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総合福祉部会 第5回 H22.7.27 資料2-5

資料2-5 「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見(分野C 「選択と決定」(支給決定))【その2】

目次

(分野C 「選択と決定」(支給決定))

<項目C-3 「選択と決定」(支給決定)プロセスとツール>

論点C-3-1) 第3回推進会議では、障害程度区分の廃止とそれに代わる協議・調整による 支給決定プロセスのための体制構築についての議論がなされた。これらの点についてど う考えるか?

論点C-3-2) 「障害程度区分」廃止後の支給決定の仕組みを考える際に、支給決定に当た って必要なツールとしてどのようなものが考えられるか?(ガイドライン、本人中心計 画等)

論点C-3-3) 支給決定に当たって自治体担当者のソーシャルワ-ク機能をどう強化する か?

論点C-3-4) 推進会議でも、不服審査機関の重要性が指摘されているが、どのような不服 審査やアドボカシーの仕組みが必要と考えられるか?

<項目C-4 その他>

論点C-4-1) 「分野C 「選択と決定」(支給決定)」についてのその他の論点及び意見

(分野C 「選択と決定」(支給決定))

<項目C-3 「選択と決定」(支給決定)プロセスとツール>

論点C-3-1) 第3回推進会議では、障害程度区分の廃止とそれに代わる協議・調整による 支給決定プロセスのための体制構築についての議論がなされた。これらの点についてど う考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 障害程度区分に替えて、各種の障害福祉サービスを受けるための一定の尺度は必要であり、協議・調整によることになっても、支給決定の客観性・公平性を担保するための全国共通の基準づくりが不可欠。

○ 理由

 財政負担によりまかなわれる行政サービスの妥当性について、国民の理解を得る必要があるため。

【伊澤委員】

○ 結論

 「ニーズへの評価と支給決定」は一体的に進める方向を原則としながら、民主党・障害者政策プロジェクトチームの「サービス支給に係るガイドライン」も参考とすべし。また本人も含めた計画作成の必要性とそれを実施するためのアドボカシーシステムの必要がある。

○ 理由

 ソーシャルワーカー等専門調査官が支援内容案を作成し、それを権利保障の観点から(決して抑制ではなく)「サービス委員会(仮称)」により決定し、市町村に指示するという案は、概ね妥当と考える。

【石橋委員】

○ 結論

 宛職的な委員の選定の見直し。
 当事者団体の参加。
 協議・調整内容の公開。

○ 理由

 構成メンバーが同じという地域が多い
 専門的知識者といって諸大学を含めた方が多く占めているが、利用者と多く接した知見の下で協議・調整しているか疑問であり、内容の公開もされていない。

【氏田委員】

○ 結論

 「障害程度区分」についてその存在の意味について議論を深めることが重要である。

○ 理由

 限りある予算を正義の観点から公平に分配するために、何らかの客観的指標は不可欠である。現行の障害程度区分を廃止した場合、何によってそれに代わるものを構築するのかは明らかでない。行動障害の重い人など支援のより必要な人に人員の配置を厚くするなどの適切な支援の確保のために何らかの基準が必要と考えるが、協議・調整(正確な姿は明らかでないが)により達成できるものか議論が必要である。その前に現行の障害程度区分について分配の正義の観点から公正かつ公平な支給決定を担保する仕組みをどう確保するかが大きな課題と考える

【大久保委員】

○ 結論

 先ず、「障害程度区分の廃止」の意味について議論が尽くされてきたのか疑問である。現行の障害程度区分の廃止なのか、日常生活のおける困難さや活動、参加の制約などの支援ニーズを客観的に示す指標としての障害程度区分を不要とするのか。
 また、「協議・調整による支給決定プロセス」におけるガイドラインの位置づけや内容、協議・調整の交渉相手やその権能などにおいて、公正かつ公平な支給決定を担保する仕組みをどう確保するかが大きな課題と考える。

【大濱委員】

○ 結論

 障害程度区分は入所と在宅と2つに分け、在宅の場合、区分1hから24hの24区分とする。都道府県が研修を受けた調査員に委託し、各障害者が1日当たり何時間の介護が必要か(2人介護が必要かどうかはここでは無視)を、1時間から24時間の24区分で見守り待機・身体介護・家事援助等の合計時間(家族がいないと仮定して)で調査し県が決定する。
 市町村は支給決定に当たり、この24区分や同居家族の状況、2人介護の必要性、社会参加の希望などを勘案して支給決定する。その際、障害者が指定した相談支援員を同席させて市町村と障害者が協議調整する仕組みを設ける。(訪問サービスの支給決定は24時間が上限ではなく2人介護が必要なら1日24時間以上になることもある)。

○ 理由

 区分はADLに着目するのではなく、支援ニーズに応じた区分であるべき。その場合、市町村が調査すると、財政的圧力から、支援ニーズを少なく見積もる傾向があるので、都道府県が(市町村職員以外の調査員に委託して)調査すべきである。区分は現状の6段階より細かくして、1日1時間の介護が必要なら区分1hとし、最高24hの24段階とする。
 市町村がサービスの支給決定をするときには、この区分を参考に家族が介護できる時間を引き、2人介護が必要な時間を足し、社会参加に必要な時間を足して支給決定する。(2人介護が1日1h必要な場合は区分1hで支給量が2時間)。

【小澤委員】

○ 結論

  • 新法の完全実施までの猶予期間の間に、ソーシャルワークを重視した協議・調整モデルの施行事業を行い、本当に、どのような体制で可能なのか、自治体レベルで、何が必要なのかを検証する。

○ 理由

  • ここは、施行事業などをもとに、実証的にすすめて欲しい。予断に基づいた判断は差し控え、個別的な対応でも可能か、どうか、実証すべきである。

【小田島委員】

○ 結論

 本人が支援者と一緒に、市役所のケースワーカーに必要なサービスの話しをする。ケースワーカーは本人や支援者の意見をよく聞いてサービスを決めるようにする。

○ 理由

 本人と、本人のことをよくわかっている支援者、しょうがいしゃのことをよくわかっているケースワーカーでよく話し合って決めていく必要がある。

【小野委員】

○ 結論

 支援の必要度を明らかにするスケールの開発と体制を構築する。

○ 理由

 障害程度区分は、「できる」「できない」で生活能力を判定してしまうため、支援の必要度にならないため。

【門屋委員】

○ 結論

 検討課題とすべきです。
 体制の作り方はいろいろ考えられ、相当吟味する必要があります。
 拙速に不十分なシステムによって実施することは、混乱を招きます。

○ 理由

 基本システムは相談体制のあり方です。本人中心となれば、制度上の支給量決定権のある行政や提供する事業体に相談体制システムが組み込まれていると、ニード中心の支援を満たせない危険があります。

【北浦委員】

○ 結論

 現状の障害程度区分及び支給決定は、知的障害者や、重症心身障害児者には適正な判定をすることに問題がある。これに代わる支給決定方式として、新たに改良された支援区分や、審査決定プロセスが必要であり、医師の意見書はその際に必要不可欠である。

○ 理由

 重症心身障害児者の判定には、現在、大島の分類が使用されている。これを更に検討して判定の適正を期す必要があると関係者からの意見がある。

【君塚委員】

○ 結論

 区分は必要悪である。見直しをして新たにつくる。

○ 理由

 会議で意見を言えない人たちや肢体不自由児特別支援学校の父兄などに意見を聞くべきであり、会議の決定が全体をあらわしているものではないことを受け入れるべきである。

【近藤委員】

○ 結論

 利用希望者のニーズや社会資源等を勘案した専門性の高いケアマネジメントによって支給決定がなされる仕組みが必要だと考える。

○ 理由

 利用希望者の自己選択・自己決定、支援の必要度が尊重された支給決定の仕組みが必要であるため。

【齋藤委員】

○ 結論

 現行支給決定のしくみや障害程度区分の廃止は必要であるが、それに替わる支給決定のしくみをどうするかはいわれている協議・調整のしくみも含めてどのようなものが望ましいか、諸外国の事例・国内の事例を十分検討した上で考える必要がある。

