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総合福祉部会 第5回 H22.7.27 資料2-4

資料2-4 「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見(分野C 「選択と決定」(支給決定))【その1】

目次

(分野C 「選択と決定」(支給決定))

<項目C-1 自己決定支援・相談支援>

論点C-1-1) 「必要な支援を受けながら、自らの決定・選択に基づき、社会のあらゆる分野の活動に参加・参画する」(意見書)を実現していくためには、どういう支援が必要か?また「セルフマネジメント」「支援を得ながらの自己決定」についてどう考えるか?

論点C-1-2) 障害者ケアマネジメントで重要性が指摘されてきたエンパワメント支援についてどう考えるか?また、エンパワメント支援の機能を強化するためにはどういった方策が必要と考えるか?

論点C-1-3) ピアカウンセリング、ピアサポートの意義と役割、普及する上での課題についてどう考えるか?

論点C-1-4) 施設・病院からの地域移行や、地域生活支援の充実を進めていく上で、相談支援の役割と機能として求められるものにはどのようなことがあるか?その点から、現状の位置づけや体制にはどのような課題があると考えるか?

<項目C-2 障害程度区分の機能と問題点>

論点C-2-1) 現行「自立支援法」の支給決定についてどう評価し、どういう問題点があると考えるか?また、その中で「障害程度区分」の果たした機能と、その問題点についてどう考えるか?

論点C-2-2) 「障害程度区分」と連動している支援の必要度及び報酬と国庫負担基準についてどう考えるか?特に、今後の地域移行の展開を考えた際に、24 時間の地域でのサポート体制(後述)が必要となるが、そのための財源調整の仕組みをどう考えるか?

(分野C 「選択と決定」(支給決定))

<項目C-1 自己決定支援・相談支援>

論点C-1-1) 「必要な支援を受けながら、自らの決定・選択に基づき、社会のあらゆる分野の活動に参加・参画する」(意見書)を実現していくためには、どういう支援が必要か?また「セルフマネジメント」「支援を得ながらの自己決定」についてどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 選択をより質の高いものにするためには、エンパワメント支援の視点を持ち、障害者が必要とする支援を恒常的にマネジメントするケアマネジャー制度が必要。
 このケアマネージャーがサービスの給付管理や調整、施設等から地域移行への支援、各種行政機関への対応等を行うことにより、障害者の地域における自立を支援する。
 その際、ピアサポートについても制度に組み入れることを検討していく必要。

○ 理由

 障害者の人生をトータルに支援する相談支援従事者を専門職として確立し、障害者の選択を支援できるような仕組みを創設する必要がある。

【伊澤委員】

○ 結論

 (精神分野では特に..)支援や関わりの視点として、ラポール形成重視、その支援関係をベースに「共に創って行く姿勢」が大切である。

○ 理由

 たとえば、最初から相談事や必要な支援内容がはっきりしていてというよりも、相談事が自分でもその問題であると認知するには、他の人と確かめあったり、今利用できている支援の場で方向づけられたりする。よってニーズを明瞭にしていくための助走としての関わりが極めて肝要である。

【石橋委員】

○ 結論

 実現するための支援には、情報開示と当事者と親を対象とした相談・研修が必要。
 「セルフマネジメント」「支援を得ながらの自己決定」は、支援を要する人を理解し、全面的に信頼できる相談者の育成と適合性を客観的に評価できる体制が重要。

○ 理由

 書面や電子版を含め、情報開示をリアルタイムにする。

【氏田委員】

○ 結論

 自らの日々の生活や人生設計について意思表示が出来る人にはセルフマネジメントにより必要な支援を組み立て、社会のあらゆる分野の活動に参加していくことが可能であるが、言葉もなく意思表示が困難な人の場合は、本人の表情や様子から意思を読み取るなどにより自己決定を支える必要がある。支援を得ながらの自己決定もまたセルフマネジメントであると考えるが、特に、自己決定に支援の必要な人たちについては、資格をもった相談支援専門員のような人が必要であると考える。
 同時に自らの決定・選択にあたり、通常の形では情報を受け取ることができない障害者のための情報のバリアフリー化と、本人が理解できるように伝える必要がある。
 また、社会のあらゆる分野の活動に参加・参画するために、本人のニーズをアセスメントし、支援計画を作成して支援を実施していくケアマネジメントの方法が有効ではないかと考える。自己決定を支える相談支援専門員と支援計画を作成し実施するケアマネジャーの両方ともが必要であると考えている。

○ 理由

 自己選択・決定に必要な情報を本人が理解できる形に変えて伝える支援、本人の選択・決定を受けて代弁する支援など、専門性を持った支援者による自己決定支援が必要であり、知的発達障害のある人がセルフマネジメントを行うために必要な情報を提供する福祉の専門職などによる支援が必要である。
 本人が自覚していないニーズもありケアマネージャーによる支援は必要である。

【大久保委員】

○ 結論

 自らの生活や将来設計を含めて意思表示できる人にとっての「セルフマネジメント」と、意思表示が困難で、日々の暮らしにおける支援の中で、その表情の変化や様子から意思を読み取る支援を必要とする人にとっての「支援を得ながらの自己決定」は、方法や手続き、時間的な相違はあるものの、目指すものは同じく自己実現と理解する。
 しかし、「支援を得ながらの自己決定」のためには、高度な専門性と長期にわたる支援と多額の費用を必要とすることを認識する必要があると考える。また、この「自己決定」は日常的なことから契約行為や財産管理など様々な場面が想定され、これらの支援体制は権利擁護と深く関係していることに留意する必要がある。

【大濱委員】

○ 結論

 「セルフマネジメント」「支援を得ながらの自己決定」を推進すべき。
 特に身体障害者については、高齢者と同様の「専門家がケアプランを作成する仕組み」ではなく、サービスを利用する障害者自身が自らのケアプランを作成できる制度設計を基本とすべき。その能力が不足する場合は、それが自らできるようになる側面支援を受ける仕組みを作るべき。

【岡部委員】

○ 結論

 知的障害者においては、「支援を受けた自立」と同時に「支援を受けた自律」が必要であることを確認し、「自立支援」と同時に「自律支援」をパーソナルアシスタントが提供する便宜の内容とする必要がある。

○ 理由

 ※提出参考資料「『支援を受けた自律』という課題」参照のこと。

【小澤委員】

○ 結論

  • 総合相談支援センターを、市町村および圏域単位に設置をする。そこに、研修を受けたピアスタッフを置き、アドボカシー支援、セルフマネジメント支援、自己決定支援を行う。

○ 理由

  • 理念的なことでは進まないので、実際に関わる支援機関の設置が重要である。

【小田島委員】

○ 結論

 わからないことは、支援者に手伝ってもらって決めていく。

○ 理由

 知的障害者は、自分だけではわからないことが多いから。

【小野委員】

○ 結論

 支給決定という条項とせず、あくまでも選択の保障としての請求権と、必要に応じた支援の受給権を定義する。その際の選択と決定に至る支援のあり方も制度として定める。

○ 理由

 請求権と受給権を前提に、生活上の困難に応じて必要な支援を受けられるようにする。その際、セルフマネジメントは手法として必要となるが、介護保険のケアマネジメント制度をそのまま導入するようなことはしない。

【門屋委員】

○ 結論

 障がいのある人の中で、自らの決定・選択に支援や応援が必要な人はたくさんいます。相談支援事業所や権利擁護のシステム、とりわけ障害者に対して代弁機能を持つ権利擁護者制度を作るべきと考えます。
 「セルフマネジメント」は当然認められるべきです。障害のない国民はセルフマネジメントして生活しています。セルフマネジメントできることを行い、一部マネジメントをしてもらうこともありえます。
 「支援を得ながらの自己決定」は当然あるべきです。

○ 理由

 全部一人で自らの決定・選択をすることが、できる人ばかりではありません。理由としては、自己の決定・選択に障がいや個人の性格がじゃまになる人がいるからです。ですから、家族や仲間、相談員(福祉の仕事をする人)などの意見を聞いたり、体験などして、応援をしてもらえる相談支援事業所や権利擁護の仕組みを充実させるべきです。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 所得保障、居住支援、生活支援、コミュニケーション支援、セルフヘルプ活動への支援などが、必要。また、支援メニューが豊富にあり、どの障がい者にも平等に保障されることが必要である。「支援を受けながらの自己決定」は重要である。

○ 理由

 精神障がい者は、多くは自己決定にストレスを感じる。そのために人の指示に従い、自己決定が見過ごされることがある。自己決定が実現されるための専門的な支援が必要である。

【北野委員】

○ 結論

 「選択と決定」に当たって必要な支援は3つある。

  1. まずは、選択するという経験の積み重ねに付いての支援である。どんな重度の障害者であっても、それぞれの選択肢と選択方法がある。逆に、軽度の障害者であっても、選択するという経験を奪われた場合には、本人らしい「選択と決定」は成立しない
  2. 次に、他の市民と同様の役割や社会参加・参画する機会や経験に基づく選択肢を如何に広げるかである。そのことを支援する相談支援機関や権利擁護機関による自立生活プログラムや本人支援計画が有効である。

【君塚委員】

○ 結論

 さらに各位の意見を広く求める。

○ 理由

 従来の専門機関の活用が不可欠である。

【坂本委員】

○ 結論

 生活圏を拠点とした相談支援の仕組みとしては、地域包括支援センターを充実させて、障害福祉分野も児童福祉分野も高齢福祉分野等も含めて福祉分野を横断的に相談できるようにした方がよい。

○ 理由

 地域において支援が必要な家族の方々には、「息子さんに障害があり、ご高齢の本人が 要介護状態となった」とか「母子世帯でかつ障害がある」といった事例も少なくない。
 また、身体障害のある方の多くはご高齢の方であったり、ご高齢の方に多い認知症は精 神障害であったりするなど、知識や支援技術において共通しているところも少なくない。
 成年後見や虐待などの権利擁護関係でも共通分野が多い。従って、生活圏域レベル、あるいは町レベルにおいても、相談支援拠点を縦割りで二重に設置することは、人的資源も含めて重複・無駄が多いし、利用者にとっても縦割りの弊害がある。今後の少子高齢化においては、地域における「支え合い」機能を高めていくことが重要であるが、その機能が縦割りであってはいけない。現在の地域包括支援センターは高齢者福祉分野に重きが置かれているが、人材の育成・配置等により障害福祉分野や他の分野も対応することが可能となると考える。

【佐野委員】

○ 結論

 福祉サービスを必要・十分に受給できる仕組みを構築すべき。難聴者等が自らの障害の 内容・権利を理解するには、適切な助言、経験、及び一定の時間が必要である。
 エンパワメント事業や相談支援事業の充実のなかで個々に合わせた支援を決定できる 力を持った専門家の養成が必要である。

○ 理由

 難聴者等は自らの障害を理解する機会や場所もない。聞こえの障害や補聴器の装用、読話、手話などのコミュニケーション方法、人権などの学習をする機会の保障が重要であるから。

【清水委員】

○ 結論

 どうしても私は、青葉園および西宮の実態状況を深化・発展させ、普遍化する方向で思考してしまいます。(詳しくは第2回部会の資料3西宮市においてたいへん障害の重い人達が拓いてきた地域の暮らしの現状と今後の展望)
 共に立ち上がっていく活動(エンパワーメントプログラム)→本人を囲んでの個別支援会議、本人中心計画→支援の輪の構築と本人中心の相談支援の展開→コミュニティーへのアクションプランへ→市民みんなのエンパワーメント、まちづくりという連動・展開です。

○ 理由

 どんなに障害の重い人でも、自己決定はされています。支援を得ながらというより、その人が生きている関係世界の中で、支援の輪の中で、常に自己決定の中で自分の人生を生きておられます。支援者と本人が主体を響き合わせ、その自己決定を捉えていき、共に立ち上がっていくというイメージです。

【竹端委員】

○ 結論

 どんなに重い障害のある人でも、「セルフマネジメント」「支援を得ながらの自己決定」のどちらかはできる。この理念を実現するための、支きゅう決ていのやり方を考えるべきである。

○ 理由

 重症心身障害をもった人でも、本人中心の個べつ支援けいかくを作る中で、「支援を得ながらの自己決定」ができている。また、それは、本人が中心である、といういみでは、セルフケアマネジメントと同じ方向のものである。そして、それは今の日本でも、十分にやることができる。そのことは、参考資料(「地域主導による障害者支援プロセスのケーススタディ」研究報告書)にくわしく書かれている。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 障害者個人の意思に基づいて選択と決定が行われるようにするための支援が基本となる。意思決定に関する支援制度の創設を検討する必要がある。また、セルフマネジメント等については、相談支援を充実させることが重要である。

○ 理由

 障害者が個人として尊重されるためには、まず、障害者個人の意思が尊重されることが重要である。障害者への支援は、あくまで障害者個人の希望に沿ったものでなければならない。障害者が自ら意思決定を十分行えない場合には、その家族等による意思決定補助の制度の創設を検討する必要がある。また、セルフマネジメントに関しては、相談支援を充実させることにより、障害者個人の意思を十分に汲み取る体制を整えるべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 自己実現のための環境整備に基づく支援サービスの基盤整備が重要である。コミュニケーションを言葉を通じて確認しにくい方の場合、「セルフマネジメント」は成立しない。
 「支援を得ながらの自己決定」のためには、本人を中心に据えた支援体制の合議体のあり方と支援内容も含む情報開示の透明性が大切である。

○ 理由

 専門性を持った支援者による自己決定支援が必要である知的・発達障害のある人がマネジメントを行うために必要な情報を提供する福祉の専門職などによる支援については、ケアマネージャーによる支援も含めて、介護給付で支援体制を用意する必要がある。

【中西委員】

○ 結論

 ライフステージにおいてのあらゆる支援が必要である。通園、通学、就労、地域生活、結婚生活、育児などその場に応じた障害児・者に対する支援が求められている。自らの生活を自らで決定するセルフマネジメントは基本であるが、それができない人たちについては支援を受けながらの自己決定とケアマネジメントが必要となる。自己決定できない人は自立生活はできない、よって自立支援のサービスは受けられないという制度は廃止すべきである。

○ 理由

 すべての人にとって自己選択・自己決定による生活は望ましいことであり、総合福祉法はその自立生活を側面的に支援すべきものであるから。

【中原委員】

○ 結論

 自己決定に支援が必要は人には、本人をよく知る人との協働作業によるケアマネジメントの手法を活用することが必要と考える。「セルフマネジメント」「支援を得ながらの自己決定」の考え方には賛成である。

