき

○ 理由

 この法律が誰のために何のためにというところで述べたように、支援を必要とする人が他のものと平等な基本的人権を享受するために最も重要な点である

論点A-4-3) 障害者の福祉支援(サービス)提供にかかる国ならびに地方公共団体の役割をどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 障害者施策について、国は制度設計者としての責任を負い、また、全国的にサービスを保障する観点から、確実な財政措置を講じる責任を負うものである。
 また、地方公共団体は、障害者に身近な実施主体として、地域の実情や利用者のニーズに応じた、的確な事業を実施できる権限と責任を持つ必要がある。
 現在、教育、雇用、福祉、年金・共済等、障害者の自立生活に大きく関わる各種支援主体は、国(労働局、年金機構)、都道府県・市町村(首長部局(福祉、雇用)、教育委員会)に役割分担が分散し、入り組んでいるので、役割の明確化を図るべき。

○ 理由

 近年、国においては、地方公共団体に新たに負担が生じる制度の創設や安易な制度の組み替えを、突然かつ一方的に行うことが多く見られるが、こうした国の措置により、その都度地方公共団体は混乱させられ、財政運営に重大な支障を来たしてきた。
 地方公共団体において安定的に事業が円滑に実施できるよう、役割分担を明確化するとともに、必要な財源が確保されなければならない。

【伊澤委員】

○ 結論

 最低限は、国が持つ!

○ 理由

 現状の手薄いナショナルミニマムの拡大を前提に、それの堅持は必要。地域の特性に沿う部分において地方の権利明示も必要だが、福祉的な施策推進の保障としての国が責任を明確にするべき。

【石橋委員】

○ 結論

 国:法律とそれを裏付ける財源。
 地方公共団体:支援(サービス)の構築、提供。

○ 理由

 47都道府県、市区町村どの地域でも平等な支援(サービス)を受けることができることを前提とする。
 ただし、税の配分、地域主権の動向によっては、別途論議する必要がある。

【氏田委員】

○ 結論

 国は、最低限の保障をナショナルミニマムの明示として担保すること。地方公共団体は、地域福祉の担い手として福祉サービスを準備、提供し、その役割を果たすことを求めたい。

○ 理由

 自治体における福祉サービスのとりくみの格差が、年々広がっている。地域での裁量の比重がおおきくなっていく方向であるが、憲法25 条の生存権が保障され、どの地域に住んでいても、必要最低限度の福祉サービスをうけられるようにするために、国は役割を果たさなければならない。
 地方公共団体がインクルーシブな支援を行えるよう(住み慣れた街で必要な支援を受けることができるよう)、国は、その仕組みを作り出さなければならない。

【大久保委員】

○ 結論

 国はナショナルミニマムとしての社会福祉サービスを確保し、地方公共団体は、インフォーマルなサービスの推進を含めた地域福祉の主体としての役割が求められると考える。

○ 理由

 今後、地域主権(地方分権)の方向で、地方が主体的に創意工夫のもと、地域福祉を推進していくことが望ましいと考えるが、その一方で、国はナショナルミニマムとしての社会福祉を確保することが求められる。福祉分野において、現状の地方公共団体の財政や人材等を考えた場合、依然として国の役割は大きい。今後、地方の成長に向け、国は、現状の義務的経費とその負担割合、一括交付金、税源移譲等の取扱いなどの財政的支援の在り方を見直しすることも必要と考える。

【大濱委員】

○ 結論

 市町村の責務について、自立支援法では2 条1項で「障害者が自ら選んだ場所で自立した生活ができるよう支給決定を行う」という規定を具体的に担保すべき。そのために訪問系サービスの事業費の市町村負担25%分は、利用者が1日8時間以下の利用に限って負担させ、1日の利用が8時間を超えた部分は、国の責務で国と県でほぼ全額負担する方向を明記すべき。(市町村負担を1%程度に)。

○ 理由

 小規模市町村、過大な財政赤字市町村でも自立した生活を営む権利を保障する制度設計であるべき。
 「自ら選択した地域において自立した生活を営む権利を有する・・・制度の構築に当たっては、地域間格差が生じないよう十分に留意する。」(一次意見)があるが、最重度の障害者への支給決定においては、多くの市町村で守られていない。この規定のさらなる強化が必要。

【岡部委員】

○ 結論

 援護の実施においては基礎自治体、財政費用においては国が最終責任を持つことを明確にすべきである。

○ 理由

 障害者自立支援法が給付法となったことで公的責任が不明確になっている。国の負担が国庫負担基準によってシーリングされていること、市町村の責務(支援法第2条)が生活実態の把握及び計画・給付管理・情報提供・相談支援等に留まっている点を見直すことは、パターナリスティックな福祉の復活を意味しない。

【小澤委員】

○ 結論

  • 市町村の役割がきわめて重視されてきたが、新法では、国、都道府県の役割をもっと強化してきさいすべきである。

○ 理由

  • 地方主権の名のもとで、市町村に、財政的なことを含めて、負担を課してきたことが、 市町村の格差を生み出したので、新法では、なおしてほしい。

【小田島委員】

○ 結論

 サービスに必要なお金は、国や都道府県や市役所がだす。

○ 理由

 市役所のお金が足りなくなると、サービスが使えなくなるから。

【小野委員】

○ 結論

 国の財政責任と自治体の実施責任を明記する。またこの場合も、障害程度区分と国庫負担基準額(上限)の廃止は必要。

○ 理由

 自立支援法では責務は明記されているものの、それを実施する段階で、その責任を回避する仕組み(障害程度区分と国庫負担金準額)がつくられているため、それを廃止する必要がある。

【柏女委員】

○ 結論

 障害児についても市町村をサービス給付決定主体とし、都道府県、国が重層的支援を行う実施体制に再構築すべきである。

○ 理由

 児童一般施策のと障害児福祉サービス、障害児サービスと障害者サービスの実施主体の不整合が起こっており、また、児童一般施策においても、在宅サービスは市町村、施設サービスは都道府県と分断されていることによる弊害(施策の隙間に落ちる子どもたち)が指摘されている。

【門屋委員】

○ 結論

 国は所得保障について年金と複数の加算などに責任を持ち、サービス提供の基本財源について保証し、一部地方に裁量権を付与することが大切です。地方の裁量権は都道府県において条例を定めることを条件として、きちんとした理念、目的が明確に示された範囲において裁量を認めるぐらいにすべきです。

○ 理由

 国が一律にサービスをきめ細かに決めることは、その決まりに該当するかの解釈判断をもとめることから、都道府県によって支給内容のばらつきが見られるように思います。自立支援法においても3-4 年間でさえ地域間格差が見られるようです。
 地方における財源保障と裁量権の拡大が地方にあるべきと考えます。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 国の責任を明確にして、地域格差を作らない様にすべきである。また、地域生活を重視する立場からは、地方公共団体の役割とも密接に関係する。

○ 理由

 精神障がい者に関しては、地域の保健所、保健福祉センター、福祉事務所では事務的役割だけでなく、現場に密着した実務的な人材の充実が必要である。

【北浦委員】

○ 結論

 国及び地方自治体は、障害者支援のニーズを基に、障害者プラン、障害者福祉計画を策定しなければならない。
 国は、障害者サービスについては、居住地による格差が生じないように基準を作り、その必要な財源を確保する。
 地方公共団体は、地域に必要なサービス量を供給する基盤を整備し、必要な財源を確保する。

○ 理由

 国、地方それぞれの持つ役割は、障害者福祉サービスが、何処に住んでいようとも、平等に受けられるようにあるべきである。

【北野委員】

○ 結論

 国ならびに地方公共団体は、支援選択権をふまえた支援受給権を、財政的ならびに制度的に保障する義務を負う。

○ 理由

 それが障害者総合福祉法が明記する権利であるとともに、障害当事者や多くの市民がそれを希求するため

【君塚委員】

○ 結論

 障害児の入所に関する主体は都道府県とする。

○ 理由

 個々の状況が難しく、対象数がすくないので、高度な専門性を必要とするが、市町村で は対応できない懸念がある。
 社会資源も少なく、都道府県レベルの広域が必要であり、児童相談所も前々から相談所の対象と発言している。

【倉田委員】

○ 結論

 生きていく上で不可欠な福祉支援については、住んでいる地域によって差がつけられるようなことがあってはならない。常時介護を必要とするかたに対する支援について、地域での生活が継続可能となる最低保障水準については、地方公共団体に委ねるのではなく、ナショナルミニマムとして、制度・財源の両面において国が責任を負うべきである。

○ 理由

 障害者の福祉支援(サービス)提供は、障害者の生存に関わるものであり、A市においては生きられるが、B市においては生きられないなどということがあってはならないから。

【近藤委員】

○ 結論

 サービス提供の基準や財源は、ナショナルミニマムとして国が責任をもつべきであり、そのうえで地方公共団体による上乗せがなされるものと考える。

○ 理由

 地域間格差により、必要な支援が受けられないことはあってはならないため。

【齋藤委員】

○ 結論

 国の役割はサービス提供にかかる財政負担及び地域間格差を生まないための一定のサービス提供基準を定めること。地方公共団体の役割はサービス提供の実施機関として責任を負うと共に一定の財政負担も行なうこと。もちろん実際のサービス提供は個々の事業者が担うとしてそれらのサービスが不足しない様に事業者を用意する責任は地方公共団体にある。

【佐野委員】

○ 結論

 福祉サービス分野で国や地方自治体(都道府県、市町村)が担うべき責務がある。それぞれの責務である、国民の生存権保障である最低限の生活水準を明確にして、サービスに谷間を作らないようにすべきである。国や都道府県の責任を担保する補充規定を明確に作るべきである。