○ 理由

 いわれている協議・調整がうまく機能するならば問題はないのだが、その担当者・関係者の育成の問題も含めて課題はいくつもあると思われる。

【清水委員】

○ 結論

 C-1 C-2 と同じ

○ 理由

 西宮の展開の中での実感とすれば、協議・調整による決定のための体制構築は十分に現実性実効性のあるものと考えています。

【竹端委員】

○ 結論

 障害程度区分をやめるならば、協議・調整のやり方をしんけんに考えるべきだ。今だって、程度区分だけでは判断できないので、障害者と支援者、自治体が話し合って支給決定している現実がある。区分にかわるものとして、何らかのガイドラインをその地域で定めた上で、それにそって自治体はきめることは十分に可能だ。

○ 理由

 先の参考資料(「地域主導による障害者支援プロセスのケーススタディ」研究報告書)をまとめる中で、スウェーデンでもアメリカでもイギリスでもなく、日本でほんとうに協議や調整にもとづいた支給の決定をしていた西宮市のことをしらべた。そして、この仕組みは、よその自治体でも使うことができるしくみだ、とわかった。できない(変えたくない)理由をたくさん言い訳するのではなく、できる理由をひとつ見つけ、やってみる努力をしたいものだ。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 障害程度区分については、「障害」を社会モデルとして捉える場合、整合しないので、廃止すべきである。また、協議・調整による支給決定プロセスの実現のため、相談支援事業を拡充させる必要がある。

○ 理由

 新法における支給決定プロセスは、障害者の意思を十分に尊重することを起点とし、障害者の家族を含めた関係者と相談支援員が十分な協議を行った上で、決定されるべきである。そして、支援を受けるに際しての申請手続きは可能な限り簡略化し、障害者の申請権を阻害するものであってはならない。手続き全体を通して、障害者個人の意思が尊重され、反映されるプロセスの構築がなされるべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 「障害程度区分」について、果たす役割と機能について、また批判的にもたらす弊害について列挙し議論を深めることが重要である。

○ 理由

 予算分配のためには、客観的指標は不可欠である。協議・調整モデルについて、現行の障害程度区分だけでは時間数が決まらないため、ヘルパー系の事業は、この手法に基づいて時間数を決めているととらえているが、この実態を明らかにすることで手がかりが得られるのではないか。
 現状行われているヘルパーの時間数決定の段取りが協議・調整手法では無いとするならば、より具体的な案をしめしての検討が必要と考える。

【中西委員】

○ 結論

 欧米の支給決定プロセスを見ても協議調整による支給決定モデルが最も優れたものとして採用されている。日本でも医療モデルから離れて、社会モデルによる協議調整モデルを採用すべきである。

○ 理由

 社会参加やコミュニケーションのニーズは医療モデルの判定ではニーズの発掘すらできない。そのニーズを把握できるのは唯一協議調整モデルであることから、総合福祉法ではこのモデルを採用すべきである。

【中原委員】

○ 結論

 慎重な議論が必要である。

○ 理由

 第3回推進会議では議論されたが、総合福祉部会においては具体的に検討されておらず、協議・調整による支給決定プロセスの方向性が不明である。また、知的障害分野においては歴史的にみてケアマネジメントの重要性が訴えられてきたことは関係者の共通の認識である。

【奈良崎委員】

○ 結論

 ひとりひとりの福祉サービスを考えてほしい

○ 理由

 本人にかかわる人、ケースワーカー、上司など、と本人を入れてケース会議を。

【野原委員】

○ 結論

 難病の場合は、本人のニーズを基本にして、わかりやすい診断書様式など基準の見直しもふくめ、医師や保健所を含めた医療関係者、ケアマネ、当事者団体、相談支援センター、行政の総合福祉職(仮称)を含めた認定、不服審査、チェック体制の構築が必要である。すべての市町でこれができるとは思えないので県か保健所ごとなどの広域を受け持つ機関がこれを行うことが必要と思われる。

【東川委員】

○ 結論

 障害者の生活様式や必要度に基づかない現行の障害程度区分は、権利主体として障害者を位置づけた権利条約の理念に反すると言わざるをえない。必要度把握が的確にできるソーシャルワーカーによる支給決定のしくみに改めるべきである。

○ 理由

 上記に指摘したとおり、そもそも権利条約の理念にも反するシステムであり、障害のない人は実現できる、「地域の当たり前の生活」を送ることができない。

【平野委員】

○ 結論

 現行の障害程度区分は問題点が多く、廃止することは賛成であるが、まったく支給決定に関する基準や審査体制を設定しないこととなると、公正・公平な制度運用が困難となることから行政的には難しくなる。
 支給決定に際しては、ソーシャルワーカーなどの支援の専門家による第三者的立場で科学的・実践的に審査する体制を導入する必要がある。

○ 理由

 上記の通り。

【福井委員】

○ 結論

 欠陥の多い障害程度区分を廃止し、それに代わる体制を創設すべきである。まず、個別ニーズを専門調査員が正確に評価し、それを協議、調整する委員会で支給決定をし、市町村にサービスの提供を指示するというプロセスになる。体制については、きめ細かな配慮のもとに、構築されるべきである。

○ 理由

 これまでの福祉サービス提供の根本的な不備を抜本的に是正し、障害者の長所、復元力、潜在的なニーズを引き出して、豊かな生活を保障していくことこそ、緊急に求められている最優先の課題である。

【藤岡委員】

○ 結論

 個々の丁寧なケースワークに基づく、必要な支援の量の客観的算定を行う必要がある。
 1日あたり、週あたり、月あたりの必要時間の積み上げ、認定作業は重要であろう。
 従来は、行政の担当者と障害者の1対1での聴き取りに基づく行政の上からの決定という仕組みであったが、論点C-1-2で触れたようなセルフアドボカシーとチームメンバーの立ち合いを「勘案調査」の要件としていく。

○ 理由

 本人の意思決定の尊重、その前提としての本人支援、必要性の客観的検証とチームによる手続保障が重要と考える。

【増田委員】

○ 結論

 障害のある人のニーズや希望を充分に聴きとることや,ニーズを明確にするための支援が行われ,そのニーズに沿って支援の必要度を市町村が決定する.審査会は各自治体によってその運用にばらつきがあるため廃止する.しかし,ニーズを充足できない地域状況もあり,不足している社会資源を明確にし,市町村での社会資源拡充が進められる仕組みが必要.

○ 理由

 支給決定はされているが,必要な支援を受けられていない現状もあり,選択と決定ができるための基盤整備を促す仕組みを構築するべきである.

【三浦委員】

○ 結論

 支給決定プロセスは、公明・公正が条件なので、国民の理解を得られる協議・調整モデルが必要である。
 また、障害程度区分認定の仕組みを廃止する場合、全国的な支給決定の統一性を担保するための枠組みが必要である。支給決定権者の裁量にのみ任せると格差が生まれる可能性があり、支給決定に係るガイドラインやプロセスのあり方の構築にあたって留意する必要がある。

○ 理由

 障害福祉サービスは税財源なので、国民に支給決定のプロセスと根拠を明示することは当然の義務といえる。また、運用レベルにおける公平な取扱いを担保することが不可欠であるため。

【光増委員】

○ 結論

 必要な事、しかしより多くの情報提供と論議が必要

○ 理由

 障害程度区分を廃止して、協議・調整による支給プロセスにする場合、報酬との関連はどうするかの論議が必要

【森委員】

○ 結論

 障害者ケアマネジメントをもとにした取組が必須であるとともに、障害当事者の知識知、体験知をもとにした事例などの情報の収集と検討を深め、生活支援のニーズに基づいたシステムを構築すべきと考えられる。

○ 理由

 現行の障害程度区分は廃止して、生活支援という視点から本人の描く到達しうる生活の望ましい姿の実現のための支給決定を行えるようにすべきである。

【山本委員】

○ 結論

 協議・調整による体制が必要。
 話し合い丁寧にどういう支援があれば何ができるか、という視点からの支援の決定が必要

○ 理由

 できないことを証明しろと迫られても、とりわけ精神障害者は立証不能である。どういう支援があれば入院せずにすむあるいは、こういうことができる、といった視点が必要

論点C-3-2) 「障害程度区分」廃止後の支給決定の仕組みを考える際に、支給決定に当た って必要なツールとしてどのようなものが考えられるか?(ガイドライン、本人中心計 画等)

【荒井委員】

○ 結論

 障害程度区分のような障害福祉サービスを受けるための一定の尺度は必要。
 障害程度区分に替えて、各種の障害福祉サービスを受けるための一定の尺度は必要であり、本人中心の計画とすることになっても、支給決定の客観性・公平性を担保するための全国共通の基準づくりが不可欠。