○ 理由

 自己決定に支援が必要は人には、本人をよく知る人との協働作業によるケアマネジメントの手法を活用することが必要と考える。
 知的障害のある人の中には自己決定・自己選択に支援を必要としている人がおり、専門的かつ継続的な支援が必要となる。

【奈良崎委員】

○ 結論

 本人の支援者や成年後見人をつけてやってほしい

○ 理由

 自分ができることは自分で、できないことは支援者や成年後見人と相談してやる。

【西滝委員】

○ 結論

 対等で自由なコミュニケーションが自らの決定・選択を促し社会への参加を導く。コミュニケーション支援が肝要である。

【野澤委員】

○ 結論

 言葉での表現が苦手で、サポートがないと判断能力を理解可能なかたちにすることがむずかしい障害者には、①彼のことをもっとも理解している人が代弁機能をはたし②それでも代弁者が本当に彼のことを理解しているかどうかわからないという自覚を促し③そのことを客観的に理解している人が関わり④障害のある彼がたえず成長(変化)し、その変化に適合した福祉サービスを適時提供できるようなアレンジをし、⑤それも本当に適合しているのかどうかをチェックする別の機能を備える――という体制が必要。

○ 理由

 セルフマネジメント、セルフエンパワメント、ピアカウンセリング……。そのどれもが必要であることは当然であるが、それでも言葉のない・判断能力にハンディのある障害者がいることを厳粛に考えるべきである。そうした彼らに対して「どんな人もセルフマネジメントができる」という当たり前のことを唱えているだけでは足りない。判断能力がある障害者とそうではない障害者は(理念や哲学や思想としては分けるべきではないかもしれないが)、国民の税金を有効に使わねばならない社会制度を作る上では分けて考えるべき局面がある。

【野原委員】

○ 結論

 論点A‐3-2 A-3-3 A-4 に述べた。

【東川委員】

○ 結論

 地域移行の所でも指摘したが、入院・入所生活が長い障害者ばかりでなく、障害があるために限られた生活経験しかもてなかった障害者は、自己決定・自己選択の機会を奪われてきた。それゆえに、「支援を得ながらの自己決定」は当然必要であり、本来の力を引き出すためのエンパワメント支援は重要である。そのためにもピアサポートの活用や、セルフマネジメントを可能にするための支援が求められる。

○ 理由

 障害者はこれまで、自らの力を発揮することができないような環境におかれてきたため。

【平野委員】

○ 結論

 A-4-1)でも述べたとおり、サービス利用以前のプロプロセスやそこでの支援がある。
 まずは、障害者本人のエンパワメントが必要であり、そして自身のニーズ把握を支援することが求められる。その意味で「支援を得ながらの自己決定」は必要である。また、可能な障害者には「セルフマネジメント」も有効であると考えられる。ただし、セルフマネジメントをすべての障害者の義務化することや、一般化(原則化)することは、障害者を自己管理出来る障害者とそうでない障害者に区分することとなり好ましくないと思える。

○ 理由

 一般社会でも、支援を得て選択・決定することはしばしばある。例えば、レストランでワインを選ぶ際にソムリエの支援を求めることなどである。そうした支援があることで、より良い自己実現が図れる。重要なことは、その自己決定が本人の「最善の利益を保障する」ことであり、もちろん当事者の意に反して決定することは許されないが、なにがなんでも当事者だけで決定させることがベストでないことは一般社会での例からもわかる。

【広田委員】

○ 結論

 障害の程度、環境等による。

○ 理由

 精神障害者の世界もセルフマネージメントは望ましいと思うけど、現実は病状の不安定 さもある。

【福井委員】

○ 結論

 障害程度区分は廃止するが、先ず日常生活の改善や社会生活への参加について、本人の希望を明確にする。その際、支援の必要度を決める標準的なガイドラインの開発は欠かせない。的確なサービスが支給されるように、障害当事者の参画も必要であろう。個別ニーズに基づく支給決定には、自治体や各専門家と市民などが参加するネットワークによって、進められる方向を検討していくべきである。

○ 理由

 これまでの、地域福祉サービスの提供は、まさに行政側の枠組みからの一方的な支給であり、当事者の希望をどう実現していくかという視点が欠落していた。地域ネットワークづくりを通じて、何よりも障害者に対する社会的理解の向上が生まれ、共に生きるまちづくりへの方向が期待される。

【藤岡委員】

○ 結論

 高齢者は別としても、成年後見制度は知的、精神障害者に関しては、廃止を含めた抜本的な改革が必要。身体障害者も含めて利用できる新たな総合支援制度が必要。

○ 理由

 たとえば一人の弁護士が成年後見人になったところで、障害者が持てる力を開花させて必要な支援を受けながら自立した生活を送る支えにたいして役立っていない現実がある(一部の熱意ある取り組みは別として)。
 支援を得ながらの自己決定の実現こそはこの法の進むべき道筋。
 そのためのセルフアドボカシーシステムは必要であり、要員の報酬保障をこの法に基づき個別支給していく必要がある。
 障害者本人の財産から成年後見人の報酬付与を裁判官が決定する現行民法の成年後見制度は生存権保障、人権保障の観点から誤っており、廃止するべき(地域生活支援事業の必須事業で補填すればよいというようなレベルでない根本問題です)。
 そのためには財源確保が必要である。

【増田委員】

○ 結論

 必要な支援は,その人によって幅広い.自らのニーズを言葉で表現できない場合もあり,その人に寄り添った丁寧な支援が必要である.

○ 理由

 長期的に精神科病院に入院している人は,退院し,地域で暮らすことに大きな不安を抱く.こうした人たちがかつて持っていた希望を取り戻すためには丁寧な働きかけと安心を提供することが必要である.そうした支援の中で改めて自らの希望を抱くことができる.

【三浦委員】

○ 結論

 質の高い相談支援が必要。セルフマネジメントが可能な人は、セルフプランを基に支給申請する。また、支援を得て自己決定していくようなケアマネジメント(エンパワメント支援)の行える社会福祉士等の人材養成が不可欠である。

【光増委員】

○ 結論

 支援付き自己決定のあり方が必要である。

○ 理由

 重症心身障害、重複障害、知的障害のある人等、自己決定をするために支援が必要な人がいる。当事者が信頼できる支援者、家族等と相談支援の担当者が支援を得ながらの自己決定ができる支援が必要である。ただし、支援者・家族の考え方が強くなると本人の自己決定を損なう場合もあるので、必要に応じてピアサポーター、ピアカウンセラー、相談支援担当者も入れて支給決定の検証を定期的に行う必要性がある。

【森委員】

○ 結論

 自己決定、自己選択に基づいて、社会のあらゆる分野の活動に参加・参画するためには、障害者ケアマネジメントの手法を展開するとともに、十分な選択肢をもとに、本人主体の達成可能な生活のイメージをもとに、その実現を図っていく必要がある。また、その過程をもとに本人の課題解決能力を向上させることがエンパワメントである。そのような観点から考察を深めると「セルフマネジメント」「支援を得ながらの自己決定」は是非とも、障害者本人が獲得して実践すべき課題である。

○ 理由

 本人主体の本人の価値観に基づいた本人の実現可能な生活をおくるための支援は、適切な支援を組み合わせることによって可能であると考えられる。

【山本委員】

○ 結論

 セルフマネイジメントではなくあくまで自己決定であるべき。
 支援として本人の権利主張を支え、さらに本人の力を強くしていくエンパワーメントのためのアドボケイトを法的に位置づけていくべき
 支援を受けた上での自己決定が、法的に自己決定として認められること、さらに支援者が権限乱用しないための仕掛けも必要

○ 理由

 セルフケアマネージメントであっても、圧倒的に選択肢のない状態ではワンパックになった計画を押し付けられたり、それを拒否できない状態がアメリカからは報告されているあくまで自己決定が中心とされなければ、サービス提供側による囲い込みが生じかねない。
 一方で自己決定するための支援がなければ情報のないままに放置されてしまい、制度利用ができない実態がある

論点C-1-2) 障害者ケアマネジメントで重要性が指摘されてきたエンパワメント支援についてどう考えるか?また、エンパワメント支援の機能を強化するためにはどういった方策が必要と考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 選択をより質の高いものにするためには、エンパワメント支援の視点を持ち、障害者が 必要とする支援を恒常的にマネジメントするケアマネジャー制度が必要。
 このケアマネージャーがサービスの給付管理や調整、施設等から地域移行への支援、各種行政機関への対応等を行うことにより、障害者の地域における自立を支援する。
 その際、ピアサポートについても制度に組み入れることを検討していく必要。

○ 理由

 障害者の人生をトータルに支援する相談支援従事者を専門職として確立し、障害者の選択を支援できるような仕組みを創設する必要がある。

【伊澤委員】

○ 結論

 「個別支援計画の強化」という課題から大切なものと思うが、「エンパワーメント」の概念規定があやふやと感じており、視点の整理が必要

○ 理由

 エンパワーメントは通説では、人間の潜在能力の発揮を可能にするよう平等で公平な社会を実現しようとするところに価値を見出す視点であり、たんに個人や集団の自立を促す概念ではないと言われている。概念の規定とともに当然、当事者・支援者の意識も変わる必要があり。おのずと教育面での反映も促進すべきである。

【石橋委員】

○ 結論

 包括的な支援体制の構築と理念の公知が重要。
 市町村自冶体の自立支援協議会の設置を義務とし、エンパワメント支援の機能を強化するために権限と責任を持たせると同時に宛職で編成しない。

○ 理由

 当事者の未開発の力を社会で発揮するためには、社会資源の再検討を幅広い範囲で行うことが必要。

【氏田委員】

○ 結論

 ICFの環境因子は障害特性がどのような日常生活適応につながるかに大きく影響する一要因である。障害のネガティブな表現形である困難性をもたらしている環境因子を把握し、その環境因子の操作によって障害特性のポジティブな表現形を実現することが必要である。また、障害を持つ子どもの将来のエンパワメント支援が最大限の実効性をもつために、 幼児期から成功体験に基盤を置いた発達支援を展開することが大切である。

○ 理由

 発達障害をはじめとして、すべての障害カテゴリーにおいて、ICF の環境因子が日常生 活適応に及ぼす影響は大きい。本人の力量が最大限発揮されるための環境調整は、エンパ ワメント支援の中軸と考えられるべきであると考える。 ICF の個人因子もまた障害特性がどのような日常適応につながるかに大きく影響する一 要因である。特に、障害者自身の幼児期からの育ちは、成人期のエンパワメントに大きな 影響を及ぼすと言われている。

【大久保委員】

○ 結論

 障害者ケアマネジメントは、簡単に言えば、障害者一人ひとりが暮らしていく上での支援ニーズ(本人の意向に基づく)を把握し、それに応じた様々なサービスを調整、確保する機能等と理解するが、その視点の中には、障害者が主体性をもって社会生活を送ることがあると考える。
 知的障害分野においては、この主体性の獲得に向けた支援は、これまでの「発達支援」や「自立支援」と言い換えても差し支えないと考える。ただし、これらの支援ニーズは変化するものであり、一定期間ごとにモニタリングする必要がある。また、このモニタリングは支援の質を再評価することでもある。
 したがって、エンパワメント支援の機能を強化は、ケアマネジメントの機能強化だけではなく、支援現場の専門性の確保等と深く関係するものと考える。

【大濱委員】

○ 結論

 特に身体障害者については、自らのケアプランを作成できる制度設計を基本とすべき。
 このために障害当事者である相談支援員がエンパワメントの視点で相談支援する仕組みの構築。

【岡部委員】

○ 結論

 エンパワメントのそもそもの語義からして、「ケアの担い手からケアの受け手への権力(パワー)の委譲」が大前提であり、その意味からも、ピアカウンセラーやパーソナルアシスタント(コーディネーター)が担う相談支援機能はがもっと評価されることが必要。

○ 理由

 専門家主導の「ケアマネジメントの専門性」ではエンパワメント支援に限界があるため。

【小澤委員】

○ 結論

  • 総合相談支援センターを、市町村および圏域単位に設置をする。そこに、研修を受けたピアスタッフを置き、アドボカシー支援、セルフマネジメント支援、自己決定支援を行う。
  • 都道府県・市町村の地域生活支援事業(現行の方式ではなくて、国庫補助による誘導が必要)の中で、当事者グループ活動への助成を位置づけ、エンパワメント支援の人材を養成する。

○ 理由

  • 相談支援センターだけでなく、セルフヘルプグループ活動の活性化もあわせて必要。

【小田島委員】

○ 結論

 地域に出ていろいろな経験が出来るようにする。
 いろいろなことを考えて、自分の意見が言える場所が必要。
 いろいろな支援者と会議や話し合いをやって、自分でもよくわかるようにする。

○ 理由

 自分だけでは何をやったらいいのかわからなくなるから。

【小野委員】

○ 結論

 本人の意志、意欲を引き出し、選択と決定に至るプロセスを本人本位で支える手法と仕組みを構築する。そのためには、障害程度区分を廃止する。

○ 理由

 本人の選択と決定が前提となり、本人本位の支援となるため。

【門屋委員】

○ 結論

 当然です。障害者ケアマネジメントについては、一貫して本人中心・主体、本人のエンパワメントを第一に考え、常に高めることを意識しつつ相談支援専門員の支援を行うこととして、国の指導者研修においても強調されてきたところです。
 アセスメントの仕方とケア計画を立てるときに、本人のストレングス、環境のストレングスを明確にしつつ立てていく過程において明確になります。
 加えて日々のモニタリング、提示のモニタリングの中にエンパワメントの視点を具体的に盛り込むべきです。

○ 理由

 社会モデルを基本としたことは、すでにこのことを当然としています。
 国の責任でサービス管理責任者、相談支援専門員、生活介護員など、福祉で働く人々の質を向上させるべきです。特に相談支援機能を独立できる体制整備が喫緊の課題です。個人の適切なニード把握からすべてが始まるわけで、相談支援専門員の人材育成が障がい福祉の基盤整備として最大の課題と考えています。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 当事者会、家族会といったセルフヘルプグループへの支援を法律に規定することが必要である。同時に障がい者個々人および家族への支援がなされることがエンパワメントにつながるものと考える。