○ 理由

 障害者自立支援法の地域生活支援事業が、様々な地域格差、サービス低下を招いている現状を教訓とすべきである。

【清水委員】

○ 結論

 一人ひとりが価値的存在として自分の人生を生きるために必要な支援は、国が責任を持って。
 どんなに障害の重い人も一緒に、市民みんなが暮らしやすいよう環境を整え、一人ひとりの存在の価値を含みこんでいく社会を一緒に創っていくことの基盤整備は、地方自治体で。

○ 理由

 そしてみんなその両方をあわせて使う(重ねて使う)という方式がいいのではないかと思うのですが。

【末光委員】

○ 結論

 国は,福祉支援が地域差なく提供されるよう基本的責任を果たし、都道府県はそれが適正に公正に提供されるように役割を果たすべきである。

○ 理由

 市区町村が直接的な役割を担うとしても、地域格差のない支援が保障される体制が必要である。

【竹端委員】

○ 結論

 国は福祉しえん(サービス)提供の理念やわくぐみ、障害者に守られる権利をつくり、それがちゃんと守られているかをチェックする。それに必要なお金をよういする。
 地方公共団体は、その地域でくらす障害者と話し合いながら、国で決めた理念やわくぐみ、障害者に守られる権利を実げんするためにはたらく。

○ 理由

 障害のある人が、地域であたり前(他の人との平等)のくらしをするためには、国と地方公共団体のどちらの役わり分たんも大切です。地域で障害者とであう地方公共団体は、障害者の声をよく聞きながら、障害者の権利をまもる仕事をするべきです。国は、まもるべき権利は何かを決める、まもるためのやり方について指どう・助げんする、まもっていない人・組織にまもるよう働きかける、まもるための予算を用いする役わりがあります。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 第1に、障害者がその有する権利自由を行使するために必要な支援が十分に受けられるための財政的支援を行うこと、第2に、障害者に対して十分な支援がなされているかをチェックするためのモニタリング機関を設置・運営すること、第3に、障害者及びその家族、障害者の使用者等に対して相談支援を提供することを、主たる役割とすべきである。

○ 理由

 新法において障害者に提供される「支援」は、障害者が有する基本的人権を行使するた めに必要な支援であるから、国及び地方公共団体が国民である障害者の基本的人権の行使 を実質的に保障するための役割を担うことは当然の帰結ということができる。また、モニ タリング機関の設置や、相談支援の提供は、障害者に対する人権救済的な側面を持つもの であるから、同様に国及び地方公共団体が役割を担うべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 国はナショナルミニマム(国家が国民に保障する最低限度の生活水準)としての社会福祉サービスを確保し、地方公共団体には、最低限度の生活水準を超えた地域生活の推進・担い手の役割が求められる。

○ 理由

 今後、障害福祉も地域主権(地方分権)の方向で、地方が主体的に創意工夫のもと、地域福祉を推進していくことが望ましいが、ナショナルミニマムとしての基盤整備が十分とは言えない地域の法が多い。今後、財源を伴った基盤整備の確保が求められる障害福祉分野において、現状の地方公共団体の財政や人材等を考えた場合、依然として国の役割は大きい。地方の成長に向け、国は、現状の義務的経費とその負担割合、一括交付金、税源移譲等の取扱いなどの財政的支援の在り方を見直しすることも必要と考える。

【中西委員】

○ 結論

 基本的なサービスは地域が責任を負い、長時間や財政負担の大きい医療を含む介助など、一日8 時間を超える介助などは国が責任を持つべきである。この場合にも8 時間以下の基礎部分にも国は1/2国庫負担をし、国の責任を果たすべきである。

○ 理由

 小規模な地方公共団体においては、財政規模が小さく24 時間の介助利用者がいると市町村財政が破綻する例も見受けられる。そこでは長時間の介助利用者は敬遠され、地域での自立生活ができなく施設入居を余儀なくされている例も見受けられる。このような差別が起こらないようにするため国はスウェーデンや先進国が行っているような長時間利用者の権利を守るために充分な財政負担をすべきである。

【中原委員】

○ 結論

 基本的な仕組みは国が責任をもって行うべき。一方で、サービスに係る支給決定は身近な市町村が行うべきと考える。

○ 理由

 現状では市町村格差が問題となっている。福祉サービスの支給決定プロセスは全国共通のもとすべきである。

【奈良崎委員】

○ 結論

 お金を出してほしい(補助金)

○ 理由

 本人活動のためのお金や生活のための年金が少ない。

【西滝委員】

○ 結論

 国ならびに地方自治体の役割は極めて重要。役割を十分に発揮してほしい。

○ 理由

 地方に委ねる考え方はすでに地域生活支援事業で大きな地域格差を発生させている。基本的なガイドラインと財源を国が用意し地方公共団体を指揮監督をすることを求める。

【野原委員】

○ 結論

 地域で普通に生きるうえで、地方自治体の役割は決定的である。

○ 理由

 地方自治体存在の本旨は、住民の福祉である。しかし、本来の自治体の役割が「地方分権」の名の下に歪められているのが現状である。地方が福祉施策が十分行える財政的保障を国が責任をもつ必要がある。
 同時に行政は、当事者団体や支援団体の育成、NPO との協働を積極的に進めるべきである。

【東川委員】

○ 結論

 身近な地域特性を踏まえたサービスを整えていくことは、当然、市町村の役割である。しかし、財源の違いなどでそのサービスに地域格差が生じてはならない。そのために、生活の基盤に関わるサービス整備については、財源も含めて国が責任を持つしくみを確立することが必要である。

○ 理由

 居住する市町村によって、受けられるサービスに格差が生ずることは、断じてあってはならない。

【平野委員】

○ 結論

 日本国憲法第25条の生存権保障からすれば、障害者が生活できるようにするためにナショナルミニマムとしてのサービスを保障することがまず根底にある(生活保障)。
 次に社会参加などが出来るように環境整備や事業者の育成指導を行うことが必要であろう(社会福祉法第6条)
 また、サービスへのアクセスや選択支援(含む情報提供)は、サービス提供事業者の任せるべきではなく、加えて、虐待防止や権利擁護は公的部門が最終責任を負うべきである。

○ 理由

 自立支援法は、サービスをすべて一元的に捉えたが、公的に保障する領域(食事、排せつなどの生活介護)、公共的なサービス提供が馴染む領域(職業訓練、社会訓練)、個人の活動支援の領域(余暇活動支援、個人活動のガイドヘルプ)と整理して、公的にサービスそのものを保障(提供ではなく)する領域、サービス供給の安定化や質の向上を公的に確保する領域、事業者の参入促進などの振興策をとる領域など公的責任のあり方を整理する必要がある。

【広田委員】

○ 結論

 国と地方公共団体で話合うべき。

○ 理由

 お金の問題だから。

【福井委員】

○ 結論

 障害者の福祉サービスの提供は、国や地方公共団体の責任において、提供すべきものである。

○ 理由

 前段での憲法や障害者権利条約、障害者基本法の規定を位置づけたのは、公的責任の指摘に他ならない。今回の自立支援法・応益負担の廃止も、この分野で受益者負担を排することにある。障害者の権利保障は、ここにしっかりと立脚することであり、今回の新たな制度設計もそこにこそ意義がある。

【藤岡委員】

○ 結論①

 人権空白地帯を作らないための公的整備義務の明確化と制度教示、周知義務の徹底条項

○ 理由

 とりわけ「契約制度」移行後、民間社会事業所と契約利用者(障害者)の対等性の問題と、障害者の公的権利保障の問題が混同されてきたことに注意を喚起したい。
 たとえば、いくら地域で暮らすことの自由を言ったところで、そのための支援を実施する事業所が地域に存在せず、支援員もいない状態では、暮らすことが出来ず、それは公権力の公的責任履行義務違反であり、基本的人権が保障されていない憲法空白地域を意味するものである。
 基盤整備義務を法的義務としなくてはならない。
 また、情報格差のもとで障害者の自己決定の保障を実質化していくための仕組み作りの観点が重要である。
 国・自治体の制度、施策の教示・周知義務を徹底し、福祉にたどり着けていない人、支援のネットからこぼれ落ちている人を一人でも減らす。菅直人総理大臣の方針である包摂社会にも合致する。

【増田委員】

○ 結論

 障害のある人が自らの生活や人生を選択することができる障害者支援の仕組みと財源は,国の責任として考えるべきである.その上に地域の特性などを生かした自治体独自の施策を構築していく.

○ 理由

 自立支援法以降,地域格差は広がり,その格差の拡大を把握しづらくなってきている.その上地域主権一括法案の存在は,障害者支援の地域格差の拡大を招く.国の責務の明確化と障害者支援の基本を定めなければならない.

【三浦委員】

○ 結論

 憲法25条に基づき、更に障害者基本法で役割を明確にする。
 国および地方公共団体に支援を保障する義務を課す。

○ 理由(課題)

 支援メニューの質と量の実現に向け、財政的裏づけの議論を急ぐべきである。

【光増委員】

○ 結論

 市町村は、福祉支援の提供の支給決定を行う。都道府県、国はそのための情報提供や枠組みの支援を行う。しかし市町村の独自性は担保すべきでないか

○ 理由

 身近な福祉支援は市町村で必要に応じて決定するが、解釈をめぐって都道府県、国が細かなまな制限を設けてしまうと、独自性と応用がきかなくなる恐れがある。

【森委員】

○ 結論

 障害者の福祉支援(サービス)提供は市町村に大きな役割があり、地域の特性に応じた支援の充実を図ることが重要であるが、市町村による格差が生じないよう国はナショナルミニマムを念頭に一定の基準を示す必要性が求められる。また、都道府県も含め、そのための財源の確保とともに、専門的知識と専門的技術に関して市町村への支援の充実を図るべきである。

○ 理由

 障害者の福祉支援(サービス)提供に関して市町村の地域格差が生じないようにすることは、自立支援の基盤である。

【山本委員】

○ 結論

 国家責任として障害者支援を位置づけるべき。地方公共団体はその国の責務を具体的に執行するという位置づけ

○ 理由

 憲法に定められさらに障害者権利条約によって定められた権利保障は国の責任である。

<項目A-5 法の守備範囲>

論点A-5-1) 「総合福祉法」の守備範囲をどう考えるか?福祉サービス以外の、医療、労働分野、コミュニケーション、また、障害児、高齢者の分野との機能分担や(制度の谷間を生まない)連携について推進会議の方向性に沿った形でどう進めていくか?