○ 理由

 財政負担によりまかなわれる行政サービスの妥当性について、国民の理解を得る必要があるため。

【伊澤委員】

○ 結論

 重要な課題であり今後の要素別分科会で精査が必要。

○ 理由

 ツール開発の技術的進化の必要性があり軽々には論説不可能。同時に縛られすぎない柔軟な運用が効くものであることを願う。

【石橋委員】

○ 結論

 個別支援計画書の作成とその適合性を評価できる体制。
 一定の社会性を持った価値基準が必要。同時に本人中心の日常生活調査を基本に必要な支援量を算出し、支給決定内容を公開する。

○ 理由

 介護保険を参考にした調査票に地域生活をする視点での評価が少ない。

【氏田委員】

○ 結論

 限りある予算を正義の観点から公平に分配するために、何らかの客観的指標は不可欠であり、その観点から障害程度区分について議論を深めるべきである。

○ 理由

 支給決定にあたっては、どのような名称であろうと、対象者の日常生活のおける困難さや活動、参加の制約などの支援ニーズを客観的に示す指標は必要と考える。行動障害の重い人など支援のより必要な人に人員の配置を厚くするなどの適切な支援の確保のために、報酬と連動した何らかの客観的指標が必要と考える。

【大久保委員】

○ 結論

 支給決定にあたっては、どのような名称であろうと、対象者の日常生活のおける困難さや活動、参加の制約などの支援ニーズを客観的に示す指標は必要と考える。その指標の基準は、考え方として「他の者との平等を基礎として」を踏まえ、「障害のない人」の実態ということになる。

○ 理由

 我が国にはソーシャルワーカー制度はなく、また、市町村職員や相談支援専門員の専門性や人的資源などの現状から、ガイドラインや本人中心計画というものを用いたとしても、全国どこに暮らしても一定水準の福祉サービスを公正かつ公平に受給するうえで、客観的指標は必要と考える。

【大濱委員】

○ 結論

 市町村が調査するのではなく、都道府県が研修を受けた相談支援員等に委託して1~24hの区分を決め(c-3-1 大濱意見参照)、それを参考に市町村が支給決定を行うが、その際、社会参加やサービス利用時間帯などのニーズを利用者が記入した(場合によっては当事者相談員などに相談しながら作る)本人中心計画を基に検討する。その際、障害者が指定した相談支援員を同席させて市町村と障害者が協議調整する仕組みを設ける。

○ 理由

 特に社会参加などADL以外の部分については、本人のモチベーションや意識に左右されるために、本人が中心に作成される必要性がある。

【岡部委員】

○ 結論

 精緻な「ものさし」や夢のような「スキル」を求めてはならないと思う。まずは、施設利用については重度加算の基準、居宅介護やパーソナルアシスタンスについては利用者の生活実態がわかる資料と1週間/1ヵ月の支援計画があれば十分ではないだろうか。

○ 理由

 障害程度区分の反省を踏まえるならば、ツールは当事者・支援者との話し合いやアウトリーチに基づきケースワーカーが支援の必要性を実感するための補助的役割であることをきちんと確認すべきであるため。

【小澤委員】

○ 結論

  • 新法の完全実施までの猶予期間の間に、個人中心計画、ストレングスケアマネジメント、セルフマネジメント、などの手法を対象にあわせて実施する施行事業を行い、本当に、どのようなガイドラインおよびツールが必要なのか、自治体レベルでは、何が必要なのかを検証する。

○ 理由

 ここは、施行事業などをもとに、実証的にすすめて欲しい。予断に基づいた判断は差し控え、個別的な対応でも可能か、どうか、実証すべきである。

【小田島委員】

○ 結論

 本人と支援者が一緒に話し合って、自分に必要なサービスの計画を作る。

○ 理由

 自分だけではわからないことが多いから、支援者と一緒に考えて計画を作る。

【小野委員】

○ 結論

 前述のとおり。

○ 理由

 前述のとおり。

【門屋委員】

○ 結論

 ガイドラインは必要です。基本は本人中心の計画となります。

○ 理由

 格差が生じないためにもガイドラインは必要ですし、ガイドラインに沿っているかどうかの審査機関なども必要となります。
 本人中心計画はインテークから計画提案までと、その過程でセルフマネジメント能力によっては、継続支援のためのケアマネジメントの対象とするかいなかのゲートキープ体制が必要です。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 実際に地域で支援している専門家集団による「支援必要度換算表」の作成。

○ 理由

 時間で測れる支援と時間で測ることが困難な支援を“共通なもの指し”で評価する場合、“時間以外のもの指し”が必要。それは、実際に地域生活を担っている専門家(精神保健福祉士、看護師、介護福祉士らの専門職)による臨床的=経験的な“支援必要度”判断以外にない。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 本人中心計画は不可欠。そのためにガイドラインを策定する。

○ 理由

 サービスは個別的なもので、本人の自己決定に基づくが、ガイドラインは必要。

【北浦委員】

○ 結論

 支援の判定は、判定者による差異が出ないように、普遍性を持つものとする必要がある。このため、ガイドラインの作成、及び支給決定の審査判定には、障害当事者の代表が関与するものとし、医学的判断を要する決定には医師の意見書は必要不可欠とすべきである。

○ 理由

 重症心身障害児者などの医療を必要とする障害児者には、医師の関与が不可欠のものであるからである。

【君塚委員】

○ 結論

 無くすと混乱、重度例の除外となるので、廃止は適切ではない。

○ 理由

 従来、軽度の方達を集め、重度の方達を敬遠してしまうという長い間の結果の轍を踏まないようにするためであり、歴史的にみても区分のないということは基本的に無かったと考えられる。

【近藤委員】

○ 結論

 相談支援事業やケアマネジメント、地域自立支援協議会の調整・評価機能の強化が図られる必要がある。そのためには、サービス利用計画作成費の支給対象者の範囲を全ての利用者に拡大し、支給決定前に作成するとともに、地域自立支援協議会の設置の義務化と機能強化を法令上明確にすることが求められる。

○ 理由

 利用希望者の自己選択・自己決定、支援の必要度が尊重された支給決定の仕組みが必要であるため。

【齋藤委員】

○ 結論

 支給決定にあたって何らかの基準をもうけるべきか、設けるとしたらそれはどのようなものか、ガイドライン的なものでよいのか。また協議・調整を担うものは公的機関が委託された民間機関、またそれとは別個にサービス利用計画書の作成者が必要なのか、障害者自身の協議参加の仕方も含めて検討課題は多い。

【坂本委員】

○ 結論

 サービスを利用される方の間で公平に支給決定できるような仕組みであること(「ある人にはサービス量が多すぎて、ある人にはサービス量が少なすぎる」と多くの人が思わないような仕組みにすること)が不可欠。
 また、こうした仕組みを決めるにあたっては、町の事務量を十分考えてほしい。

○ 理由

 サービスを利用されている方の間でそのサービス量について不公平な状態となれば、制度の信頼が大きく損なわれ崩壊する。

【清水委員】

○ 結論

 C-1-1 と同じ

○ 理由

 支給決定に必要なツールは存在の価値のうけとめの方策と連なり、相互エンパワーメ ントの全体構造に連動していくというイメージです。全部つながっている感じです。

【竹端委員】

○ 結論

 ガイドラインや本人中心計画、だけでなく、障害者のエンパワメント支援をする機関や、行政や事ぎょう者から自立した相だん支えん者も必要だ。また、決ていが納得できない場合にはそれを審査してもらう場(不服申立機関)も必要だ。

○ 理由

 この仕組みについても、参考資料(「地域主導による障害者支援プロセスのケーススタディ」研究報告書)参照。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 医師の診断書と、障害者本人、家族等の関係者及び相談支援員により策定された支援計画が必要であると考えられる。

○ 理由

 支給決定に際しては、その支給の対象となる支援が適正なものであることが要請される。この適正性を担保するものとして、少なくとも、支援の必要性を示すものとしての医師の診断書と、支援の相当性を示す支援計画が必要である。そして、この支援計画は、障害者本人、障害者の家族等の関係者、障害特性を十分に理解した専門性を有する相談支援員が、十分に障害者本人の意思を尊重しつつ策定すべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 障害のある方が望む暮らしへの希望を受け止めるシートの開発。そこから導かれるサービス利用のための情報提供のガイドライン。地域にある資源の調整のためのガイドライン。(セルフマネジメントにも対応できるようなもの。資源があれば使うが、無ければ作る際の見通しについてもふれる。)