○ 理由

 障がい者同士および家族同士の交流と活動は、互いに学び力をつける機能がある。グループが安心して運営できるような支援が必要。

【北野委員】

○ 結論

 「権利の主体」「社会モデル」といった理念は、障害者が「ともに生きる力を高めること(=エンパワーメント)」ことなくしては成立しないゆえに、エンパワーメント支援が障害者ケアマネジメントの基本である。

○ 理由

 「権利の主体」「社会モデル」といった理念が、障害者が「ともに生きる力を高めること(=エンパワーメント)」ことなくしては成立しないのは、治療や支援される受動的・依存的存在ではなく、自ら選びとった役割や社会参加・参画に必要な治療や支援を活用して生きる力を高めてゆくことが大切だからである。

【佐野委員】

○ 結論

 自立支援を目的とした指導プログラムを当事者と専門家で開発する事業、そのプログラムに従事するものを指導する指導者養成事業を必須事業とされたい。

【清水委員】

○ 結論

 上記C-1-1と同様

○ 理由

 この法律そのもの、今回生みだそうとしている仕組み全体がエンパワーメント支援機能の実態化を目指すものであると実感を持って思っています。

【竹端委員】

○ 結論

 10万人に1つ(市町村もしくは圏域単位)くらい、障害者のエンパワメントをすすめるため、行政がお金を出して、障害者が運営する場所をつくる必要がある。

○ 理由

 障害のある本人は、自分の必要なサービスをほんとうは知っているはずだ。だが、これまでその声はきちんときかれてこなかったし、誰かにまもられたくらしをしていると、それに気づかなくなる。なので、それに気づき、自信をとりもどすため、ピアカウンセリングやピアサポートなども行われる、なかまの集まる場が必ようである。これは自立生活センターやアメリカのリージョナルセンターのように当事者主たいで運えいされ、行政はほじょ金をだすべきだ。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 障害者がどのような人生を送りたいのか、どのような職種に就きたいのか等、障害者個人の希望を前提として、障害者の機能回復や、職業訓練支援を行う必要がある。教育分野における支援や、就労、資格取得に関する支援も必要となると考えられる。

○ 理由

 エンパワメント支援は重要であるが、それが強制されるものであってはならない。障害者個人の意思が尊重されることを前提として、障害者が一歩を踏み出そうとする際に、多くの可能性が与えられるものである必要がある。そして、支援メニューとしては、機能回復、職業訓練、教育、就労、相談支援等が整備される必要がある。

【田中(正)委員】

○ 結論

 エンパワメントの目的は、障害のある方が主体性をもって社会参加を実現することにある。したがって、エンパワメント支援の機能を強化するには、本人の存在の価値を最大限発揮する視点が重要であり、そのための本人状態の見立てと可能性を見いだす環境設定が重要である。それは、個人の社会的機能を本人自身の内発的な動機により向上させること、社会生活に反映させる事となるので、内発的な動機の向上を促す支援のあり方と環境設定を行う調整力の見立てを専門性として開発する必要がある。

○ 理由

 障害のあるなしに関わらず、ICF の環境因子のとらえ方は、日常の生活適応に及ぼす影響は大きい。特に、幼児期から成人期を見据えた見立て(可能性の発掘)が大きな影響を及ぼすと考えるが、環境次第で本人の状態がさらに大きな影響を受ける視点も忘れてはならない。社会参加の評価軸は、労働性や生産性に偏重しがちであるが、新たな軸の構築が求められている。それは芸術や文化活動において、ひいては存在そのものが社会に変容をもたらす価値として重要だとする軸である。環境を設定し調整しつつ、本人の特性(障害の状態も含む)が、どのような日常につながるかを適応状態からとらえ、より良い環境調整を図ることでさらなるエンパワメントが実現すると考えるからである。

【中西委員】

○ 結論

 エンパワメント支援は自己選択・自己決定を本人ができるようにする過程で必要となるツールである。当事者の自立生活を既にしている先輩がピア・カウンセラーとして利用者に寄り添ってその精神的、生活技能的な支援をピア・カウンセリングや自立生活プログラムなどの自立生活センターで提供されているサービスを使ってエンパワメントしていく。そのためには当事者がサービス支援の前面に立って、国の制度での人件費やプログラム補助を受けて地域でのエンパワメント支援を行える制度を早急に構築すべきである。

○ 理由

 当事者はその障害についての専門家である。従来の医療的専門家とは意味が違う立場での生活支援やサポーターとしての役割を果たす総合福祉法の中でもキーパーソンである。総合福祉法の中では当事者支援をそのサービスの骨格とすることが求められている。

【中原委員】

○ 結論

 自己決定への支援が必要な人には、専門的、継続的な支援が必要となる。そのためには相談支援の充実やケアマネジメントの仕組みが重要となる。

○ 理由

 知的障害のある人の中には、情報を理解し自らの意思を決定する過程に支援を必要としている人が多くいることから、知的障害分野においては、これを補うケアマネジメントの視点が重要である。これらの支援は知的障害者の自己決定に資するものであり、エンパワメントにもつながることとなる。そのためには、相談支援事業所の公平性と専門性は欠くことのできない要件となる。

【奈良崎委員】

○ 結論

 介護保険でやっているようなケアマネジメントはいらない

【西滝委員】

○ 結論

 エンパワーメント支援もコミュニケーション環境が求められている。

【野澤委員】

○ 結論

 論点C-1-1)を参照。

○ 理由

 論点C-1-1)を参照。

【野原委員】

○ 結論

 総合福祉法では包括的な規定にすることが望ましい。

【東川委員】

○ 結論

 自己決定・自己選択の機会を奪われてきた障害者にとって、エンパワメント支援は重要であり、そのためにもピアサポートの活用や、セルフマネジメントを可能にするための支援が求められる。

○ 理由

 長期入院・入所者はもちろん、障害があるために経験を狭められ、力を出し切れない状況にある障害者は、なお多いと考えられるため。

【平野委員】

○ 結論

 C-1-1)で述べたとおりエンパワメント支援は不可欠と考えられる。その支援の担い手については、事業者に任せれば、サービル利用の誘導になることも考えられるため、客観性や第三者性を担保するため、公的機関などが行うことが望ましい。

○ 理由

 上記の通り。

【広田委員】

○ 結論

 ほめること。

○ 理由

 ほめることにより、自信がついてゆく。
 お金もない。

【福井委員】

○ 結論

 エンパワーメント支援の重要性は、これまで証明されてきたところであり、機能強化について、民間での実践なども掘り起こしながら、支援策を明確にしていくべきである。

○ 理由

 これまで以上に、専門家の育成など、位置付けをしっかり確立していくことが求められる。

【藤岡委員】

○ 結論

 本人の持っている力を支援するセルフアドボカシーというべき者を、福祉職、行政職、相談専門員、法律職、保健医療職、同じような障害を持つあるいは持たない友人・知人等のチームでの取り組みを制度化する。

○ 理由

 エンパワメント支援とは本人自身の本来持っている潜在的な力の全面開花のための総合的支援のことと思います。
 一人の資格者は、支援の核になることは重要としても、社会関係、環境としての取り組みが必要であり、チームを組む必要がある。
 核になるアドボカシーに資格を与えて、研修、養成していく仕組みは必要。

【増田委員】

○ 結論

 障害のある人への社会の多くの人たちが持つ偏見が除去されることが必要である.そのためには障害のある人たちが社会のさまざまな場面に参加し,力を発揮できる環境を整えることが必要.そのための支援が柔軟に行われる制度が必要.

【三浦委員】

○ 結論

 エンパワメント支援(自己決定支援)プロセスの明示。プログラムの共有(見える化)を検討する。

○ 理由

 現行の障害者ケアマネジメント、及び個別支援計画策定においても利用者のエンパワメントは最重視されるが、エンパワメント支援を強化するためには、支援プロセスや支援プログラムを研究し、共有する方策が必要と同時に、誰が行えるかが課題となると思われるため。

【光増委員】

○ 結論

 当事者によるピアサポーター、ピアカウンセラーとの関わり、ピアグループなどの当事者活動などを通してのエンパワーメント支援の機能は重要

○ 理由

 当事者によるピアカウンセリング、当事者活動などが重要になる。そのために相談事業所との連携が必要。そのための当事者支援、当事者支援を行う支援者の養成が必要になる。

【森委員】

○ 結論

 障害者ケアマネジメントの手法を活用して達成可能な望ましい生活のあり方を本人の自己決定に基づいて明確にし、その達成可能な望ましい生活と現状とのギャップを分析し、適切な選択肢を自己選択することによって、自己実現に結びつける過程がケアマネジメントである。そして、その過程をもとに自己肯定感、自己効力を持つにいたることが、課題解決能力の向上、すなわちエンパワメントの向上である。
 そして、エンパワメント支援のためには、障害当事者の知識知、体験知などに基づいたピアカウンセリング、ピアサポートが重要であり、やがて障害当事者によるセルフマネジメントが実現できる支援の充実が必要になる。

○ 理由

 自己決定、自己選択をもとにした自己実現を図る自立支援の充実を図るためには、障害者ケアマネジメント、エンパワメントについて周知を図り、その十分な活用を図る必要がある。

【山本委員】

○ 結論

 ケアマネージメントの文脈ではエンパワーメントは生まれないので、あくまで自己決定支援に徹するべきである

○ 理由

 ケアマネージメントという手法そのものが、利用者の力をそぎ、押し付けを生み出す危険がある。

論点B-2-1) 障害手帳を持たない高次脳機能障害、発達障害、難病、軽度知的、難聴などを有する者を排除しない手続き規定をどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 選択をより質の高いものにするためには、エンパワメント支援の視点を持ち、障害者が必要とする支援を恒常的にマネジメントするケアマネジャー制度が必要。
 このケアマネージャーがサービスの給付管理や調整、施設等から地域移行への支援、各種行政機関への対応等を行うことにより、障害者の地域における自立を支援する。
 その際、ピアサポートについても制度に組み入れることを検討していく必要。

○ 理由

 障害者の人生をトータルに支援する相談支援従事者を専門職として確立し、障害者の選択を支援できるような仕組みを創設する必要がある。

【伊澤委員】

○ 結論

 (観念的ながら..)基本は、同じ立場や目線で、お互いの想いを重ねあい共通項を見出し、一緒に行動する(伴走姿勢)相談支援の形として重要である。

○ 理由

 自分の意見を表明することが苦手、あるいは困難な人が多いので、本人の気持ちに沿い、安心・安全担保した支援の形として重要である。現状と、先を見通した取り組みが必要である。将来に向けての仕掛け(教育等)も大切であり、

  1. 支援の担い手の養成研修等の活性化
  2. 研修後の活動の場の確保ならびに予算化を制度保障の観点から進める。

【石橋委員】

○ 結論

 一定の理念・実践研修が必要。単なる、経験的な話だけであると、違った方向への誘導もあり得る。
 ボランティアと位置づけない。
 情報を公開する。
 ピアサポーター(親を含む)の研修。

○ 理由

 肢体不自由の当事者を抱える不安解消のために、当事者だけでなく、当事者を持つ親も含めた体制作りが必要だが、その存在が知られていない。

【氏田委員】

○ 結論

 当事者によるピアカウンセリング、ピアサポートは、個々の体験相互に共通部分があると考えられるため、相互理解が得やすく相談者に仲間としての安心感を与える。また、互いの経験知を共有することが困難さの改善に役立つなど、ピア支援は重要であり、障害者の自立(自律)に果たす役割は大きい。ピア支援は当事者間、家族間の相互支援であるが、コミュニケーション過程の整理など、必要に応じて、支援者の仲立ちが有用な場合もある。また家族観のピア支援としてはペアレントメンターの養成も行われており、家族の大きな支えになっている。今後、安定したピアカウンセリング、ピアサポーターによる支援を提供できるよう、ピア支援を補助する第三者的な支援機能の確立など市町村レベルで課題に対応できる体制づくりをする必要がある。

○ 理由

 身近な場所で気軽に相談できる理解者、経験者へのニーズと効果は、親の会や当事者団体などの活動実績からも明らかである。また、認定にあたっては、それまでの団体での相談経験の他、関連する研修の履修なども基準に加える事とし、学歴や新たな知識や特定の経験の習得に制限されず実力ある人材の早期確保に努め、さらには、ピア支援に携わる者としての位置づけを確かにすることで支援者としての意識の向上を促すことや継続的な研修による資質の向上に努めるとともに、抱え込みや燃え尽きなどに対するメンタルケアに対してもバックアップするなど、地域の実情に合わせた迅速な対応が出来る体制づくりが可能になる。

【大久保委員】

○ 結論

 ピアカウンセリング、ピアサポートの意義については理解するが、果たす役割や機能さらに制度化などについては整理、検討が必要と考える。

○ 理由

 知的障害分野では、ピアカウンセリング、ピアサポートを助成事業などにより実施されているが、知的障害者本人やその家族に対する共感をベースとした仲間づくりやエンパワメント、相談支援など様々である。

【大濱委員】

○ 結論

 たとえば病院や施設から地域生活に移行するにあたって、地域で暮らしている自分より重度のピア相談員が相談に乗れば、ロールモデルとなり、障害者本人の地域生活のイメージづくりや自信につながる。
 課題はピア相談員が研修受講する際の交通費・宿泊費の助成や、遠方の病院や施設に相談支援に出向く場合や、逆に施設等から相談支援事務所まで出てきてもらう交通費・介護費用・相談員の時給などの助成。

○ 理由

 相談支援事業を受託していない障害者団体や重度の障害者個人でも地域移行のための 施設や病院での障害当事者への相談援助を行っているが、公的な助成等がないので、遠方 の施設の障害者等から地域移行の相談の申し込みがあっても、なかなか会えない状態があ る。

【岡部委員】

○ 結論

 論点C-1-2に同じ。

○ 理由

 論点C-1-2に同じ。

【小澤委員】

○ 結論

  • 総合相談支援センターを、市町村および圏域単位に設置をする。そこに、研修を受けたピアスタッフを置き、アドボカシー支援、セルフマネジメント支援、自己決定支援を行う。
  • 都道府県・市町村の地域生活支援事業(現行の方式ではなくて、国庫補助による誘導が必要)の中で、当事者グループ活動への助成を位置づけ、エンパワメント支援の人材を養成する。