【朝比奈委員】

○ 結論

 どのような機能分担をするにせよ、総合福祉法を議論する過程と法の実施状況のモニタリングのなかで、テーマを取り上げて分野間で協議していく仕組みが必要であると考えます。

【荒井委員】

○ 結論

 障害者の自立を目指すためには、福祉のみならず、教育、医療、労働、住宅といった行政分野との関係についても、幅広に議論した上で、障害者の人生をトータルにサポートするという視点から抜け落ちのないようにすることが必要。
 なお、近年、高齢の障害者のための特別養護老人ホームの開設が行われているなど、障害者の高齢化という課題への対応が必要であり、障害者へのケアの質の確保という観点から、介護保険優先適用の妥当性も含め、高齢者福祉との関係を整理する必要。

○ 理由

 ライフステージごとにばらばらの支援を福祉サービスのみならず、医療、教育、労働、住宅などの関係行政機関が連携して総合的に一貫した支援が行われるような仕組みが必要。

【伊澤委員】

○ 結論

 「医療」「労働」などの要素は他の法令で対応していく発想

○ 結論

 ごっちゃにすると分離、隔離のままで、インクリュージョン出来ない。特に精神医療は一般医療との格差や差別を持ち続けている。医療は医療法の中で対応する。労働は労働関係法令で対応されるのが良い

【石橋委員】

○ 結論

 総合と名付けるかぎり、上記守備範囲は広域であるべき。
 機能分担や連携については、連携する項目別に小グループで検討し全体会で討議する。

○ 理由

 生活の困難さ不自由さといった個人の支援に着目する限り、年齢・種別は関係ないと考える。
 地域生活支援に関する内容に絞り、地域生活で壁となっている「まちづくり」との連携が必要なので「まちづくり」を加える。

【氏田委員】

○ 結論

 「総合福祉法」の守備範囲は、福祉サービスが中心であると思われるが、福祉のみならず医療、教育、労働、司法などの分野との支援連携が必要であり、当事者への支援を包括的に組み立てることができるような柔軟性のある守備範囲の記述が望ましい。そのような体制の中で、当事者の支援ニーズにフィットした個別支援計画が作成され、運用されていくと考えられるからである。また、コミュニケーションや情報のアクセシビリティについても従来よりも広い考え方で対応することが必要であり、望ましい。

○ 理由

 障害児支援の分野のみならず教育と福祉の連携は大変重要であり不可欠なものである。また、日常生活を送る上で、弁護士や裁判官、警官などに障害特性や能力に応じた対応が出来るような規定がないと事件や事故などで障害者が不利益を被ることが考えられるので、これらの分野についても議論をする必要がある。
 また、コミュニケーションについては、第一に本人たちが理解できることが必要であり、それぞれの障害特性に応じ、必要なコミュニケーション手段が取れることが望ましい。手話、点字などとともに、知的障害、発達障害については、平坦な日本語で書かれること(スウェーデンなどのイージートゥリードーEasy to read などを参照されたい)や、ピクトグラム、サインなど本人にとって有効なコミュニケーション手段が保障されるべきである。また同様に、社会生活を営む上で必要な情報へのアクセシビリティも障害特性への合理的配慮の中で柔軟な支援が展開されて然るべきである。

【大久保委員】

○ 結論

 「総合福祉法」の守備範囲は、福祉サービスが中心と考えられるが、関連する障害児支援や高齢者介護、医療や就労(労働)などの分野についても、並行して議論をしっかりと深めておく必要があると考える。

○ 理由

 「総合福祉法」の守備範囲は、18 歳から65 歳未満の障害者に対する福祉サービスが中心と考えられるが、障害児支援や高齢者介護、医療や就労(労働)などは、この福祉サービスに関連するとともに、整合性に配慮する必要があると考える。よって、一方で、これらの分野に関する議論もしっかりと深めておく必要があると考える。

【大濱委員】

○ 結論

 推進会議でのキーワードある「地域で自立した生活を」を前提とした場合、医療、労働、コミュニケーション、障害児までが当面の守備範囲であり、介護保険制度による高齢者介護施策と切り離すべき。

○ 理由

労働
 1日24時間や16 時間の介護の必要な障害者の場合、職場や自営業の最中での介護は、重度訪問介護などの訪問系サービスでシームレスに行われないと困難。仕事と仕事以外の2つの制度が分かれていれば、残業のたびに、それぞれの制度で時間を変更せねばならず、うまくいかない。
 そこでまず、職場や自営業などの時間も重度訪問介護等の現状の支給量の範囲で重度訪問介護や外出介護で通勤や職場での介護を認める(予算措置不要)。
 次に、毎年少しずつ障害者雇用率を上げて、企業からの罰金を財源とする障害者雇用会計の収入を増やし、その財源を重度訪問介護や外出介護等の職場での介護時間の財源に組み入れる。
の2 つの段階を踏んで、職場での介護を総合福祉法の範疇にすべき。

医療
 入院中の最重度全身性障害者等の特殊な介護については、障害者自身からの希望がある場合は、診療報酬の通知で言う病院の看護の範疇外であると宣言し、重度訪問介護で入院中の介護を行う必要がある。(この際、医療保険会計から障害福祉の訪問サービス会計に若干の繰り入れが議論されてもよいが、それが病院の診療報酬の減額になっては、重度障害者の入院を受け入れてくれる病院がますます見つからず、急病時に救急車のたらいまわしにつながる。制度改正の足かせにならない事が必要。)
 ほかにも、在宅でのヘルパー等のたん吸引や経管栄養(注入開始から終了まで(胃ろう含む))・てき便・褥瘡の処置・人工呼吸器操作着脱等の日常における医療類似行為については、その行為者の範囲を介助者等にも広げ、併せて必要な研修や手続の更なる整備等を行う。

【岡部委員】

○ 結論

 英国のコミュニティケア・ダイレクトペイメント法のように、障害種別・年齢を限らないパーソナルアシスタンスのための支給決定・給付管理に関する法を総合福祉法と別立てとする将来の可能性についても議論されてもよいのではないか。

○ 理由

 施設福祉や事業所主体の居宅介護とパーソナルアシスタンスでは、援助の考え方・サービス体系・サービス管理方法等がまったく異なるため。

【小澤委員】

○ 結論

  • 総合福祉サービス法は、福祉サービスに限定した法にしておく。
  • 医療、労働、コミュニケーション、は別立の法で。
  • 障害児は、児童福祉法で。
  • 高齢者は、介護保険法で。
  • 各法制度のれんけいに関しては、基本的な方向は、改正・障害者基本法で。

○ 理由

  • 新法の範囲を拡大すると、法の内容もぼうだいになり、法制度もふくざつかするので。市民の理解がすすまなくなる。

【小田島委員】

○ 結論

 仕事がなくて困っている人に、仕事を作ってもらいたい。

○ 理由

 知的障害者はなかなか仕事がない。働いている人も首になったら働くところを作ってもらいたい。

【小野委員】

○ 結論

 総合福祉法は、福祉に関する法律とすべき。その他の分野はそのそれに応じた法律を見直し、併用できるようにする。

○ 理由

 自立支援法は、医療や労働も含めた法律となってしまっているため、多くの欠陥や問題が生じている。それを解消し、他の領域の法律の充実を図り、障害に関する制度・施策を本格的に位置付けるうえでも欠かせない。

【柏女委員】

○ 結論

 「障害」に普遍的な事項(定義など)は、障害児についても規定することが必要とされる。

○ 理由

 障害児福祉の根拠法を児童福祉法と本法にしておかないと、児童福祉法と本法との間に切れ目を生み出すこととなる。特に就労支援など児童施策と成人施策の移行期支援が課題となる。

【門屋委員】

○ 結論

 障害者の暮らす市町村に支援の権限について、各制度を統合できる権限と機能を「総合福祉法」がもつか、地方自治体の法によって統合の権限を市町村が持つことが必要である。現に介護保険法との関係ではいろいろな谷間を作っています。

○ 理由

 障がい者の望む地域での最低生活の保障について、自立支援法によって設置された自立支援協議会と相談支援体制が中心となって、市町村ないし広域圏域において総合的に判断できるシステムが必要です。自立支援協議会及び相談支援体制からの意見を尊重されて総合的に判断決定できる制度が必要です。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 「総合福祉法」の守備範囲は原則福祉サービスに限定すべきと考える。

○ 理由

 特に、精神分野については医療と福祉の両輪が協同して作動しなければならないが、「総合福祉法」で、精神医療を規定するのは無理がある。

【北浦委員】

○ 結論

 総合福祉法は、「支える医療」として医療的支援もくるみ込んだものであるべきである。

○ 理由

 医療は、従来の「治す医療」から障害のある人々の生活を支える「支える医療」つまり、医療と福祉の連携が必要である。

【北野委員】

○ 結論

 障害児・者に関連する医療・労働・教育・移動交通、あるいは、児童や高齢者分野等については、基本的には障害児・者を含む一般市民の権利を保障するそれぞれの一般法にゆだねることになるが、それら一般法が、「障害者権利条約」「障害者基本法改革案」の根本的な理念である「インクルーシブ社会」「社会的排除を許さない社会」と矛盾することがないように、全体的な整合性を確保する。

