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総合福祉部会 第6回
H22.8.31 資料1―2

「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見
(分野D 支援(サービス)体系) その2

(分野D 支援(サービス)体系)
<項目D-1 支援(サービス)体系のあり方について>

論点D-1-5) 地域生活支援事業の意義と問題点についてどう考えるか?地域生活支援事業の仕組みになじむものと、なじまないものについてどう考えるか? ・・・2

論点D-1-6) 現行のコミュニケーション支援事業についてどう考えるか?推進会議・第一次意見書では、「手話や要約筆記、指点字等を含めた多様な言語の選択、コミュニケーションの手段の保障の重要性・必要性」が指摘された。これらを踏まえて、聴覚障害者や盲ろう者、視覚障害者、さらに、知的障害者、重度肢体不自由者を含めた今後のあり方をどう考えるか? ・・・17

論点D-1-7) 現行の補装具・日常生活用具についてどう考えるか?今後のあり方についてどう考えるか? ・・・28

論点D-1-8) 現行の自立支援医療についてどう考えるか?基本合意において、「当面の重点な課題」とされている利用者負担の措置に加えて、どのような課題があると考えるか?・・・38

(分野D 支援(サービス)体系)
<項目D-1 支援(サービス)体系のあり方について>

論点D-1-5) 地域生活支援事業の意義と問題点についてどう考えるか?地域生活支援事業の仕組みになじむものと、なじまないものについてどう考えるか?

【朝比奈委員】
○結論
市町村の裁量で可能となる事業の枠組みは必要だが、具体的な内容に関わる縛りは最 小限にすべき。そうでなければ地域生活支援事業の意義が薄れる。

【荒井委員】
○結論
障害者のニーズや地域の実情に応じて柔軟に事業を実施できる点に意義があると考え る。
どの市町村においても一定水準の事業が実施できるよう、標準的なモデルを示すとと もに、統合補助金及び交付税措置により実施しているため、事業の充実に取り組む区市 町村に財源不足が生じており、また財源不足により事業の充実が困難な自治体もある等 の問題点がある。(区市町村が必要なサービスを提供できるよう、安定的かつ十分な財政措置が必要である。)
なお、日常生活用具給付、移動支援事業など、個別給付になじむ形態のものは、地域 生活支援事業ではなく個別給付とするべきと考える。

○理由
区市町村が、個別給付になじまない事業を含め、柔軟な事業運営を効果的効率的に実 施することが可能であるが、統合補助金及び交付税措置により実施しているため、事業 の充実に取り組む区市町村に財源不足が生じている。
移動支援事業など、個別支援化に適するものについては、統一的な基準によるサービス 提供が行われることが適当であると考える。
国は市町村が従来から実施している個々の事業を地域生活支援事業として統合したが、 国の交付する補助金が必要額を下回っていることから、その範囲内で実施する市町村と 超過負担をして実施する市町村があり、市町村間で取組みに格差が生じている。

【伊澤委員】
○結論
個別給付ではない事業の存在は必要と思う。また隙間を埋める役割も有るはずだが、 それが自治体への丸投げという構造に問題を感じる。さらに市町村と支援事業所が協同 できる具体的な活動の提示などがあれば裁量的経費も意味を成すようにも感じる。そし て必須事業は地域生活支援事業にはなじまない。

○理由
地域生活支援事業は、地域ごとの生活支援事業なのか、それとも、地域生活を支援す る事業なのか判然としない。それほどにあいまいな存在。また必ずどの市町村もやらな ければならない事業において地域格差が起きているのは制度の欠陥というべきものであ る。地域生活支援事業は、国の基準以上にプラスが出来る発想で進めるべき。そして官 民の協同を模索することは大きな課題である。

【石橋委員】
○結論
地域生活支援事業の意義と問題点
地域の特性に応じて地方自冶体が取り組むべき事業を柔軟に企画、実行することには 意義がある。しかし、広域的な取組みを都道府県としたが広範囲で具体的な内容が示さ れていないため取組みが弱い。
仕組みになじまないのは、移動支援や地域活動支援センター、福祉ホームなど、地域に関係なく普遍的なものは介護給付の範疇にすべきである。