○ 理由

  • 相談支援センターだけでなく、セルフヘルプグループ活動の活性化もあわせて必要。

【小田島委員】

○ 結論

 ピープルファーストのような当事者の団体に国がお金を出す。

○ 理由

 お金があれば当事者の団体がもっとたくさんできるから。

【柏女委員】

○ 結論

 当事者団体(親の会を含む。)に対する公的支援について規定する。

○ 理由

 当事者視点の重要性による。

【門屋委員】

○ 結論

 米国ではこの10 年前よりピアサポート・スペシャリストという州ごとの資格が作られ、支援チームの一員として職業として成立しています。当然ないよう豊かな研修体制が可能とさせているようです。地域で生活支援を行うマンパワーとしては必須の人材と考えています。
 働けるシステムが必要です。地域移行時及び地域定着の支援チームの一員として労働対価が支払われ職業としてのシステムが必要です。加えて研修体制が必要ですが、地方で受講しやすい研修システムの開発が重要です。週1回夜間に3時間程度の研修を10 回ほど続けて基礎研修とするなど、研修内容は検討されるべきです。

○ 理由

 体験をもとに本人のニードを明確にでき、本人との信頼関係も結びやすく、いろいろな利点があります。専門職とチームを組むことによってより有効性が高まると考えます。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 ピアカウンセリング、ピアサポートの役割は大きい。制度化されるべき。

○ 理由

 現状はボランティアにささえられている活動で、財政的な保障がない。仲間同士の支えは同じ障害を共有でき、共感できるメリットがある。特に精神障がい者の家族会は高齢化で、会の運営も困難になっている。制度化され、財源の保障がされ、会が継続できることは意義のあることである。

【北野委員】

○ 結論

 ピアカウンセリングやピアサポートは、障害者の相談支援やケアマネジメントや権利擁護に欠かせない必須支援である。

○ 理由

 同じ障害のゆえに、様々な人生の差別や困難を経験してきた仲間による理解と共感は、一般にそうではない専門家のそれを超えており、さらに、その困難の中で、地域自立生活を営む仲間は、同じ障害のある、これから地域自立生活を営もうとする障害者のロールモデルとなりうるから。

【君塚委員】

○ 結論

 行う機関への経済的支援を検討する。

【佐野委員】

○ 結論

 障害者権利条約ではピアカウンセリング、ピアメンタリングとあるが、難聴者等に対しても障害が個別に発生し、コミュニケーションの障害であることから周囲の理解を得にくく、社会的に孤立している(関係性の障害)。課題は、難聴者等向けピアカウンセリング、ピアメンタリング、ピアサポート、プログラムの開発、指導者の養成である。アメリカでは難聴者の為のピアメンター養成プログラムがある。

○ 理由

 自らの障害を周囲に訴えられないがピアサポートを受ける中で自信の回復、権利意識の確立につながる。

【清水委員】

○ 結論

 重症心身障害の方々のプログラムにおいても、ピア支援というのはとても有意義であることを実感しています。

○ 理由

 普及という点で言えば、エンパワーメントプログラムとの関連で、ピアが不可欠ということで、今回の仕組みを動かす上で、たいへん大きな役割が生ずることになると思います。

【竹端委員】

○ 結論

 C-1-2の場のなかですべき。

○ 理由

 C-1-2のりゆうとおなじ。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 ピアカウンセリング、ピアサポートは障害者が精神的苦痛を共有し、その後の人生を前向きに送ることができる契機となる意義を有するものであり重要である。従って、相談支援の一内容として、拡充すべきである。

○ 理由

 障害者が、同様の障害を有する人と接する機会を持つことは、その後の人生を送る上での大きな精神的支えとなることが多い。また、自分とは別の障害を有する人の考え方を聞く機会も、自らの気持ちを整理する契機となる場合がある。従って、相談支援の一内容として、可能な範囲で障害者のネットワークを形成しておき、障害者から希望があれば、他の障害者と接する機会を設定していくような支援が行われることが検討されるべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 ピアカウンセリング、ピアサポートの意義、果たす役割や機能さらに制度化などについては、まずは言葉の定義からの整理、検討が必要である。そのためには実態調査をし、本来の目的を整理した上で検討を行うべきである。

○ 理由

 国内で行われているピアカウンセリング、ピアサポートの実態に幅があり、制度として検討するには未整理な状態のため。

【中西委員】

○ 結論

 障害者にとって最も信頼できる支援者が同じ障害をもつ仲間であり、支援者である。それはただ障害があればよいわけではなく障害がある上にさらにピア・カウンセリングや自立生活プログラムなどのプログラム実施ノウハウを研修によって取得したものでなければピア・カウンセラー、ピアサポーターと称することはできない。そのためには自立生活センターが行っている42 時間のピア・カウンセラー養成研修の制度を参考にして当事者が講師となって育てることが必要である。

○ 理由

 障害者のピア・カウンセリングのリーダーは現在200 名程度いるがその養成には2 年から5年の期間が必要となっている。これを国制度にすることは現状のピア・カウンセラーに対しての大きな負担となるため新たな研修手法を考えるしかない。

【中原委員】

○ 結論

 知的障害者に関するピアカウンセリング・ピアサポートの位置づけ、定義が不明である。

【野澤委員】

○ 結論

 論点C-1-1)を参照。

○ 理由

 論点C-1-1)を参照。

【野原委員】

○ 結論

 当事者団体、支援団体が行うべき分野であるが、その育成と活動・運営への行政のさらなる支援が必要である。

【東川委員】

○ 結論

 セルフマネジメントやピアサポートは、「保護される人から権利を持つ人へ変わる」を実現していくためにも欠くことができない。

○ 理由

 相談支援機関が「指導機関」にならないためにも、障害者自身によるアドボケイト(支援者)が必要である。ピア活動があれば、ニーズに応じた支援が提供しやすく、こうした活動によって「自分から進んで社会参加」することにもなる。

【平野委員】

○ 結論

 エンパワメント支援の見地からもピアカウンセリングやピアサポートは有効と考えられるが、それぞれ適切な技法や技術の活用が根底にあり、「素人療法」にならないように研修や訓練を義務化し、それぞれの質の担保を図るべきであろう。また、専門機関の相談援助とタイアップしての実施など、ピアカウンセリングやピアサポートを様々な形でサービスネットワークに組み入れることが求められる。
 なお、障害者によっては、障害受容の状況などにより、ピアカウンセリングやピアサポートを受け入れることが困難なこともあり、これを義務化することは避けるべきであろう。(ピアカウンセリングもピアサポートも障害者自身からそれを望んだときに大きな効果を発揮するものとされており、これを強制しては効果が期待されないと考えられる)

○ 理由

 上記の通り。

【広田委員】

○ 結論

 本人、家族、関係者がピアカウンセリング、ピアサポートの重要性を認識すること。

○ 理由

 上記の人が、本人及び家族同士のピアカウンセリング、ピアサポートの重要性に気付いていないことが多い。

【福井委員】

○ 結論

 障害者同士や家族によるピアカウンセリングや、ピアサポートの意義や役割は大きいものがあり、これまでも大きな成果をあげてきている。しかし、これを真に普及するためには、教育・研修の充実、積極性を引き出した相談の結果を受け入れる施策の拡充が欠かせない。

○ 理由

 これまでは、ともすると行政の不備を補う形での普及が先行しているようなところもあって、せっかくの当事者同士の連携が、一方的な押しつけ・思い込みのはげしさなどによる行き違いから、実を結ぶにいたらなかった例も見られた。この面での支援策の確立が、今後の課題である。

【増田委員】

○ 結論

 さまざまな現場で行われているピアカウンセリングやピアサポートの実際を集積し,ピアの力が最も生かされる支援のあり方を検討する必要がある.専門職との役割分担なども整理していく必要がある.

○ 理由

 精神科への長期入院患者へのピアサポートが全国に広がっているが,そのあり方はさまざまだ.医療機関の閉鎖性なども大きな障壁になって,その力が発揮できない場合もある.
 ピアの力を社会の中で認めていくためにもその実態や有効性を明らかにする必要がある.

【三浦委員】

○ 結論

 エンパワメント支援、適確な情報提供を行う上で意義がある相談支援職に位置づけ、認定資格化と研修の検討を行いピアカウンセリング・ピアサポートの質の向上とともに、相談支援の実践力を高める役割として普及させていく。

○ 理由

 ピアサポートの有効性を重視し、障害のある人の職業分野として定着すれば、社会(環境)開発に向かえる可能性を持つと考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 ピアカウンセリング、ピアサポートの取り組みはまだ不十分で、普及していないが、今後相談機能、支給決定への情報提供、施設、家族からの地域生活移行を進めるうえで重要である。

○ 理由

 各地で当事者への情報提供と養成研修、当事者を支援する支援者研修を実施する。相談支援研修にピアカウンセリングの研修と演習などを入れ、相談支援にも当事者が関われるような機能をもたせる必要がある。

【森委員】

○ 結論

 ピアカウンセリング、ピアサポートは、障害体験者としての知識知、体験知をもとに、体験者ならではのメンタル的、かつ実践的支援の充実を図るために必須のことである。そのためにはピアカウンセリング、ピアサポートの支援についての意義と役割について総合福祉法に明確に位置づけるとともに、それを担うべき障害者、ピアカウンセラー、ピアサポーターの社会的位置づけを明確にする必要がある。そして、そのための充実した研修システムを構築必要がある。
 加えて、セルフヘルプグループ(自助グループ)、当事者団体の意義と役割を明記するとともに、活動への支援の充実を図る必要がある。

○ 理由

 障害を体験してきた人の知識知、体験知に基づいた支援は、現行の相談支援事業所での支援に欠如していると考えられることが多く、障害当事者と相談支援事業所との連携によって、障害者の潜在的な能力を引き出し、自己肯定感、自己効力感をいだいて生活に取り組むことが是非求められる。

【山本委員】

○ 結論

 ピアサポート、ピアカウンセリングという言葉が独り歩きしているが、基本はあくまで仲間同士のアドボカシー活動であると考えるので、ピアアドボカシーと位置づけるべきである。
 何らかの仕組みの中にピアの活動が組み込まれることなく、あくまで障害者団体の独立性を担保する仕掛けが必要である。その意味でもピアアドボカシーのほうが望ましい。  ピアアドボカシーを行う障害者団体に財政的支援を行うべき
 またセルフヘルプグループへの財政的支援も必要
 ピアアドボケイトやセルフヘルプグループの施設や・精神病院への出前は特に重要

○ 理由

 障害者が安上がり労働力として精神保健体制に組み込まれている例が欧米では見られ、非常に危険な流れと考えている。
 あくまで独立した障害者団体の活動がアドボカシーとして行われることが必要
 独立性担保のためには法的位置づけのみならず財政の独立が必須
 なおピアとして活動は役割の交換可能というところに真髄があり、それなしにピア、としての活動の意義はない。したがって仮にピアカウンセリング・ピアサポートという活動を認知するにしてもピアカウンセラー・ピアサポーターという存在はありえず、もちろん資格などありえない(添付資料2 参照)。セルフヘルプグループによる助け合いの形態が重要とはいっても精神病院や・施設でまったく情報なしに放置されている人が多いので出前活動をして外からの風を定期的に入れていくことが必要

論点C-1-4) 施設・病院からの地域移行や、地域生活支援の充実を進めていく上で、相談支援の役割と機能として求められるものにはどのようなことがあるか?その点から、現状の位置づけや体制にはどのような課題があると考えるか?

【朝比奈委員】

○ 結論

 介護や支援のサービスを調達する、調整するといったレベルにとどまらず、ご本人とのしっかりとしたコミュニケーションや信頼関係を成立させる、ご本人と周囲の人たちとのパイプ役となって調整を図る、病院や役所、不動産屋、金融機関等の日常生活場面に同行して手続き等を一緒にすすめる等の、生活支援と一体となった相談支援が必要とされます。
 このような活動は実際には、退院促進事業のなかで行われたり、通所施設や居宅介護事業所なども支援の一環として行っていますが、福祉的支援をまったく受けてこなかった場合やサービスの対象にならない(利用したくない)軽度の人たちの場合には、相談支援事業所で集中的に担わざるを得ないことも多く、量的なニーズに応えられていないのが実情です。

【荒井委員】

○ 結論

 選択をより質の高いものにするためには、エンパワメント支援の視点を持ち、障害者が必要とする支援を恒常的にマネジメントするケアマネジャー制度が必要。
 このケアマネージャーがサービスの給付管理や調整、施設等から地域移行への支援、各種行政機関への対応等を行うことにより、障害者の地域における自立を支援する。その際、ピアサポートについても制度に組み入れることを検討していく必要。

○ 理由

 障害者の人生をトータルに支援する相談支援従事者を専門職として確立し、障害者の選択を支援できるような仕組みを創設する必要がある。

【石橋委員】

○ 結論

 生活機能分類にたてば、障害の概念が変わる。したがって、その範囲という規定も不要となる。

○ 理由

 同上

【伊澤委員】

○ 結論

  1. 「地域移行・退院促進」事業は現状のメニュー的事業ではなく、法定化し本腰をいれるべき。実施体制の基本水準の設定も含め、拡充の方向を強く示すべきである。
  2. コーディネート(ソーシャルワーク)機能とピアサポートの統合スタイルの確立による地域移行、退院促進を推進すべき。
  3. 相談支援は入院中からの関係づくりを包摂した活動として明確に捉え、早い時期からのマネジメントを開始する。
  4. 現状の「委託相談支援事業」と「指定相談支援」の役割の明確化
  5. 支援の担い手育成の仕組みの確立人の育成(施設整備よりもマンパワー養成と配備)

○ 理由

  • 現状の地域移行退院促進活動はコーディネーターとピアスタッフが共同で、「個別支援」ならびに「病院への個別ならびにチーム訪問」を通じた、情報発信、啓発的活動の実施がひとつの形として普及してきている。
  • 相談支援対応体制として、パーソナルサポーター(仮称)を配置し、人によるワンストップサービスを実施する方向。パーソナルサポートは困窮している人に対して、随時の相談、必要な支援を個別的、継続的に実施する。寄り添い、伴走型の支援。もちろんピアサポートも含む。
  • つまり相談支援の決め手は、「人」に有り、施設を整備するばかりでなく、人の確保(養成と配備)を強力に展開するべき。

【石橋委員】

○ 結論

 地域生活の上で相談機能の充実が必要であり、法的身分を付与し、責任と権限を与える。福祉事務所の機能の復活と充実。

○ 理由

 「措置」は公務員、「契約」が民間人に変わった。
 民間では苦情の聞き取りとしか受け止めていないので信頼性、一貫性がない。在宅で生活している当事者のニーズが公的に拾えていない。
 当事者に寄り添う支援体制が欠かせない。制度・財政ありきでは、その使命は果たせない。個別支援マネージャーが存在すれば、ワンストップサービスとなりえる。

