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総合福祉部会 第6回
H22.8.31 資料1―1

「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見
(分野D 支援(サービス)体系) その1

(分野D 支援(サービス)体系)
<項目D-1 支援(サービス)体系のあり方について>

論点D-1-1) これまで支援の狭間にいた人たち(例えば発達障害、高次脳機能障害、難病、軽度知的障害など)に必要な福祉サービスとはどのようなものであるか?・・・2

論点D-1-2) 現行の介護給付、訓練等給付と地域生活支援事業という区分についてどう考えるか?総合福祉法での支援体系のあり方についてどう考えるか?障害者の生活構造やニードに基づいた支援体系はどうあるべきと考えるか? ・・・16

論点D-1-3) 現行の訓練等給付についてどう考えるか?労働分野での見直しとの関係で、就労移行支援、就労継続支援等のあり方をどう考えるか?また、自立訓練(機能訓練・生活訓練)のあり方についてどう考えるか? ・・・32

論点D-1-4) 生活介護、療養介護も含めた日中活動系支援体系の在り方をどうするか?・・・46

(分野D 支援(サービス)体系)
<項目D-1 支援(サービス)体系のあり方について>

論点D-1-1) これまで支援の狭間にいた人たち(例えば発達障害、高次脳機能障害、難病、軽度知的障害など)に必要な福祉サービスとはどのようなものであるか?

【朝比奈委員】
○結論
まずは、その人の生活のしづらさがどの点にあって、どのような支援が必要かを明確 にし、本人と共有すること。これには、相談支援事業に関わる者と、医師、臨床心理士、 PT・OT・STなどとの連携が必要。当事者の体験談なども極めて有効。必要な支援 としては、就労支援、家事支援、健康管理の支援、金銭管理の支援、人間関係の調整、 手続き支援などが考えられる。そのための福祉サービスとしては、ホームヘルプ、ガイ ドヘルプに加え、現行の地域活動支援センターのような「場」を設定し、立ち寄って困 りごとを相談したり、セルフヘルプ活動をサポートしたりすることが有効。

○理由
発達障害や高次脳機能障害、軽度知的障害などの人たちの生活のしづらさは、本人に 自覚がなく周囲にわかりにくいという点がより大きい。そのため、地域生活のなかでさ まざまなトラブルに巻き込まれたり、必要な手続きができずに不利益を被ったりするこ とも多いが、一方で生活によって体験的に学んできていることも多く、生活のしづらさ には個人差がある。

【伊澤委員】
○結論
当該当事者からの十分なヒアリングならびに要望受理により得た情報に基づく施策 への反映が必要

○理由
一元化のもとにないがしろにしてきた障害の特性に応じた細やかな支援サービスの 開発や対応の在り方は、総合福祉法の基本姿勢だと思う。一元化ではなく平等化 (特性 踏まえ、対応は個別性重視)の必要を想う。例えば、移動支援と言っても、一人一人必 要な支援が違う。(身体的に関わってもらう方も有れば、側に居て一緒に動いてくれる 存在も必要)

【石橋委員】
○結論
福祉と医療、生活保障などを総合的サービス体制が必要。 医療リハビリから社会復帰に向けての相談体制と福祉施設におけるリハビリおよび移 動支援。
社会での対人関係に関する課題をサポートできるケアマネージャーやジョブコーチな どの選任も不可欠である。

○理由
省庁間の縦割り行政(制度)による歪みが支援の狭間を作った一因でもある。個人 の不便さや支援の必要性に立脚した制度でなければならない。 また、狭間の人たちの年齢は、20から60代で現状の受入れと認識が家族を含め て時間がかかり、社会参加に遅れる。身体障害者の歩行弱者と異なる支援がないと社会 参加しにくい。

【氏田委員】
○結論
ノーマリゼーションの理念を損なうことのないように、社会で生きていくのに困難を 抱える人たちに対して、年金受給も含めて三障害に使えるサービスは保障すべきである。 その人の固有のニーズに応じるためには専門家によるアセスメント評価が必要であ り、身近な場所での専門的相談支援や就労前支援なども有効です。手帳のあり方を見直 す必要がある。菅政権が提案している「パーソナル・サポート・サービス (生活全般に わたって、全人格的に関わる支援者)」という考え方に賛成である。支援の狭間にいた 人たちは「(知的障害や身体障害がないがために)困難さ(障害)を抱えていることが 理解されない」という点が最も大きな困難さであったので、そこを通訳できる人材、ジ ョブコーチに倣って「地域生活コーチ」といったような人材育成が必要ではないか。ま た同時に、本人が地域生活をしていく上で困ることの具体的な解決策を本人に合わせて 伝えていくような人材が必要である。以上のことから考えると、「地域生活移行支援事 業」といった感じで、施設や病院や長年ひきこもっていた自宅から地域生活への中間施 設を準備し、そこを拠点に地域生活への移行練習を提供するような福祉サービスが必要 である。また、訓練して移していくということではなく、その人に必要な支援(発達障 害については精神障害分野で活発になっているATC のようなサービス)を提供すること で地域移行が可能となると考える。

○理由
就労に関しては、就労・生活支援事業が地域移行の中間サポートを担っているが、地 域生活への移行の難度の高い人たちが多くいる。この人たちを支えるサービスがない。 また二次障害から精神科に入院してある程度寛解した状況であっても、地域生活には 遠い人たちがいる。この人たちは自宅で支援するには難度が高すぎ、さりとて病院に継 続入院することにはならない。現行制度では、訓練等給付の「自立訓練(生活訓練)」 がそれにあたると思われるが、知的障害者・精神障害者が対象となっているため、発達 障害に特化した制度設計が今後必要であり、事業を支えられる専門的人材が必要である。 地域生活支援事業の社会生活力を高めるための支援(自立生活プログラム)などもそれ にあたるのかもしれないが、発達障害や高次脳機能障害の人たちに関しては高い専門性 を必要とするため、実際には発達障害の人たちを対象とした自立生活プログラムは地域 生活支援事業では展開が難しい現状があるのではないか。

【大久保委員】
○結論
発達障害や軽度知的障害などのある人たちについては、特に、暮らし方全体をサポー トできる相談支援体制(訪問相談等)が望まれる。この場合、家族との同居が多いと想 定されることも踏まえ、家族支援の視点も重要と考える。その他、就労支援やソーシャ ルスキルトレーニングなども有効なサービスと考えられる。なお、それらに対応できる 専門性を有した人材の養成と確保が急がれる。

○理由
これまで福祉サービスの外にいた発達障害や軽度知的障害のある人たちには、暮ら しの中で様々な困難や課題に直面している人がいると想定される(例えば、触法、ホー ムレス、ひきこもりなど)。これらの人たちは、適切な支援がなされないまま孤立し、 その状態が固定化したり、さらに悪化するなどが想定される。

【小澤委員】
○結論

  • (知的障害をともなわない)発達障害および軽度知的障害では、教育および就労の場 における、いじめ、排除、偏見の解消をめざした教育支援および就労支援。
  • 痛みなどによる生活の支障のともなう難病では、介護サービス。

○理由

  • 実態調査などによって、把握が必要。思いつきで記載することは困難。
  • 福祉サービスの定義にもよるが、福祉サービスだけでなく、周辺の人の理解があれば、 対応できる問題も多いのではないか。

【小野委員】
○結論
それぞれの障害の特性とそれにもとづく社会生活上の困難への支援に重点をおいた 福祉サービスを拡充する。

○理由
上記の障害の特性は、さまざまなである。発達障害は障害の程度によって困難の度 合いが異なり、高次脳機能障害も記憶や意識障害に伴う症状はさまざまであり、難病は 進行性のものも含まれている。それゆえに、障害の特性とそれに伴う社会生活上の困難 は、個別性を特徴とするため、それらに応じた社会的支援体制が必要である。

【門屋委員】
○結論
最低でも現在自立支援法等で提供している福祉サービスが必要。
基本は相談支援の対象として支援を始めることです。特に軽度の知的障害者や高次 脳、難病の方には障害受容や福祉への抵抗感のある人の問題や、自分でいろいろ考え 行動できることなどから、相談支援というサービスによって、本人の力を引き出し、 困っていることに寄り添いながら時間をかけて解決していく支援が必要です。当然、 具体的な制度利用 (福祉サービス/現行の自立支援法と社会保障制度全般等)と制度 があっても利用ができない、資源が具体的に無いとすればインフォーマル資源サービ スを探して提供すること。資源開発に取り組むことです。障害特性からサービス内容 は医療サービスとの連携が多くなる分野であり多岐に渡るため、障害者ケアマネジメ ントの対象として支援すべき人も多く感じられます。

○理由
安心な地域生活支援の継続が必要で、福祉サービスだけではなく医療・労働などと の連携支援が福祉的サービスとして重要です。連携の要として障害者ケアマネジャー が本人のニーズを満たすために必要な福祉サービスがどのようなものであるべきかを 検討し結び付け、無ければ開発を考えなければならない領域と考えます。具体的に多 様な福祉サービスとともに平行継続して必要な支援として相談支援の人材確保が必要 です。

【川崎(洋)委員】
○結論
身体的介護支援だけでなく、学習、コミュニケーション、医療、就労など個人のニー ズに添ったサービス連携支援の体制。

○理由
谷間のないサービス提供には、個別的なサービスの提供が必要。ケアマネジメントを 制度化し、人材育成も必要。

【北浦委員】
○結論
支援の狭間を生じないようにするためには、障害種別に関係なく支援が行われる制度 とする必要があるとともに、障害特性に適合する必要な支援の内容は何かを精査、理解 し、サービス体系を組立てること。

○理由
どのような障害を持った人たちでも、必要とするサービスを受けることが出来るよう なシステムが用意されなければ、狭間はなくならないからである。

【君塚委員】
○結論
レスパイトとしての短期入所、専門家による訪問支援 (家庭・保育園・学校)、ペア レントトレーニングや各障害に関する講演会などの啓蒙的な支援

○理由
家族支援の柱として基本となるものと、新たなニードの開発に応じた福祉サポートを 構築してゆくことが望まれる。

【近藤委員】
○結論
既存の福祉サービスの利用を可能とするとともに、障害特性に応じて必要なサービス を検証し、創設することも求められる。例えば、相談支援のより一層の強化やコミュニ ケーション支援、見守り支援等が考えられる。

○理由 これまで、福祉サービスを利用できずにいた人びとのニーズをまず、把握することが 重要である。

【齋藤委員】
○結論
狭間にいた人たちだけに必要なサービスという考え方ではなく、普通に社会生活を送 るにあたって、社会的に不利益をこうむっている部分をなくする社会的サービスを普遍 的に提供することを考えていくべきである。

【佐野委員】
○結論
総合福祉法における聴覚障害者の定義や範囲を、障害者権利条約に基づいて、国際的 基準に基づいて定め、谷間の障害である中等度難聴以上の方々が福祉のサービス対象か ら排除されないサービス体系を構築するべきです。
障害受容、個人の尊厳や自立、自律によるサービスを受けるための自己決定や自己選 択が可能となるコミュニケーション等訓練事業のサービスが必要です。