○ 理由

 「障害者総合福祉法」の守備範囲は、基本的には社会的介助支援と相談支援をメインとする総合的な福祉支援であり、それ以外の障害児・者に関する支援は、基本的に一般市民への支援を保障する一般法が、障害児・者をインクルーシブに組み込み、さらに、その社会参加・参画に必要な支援や合理的配慮を保障することを、その基本とする。一般法が、障害児・者を排除することは、「障害者権利条約」「障害者基本法改革案」違反であり、許されるものではないが、そのために必要な支援や合理的配慮をどのようなシステムのもとで保障するのかについては、包括的で稠密な制度設計が必要である。

【君塚委員】

○ 結論

 難病を含めて従来の拡大した対象を範囲とする。

○ 理由

 対応を遅れている児分野などに、部会を設け、総合福祉部会で検討を加えて、会議に提出する。

【倉田委員】

○ 結論

 法の名称にも書いたとおり、障害者総合福祉・労働法とすることが適切と考えるので、福祉サービスと労働分野の機能分担は生じない。
 なお、進め方については、早急に厚生労働省の福祉・労働双方の部局を交えた検討の場(推進会議と総合福祉部会の中の関係者合同で)を持つことが必要である。

○ 理由

 総合福祉部会には、旧労働省サイドの出席がなく、また、障害者の就労に関わる研究・実践メンバーが、推進会議と総合福祉部会に分かれてしまっているので、これらが一同に会して議論する場が必要と考えるので。

【近藤委員】

○ 結論

 「総合福祉法」の守備範囲は、「自立支援法」にかわるものとして福祉サービスについて規定するものと考える。そのうえで、障害者の労働については、シームレスな支援を基本に、福祉施策と労働施策を分断せず横断的な連携が必要となる。

○ 理由

 働くことを希望しても一般雇用が難しい方が「労働者としての権利」を保障されるためには、福祉、労働、両分野での取り組みが連携してなされることが必要であるため。

【齋藤委員】

○ 結論

 総合福祉法の守備範囲と考える福祉サービスとは何かをまず明確にしなければならない。これまで自立支援法が取扱ってきた内容の一つ一つ、また逆に取扱われなかった事項で必要な事を点検しつつ、どういう連携ができるのかを考えなければならない。

【佐野委員】

○ 結論

 論点A-2-2)で既述した通り、「総合福祉法」の守備範囲は、福祉分野のサービス法と理解する。

○ 理由

 予算措置、担当官庁の業務範囲など現実の行政の仕組みと緊張関係を保ちながら、実効性の上がる守備範囲を検討すべきである。他のサービス分野との谷間をつくらない意味から、相互のサービス法で補充規定を明確にすべきである。

【清水委員】

○ 結論

 双方向重なり型で。(どちらからも障害のある人のことをもらさず考える)

○ 理由

 医療は医療、労働は労働でそれぞれの分野でもしっかり含みこんで大切に捉えることが大事だと思います。その上で連携を。

【末光委員】

○ 結論

 総合福祉法は、「支える医療」としての医療的支援も含みこんだものであるべきである。

○ 理由

 医療は、従来の「治す医療」から、障害のある人々の生活を支える「支える医療」としての役割を大きく持つようになっている。この「支える医療」としての医療的支援を福祉サービスの中に積極的に含み込んでいくことが、医療的支援と福祉支援の双方を日常的に必要とする人々への包括的な支援のために必要である。

【竹端委員】

○ 結論

 これらのもんだいは、推進会議のみんなといっしょに話をする場所をつくるべきです。

○ 理由

 推進会議でもこれらの問題について話しあっています。部会は推進会議の方向の具たい化の役わりをもっています。なので、部会だけでは決められない内ようは、推進会議のみなさんと、課だいごとに集まって話をする場をもつべきです。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 既存の法律については、推進会議の議論の方向に沿って必要な改正を行いつつ、新法では、障害者が「地域で生活する権利」を保障されるための具体的支援について、当事者または当事者団体からの十分なヒアリングに基づいて、必要な支援を創設していく方向で検討すべきである。

○ 理由

 障害者に「地域で生活する権利」が保障されるために、新法では障害当事者の視点から生活実態やライフステージに合わせて具体的支援を考えるべきであり、その議論の中で、具体的に既存の法律の改正が必要な事項と、新法における支援で保障する事項とを選別していく必要がある。新法と既存の法律とは「相互補完的」関係に立つものと考えるべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 「総合福祉法」の守備範囲は、障害者の福祉サービス提供の仕組みが中心と考える。関連する領域としては、医療、労働、司法に関連を求めるべきである。障害のある児童のサービスや40 歳以上の方で高齢者との重なりについても谷間を生まないように、議論を深める必要がある。

○ 理由

 「総合福祉法」の守備範囲は、18 歳から65 歳未満の障害のある方に対する福祉サービスの提供の仕組みについてが中心となる。障害のある児童や高齢者、医療や就労(労働)等は、福祉サービスに関連するため、整合性に配慮する必要がある。

【中西委員】

○ 結論

 医療については入院中の介助や呼吸器、経管栄養など医療との境界領域があり看護を行うのか介護を行うのか明確ではなく、時には混在している場合もある。日常的な医療ケアについてはすべて介助者が行えるようにすべきであり、この場合に実務経験を尊重し特別な資格制度を設けないことが重要である。ただし在宅で係る医療費については医療保険からまかなうべきである。訪問看護、訪問診療を活用することによってより長期にわたって病院や施設ではなく地域で暮らし続けることが可能になる。入院中の介助については地域で必要とした利用時間の範囲内であれば、利用してよいとすべきである。看護婦は介助者ではない。医療ケアを看護婦に任せ、身体やコミュニケーション支援は介助者が行うべきである。
 労働分野では通勤通学の介助と含めて総合福祉法の範疇で扱うべきである。
 コミュニケーションについては手話、要約筆記、点字サービスともに個別給付で行うべきであり、介助サービスと同等の扱いをすべきことは当然である。
 障害児については0 歳から重度訪問介護も利用すべきである。
 高齢者については65 歳を迎えた障害者はどちらのサービスでも選択できるようにし、総合福祉法のサービスのみを使うことも可能とすべきである。また介護保険との統合を前提とした身体介護と家事援助の分離、単価差や介護福祉士を基本とする資格制度への一元化、介護保険をベースとした支給決定プロセス(介護認定調査と障害者程度区分)、サービス体系(身体介護と家事援助の分化、各サービス利用方法)などの矛盾点について、介護保険とは連動しない障害福祉サービス独自のしくみを構築すべきである。
 制度の谷間についてはサービスの必要性があれば、利用者としてみとめ総合福祉法のサービスの利用者として認め谷間を作らないようにすべきである。

○ 理由

 入院中の介助については現在グレーゾーンになっており使える市町村と全く使えない市町村があり不平等である。コミュニケーション支援を使うように指導しているが、ほとんど使われていないので機能していない。またコミュニケーション支援のみに限定され複雑な介助を求めるALSや筋ジストロフィー、頸損などの障害者は看護師の無視や放置にあっており入院をおそれている状況にある。看護師は介助者ではないことを明確にすべきであり、医療機関が完全看護をやるという建て前を医療法からはずすべきである。
 専門的な介護資格を求める動きがあるが、介助サービスの現場ではこのような難しい介助をしかも、常時呼吸器を管理するなど重労働を担う介助者が少なく、裾野を広くとって3ヶ月以上の実務研修をふまないと一人で介助を担えるまでにならない状況があり、資格制度を厳しくすることは介助者のリソースを絶つことになる。そのため重度訪問介護で行っている20 時間研修は入り口としては適切であり、重度訪問介護の制度の延長上で報酬単価を高くして介助者の継続的な確保を保障すべきである。
 現在吸引に使うカテーテルは在宅の場合自己負担となっており、医療保険が使えない。その理由は吸引行為を医師看護師以外の者が行うことが許されていないからである。在宅で多くの吸引器利用者がいる中で、医療保険制度も実態に合わせて在宅での利用を認めるべきである。
 労働分野については職場介助が雇用促進法で期間と対象を限定して行われているが、10年雇用が継続すると打ち切られたり、介助者を特定の一人に決めなければ利用できないなど、不合理な制度となっている。
 障害児については重度訪問介護の利用は15 歳からとなっており、通園通学などに介助が使えなかったり、親から離れて介助者と外出する機会を奪われ子どもの自立を阻害している。
 介護保険統合を前提としたために障害者福祉制度にとってふさわしくない制度設計上の不合理な点が生じており、それを是正する必要があるため。また65 歳以上になると介護保険の強制適用が行われているが、介護保険と総合福祉法の介助サービスとは理念とサービス内容も大幅に異なることから選択できるしくみが必要である。

【中原委員】

○ 結論

 総合福祉法の守備範囲は、18歳以上の障害者に対する福祉サービスが中心と考える。関連する障害児支援や、高齢者介護、医療など他の分野についても並行して議論をする必要がある。
 また、障害児については、総合福祉部会との連携を図りながら別の組織で検討すべきである。

○ 理由

 総合福祉法の守備範囲は、原則18歳以上のすべての障害者に対する福祉サービスが中心と考えるが、福祉施策全体の整合性に配慮する必要があるので関連分野についても議論を進めていく必要がある。
 また、18歳以下の児童については児童福祉法の範囲となるが、65歳以上の障害者については介護保険優先とせず、本人の希望を優先するべきと考える。

【奈良崎委員】

○ 結論

 ケース会議をやる

○ 理由

 ひとりひとりが障がいの種類や程度が違いがあるので、ひとりひとりの体制を

【西滝委員】

○ 結論

 コミュニケーション支援の守備範囲は広く、また、コミュニケーションは双方向のため障害者のみを対象とすることに無理が生じる。コミュニケーションに困難をもつ国民の権利を保障するものでありたい。