【氏田委員】

○ 結論

 地域移行のためには相談支援が必要であるが、相談支援者が地域の社会資源とネットワークを組み、地域のネットワークの中で本人の地域生活支援を行っていかなければ、地域移行はできないと思われる。そのためには、地域の社会資源が地域生活を支えられるよう充実していることが必要である。

○ 理由

 地域移行が進まないのは、相談支援体制が整っていないというよりも、地域生活を支えられるだけの地域資源がないこと、入所施設や病院よりも地域での生活の方が金銭的に苦しい(お金がかかる)という理由が大きい。

【大久保委員】

○ 結論

 知的障害や発達障害のある人たちは、自ら各種サービスの利用の仕方を判断したり、単一サービスの利用であっても、その適否や変更の必要性、新たなニーズの発生などを自ら判断し、調整することが難しい場合があり、これらの補う相談支援体制(ケアマネジメント体制)は、知的障害のある人たちにとって欠くことのできないものである。
 とりわけ、地域生活への移行並びに地域生活支援については、相談支援体制の確保が不可欠である。したがって、相談支援事業の拡充と機能強化を図るべきであり、現状の相談支援事業の実態を踏まえ、求める機能の整理と財政的支援について積極的な検討が必要である。

○ 理由

 難病などでは、医学の進歩などによって今後も対象疾患が増えたり、性の問題で社会的不利益を獲ている人の生活がその差別ゆえに最低生活を維持できない人への支援の可能性などを規定しておくことが必要です。

【大濱委員】

○ 結論

 地域移行にあたっては、ピア相談支援員が不可欠であり、必ずピア相談支援員を移行実施の際に組み込むべき。また、障害当事者である相談支援員が全国的に不足している現状を鑑み、現在の受講要件を抜本的に改正し、既に実質的に当事者の相談支援を行っている全国の障害者団体の当事者並びに当事者によって特に推薦された職員は、この当事者相談支援員として認める仕組みを早急に構築する。
(*同時に、これら相談支援員は、特定の地域での相談支援員でなく、全国的レベルで相談を受けられる相談支援員として認定する仕組みが必要である。)

○ 理由

 ピアとしての相談支援員は、施設・病院からの地域移行や、地域生活での先達としての役割を担っている。実際、ピアサポーターは地域移行に当たって課題、必要な制度等の実体験を有している、あるいは必要な情報網を確保している。

【岡部委員】

○ 結論

 地域に出た当事者の生活をまわし、生活を広げる気構えと支援力。

○ 理由

 たんなる「聞き取り調査」や「エンパワメント」では当事者の心は動かないし、「出したら終わり」では無責任であるため。

【小澤委員】

○ 結論

  • 前述の総合相談支援センターには、中立性が必要なので、行政およびサービス提供事業者から独立した運営を担保する。
  • 入所施設および精神科病院での退所、退院希望者の掘り起こしを行い、入所施設および精神科病院も、その業務に協力する義務を負う。

○ 理由

  • 現状では、中立性の保障がないこと。入所施設と精神科病院の入所者、入院者への積極的な希望の掘り起こしがむずかしいことがある。

【小田島委員】

○ 結論

 ピープルファーストのような当事者の団体が全国に必要。
 当事者や支援者に給料を払うお金が必要。

○ 理由

 ピープルファーストは、施設回りや施設から出す活動をしている。
 地域で生活している当事者やその支援者が、施設や病院から出たい人と相談しながら自立の話を進めて行くことができる。

【小野委員】

○ 結論

 相談支援のシステムの拡充とともに、地域の資源の抜本的拡充が求められる。

○ 理由

 地域に働く場、暮らす場、またそれらを支える支援体制が不足しているため、地域移行がすすまないため。

【門屋委員】

○ 結論

 施設・病院から地域移行する希望段階から、面接を開始し、信頼関係を作りつつアセスメントし、地域生活設計を提案して本人の選択によって具体化する一連の支援を行います。施設、家族との調整なども行うことにより現実化する支援を行います。また、ピアサポートと組んで具体的準備などを行い、移行し、移行後の地域生活支援体制をケアマネジメントによってチームを編成し、フォーマル・インフォーマルサービス・ケアの提供を続けることで、定着と再発再入院予防も考える役割を担うべきです。
 この相談支援専門員は施設・病院から独立した機関に所属して実施されることが望ましいと考えています。基幹型相談支援センターが5万人人口に1箇所設けられて複数の相談支援専門員が置かれることで可能です。
 相談支援事業の役割と機能は、地域生活移行をした人の生活が安定するまで関わり、次の相談支援専門員に引き継ぐことによって充実してきます。
 相談支援事業の定義がないために、今まで検証が行なわれず、地域ごとの格差が生まれてしまっています。相談支援事業をもう一度、整理して、充実したものにして下さい。

○ 理由

 原因は事業のガイドラインや定義がないことや、監査基準などもないことが大きな原因です。また、事業費が少ないことや人材を育てる機能が弱いことも原因だと考えられます。サービス事業から切り離し、中立公平が担保されることが重要です。基本は民間として設置されることを原則とすべきです。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 相談支援体制の強化として、多職種相談支援体制が必要である。施設・病院内の多職種相談チームと地域多職種相談チームの構築が必要。また、家族、家庭からの地域生活移行に関しても生活支援が必要である。いま、当事者、家族が必要としているのは24時間体制の訪問型支援である。

○ 理由

 地域移行に当たっては、施設・病院と地域との連携が不可欠である。施設・病院内の多職種相談チームと地域多職種相談チームは、本人中心計画を可能にするために、情報を共有し、地域移行をスムーズにすることを役割とする。

【北浦委員】

○ 結論

 相談支援は、障害者の人権尊重のうえに立って、障害の状況や日常生活の現状を把握し、障害者を取り巻く環境を十分理解したうえで行わなければならない。入所者に対する相談支援は、施設の職員によって行われているのが通例であり、現在では、地域との連携が不十分であるところに問題があるので、地域支援調整会議(行政、施設、教育、医療関係、NPO,などで構成)を設けて連携対応すべきである。

○ 理由

 施設での療育成果により、障害が軽減して地域移行が可能な状態になった人には、地域との連携を密にして、その人に相応しいサービスが受けられる居住の場を確保するうえで、広く調整する機能が必要である。

【北野委員】

○ 結論

 長期間施設や病院に入所・入院していた障害者は、かつての地域での社会・人間関係と役割を喪失しており、且つ施設・病院の日課や規則にコントロールされて、自分の人生や生活のスケジュール管理・時間管理・金銭管理・サービス利用管理等を放棄させられてしまっている。そのような状態に追いやられた障害者のエンパワーメントは、かなりの質量の相談支援を要する。

【君塚委員】

○ 結論

 施設・病院にソーシャルワーカーをより多く配置し、地域の会議のメンバーとする。

○ 理由

 現場で経験・能力のある専門職の育成・拡大の方策を検討することが、専門分野へのとりくみとうい責任制の確保の上に有用で実際的である。

【齋藤委員】

○ 結論

 施設・病院からの地域移行にあたって相談支援事業者がその役割を高めようとするならば、一定の権限が必要となる。その上で地域移行や地域生活支援の充実が進めていくには、地域での受皿が必要なのはいうまでもないが、緊急的な対応も含めて施設・病院と地域社会の中間的居場所も必要となる。

【清水委員】

○ 結論

 相談支援の役割は今回生み出そうとしている全体の仕組みの中核。機能は極めて重要。とても大切なもの。

○ 理由

 委託と指定の問題や、人材養成問題など多くの課題があるが、それよりもまず、そもそも相談支援を「支援中の支援」として捉えなおし、本人中心の仕組みの中核に位置づけ、その実機能を今の10倍くらいにしない限り、今回の改革的構築は実現しないという認識をまず持つべきだと考えています。

【竹端委員】

○ 結論

 まず、相だん支えんをする専もん家は、施設や病院などのサービス提きょう事ぎょう者、行政から自立している必要がある。そうしないと、本人の相談に本当によりそうことはできない。そういう自立した相だん支えん員が、地域移行に関わるということを法でもりこむべきだ。また、相だん支えん員が自立してはたらくための予算を国はよういするべきだ。

○ 理由

 事ぎょう者には、その事ぎょうが成り立つということ、行政は予算をなるべく超えない こと、などの目標がある。障害のある人のニーズと、事ぎょう者や行政の求めることは、 いつもいっしょではない。相反することもある。そのとき、ほんとうの相だん支えん者は、 事ぎょう者や行政ではなく、障害者の味方をしつづけるべきだ。そのためには、相だん支 えん員の自立を守る予算を国は用意しなければならない。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 障害者が退所、退院した後の生活をどのような支援を行うことにより支えていくのかについてのマネジメント機能、及び、障害者が退所・退院後に生活していく社会における障害者に対する理解を深めていく機能が重要である。
 現状の相談支援では、障害特性を十分に理解した専門家の数が不足していると考えられるので、その養成が課題である。

○ 理由

 新法における相談支援は、障害者の「地域で生活する権利」を実質的に保障する上で、重要な機能と役割を果たすことが期待される。すなわち、障害者個人に対する具体的支援プログラムを策定するとともに、障害者が生活する社会において、その障害者を支える地域ネットワークの形成の担い手としての活動が重要である。このような役割を果たす相談支援員を、継続的に養成していく必要がある。

【田中(正)委員】

○ 結論

 施設・病院からの地域移行や、地域生活支援の充実を進めていく上で重要なことはまずは情報提供であり、体験である。現在の生活以外の暮らし選ぶためにはどのような選択肢が用意されているか等の情報提供をどのようにして具体化するかが重要である。情報提供の媒介の手段として相談支援は役割を担えるが、現状は提供する情報そのものが無い地域が多く苦慮している。①まずは本人に正しい情報提供し、エンパワメントを図ること。具体的には、昼夜に分割され、さらに日割りになった個別給付により、在籍状態のままでも、今利用している施設以外の施設やヘルパー等の資源を体験できること等、自立支援法の有効に活用できる機能を情報提供する。②情報や体験等によりエンパワメントされた本人の意志を受け止めた個別支援計画を作ること。③個別支援計画に沿った支給決定が行われる行政担当者と調整すること。④支給決定を受けた個別支援計画が有効に機能するようサービス調整を図ること。⑤サービス調整に協力するよう関連事業所に協力要請すること。
 これらの一連の関わりの進行管理を相談支援事業所が取り仕切れることが望ましいと考えるが、相談事業者の位置づけが認知されていないこと等、

○ 理由

 地域移行をしたいと本人が思える環境設定が地域に十分に整っていない状況であることが現状の未熟さである。周辺の環境として地域推進を図るには、障害者自立支援法では本気で取り組むには不十分な法律だとして、日割りや昼夜分割の個別給付が事業所の経営を圧迫するとして、新体系に移行しない事業所が半数もいるため、地域移行のための基盤整備が進ます、相談機能が役割を担えない状態であるため。

【中西委員】

○ 結論

 施設から移行して地域で暮らす場合に通常3 ヶ月から2 年の自立生活訓練が必要である。自立生活センターにおいては一般に自立生活体験室における介助者利用や自立生活プログラム、ピア・カウンセリングの利用によってエンパワメントされてから自立生活へ移行する。自立生活に移行した後も継続的な相談支援、生活支援が必要となる場合が多く、その場合にピア・カウンセラーやピアサポーターが果たす役割は大きい。相談支援事業所に個別支援のできるスタッフを複数名配置し個別支援ができるようにしなければ地域移行は進まない。人口5 万人に対して1 カ所の相談支援センター、そこに各20 名程度の相談支援員を配置する。その他に地域生活が困難になった場合に備えて医療付きまたは支援者の配置されたショートステイを5 万人に一カ所ずつ作ることによって継続的な地域での生活が可能になる。

○ 理由

 全脊連との共著である地域移行10 カ年戦略を見ていただければ具体的な提案の中身がわかってもらえる。ここでは欧米と日本で現在行われている地域移行の各種モデル事業を実地検証、文献検証をし、その中のもっとも優れたものを参考として、地域移行に必要となるショートステイや相談支援事業のあり方と、必要となる地域支援の当事者主体の支援ができる社会福祉士や介護福祉士精神保健福祉士などの専門家の養成方法なども記されている。

【中原委員】

○ 結論

 まず、前提として病院と施設とは分けて論じるべき。
 相談支援機能は施設・病院からの地域移行だけに限るものではない。
 また、法律上の位置づけを明確にする必要がある。

○ 理由

 知的障害者にとっての相談支援はライフステージに応じて継続的に行われる必要がある。また、現状では法律上の位置づけがあいまいである。

【西滝委員】

○ 結論

 地域移行や地域生活支援の充実の前提は本人意思確認の制度にあり、相談支援事業所の専門性の向上充実が求められる。相談支援事業所の役割が重要な割に国の位置付けが弱いので強化すべきである。

○ 理由

 地域生活支援事業の必須事業であるが、専門職員を配置する人件費の補助にはほど遠い現実がある。

【野原委員】

○ 結論

(1)「ケアマネ」のような支援コーディネート職を配置すること。医療ケアの必要な対象までの支援コーディネートを考えると、看護職の割合を高めたい。
 次に認定の結果を受けて具体的な支援を考えるには、日頃から継続してケースの状況を把握している「相談員」の参画が欠かせない。在宅訪問相談をしている事業所の「相談員」が特に難病には必要。難病相談支援センターの事業拡大及び保健師活動の再構築を合わせて実行したい。
 かつ、既存のサービスのみならず、QOL向上のため地域で可能なオーダーメイドのサービスも供給できる枠組みにすることが必要。
 「自立支援」にはケアマネ的な位置づけがない。障害者地域生活支援センターも既存のサービス提供の役割が大きいし、医療に疎い。そのため難病を理解できるコーディネート役の位置づけが必須。また、個別状況の見定めには、継続的な相談支援が欠かせないが、保健師の訪問活動は大きく後退しているし、難病相談支援センターで訪問相談をしているところは少ない。さらに難病患者には既存のサービス以外のニーズも多いし、その支援効果は大きい。(ある県での実践例)

(2)地域移行、地域生活支援を充実させるには、支援者の養成と支援センターなどの拡充が必要。地域生活においての支援を依頼したくても、緊急事態を除いては、本人や家族の状況で判断され、人的な理由からも受けてもらえないことが多い。支援してもらいたいことも疾患・障害によって異なるので、現場に当事者の了解を得て任せる面もあってもいいのではないか。そのためにも、支援者の養成が大事と考える。