○理由
難聴者は聴力程度による生活上の困難さ、不便さに大きな差異はありません。高度難 聴以上の障害認定基準は国際基準とはかけ離れた、難聴者の生活実感、実態と大きくか け離れたものとなっている。これが身体障害者福祉法施行から現在まで継続されている ことは、難聴者の福祉を永い間、停滞させていた大きな原因である。難聴当事者は、自 らの障害を受け入れることもできず、社会からも援護、支援も受けられないことで、自 立や自律を妨げられてきた。

【清水委員】
○結論
実対応型相談支援の拡大充実(支援中の支援としての相談支援)とパーソナルな支援 と接合させた支援。

○理由
相談支援、関係調整、エンパワーメント支援、権利擁護支援との連続性に基づいたパ ーソナル支援が必要。その人の生きづらさを受けとめ、その人のことを思ってその時々 に応じてその人らしく生きていくことを応援していける仕組みが必要。

【竹端委員】
○結論
まいにちのくらしの支え(生活の支援)と、「○○したい」をかなえるための支え(社 会参加の支援)

○理由
○○障がいだから、この支えはいる・いらない、と決められない。上の二つの支えは、 どんな障がいの人であっても共つうする、福祉にもとめられている支えである。

【田中(伸)委員】
○結論
自ら意思決定することについて障害がある場合には、意思決定補助等の支援を行う必 要があり、また、継続的な相談支援を行って、本人の意思やニーズを確認し、必要があ れば支援計画を変更していくことが重要になる。なお、具体的に必要な支援については、 十分に障害当事者、家族等の意見を聞き取る必要がある。

○理由
障害者が個人として尊重されるためには、障害者個人の意思が尊重されなければなら ない。そのためには、障害特性を理解した相談支援員が、十分に障害者本人の意思を確 認する必要がある。そして、この意思決定の前提としては、複数の選択肢が用意される 必要がある。

【田中(正)委員】
○結論
支援の狭間にいる人が困ったときに適切な支援に結びつけられるよう「相談支援」「ピ アサポート」などにより、社会から阻害されることく在宅支援を得て生活基盤を確保す ること。基本となる、個別支援計画の活用が重要。「地域」に年齢に関わらず何でも相 談ができる情報提供・相談支援センターがあり、地域で生活を始める際に課題を持つ本 人とその家族の暮らしの始まりに必要な支援を整える。障害のある人の人生の課題(社 会参加の場、暮らしの場の確保がされ、余暇が得られるためのケアサポーターを持つこ となど)を踏まえたサービス環境につなげる支援の始まりとして位置づける。

○理由
支援の狭間にいる人たち(だけでは無いが…)の問題は、活き活き生活している人と、 そうでない人の差が大きいことにある。支援が必要となる入り口で、窓口対応でよくわ かってない担当者に門前払いにされ、そのまま時間が止まる人。特に本人の日常の要と なる者が、家族の場合、多くの方が、すべての時間を介護に当てざるを得ず、自分のた めの時間を持つことがまったくできなくなり、余裕が無くなっている。また病気や介護 の疲れで動けなくなりサービスの手続きや交渉に出向けない場合があり、第三者による 支援を原則として整える事は急務である。

【中西委員】
○結論
その日にニーズがあればその日にサービスが使えるしくみを構築する必要がある。ニ ーズに基づくサービス支給をすべきである

○理由
従来のメディカルモデルにのる判定ではサービス対象者とみられない障害者、難病な ど状態よっては良くなったり悪くなったりするのが本来の状況なので、従来の6 ヶ月障 害が固定しているのという判定基準としては全く使えない。その日にニーズがあればそ の日にサービスが必要である。高次機能障害においても医療的なデータとして脳障害が 認定されなくても現実の生活で頭痛がするといった理由でサービスを必要とすること がある。

【中原委員】
○結論
障害当事者主体のサービスとなるよう、生活実態や自立・社会参加の視点に基づいた サービスが必要である。そのためには、ニーズ調査を行う必要がある。

○理由
介護を重視したサービスに特化することなく、ケアマネジメントを前提とした個々人 の障害特性に応じたサービス体系とする必要がある。

【西滝委員】
○結論
障害者の範囲を包括規定にすることにより、支援の狭間の障害者の福祉制度利用を可 能にすべきである。また、高次脳機能障害者の記憶訓練・認知リハビリテーション・デ イケアなど、狭間にいた人たちに新たに必要な事業を整備するべきである。
各障害者に必要な福祉サ-ビス (社会資源)を整備する道筋をつくれるよう検討する 必要がある。
ろう重複障害者など、重複障害者についても、単に障害の組み合わせではなく、重複 することで特別なニーズを持つことを十分に配慮する必要がある。

【野原委員】
○結論
難病については…さまざま実態への対応が求められる。

1.福祉・医療・介護など既存の諸制度(新も含め)の啓発・利活用・相談・調整・支 援機関の設置…医療との関わりなどで一般的に理解されていない一部事例を次にあ げてみる。

(1)進行の早い難病は、現状の福祉・医療制度ではそのテンポに支援が追い付かな い事例が多くある。
(2)医師の診断書が患者の実態とかけ離れて表記される場合がかなりある。
(3)「難病」と診断された直後(数ヶ月~2 年くらい)は、既存の制度が分からず に諸制度の利用が困難になる事例が多い。同じ状況でありながら、入院期間中、 身障・介護などの他の制度利用について、当事者が知らずに制度利用ができる施 設(病院等が教えてくれる)とそうでない所がある。当事者の「逸失利益」が取 り返せない場合もある。こういう状況を救済するには、確定診断をした直後の施 設が、制度利用について丁寧な説明をすることを義務化(損害賠償も発生する) することが大切である。
申請主義の弊害でもあるが、この種の問題の解決には医療機関の代理申請など の制度も考える必要がある。
(4)医師、医療関係者が福祉制度についての認識にかなりの格差があり、診断書が 福祉制度利用について必要事項記載をしない場合がある。…医療関係者への福祉 制度の啓発が必要
(5)病気の名称や原因・治療法が分からず、保険外の治療・薬のために、それぞれ 異なる困難を抱えながら、高額の療養費に苦しむ疾患が数千ある。
(6)これらの解決に、他関係機関・専門家などと効果的に連携する「相談支援セン ター」を拡充したくさん設立することが有用である。

2.個別のニーズにきめ細かく寄り添うサービス(重篤患者と中等度の…進行性障害) が必要である。
難治性疾患「難病」という概念は、身体・知的・精神・発達障害・それ以外の認知 されていない障害をすべて含んでいる。それぞれの障害特性に見合った支援が当然必 要である。

3.通院介助や移動支援を福祉サービスとして難病・長期慢性疾患患者に適用すること。 また、独居老人や老老介護などで患者が通院に困難を来す場合の通院介助も必要。 その他、在宅での日常生活介助も長期慢性疾患患者には必要。

○理由
具体的事例についてみると以下(1)(2)

(1)通院介助を必要とする場合
肝炎増悪期には、肝庇護剤などの静脈注射を週3回必要とする場合がある。 そのような場合、かかりつけ医までの通院距離が遠い場合、車などでの送り迎 えなどを必要とする場合、また、インターフェロン治療なども、週1回もしく は3回の注射で通院が必要な場合、医療機関までの距離が遠い場合、通院が困 難な患者に対する通院介助が必要となる。

(2)肝硬変などで、肝性脳症や腹水が貯留し、日常生活が困難になる場合の通院や 日常生活介助が必要になる場合がある。

【橋本委員】
○結論
利用者の個別性を重視するため、支援経験のある介護者とパーソナルアシスタントの 双方の組み合わせによるサービスが望ましい。

○理由
障害の特殊性を理解するため、同時に本人のニーズに柔軟に対応できるため。

【東川委員】
○結論
高次脳機能障害に必要な福祉サービスとは、①医療・リハビリテーションと福祉サ ービスが接合したシステムが必要であること、②自ら生活行為を遂行できるよう促進、 見守りをする新たな援助、③就労に定着できるよう職業関係機関と連動した生活面で のサポート、④家族の心理的・経済的負担をアセスメントし、その支援をおこなうこ と、などが挙げられる。
難病、発達障害、軽度知的障害についてもその生活実態にもとづき必要な支援を調べ、 地域にある支援が利用できるように、支援の仕組みを充実させる。
(前提は、法の障害定義や範囲から排除されないようにすべきである)

○理由
高次脳機能障害や発達障害は、日常生活動作は自立していながら社会生活行為がう まくできない場合があり、それらは従来の身体介護・家事援助とは異なる個別的対応 が必要な福祉サービスが求められるため。現状では、「支援の狭間にいた人たち」への 支援も、自立支援法内のサービス提供事業所が担うが、適切な後方支援やコンサルテ ーションを受けられず試行錯誤の中、必ずしも適切な支援が提供できていない。

【福井委員】
○結論
いわゆる「谷間の障害」は、これまで疾患・機能障害など医療モデルを重点にして ニーズを推測してきたため、適切な福祉サービスが提供されてこなかった。相談体制 の整備、本人と家族の希望をもとに、日常生活・社会生活の改善、同年齢の市民の生 活基準に合わせていくことなどを含めて支援ニーズを決定し、対応策を検討、緊急に 実施していく必要がある。

○理由
まず、これらの障害別の人たちの福祉要求の徹底した聞き取りと検討、実現に至急 取り組むべきであり、日々の生活の困難を早急に取り除いていくことに全力をあげる べきである。その際、とにかく法の狭間に置かれてきた私たち、全国100 万人のてん かんのある人たちの福祉サービスについても、検討の対象にしていただきたい。

【藤井委員】
○結論
本法における障害者の定義や範囲を、障害者権利条約に基づいて幅広く定めたうえ で、特定の障害者が排除されないサービス体系を構築すべきである。

○理由
権利条約の障害及び障害者の概念は、特定の障害者を排除しないものであり、サー ビス体系のあり方や、具体的な福祉サービスの設計にあたっても、これとの整合性を 保つべきであるため。

【藤岡委員】
○結論
「社会の障害への無理解を改善請求する権利」を保障する。
権利擁護者は本人の有する当該権利を支援する立場に立つ。
現状では極めて不十分なジョブコーチやジョブコーディネーター制度を充実させる。

○理由
共通項として、「周囲に障害が理解され難い」ことから適切な支援がなされず、また 周囲の無理解に起因して社会参加が阻まれ、本人が対人ストレス等を感じて益々社会 参加出来難くなるという悪循環がある。
まさに「障害の社会モデル」とは障害の本質が社会の側の無理解にあり、障害者支 援とは社会の側こそ変革する必要があることを表す典型的局面である。

【増田委員】
○結論
必要な福祉サービスについて,それぞれの障害や疾病のある人の実態に基づき,ニ ーズを把握する必要がある.同時にすでに地域にある福祉的な支援が利用できるよう に,従来の支援体制の充実を図る.