○理由
地域生活支援事業を自冶体に裁量経費として単に地域に委ねたため、利用者からの観 点が見失われ、地域間格差も生まれた。

【氏田委員】
○結論
「地域生活支援事業」は、新たに作られる福祉法が「地域で生活する権利」を保障す る支援制度であるから、その中心に据えるべき事業であり、地方自治体の裁量に任せる べきではない。障害を抱えつつ地域生活を営む人たちにとって、生活に関わる相談をす る場所が身近にたくさんあることは地域生活の要である。特に発達障害の場合には、障 害を抱えていることが周囲にわかりづらいために、地域生活の様々な局面で大小いろい ろな困難に直面することが多く、そのことが、地域生活が崩れていく発端となる場合も 少なくない。身近な相談場所が特に必要である。また、その相談内容を包括的に捉えて、 障害を持つ人の地域での暮らしやすさを検討し方向を示していく地域自立支援協議会の 役割は重要である。そのため、相談支援事業および地域自立支援協議会を法定化し、安 定的な地域資源となるための裏付けを与えるべきである。その条件が満たされることで、 その地域に真に必要な地域生活支援事業の姿を見通していけると考える。 (相談支援・地域自立支援協議会が十全に機能しなければ、必要な地域生活支援事業の姿も見えないで あろう。)
上記の状況が実現していく中で、市町村の裁量で展開できるという地域生活支援事業 のメリットを具現化していくことが重要である。地域生活支援事業はなくすべきではな い。同時に、その地域生活支援事業の当該地域における優先度に応じて事業実現のため の国からの助成などがあるとよい。また、地域生活支援事業の中には、移動支援事業、 コミュニケーション支援事業、自立生活プログラム、地域活動支援センターなど、発達 障害の人たちにも活用できそうな内容が例示されているが、これらの事業が発達障害の 人たちの特性にも合致する形で展開されるためには、発達障害支援の専門性を持った人 材が必要である。
高い専門性を必要とする事業については個別給付化を検討すべきと考える。

○理由
例えば、ガイドヘルパーが専門化されていない。重い障害のある人の外出は危険を伴 うことが多いが、登録されているヘルパーは、その業務だけで生計を成り立たせること ができないため、学生もしくは60 歳以上の一般市民がボランティア的に関わっている場 合が多く、パニック、自傷、他害などを生じる場合もある本人の状態を十分に把握、理 解した上で支援出来る知識と技術のあるヘルパーを増やす必要がある。そのためには時 間給をあげて研修を金づける必要がある。

【大久保委員】
○結論
既述したように、現行の地域生活支援事業において地域間格差が大きな課題と考える が、今後の地域の成長を促す意味も含めて、地域が主体的に創意工夫のなかで地域福祉 を推進するということに意義があるものと考える。
ただし、全国のどこに暮らしても一定水準のサービスを確保する必要があると思われ る「移動支援」や「コミュニケーション支援」、「日常生活用具」などは、地域生活支援事業になじまないと考える。
また、発達障害や知的障害のある人たちにとって重要な相談支援は、必須事業となっ ているが、その性格上個別給付になじまないとはいえ、その質に格差があるとともに財 政基盤等が脆弱であり、別途そのあり方や取扱いについて検討する必要があると考える。

【大濱委員】
○結論
市町村と障害者の間で適切な話し合いや参画がある場合は、入院中の介助や通勤の介 助や通年長期の通学など外出介護を認める市町村が出るなど、一定の改善効果があった が、逆に、多くの市町村では障害者の参画がなく、外出制度が支援費制度時代より悪く なった。
個別給付に移動介護を再度入れる場合は、市町村独自で移動介護項目(内容)を実施 できる制度にするなど、配慮も必要。

【岡部委員】
○結論
個別給付は地域生活支援事業と分離して介護給付と一元化し、地域生活支援事業はコ ミュニケーション支援事業や相談援助事業、ピア・サポート事業、研修事業などに対す る運営費補助事業を中心としたものへと再構成されるべきである。

【小澤委員】
○結論

  • 地域生活支援事業は、その内容よりも、市町村格差を生み出す財源に問題がある。 ただし、市町村の地域環境に応じたサービスの提供という視点は重要。
  • 介護給付、訓練等給付を日中活動、社会参加、居住、移動、コミュニケーションの各支援事業に再編し、権利擁護支援、相談支援、専門職員研修の事業を加えることによっ て、地域生活支援事業という領域は廃止。