○ 理由

 ガイドライン策定には次の段取りが考えられる。

  1. 情報提供とエンパワメント
  2. 本人の意志を受け止めた個別支援計画の作成
  3. 個別支援計画を支える支給決定の調整
  4. 個別支援計画を有効するサービス調整
  5. 関連事業所へのサービス調整に対する協力要請

【中西委員】

○ 結論

 知的障害者についてはカリフォルニアで実施されている本人中心計画が優れた制度といえる。身体障害者のほとんどについてはセルフケアマネジメントが可能であるので、自ら協議調整を地方行政と行うことができる。その場合に当事者のピアサポーターやピア・カウンセラーが支援にあたることは適切である。精神知的の当事者についても協議調整の中でピア・カウンセラーやピアサポーターの支援が有効な場合が多い。

○ 理由

 行政との直接的な話し合いではほとんどの障害者は緊張して自らの意志を自由に表明することができない。そのためピア・カウンセラーやピアサポーター、相談支援員や本人が最も信頼する人たちの支援が必須となる。このような支援者を制度の中に組み込んでおくことが、障害程度区分の廃止後の支給決定システムにおいては重要である。

【中原委員】

○ 結論

 慎重な議論が必要である。

○ 理由

 支給決定にあたっては、本人が中心となる計画とすべきことはいうまでもないが、ガイドラインの内容が不明である。支給決定にあたり何かしらの客観的な尺度は必要である。またアセスメントの実施にあたっては、本人の障害状態のみでなく、社会参加や活動の状況、本人のおかれている状況などの環境要因を踏まえたものとする必要がある。

【奈良崎委員】

○ 結論

 本人を中心としたケース会議
 月から金で働いている人は、ケースワーカに会うこともできないので、時間をとって会ってほしいし、職場を訪問してほしい。

○ 理由

 それが当たり前

【西滝委員】

○ 結論

 相談支援専門員による「サービス利用計画」によりサービス量を本人本位に調整する。

○ 理由

 今まで相談支援事業所が中立的な立場で「サービス利用計画」を作成し評価を得ている。

【東川委員】

○ 結論

 「障害程度区分」は廃止し、「支援の必要度」を評価するガイドラインなどを開発することが必要である。「支援の必要度」の評価方式については、2003-2005 年度に採用された、事業種別ごとの多次元3段階の支援費障害程度区分などを参考にすべきと考える。また、「統計平均方式」ではなく、必要とされる個々の支援を合計して必要量を導く「個別足し算方式」が望ましいと考える。

○ 理由

 障害者が自ら選択した地域生活を送るために、必要な支援について必要な時間が確保 され、公平にサービスが提供されるためである。また、グループホームや通所・入所の 施設利用にあたって、利用契約制度の下で、支援の必要度の高い人が排除されないため である。さらに、事業者に支援量に応じた費用が支払われるためにも必要である。

【平野委員】

○ 結論

 ガイドラインは、①障害やその程度により、どういったサービスを利用することが妥当かというメニュー選択でのガイドライン、②障害やその程度により、利用出来るサービスの量や時間が妥当かという提供量でのガイドライン、という両面がある。これまでのガイドラインは、②の提供量のガイドラインが主であり、しかもこれが提供量のマックス(最大限)となっていた。設定するとすれば、①のサービス利用のガイドラインを重視したものとし、そのサービス利用や提供量についてマックスではなく、スタンダード(標準量)として位置付けることとされたい。

○ 理由

 上記の通り。

【広田委員】

○ 結論

 上限が必要。

○ 理由

 本人の能力をうばう。お金がない。

【福井委員】

○ 結論

 支給決定に当たって、先ずこの間の福祉施策提供の「現金給付」への転換を、「現物給付」にもどして、さまざまな生活問題に対応するシステムを再構築していくことが求 められる。加えて、障害当事者の住宅確保、就労支援、福祉事業者の報酬引き上げ、利 用料の原則無料などによって、サービスが継続して支給されるようにすべきである。ガ イドラインの開発、障害者が主体的役割を担う支援計画作りが、必要になってくる。

○ 理由

 障害当事者を排除してきたこれまでの施策決定の仕組みが、今日の障害者施策の貧困を招いてきた原因であることを肝に銘じ、思い切った発想の転換を図ることが重要である。いま、国政で実施されてきた障害者参加が、都道府県・市町村でも行われることが焦眉の課題である。

【藤岡委員】

○ 結論

 本人の生活であり、本人の自己決定の保障が守られているかが最重要項目である。
 そして、その人の尊厳と人間らしく健康的な生活が保障されているか、個別の必要性が満たされ、かつ、必要性があるか否かが調査事項である。
 そして、その前提として、論点C-1-2)で触れたような、エンパワメント支援、セルフアドボカシー制度が充実していることが重要。

○ 理由

 ニーズ把握の基本は、当該本人の個別の事情に基づく必要性の把握である。
 従来、行政側が予め決めた定型的な枠を押し付けられてきたのが障害者の実態であり、 障害者のニーズは個々それぞれであり、それは必ずしも「障害の程度・重さ」に単純比 例するものでもない。

 自立支援法第22条及び同法施行規則12条の定める勘案調査事項として、

  • 程度区分と心身の状況
  • 介護者側の状況
  • 介護費受給状況
  • 介護保険利用状況
  • 福祉サービスの利用状況
  • 本人の利用意向の具体的内容
  • 本人がおかれている環境
  • サービス提供の整備状況

が規定されてきたが、根本変革が必要である。

【増田委員】

○ 結論

 本人中心,本人のニーズや希望に沿ったものとするという,その人にとって必要な支援のを実現するためのツールとする.支援の必要度を決定する仕組みとしては,目安となるようなガイドラインは必要だが,基本は相談支援の中でその人のニーズの明確化が行われる.
 ニーズが変化するものであることも配慮したツールであることが求められる.

○ 理由

 支援の必要性を明確にするガイドラインについては,新たな制度の構築となるため,実態調査なども踏まえて慎重に検討され,試行的な取り組みを行いつつ,決定する必要がある.

【三浦委員】

○ 結論

 ガイドラインは当然に必要である
 本人のニーズを聴きとり、ストレングス視点を大切にして、エンパワメントを目標とした個別支援計画と本人中心計画の違いは何かを伺いたい。全く別のものであれば、本人中心計画を検討する必要もあるが、定着してきている個別支援計画の、質の向上をはかっていくことが有効であると考える。

【光増委員】

○ 結論

 既存の考えも含めて、どのような方法がいいか当事者、学識経験者からのヒヤリングも必要でないか。あわせて諸外国の支給決定の現状を情報提供する。

○ 理由

 支給量と報酬は連動するのか、それとも報酬は別立てで論議するのか確認が必要。
 障害程度区分はあえて、三障害統合した考え方の尺度にした。障害の範囲を拡大する方向性もあるので三障害統合をさらに拡大するので、あえて三障害の統合の支給決定は必要がないのでないか

【森委員】

○ 結論

 障害当事者の知識知、体験知をもとにした事例などの情報の収集と検討を深め、生活支援のニーズに基づいたシステムを構築すべきと考えられる。

○ 理由

 QOLの視点を踏まえた、障害の類型などをもとにした「生活」に関するアセスメントを行い、障害者ケアマネジメントをもとにした支援が必要と考える。

【山本委員】

○ 結論

 本人の希望を丁寧に聞き取り、アドボケイトがついた上で、話し合いによる決定が重 要である。
 このアドボケイトが自己決定支援者としても位置づけられることが重要

○ 理由

 本人の生活は本人が一番よく知っている以上あくまで本人の希望に基づいた計画でないと無意味である。

論点C-3-3) 支給決定に当たって自治体担当者のソーシャルワ-ク機能をどう強化する か?