○理由
1 人1 人の障害や疾病は幅広く,個別的な対応が必要である.それぞれの障害ごと に新たな支援体制をつくるのではなく,現状の社会資源を充実させることで,谷間に いた人,止むなく在宅でいる人たちの支援を進めていく。

【三浦委員】
○結論
現在のサービス利用対象者と同様に、必要なサービスが受けられるよう整合を図る べき。具体的には、生活支援(医療的なケアを含む)、社会参加支援、就労支援、相談 支援、経済的支援等が総合的に提供される必要がある。また、障害特性による支援の 「個別性」と、支援提供体制の検討、対応スキルを持つ「専門性」の向上等があわせ て検討されるべきである。

○理由
発達障害、高次脳機能障害、難病、軽度知的障害等の新たな支援の対象となる人々 が、地域で適切に、また、良質な支援を受けることのできる体制を整える必要がある ため。

【光増委員】
○結論
現状では、居宅介護、グループホーム、ケアホーム、短期入所と通所の日中活動、就 労の支援等が必要な福祉サービスである。
18歳未満の人でも一時的にグループホーム等の利用が必要な場合は利用できるよう にする。
相談支援における、アセスメント機能、カウンセリング(ピアカウンセリングを含む) 機能、問題解決(介入)機能、そして、支援のコーディネート機能を充実させるために、 相談支援機能を制度的にもはっきりと位置づけていく必要がある。

○理由
障害の範囲の見直しは、障害者基本法のなかで定義づけがでると思うが、障害者手帳 を所持しなくても、必要なサービスを受けることができるようにする。
例)山形県では高次脳機能障害は県が認めた医師の意見書があれば福祉サービス利用 が可能。発達障害も同じような仕組みが必要。
相談支援の現状は、市町村格差が激しく、既存の福祉サービスで、「生きにくさ」を感 じている者を、支援するか、自己決定、自己責任の中で放置する場合もある。まずは、 相談支援機能を充実させなければならない。

【森委員】
○結論
サービスを必要とする全ての障害者のニーズにこたえられるように、「障害者総合福 祉法」(仮称)の障害者の定義、範囲を、障害者権利条約に基づくものとし、制限列挙 方式でなく、包括的に定義し、特定の障害者が排除されないサービス体系にすべきで ある。

○理由
現行制度で生じている障害による制度の谷間をなくすためにも、障害者権利条約に 基づいた福祉サービスのあり方を考えるべきである。

論点D-1-2) 現行の介護給付、訓練等給付と地域生活支援事業という区分についてどう考えるか?総合福祉法での支援体系のあり方についてどう考えるか?障害者の生活構造 やニードに基づいた支援体系はどうあるべきと考えるか?

【朝比奈委員】
○結論
訪問型~ホームヘルプ、ガイドヘルプ 通所型~就労や生活スキルなどについて一定の訓練を受けるタイプ/そこで働くタイ プ/居場所として利用するタイプ 宿泊型~期間を区切って寝泊りをするタイプ/そこで生活をするタイプ(ただし、でき るだけ小規模とする。グループホームを想定)

○理由
自立支援法のサービス体系は複雑すぎるので、もっと簡素なものを望む。

【荒井委員】
○結論
区分について、個別給付とそうでないもの、全国一律の義務的サービスと区市町村の 裁量による柔軟な事業形態によるサービス区分については、今後も必要と考える。
このうち、地域生活支援事業については、個別給付になじむものは個別給付化すると ともに特に法で規定する必須事業については適切な水準・安定的な事業運営ができるよ う、十分な財政措置を行うべきである。(一部義務的経費化又は補助額や交付税算定基 準の再検討含む。)
また、支援体系の検討にあたっては、教育・雇用・医療・まちづくりなど隣接分野と 密接な関係を持ち、一体的な支援を可能とするような体系とする。更にいうと、現在の 「介護給付」、「訓練給付」というサービス体系が介護保険制度との統合を前提に作られ ているものであり、障害者の特性に応じた真に必要なサービスを利用しやすい制度とな るよう検討すべきであるが、一方でサービス給付の支給決定の際の明確な判断基準や財 政の裏づけが必要である。

○理由
利用者が真に必要なサービスを利用しやすい制度であると同時に、国民の理解が得ら れ、安定的な運営が可能な制度を構築する必要があるため。

【伊澤委員】
○結論
「生活を支える支援事業の給付は一系統でよいと思う。介護と訓練のいずれかを選択 という現状の構造は、人の生活へのリアリティー(どっちも必要)や精神障害の人たち のもつ揺らぎを基本とする特性(可変性強)に対応していないとも思う。「生活支援」 という枠の中で、色々なサービスが有ると良いと思う。(基本は、地域での生活をイメ ージする事)

○理由
二種類の給付事業(介護/訓練等)は義務的、地域生活支援事業は裁量経費という区 分けは、人の暮らしのニーズを細分化し、またその支援に重い軽いをつけており理不尽 である。また、何時までも訓練の対象で居るのか?という当事者の言葉も忘れてはいけ ない。
現行の地域生活支援事業の必須事業に関しては、一定の水準を定め、地域特性として 上乗せのできる市町村は特色を出していけるような仕組みになれば、最低限の支援内容 の地域格差は解消され、上乗せという形で地域の実情に応じた支援が展開できるのでは ないかと思う(後述ナショナルミニマムとも関連)

【石橋委員】
○結論
区分についてどう考えるか
「施設」を「日中活動」と「居住支援」分けたことを含めて概ね妥当と考えます。し かし、地域生活支援事業を一般財源としたこと、活動の場をつなぐ支援策がともなって いない等、生活をつなぐという面が欠けていた。
また、程度区分審査の判定を受けた結果が必ずしも利用者にとって適切な判定と言え ない場合が多々ある。審査方法の再考が必要。
総合福祉法での支援体系のあり方は
社会や生活での暮らしにくさが障害のある人の本質的課題とするならば、介護・訓 練・生活支援を包括する個別支援計画を具現化できるサービス体系の構築が不可欠であ り、個人につながる支援策は、全ての支援を自立支援給付と位置づける。
ニーズに基づいた支援体系は利用者のニーズに基づく支援策は、現行の体系を基本とし、 地域生活支援事業の中でも個人給付に近いものは自立支援給付とする。

○理由
障害者の生活構造やニーズは、個々人によって異なり、変わるものであるから構築さ れた支援策が全国的なひろがりを持っているかの判断も大切となる。国民的理解がとも なう。
個人につながる支援策は、全国何処でも平等に受けられることを原則とし、地域生活 を支えるためにもグループホームは介護給付にする。
介護給付、訓練給付、地域生活支援事業とも相互に関連しており実態調査によりサー ビスメニューを明確化にし、全国で平等なサービスにし、事業分担を明確化し地域格差 をなくす。費用は義務的経費とする

【氏田委員】
○結論
本人のニーズにそって本人主体の支援を考えるべきであるが、現在のように区分され た支援体系では、ノーマリゼーションは実現できないと考える。「最小限度を介護給付 &訓練等給付でまかないそれ以外は地域生活支援事業で」という現状から「必要十分な 範囲を個別給付でまかない、さらに地域特性に応じて柔軟に裁量し得る部分を地域生活 支援事業で」という状況に変えていくことが必要である。介護か訓練かという二分した 考え方自体が差別的である。また、介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業を担う人 材の確保のためには、これらの事業を義務的経費に位置づけることが必要である。新法 では基本的な部分は公的資金を保障し、事業収入で雇用をするという形が望ましいと考 える。

○理由
地域生活支援事業のガイドヘルパーを例にとると、ある市では時間報酬単価3,600 円、別の市では1,000 円と地域格差が大きく、また1,000 円ではボランティア活動の範 疇であり、支援の難しい人の外出への対応が困難であり、障害の重い人の社会参加に影 響が出ている。これらの分野も義務的経費に位置づけ、専門性をもった職業として成り 立たせることが必要である。 上記の「必要十分」という観点からは、あたりまえの地 域生活を営む上で必要不可欠な福祉サービスおよび障害特性に応じた専門性を求めら れる支援については、現行で地域生活支援事業に入っていても、個別給付化していくべ きであると考える。

【大久保委員】
○結論
個別給付(自立支援給付)と地域生活支援事業の二つに区分することが望ましいと考 える。個別給付は、全国のどこに暮らしても一定水準のサービスの種類と量が確保する ものとし、地域生活支援事業は、現在、地域間格差があるものの、今後の地域の成長を 促す意味も含めて、地域が主体的に創意工夫のなかで地域福祉を推進するという位置づ けで考えたい。

○理由
現行の介護給付は介護保険の活用を意図したものと思われ、介護保険の活用を将来的 にも排除するものであれば、介護給付と訓練等給付の区分は無くし、自立支援給付(個 別給付)に一本化できる。実際、介護給付と訓練等給付によりケアホームとグループホ ームに分かれるなど、その必要性には問題があった。
地域生活支援事業については、現在、地域間格差が顕著であるが、地域福祉はその地域 の主体的な取組みによって可能であり、統合補助金による地域生活支援事業の意義はあ るものと考える。なお、現行の地域生活支援事業には、個別給付が適切と思われる事業 も含まれているなど、内容については再検討する必要があると考える。

【大濱委員】
○結論
外出の介護は介護給付に入れて義務的経費として位置づける必要がある

○理由
外出の介護は、権利条約にうたう「他の者との平等」を実現する社会参加に必要不可欠な ものである。(権利条約29 条 政治参加・公的活動への参加 権利条約30 条 文化的生 活・余暇・レクリエーション・スポーツへの参加)
地域生活支援事業が限られた予算で行われているため、社会参加に制限がおきている。

【岡部委員】
○結論
地域生活支援事業のうち移動支援など実質的に個別給付となっているものについて は介護給付との一元化を図るべきである。また訓練等給付は障害をもたない人の就労支 援と可能な限り統合されるべきである。地域生活支援事業はコミュニケーション支援事 業や相談援助事業、ピア・サポート事業、研修事業などに対する運営費補助事業として 再編されるべきである。

○理由
個別の生活を支えニードを適えるための個別給付が財源も支給決定の体系も異なる 介護給付と地域生活等支援事業に分割されているのは不都合であり不自然である。

【小澤委員】
○結論

  • 日中活動、社会参加、居住、移動、コミュニケーションの各支援事業に再編。

○理由

  • 現行の介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業は、生活ニーズに基づいていない構 成になっている。

【小野委員】
○結論
現行の給付体系は廃止し、新たな体系とすべきである。

○理由
現行の給付体系は、介護保険との統合を前提として組み立てられており、そのため新 法は、統合を前提としない体系とすべきである。その際、福祉制度は国庫負担金を財源 とする給付体系で「義務 (的)経費」などというあいまいな位置付けにしない。

【門屋委員】
○結論
現行の介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業のわけ方は根本から考え直すべきです。
生活支援サービスと社会参加サービス、社会活動サービスなどといった内容に現在の 体系を根本的に考え直すべきと考えています。ただし、体系内容は現在思案中です。

○理由
介護保険モデルの現在の体系は、介護と訓練という医学モデルを基本としているよう に感じています。社会モデルを基本とした体系に考え直すべきと思います。
地域生活支援事業は本来憲法で保障されるべきコミュニケーション支援なども含ま れており、地域生活継続条件の日課支援などは基本生活支援サービスであり、交付金対 応だけでは不十分と考えています。

【河崎(建)委員】
○結論
障害程度区分同様、現行の支援体系は実態にそぐわず極めて利用しづらい。障害特性に 応じた支援体系とすべきである。

○理由
それぞれの障害特性を反映した支援体系を考慮しない自立支援法により、特に精神障 害者が適切な支援を受けづらくなっている。「自己選択・自己決定」の原則に沿った支 援体系とすべきである。

【川崎(洋)委員】
○結論
現行法では機械的な支給決定を行っていると思う。一人ひとりのニーズに基づく柔軟 な支給決定を困難にしている。個別ニーズに基づく支給決定の仕組みが必要。