○理由

  • 地域生活支援事業は、その内容よりも、市町村格差を生み出す財源に問題がある。 ただし、市町村の地域環境に応じたサービスの提供という視点は重要。

【小野委員】
○結論
廃止し新たな体系とする。

○理由
地域生活支援事業も、介護保険制度との統合を念頭に体系化され、しかも国庫負担金 の対象外とされてしまった。これらについては、国庫負担金の対象制度として再構築す る必要がある。そもそも自治体の裁量に委ねるべき事業は、自治体独自の事業や加算制 度である。

【門屋委員】
○結論
コミュニケーション支援、移動支援、相談支援の一部は障害者支援の基礎的条件とし て国が責任を持つべきと考えます。全体に財源の課題が大きい。交付金では市町村格差 が生じ、義務的経費にすべき内容も入っています。地域活動支援センターはすべての市 町村ないし特定人口規模に必要な基本資源です。

○理由
コミュニケーション支援、移動支援、相談支援の一部と地域活動支援センター、日常 生活用具は義務的経費とすべき。
相談支援の一部とは、相談支援は重層的体制が必要であって、中立・公平を確保する 行政からも独立した基幹型相談支援センターとマネジャーは人口割りプラス障がい者住 民割の設置を義務付ける体制が必要です。

【河崎(建)委員】
○結論
事業拠点を作るより、地方行政(市区町村)の中で支援事業を担うことが必要。福祉 は行政サービスの一環であるべき。

○理由
生活支援は基本的に、①居・衣・医②食・職③住まい である。この中で職と住につい ては運営主体だけでは限界があり、雇用主や家主や地域住民との交渉がうまくいかない。 また地域性に片寄りがあると平等なサービス提供は期待できない。

【川崎(洋)委員】
○結論
地域生活支援事業は専門性の高い相談支援が必要。当事者のニーズに添った支援ができ る人材の育成に力をいれてもらいたい。職員の配置を十分にすることも必要。独り生活をしている人にとって、入浴や食事サービスや、仲間との交流は大変役に立つ。

○理由
コミュニケーション支援、移動支援は個別支援と考えるので、広域的な地域生活支援事 業では対応できないのではないか。

【北浦委員】
○結論
地域の実情に即して事業を弾力的に実施することは意義あることであるが、どの地域 でも必須な介護サービス事業である日中の短期入所や、移動支援などがこの中に位置づ けられているのには問題があり、その事業内容を精査し適切に対処すべきである。

○理由
日中一時支援や移動支援も介護サービスの一つであり、生活介護の一部であるから、 実施主体である市町村が実施しなければならないサービスとして位置付ける必要がある からである。

【君塚委員】
○結論
必要な事業であるが、個々の内容が柔軟になっていない。また、地域格差が大きい。

○理由
さまざまな支援の狭間となって抜け落ちてしまうものをカバーする支援をひとつの柱 として、広く対応できるようにものでありたい。

【倉田委員】
○結論
必須事業については、従来実施していなかった自治体でも導入される事例が増え、一 定の意義は認められる。しかし、今まで国制度として、全国の自治体で実施されてきた 制度が、市町村事業となったことにより、サービス内容・質・量について、自治体間の 格差を生んでいることが問題点として挙げられる。なじむもの=コミュニケーション支 援事業、生活支援事業、社会参加促進事業。なじまないもの=移動支援事業、日中一時 支援事業、日常生活用具給付事業(D-1-7、D-2-2 参照)

○理由
コミュニケーション支援事業=サービス基盤が未成熟で現段階では全国的な基準を作 ることができないため、個別給付化することが難しい。生活支援事業、社会参加促進事 業=自立支援法以前からメニュー方式により実施されてきた補助制度で、全国の自治体 で一律に実施する状況になっていない。移動支援事業、日中一時支援事業、日常生活用 具給付事業=国として、ナショナルミニマムを保障すべき基本的事項であると考えるた め。

【近藤委員】
○結論
地域の特性、ニーズに合わせた事業を、併給などに縛られず、柔軟に実施できること に意義がある。問題点としては地域格差がある。地域生活支援事業については、基本部 分は国の責任の下で義務的経費化すべきと考える。
地域生活支援事業になじまないものは福祉ホームであり、グループホーム・ケアホー ムと体系を統合していくべきと考える。