【朝比奈委員】

○ 結論

 自治体担当者のソーシャルワーク機能が低下すると、政策立案などさまざまな場面で波及的に不都合が生じることが多いと感じています。人事交流を行う、公務員と民間のソーシャルワーカーが一緒に働くなどにより、公共政策としての自治体のソーシャルワーク機能を維持しておくことが必要です。

【荒井委員】

○ 結論

 自治体職員が対応すべき業務分担を整理し、ソーシャルワーク業務に十分対応できる ように人材育成を行うとともに、専門職員配置に必要な地方財政措置を講ずるべき。

○ 理由

 相談支援業務は、市町村とその委託を受けた相談支援事業者が行っており、その役割分担は明確でなく、対応が十分とはいえない状況にあるが、これは、市町村の専門職員の育成・配置が不十分であることが原因と考えられることから、改善を図る必要がある。

【伊澤委員】

○ 結論

 自治体の最終判断を確保する必要はあるので、「専門職」の配置が必要

○ 理由

 支給決定に際しは市町村の最終判断が必要であり、その立場でのソーシャルワーク機能とともに、民間と共に創って行く発想を持ちながら取り組む必要を思う。

【石橋委員】

○ 結論

 福祉事務所機能の復活と充実。
 専任の職員を配置。
 専任されたものは、利用者からの評価による業務評価が必要。
 専任者の期間を最低5年。

○ 理由

 事務処理時間が多くソーシャルワーク機能が働いていない。

【氏田委員】

○ 結論

 障害者や家族のニーズに基づくサービス提供を計画し支給決定するなどの専門性が必要である、そのために自治体担当者は社会福祉士を要件とする福祉職とすべきである。

○ 理由

 各障害に対する専門性の提供と支給決定、その後のモニタリング機能を持つことが必要である。また、必要な人に福祉が行きわたっているかなどの正義の観点から公平・公正に支給決定することのできる能力が必要であるから。

【大久保委員】

○ 結論

 先ず、今後、自治体担当者にソーシャルワーク機能を求めるのか、相談支援事業者にソーシャルワーク機能を求めるのか、また、その際、どこまで支給決定権限を与えるのかなどの議論が前提であり、本論点について述べることは困難である。

○ 理由

 現状の地方自治体の事務量や人的資源、福祉事務所の機能などをどのように捉え、また、現状の相談支援事業所の実態や求める機能をどのように捉えるかということがある。また、支給決定プロセスをどのようなかたちにするかによって、実際のソーシャルワーク機能も異なってくると考える。

【大濱委員】

○ 結論

 推進会議構成の障害者団体など全国の障害者団体等による研修会を国主催で自治体職員に対して行い、障害当事者の視点に立ったソーシャルワーク機能を有するよう意識改革に努める。

○ 理由

 障害者ケアマネジメント研修では国が都道府県職員等を研修し、都道府県が市町村を研修したが、地域によっては内容に後退がみられた。
 市町村合併で市町村数が減ったので、国が研修会を開催し、直接市町村職員に対して新しい考え方を研修するほうがよい。

【岡部委員】

○ 結論

 ケースワーク業務に対する十分な人員配置としかるべき処遇、そしてケースワーカーが自ら汲み取った支援の必要性を給付につなげることを可能とする権限と予算がまず必要である。

○ 理由

 今自治体障害福祉担当者に最も必要なのは「研修」ではなく「経験(喜びと後悔の積み重ね)」であり、(支援費制度を5年間続けていれば獲得できていたかもしれない)援護の実施者としての矜持と責任感の実感/回復であるため。

【小澤委員】

○ 結論

  • 自治体の相談支援機能の強化は必要。そのためには、人事異動をひんぱんにしない専門職の設置が必要。
  • あるいは、民間のキャリアのあるスタッフを、自治体担当者として、積極的に採用する。

○ 理由

  • 人事異動のひんぱんになされる現状で、人材が育たないのが、自治体の実態。
  • 公務員の削減があり、新規に、市町村レベルで、専門職が採用される見通しも非常に悪い。(国際的にみて、先進国の中で、人口あたりの公務員が非常に少ない日本だが、ほとんどの政党は、さらなる公務員削減をかかげているので、見通しは全くくらい)

【小田島委員】

○ 結論

 経験があって、しょうがいしゃのことをよくわかるケースワーカーが市役所にいるようにする。
 ケースワーカーは当事者や支援者の意見をよく聞くようにする。

○ 理由

 市役所のケースワーカーの人に僕たちのことをもっとよくわかってもらいたい。

【小野委員】

○ 結論

 ニーズの発掘、入口相談、インテークワークから、調査・審査会への報告、支援利用後のアフターフォローなどを強化すべき。

○ 理由

 自立支援法では、障害程度区分の調査と報告以上の仕事をしようとしていない。窓口まで来なければ相談に応じないし、自らニーズを掘り起こすこともできない。さらに支援結果の把握をしていない。つまり、ソーシャルワークという業務になっていない。

【柏女委員】

○ 結論

 社会福祉士資格を有する者の任用を促すことが必要である。

○ 理由

 相談支援にはソーシャルワークの知識と技術が不可欠である。

【門屋委員】

○ 結論

 現行の定期的異動が行なわれているあいだは、あまり期待ができません。
 福祉専門職を配置する考え方もあるが、現行の環境では、予算を確保したり、施策化するといった行政本来の業務部分の専門性を高めるべきと考えます。しかし、資源開発など地域特性と対象特性の調査分析機能と施策方針はソーシャルワーク機能の一部を担うべきと考えます。

○ 理由

 各種の行政計画は調査をもとに行われているはずなのですが、その調査は実態を把握するには少々問題があると考えています。ソーシャルワークはその基本に地域社会の病理の原因を調査などの手法によって明確化し、個別支援の必要性が社会環境によって左右される要因を明らかにして除去解決を図る方針を出すことだと思います。
 総合福祉部会において調査が決まっていますが、市町村は個別の住民調査によって支援の施策を具体的に検討することなしに地域支援体制は充実しません。自立支援法で把握された情報の集約だけでも、かなりの実態把握は可能と考えられ、これらが継続的に実施されることが望まれます。
 人間の生活を考えるとき、一定の基準があれば、教育や育成もしやすいのですが、まったくないところからの出発は、難しく時間がかかるように思えます。たとえば、社会福祉士・精神保健福祉士の受験資格を得るための養成には、大学において4年間。通信教育でも1年半ほど時間がかかります。ですので、25年8月には間に合いません。また、自治体職員が民生費予算を配分するゲートキーパーの役割も任せられれば、さらに高度な技術が必要となります。

【近藤委員】

○ 結論

 福祉専門職を配置し、専門的なソーシャルワークが行われることが必要である。

○ 理由

 福祉を専門としない職員が異動し担当となることは、障害者の生活に大きな影響を与 えるため。

【齋藤委員】

○ 結論

 支給決定の最終決定者は自治体担当者となろうが、全面的にその決定を自治体担当者が担うとすればそのソーシャルワーク機能を強化するには現自治体職員に限られてくるので、その育成には相当の時間や労力・費用を必要とすることになる。一定の機能の委託を民間機関にうるとしたらその人の立場・資格が問われることになり、ここでも充分な検討を要する。

【坂本委員】

○ 結論

 町職員のソーシャルワーク的な力も含めて力量を上げていくことは必要としても、相談支援に応じる体制を町職員だけで整えるのか委託するのかどうかも含めて、町の実情に応じた体制で対応できるような柔軟な仕組みであることを希望。町の事務量がどの程度増えるのか十分な検討が必要。
 また、町職員等に対してソーシャルワーク機能の強化を求めるならば、きちんとした研修を行うことや、処遇面などの金銭的支援などを国や県がしっかり行うことが必要。

○ 理由

 障害福祉行政にどのくらいの体制を整備するかは町によってその考え方は大きく異なるので、町の実情に応じて体制が組めるような柔軟な仕組みでないと、結局うまく行かず、障害者が困ることになる。また、人数が少ない町職員等に対する研修や処遇面での支援がなくては職員が燃え尽きてしまうおそれもある。

【清水委員】

○ 結論

 行政と双方向共同構築型の展開を進める。
(行政の人と言いたいことを言いながら一緒に仲良くやっていく。)

○ 理由

 西宮の場合、当事者、相談支援事業所が一緒になって、わがまちの仕組みをつくっていく中で、自治体担当者のソーシャルワーク機能が高まっていくことを実感してきましたが・・・。

【竹端委員】

○ 結論

 協議・調整のやり方をすすめるためには、自治体の担とう者がきちんと本人のニーズをわかることが必要だ。だから、自治体でその役をする人へのトレーニングは必要だ。ただ、一般的な自治体では2,3年にいちど、自治体の人は仕事がかわる(人事異動)。でも、この障害者福祉では、自治体担とう者にも専門性がもとめられる。だから、ほんとうは福祉の資かく(社会福祉士、精神保健福祉士など)を持っている人がになうべきだ。