○理由
障害程度区分を廃止して、本人中心計画に基づくサービス提供をするためには、支援 の必要度を評価する方法の新たな仕組みを創設する。介護。訓練等給付と地域生活支援 事業は連動すべき。

【君塚委員】
○結論
もっとも利用者を知っている家族の理解・要望に応えているか否かを定期的にチェッ クする仕組みを作り、区分に縛られない柔軟性をもつ体系が望まれる。

○理由
ひとりひとりが生活背景が異なるので、できるだけ必要なきめ細かな支援とするため。

【倉田委員】
○結論
介護給付と訓練等給付とを区分する必要性があるのか疑問であるが、これらと地域生 活支援事業との区分について、再度整理する必要がある。詳細はD-1-5 参照。

○理由
D-1-5 に同じ。

【近藤委員】
○結論
介護給付、訓練等給付の区分は不要と考える。地域生活支援事業については、個別給 付になじまない事業もあるため区分そのものは必要であるが、基本部分は国の事業、地 方の特性は上乗せ横出しとし、基本部分では地域間格差を生じさせない仕組みとするべ きである。なお、現行の地域生活支援事業のなかに、個別給付がふさわしいものがない かどうか検証が必要である。

○理由
介護給付、訓練等給付の区分は、障害者福祉施策を介護保険と統合する前提で考えら れたものであり、介護保険統合を前提としない制度においてその区分は不要である。 地域の特性を活かすことは重要であるが、そのことがナショナルミニマムの後退につ ながらない工夫が不可欠である。

【齋藤委員】
○結論
介護給付と訓練等給付、自立支援給付と地域生活支援事業という区分を一から見直し すべきであるが、国と地方の財政直轄のあり方をどうするかをまず見定める必要がある。

○理由
そもそもこの区分は介護保険制度との一体化をめざして障害者制度の中を整理する ために生まれたのであり、その方針が撤回された以上まず一から見直すことは当然であ る。

【佐野委員】
○結論
介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業については一元化を図るべき。
中途失聴・難聴者への支援は、個人や自助組織・当事者団体等を通じた両面的な訓練・ 支援の必要があります。聴覚生理や聴覚補償に基づく基本的知識の習得・訓練が必要と され、情報保障手段の獲得まで、一連の支援策が総合的・具体的に行われる必要があり ます。

○理由
介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業が統合され、一元化することによって、介 護・リハビリ・地域生活支援の各事業が、中途失聴・難聴者の福祉を進める上で重要で す。
一人一人障害者が事業の区分により、分断させるような支援体系は好ましいものでは ありません。また、3事業が有機的に結び付けられる事による、サービス体系を構築し ていくことは、分断された支援体制を包括的に運用できることにつながります。

【清水委員】
○結論
基本的にその理念と構造を一人ひとりの存在の価値に基づき、根本的に組みなおすべ き。個別給付としての「かつどう・はたらく」支援給付と、「くらし・じりつ」支援給 付。そして、市民が市民として含みこむインクルージョン事業(地域生活支援事業)

○理由
「かつどう・はたらく」支援は、本人の存在の社会的価値化。みんなが自分のねうち を発揮して、みんなが新たな気持ちでいきいきとできるようにするために。「くらし・ じりつ」支援は、一人ひとりがその人らしく生きることの実態化、そのことによってみ んながお互いに認め合い大切にしあい暮らしていけるようにするために。インクルージ ョン事業は、市民がみんな幸せになるための居場所づくり、拠点整備。みんながこのま ちに居てくれないとこまる人として、輝いて生きれる社会を実現するために。

【竹端委員】
○結論
本人の障害やくらしづらさゆえに求められる(障害者の生活構造やニードに基づい た)支えんの体けいは、次の5つからなりたつのではないか。
1,ひとりひとりの状たいにあった介じょ(パーソナルアシスタント:個別ケア)
2,「○○したい」をかなえるための支え(社会参加支援:日中活動の場、就労支援)
3,住まいの提供
4,でかけられない・みえない・きこえない、の支え(移動と情報の保障)
5,なやみや不安、ふまんへの支え(ピアサポート、相談支援、権利擁護)

○理由
いまの法は、おかねのしくみ(財源体系)と支えるしくみ(支援構造体系)がまざっ ている。さらには、介ごほけんのしくみとも「似すぎた」しくみである。いまの法がつ かいづらいのは、このしくみ(体系)そのものの、ゆがみやひずみがあるからではない か。
であれば、本人の障害やくらしづらさゆえに求められる支えんの体けいとして、まと めて考えたほうがよい。 また、教いくや労どうに近い支えん(自立訓練や就労移行)は、労どうや教いくを支 えるしくみ(政策)にいれたほうがいいのではないか。

【田中(伸)委員】
○結論
介護給付、訓練等給付と地域生活支援事業の区分の合理性には疑問がある。障害者の 人権保障の実質化の見地からは、生命・身体の保護に関わる権利、精神的自由に関わる 権利の保障に資する支援については、それが国の負担か、地方公共団体の負担かに関わ らず、義務的給付とすべきである。また、支援体系については、各障害者のライフステ ージや具体的生活場面に応じて必要な支援を定めるべきである。

○理由
新法における支援は、障害者の人権保障の実質化を支えるものであり、重要な人権を 支える支援については、義務的給付とされなければならない。また、支援体系は、障害 者のニーズを十分に聞き取って定められるべきであるが、障害の多様性に鑑みれば、そ のように法定される支援は例示列挙とすべきであって、個別の障害者のニーズに柔軟に 応じられるよう、創設的支援の途を開くべきである。

【田中(正)委員】
○結論
介護給付、訓練等給付の区分けが、義務的経費の位置づけで全国一律の基準で給付さ れるという視点は重要なため、名称を含め個別給付の位置づけの整理が必要である。介 護給付については、支援度に応じて報酬が段階的に位置づく視点は重要であり残す必要 がある。名称変更について検討が必要。訓練等給付については、期限と目標を定めて実 施する視点は重要であると思うが、訓練の名称は否定したい。
支援体系は、「暮らしに必要な範囲を個別給付でまかなう。さらに地域特性に応じて 柔軟に裁量し得る部分を地域生活支援事業で実施する。」という状況に変えていくこと が必要である。

○理由
個別給付が義務的経費化され全国一律の基準で支給する仕組みであることの理解が 届いていない、もしくは理解されても実施されていないため、この際、個別給付の位置 づけを整理し改める必要があるため。

【中西委員】
○結論
福祉的就労と就労移行支援はともに基本的生活支援金を支給することによって働く 意味を明確な労働基本法に則った形で整備し直し、最賃法を守らせるようにし不足分に ついては補助金で政府がカバーするという仕分けをすべきである。

○理由
現行の就労移行支援、継続支援はすべての障害者が就労できるという視点に立った、 誤った判断を導いて障害者に労働への過剰な負担を課している。その一方で自己負担を 福祉的就労の場で求めたり、就労移行の場で求めるなどの誤りを犯している。労働は権 利であり、すべての障害者に保障することは国家の義務である。労働の場を創出するの は国家の義務であり、障害者は賃労働の場に参加することも社会参加の場、例えば障害 者運動等に参加することも同等の労働として価値を認められなければならない。

【中原委員】
○結論
現行の介護給付と訓練等給付は一本化し、地域生活支援事業の2区分とすべきである。 また、障害者自立支援法の施行により複雑となったサービス体系は簡素化すべきである。

○理由
介護給付と訓練等給付により、日中活動サービスは複雑になり、グループホームとケ アホームに分かれるなど、利用者支援や事務に煩雑化が生じている。 そもそも介護給付は介護保険との統合を意図したものと思われることから、介護保険 との統合を前提としないのであれば、介護給付と訓練等給付は一本化しシンプルなサー ビス体系とすべきである。

【西滝委員】
○結論
まず、障害程度区分によって利用できるサ-ビスを制限する仕組みを廃止すべきであ る。
就労か介護かの2 分割による体系ではなく、就労も介護も視点に納めた支援体系を確 立すべきである。個々の生活構造や環境、課題等を踏まえて必要な福祉サ-ビスが効率 的かつ迅速に利用できるよう、相談支援事業の充実と位置づけの強化が必要である。 聴覚障害者(ろう重複障害者)の相談・対応ができる社会資源が少ない中で、「聴覚 障害者情報提供施設」に福祉の専門家等を配置して相談機能を強化することが必要であ り、そのための財政的な支援を国・都道府県が責任をもって行なう体制を作るべきであ る。
ろう重複障害者の情報保障などは、「市町村地域生活支援事業」によるコミュニケー ション支援の補填という考え方ではなく、手話通訳者の雇用配置の方法で懇切丁寧なコ ミュニケーション支援を可能ならしめること。

【野原委員】
○結論
介護事業者や地域包括、ハローワークなどの難病の理解が前提…
社会資源の貧困さの抜本的解決…
患者の残存能力や多様なニーズに応えられる仕事を創って提供する支援 疾病の増悪、病気の進行を抑えるための援助としての在宅介護や通院介助、日常生活 介助が患者には必要。現行の身体障害者福祉法の身障手帳交付基準を前提にせず、重篤 になる前に福祉サービスが受けられるような支援体系が必要。

○理由
肝臓病の重度(チャイルドB)では、現行の身障福祉法の身障手帳交付基準に該当し ません。疾病の増悪を阻止するためにも、在宅介護や通院介助サービスが必要。長期慢 性疾患である肝臓病の場合、重篤化するとその回復に相当期間を要し、逆に重篤化する 場合も多くあります。重篤になる前に、通院介助や日常生活介助により、病気の進行を 抑える援助が必要となる。

【東川委員】
○結論
給付区分は廃止する。包括的な援助ができるかどうかが課題である。例えば、訓練等 給付 (就労継続B)を受けながら、介護給付 (訪問介護)や地域生活支援事業 (移動支援 を利用し、日常生活用具を受ける)ことは一般的なことであるが、それらが何回も交渉 することなく、ケアマネジメント体制を整え必要なサービスが過不足なく一括で受給で きることが求められる。

○理由
生活を円滑に行うためには、支援メニューに翻弄されるのではなく、個々人のニーズ に合わせて過不足なく対応する体制が必要であるため。
障害のない人と同等の暮らしを実現できるように社会全体が支える考えが必要であ る。

【広田委員】
○結論
障害者の地域格差がないことを望む

○理由
どこにすんでもその人らしく生きられる様にするため

【福井委員】
○結論
財政給付形態でのこの分け方には、介護保険との統合という方向が感じられる。実質 は、障害程度区分の高い人は介護給付、低い人は訓練等給付しか使えないことになり、 両者の分断にもなりかねないので、現場での考慮が必要である。今後のあり方として、 国は、公的責任の明確化と、「現物給付」としての福祉施策提供のシステムを再構築し ていくことが急務である。また、市町村、都道府県、相談支援事業者、障害当事者が一 体となって支援体系を作り上げていくことが必要である。市民の相互理解に立って、障 害者理解を進め、個別ニーズをしっかりと見ることができる自治体、専門職員を育てる ことである。

○理由
雇用と福祉分野との連携を期待したいが、実現に至らず、多くの問題が指摘されてい て、現行の区分ではその役割を果たしていない。障害程度区分に頼っての支給決定は画 一的で、公平な支給決定を得られないことが明確になっているので、廃止すべきと考え る。

【藤井委員】
○結論
介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業については一元化を図るべき。

○理由
介護保険制度との統合策を前提とした現行の仕組みであり、統合策がなくなった今、 論理的にも介護給付と訓練等給付を分離する必然性はない。また、地域生活支援事業を 給付事業から分けたのは財政的な理由からであった。事業全体の財政面からの均衡性か らみても、柔軟性を確保したうえで一元化すべきである。

【藤岡委員】
○結論
介護給付と訓練等給付の区分は廃止。障害支援給付でいい。
地域生活支援事業のようなものは、当該地域、自治体の独自の上乗せ事業の範疇で認 められるべき「企画もの」の性質のもの。
障害支援給付の個別給付のなかに、障害医療支援、補装具(日常生活用具含む)支援 などもあるが、細々と施策を分類することに大きな意味はない。人生をトータルに支援 し、社会参加を総合的に支援できるよう、労働はもとより、教育、交通、法務、外務等 様々な省庁が基本的に管轄する分野に対しても横断的に適用できるような法体系が望 まれる。

○理由 介護給付と訓練等給付の区分に合理的な根拠も必要性もない。
グループホームが訓練で、ケアホームが介護など、机上の議論。
しかし就労移行支援が「介護」給付もそぐわない。

【増田委員】
○結論 区分についてはすべて廃止する.働くことは障害者の労働に対する法律(障害のある 人の労働に関する法制化を図る)に位置づける. 総合福祉法には障害の重い人の社会参加の場,疾病や障害からの回復のための支援を位 置づける.また,地域生活を送るための移動支援・コミュニケーション支援・家事援助 や身体介護などを利用し,障害のない人と同等の暮らしを実現する.