○理由
相談支援事業については、市町村障害者生活支援事業、障害児 (者)地域療育等支援事 業、精神障害者地域生活支援センターが、国庫補助から一般財源化されて以来、地域に よっては、相談件数は増加し、地域にとってなくてはならない事業になっているにも関 わらず、毎年、報酬が引き下げられ、止む無く事業所が自費で事業展開しているところ がある。こうしたことを防ぐには、国の事業とするべきである。
福祉ホームの多くは、グループホーム・ケアホームの利用が認められなかった身体障 害者対象のものであり、機能を考えると、グループホーム・ケアホームとの一体化が望 ましい。

【齋藤委員】
○結論
地域生活支援事業の主要な事業がこのままでいいのかは大いに疑問におもうところで すが、現在各自治体がどのように事業を行っているかの実態をまず知りたい所です。

○理由
すべて国の責任で行なえればよいのですが、そうとばかりはいえず、地方の財政負担 と事業執行の状況をまず正確に知った上で今後の事業設計を判断したいと思います。

【坂本委員】
○結論
地域生活支援事業については、町ごとに柔軟な対応が可能となるようにしていただ きたい。
あわせて、国による費用の1/2補助がきちんとなされるようにしていただきたい。

○理由
町ごとに地域性や対象者の数、障がいのある方を支える社 会資源の状況などにか なり差があることから、障がいのある方を支える体制の充実を図る道筋も自ずと町ご とに相当違う。地域生活支援事業の国補助が安定的に確保されていないため、事業実 施を躊躇する自治体も少なくない。

【竹端委員】
○結論
今のじてんでは、どれもなじまない

○理由
障がい者のけんりをまもるしくみは、どの地いきに住んでいてもあたり前にまもられ るべきもの(ナショナルミニマムやシビルミニマム)である。今の法では、そのあたり 前にまもられるべきところも、市町村に決めさせ、国はお金も出しおしみしているのは 問題だ。
一方で、国はけんりをまもった上で、市町村がそれ以外に地いきの特ちょうに合わせ て出きること・すべきこともあるかもしれない。それを応えんする制度は、作ってもよ い。ただ、高れい者や子どもの同じようなしくみ(制度)もふくめて、 「地域生活支援事業」のようなものになじむものは何か、をあらためて考えなおしたほうがいい。

【田中(伸)委員】
○結論
障害者の個々的なニーズに対応するという点で、地域生活支援事業の意義は認められ るが、その財政的基盤がすべて裁量的給付とされた点が問題である。障害者の人権保障 の実質化を支えるという観点からは、重要な人権を支える支援については、地域生活支 援事業であっても、義務的給付とすべきである。

○理由
障害者は保護の客体ではなく、権利の主体であり、人権の享有主体であるという考え 方は、まだ、わが国において一歩を踏み出したにすぎない。従って、立ち遅れている障 害者の人権保障の実質化を進めるためには、重要な基本的人権の保障を支える支援につ いては、地域生活支援事業であっても、義務的給付とする必要がある。

【田中(正)委員】
○結論
個別給付でまかないきれない生活上の課題を解決する機能が、地域生活支援事業に求 められている。このことが理解された自治体では有効な機能となった。しかし、理解さ れない自治体では、個別給付か地域生活支援事業の二者択一を求めたところもあり、大 きな混乱を生じた。個別給付でどこまでを受け止めるのかによって地域生活支援事業の 性格が決まるため、まずその整理が必要である。その上で地域生活支援事業が仕組みの 上で果たす役割は地域ごとに違うので、その基準を自立支援協議会で具体的にすること が必要である。

○理由
個別給付と地域生活支援事業における国の役割と責任のかけ具合に開きがありすぎて、 結果として地方自治体の裁量が高くなりすぎて、障害者自立支援法の理解が薄いまま、 個別支援計画の立案も行われていない状況が多く発生したため。

【中西委員】
○結論
すべて個別給付のサービスに戻すか、相談事業などは国が1/2の国庫補助をきちん と出し地域生活支援事業は廃止すべきである。

○理由
地域生活支援事業はサービスの谷間にある事業や本来個別給付にすべきガイドヘルプ などが延命維持するための仮の事業の場となっている。その問題点は国庫補助が10 割で なく、7 割以下しかなされないところにあり、市町村の大きな負担となっている点にある。
つまりサービス水準は低く、利用制限をかけられたガイドヘルプ、手話通訳などのサー ビスが行われており、市町村による格差は大きい。財源を10 割確保されたとして、地域 生活支援事業になじむ事業はない。このような曖昧な中途半端な事業を残すことは国の 責任を放棄するものであり。障害者の福祉サービスはすべて国家が責任を負って行うべ きものであり、中途半端な対応は許されない。