○ 理由

 お年寄りの介ご保けん制度ができた10年まえは、福祉の人材がまだ十分に育っていなかった。だが、この10年で、福祉の資かくを持っている人はかなりふえた。自治体の職員の中でも、たくさんいる。そういう人が、専もん性を活かして働くことがたいせつだ。また、資かくをもっていない人にも、相だん支えん専もん員のようにトレーニングする仕組みをつくればよい。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 支給決定に関わる自治体担当者についても、障害特性を十分に理解する必要があるので、適切な研修を定期的に実施し、障害者の実際の生活実態を十分に把握するよう努めるべきである。

○ 理由

 支給決定プロセスは、障害者個人の意思を尊重し反映することが起点となるが、障害者の生活実態を十分把握した者が支給決定プロセスに関わることも必要である。自治体担当者がそのような存在となることが、ソーシャルワーク機能の強化につながると考える。

【田中(正)委員】

○ 結論

 支給決定にあたって必要とされるソーシャルワーク機能の課業の整理が必要。たとえばガイドラインでも提案した①情報提供とエンパワメント②本人の意志を受け止めた個別支援計画の作成。③個別支援計画を支える支給決定の調整。④個別支援計画を有効するサービス調整。⑤関連事業所へのサービス調整に対する協力要請。が一連の流れとして考えられるが、この行程において、自治体関係者、相談支援専門員等の調整機能とサービス提供者そして何よりも本人の意志の確認を利用後のモニタリングまでを含めて、どのように組み入れて整理するかの議論が必要。その後に自治体担当者のソーシャルワーク機能という切り取られた問題が見えてくると考える。

○ 理由

 我が国においてソーシャル機能が未熟なため。

【中西委員】

○ 結論

 日本のソーシャルワーカーはいないといわれている。これは施設実習のみを学習単位として地域ケアの研修ができないシステムを作っているからである。ソーシャルワーカーの研修の中で障害者支援の時間を充分とるべきであり、地域生活の支援の実習を組み込まなければ、今後必要とされるソーシャルワーカーは生まれてこない。現状の市のソーシャルワーカーは少なくとも医療機関の専門家とは異なり、現場での障害者の生活実態を見ているので、それほど誤った判断をすることはないといえるが、他の部局から配置されて2,3年しかその職にとどまらない現状の行政機関はシステムを専門職化する必要があることと、新任者については地域の相談支援機関や介護派遣事業所での研修、ピア・カウンセラーやピアサポーターからの障害についての研修と自立生活の理念を伝える研修を義務付けるべきである。

○ 理由

 現在の自治体のソーシャルワーカーは市の支給決定基準表に沿って支給決定を行っており、ニーズを判定した支給決定を行えていない。この現状を改めるためには個別のニーズに対応できる、専門化したソーシャルワーカーが必要となっている。現状では自立生活センターの職員が協議調整を行い、このような新任のソーシャルワーカーの研修を行っている。

【奈良崎委員】

○ 結論

 ケースワーカーは一ヶ月本人たちに会い、話を聞く。

○ 理由

 本人たちがケースワーカーの人を知らない人が多いから

【西滝委員】

○ 結論

 専門性を高めるための諸取り組みが求められる。困難ケースに立ち向かう強じんな精神力を身につけていただきたい。また、必要な数のケースワーカーを配置されたい。

○ 理由

 人員削減で市役所から相談支援事業所へのケースのまる投げが最近目立つ。公務労働の重要な役割を再認識し必要な職員配置に努められたい。

【東川委員】

○ 結論

 そもそも、自治体担当者がソーシャルワーカーではないことが大きな問題である。障害者のニーズや生活実態を的確に把握し、必要な支援についての判断ができるソーシャルワーカーに裁量権をゆだねるべきである。また、現行制度では、支給決定とサービス計画策定(ケアマネジメント)が2 段階・3 段階で実施されるが、ニーズ評価と支給決定は一体のものとして進めるべきである。

○ 理由

 上記のようなソーシャルワーカーが支援の中核とならなければ、障害者の自己決定に基づく地域生活は、いつまでも実現できないままになってしまう。

【平野委員】

○ 結論

  • サービスを必要としながら必要性を認識していなかったり、あきらめているような潜在的利用者の「掘り起こし」機能
  • 家族の無理解や虐待等、介入的アプローチを必要とする障害者への支援
  • サービス利用に当たっての苦情解決におけるアドヴォカシー機能
  • 地域自立支援協議会を通じての福祉組織化(福祉ネットワークの形成と促進)
  • 民生委員、身体障害者相談員、知的障害者相談員などの地域における福祉資源との連携と調整
  • 地域における障害者のニーズの把握(社会調査機能)

○ 理由

 上記の通り。

【福井委員】

○ 結論

 今後の障害者福祉サービスの決定と支給にあたって、制度の運営者である自治体担当者のソーシャルワーク機能強化、専門性を高めることは、最優先にすべき課題であり、教育、研修事業の拡充、そのための財政措置は欠かせない。地域間格差がなくなるようにすべきである。

○ 理由

 これまでの障害程度区分や手帳制度などによる事務的、機械的なサービス提供からは、障害者の個別ニーズは見えてこない。自治体の専門職をもって意識的に育っていく仕組みづくりが求められている。

【藤岡委員】

○ 結論

 地域包括センター、民間活用も含めて体制構築すること、障害者の自己決定に基づく生活と人権を保障するための支給決定という意義を正しく理解するための研修等の充実が必要である。

○ 理由

 未だに行政の「上から目線」に対する苦情の相談を弁護士として日常的に受けている。行政のケースワーカーの絶対数が不足している。

【増田委員】

○ 結論

 自治体担当者が障害のある人の実態を把握し,支援の必要性を把握するためのソーシャルワーク機能は必要である.そのためにはソーシャルワーカーの採用を進めていく.小規模自治体などですぐには採用が難しい場合には,障害者生活支援センターなどのソーシャルワーカーとの連携で進める.

【三浦委員】

○ 結論

 福祉専門職の配置とともに、研修制度の充実が不可欠である。

○ 理由

 自治体の中に、独立したセクションや福祉職的な位置づけがあって継続した研修等も受けられるならば、機能出来る可能性が高まると考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 現状では、財源との関係で障害福祉サービスの支給決定を制限したり、低くする自治体もある。これではソーシャルワーク機能以前の問題である。

○ 理由

 財源的規制を少なくして、国庫負担基準の考えを柔軟にし、より自治体担当者が本来業務ができるようにする必要がある。

【森委員】

○ 結論

 福祉領域の専門的知識と技術を有する職員の採用とともに、障害体験をもつ職員の採用と活用並びに職員に対する適切な研修を行うべきである。また、地域の障害当事者団体との連携を図りながら、自治体担当者のソーシャルワーク機能の強化を図るべきである。
 地域自立支援協議会をもとに民間の事業所との連携の充実を行うこともソーシャルワーク機能を強化するために必要と考えられる。

○ 理由

 市町村の現状考えると専門的知識と技術を有している職員は極めて少ない現状があり、そのための職員に対する負担もきわめて大きい。

【山本委員】

○ 結論

 自治体担当者のソーシャルワーク機能の強化より行政からもサービス機関からも独立したアドボケイトの強化が重要

○ 理由

 支給決定権限を仮に自治体に持たせるとすれば、支給決定権限とソーシャルワークは両立し得ない

論点C-3-4) 推進会議でも、不服審査機関の重要性が指摘されているが、どのような不服 審査やアドボカシーの仕組みが必要と考えられるか?