【三浦委員】
○結論
権利条約において個人の権利として示されている事項を前提に、個別的に給付すべき もの、一定のグループ等に対する支援を提供するものを整理し、個別給付と地域生活支 援事業のメニューを整理する必要がある。特に、「生活構造やニードに基づく支援」を 実現するカギとなる継続的な相談支援については個別給付化するべきである。

○理由
今後の支援体系を考える上では、権利条約を踏まえ、これまでのサービス体系の課題 や問題点を克服することを目指すとともに、「社会参加支援」の明確化が必要である。 また、個別給付は、国としてどの地域でも保障する(地域格差を生まない)支援として 位置づけるべきである。

【光増委員】
○結論
現在の支援体系の3区分にこだわらない支援体系の抜本的な見直しが必要である。ま た特定の生活構造を、結果として押し付けるような支援体系は作るべきではない。

○理由
障害程度区分が廃止され、障害程度区分で利用できないサービス、障害程度区分で支 給量が制限されている現在の介護給付は抜本的に見直されるので、障害当事者にとって 必要な支援体系はなにが必要か改めて論議する必要がある。

【森委員】
○結論
介護給付、訓練等給付と地域生活支援事業については一元化にすべきである。

○理由
生活全体を踏まえた総合的なサービスを必要とする場合、財政的、事務的な支援だけ でなく、ケアマネジメントの手法を活用し、障害者一人ひとりが、主体的に自らの実現 可能な生活全体の目標を設定し、現状とのギャツブ埋める手法の面からも、現行体系は 適切なサービス体系とは言えない。

【山本委員】
○結論
見直すべきである。すべての区分を廃止して一元化すべきである

○理由
一人一人の生活において、障害があっても他のものと平等な人権享受のための支援制 度として、枠にとらわれない、切れ目のない支援制度を構築すべきである 論点D-1-3) 現行の訓練等給付についてどう考えるか?労働分野での見直しとの関係で、 就労移行支援、就労継続支援等のあり方をどう考えるか?また、自立訓練(機能訓練・ 生活訓練)のあり方についてどう考えるか?

【荒井委員】
○結論
福祉的就労のうち特に雇用契約を締結しない福祉的就労事業所等の利用者であって も,社会や産業の担い手の一人であることを明確にし,サービス提供事業所への財源措 置を考慮しつつ,労働法適用の必要性について検討する必要がある。
また、標準利用期間の設定について、利用者個々の能力や訓練の進み具合により、必 要に応じて適宜期間を延長可能にする等、柔軟な制度に見直す必要がある。

○理由
就労移行支援,就労継続支援事業は一般就労が困難な障害者の就労機会を提供するも のとして,その必要性は明らかであるが,就労するためにサービス料を支払うことや雇 用契約がなく最低賃金が保証されないなど課題がある。
このことから労働法適用の必要性について検討を行うとともに,検討にあたっては費 用負担増となる事業者が安定して運営を継続できるよう財源措置を考慮すべきである。 個々の障害特性やリハビリを必要とする期間の長短、個々の利用者の訓練の進み具合の 違い等により、一律の訓練期間(就労移行支援は2年間など)が設定された中での支援 は難しいため。

【伊澤委員】
○結論
事業の分類によって、「事業も人も機能向上」という意図は示しながらも、各事業が 果たして本来の役割(名称による)を担っているのかという疑問は禁じ得ない。支援メ ニューに期限があると「追い立てられている感覚」がつきまとう。」就労に関しては、 福祉の枠で考えるのではなく、労働分野の中で考えていくべきだと思う。

○理由
ある種名称から想起される「本格化」(本格的○○)からはほど遠い(名称と実態の ズレ)現状もある。「働き方」の多様性を、障害者だけの問題では無く、全体で整理さ れれば、障害者の働く場の確保も見えて来る。箱物福祉の発想から、マンパワーでの支 援へとシフトが必要であり、ジョブコーチ支援を浸透させる事により、障害者だけでな く、多くの労働者支援にもなるのではないか。

【石橋委員】
○結論
現行の訓練等給付について
先天性の障害者には不向きである。
就労移行支援、就労継続支援等のあり方をどう考えるか?
65歳での区分け、最低賃金が保証されない状況下で雇用関係を結ぶことに矛盾が ある。また、就労移行支援事業者が育たなかった。
就労移行のためには、しっかりとしたジョブコーチが必要。一時の技能訓練で修得 された技能だけでは、継続した就労は困難。就労継続とは名ばかりの就労であり、事 実上は福祉的就労となっている。就労と位置付けるならば、最低賃金の保障や労働規 約の整備を伴うべきでる。
自立訓練(機能訓練・生活訓練)のあり方についてどう考えるか?
先天性の障害者には、仕事(就労)をするためのプログラムを習熟でききない状況 にある。機能訓練、生活訓練に区分することはが難しいと考える。
自立訓練・生活訓練も医療的モデルが原点であり、訓練をすることで社会生活が可能 になるとは考え難い。医療的かかわりは当然保障されるべきであるが、目的と求めら れる結果が相応していないと考える。

○理由
先天性の障害による重度の肢体不自由者への有期限のプログラム、就労先の開拓が 労働界と共同で進められていない。
施設運営費は、利用者と事業者(施設)が雇用契約を結ぶことに足りていない。
先天性の障害者には、機能訓練も生活訓練も必要であり、身体機能の向上は日々の訓 練によるもので、期限を設定することができない。

【氏田委員】
○結論
障害がなくても就職が困難である今のような時代に、障害のある人が2 年間の就労移 行支援で就職するのは至難の業であると言える。知的障害や発達障害の特性を踏まえる と不可能であると言っても過言ではない。利用者の実態を勘案しない利用期限は撤廃す べきと考える。現行の、就労移行支援・就労継続支援は継続すべきであるが、それに加 えて、就労定着までを見通して、支援の濃度を徐々に調節していけるような弾力的な支 援制度が必要である。訓練等給付については、障害者であるゆえに何歳になっても訓練 なのかという疑問もある。「自立」に対する理念を根本的に問い直す必要がある。

○理由
年齢とともに本人がもつ社会適応力が高められても知的障害や発達障害の特性はそ のままなので、一人ひとりにあった、その人にふさわしい仕事を時間をかけて探すこと が出来るような支援体系に変更すべきであると考える。事業を分けることにより生じて いる障害のある人が置かれている実態をしっかりと検証してほしい。本人主体を念頭に おき、一人ひとりのニーズとライフステージに応じて、事業を分けるのではなく、一人 の人を包括的に支援出来るような体制が望ましいと考える。

【大久保委員】
○結論
就労移行支援については、その実績を評価しつつ、労働分野における就労支援施策 との整合性やそれぞれの機能などを再整理・再検討する必要はあると考える。また、 就労継続支援B型については、生産活動に必ずしも適応しきれない人たちやしっかり と適応できる人たちがいるなど、その実態と機能について検証し、そのあり方を検討 する必要がある。
なお、就労継続支援A型は、その性格から雇用施策の中で取扱うことが望ましいと 考える。
自立訓練については、その目的に応じた支援を有期限で行うことは妥当と考えるが、 その期限は個人差に配慮し、個人ごとの「サービス利用計画」の中で設定すべきであ ると考える。

○理由
現行の就労継続支援事業A型の従業員(利用者)である障害者は、労働者としての 雇用契約と福祉サービス利用者としての利用契約を結び、その利用者負担(定率負担) を支払う仕組みになっていることには無理がある。そこで、同従業員は、明確に労働 者として位置づけることが望ましいと考える。
自立訓練の期限は、個人それぞれの状況を考えた場合、一律に設定できるものでは なく、個人ごとに設定すべきであると考える。

【小澤委員】
○結論

  • 就労移行支援、就労継続支援Aは、労働分野の政策へ移行。
  • 就労継続支援Bは、実践の内容および利用者像によって、労働分野と福祉分野に再 整理。
  • 自立訓練は、日中活動、社会参加、居住、移動、コミュニケーションの各支援事業 におけるリハビリテーション(ハビリテーションを含む)の取り組みに位置づける。

○理由

  • 労働政策の中で対応すべきものを精査して、労働政策の充実を求めていく。

【小野委員】
○結論
就労分野は、障害のある人の労働権保障に関する法令を新たに定め位置付ける。ま た、自立訓練等は、社会生活移行支援や自立生活移行支援などというような新たな制度 とすべきである。

○理由
労働権保障と公的賃金制度を伴った社会支援雇用制度 (保護雇用制度)を確立するた めである。
また自立訓練は、これまで更生施設等での地域生活移行のためのADL トレーニングな ども含まれる。それらは必要な支援であるため、新制度として発展させる。

【門屋委員】
○結論
就労については労働分野において制度化されるべきと考えます。生活維持、生活の質 の向上といった内容の、自立訓練は今後も必要と考えます。

○理由
社会参加・活動支援として、自立訓練 (機能訓練・生活技術教育・訓練等)と日課資 源 (地域活動支援センターなどのたまり場機能とカルチャーセンター機能など)を提供 する。
就労移行支援は職業前リハビリや職業訓練を含んで労働分野が提供する。就労継続A は労働分野で、B については日課資源として存続し、その中で収益活動については、工 賃ではなく、分配金?として労働対価に位置づけないことは不可能か?