【中原委員】
○結論
地域生活支援事業は地方自治体が地域の実情に応じて主体的に進めていくことができ る意義のある事業であると考える。一方で、現状においては移動支援など個別給付(自 立支援給付)の対象が妥当であると考えられる事業が地域生活支援事業の対象となって いる、自治体の取り組みに格差が生じている、などの課題もある。
よって、義務的経費(自立支援給付)の対象を拡大し、地域生活支援事業は地方自治 体が創意工夫して進めるべき事業と個別給付になじまないものに限定すべきである。 また、知的障害のある人たちにとって重要な相談支援は個別給付にはなじまないものの、 その取り組みに自治体間の格差があり、財政基盤も脆弱であることから、そのあり方に ついての検討が必要であると考える。

○理由
地域生活支援事業は地方自治体の裁量に応じて柔軟に実施できることに意義があるが、 地方自治体の判断に委ねられていることが地域間格差を生む原因となっているため、対 象事業を精査する必要がある。

【西滝委員】
○結論
柔軟なサービス提供を可能とすることを意図したものが地域生活支援事業とするなら ば障害福祉サービスそのものを柔軟な形で行えるように変えれば良い。地域活動支援セ ンターを活用して、聴覚障害者の生活支援を行う事業が聴覚障害者団体や法人の努力で 広がってきている。地域生活支援事業もこれらのような創意工夫ができる仕組みを残し、 障害福祉サービスに統合し、すべてを義務的事業とすれば、報酬基準、予算による利用 制限などの問題が解消される。
また、聴覚障害者は市町村に分けると数が少なく、かつ都道府県単位で広く行動する など、市町村単位ではニーズに応えきれない。都道府県単位の広域を単位とする事業の 展開が必要である。

【野原委員】
○結論
地域生活支援事業について、慢性疾患患者のなかで、肝臓病疾患などでは、同病者に よる療養支援情報提供や、食事(栄養)、運動療法など、個々の患者の病態に応じた療養指導・援助も必要となります。 現在、その手立てが長期間疾患患者に無いことが問題点です。地域生活支援事業のなかでしっかり位置づけること。 現在、都道府県にある難病・相談支援センターを各都道府県の主要地域に拡大すべきである。

○理由
長期慢性疾患患者のなかには、肝臓病患者など、薬物療法だけでは病気の改善は見込 めない場合もあります。日々の食事や運動療法が、肝臓や身体全体の機能化以前に役立 つことはエビデンスの得られた患者支援の対応です。そのためには、一次医療圏ごとに、 このような栄養や運動に関する患者・家族指導・支援体制が必要である。

【東川委員】
○結論
地域生活支援事業は全面的に見直すべきである。 特に相談支援事業は地域活動支援センター等への併設型ではなく、独立した機能をも つ基幹型の機関として地域に整備をすべきである。

○理由
相談支援における全国的に統一した質の担保が必要であり、日常生活用具についても 市町村の予算により給付されない等があってはならない。移動支援についても、個人の 生活に関わることが市町村格差を及ぼすことに問題がある。
障害のある人が他の者との平等を獲得するための費用、障害があるために必要な経費 については国で責任を持つべきである。
相談支援は基本のサービスであるため。

【福井委員】
○結論
前段で述べたとおりである。

○理由
前段で述べたとおりである。

【藤岡委員】
○結論
地域特性に応じた、相談支援事業、会場で多数の聴衆向けの要約筆記派遣事業、人材 育成事業などはあってよいと考えるが、それも予算の面では義務的経費が原則ではない か。
「地域活動支援センター」の現状の役割を否定しないが、裁量的経費補助は義務的経 費とされるべきである。生活介護と区分する意味はなく、個別給付としての日中活動支 援として基本的には統合できる。
「地活は工賃不要」の制度であるが、そのことで利用者が生き甲斐を感じられない漫 然とした日々を過ごすのではいけない。
企業との様々なコラボを工夫して、利用者の生き甲斐と工賃にも反映する仕組みを更 に推進するような仕掛けが必要。