(3)地域移行をすすめる前に、患者本人の希望をよく聞き、本当に自立して生活できる状況にあるかどうか、を確認してからすすめるべきである。現在は、入院した時点ですぐに退院予定を決められるなど、入院日数の削減のなかで強引な地域移行がすすめられている。診療報酬のあり方にも深く関連している。

【東川委員】

○ 結論

 将来への夢や希望も持てないまま、長期の施設生活・入院生活を送ってきた障害者を、その本来の力を引き出すエンパワメント的な支援がまず求められる。そのために相談支援が重要な役割を果し、そのような場ではピアによる活動がますます重要となる。

○ 理由

 確実に必要な情報が提供され、その情報の意味を理解するための体験が、自己決定に基づく地域移行においては欠くことができない。相談支援が確実に機能することと、移行までに必要な体験的サービスを位置づけることが必要である。

【平野委員】

○ 結論

 地域移行や地域生活支援では、施設・病院と異なり、点のサービス提供となるため、その点をつなぐ支援が必要であるものの、それを制度的に担保出来ないために、家族や本人任せになることが多かった。地域移行や地域生活支援では、サービスそのものの拡充も必要であるが、そうしたサービスをつなぐ機能(いかゆるケアマネジメント)が必要である。

○ 理由

 上記の通り。

【広田委員】

○ 結論

 解決できる相談員が必要。

○ 理由

 現状の傾聴、共感では、友だちができればいいものも、かかえこんだり、話し相手としてももの足りないことが多い。

【福井委員】

○ 結論

 障害者を地域で支える相談支援は、欠かせない重要な課題である。相談支援事業の確立のためには、地域における相談支援体制の強化、ケアマネジメントの充実、障害者福祉計画や自立支援協議会の充実などがあげられる。

○ 理由

 重要な課題にもかかわらず、委託費の市町村格差、地域自立支援協議会の形骸化、障害者福祉計画の裏付けの無さ、地域ネットワークや社会資源の不備などの課題が山積している。地域の実情に応じた条件整備が必要であり、ケアマネジメントの評価の報酬上での明確な位置づけ、相談員の増員をはじめ、財政的保障を明確にし、相談支援機能の充実を図るべきである。

【藤岡委員】

○ 結論

 様々な関係者、機関、資源のコーディネート、調整があり、チームでの取り組みが重要であり、それを支援、構築するための制度作りが必要。
 セルフアドボカシー要員の育成と大幅な増員が必要。

○ 理由

 当事者と相談員の一対一の関係だけで解決できることは限られている。
 一人の当事者に寄り添い、支援する核となるセルフアドボカシーは、窓口にいる時間より、外に出て、駆けずり回る人でしょう。
 一人の相談員が大勢の支援は出来ない。公務員である必要はなく、民間委託の拡張も必要であり、実効性ある相談支援を果たすためには相当な資金投入が避けられない。

【増田委員】

○ 結論

 障害のある人だけではなく,家族全体を視野に入れた支援,現在必要な支援に結びついていない無支援状態の人への支援が求められている.地域にあるさまざまな問題に幅広く対応する機関とし機能させていくためには,自治体との連携のもとに訪問活動なども充実させていく必要がある.ピアの力も含めて,多職種で構成される相談支援機関とすべきである.

○ 理由

 現在の障害者生活支援センターにはさまざまなニーズが寄せられているが,その体制は非常に脆弱である.自治体の責任も明確にしつつ,地域分担を明らかにして人的配置の拡充が必要である.

【三浦委員】

○ 結論

 一人一人に対し、充分な相談支援が継続して受けられる体制と報酬体系が必要より支援を必要とする人々の地域生活のバリエーションを見える形として情報提供する、地域移行プログラムと、その実施体制を検討することも必要と考える。

○ 理由

 地域移行支援には、本人のエンパワメント支援、所得の確保、住まいの確保、ケアサービスの確保と調整、医療機関等との連絡調整など、相当に細かく、時間をかけて継続する相談支援が必要である。それにもかかわらず、現行では入所施設の相談機能及び在宅の相談機関の役割のあり方、サービス対価など支援できる体制が未整備であるため。

【光増委員】

○ 結論

 ピアサポート機能とピアカウンセラーを相談支援事業に必ず併設すべきである。

○ 理由

 施設、精神科病院等に入所・入院している人への地域生活の聴き取りは、個別支援計画に必ず記入すると共に、相談支援事業者とピアサポーター、ピアカウンセラーも定期的に当事者の聴き取りができるようにする必要性がある。

【森委員】

○ 結論

 障害者ケアマネジメントに基づいた相談支援事業所機能の向上を図るとともに、ピア的 視点をもとにした障害当事者との連携を始め、生活を構成するすべての専門領域との連携 を図ることが必須である。そのためにも地域のネットワークの拡充を図り、具体的には地 域自立支援協議会を中心にした取り組み体制と社会基盤を整備する必要がある。 現状では、真の連携がなされているとはいいがたい現状があり、大きな課題である。

○ 理由

 障害のある一人ひとりへの支援をもとに、各専門領域の連携が実現できることは、障害者ケアマネジメントによって達成できることであるが、現状では真の連携はいまだ不十分と考えられる。

【山本委員】

○ 結論

 相談支援についてはあくまで自己決定支援に徹するべきであり、弁護士役として動くアドボケイトであるべき。したがって相談支援事業の独立性担保の仕掛けが必要である
 まず障害者団体を相談支援業者として優先指定する体制が必要
 要件を満たすための初期費用に対する財政的援助も必要
 専門職はたとえば社会福祉士および精神保健福祉士の関与はあくまで障害者団体に雇用されコントロールされる中でのみ認められるべき

○ 理由

 現状ではほとんど相談支援事業は役に立っておらず、利用者ではなく行政のほうを見ており、中立公平ですらなく、水際作戦を行っている例も報告されている。
 精神保健福祉士ほかソーシャルワーカ専門職団体は、ケアマネージメントは公平中立、家族あっての自立という政府方針に一切反対していなかったのであくまで障害者団体のコントロールの下におかれなければならない
 相談支援はあくまでアドボケイトとして位置づけなおす必要がある

<項目C-2 障害程度区分の機能と問題点>

論点C-2-1) 現行「自立支援法」の支給決定についてどう評価し、どういう問題点があると考えるか?また、その中で「障害程度区分」の果たした機能と、その問題点についてどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 障害程度区分のような障害福祉サービスを受けるための一定の尺度は必要である。支援費制度で問題となった支給決定の地域間格差が、統一的な尺度である障害程度区分により一定程度是正されていることは評価できる。
 但し、一次判定における3障害間の格差(精神・知的が低く評価されやすい)が見られることから、障害者程度区分については、現行の3障害共通の認定審査項目を基本としつつ、各障害の特性を反映するための項目を追加するよう検討する必要。
 また、二次判定での障害程度区分の変更について、市町村間で著しい格差が生じないよう、審査判定の平準化を図るための具体的な事例集、マニュアル等を国において作成することが必要。

【伊澤委員】

○ 結論

 「ニーズへの評価」と「支給決定」は一体的に進める方向が基本である。

○ 理由

 障害の程度区分は医療モデルとして「障害」だけをとりあげ、環境との相互作用を重視した社会モデルから逸脱しており、生活のしずらさ/暮らしづらさが見極められない。環境による差が大きく、その人を取り巻く環境によって、必要なモノを考える仕組みに変わると良い。
 審査会は不要、それよりも、個別の支援会議をキチンと機能させることが大事!

【石橋委員】

○ 結論

 評価:当事者の日常生活を全面的に支えていない。
 問題点:一時の聞き取り調査、親の不介入及び不服審査会の不整備。
 「障害程度区分」の果たした機能:障害福祉計画の数値目標に役立ったことぐらい。
 問題点:利用者のニーズに答えてない。支援を応益としたこと。

○ 理由

 介護保険を参考として構築したのが最大の欠点

【氏田委員】

○ 結論

 自立支援法の支給決定については、公平に予算を分配する仕組みとして一定の評価をするものである。特に、一定のレベルまでサービスを使って良いという全国的なサービス提供の底上げが図られたと考える。一方、障害程度区分の基準が障害者にあったものではなかったために(特に知的発達障害については区分が低く出たケースが多い)、不服申し立ても多く、再審査による区分変更が非常に大きい割合で出た。

○ 理由

 従来どのような障害者にどのような支援がどの位必要であるかの全国共通の利用のルールがない、地域におけるサービス提供体制が異なる、市町村の財政力格差などによる大きな地域格差の解消を目指し、客観的基準である障害程度区分を導入したものである。「障害程度区分」により、障害福祉サービスを必要に応じて公平に分配する仕組みが初めて機能しサービスの量を増加させた

【大久保委員】

○ 結論

 現行の障害程度区分は介護保険をモデルとし、加齢による機能低下を基本としたものであり、知的障害や精神障害等の障害特性に配慮しない、また、活動、参加も含めた支援ニーズを反映した尺度とはなっていない。したがって、二次判定(審査会)に多くを依存し、一次判定しての求められる客観的尺度とはなっていない。
 このように、現行の障害程度区分は多くの問題があり、その結果、多くを審査会の裁量に委ねることによって、障害程度区分に市町村の意向がそのまま反映したり、市町村格差が生じている。
 一方、障害程度区分を設けたこと自体については、概ね妥当と考える。その理由は、専門性を背景としたソーシャルワーカー制度が整備されていない我が国においては、全国の受給者の支援サービスを一定水準と確保するとともに給付の公正性や公平性を確保するために、客観的な基準による支給量の標準化は必要と考えるからである。
 なお、サービス利用計画の導入については評価するが、対象が限られていることと、支給決定後の作成であることにより、ケアマネジメントの意味合いをさらに失わせてしまっている。

【大濱委員】

○ 結論

 障害程度区分は、国庫負担基準や支給決定基準とリンクしているが、樹形図方式のため、障害が重くなると区分が下がる逆転現象が非常に多い。また、知的障害等の場合は、介護の必要度と区分がリンクしていない。

○ 理由

 現状の樹形図方式は必ず逆転現象が起きる仕組み。介護ニーズの時間数積み上げ方式でない限り、必ず逆転現象が起きる。

【岡部委員】

○ 結論

 現行「自立支援法」の支給決定プロセスは介護保険との折衷構造であるが、自由に使え る「枠」でもある介護保険の要介護度とは違い障害程度区分はたんに支給決定の参考にす るひとつの「勘案事項」に過ぎない。それにもかかわらず給付抑制と利用制約のための「たが」として活用されていることに大きな問題がある。

○ 理由

 ※提出参考資料「給付調整モデル(「ものさしの問題」)参照のこと。

【小澤委員】

○ 結論

  • 現行の障害程度区分は、要支援・要介護判定の介護保険制度の設計の時から問題がある。
  • 入所施設のタイムスタディと介護時間による統計データ解析による設計は、在宅での介護の実態、介護時間という物差しになじまない事柄(見守り、注意、声かけなど)を無視しやすい。

○ 理由

  • サービス必要性の判断根拠は、障害程度区分という比較的単純な物差しで測定するという発想を捨てて、新しく、構築する必要がある。

【小田島委員】

○ 結論

 障害程度区分や認定調査はやめる。

○ 理由

 認定調査をやっても本人が必要なことは何もわからないから。

【小野委員】

○ 結論

 障害程度区分は、支援の抑制を目的としていたため廃止する。また要介護認定をもとに設計したことに、そもそも問題があった。

○ 理由

 本人の生活上の困難と自立生活に求められる支援の必要度を抽出するシステムではないため。

【門屋委員】

○ 結論

 個人の障害程度によってのみ支援内容が決定されるやり方は、本人の力を活用し環境のストレングスを生かす生活設計はできない状態が続いています。
 サービス利用利上限を決めるのには役立ちますが、相談支援の具体的展開がないことにより、結果的に最大限のサービス提供側の判断などにも左右されながら利用が誘導されることになってきてもいます。
 何かの尺度・基準がなければ際限のない支給となることは防げたと思いますが、本人中心とはいかなかった限界もありました。

○ 理由

 障害程度区分はサービス提供者の利害と結びついて評価されてしまいました。このことは脱施設化政策をはっきり打ち出すことにより、地域資源開発のグランドデザインを示すことと、相談支援体制、特に質の高い専門員の確保によれば、自立支援法の障害程度区分を利用しなくてもすむかと思います。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 現行の障害程度区分では障害特性、特に精神障害での問題が数多く指摘されている。それぞれの障害特性を反映する支給決定プロセス及びツールが必要とされる。

○ 理由

 現行の自立支援法の支給決定に関しては、介護保険法の要介護認定の調査項目を基本的に用いているため、精神障害での特性が反映されていない。

【君塚委員】

○ 結論

 重度・処遇困難例を排除しないような役割を果たし、かつ一定程度の公平性を確保してきており、ニーズを越えた無理なウオンズを排除できた。

○ 理由

 社会資源などの現状における公平性の確保のために、一定程度の区分が必要である。

【近藤委員】

○ 結論

 「自立支援法」の支給決定については、「障害程度区分」によるサービスの利用制限や居宅サービスの国庫補助基準上限が設けられていることが問題である。また、その根拠となる「障害程度区分」による認定は身体介護面が重視されており、支援の必要度をはかるものとなっていないことにも問題がある。

○ 理由

 支援の必要度に応じ、利用希望者の自己選択・自己決定が尊重される仕組みが必要であるため。

【齋藤委員】

○ 結論

 認定調査から障害程度区分の認定をいう手続きは介護保険制度との整合性を企図したもので、障害者のサービスの必要性を判断する方法としては全く誤ったものであった。区分の必要性もない訓練等給付対象者にも認定調査を求めるなど、全てをこの支給決定の流れの中に押し込めることだけを狙ったしくみであった。

【坂本委員】

○ 結論

 支給決定の目安となる客観的な基準(物差し)が必要。

○ 理由

 支給決定が主観的・恣意的に行われると、例えば、声が大きい人のサービス量が多くなったりするなど、サービスを利用されている方の間でサービス量について不公平な状態を招きやすく、制度の信頼が大きく損なわれてしまう。