【河崎(建)委員】
○結論
就労を大前提とした現行制度には問題がある。

○理由
自立支援法の成果主義的精神は見直すべきである。就労せずとも精神障害者が地域の 中で安心して生活できる環境を提供する体制を確保することが重要である。

【川崎(洋)委員】
○結論
一般就労と福祉就労という考え方はみなおされ、一元化してシームレスな就労体制の 構築が必要。

○理由
福祉就労では利用料負担があり、また最低賃金減額申請制度にいたってはまったくの 差別法である。シームレスにするためには、最低賃金法を適用すべきである。

【倉田委員】
○結論
就労移行支援事業を運営している法人の中には、報酬単価が他よりも高いことが主な 理由になっている所もあり、少なくとも、実績(実習、就職、職場定着)を踏まえた指 定のあり方を検討すべき。
就労継続支援A型・B型は、福祉的就労への労働法規適用論議の中で根本的に見直す べき。

○理由
福祉的就労への労働法規の適用について平成23年12月までに結論を得ることが、 既に方針化されているので。

【近藤委員】
○結論
就労移行支援事業、就労継続支援事業については、基本は税財源をもって実施し、事 業運営にあたっては、福祉施策、労働施策両面で充実を図るとともにシームレスな支援 制度を構築すべきである。なお、労働施策への位置づけにあたっては、福祉的就労の実 態や、労働市場における動向等を踏まえたうえでの十分な議論が必要である。
就労移行支援は障害者就業・生活支援センターと機能統合ないしは連携充実を図り、 アフターフォローも事業内容に盛り込む「雇用訓練・定着支援」事業とし、就労継続支 援は、国の賃金補填の下で労働者としての権利を保障される「社会支援雇用(保護雇用)」の場として体系化するべきである。
自立訓練は、生活介護のなかのプログラムとして位置づけてはどうか。

○理由
障害者の「働く」を支援する基本施策は、現行労働施策の納付金や助成金といった期 間限定の制度はなじまない。税で安定した支援を行うべきであり、納付金や助成金は施 策のさらなる充実に向けた活用部分に位置づけるべきである。
労働施策に位置づけた場合、現状の福祉的就労で働く障害者の多くが施策の対象から 除外されてしまう懸念がある。そうした人たちの「働きたい」という願いにどう応える か、また、地域生活の保障の手立てをどう考えるか等が並行して検討されなければなら ない。さらに、一般就労ができなかった者、離職せざるを得なかった者等のためにも、 福祉施策と労働施策とのシームレスな支援制度は重要である。
就労移行支援事業は、「訓練し、つなぐ」機能だけでなく、「就労を支える」機能が充 実しないと、安定した雇用とはならない。
就労継続支援事業は、障害者の「働く場」と位置づけ、労働法を適用する場とするべ きである。そのためには、1事業者の責任だけを問うのではなく、社会的責任として賃 金補填制度や仕事の確保策(官公需・民需)等を導入する必要がある。自立訓練は、日々のプログラム化のむずかしさが表れてきており、生活介護のなかのメニューとして、必 要に応じた訓練と位置づけることが望ましいと思われる。

【齋藤委員】
○結論
まず訓練等給付などという区分に捉われることが誤りである。就労政策については、 労働政策の中に移行できることが何であり、福祉政策の中でやるべきことが何であるか をこの総合福祉部会でも充分に議論する必要がある。

○理由
訓練等給付は介護保険との一体化が難しいものをあわせたものでしかなく、そんな区 分自体が必要ないから。

【佐野委員】
○結論
自立訓練としての中途失聴・難聴者に対するコミュニケーション等訓練事業の開始が 必要である。就労移行支援、就労継続支援等では、障害を持つ中途失聴・難聴者のコミ ュニケーション方法の獲得を通じた、障害者の自立支援となるような権利擁護の基本視 点に基づいた訓練が必要である。実施に当たっては、個人や集団に限定しない、市町村 単位に限定されない広域的な連携や展開が必要である。

【竹端委員】
○結論
昼のあいだ社会にさんかする活どうの場は「日中活動の場」としてまとめた方がいい。

○理由
障がいの重い・軽いや、活どうの内ようで細かくわけすぎないほうがいい。また、教 いくや労どうに近い支えん(自立訓練や就労移行)は、労どうや教いくを支えるしくみ (政策)にいれたほうがいい。

【田中(正)委員】
○結論
就労移行は、労働施策として一元化が図られるよう支援の提供体制からの見直しにつ いて検討・整理が必要である。
自立訓練については、目的と期限を定める意味として、地域資源を利用する際の使い 勝手を確認するためと位置づける。本人の暮らしの全体の適正化を図る視点で、中長期 にわたる長い期間のアセスメント機能として活用する。

○理由
就労環境を整える施策として効果が得られた状況については後退させてはいけない。 特に、就労のとらえ方が柔軟になり、社会参加する機会が特段に高まった点は高く評価 する必要がある。
自立訓練については、通所施設に在籍している状況にスポットが当たりすぎているた め、個別給付の位置づけが、在宅支援の各種サービスとの関連づけも強く意識したアセ スメントの土台ととらえる必要がある。機能訓練においてはPT.ST 等に着目されがちで、居宅支援や入浴サービスとの整合性は弱く、結果として訓練事業を活用することが、在 宅支援を強化する状況につながっていない。生活訓練は通所機能に通うことが目的とな っており、利用目的が報酬の底上げとなっている実態が少なくない。

【中西委員】
○結論
機能訓練、生活訓練として労働市場に障害者を追い立てるのではなく、あらゆる一般 的労働市場の中に個々の障害者に適した労働の場、適した就労の場を創出することが国 家の義務であるという、パラダイムシフトを行う必要がある。

○理由
自立訓練の給付は就労を継続するための生活訓練や機能訓練とされており、労働市場 に障害者を送り込むことを目的としている。労働市場に適応するように障害者を訓練し ようとするのは誤りであり、労働市場のほうを個々の障害者の働きやすいように改善し ていくことが目的とされなければならない。

【中原委員】
○結論
現行の介護給付と訓練等給付は一本化すべきである。 就労移行支援、就労継続支援等の機能は必要であるが、機能を分けたことによる弊害 も指摘されていることから、サービス体系の在り方全体のなかでの議論が必要である。

○理由
訓練等給付の事業は障害程度区分に係わらず事業毎の報酬単価を設けたことにより、 個別給付の意義が失われるとともに、支援の必要度に応じた給付がされない仕組みとな っていることから、介護給付と一本化するとともに、その人の支援の必要度に応じた給 付とすることが望ましい。
現状の就労継続支援については、一般企業に比べ大きな賃金格差があることは事実で あるが、障害の重い人の社会参加や活動の視点からみた場合、福祉的就労の場で賃金を 得ることや企業就労への移行を図っていくことは必要である。

【西滝委員】
○結論
就労支援サービスを「企業就労」、「保護雇用」、「活動支援センター」などの3 類型とし、それぞれの相互乗り入れを自由にすること。そのうえで、企業就労におけるコミュ ニケーション支援の充実を図ることが望ましい。
「福祉」と「労働」の制度間のばらつきについて、検証・整合性を図るべきである。 そのため、「福祉的就労」の定義を明らかにし、その在り方について、労働法規の適 用の有無、工賃 (賃金)の額、賃金補填等の所得保障をめざした「最低賃金減額特例措 置」等について検討すべきである。利用料制度は廃止すべきである。
就労移行支援事業の利用期間について柔軟な運用を検討すること。就労継続支援B型 は、就労移行支援または就労継続支援A型の利用後でないと利用できない仕組みを改善 すること。

【野原委員】
○結論
社会が「病気をもっていても働くことを受け入れる」啓発が不可欠…
難病・慢性疾患への理解と、そういう疾患をもちながら働く人たちの特性(とくに日 内・日々・月ごとに体調が変化したり、頻繁な排便・排尿や、数時間の継続労働が困難 な場合があり、異常な場合には医師との連携が必要なことがある。さらに、日常のサイ クルに病院への通院や薬の投与、適宜休憩をとることなどの配慮が必要なこと等)を理 解してもらうということでが必要。長期慢性疾患(難病も含む)をもつ人への理解と配 慮がなければ就労継続は難しい。
異なる個別のニーズに応えられる多様な就労形態・在宅就労の開発も必要 難病・慢性疾患をもつ人も障害者雇用促進法の法定雇用率にカウントできるようにす ること。

【東川委員】
○結論
措置制度時代の福祉工場、授産施設を「就労」という冠に代えただけの感はあるが、 高次脳機能障害者にとっては自立訓練、就労移行支援などに期待するところはある。各 地の友の会が努力して立ち上げた支援事業が効果をあげている。ただ、就労継続につい て、日割りの単価ではなく月割り計算が望ましい。
ただし、障害者雇用制度全体の問題として、労働政策上の抜本的見直しが必要と考え る。
(就労移行支援や就労継続事業など現在の福祉的就労形態も権利条約に照らせば雇用 に含まれると考えられ、利用料負担の対象外とすべきなど、見直しを図るべきではない か。)

○理由
高次脳機能障害者の一部には、体調が安定しておらず毎日通所できず、また生活上の トラブルなどに介入する必要があることから、単に通所時のみの支援でないこと。就労 継続支援の施設としては、個別支援計画を立ててきめ細かく実施していても、日割り計 算による収入減という矛盾があり、改善が必要であるため。
ILO提訴の回答なども視野に入れた障害者雇用問題の抜本的な見直しが必要である。
(障害が重度であったり、一般就労を望まない障害者にとって、雇用を一般企業等に狭 めるのは好ましくない。「全ての人が働ける社会」実現のためには、ソーシャルエンタ ープライズ(社会的企業)に一定の効果が認められる。しかし労働能力の問題もあり、 何らかの社会的援助が無ければ経営が困難(具体的には、最低賃金保障や保険加入等) であるので、障害者雇用調整金・報奨金の額をUP して経営の下支えを行う。これは「働 く場」への支援であるので、狭義の福祉的予算からの支出でなく、労働分野からの支出、すなわち障害者雇用調整金・報奨金制度を利用することが合理的である。)

【広田委員】
○結論
もっと労働行政が力を入れてほしい 職員の質の向上

○理由
精神障害者の就職希望者が多いから うつの人が会社への復職をするため

【福井委員】
○結論
現在の事業体系で、介護か訓練かの二者択一の枠組みを持ち込んだことは、認められ ない。一人一人のニーズに基づく適切な支援が受けられるようにすべきである。現行の 地域活動支援センターは廃止し、ニーズと障害状況によって必要な支援が受けられるよ うなシステムを、国際水準に沿ったものを目標として構築すべきである。

○理由
地域活動支援センターは市町村事業に位置づけられているので、小規模作業所などの 厳しい状況は解決されていない。しかも、成果主義の導入そのものも福祉分野に馴染ま ない。日中活動の場の不足は、すべての障害者を対象としていないところも問題である。安定した職員配置、報酬単価の引き上げが必要である。

【藤井委員】
○結論
就労移行支援及び就労継続事業においては利用者負担を廃するべきである。加えて就 労継続事業所に対しては、賃金補填等必要な施策を講じ、労働法規の適用を行うべきで ある。

○理由
障害者自立支援法における就労移行支援や就労継続支援事業は権利条約に規定する 「あらゆる雇用形態」に含まれると考えられるため。

【藤岡委員】
○結論
「一般就労」への移行を目的とする「就労移行支援」の存在意義は大きいと思う。 但し、それは、受け容れる側の企業が変わることが出来る様に、公共的な責任と費用 に基づき企業の変革、促進を支援することが今回の改革が意識するべき力点(メインテ ーマ)であって、当該障害者個人の努力を支援することはサブテーマくらいの位置付け である。
また、期限については柔軟な制度とされるべきである。就労実績と報酬が連動するよ うな成果主義は生存権保障と相容れない。
就労継続A型は「一般就労」に近いが、福祉的支援を並存しながら利用者負担完全撤 廃。
就労継続B型は労働基準法、社会保険、最低賃金法の適用が実現するように、従来の 「福祉的就労」と一般就労の中間的なものとして、賃金補填を本格導入する社会的雇用 事業制度を確立するべき。
自立訓練は、地域生活への期限付きの移行支援プロジェクトとしての自律訓練は自立 生活体験室のような経験を通して障害者が地域での自立生活を実践していくプロセス として重要な支援と考える。

○理由
移行支援に期限を付することにプラス面があるとは思うが、一律で画一的な運用は障 害者の特性が個々それぞれであることから考えて妥当ではない。 小規模作業授産、共同作業所等が果たしてきた障害者支援の歴史的重要性は言うまで もないところ、障害者の労働基本権完全保障の実現のために発展的な変革が必要であり、そのためには公的法整備と予算確保が不可欠。

【増田委員】
○結論
労働については,D -1-2 の通り.自立訓練も廃止.訓練ではなく,回復のためのプ ログラムや社会参加・障害を重度化させない支援を行う.