○理由
地域生活支援事業は、法95条第2項第2号で予算の範囲での経費の裁量的補助とな っている。この低い位置づけに甘んじることで何ら構わない支援事業というものが想定 される のかが今一つ理解できない。
利用者の程度区分が軽度でも社会との接触などが多く、社会的支援が篤く必要な場合 も少なくない。現状は報酬単価が低すぎる。
そのことも原因として、製造業の細かな下請けの単純作業等で工賃にも結びつかず、 利用者の生き甲斐に結びついていない場合もあるのではないか。
自立支援法下での就労継続事業等での工賃倍増計画等の取り組みには限界が大きいも のの、事業者が利用者に更に工賃を保障するための工夫や改善の余地はまだまだあり、 それは事業所の自主努力だけでは改善は難しく、国と都道府県レベルも含めた、企業等 と福祉事業所のタイアップ事業の推進のための制度が必要。

【増田委員】
○結論
全面的な見直しが必要。支援を実施するのは身近な市町村単位であるべきだが,障害 のある人が他の者との平等を獲得するための費用,障害があるため必要な経費について は国で責任をもつ。

【三浦委員】
○結論
一部の支援メニューを個別給付に再編するとともに、それ以外については実施の必須 化や財源確保を含め、自治体が積極的に実施できる基盤を整備すべきである。特に、地 域生活支援事業のうち、「移動支援」については複数の人々が共同で利用する場合の事業を残した上で、 個別の移動支援に関する部分については個別給付化し、双方を組み合わせて利用できる仕組みとすべきある。 また、「日中一時支援」の提供実態を把握し、地域間格差や報酬格差の解消が必要である。

○理由
地域生活支援事業については、地域の実情に応じて展開できる側面があるものの、財 源不足やノウハウの不足等の問題により十分に機能していない現状がある。そのため、 大きな地域間格差等の課題が生じているため。

【光増委員】
○結論
個別給付の方が良いサービスは個別給付に再編すべきだ。移動支援、日中一時支援、福祉ホーム。

○理由
地域生活支援事業は市町村の事業になるので、市町村と契約していない市町村での利 用ができなく、移動の保障が出来なくなっている。また日中一時支援事業も市町村の任 意の事業なので実施していない市町村もある。これも個別給付にすると全国どこの市町 村でも使えるようになるから。福祉ホーム利用者の居住地特例も含めて個別給付を検討。

【森委員】
○結論
国が事業ごとの補助基準を設けていない地域生活支援事業は、具体的なサービス内容 や利用手続き、報酬などが、自治体の実情に応じて取り組まれている事業となっている。また、同事業には必須事業とそうではない事業があるが、区別する必要性はない。
地域生活支援事業については義務的経費化すべきと考えられ、むしろ、現行の介護給 付、訓練等給付と地域生活支援事業とは統一すべきである。

○理由
生活全体を踏まえた総合的なサービスを必要とする場合、財政的、事務的な支援だけ でなく、ケアマネジメントの手法を活用し、障害者一人ひとりが、主体的に自らの実現 可能な生活全体の目標を設定し、現状とのギャツブ埋める手法の面からも、現行体系は 適切なサービス体系とは言えない。

【山本委員】
○結論
地域間格差が問題

○理由
A 市とB 市に置いて障害者の他のものと平等な人権享受に格差が出てはならないから

論点D-1-6) 現行のコミュニケーション支援事業についてどう考えるか?推進会議・第一次意見書では、「手話や要約筆記、指点字等を含めた多様な言語の選択、 コミュニケーションの手段の保障の重要性・必要性」が指摘された。これらを踏まえて、聴覚障害者や 盲ろう者、視覚障害者、さらに、知的障害者、重度肢体不自由者を含めた今後のあり方 をどう考えるか?

【荒井委員】
○結論
コミュニケーション支援は、全ての障害者の自立にかかせないものであり、手話や要 約筆記といった個別の支援のほかに、地域においてコミュニケーション支援に対する理 解を深めることにより、聴覚障害者や盲ろう者、視覚障害者、さらに、知的障害者や重 度肢体不自由者等に対しても、障害者が地域で生活していくなかで円滑にコミュニケー ションが図れるよう、地域において取り組みを進めるべき。

○理由
コミュニケーション手段を確保するためには、手話や要約筆記といった個別支援のみ によるのではなく、地域で障害に対する理解を深め、だれもがコミュニケーション支援 に取り組む必要があると考えるため。

【伊澤委員】
○結論
コミュニケーション保障は、手話や点字だけの問題では無く、あらゆる障害を持つ方 の支援の前提として必要である。唯、それは中々難しい事では有るが、それが重要だと いう認識を忘れない事が大切だと思う。