【清水委員】

○ 結論

 結局は、見事に客体化することになり、一人ひとりが希望に基づく地域生活展開をすすめていこうとする躍動感をそぎ落としてしまった。

○ 理由

 西宮市の場合、すでに支援費制度の時、支給の仕組みとしてガイドライン等を定め、当事者、相談支援事業者と行政などが響き合いながらわくわくしながらすすめていた。そんな中、自立支援法の支給決定方式、障害程度区分を導入したことにより、本人の地域生活展開の躍動感がすっかり感じられなくなった実感を持っています。

【竹端委員】

○ 結論

 支給決定は、まず本人のニーズからはじめるべきだ。今のしくみは、ニーズの前に「障害程度区分」と枠ぐみにあてはめてしまう。しかもこの枠ぐみには、いろいろなかたよりや限かいがあるのもあきらかだ。だから、このやり方はやめ、ニーズに基づいた支きゅう決ていのしくみにかえるべきだ。

○ 理由

 「障害程度区分」は身体能力の自立について、あるていど計ることができる区分だった。でも、理解することや決めること・選ぶことの難しさ、あるいは病状のゆれ・なみなどには使えなかった。多くの利用者のニーズが計れないのに、この区分にしばられている自治体は多かった。だから、この区分にこだわるのはやめ、新たなルールでの支きゅう決ていのしくみを考えるべきだ。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 支給決定については、障害者の申請から支給決定に至る手続きが複雑であるので、簡素化する必要がある。また、障害程度区分は、その人がどのような障害程度であるかを判定した上で、その判定に基づいて利用できる支援が決まってしまうため、障害者が必要とする支援に十分対応することができないという問題点がある。また、障害程度区分認定は、「障害」を社会モデルを基調として捉える場合、整合性に欠ける。

○ 理由

 自立支援法における障害者の申請から支給決定に至る過程が複雑であるということは、障害者にとって形式的には支援への機会が開かれていても、実質的には閉ざされているに等しいといえるものである。特に、申請段階で多くの必要書類が要求されることは改善すべきである。また、「障害」を社会モデルを基調として捉える場合、障害者が必要とする支援は、障害者がその社会で生活していくためにどのような支援が必要であるかという視点から考えるべきであって、障害程度区分から導き出される現行方式は整合しない。

【田中(正)委員】

○ 結論

 障害程度区分の意義については、現行の問題を整理し、客観的尺度を用いることを前提にして、公平に予算を分配する仕組みとして評価をする。
 問題点としては、現行の障害程度区分は、三障害を一元化して執り行うための配慮が薄い部分がある。具体的には、身体の方の尺度は介護保険がモデルであるため、社会参加のニーズを反映していない。知的障害や精神障害等の障害特性をとらえても重み付けに生かされない。等である。したがって、二次判定(審査会)に多くを依存し、一次判定で得られる客観的尺度は有効でなく、杓子定規になっていて全国一律の客観的尺度になりきれていない。
 個別給付が障害程度区分で見いだされたことにより、この意味が届いた自治体では支援が必要な方には個別給付を支給し、支援が必要な利用者に資源があれば使っていただく、無ければ自立支援協議会等を有効に活用し、無ければ作ると言う状況を生み出すことに役立った。
 問題点は、障害者自立支援法が始まっていない自治体が少なからずあり、程度区分が有効に機能する以前の状態である事が課題。その地域では支援費制度も始まらずに終わっている。

○ 理由

 ソーシャルワーク機能が未熟な我が国の現状では、客観的な基準による支給量の標準化はまだ必要である。その効果として、個別給付が義務化されたこともあり、地域資源が未整備な地域では、資源を生み出し底上げを図る契機にはなった。ただし行政によっては措置対応の価値を捨てられず、必要な支援を生み出す以前に提供する資源が無いからと言う理由で個別給付に取り組まない状況もある。結果として程度区分の有効性が届かずに終わっている自治体も少なからずある。

【中西委員】

○ 結論

 障害程度区分は国庫負担基準のツールとして使われており、生活実態を反映したものとはなっていない。障害程度区分は廃止すべきである。

○ 理由

 障害程度区分によってサービス利用を妨げられている例もあり、阻害要因が多い。また重度訪問介護の利用者も障害程度区分4 以上に限定されており、自分の必要なサービスを選択することを妨げられているため。

【中原委員】

○ 結論

 現状の支給決定は本人の意向が反映されにくい仕組みとなっている。また、その人の生活全般を支えるという視点が乏しい。
 障害程度区分には多くの問題があり抜本的な見直しは必要であるが、支援ニーズを反映した客観的尺度としての機能は必要と考える。

○ 理由

 利用者のおかれている環境や意向を踏まえた支給決定が重要であることはいうまでもない。また、その人に必要なサービスをはかる客観的な尺度は必要であり、支給決定の公平性にもつながる。

【奈良崎委員】

○ 結論

 障害程度区分はしないほうがいい

○ 理由

 障害区分をやっても、同じ障害でもひとりひとり違うから

【西滝委員】

○ 結論

 障害程度区分調査において重度重複聴覚障害者(精神や知的障害を併せ持つ聴覚障害者)の調査や判定が専門的な知識もなく行われ、正当な障害程度区分にならないことがある。

○ 理由

 調査員の研修が不足している。手話技能を有する人材が乏しい。

【野澤委員】

○ 結論

 障害程度区分判定はナンセンスだと完全否定してしまうのではなく、もっと進化させたものを導入すべきだ。

○ 理由

 ナンセンスではある。が、現実的に考えたときに支給を決める人や窓口が熟練されて本来期待されている機能を発揮するまでは、何らかの客観的なものさしが必要だ。障害者本人のためにも、自らが納めた税金がどのように使われるのかに関心がある一般納税者のためにも。

【野原委員】

○ 結論

 論点B-2 と関連、従来の障害程度区分は、内部障害においてはその実態が反映されず、必要な支援が受けられないという多くの弊害を生んできた。内部障害を含めた新基準による一本化が望まれる。

【東川委員】

○ 結論

 介護保険法のシステムをもとに考えられた現行の支給決定システムは、社会参加を支援する障害者にはそもそもなじまない。また、医学モデルの一次判定は、知的障害者・精神障害者には不利な決定となりがちであり、障害者の生活モデルの視点に立ったシステムが必要である。

○ 理由

 そもそも「障害者総合福祉法」の役割は、障害者の地域生活を支えることである。個々人によって異なる生活様式を確実に支えるためには、的確な必要度に応じた評価ができるソーシャルワーカー[社会福祉士・精神保健福祉士など]の判断となるからである。

【平野委員】

○ 結論

 まずは問題点として、以下の点が指摘される。

  • 障害程度区分導入により、①サービスメニューが限定される、②サービス量が限定される、③施設などで受入の優先順位が決められる、というサービス利用の制限が生まれた。
  • 障害程度区分の測定項目が介護保険を基本としており、要介護高齢者と障害者の差異を反映したものとなっておらず、障害者のサービスニーズを的確に評価出来ない。
  • 高齢者における自立と障害者における自立の違い、高齢者と障害者のニーズの違い(就労や教育のニーズ、自己実現のニーズなど大きな違いがある)があるにも関わらず、同じ項目や基準で測定するため、実際のニーズと合致しない。

 以上のような問題点はあったが、行政的にはサービス必要量の把握(障害福祉行政の計画化に不可欠)には有効であった。

○ 理由

 上記の通り。

【広田委員】

○ 結論

 精神障害者の項目が少ないのに全体が長すぎるが、何も尺度がないのも問題。

○ 理由

  1. 本人の能力をうばう
  2. お金の問題

【福井委員】

○ 結論

 現行の「障害者自立支援法」の支給決定は、当事者に適切なサービスを与えていないという、重大な問題点を抱えている。この法を廃止する、大きな要因の一つである。

○ 理由

 支給決定のもとになる「障害程度区分」が、高齢者の介護保険にならって作られているため、社会参加、自立訓練、コミュニケーション支援、医療などのニーズが的確に把握されない。したがって、適切なサービスが提供されないという結果を招いている。ケアマネジメントも、手帳の等級などを基準に画一的な支給を行ってきた旧来型から脱しきれず、個別ニーズをみることができないという不満が指摘されている。

【藤岡委員】

○ 結論

 「行政裁量」を理由として、必要な支援が受けられない障害者が少なからず存在している。
 程度区分は施策利用を排除するための要件となり、区分に応じた支給量の上限を画することにより、利用者の求める生活を妨げる機能を有してきた。

○ 理由

  • この地域には当該福祉サービスを提供する事業所がないから支給決定できない
  • 公費の適正な支給と国民の理解という観点から移動介護は1日1時間が上限
  • 夜間の見守り介助は不要でオムツをつければよい

等の理不尽な理由で不当、違法、違憲な支給決定がまかり通っている実態がある。

 これらの人権侵害状態を解消できる法規に変えなくてはならない。
 支援の必要性と障害の「程度」は必ずしもイコールではない。
 当事者の意思を重視し、個々の支援の必要性に応じた支給決定制度にするべき。

【増田委員】

○ 結論

 障害程度区分はその認定調査の内容と仕組み全般にわたって,障害のある人の生活を壊す仕組みであったといえる.廃止し新たに作り直すべきである.まずは障害のある人の希望・願いを十分に受け止めるところから支援が始まるべきだ.その上で支援の必要性を明らかにする仕組みが必要である.

○ 理由

 権利条約にある他の者との平等を実現する仕組みとすべきである.

【三浦委員】

○ 結論

支給決定:支給決定プロセスが皆に見える形になったことを評価し、障害程度区分がサービス支給量や報酬と直結したしくみが生活不安と混乱を招いたことに問題がある。

障害程度区分:市町村が地域の障害のある人々を把握するようになったこと。

調査判定の機能:機能障害と日常生活動作のレベルからのみであるが、区分を用いて標準的な支援の必要量を算出したこと。

問題点:判定の地域間格差及び利用者の状態像と支援の必要度を測りきれないこと。

○ 理由

 介護保険認定調査のしくみを、極めて短期間に障害者支援に適用しようとして、障害の多様性と利用者ニーズに対応していなかったこと、市町村の財政状況や方針により障害程度区分判定にさえ格差が見られることを課題として考えているため。

【光増委員】

○ 結論

 障害程度区分は、障害者自立支援法の最大の問題である。認定調査項目の問題、一次判定、市町村審査会等にも多くの問題があり、また本人の使いたい福祉サービスにも制限が設けられた。現在の障害程度区分にとらわれず、新しい支給決定を論ずるべきでないか

○ 理由

 問題がある障害程度区分に左右されない新たな支給決定の論議を進めるべきだ。

【森委員】

○ 結論

 現行の「障害程度区分」では、介護保険のアセスメントを中心にした機能障害に重点を置いているために、サービスの利用制限や報酬と国庫負担基準にかかる問題が生じている。さらに、一人ひとりの多様な価値観をもとにした自立生活を実現するためには不十分といわざるを得ない。生活支援という視点から本人の描く到達しうる生活の望ましい姿の実現のための支給決定を行えるようにすべきである。

○ 理由

 機能障害を明確にするだけでは生活支援の充実を図ることが困難であることについて実証的に検討した「障害程度区分」の問題点をもとに、より良い生活支援のためのシステムの構築が望まれる。

【山本委員】

○ 結論

 障害程度区分については、支援の必要性となんら関係がない、また精神障害者の場合はヘルパーの支給決定時間とも連動していない。

○ 理由

 障害程度区分決定の入り口は106項目調査であり、できないことを証明せよということであり、論理的に成立し得ない。できないことは証明できない。とりわけ精神障害者の支援の必要性についてはなんら関係ない区分である

論点C-2-2) 「障害程度区分」と連動している支援の必要度及び報酬と国庫負担基準についてどう考えるか?特に、今後の地域移行の展開を考えた際に、24 時間の地域でのサポート体制(後述)が必要となるが、そのための財源調整の仕組みをどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 地域移行を進める上で、在宅でサービスが十分に受けられるようにする必要があるが、サービス提供が不十分であるため、地域移行が進んでいない。
 そのため、ケアマネジメントを全ての障害者に広げ、24時間の地域でのサポート体制など必要なサービスを提供できるしくみが必要であり、国は地方がサービスを賄えるだけの財政負担をすべきである。

○ 理由

 支給量の決定に当たっては、事実上、国庫負担基準を上限としている市町村が多い現状がある。また現在の国の財政負担(国庫負担基準、地域生活支援事業、基金事業)では、今後の24時間の地域サポート体制は難しいので、国庫負担等による確実な財政措置が必要である。

【伊澤委員】

○ 結論

 根本的に24時間の支援をどう考えるのか?が大きな問題。

○ 理由

 普通の生活で考える必要が有る。緊急で医療が必要であれば、対応する仕組みが必要だが、何でも24時間サービスが得られる事が良い事なのか?が疑問である。 夜は皆寝る。。。という当たり前の事も必要! 医療ケアが必要な人は別に考える!