【三浦委員】
○結論
利用者の実態を踏まえ、支援が後退することなく、より促進されるために求められる 課題を洗い出し、その上で、福祉施策と雇用・労働施策等との役割分担や連携を整理す ることが必要である。

○理由
現在これらの支援を受ける利用者の実態を十分に踏まえ、不利益とならない方向で 検討、改善がなされるべきと考える。その前提として、皆のニーズである働くことの意 義や制度上の定義を明確にし、労働施策として支援するべき領域、福祉施策として支援 するべき領域等を整理し、障害のある人々が働くこと、活動することが実現される仕組 みを構築すべき。また、自立訓練(現行の機能訓練・生活訓練)については、就労及び 地域生活をめざす有効なプログラムとなっているかを検証し、総合福祉法でカバーすべ き支援を検討する必要があると考えるため。

【光増委員】
○結論
労働分野での支援と障害福祉での支援を整理してはどうか。 学校を卒業して利用する現在の自立訓練と旧通勤寮が移行した自立訓練(生活訓練)(宿泊型)は支援機能が違うので見直しが必要。
自立訓練(生活訓練) は事業名を変更すべきである。

○理由
旧通勤寮がグループホーム等と就労系日中活動に移行した所と自立訓練(生活訓練) (宿泊型)に移行した所があるが、旧通勤寮の経過的居住(有期限)の支援と就労支援 の両面を機能させる(仮称)自立訓練ホームなどの創設も検討する必要がある。

【森委員】
○結論
就労移行支援、就労継続支援等の就労関連事業については、利用者負担を廃止し、事 業の所管も労働政策部局が担当すべきと考える。

○理由
障害者権利条約の規定上からも、職業能力開発学校との整合性、就労継続支援事業所 のうち労働三法が適用されている事業所もあることなど整理すべき時期に来ている。

【山本委員】
○結論
就労支援について一般の労働法規および制度に統合されるべきである

○理由
障害のないものの職業訓練と同等の位置づけがなされるべきであり、また就労とする ならば一般の労働法規が適応されるべきであるから

論点D-1-4) 生活介護、療養介護も含めた日中活動系支援体系の在り方をどうするか?

【荒井委員】
○結論

  • 生活介護などまだまだサービス供給が十分でなく、基盤整備の充実が必要
  • 利用実態を踏まえ、利用期間や対象者に制限を設けず、幅広く利用しやすい体系にするべきである。
  • 知的障害者や精神障害者、障害児の日中活動の場である新たな「デイサービス」を創設すべきである。

○理由
特別支援学校の生徒が増加しており、卒業後の進路等を考えると、日中活動支援の基 盤整備の一層の充実が必要。
事業区分が細分化されているため利用しづらい場合がある。また、就労継続支援B型 における対象者の条件、及び自立訓練における利用期間の設定等の利用制限により障害 者の実態やニーズに合わない場合がある。
日中活動は「介護給付」か「訓練給付」しかないが、特に精神障害や知的障害に関し ては、地域活動支援センターだけでは不十分。また、障害児については児童デイサービ スⅡ型を放課後支援として明確に位置づけるべきである。

【伊澤委員】
○結論
メニューの細分化には限度を感じる。個別ニーズに沿うことを基本に、体系はシンプ ルなものがよい。またかっていずれの事業も有していた「日中の居場所」としての機能 が損なわれてしまった。このことの評価と対策を講じる必要がある。また、医療サービ スを受けながら地域で暮らす仕組みが、認知される事と同時に充実していく事が望まれ る。

○理由
居場所機能の評価と再構築は大きな地域課題(後述)である。障害特性に合わせたサ ービスの有り方が広まっていくと良いと思う。身体機能中心のサービスの組み立てなの で、精神的サポートも含めた発想が必要だと思う。

【石橋委員】
○結論
障害児者とその家族の生活維持と利用者の数少ない社会参加の場のために存続。

  • コミュニケーション支援の強化や日常生活上のサービス改善・充実
  • 創作的活動、生産活動の場への移動支援 また、療護介護を医療機関に限定せず、家族が行っている医療的ケアについては、一 定の条件設定は不可欠であるが、療護施設、生活介護の中ででも行えるように改善する

○理由
サービス提供機関が、さまざまな取り組みを適切に提供できていると言い難い。利用 者の障害程度が様々であれば適切な活動を用意することは困難となる。
療養介護は実際提供できる機関が少ない。
また、利用対象の障害も限定されているため、同じ程度の医療を求められる障害者で あっても、療養介護が受けられない場合が存在する。
療護施設入所者が重度化し、医療的ケアを必要とする方が増えてきている。

【氏田委員】
○結論
日中活動全般について、障がいのある人のニードに合わせて目的別にサービスを体系 化し、「社会参加」から「企業への就労支援」までの支援を切れ目なく、かつ、行き来 できるような体系とすべきである。療養介護でいえば、発達障害の子どもや成人が病気 になり手術が必要な時に安心して入院できるような制度も必要であると考える。

○理由
自己決定に基づく自己実現、生き甲斐といった観点での日中活動を支援するという考 え方であるべきではないか。介護給付と訓練等給付とに分けるのではなく「日中活動支 援」という類型にまとめ、本人のその時点での状態に合わせて活動内容を決め、障害の ある人と社会とをつなぐ仕組みになっていることが理想である。現行の「生活介護と療 養介護(デイケア部分)」、「就労継続Bと小規模作業所」、「就労移行と就労継続A」の3 つのタイプに分類し、「社会参加」から「企業絵の就労支援」までの支援を切れ目なく、かつ、行き来できるような体系にすべきと考える。

【大久保委員】
○結論
日中活動支援のサービス体系の種類とサービスの単位(事業)を再整理することが考 えられる。また、より身近な場所で必要なサービスが提供できる仕組みが重要と考える。

○理由
利用者にとっては、日中活動を、趣味・創造活動か生産活動など、明確に切り分け たり、固定的に対応することが難しい場合がある。利用者の状況に応じて、柔軟に対応 できる場や給付体系も考える必要があると考える。
例えば、個人に対して様々なサービスも提供できる「デイセンター」(現行の多機能 型のようなもの)を設ける。利用者個々に対する給付額は、その支援ニーズから一定の 基準により設定する。この場合、現行の6 名以上というような事業単位は無くなること になる。ただし、職員配置基準は別途検討する必要はある。

【大濱委員】
○結論
医療的ケアが必要な障害者が地域生活をするためには、可能な限り、医療的ケアを介護 職にゆだねる必要がある。

【小澤委員】
○結論

  • 生活介護は、日中活動支援サービスへ。
  • 療養介護は、医療的ケアをともなう日中活動支援サービスへ
  • 日中活動支援サービスには、医療的ケアサービス、介護サービスだけでなく、見守りサービスも含まれる。

○理由

  • 医療的ケアサービスを位置づけることによって、重度障害の人の日中活動支援を、施設、地域、問わず同一の制度体系での対応が可能になる。

【小野委員】
○結論
廃止し新たな体系を整備する。その際、デイアクティビティセンター(地域活動支援 事業)として制度化し、医療機関と提携した地域での医療的ケア等の支援体系・体制を 整備する。

○理由
生活介護・療養介護は、介護保険との統合を前提として体系化されたためである。ま た療養介護は、重症心身障害児施設の移行先として想定されていた。むしろ重症心身障 害児施設は、年齢超過やリハビリの抑制制度などの矛盾を解決し、地域における障害専 門医療・リハビリテーション機関としての役割を明確にする必要がある。

【門屋委員】
○結論
引き続き必要。時間、内容について拡大することを検討すべき。 例えば普通高校・大学など教育現場における移動、身体介護、療養介護等も必要。

○理由
支援不足による生活の困難は差別を生み、合理的配慮から排除されていることがある。

【川崎(洋)委員】
○結論
日中活動の場は働きたい人は訓練、働くことが困難な場合は介護となってしまい、介 護の場合は「働かない」ということにつながってしまいかねない。働いている人にも生 活介護は必要とされることがあり、ニーズに応じて必要適切な支援が受けられるような 仕組みが必要。

○理由
障害の状況や本人のニーズにあわせた日中活動の場が整備されることが必要。精神障 害者にとっては仲間との出会い・交流の場的なものが必要とされている。

【北浦委員】
○結論 生活介護事業にあっても 医療的ケアを必要とする者を受け入れる必要があるもの については、看護師を手厚く配置するものや、療養介護事業は、入所医療施設のみに限 定せず、通所の医療施設にも認めるべきである。なお、地域生活支援事業に包括されて いる中に、移動支援や、日中短期入所など生活介護とすべきものがあることを配慮し是 正する必要がある。

○理由
医療的ケアが必要な重症心身障害児者の通所支援については、看護師を手厚く配置す る生活介護支援体系や、通所医療施設での療養介護の実施が必要とされる。

【君塚委員】
○結論
濃厚な医療が必要な人では日中活動の場は同じ病棟内で実施せざるを得ないことが あり、場所や時間帯などに柔軟性を持たせるべきである。 そしてそのためのマンパワーの保障が必要である。

○理由
医療的なニーズの高い人では濃厚な看護師や医師が相応できる体制が求められる。 可能な限り居室とは別の場での活動や所外活動を行うように努力すべきであり、意味 のある毎日の活動を保障するためには人的な保証が必要である

【倉田委員】
○結論
医療と介護を必要とするかたのニーズに応えるべく、療養介護の指定手続や報酬体系 の見直し、あるいは生活介護において看護師が常駐する場合に加算を設けるなど、基盤 整備のための誘導策が必要である。

○理由
療養介護の基盤は極めて少なく、生活介護においても、医療的ケアに対応できる体制 にはなっていないことから、医療と介護を必要とするかたの切実なニーズに対応できて いないため。

【近藤委員】
○結論
生活介護については、ディアクティビティ、広い社会参加の場として「活動支援」事 業とし、現行生活介護、地域活動支援センターの一部で構成する。療養介護について は、医療としての位置づけとの調整が必要である。

○理由
常時介護と医療が必要であっても、「介護」のために事業を利用するのではなく、活 動のために利用するスタンスを重視すべきである。

【齋藤委員】
○結論
前項の自立訓練も含めて、日中活動系メニュー全体の見直しが必要である。事業種別 によって報酬単価を分けるどんな意味があるのかも一から考え直さなければならない。