○理由
どうしても、コミュニケーションと言うと、手話通訳等の事が中心で考えられやすい が、知的障害の方や重度の方とのコミュニケーション手段の難しさを感じている。その 技法の研究や普及も必要では有るが、マンパワーの支援の重要性も大きいと思う。ずっ と同じ人というのは、一概に良いとは言えないが、有る程度支援者の継続性は必要だと 思う。その人に専属のケアマネがつくという視点が必要だと思う。

【石橋委員】
○結論
社会参加にはコミュニケーションが無ければ実現不可能。そういった点では、多様な コミュニケーション手段の支援は必要不可欠と言える。国際会議に言語通訳が必須であ ることと同様である。
知的障害者のコミュニケーションにはさらに噛み砕いた対応が求められる。
また、中途で聴覚、視覚に障害持つこととにった方、高齢に伴う盲ろう者へのコミュ ニケーション手段の開発や、先天性の知的障害者、重度肢体不自由児者へのコミュニケ ーション手段の開発が必要。(家族への指導を含む)
いずれも確実な情報提供があること。

○理由
コミュニケーションを必要とする、誰もが、必要な時に、必要な場所で利用できるも のでなければならない。

【氏田委員】
○結論
知的や発達障害などソーシャルコミュニケーションに困難のある障害のある人たちに 対しても、自己決定、自己選択に基づいたコミュニケーション支援事業の発展が必要で ある。
現行では、感覚レベルを主としたコミュニケーション支援事業であるが、知覚・認知 レベルの困難さにも焦点を当てたコミュニケーション支援事業へと展開を図るべきであ る。

○理由
自閉症など発達障害の主たる障害はソーシャルコミュニケーション障害であり、コミ ュニケーション(情報を受け取る・情報を発信する・その相互性)に支援を必要として いる。乳幼児期からのコミュニケーションについての発達支援も必要である。また、文 字の大きさや行間の広さ、背景色と文字色の選択などの知覚レベルの配慮によってその 文字情報にアクセスできる場合が広がってくる。この考え方は「文字情報を誰にでも読 みやすくするための取り組み」であり、情報アクセス権という基本的権利の保障と関連 している。認知レベルの困難さでは、自閉症の人たちへの支援で重要な視覚を通じた情 報提示によって地域生活が過ごしやすくなるような環境づくりをコミュニケーション支 援事業の中に含むべきである。さらに上記の知覚・認知レベルのコミュニケーション困 難を持つ人に対する支援においては、支援者が支援対象者の障害特性に応じたコミュニ ケーション方法を用いるための専門性を持っている必要がある。その意味でコミュニケ ーション支援事業とは、地域生活を進めていく上での前提条件であるとも考えられ、上 述の環境づくりは除くとしても地域生活支援事業ではなく個別給付化すべきものと考え る。

【大久保委員】
○結論
知的障害のある人たちは、他者とのコミュニケーションに難がある場合が多く、公的 機関の利用や手続き、交渉、会議などの場において、支援者の同席によるコミュニケー ション支援の制度化が求められる。

【大濱委員】
○結論
現行のコミュニケーション支援事業については、在宅障害者の一時入院中の重度全身 性障害者等の病室でのコミュニケーション等介助制度として行われ、従来国庫補助対象 でなかった入院中のヘルパー利用に国庫補助制度ができ、モデル事業的な役割を担った。 今後は、入院中のヘルパーによる支援は個別給付に入れるべきである。

○理由
入院中のコミュニケーション支援事業を使ったヘルパー利用の制度は、広く広報され ていないため、まだ全国でも一部の市町村でしか実施されていない。 個別給付にして全国一律で必要な人に入院時に即座に市町村の判断でサービスが受けられるようにすべき。

【小澤委員】
○結論

  • 聴覚障害者や盲ろう者、視覚障害者だけでなく、知的障害者、重度肢体不自由者を含めたコミュニケーション支援事業の創設を行い、この中で、情報保障の責務を明示する。

○理由

  • コミュニケーション支援事業を総合福祉法の中に置くよりも、コミュニケーション支援法といった法制度により、あらゆる生活支援分野に対する情報保障を明確することも 重要。

【門屋委員】
○結論
本人が選択した言語・方法を用意すべきです。本人の身近にいる人の意見や、権利擁 護者などの支援によって本人のニードをより適切に把握する努力が必要です。