○ 理由

 医療・労働・教育・福祉などあらゆる分野でコミュニケーション保障が必要であり、それを確実にする法律であってほしい。

【野原委員】

○ 結論

 強い権限が保障された「医療・福祉制度利活用の総合調整機関」の設立が必要である。

○ 理由

 医療、労働、教育などの多様なニーズをもつ難病患者は、縦割りの弊害に泣いてきた。行政における縦割り的専門性は不可欠であるが、問題は、これらを調整しながら必要なところに必要なサービスが提供できる福祉総合的な機関がないからというのが実感である。これらの制度利活用の機関は、当事者団体との連携を重視することが必要である。

【東川委員】

○ 結論

 一概に結論を出すことは難しい。しかし、障害者自立支援法の経過を振り返ってみると、地域生活を送るために必要な福祉サービスを原則とすべきと考える。コミュニケーションは福祉サービスと位置づけるのが基本であろうが、就労や就学に関わる場合を別にすることなどは検討すべきと考える。医療・労働・教育関連の支援などは、別の枠組みで整備すべきではないか。障害児、高齢者分野との機能分担についても、「総合福祉法」の守備範囲を整理し、慎重に検討すべきと考える。

○ 理由

 障害者の生活実態調査の結果などを踏まえ、現実問題として、どのような整備が最も日々の生活をスムーズに送れるか、という視点に立って検討すべきである。

【平野委員】

○ 結論

  • 障害者への支援を「社会モデル」で考えるとすれば、医療や就労支援を福祉と分離することは難しい。全人的・総合的支援とするのであれば、支援を分断することは矛盾する。すべて単一の法律・制度で対応することがベストであるが、それが現実的に無理があるのであれば、サービス全体のマネジメントを行う機能を確立することが現実的対応ではないのか。
  • 障害児を「障害のあるこども」とするのか「こどもの障害者」とするのかでは大きく違ってくる。特別支援教育や昨今の障害児福祉では、ノーマライゼーション理念を踏まえた、こどもとしての一般性を重視した施策が基調になっており、この方向性が大事かと思う。

○ 理由

 上記の通り。

【福井委員】

○ 結論

 守備範囲は、前述したように単なる福祉サービスだけでなく、列記されている医療、労働分野、コミュニケーション、障害児、高齢者分野との連携についても討議し、施策を提起していくべきである。

○ 理由

 推進会議の意向を受けて、今後の論点提起にも含まれているところであり、予定では10月以降のテーマ別の「作業部会」に託されるところもあるのではないかと理解する。

【藤岡委員】

○ 結論

 障害に結びつく医療分野は範囲。
 就労支援は、障害者雇用促進法を障害のある人の労働権保障を基礎とした「障害者就労支援法」として抜本的に改め、それに位置付けるべきである。とする小野浩委員の第4回意見に賛成する。
 コミュニケーション支援については、視覚障害者の点訳保障、音声化保障等も含めて、原則として範囲になると思うが、聴覚障害当事者の意見も踏まえて考えたい。
 障害児は児童福祉法が原則としても、この法にも障害のある(可能性のある)児童に対する個別支援の権利の重要性は規定しておくべき。
 高齢者は介護保険法が基本だと思うが、65歳以上の障害者の支援選択権を実効性あるものとして保障することを「総合福祉法」で規定したい。

○ 理由

 障害者が働くことが、あたかも一般市民の労働とは別世界のものと位置付けられてきた印象のあるこの国では、障害者の労働基本権は福祉以前の基本的人権であることを確認するため、「総合福祉法」とは別の上記法にしたほうがわかり易いように思う。  また「一般就労」は福祉的支援と両立するし、両立させていく方向性が現実的と考える。

【増田委員】

○ 結論

 障害のある人の福祉的な支援についての法とする.医療・労働については福祉の中で検討するのではなく,それぞれの支援の必要性を明確にしたうえで,別の枠組みで検討する.
 障害児・高齢者の分野との機能分担は,実態の把握に基づき慎重に考えていく.

○ 理由

 福祉の枠の中で議論することで,制度を福祉の枠に押し込めてしまう危険性がある.
 包括的な議論の場が必要ではないか.

【三浦委員】

○ 結論

 障害者基本法の議論と内容の明確化を踏まえ、それに基づく法として、生活支援(総合福祉法)・雇用就労支援・教育支援・医療支援等を制定・規定していく。

○ 理由(課題)

 適正な支給決定の仕組みづくりを課題とする。

【光増委員】

○ 結論

 福祉サービスだけでは、インクルーシブな社会は実現できないので、関連領域との密接な関わりが必要

○ 理由

 基本は本人の自己決定(例えば、ケアホームに住んで介護保険のサービスを受けたい人は利用可能、しかし介護保険の1割負担で悩む。または地域で一人暮らしをしていたが、ケアホームに住みたいと思っても、市町村は65歳を過ぎているからだめだと言われる。施設入所支援は受けているが、高齢者のデイサービスに通いたいと思っても、介護保険の被保険者ではないと言われる。など)

【宮田委員】

○ 結論

 障害児福祉サービスは児童福祉法に一元化し、保育所等の一般施策との整合性を図る。 障害児支援における当面必要な対策として、平成20 年に当事者団体も含めた「障害児支 援の見直しに関する検討会」によって示された「児童福祉法改正案」の早期国会可決を図 り、発達支援の地域格差の解消や障害児相談支援事業の充実などを急ぐ。同時に、今後の 障害児支援の検討のために「雇用均等・児童家庭局」や「文部科学省」も参加した「児童 の作業チーム」を設置する。

○ 理由

 「障害児」は「障害ある子ども」である。「子ども」として愛護され育ちへの支援を受けた上に、「障害」に特化した支援も受ける権利がある。しかし、これまでは「児童施策」と「障害施策」の谷間となって適切かつ十分な支援を提供されなかった。ゆえに、現在示されている児童福祉法改正案の早期実施を図った上で、「育ち」と「障害」への支援が提供できる新しい法制度を検討しなければならない。

注)障害児支援の児童福祉法への一元化の決定が遅れれば、障害児支援は「総合福祉法」にも「児童福祉法」にも取り込まれず、従来以上に「制度の谷間」に沈む危険がある。早急に、児童福祉法改正案の国会通過を図り、関係機関を含めた議論を開始しなければならない。

【森委員】

○ 結論

 障害者の生活を構成するさまざまな分野との関係性を明確にし、シームレスにサービスを活用できるようなシステムにすべきである。

○ 理由

 現行システムでは、例えば移動支援やコミュニケーション支援を取り上げても社会参加、教育、労働の場などにおいてサービス提供の仕組みが使いづらい現状がある。また、年齢に応じたサービス提供においても使いづらさが生ずる。障害者の権利条約第19 条の「特定の生活様式を義務づけられないこと」の実現のためにも、シームレスなサービスの活用が必須である。

【山本委員】

○ 結論

 医療および労働については最終的には一般の医療法および労働関連各法規に障害者を位置づける形で、総合福祉法からは削除されるべきとは考える。
 就労支援は一般の障害のないものの就労支援の中に障害者が位置づけられる方向を目指すべき
 ただし、現状では、いわゆる作業所の役割は無視できないが、ここを労働の場というよりは日中活動、障害者の交流の場として位置づけなおして、就労支援とはしない  また自立支援医療の存続が何らかの形で求められる。
 年齢による差別はこれを行わないことが必要であり、介護保険優先原則は廃止すべき

○ 理由

 条約の求めるものは障害のあらゆる場面法制度への主流化であり、あらゆる関係法律の中に障害者の存在が書き込まれるべきである。しかし直ちにそれが困難と思われるので、現段階ではできるだけ広い守備範囲も必要である。
 しかし就労支援についてはあくまで一般労働施策の中で行われることで、障害者差別の克服につながる

論点A-5-2) 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法、その他の既存の法律のあり方、並びに総合福祉法との関係についてどう考えるか?

【伊澤委員】

○ 結論

 児童は児童福祉法の中で対応していく。

○ 理由

 児童の事は、児童福祉法の中で障害の有る子も一緒にという統合教育(共育)の観点から推進する。精神保健福祉法は廃止し、医療法への合流要素と新法にまとめ直す部分をもつ。

【石橋委員】

○ 結論

 個別法律はあってもよいが、上位の法律として新法が包含すべきと考える。
 当然連携しているものであることが前提となる。
 新法は、支援(サービス)のあり方、利用方法を主体とする。

○ 理由

 既存の法律の全てを新法に移すのは無理と考える。

【氏田委員】

○ 結論

 現状のサービスは、上記法律に基づいて実施されていることから、既存の法律をベースとして総合福祉法の範囲を検討されることが想定されるが、加えて、「発達障害者支援法」に定義されている発達障害者が総合福祉法におけるサービスを利用する対象者として、明確に位置づけられるべきである。
 改正される障害者基本法の下に障害特性に配慮しつつ、「発達障害者支援法」を含むすべての障害関係法を統合していき、総合福祉法とすることが必要である。

○ 理由

 2005 年4 月の発達障害者支援法施行後、発達障害のある人は、従来と比べると様々な支援を受けられるようになってきた。しかし、発達障害は、障害児者福祉サービスの枠組みの中に明確に位置づけられていないことから、運用に地域差があり、市町村によっては、サービスを受けられないケースがみられる。
 改正される障害者基本法には、新しい障害概念を取り込み、三障害以外の様々な障害について障害者基本法ならびに総合福祉法において漏れることがないようにすることが必要である。

【大久保委員】

○ 結論

 現行のそれぞれの法律と総合福祉法の関係は、障害者基本法の改正並びに総合福祉法の議論により、自ずと整理されてくると考える。

○ 理由

 障害者基本法や総合福祉法における障害の定義や範囲と福祉施策の基本的方向性などの議論のなかで、それぞれの法律の位置づけや内容などが自ずと整理されてくるものと考える。

【大濱委員】

○ 結論

 新たな総合福祉法(仮称)の制定に則して、当面は変更が必要となる上記の関連法を改正する必要がある。将来的には、これら既存の個別法を三障害での統一的な法として制定して行く方向と、個別の障害分野での新たな細則を制定し、すべての障害者の権利が平等に担保される法を作る必要がある。