【伊澤委員】

○ 結論

 (観点は)ひとつの要素として、支援事業に対して第三者評価が入る仕組みの徹底をはかる。

○ 理由

 福祉制度活用においてもインフォームドコンセントの確立は大きな課題。支援の内容公開により、支援の選択権保障を徹底していく。

【石橋委員】

○ 結論

 本人や家族の意見を直接に聴く場を設ける。
 申請の壁が高ければ、実際には申請できない。この方面での支援体制が必要。
 新たな親の支援を含めた後見制度の構築。

○ 理由

 高齢者とくに痴呆を対象とした成年後見制度は、肢体不自由児者には、投票権を含めて不備がある。

【氏田委員】

○ 結論

 障がいのある人の訴えをしっかりと聴き、その事案において、調査、アセスメントができる権限を持った、権利擁護機関を都道府県(センター的機能)及び保健福祉圏域(実働機能)ごとに作る必要がある。また地域自立支援協議会、相談支援事業者との強力な連携も法律で規定する必要がある。
 本機関は、総合福祉法、障害者差別禁止法、障害者虐待防止法等との関係も明確化するべきである。

○ 理由

 不服審査およびアドボカシーに関しては、既存の社会福祉法における苦情解決制度や第三者委員、運営適正化委員会などが機能しているとはいいがたい、厳密には第三者性や権限が曖昧であり、アドボカシー機能を果たしているとはいえない。また横浜市や中野区などの苦情調整委員会も一定の効果はあるが、行政内部に位置づけられている関係からもアクセスビリティーが確保されていない。さらにNP0 等の福祉オンブズマン組織も格差がある。その意味からも保健福祉圏域にアクセスしやすいまた相談支援事業所などと連携がとれ、障害者権利条約を基盤として、条約及び障害者関係の法律に規定されている権利の擁護を推進、代弁していく第三者の機関の創設が必要である。

補足:スウェーデンでは、子どもオンブズマン、障害者オンブズマンが存在する。これは当事者から相談に応じるのはもちろん、子どもの権利条約、障害者の機会均等、障害者権利条約がしっかり浸透しているかをチェックし、履行違反に対しては介入できる権限を持っているオンブズマンであり、権利を侵害されやすい方々には、必要であ る。

【大久保委員】

○ 結論

 現行の不服審査システムは見直し、実質的に支給決定内容について審査できる仕組みとする必要があると考える。ただし、仮に支給決定権限を外部機関のようなものに任せた場合は、市町村からの不服申し立ても可能な仕組みとする必要がある。

○ 理由

 どのような支給決定システムであろうとパターン化し、本来の目的が損なわれる可能性があり、それらを正すため、不服申し立ての仕組みは重要と考える。これは、公正・公平性の担保でもあると考える。

【大濱委員】

○ 結論

 都道府県不服審査会で形式のみを審査するのではなく、法律上「自立した生活ができるような支給決定を行う義務」が市町村にあることを鑑み、実際にその支給量で自立生活ができるのか、時間数が足りているかどうかを審査し、具体的なサービス量の勧告をできる機能を持たせる。この場合の審査機関は、都道府県等から独立した第三者機関とし、市町村等への勧告権を持たせ、過半数を障害当事者による組織とすべき。また、都道府県審査会の判断に利用者が不服の場合は、国の不服審査会に申し立てる仕組みにする。

○ 理由

 現在は形式のみ審査する形式審査であり、事実上機能していない。また、県が市の決定を取り消しても、市が月に30 分だけ支給量を増やした決定を出すだけの例もある。精神障害者・知的障害者の権利擁護も含め過半数の当事者による構成が不可欠。

【小澤委員】

○ 結論

  • 前述の、総合相談支援センターの中立性が、完全に、たんぽできれば、このセンターで、苦情対応から不服申し立ての手続きを受けつけ、そこから、都道府県の窓口につなげていく仕組みが必要。

○ 理由

  • 直接、都道府県の窓口に、提起することは、一般的にかなり、ハードルの高い感じがするので、より身近な機関での対応が必要。

【小野委員】

○ 結論

 不服審査請求権とともに、差別禁止法による権利委員会の設置が求められる。

○ 理由

 自立支援法では、補完的な機能を自立支援協議会に期待しているが、現実的ではない。自立支援協議会の有する「調整・提言・報告」機能では問題解決にいたらないため。

【柏女委員】

○ 結論

 障害児関係施設、指定医療機関等における「被措置児童等虐待」の対象に、当該施設や指定医療機関入所中の成人を含めることについて検討すべきである。

○ 理由

 自らの意思を表明する力の弱い成人も対象とすべきである。

【門屋委員】

○ 結論

 重層的な構造にすべきと考えます。市町村ないし広域連合による圏域に本人のもっとも身近な不服審査機関があるべきです。その上部組織として国にいたるまで3ないし4つの段階の機関があるとよろしいかと思います。
 法的代理機能(成年後見など)に至らない障がい者に対して希望するものに権利擁護者をつけることは必要です。相談支援専門員との間に立つことや、行政との間、支援事業者や家族との間にたつことのできる擁護者が必要。

○ 理由

 相談体制、サービス利用過程においてすべての障がい者が満足できる関係を継続できるとは限りません。コミュニケーションの困難さ、多様な利害関係、本音が語れないことなどを支援することが、問題、誤解を少なくします。

【齋藤委員】

○ 結論

 市町村の行なう支給決定に対する不服申立てを審査する機関は必要である。都道府県にそれを設けるとしても行政機関がそれを担うのではなく、都道府県が委託するものとは当然障害のある人が過半数を占める構成とすべきである。障害者基本法が定める新たな機関と連動させることも考えられる。

【清水委員】

○ 結論

 権利擁護支援の機能展開の中で捉える。(一人ひとりを大切にするという所からはずれないように仕組みをつくっていく。)

○ 理由

 権利擁護支援は、相談支援であり、エンパワーメント支援でもある。本人の存在の価値の自覚のようなものがベースにあって、このような仕組みが稼働するものと考えていきたい。

【竹端委員】

○ 結論

 都道府県レベルに一つ、不服審査機関が必要だ。この不服審査機関はあくまでも、決められた支きゅう決ていに納得できない人のための機関である(事後救済機関)。それ以外のアドボカシーの機関は、別に作った方がよい。

○ 理由

 権利をまもるためのしくみは、いくつかにわかれる。支きゅう決ていに納とくできない人の権利をまもるためには、不服審査機関が必ようだ。だが、それいがいにも、たとえば病院や施せつ、グループホームなどでのぎゃくたいや権利しんがいの相だんの場が必ようだ。また、入院・入所している人の権利をまもるため、病院や施設をおとずれて、そこにいる人の相だんに応じるオンブズマンのような仕くみも必要だ。アメリカでは、不服審査以外の様々な権利をまもる役わりを、一つの公的権利ようご機かん(Protection and Advocacy: P&A)でおこなっている。これは国の法でぎむとお金がつけられ、州ごとにつくられた、行政からどくりつした機かんだ。このような機かんを日本でもつくる必ようがある。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 不服審査機関は、その半数を障害者が占める構成をとり、不服が申し立てられた事案について、事実関係の調査、是正勧告(場合によっては命令)、公表等の権限を持つ必要がある。そして、国内人権委員会が設置された場合には、その委員会の中に障害者部門を設け、総合福祉法及び差別禁止法の諸規定に反する可能性がある事案について不服を受付、審査するようにすべきである。

○ 理由

 障害者に対する各種の支援は、障害者の基本的人権の行使にとって必要な支援として位置づけられるべきであるから、その支援が不当に制限されることは、人権侵害の可能性がある。従って、支援制限によって侵害される人権の性質をも十分考慮した上で、支援制限状態が速やかに解消される必要がある。そして、このような支援制限事案の不当性を判断するためには、障害当事者の視点からの判断が不可欠である。

【田中(正)委員】

○ 結論

 不服審査は、どの時点での不服であるかによって対応方法が異なると考える。そのため、ソーシャルワークで提案した一連の流れの中で、どのような不服がどの仕組みの対応によって生じるかを整理し検討する必要がある。
 アドボカシーは、暮らし全般においても機能が必要であると思われるので、不服審査とは別な視点での整理検討が必要である。
 それぞれが課題が検討、整理された上で、不服審査とアドボカシーの仕組みの構築の仕方について検討する。

○ 理由

 行政においては措置の仕組みが長かったので、利用者にとっての不服が何かが判然としていないのでは無いかと思われる。

【中西委員】

○ 結論

 施設から地域に移行し居宅内での人権侵害やサービス利用の拒否など問題が内在化される傾向があるので、契約制度の中では権利擁護機関は必ず配置しなければ問題が起こることは最初からわかっていたにもかかわらずその配置を国は怠ってきた。また不服審査会については市町村を管理するのは国の役割ではないという地方分権の理念から市町村のサービス低下を見過ごしてきた。このような重大な誤りを二度と起こさないために、総合福祉法では権利擁護機関の義務づけと現行の不服審査会の市の支給決定基準の範囲内であれば適切という規定を削除して、不服審査会を機能するように早急に改める必要がある。

○ 理由

 不服審査機関が機能していない現状を改め、当事者のニーズが満たされるような支給決定が行われる権利擁護の機関として機能する機関としなければならない。それとは別に差別禁止法で権利擁護機関を各自治体に配置して第3 者機関として行政の支給決定やサービスの低下を防ぐような装置を構築する必要がある。