【石橋委員】

○ 結論

 障害程度区分との連動は廃止する。
 移動支援は介護給付とし、他の支援も可能な限り介護給付とする。
 24時間支援も含めた財源調整については、
 税金の再配分は国民の理解を得る。
 社会的支援を得て、相応の収入を得る場合は、税金の納入で対応するシステムの構築。

○ 理由

 財源調整の仕組みは、すべての調整に関るので、抜本的な仕組みの変更が必要。国民がどこまで、財源を認めるかが最後のポイント。
 利用者のサービス向上と社会資源の創設、報酬単価が安い(少しは改善されたが)、国の区分に合わせた標準量の少ないことが壁となって生まれてこない。

【氏田委員】

○ 結論

 障害者のニーズに基づくサービスの提供は重要であるが、財源調整の仕組みは必要と考える。

○ 理由

 限りある予算を正義の観点から公平に分配するために、何らかの客観的指標は不可欠である。自立支援法の生活介護などの新たな事業については集団での支援とならざるを得ないので、行動障害の重い人など支援のより必要な人に人員の配置を厚くするなどの適切な支援の確保のために、支援の必要度に応じた報酬の仕組みが必要となると考える。また、個人の支援としての居宅介護等については、限りある予算の公平な配分と全国的格差の是正と底上げのために国庫負担基準は、新たな財源が確保されるまで必要である。

【大久保委員】

○ 結論

 障害程度区分における支援の必要度については、客観的な尺度をどのように設けるかということであり、この点と報酬単価や国庫負担基準をどうするかは、直接には関連しないのではないか。
 「24 時間の地域でのサポート体制」については、それはどのようなイメージかを議論する必要があると考える。
 財源調整については、現行の基金事業における重度訪問介護の支援事業のような仕組みが現実的と思われる。ただし、市町村によっては「4分の1」の負担すら厳しいケースもあるため、運用方法に工夫は必要と考える。

○ 理由

 「24 時間の地域でのサポート体制」のイメージについては、どのような人を対象とし、介護保険審議会で議論されている巡回型なのか、マンツーマンだが間欠的訪問なのか、フルに24 時間ヘルパーが付くのか、それらの組み合わせなのか。また、対象には、重症心身障害や強度行動障害のある人など24 時間の医療的ケアを含む支援体制を含めて検討する必要があると考える。

【大濱委員】

○ 結論

 1日8時間以上の訪問サービスへの市町村負担25%部分の軽減を行い1%程度にすべき。

(1) 同一県内の市町村間での負担調整(たとえば国負担50%のうち1%分程度を財政調整に回して市町村負担を1%に減らす)

(2) 国の負担を増やす方法

が必要

 また、一部の市町村に長時間介護の必要な1人暮らしの障害者が集まって市町村の財政負担が過剰になる問題について、市町村間で財政負担を調整するために、出身市町村が半額を負担する制度に。

○ 理由

 推進会議では24 時間介護が前提という結論になったが、現行制度では、長時間利用者がいると、市町村は訪問系サービス事業費の25%の市町村負担部分が工面できず、支給を抑制せざるを得ない。24 時間介護を行うには、長時間介護利用者には、市町村の負担を大幅に軽減するしかない。たとえば1 日8 時間以上の部分のみ軽減を行い、訪問系サービスの国庫負担(50%)のうち1%を調整財源に回し、8時間以上の訪問系サービスの市町村負担の軽減にあてれば、市町村負担(25%)は全国平均で約1%になる。

【岡部委員】

○ 結論

 支援の必要度及び報酬と国庫負担基準とすることにそもそも無理がある。24時間の支援を含む一定程度以上の給付については財政調整基金を設け5割をこえて国が負担するしくみが必要である。

○ 理由

 要介護度がもとになった障害程度区分はたんにADL 自立度の参考指標(勘案事項)に過ぎないため。また国庫負担基準によって利用者個人単位での支給量の地域間格差は拡大されているため。

【小澤委員】

○ 結論

  • 新法の完全実施までの猶予期間の間に、ソーシャルワークを重視した協議・調整モデルの施行事業を行い、本当に、どのくらいの予算が、自治体レベルで必要なのかを検証する。
  • 地域移行なので、入所、入院の財源が浮くので、地域増加分との差し引きを含めて、総合的に考える。

○ 理由

  • ここは、データを集めて、実証的にすすめて欲しい。障害程度区分という物差しがないと、進まないといった、予断に基づいた判断は差し控え、個別的な対応でも可能か、どうか、実証すべきである。

【小田島委員】

○ 結論

 24時間介護が必要な人には、重度の人だけではなく24時間の介護をだす。  たくさんの介護が必要な人には、国や都道府県がたくさんお金をだすようにする。

○ 理由

 愛の手帳1度2度の人は使えて、3度4度の人は何も使えなくて困っている人がいる。
 市役所はお金がないと介護を減らそうとするから。

【小野委員】

○ 結論

 国庫負担基準額(上限)は廃止する。1日24時間、月740時間の支援を前提とすることは当然であり、それは青天井ではない。それに必要な財源は政府の責任で租税から調達する。

○ 理由

そもそも、わが国の障害関係予算は、先進諸国に比べてあまりにも低すぎる。また財源 確保では、さらに無駄を省くとともに、予算配分割合の見直しをすべきである。

【北浦委員】

○ 結論

 先ず、現在の在宅者のサービス基盤を整備し、在宅者が安心できる状態をつくることが先決である。
 施設を廃止、地域に移行させる。といっているが、そもそも地域に受入れの資源・サービス基盤がない。このような現状で、施設から地域移行を先行することは、移行者の生存権を脅かすことになるばかりではなく、在宅障害者のサービスが圧迫され、在宅者にとって死活問題となる。

○ 理由

 財源調整の仕組みを検討するとしているが、重症心身障害児施設の入所経費は、健康保険で約3 分の2、3分の1(約26万円)が福祉サービス費で確保されている。健康保険は入院料給付であるから、在宅の場合に振り向ける財源とはならない。入所を廃止し、又は地域移行して24 時間在宅で介護する場合の費用は、最低必要額月1 人100 万円以上と推定されるので、その財源確保には厳しいものがある。

【君塚委員】

○ 結論

 無制限な24時間は現状では、無理であり目指す方向性にとどめるべきである。世論の支持がない福祉は長続きしない。

○ 理由

 報酬は法の施設体系によるのではなく、個々の処遇対象者の区分・発達保障や虐待対応などの特殊性を加味したものとすべきである。

【倉田委員】

○ 結論

 健康で文化的な最低限度の生活が保障される国庫負担基準であるべき。
 「障害程度区分」が同じでも、利用者ニーズ(支援内容、支援方法)は千差万別であり、サービス実績に応じた国・都道府県の財源負担をもとに、重度の障害があっても最低限度の生活が保障できるサービス量を継続的(24時間支援)に提供できるとともに、サービス量の超過については必要性が適切に審査できる仕組みが必要と考える。

○ 理由

 市町村現場では、障害者の多様な価値観、ライフスタイルに基づくサービスニーズに直面しつつ、サービスの支給量決定においては国庫負担基準を実質上限として意識せざるを得ない状況があり、担当者は利用者ニーズと自立支援制度の間でその対応に非常に苦慮している。
 限られた財源のもと、障害者の健康で文化的な最低限度の生活を保障する国庫負担基準(ナショナルミニマム)と市民合意の得られる、わかりやすい制度設計が必要である。

【齋藤委員】

○ 結論

 障害程度区分に連動したサービス利用の制限を図ろうとしたことが問題であり、国庫負担基準の設定も自治体のサービス提供を制限しようとするものでしかなかった。こうした制限を取払った時に生じる自治体の財政負担の程度がどれ程の物であるのかを判断しつつ、財源の乏しい位自治体への助成のしくみの必要である。

【清水委員】

○ 結論

 よくわかりませんが、やはり調整基金等の仕組みが必要でしょうか。

【竹端委員】

○ 結論

 これを参こうにしようねという基準は、これを守らなければならないという上限に、これまでなんども変わってきた。そのたびに、障害のある人たちは、怒りの声をあげてきた。同じことをくりかえさないためにも、基準をこえる支えんを必要とする人にちゃんと必要な量と質のサービスがとどくための基金を考えるべきだ。

○ 理由

 来年の予算はいくらくらいになるかわかっている必要がある。そして、障害のある人の福祉にかかる予算がいくらか、基準がないとわからない、という人がいる。たしかにそういう一面もあるが、それだけが正しいのではない。新法ができてからは、5年か10年の間はたしかに予算は毎年増えるだろう。でも、必要なニーズが満たされたら、予算の伸びはおさまる。高齢者と違い、障害者の数とわりあいは、ほぼ一定だ。90年代に高れい者福祉でゴールドプランを立てたように、どこかで予算を沢山用意して、不十分な地域の障害者福祉の状況をかえる必要がある。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 支援の必要度については、障害者個人の意思を尊重しつつ、これを客観的に裏付ける医師の診断書により決すべきである。また、財源調整については、障害者の生命を守るための支援や、障害者の精神的自由の側面を持つ自由を保障するために必要な支援(コミュニケーション支援、移動支援等)に関する財源は義務的給付とし、これを国、都道府県、市町村でどのように負担するのかについて検討すべきである。

○ 理由

 支援の必要度は、障害者が地域で生活するに際して生じる不都合に配慮して決せられるべきであるから、障害者本人の意思の尊重が基礎となるべきである。また、新法における各種支援が障害者の有する権利自由の行使に必要なものであり、実質的に障害者の基本的人権を保障するものであることに鑑み、障害者の生命を守るための支援、精神的自由の側面を持つ権利自由を確保するための支援については、義務的経費として扱うべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 障害者のニーズに基づくサービスの提供は重要である。一方で社会生活上、時間とコストには無頓着にはなれず、現状では財源調整の仕組みは必要と考えざるを得ない。

○ 理由

 限りある予算を地域社会の観点もとり込んだ価値で分配し、公平さを説明するために、何らかの客観的指標は不可欠である。

【中西委員】

○ 結論

 障害程度区分は支援の必要度とは連動していない。単に報酬と国庫負担基準を決めるものとなっており問題が多い。障害によるサービス利用は財源のあるなしにかかわらず、国家が行わなければならない義務を持つものであり、財源調整をおこないサービスの低下を図るという政策を国家はとるべきではない。権利としての総合福祉法サービス利用を前面に掲げて財源を調達すべきである。

○ 理由

 自立支援法で使われているサービスは在宅サービスに限ってみれば900 億なので高速道路1㎞分の建設費用でしかないと言われている。このような状況で欧米の障害者予算と比較で見るとOECD 諸国の中で最下位の予算しか使っていない、正になきに等しい国家予算である。そのなかでさらに財源調整しようというのは国家としての体をなしていないと言わざるを得ない。財務省は障害者予算の確保を最優先課題とすべきである。長妻大臣が自立支援法は障害者の尊厳を傷つけたとの発言を総合福祉法の指針とすべきである。

【中原委員】

○ 結論

 支援の必要度およびそれに伴う報酬単価を決める客観的な尺度は必要である。また、客観的な財源調整の仕組みは必要である。

○ 理由

 それぞれの障害特性が反映されない現状の障害程度区分は問題であるが、障害特性が反映されるものとなれば、サービスの必要度や報酬単価を決める重要な客観的な尺度になると考える。また、重度の障害のある人と軽度の障害のある人が同じ報酬単価ということになれば、重度の障害を持つ人に十分な支援を行うことができなくなる。
 また、全国のサービス量を一定水準以上確保し、給付の公平性を保つ必要があることか ら、何かしらの財源調整の仕組みは必要である。

【奈良崎委員】

○ 結論

 24 時間福祉サービスがほしい

○ 理由

 本人たちは日常生活で困る人がいるから

【西滝委員】

○ 結論

 グループホーム、ケアホームが極端に不足しており、また日中活動の場も不十分である。 大幅な財政出動が必要である。

○ 理由

 「住む場所」「活動の場」なくして地域移行できない。

【野澤委員】

○ 結論

 論点C-2-1)を参照。

○ 理由

 論点C-2-1)を参照。

【野原委員】

○ 結論

 推進会議でも、障害者への予算をOEC なみにすべきと結論づけた。この実現を待ちたい。

【東川委員】

○ 結論

 支援の必要度は身体機能によって決まるのではなく、その生活様式や必要度に応ずるものでなければならない。国庫負担基準が設定されていることにより、特に財源が厳しい自治体は、「基準」をもとにサービスの上限を設けざるをえない現実となった。国庫負担基準は廃止し、支給量の2分の1を国が負担することにすべきである。

○ 理由

 国庫負担基準を超えた分を市町村が負担するのでは、地域格差はますます大きくなるばかりである。これでは地域移行はほとんど進まず、特に財源が厳しい自治体の障害者は故郷に戻れないことになってしまう。

【平野委員】

○ 結論

 現実的には、限られた財源や社会資源の中で支援を行うとすれば、優先順位を決め、適切な割り当てをしなければならず、そのための基準は必要と考えられる。
 そのためには、従来の介護保険ベースの障害程度区分ではなく、障害者ベースの「障害支援基準」が設定されることが望まれる。
 また、現在の報酬の出来高払い・実費払いを見直しし、事業者の基礎態勢確保と成功報酬の導入を図ることが望まれる。

○ 理由

 上記の通り。

【広田委員】

○結論 ボランティアを含めた地域福祉が必要。 ○理由 支援費以前、こうしたボランティアもいた。

【福井委員】

○ 結論

 支援の必要性の正確な把握に基づき、それにふさわしい報酬の提供は国の責任において遂行されるべきであり、そのための国庫負担基準の引き上げを行うべきである。必要とされる予算を確保するとともに、安易な地方分権による「財政委譲なき権限委譲」は行うべきではない。24 時間の地域サポート体制の確立についても、地域格差がおこらないように、国の責任を明確にした財政の確立が求められる。

○ 理由

 今回の、障害者自立支援法の廃止と新たな制度設計の理念の根幹をなすものであり、自己責任、受益者負担の押しつけによる応益負担の廃止、地域格差の是正が大きな課題になっている。

【藤岡委員】

○ 結論

 国庫負担基準の廃止。
 ナショナルミニマム保障、地域間格差是正のため、国と都道府県、市町村を横断する「共同会計」の仕組みを構築するしかないのではないか。

○ 理由

 「地域主権」は国が全国共通の障害者支援義務のナショナルミニマムを果たした上でのオプション(上乗せ、横乗せ)で実施するべきである。

【増田委員】

○ 結論

 国庫補助負担を廃止し,国の負担割合を明確にする.

○ 理由

 どこに暮らすかによって格差が生じることは,障害のある人の生きる権利を奪うことで ある.

【三浦委員】

○ 結論

 支援の必要度は、ニーズに基づくケアプランを基礎としてはかるべきである。
 報酬はサービスに必要な体制(スタッフの確保)を基本として考えるべき。国庫負担基準を上限とせず、市町村財政支援のしくみが実現しない限り、すべての人が、すべての地域で、すべての時間(24 時間)で必要な支援を受けることは困難であると考える。

【光増委員】

○ 結論

 現在は障害程度区分と支給量、報酬と国庫負担基準に左右されて必要な支援が受けれない人も存在している。だれでも安心して地域生活を受けれるような仕組みは必要である。しかし、最初から24時間の支給決定でなく、必要度に応じた支給決定のあり方も検討すべきでないか。支給決定とサポート体制の連動が必要。

○ 理由

 在宅での居宅介護の支給決定、ケアホームでの個別の居宅介護の利用に関して、市町村が支給決定する時の最大の障壁は、国庫負担基準。

【森委員】

○ 結論

 地域で暮らす権利を保障ためには、24時間の地域のサポート体制と財源調整の仕組み構築は解決しなければならない重要な課題である。従って、適切な実態調査を踏まえ、モデル事業を実施・検証し、その上で財源確保を含めたシステムの構築を検討すべきである。

○ 理由

 障害程度区分のあり方が問われているなかで、支援の必要度や報酬、国庫負担基準についてどう考えるかということより、障害程度区分の廃止を含め、そのあり方を検討していくなかで整理すべきと考える。