○ 理由

 従来の法が、障害別で作られており、精神保健福祉法の医療の部分は別途切り離して当事者を中心とした法の作成をすべき。

【岡部委員】

○ 結論

 既存の身体・知的・精神の各福祉法及び発達障害者支援法が障害者総合福祉法に統合し将来廃止するのか、されないとしたらこれらの法律はどのような役割をもつものとして再編されるのかについての基本方針が明確にされる必要がある。

○ 理由

 これらは障害者自立支援法で積み残した課題であり、基本方針を示さないと総合福祉法の構成や守備範囲についての具体的な議論が困難であると思われるため。

【小澤委員】

○ 結論

  • 総合福祉サービス法、および、医療、労働、コミュニケーション、の法制度がととのった時点で、児童福祉法を除いて、廃止。

○ 理由

  • それぞれ、対象者、手続きが異なる法制度がへいぞんしていると、非常にこんらんするので。

【小野委員】

○ 結論

 障害別の福祉法は廃止し、総合福祉法に一元化すべき。ただし児童、医療、労働は独自の法体系に位置付ける。

○ 理由

 障害者基本法ならびに総合福祉法で、医学モデルと社会モデルを統合した障害を定義し、谷間をなくすのであれば、障害別福祉法は必要ない。

【柏女委員】

○ 結論

 障害児に固有の福祉サービスについては基本的に児童福祉法に規定し、成人への移行期に関するサービスについては、例えば知的障害者福祉法と児童福祉法の規定と同様、児童福祉法と本法との間を渡す規定が必要である。

○ 理由

 サービスの切れ目をなくすため。また、児童であっても、成人のサービスを利用する必要がある場合や、成人であっても児童の福祉サービスを利用することが最善の利益につながると判断される場合があるため。

【門屋委員】

○ 結論

 身体・知的・精神・発達・高次脳・難病など全ての障害を総合した法律とすべきです。身体・知的・発達障害者福祉法はなくして総合福祉法とすべきです。
 精神保健福祉法は医療が含まれていることから本人の合意に基づく医療を医療法に、本人の意思に基づかない医療は独立した人権擁護を基本とした法律へ、精神保健分野は地域保健法へ、生活福祉はすでに自立支援法に移行していることから総合福祉法へと作り直すべきです。
 児童福祉法は総合的な法体系ですので障害児についてはこのままであってもよろしいかと思います。ただし、総合福祉法との関係や総合福祉法による地域支援についての統合施策を総合福祉法に規定すべきと思います。18歳からは総合福祉法で、発達支援センターなどは総合福祉法による支援制度へなどなど、重なる制度とすべきと考えます。

○ 理由

 制度が煩雑になるために、整理すべきと考えます。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 医療と福祉の両方を規定している精神保健福祉法については、福祉部分を「総合福祉法」に移し、精神医療について現行の精神保健福祉法を検討し改正すべきである。

○ 理由

 現行の精神保健福祉法での人権擁護・入院形態等については精神医療の実践に際し、必要不可欠である。精神医療については精神保健福祉法の改正で対応すべきである。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 精神保健福祉法は、医療法に福祉が付け加えられた法律であり、福祉法とは言い難い。医療と福祉は分離して、福祉は新法(障害者総合福祉法)に統合すべきである。また、総合福祉法は障害者の共通の福祉についてカバーするものと考えると、障害の特性による個別的な問題や支援、方法については、それぞれの障害者福祉法で補助的にカバーされると考える。

○ 理由

 現在の精神保健福祉法は、昭和25年に制定された医療法である「精神衛生法」が発展し、何度かの改正が加えられ、平成7年に手帳制度などの福祉の規定がされたものであり、その基本は入院について細かく規定した医療法である。

【北浦委員】

○ 結論

 既存の法律は、それぞれの特質を持つ体系にあるのでこれを維持し、総合福祉法は、これらのサービス給付を統合し、整合性をもって実施するものである。

○ 理由

 各種障害の福祉法は、歴史的経緯、内容に違いがあり、簡単に統合することは困難であるがサービス給付については、整合性と相互連携を図る上から統合化する。

【君塚委員】

○ 結論

 総合福祉法と大きく理念を含めて、異なる場合には既存の法律の改正内容を提言すべきである。

○ 理由

 時代を経て、現状あるいは国際的な考えとのギャップなどがあるため。

【齋藤委員】

○ 結論

 身体障害者、知的障害者、精神障害者の福祉に関連する事項は総合福祉法に一本かいしていくべきでる。ただしそれらの法に定められたないようで見直しに時間のかかる部分はすぐには一本化できないので、当面法は残さなければならない。

【佐野委員】

○ 結論

 総合福祉法の規定が優先適用されるように、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法を改正すべきである。

○ 理由

 本来は、福祉分野の総合サービス法として「総合福祉法」を位置付け、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法は全面改定、改廃すべきであるが、行政組織の改廃まで踏み込んだ検討は、時間的にも技術的にも困難と考える。

【清水委員】

○ 結論

 大切な課題と思いますが、わかりません。

【竹端委員】

○ 結論

 障害者福祉の3つの法(身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法)はなくすべきです。精神保健福祉法のうち医りょうの部分は医りょう法に入れるべきです。児童福祉法は障害をもつ子どもをさべつしない内容として高めるべきです。ただ、入所施設にかんする部分は、地域でのあたり前(他の人との平等)のくらしの実現に反する部分もあるので、考えなおすべきです。

○ 理由

 いかなる障害の人にも、本人が求める支えんをする法ができたら、これまでの3つの法はいらなくなります。ただ、急になくすのはむずかしいなら、5年か10年かけてなくす、と決めたらいいと思います。また精神保健福祉法と児童福祉法のなかには、「特定の生活様式の義務づけ」につながるところがあるので、それはすぐなくすべきです。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 既存の法律が定めていない領域については、新法が独自の意義を有し、既存の法律が定めている領域については、新法が補充(ないしは並列)関係にたつか、または特別法の関係に立つと理解すべきである。

○ 理由

 新法による支援は、障害者がその有する権利自由を行使するために必要な支援を定めるものであるから、既存の法律が定める領域と重ならない部分が多いと考えられる。そして、既存の法律が定める領域と新法で定める領域が重なる場合には、既存の法律が障害特性を前提とする法律であれば、新法との役割分担を考慮し、既存の法律を改正する必要があるか、新法による規定を特別規定として位置づけるか等について検討する必要がある。他方、既存の法律が障害特性を前提としない一般的な法律である場合には、新法は障害特性を前提とする支援を定めるものとして並列的関係に立つことになると考える。

【田中(正)委員】

○ 結論

 現状のサービスは、上記法律に基づいて実施されていることから、既存の法律をベースとして総合福祉法の範囲を検討されることが想定されるが、加えて、「発達障害者支援法」に定義されている発達障害者が総合福祉法におけるサービスを利用する対象者として、明確に位置づけられるべきである。障害特性に配慮しつつ、「発達障害者支援法」を含むすべての障害関係法を統合していき、総合福祉法とすることが必要である。

○ 理由

 発達障害のある人は、2005 年4 月の発達障害者支援法施行後、従来と比べると様々な 支援を受けられるようになってきた。しかし、運用に地域差があり、市町村によっては、 手帳が無いという理由でサービスを受けられないケースがみられる。これは発達障害に限 った例ではない。そのため改正される障害者基本法には、新しい障害概念を取り込み、三 障害以外の様々な障害について障害者基本法ならびに総合福祉法において谷間を生まな いようにすることが必要である。

【中西委員】

○ 結論

 総合福祉法では谷間を作る手帳制度は廃止すべきであり、そのうえで3 障害の認定制度についても社会モデルを適用するように、大幅な改革をすべきである。

○ 理由

 すべての福祉サービス利用者を谷間なく認定するためには各福祉法で行われている手帳制度を廃止することがまず必要である。現在のサービス利用については手帳は利用されていないので、廃止しても問題は起こらない。

【中原委員】

○ 結論

 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法については、総合福祉法でカバーできない事項を規定する位置づけとすべき。障害児については、総合福祉法と切り離し児童福祉法で対応すべき。

○ 理由

 制度の基本設計は総合福祉法で規定すべきであるが、個別の障害特性やニーズを総合福 祉法だけで規定するのは無理がある。

【奈良崎委員】

○ 結論

 障がい者種類別にしてほしい

○ 理由

 ひとりひとりが障がいの種類や程度が違いがあるのでひとりひとり体制を

【西滝委員】

○ 結論

 既存の法律は現状にそぐわない部分もあり、新法制定に合わせた見直しや統合廃止をおこなう。

○ 理由

 新法の障害の範囲拡大などにより、既存の法律が対応できなくなることが考えられる。

【野原委員】

○ 結論

 総合福祉法としては横断的な課題について規定し、これまでの身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法を含め、難病患者福祉法(仮称)の制定など障害の特性に見合った個別法は必要とする考え方と、個別法を廃止してすべてを総合福祉法に一本化していくという考え方があり、現段階では未整理になっているのが現状である。
 いずれにしても「谷間のない文字どおり総合的な福祉法」が求めらている。児童福祉法、医療、労働、教育など他法との連携・調整などを明確化する。

○ 理由

 他法との連携・調整などをすすめるため、制度の谷間にあった難病の場合は、例えば病名も確定しない、理療方法も分からない、医療保険も福祉制度も全あく利用できず、医療と密接に絡んだ従来の「障害」概念では捉えられない障害者が多いので、難病患者へは独自に対応する施策体系が求められる。

【東川委員】

○ 結論

 まずは、現行の障害種別・年齢別などの法律が存在することの良いところ、悪いところ、また、必ず入れなくてはいけないこと等を整理することである。その上で、総合福祉法の守備範囲を慎重に検討すべきである。