【奈良崎委員】

○ 結論

 自己決定でやれば、でないと思う。

○ 理由

 本人のピアカウンセラーが大切

【西滝委員】

○ 結論

 本人の意思を相談支援事業所などが代行して行われるシステムも必要

○ 理由

 障害者の権利を擁護する機関が障害者の身近な所に存在しないと権利が保障されない。

【東川委員】

○ 結論

 障害当事者が中核に位置づけられた、改善命令や助言などのできる力のある審査機関や、新しい権利をまもる仕組みが必要である。

○ 理由

 現行の不服審査のシステムや、福祉サービスの質の向上をめざす苦情解決システム、第三者サービス評価などが、形だけで中身が伴わないと言わざるをえない。こうした現状をうちやぶるためにも、当事者中心の本当に効きめのある権利をまもるしくみが求められる。

【平野委員】

○ 結論

 自立支援法では、市町村の行政決定についての不服申し立てが規定されている。これは継続する必要があるが下記の点での改善が望まれる。

  • 一般的な行政救済システムとなっており、知的障害者や精神障害者などの場合には、相談や提訴の支援も含めた総合的な援助が必要である。
  • 手続きが煩雑であり、実際に手続きすると事務的な負担が大きい。
  • 不服申し立ての対象は行政決定に限定されており、実際にサービスが利用出来ない

 といった現実などは対象外となっている。

 以上の点を踏まえた仕組み作りが必要と思われる。

○ 理由

 上記の通り。

【福井委員】

○ 結論

 諸施策の実施状況の監視をはじめとした、不服審査機関の重要性は論をまたないとこ ろである。推進会議が指摘しているように、いわゆるモニタリング機関として、法的な 位置づけが検討されるべきである。

○ 理由

 今回の新たな制度設計は、まさにわが国の障害者施策にとって、画期的な変革をもたらすものになるであろう。その目的にそった継続的な実施を保障するために、的確な検証は欠かせないものである。

【藤岡委員】

○ 結論 ①

 障害者自立支援法が導入した不服審査前置主義(法105条)は廃止。

○ 理由 ①

 支援費時代は訴訟と不服審査の選択が可能であったが、障害者自立支援法は不服審査強制主義を採ったため、裁判による救済が障害者にとって果てしなく遠くなった。

○ 結論 ②

 独立性が確保される不服審査機関へ根本変革。
 公正取引委員会なみの中央機関としての独立行政委員会と、その支部。

○ 理由 ②

 障害者自立支援法においては、98条で任意機関として「障害者介護給付費等不服審査会」があり、委員は県知事が任命している。
 現実には、事務局のペーパーを追認する機関として形骸化している。
 審査請求の代理を行なってきた弁護士の実感としては
不服審査と審査会は障害者の権利行使を妨害し、断念させる役割しか果たしていない。
 上記のような形態にして、都道府県の権限も及ばない機関にしないと意味がない。
 また、支給決定のナショナルミニマム保障を客観的に保障するためにこのような仕組みを作ることは、自治体にとってもメリットがある。

○ 結論 ③

 不服申立の場合の代理人支援制度の構築

○ 理由 ③

 法テラスで行政不服審査の代理業務は原則として援助対象外。
 税金で業務を行う専門行政官と障害者が対等に不服審査で戦えるべくもなく、審査請求事務局にはハナから行政を勝たせようとする姿勢しかない。
 不服審査制度があるとしたら、新法において、障害者が弁護士からの支援を受けられるよう、代理支援制度を構築。

【増田委員】

○ 結論

 不服審査機関は障害のある人の権利をまもるための第三者機関として設置していく.その上で利用しやすい仕組みとする.申立があった場合には,その担当者がすぐに出向いて実態を把握し,改善できる仕組みとする.

○ 理由

 形式的な機関ではなく,障害のある人の権利を守るために実効性のある機関でなければならない.

【三浦委員】

○ 結論

 簡易な手続きで、身近な機関に申請できること。また、双方の主張が明らかになるよう、審査の公開と決定の透明化を図る。

【光増委員】

○ 結論

 不服審査請求を簡素化し、わかりやすくする必要がある。都道府県に上げる前の市町村での協議機関の設置も必要でないか

○ 理由

 不服審査請求は時間がかかる。より身近な市町村レベルで解決する方向も必要。

【森委員】

○ 結論

 都道府県レベルで、障害当事者の参画のもとに関係する専門職をもとにした、中立な不服審査機関の設置が重要である。
 また、自立支援には、自己決定、自己選択が必須であることを考えると、それらに困難を感じる障害特性を有する障害者に対するアドボカシーの仕組みは必要とされるところであるが、本人主体性を担保してアドボカシーの仕組みを整備するための十分な検討も必要である。

○ 理由

 障害者の権利・利益を保護する観点から考えれば、制度・機関の強化が急務であると考える。

【山本委員】

○ 結論

 迅速かつ行政から独立した不服審査機関が必要
 まだそこに訴えるためのアドボケイトも必要

○ 理由

 現状の不服申し立ては何年もかかる例がありまったく実効性がなく、独立性も担保されていない。
 また不服を申し立てることが困難な人も多いので支援としてアドボケイトが必須

<項目C-4 その他>

論点C-4-1) 「分野C 「選択と決定」(支給決定)」についてのその他の論点及び意見

【大濱委員】

○ 結論

 自立支援法の改正が先の国会で提案され、市町村が指定する特別相談支援事業所が利用計画を作り、それを基に市町村が支給決定案を作るという官僚の発案による改正が盛り込まれた。特別相談支援事業所は市町村が指定するべきではない。都道府県が指定すべき。

○ 理由

 支給抑制を行う市町村がその市町村の方針にそった特別相談支援事業者を選び、その相談支援事業所が作る介護計画にそって支給決定するという問題が起きる

【大濱委員】

○ 結論

 実際に地域移行などを活発に行っている当事者団体の障害者スタッフが相談支援員の資格を得られるように。
 24 時間介護や人工呼吸器利用者など近くに相談支援できるノウハウを持つ団体がない場合は、障害者団体の全国団体や先進地域の団体が遠方の都道府県まで相談支援する方法も必要。
 また、このようなノウハウのある全国団体等からの密度の濃いサポートを受けている現地の障害者団体ならば、5 年の経験がなくとも相談支援の指定を与えるべき。

○ 理由

 現行の相談支援員の資格要件では、実際に地域移行などを5 年以上活発に行っている当事者団体の障害者スタッフが資格を受けられない。また、全国団体からの団体サポートが密にある場合は5 年未満の障害者団体であっても、ALSの自立支援など高度な支援が行われている実績がある。またこれらいずれの団体でない場合でも、東京の団体が北海道や九州の重度の障害者の相談支援を行って地域移行が行われている実績がある。

【小野委員】

○ 結論

 必要度を測るスケールの開発、選択と決定の支援の手法と技術の開発、資源・支援の量的は整備

○ 理由

 現行の障害程度区分認定と審査会、支給決定プロセスを前提としてはならない。

【奈良崎委員】

○ 結論

 自己決定

○ 理由

 そのために必要なサービス情報提供

【福井委員】

○ 結論

 支給決定については、何よりも実態に即した対応が望まれるところであり、本部会の 進めている実態調査が、まさにこの生きた裏付けとなるような結果が期待されるところ である。

○ 理由

 これまでの施策の欠陥として、常に実態の把握の不十分さが指摘されてきているので、 今回はそうしたそしりを受けないよう、事前にその調査方法の確認と、各委員からの意 見を十分に聴取することが望まれる。

【三浦委員】

○ 結論

 地域生活支援事業の中で、個人の権利として条約に明示されているものは義務的経費 である個別給付へ位置づけ支給決定を行うべき。

【光増委員】

○ 結論

 「選択と決定」を保障するためには、わかりやすい制度、わかりやすい情報提供が必要。

○ 理由

 法律案もわかりやすく作るべき。法案の文章は難解である。わかりやすく作り、さらにやさしいバーションも作成するように今から論議する必要がある。

【森委員】

○ 結論

 地域格差を防ぐためには、地域における格差の是正とともに、事例や選択すべきサービスメニューの実際やその創生に関する情報などを収集、加工、発信する機能が必要である。これらをもとに地域格差が生じないように障害当事者、支援者、行政担当者がそれぞれの地域の特性に応じた充実した支援を図る必要がある。

○ 理由

 「選択と決定」(支給決定)」について地域格差が生じる可能性がある。