○理由
事業所は障害者にとって適切な事業内容の選択を行なうよりも経営上の理由で報州 単価の多少によってそれを行なっている場合が多く、事情種別の決定が意味をなしてい ないから。

【清水委員】
○結論
どんなに障害の重い人もその存在そのものの価値を発揮し、はたらきを持つ人として 私たちの地域をより豊かにしていく担い手として、活動を展開していける支援の体系と する。

○理由
これまで障害の重い人たちが地域の中で取り組んできたはたらきを正当に認め、その ことを後押ししていく体制を整備すべき。どんなに障害の重い人も、介護を受けている だけではない。地域に「居る」「要る」一人ひとりとして、役割を果たしていこうとし ている。その「活動」の理念形成と展開方法をより明確にし、展開の体系を構築してい くことが必要。

【末光委員】
○結論
日常的な医療的ケアを必要とする人々が日中活動支援を受けることができ、かつ、医 療的ケアの程度に応じて柔軟な支援を受け入れられるように、また、高度の医療的ケア があっても地域での日中活動支援が受けられるように、スタッフの専門性が生かされる 日中活動支援体系とすべきである。看護師の配置を厚くしたり、1対1に相当する職員 配置を新設するなどの体制が必要である。

○理由
医療を必要とする障害者が安全に地域生活をおくれるための一つとしての日中支援 活動支援体系を築く必要があり、そのためには、医療的ケアの担い手の非医療職への拡 大とともに、医療スタッフ配置が保障されるような体制も必要である。現在の生活介護 の職員配置は、日常的に医療を必要とする障害児者を支援するには不十分であり、療養 介護という病院の体制がない施設では支援困難となっている場合もかなりある。

【竹端委員】
○結論
論点D-1-3 の結論、理由とおなじ

【田中(正)委員】
○結論
日中の社会参加の場として、個別支援計画による日割りの活用などを前提とした柔軟 なプログラムが提供できる仕組みとして、機能させる方法についての検討が必要である。具体的には、働く事が工賃を得る得ないのどちらかになってしまう事や、社会参加が通 所施設に通うことになってしまう現状を変える必要がある。また、医療との関係につい ては、加齢等による慢性疾患が増えている現状を重視し、訪問看護など外部の機能を活 用できる仕組みの構築に向けての検討が必要である。具体的には柔軟なサービス提供体 制と支援度が高い方への十分な報酬見合いの検討が項目として必要と考える。

○理由
支援費制度までの、月割りによる報酬の支払いの弊害で、暮らしに必要な支援を提供 する視点が十分に育まれていないため、個別支援計画に基づくサービス提供が行われて おらず、本人の日常が施設によるサービス提供ありきで位置付いているため、ままでの 仕組みで生活介護、療養介護をとらえても高齢化を軸にした多様な暮らしの変化には応 じられなくなっている。

【中西委員】
○結論
日中活動の場は、障害当事者の自主運営によるべきであり、運営の主体者は当事者で あり、サービス提供はそのニーズに基づいてサービスメニューが作られる必要がある。

○理由
生活介護、療養介護など施設側から提供される日中活動の場は、施設の収入源の一助 となっており、施設側の都合で動かされていることが多い。従来から自主活動系の日中 活動、センターと言われたものを国の制度にしていくべきである。活動内容は当事者が 選んだコンピューターの研修や移動サービスの提供やたまり場的な交流の場であって もよく、その地域で必要とされる活動が当事者の手によって提供されることが望ましい。それが今後の新たな就労や社会参加の場の形成につながることを目的とする、障害者を エンパワメントさせる地域活動の場であるべきである。これまでの生活介護、療養介護 は障害当事者が望んで通い自らエンパワメントして成長していく場とはなっていなか った。当事者運営と変えることによって主体的な参加がされるだけでなく、その時代が 求める、障害者への日中活動の場として、形成されていくことが望まれる。

【中原委員】
○結論
重症心身障害の人たちについては、児童福祉施設としての重症心身障害児施設が児童 期から継続した医療ケアの提供により生命・安全を確保している現実を考慮する必要が ある。よって、療養介護については、重症心身障害児施設との関係性からの議論が必要 である。
生活介護については、「介護」という名称の変更も含め個々人のニーズに応じた支援 が提供できる事業とすべきである。
日中活動サービス全体としては、障害者自立支援法の施行により複雑となったサービ ス体系を簡素化すべきである。

○理由
日中活動サービスが複雑となったことで利用者支援や事務に煩雑化が生じている。サ ービス内容の選択は個別支援計画等を行うことで可能であることから、一人ひとりのニ ーズに柔軟に対応できるサービス体系にすべきである。

【西滝委員】
○結論
生活介護、療養介護にも生産活動のニーズに対応し提供できる体制を確保すること 土・日祝日についても、平日の生活介護・療養介護同等の支援体制が確保できるよう、 支援体系を見直し、必要な職員配置数を定め、人員配置が可能な報酬の大幅増をおこな う。

○理由 重度化・高齢化が進む中で、日中の支援 (活動)内容は、平日のみならず土・日祝日 も同様の支援をおこなっている。にも関わらず、平日の3 分の1 程度の職員で支援をせ ざるを得ない実態がある。

【野原委員】
○結論
介護・療養施設が、難病を受け入れるための医療との連携を密接に 個人のニーズを尊重して難病ケアに関わる人材養成が急務(看護・介護含めて) 療養介護を利用できる対象範囲を拡大して、緊急時や通院、通学、通勤時の移動に関 しても柔軟に対応できるように見直すこと。

○理由
現在の制度は、かなりの重度でなければ対象とならない。もっと柔軟にすべきであり、 慢性疾患患者や内部障害者にとって、負担の大きい移動時の介護にも利用できるように 改善してほしい。

【東川委員】
○結論
施設入所と日中活動系支援との分離は、デメリットもある。遷延性意識障害の方々な どに日中活動の場をと言われても、動かすだけで命にかかわる。 それぞれのニーズに合わせて選択可能となるようなより適切な支援体系を整備する べきである。

○理由
重度の障害者にとって、明確に日中活動と夜間時に切り分けることができない場合が あり、むしろ一人ひとりの障害に応じた体系が必要であり、現行制度は机上の分類であ るため。

【福井委員】
○結論
D-1-3 でも指摘したとおり、暮らしの場のあり方をどうするかは、重要な課題である。 何よりも、多様性や個別性を勘案したその人らしい豊かな生活の保障が考えられるべき である。

○理由
家族同居や単身などの一般住居者と、入所施設やグループホーム・ケアホームに分け られるが、現行では機能障害を中心にした障害程度区分により利用が規制される。個性 を尊重した暮らしをどうするか、選択肢も拡げながら、当事者を含む関係者での一層の 検討が望まれる。

【藤岡委員】
○結論
常時介護の必要な比較的重度の人の介護が保障された日中活動の場の保障は障害者 福祉の重要な役割である。ただ、「介護」それ自体が生きがいを生み出すものではない 以上、排泄、食事等の生活介護のしっかりとした支援を前提に、生き生きとした活動が 保障され、利用者にも職員にも笑顔がある環境が望まれる。
また、多くの一般市民との触れ合いの場が重要と考える(もちろん重度障害者も一般 市民であることは前提)。

○理由
すべての人の幸福追求権(憲法第13条)と生存権(憲法第25条)の保障が重要で あり、全ての人が社会から隔絶されることなく、共に生きる社会こそが全てのひとの幸 福につながると考えるから。

【増田委員】
○結論
すべて廃止。医療的ケアが必要な人たちや障害の重い人たちのための社会参加の場を 用意する。

【三浦委員】
○結論①
既存の各サービスにおける課題を明確にし、問題点を解決する支援体系を構築すべき。 例えば、生活介護の支援内容は、医療的ケアから日常的生活支援、そして、生産活動 まで幅広く包括されている。個々の利用者の希望やニーズに応じたプログラムが可能と なる点において利点があるものの、個別的な支援を追求する場合において、人員配置を 含め課題がある。
極めて少数の療養介護事業所との関係整理も必要な部分であるが、現状の生活介護にお ける医療的ケアについては、介護従事者によるケアの実態をサポートする医療専門職の 配置や地域の医療関係機関との連携の仕組みを構築し、機能強化が図られるべきである。

○理由①
総合福祉法の対象となる人々を明確にした上で、これらの人々のニーズに応じた個 別的な支援が、各地域において適切に提供されるためには、障害程度区分による事業対 象者の制限等が検討され、利用者への支援給付であり、サービスを選べることが、実施 体系として位置づけられる必要があると考えるため。

○結論②
入所支援とあわせて実施される日中活動支援についても検討されることが必要であ る。まず、障害者支援施設における日中活動事業と施設入所支援の基準・報酬を見直し、人員配置について24時間を通じて適切に人員が配置される構造を確立すべきである。 また、就労支援を利用する人々の施設(夜間)入所支援の利用について、必要とする現 利用者への支援の継続が必要である。

○理由②
現在、障害者支援施設における人員配置については、生活介護事業における人員配 置+αにより夜間部分の人員を配置する基準・報酬の構造となっているため、夜間支援 を日中支援の人員でカバーしなければならず、厳しい体制となっている。これを改善し、昼夜を通じて必要な人員を確保できる体制を担保するため。

【光増委員】
○結論
現在の介護給付、訓練等給付を分けないで一本化して事業体系を見直す。 施設入所支援と一体化した生活介護、医療施設(重症心身障害者施設、一般病院等) と一体化した日中活動と、入所・入院を伴わない日中活動は分けるべきだ。地域から通 う日中活動事業の場合、自力で通所できない利用者には送迎サービスを義務付けるべき だ。
現在は介護給付なので「生活介護」になっているが、事業名も含めて見直しが必要。 生活介護事業に重症心身障害児・者も利用できるよう通常報酬単価に上乗せ、医療加 算を設けるべき。

○理由
介護という表現を変えるべきだ。生活介護は施設入所支援と一体化している内容と、 地域から通う生活介護の内容は違うので分けるべきだ。
送迎にかかる経費は自己負担となっているため、就労継続系に通う低所得に分類され る人たちは預貯金を取り崩しながら、就労支援を受けるおかしな状況がある。支援費制 度の障害者デイサービスを復活させる事も検討してはどうか。
現行生活介護事業における医療職の配置が不明確。日中活動の場の少ない重症心身障 害児・者も設置数の少ないB 型通園事業に代えて利用できる事業でもあるべき。

【森委員】
○結論
日常活動系支援体系における選択可能な支援メニューの充実を図るとともに、そのメ ニューに関する広報や、利用者、家族への円滑な説明を可能にする相談支援が求められ る。ただし、障害によって、病気のための通院などを含めて利用できない場合も想定さ れるので、通所施設運営の不安定さを取り除くためにも、日払い方式の改善を図る必要 がある。
また、生活介護においても、医療関係の人材確保が求められる。医療的ケアにおける 専門職などの配置におけるインセンティブがはたらくようなシステムを設けるべきで ある。

○理由
生活介護、療養介護も含めた日中活動系支援体系の問題点は、速やかに解決すべきで ある。

【山本委員】
○結論
セルフヘルプ活動という障害者のみの活動の意義がある場合以外はできるだけ統合 された地域活動や社会活動への障害者の参加を進めるべき

○理由
障害者のみを集めた活動は分離であり、望ましくないから