○ 理由

 必要な支援が必要な人に、確かに早く実行されるためには、どのような法制度が求められるのか、障害を持つ人の立場から慎重に検討することが必要である。

【平野委員】

○ 結論

 現実問題として、緊急時や本人によるサービス利用が困難な時の行政によるサービス提供制度(措置制度)は必要であり、それをなんらかの形で残す必要がある。また障害による格差や差別は解消すべきであるが、障害特性に応じた援助(例 視覚障害者への点字図書館、精神障害者保健福祉センター)も必要であり、そうした部分は各法で対応すべきであろう。

○ 理由

 上記の通り。

【広田委員】

○ 結論

 やっと他の障害者と横並びになれる。

○ 理由

 精神障害者の場合、福祉は何もないのが実態。

【福井委員】

○ 結論

 個別の障害者福祉法の廃止や見直しも、今後考えられていくことになるかもしれないが、現行での既存法律のあり方と関連については、整理して考えておくことが必要。

○ 理由

 そもそも、廃止になる「障害者自立支援法」は、障害種別や児童の福祉法がありながら、それらを実質的に改定してきた障害者福祉サービスの財政負担区分、利用手続き、サービス体系を定めた「サービス給付法」である。障害者福祉の根幹となる実定法で、高齢者の介護福祉法に該当するものと考えられる。特に、憲法第25 条を実質的に改悪し、国の責任を縮小し、利用者・家族の自己責任、自己負担増で、市場化した事業者の商品化したサービスを買うものにした。これが、違憲訴訟がおこった所以でもある。

【藤岡委員】

○ 結論 ①

 社会福祉法の見直しが必要である。
 身体、知的、精神の各法を廃止して総合することも考慮に値するが、今回の日程とこの部会ではそこまでは難しいでしょう。

○ 理由 ①

 社会福祉基礎構造改革により、社会福祉法制全般が、措置から契約制度に転換したことに伴う障害者福祉の個人責任と公的責任との相克という課題が、この部会でのメインテーマの一つと考える。
 従って、障害者自立支援法の根源的問題をえぐりだすために、同法の基礎となった社会福祉法にメスを入れることが不可欠であるという共有意識を持つことが必要。
 特に私が確認したいのは社会福祉における公的責任、公的義務である。
 社会福祉法第61条第1項1号は、「国及び地方公共団体は、法律に基づくその責任を他の社会福祉事業を経営する者に転嫁し、またはこれらの者の財政的援助を求めないこと。」として、社会福祉事業の責任を民間に転嫁してはならないという「責任転嫁禁止原則」を明記している。
 事業者に対して財政援助を求めることが禁止されていることはもちろん、要支援者、利用者に求めてならないことは原理的になおさらいわんやおやである。
 従って、同法は 「国及び地方公共団体は、憲法、法律に基づく生存権、平等権、個人の尊厳保障義務等の公的責任を他の社会福祉事業を経営する者に転嫁し、またはこれらの者の財政的援助を求めてはならず、要支援者、福祉事業利用者に対して責任を転嫁し、財政的援助を求めてはならない。」とするべきである。

○ 結論 ②

 今回の法律に障害児童の支援条項を明記するべき。

○ 理由 ②

 児童福祉法で行なうべきが現在の関係者での定説。確かに障害児である前に児童である。
 しかし、障害に伴う個別支援の観点から、障害児者支援の基本法に障害児支援の条項を 確認しておくことは、障害のある児童の個別支援の保障の観点から不可欠。

【増田委員】

○ 結論

 総合福祉法の枠組みを構築し,その枠組みを基本に各法について検討する.

【三浦委員】

○ 結論

 現行法(自立支援法下)でのサービスレベルを下げず、「すべての地域に住む、すべての障害のある人を対象とする。」
 4法等のあり方から検討すると多大な時間を要す。基本法の改正も平行して行われるので、新法は「支援(サービス)法」の位置づけで時代に沿うものとし、新法の成立によって、旧4法等に優先する(不要な箇所や重複する箇所は整合を図る)。

【光増委員】

○ 結論

 障害者基本法と総合福祉法との整合性を図った上で、これら法律の独自性を残すべきでないか

○ 理由

 より細かなところは既存の法律で対処できるようにする必要性がある。総合福祉法に全てを統一すると膨大な法律になってしまう。

【宮田委員】

○ 結論

 障害者自立支援法と児童福祉法に分断されている障害児に対する施設支援・居宅支援・相談支援・医療支援(育成医療・精神通院医療)等を児童福祉法に一元化する。同時に、児童福祉法や総合福祉法には、保育所等の児童一般施策における障害児の利用差別の禁止を明記する。また児童の作業チームを設置して、「特別支援教育」の見直しも含めて、両法が乳幼児期から学齢期、成人期に至る継続的な支援体制の基盤となるよう検討する。

○ 理由

 法律が分断されているため、障害を理由に保育所や放課後児童クラブ等に受け入れられないなどの状況があり、障害児の地域での育ちだけでなく保護者の就労をも阻害している。この状況は、「障害者総合福祉法」だけでなく「障害者差別禁止法」の重要な課題でもある。障害児支援を児童福祉法に一元化するとともに、総合福祉法と児童福祉法には、障害を理由とした保育所等の利用差別の禁止が明記されるべきである。

【森委員】

○ 結論

 障害の特性や年齢の幅を超えた総合的な生活支援が求められ、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法、その他の既存の法律との関係性を明確にし、総合福祉法を策定すべきである。

○ 理由

 機能障害に限定した支援ではなく、生活支援という視点から、さらに一人ひとりの価値観を大切にしたシームレスな総合的な生活支援をはかる必要がある。そのためには総合福祉法と各法律との関係性を明確にし、各法律、制度を包括的に、総合的につなぐという役割を総合福祉法が担う必要がある。

【山本委員】

○ 結論

 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法については廃止し、精神保健福祉法の福祉の部分はこの法律に統合する。精神保健福祉法の医療の部分は医療法および、これから作られるべき医療基本法および患者の権利法制に統合する。

○ 理由

 あらゆる支援を必要とする人の支援への権利を保障する法体系を作るために既存の三障害の福祉法は統合されるべきである

<項目A-6 その他>

論点A-6-1) 「分野A 法の理念・目的・範囲」についてのその他の論点及び意見

【荒井委員】

○ 結論

 自己決定が難しい障害者の「意思」を適切に捉えられるよう、客観的な方法を定めるべきである。

○ 理由

 知的障害者や精神障害者への配慮が必要であるため。

【荒井委員】

「障害児教育等の分野を加えるべきではないか」

○ 結論

 教育の分野を「総合福祉法」にも明記することとし、具体的には教育の対象範囲について特別支援教育の概念をベースに定め、特別支援教育の範疇に関するものは学校教育で、それ以外は異なる分野で担うことを明確化する。
 また、障害児への教育活動に限らず、その他障害児への支援活動においても相互の連携協力を義務付ける。

○ 理由

 特別支援教育の分野を「総合福祉法」で規定することはできないが、就学前指導、学童保育(休業中を含む。)、通学時のバリアフリー化、障害児の就労といった点で、教育、地域支援及び労働分野との間で谷間を生むことなくそれぞれのサービス部門が立場を理解しながら連携ができるよう役割を明確にする。その結果、谷間がなくなるので、あらゆる分野で行政側の責任部署が明確化し、数値目標等を持った具体的な施策が責任を持って立案できる。

【石橋委員】

○ 結論

 老人福祉法を含まないことを明記する。

○ 理由

 介護保険との統合を防ぐため。

【大濱委員】

○ 結論

 現状の障害者自立支援法の2条の1項は、余計な文章がたくさん付加されているので、結論がぼかされているが、新法では、まず、「市町村の責任として、障害者が自ら選んだ場所で自立した生活ができるよう支給決定を行う責任がある」とはっきり短い文章でわかりやすく記載すべき。その上で、その次の文章でさまざまな、それ以外の文章(ハローワークとの連携など付随の文章)を入れるべき。

○ 理由

 障害者自立支援法第2条1項では【市町村の責務】として「障害者が自ら選択した場所に居住し自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な自立支援給付を行うこと。」とある。(一部中略。全文は以下。)

第二条 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、この法律の実施に関し、次に掲げる責務を有する。

一 障害者が自ら選択した場所に居住し、又は障害者若しくは障害児(以下「障害者等」という。)がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会 生活を営む事が出来るよう、当該市町村の区域における障害者等の生活の実態を把握した上で、公共職業安定所その他の職業リハビリテーション(障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第二条第七号 に規定する職業リハビリテーションをいう。第四十二条第一項において同じ。)の措置を実施する機関、教育機関その他の関係機関との緊密な連携を図りつつ、必要な自立支援給付及び地域生活支援事業を総合的かつ計画的に行う事。

 このように、現状の2条1項は余計な文章が多すぎてわかりにくい。

参考
推進会議 1次意見
「4.「地域生活」を可能とするための支援
すべての障害者が家族への依存から脱却し、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利を有することを確認するとともに、その実現のために24 時間介助等を含む支援制度の構築を目指す。制度の構築に当たっては、地域間格差が生じないよう十分に留意する。」

【小野委員】

○ 結論

 前述のとおり。

○ 理由

 前述のとおり。

【柏女委員】

○ 結論

 本法の理念について、障害児について障害者権利条約第7 条の規定や児童の権利条約第 3条、第12条の規定に基づく理念規定(具体的には、子どもの最善の利益の保障や意見表 明の確保)を置くことが必要とされる。

○ 理由

 本法の理念規定は、成人のみに限定すべきものではないため。

【北浦委員】

○ 結論

 障害のある人が、他の者との平等を基礎とするためには、先ずいのちが守られなければならない。そのうえで、権利の主体として、居住地及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有するのであり、生命に対する権利を守るために医療施設に入所することは差別に当たらないことを確認することが必要である。

○ 理由

 障害者個人の人権を守るには、先ずいのちが守られなければならない。いのちを守ることが、平等の基礎であることを踏まえれば、その選択肢として、いのちを守る医療施設の存在を否定することはできないのであり、重症心身障害児施設(医療施設)入所は、人権侵害で施設を廃止し、すべて地域に移行ということは、命が守れないということにつながり、生存権を奪うもので逆差別になるのではないか。

【清水委員】

○ 結論

 この部会の持ち方ですが、「私たちを抜きに私たちのことを決めないで。そして、私たちでつくるからみんなもしっかり手伝って。」というような実感が持てる、そんな部会論議の仕方がしたいです。(どうすれば良いかは自分で考えないといけないと思いますが)また部会の外でも各地域でも、みんなでつくっていこうという大きなうねりをつくりたいと思います。

【奈良崎委員】

○ 結論

 言葉をわかりやすくしてほしい

○ 理由

 知的障がいだから

【東川委員】

○ 結論

 理念・目的などは、権利条約などを踏まえれば大きな問題はないと考える。
 「総合福祉法」の守備範囲と他の法律との関係性について、明確にすることは必要であ る。

○ 理由

 障害者自立支援法が医療などを守備範囲としたことで、混乱が大きかったと考える。

【福井委員】

○ 結論

 2010年1月7日の違憲訴訟原告団と国との基本合意文書での指摘、「応益負担から応能負担へ」「障害程度区分の認定体制の抜本的見直し」「報酬払いの日割りから月払い」などについて、それらがベースになってこの部会での議論が行われていることを、改めて確認しておく必要がある。

○ 理由

 このことについて、国が示している構想は、違憲訴訟原告団との「基本合意文書」しかない。先の国会での改正案提出のような暴挙を再び行わせないためにも、必要であると痛感している。

【藤岡委員】

○ 結論 ①

 今回の法制定での改革の方向性=権利保障体系への改革=国・地方自治体の障害者支援義務の明確化

○ 理由 ①

 障害者の権利保障体系としての法規にしなくてはならない。
 基本的人権を保障する憲法を具体化するための法規として法律全体が権利保障体系として貫かれることが重要。
 障害者支援義務を怠ることは違憲、違法であることの確認。
 障害福祉の公的責任を明確化=障害者の公的権利保障体系への変革を。
 行政施策実施の反射的利益を受ける保護の客体から、権利の主体、権利保障体系への変革が必要である。
 たとえば障害者自立支援法第19条の介護給付費等の支給決定条項は「支給を受けようとする障害者は市町村の支給決定を受けなければならない」と定める。
 これでは、権利者と義務者があべこべである。具体的権利保障を規定するべき重要な条項において、障害者に義務を課すのではいけない。
 ここは、例えば次のように書かれるべきである。
 「1項 公的支援を必要とする障害を持つ市民は、国及び居住する市町村に対して、介護等の支援を求める公的請求権が保障される。」
 権利保障体系への変革として法文に国・自治体の障害者支援義務が明確に規定されることが必須である。
 「2項 国、市町村は障害を持つ市民に対して、その市民の個人の尊厳を保障し、当該市民の社会的不利益を是正・解消するため、公的支援を保障する義務を負う。」
 法第20条でも、(申請)との表題で、「1項 支給決定を受けようとする障害者は厚労省令で定めるところにより、市町村に申請しなければならない。」としているが、これも権利である以上、「申請することが出来る。」とされるべきである。
 そのうえで「申請主義」が「申請なければ公的義務も公的権利もなし」との生み出してきた実態と問題を直視し、福祉支援のネットからこぼれ落ちる人のないよう、制度教示義務の明確化、施策としての徹底、仲間作り等の支援を含めた地域社会の構築を視野に入れた立体的支援の推進が必要である。

○ 結論 ②

 個別の支援請求権保障の実定法化が不可欠

○ 理由 ②

 視覚障害者、移動機能障害者、知的・精神障害者等に対する移動介護保障請求権、知的障害者の行動支援保障請求権、障害者の就労支援保障請求権等、障害当事者の必要性に応じた、必要な請求権保障という権利法体系に変革され、実体的な権利保障が明確に規定されなくてはならない。
 盲ろう者、ALS者の支援の権利、視覚障害者の点訳請求権等の情報アクセス請求権もその支援の独自の視点もあり、個別明記されるべき。移動支援における居住・移転の自由(憲法13条、22条)、情報保障における表現の自由に基づくコミュニケーション支援の人権(憲法21条)等も可能な限り、条文に明記するべきである。
 公的支援が不足している状態は障害者の社会参加権侵害であり、差別であり、違憲状態であることがわかる条文作りが重要だから。

○ 結論 ③

 支援申請権の明記と重要性の担保

○ 理由 ③

 支援申請権が権利として保障されていることを明記することは当然の前提として、行政が申請をさせないという申請拒否行為が違法であることを明記し、行政庁に罰金を課す。

○ 結論 ④

 憲法第14条=法の下の平等が法の根拠にあることの明記

○ 理由 ④

 法の下の平等=障害者の実質的機会平等の保障
障害福祉施策を支える一番の基本は平等権保障なのであって、その意味で、差別禁止法の理念と根は同じ。

○ 結論 ⑤

 憲法第25条生存権の保障が法の基礎にあることの明記

○ 理由 ⑤

 たとえば「重症心身障害児者」の支援を考えればわかるとおり、実質的な機会平等を保障しただけで、裸の競争原理に放り出すことで障害福祉の責任は到底果たせない。
 障害福祉における生命の保障、生存権の保障の原理=誰もが安心して生きていかれる社会保障の原理もまた、重要な理念である。

○ 結論 ⑥

 憲法第13条 障害者の個人の尊厳の保障、自己決定権、幸福追求権の保障の明記

○ 理由 ⑥

 障害福祉では、ただ生命が維持されれば足るということではなく、全ての個人の尊厳が保障されることが重要であり、人間の尊厳が保障されることが必要である。
 そして、公的支援を活用しながら自分の生きたいように生き、各自が自らの幸福を追求する権利を有するという当事者の自己決定の原理、当事者主権と幸福追求権の保障(憲法13条)が重要である。
 夜間の見守り介助の必要性を訴える障害者に対して、「オムツをすればいい」と言う障害者福祉行政が現実に横行している。それが憲法第13条違反の人権侵害であることが、一般市民にも行政職員にも容易にわかる規定が必要。

○ 結論 ⑦

 前文に今回の新法制定の理念を打ち出しましょう。

○ 理由 ⑦

 この法は、障害者福祉の方向性の根本転換を打ち出す画期的法の制定ですので、前文が重要です。格調高い前文を必ず作りましょう。「議員立法には前文があるが、内閣法には前文がない」などという旧弊に縛られる必然性は全くない!

○ 結論 ⑧

 「障害者とは」を確認する前文

○ 理由 ⑧

 国際障害者年に確認された 「ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである。
 障害者は、その社会において特殊なニーズを持つ特別な集団と考えられるべきではなく、通常の人間的なニーズを満たすことに特別な困難を持つ普通の市民と考えられるべきなのである」とのテーゼを再確認しておくべき。

【増田委員】

○ 結論

 障害者権利条約を基本にする.

【森委員】

○ 結論

 介護保険法との統合などについてはありえないという前提のもとに、介護保険法との関係性などについて検討し、介護保険法が優先するという現行制度の問題点などについても明確について示すべきである。

○ 理由

 市町村の判断において、揺らぎが生じることのないようなシステムを構築する必要がある。

【山本委員】

○ 結論

 来年が「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」の見直しに当たるので、この法律の対象者に矯正施設入所者および刑事司法手続き中の未決の人で、支援を必要とする人を対象とすべく、上記法律とのすり合わせを行うべき。
 また刑事訴訟法上の改正も必要、とりわけ鑑定留置の見直しは喫緊の課題
 矯正施設や更生保護制度の中で、自給自足で特別な「触法・虞犯障害者対策」「出獄後の障害者対策」が取られることはあってはならず、より統合されたこの法律の中で一般的な支援が提供されるべき
 また入管施設に入れられている人にも支援提供されるべく関係法規との調整が必要
住宅の確保については一般的な賃貸住宅を借りることが困難な人(外国人、高齢者等)と同様の法律で確保されるべきであり、施設であるケアホーム・グループホームはこの法律では住宅政策として規定されるべきではなくまた施設として禁止されるべき

○ 理由

 刑事施設での獄中処遇における障害者差別は頻発しており、看過し得ない状態にある。また司法手続き上の合理的配慮の貫徹のためにもこの法による重要である。
 精神障害者がその症状ゆえに懲罰に科せられたり、自殺未遂も脱獄未遂同様懲罰の対象とされ、医療も保障されていない状態は緊急に解決されるべき
 すでに身体障害者福祉法については矯正施設入所者にも適用されることになっている(添付資料1 参照)
 入管施設に入れられている障害者への合理的配慮の貫徹とこの法による支援が必要
 すでに破綻した心神喪失者等医療観察法廃止に向けても、総合的な福祉法が、これら刑 事司法の対象者をも含み関係法律と整合性を持っていくことは重要
 なおグループホームケアホームの廃止については以下の施設の定義から施設であり地域生活ではないと考えるから。施設の定義については以下
 ピープルファーストカナダ、CACL およびインクルージョンヨーロッパの定義に従い現 行のグループホームケアホームも施設であり廃止されるべきだから
 "An institution is any place in which people who have been labeled as having an intellectual disability are isolated, segregated and/or congregated. An institution is any place in which people do not have, or are not allowed to exercise, control over their lives and their day to day decisions. An institution is not defined merely by its size."
 「施設とは、知的障害とレッテルをはられた人が、孤立しあるいは分離され、あるいはまた集団的に処遇されるいかなる場所をもさす。施設とは人が日常的決定を自ら支配し、行使することを許されないあるいはそうしたことのできない場所をさす。施設は単に規模だけによって定義されるわけではない」これは知的障害者以外についても適用できる定義である