○理由
特例を残すべきではなく、原則は全ての人のニーズに基づく生活支援を目指すべきで す。コミュニケーション困難ないし自己決定能力に問題があったとしても、権利擁護者 制度などを新設して、権利擁護者(アドボケーター)による支援が必要です。

【君塚委員】
○結論
医療工学を含めて医学的あるいはリハビリテ?ション的な進歩がなされており、今後も 進展すると考えられ、効率よく受益できるようにすることを含めて、統合的な研究所の ような機関を設置する。

○理由
利用者、研究者サイド、利用するための仲介組織などそれぞれが別個になりがちであ るので、中心的な組織により、より先進的で良い内容を使えるようにする。

【近藤委員】
○結論
コミュニケーション支援事業は、相互に必要な重要な事業である。聴こえない人にの み負担を負わせることはあってはならない。現行の市町村事業では、広域での活動が保 障されない。

○理由
伝わらないことは、聴こえない人の課題ではなく、聴こえる人と聴こえない人のコミ ュニケーションの課題であるという認識に立つ必要がある。

【齋藤委員】
○結論 コミュニケーション支援の重要性は誰もが認めるところであり、コミュ二ケーション 上の不利益をこうむっている全ての人々に対すて必要な支援を考えるべきである。介護 ヘルパーにおけるコミュニケーション支援の大切さをふまえた支援を考えなければな らない。

【佐野委員】
○結論
多様なコミュニケーション手段がある中で、本人の選択権が尊重され必要な時に、必 要な場に、必要とする方法で保障されることが必要である。コミュニケーション支援の 中で音声伝達機器 (補聴援助システム等)の事業への組み入れが必要である。また、要 約筆記者養成事業の位置づけがなされていないことで、当事者、関係者に無用の混乱を 招いている現状を早急に解決すべきである。

○理由
コミュニケーション支援の中で、聴覚障害者に対する補聴援助システムの有効性・有 用性に鑑み、その普及と利用促進をはかり、ひいては聴覚補償による有効性、有用性を 確認することで、聴能訓練につなげていくことができる。聴覚活用を図ることにより、 聴覚障害者の生活の質の向上に資することができる。
聴覚補償 (補聴器や人工内耳)による聴取が困難な聴覚障害者にあっては視覚活用に よる要約筆記が有効である。専門的人材養成として要約筆記者の養成が必要であること は自立支援法施行時から指摘をしてきたが、未だ何らの進展もないままとなっている。

【竹端委員】
○結論
パーソナルアシスタントサービスと情報保障のふたつ

○理由
一人ひとりの思いや願いを伝えづらさを支えることはパーソナルアシスタントにな じむ。でも、手わ通やくや点じなどは、それとは別に、求める人すべてに対おうできる 仕くみをつくるひつようがあるのではないか。

【田中(伸)委員】
○結論
「コミュニケーション支援」は、基本的には、障害者が憲法21条で保障されている 表現の自由を行使するために必要な支援であることが確認されなければならない。 また、コミュニケーションの具体的内容としては、情報の発信及び入手、手話、点字などの言 語選択などが想定されるが、各障害者から現在抱えている問題点と必要な支援を十分に 聞き取り、支援体系を構築していくべきである。

○理由
他者とのコミュニケーションは、障害者が個人として尊重されるための前提をなすも のであり、コミュニケーション支援は障害者にとって必要不可欠な支援である。 従って、新法における支援の中心に据えられるべきものであり、障害種別に応じた柔軟かつ充実 した支援がなされなければならない。そのような支援が障害者の自己実現を支えるもの だからである。

【田中(正)委員】
○結論
知的や発達障害などの視点で捉えた多様な言語の選択、コミュニケーションの手段の 保障の重要性・必要性が具体化されていない。具体化に向けての検討、研修体制が必要 である。

○理由
発達障害や知的障害の方への情報提供のスキルが十分に成熟していないためである が、未熟な環境を掘り起こすスキルの確立と研修体制の基盤整備が不十分である。

【中西委員】
○結論
すべて個別給付の国による義務づけられたサービスとして全国の市町村での必須事 業とすべきである。

○理由
障害種別によるサービスの格差は許されないから。コミュニケーションや移動の支援 は普通の年齢の非障害者が当然のこととして受益しているものであり、障害の種別によ ってそれが受けられない人がいることは許されないため。

【中原委員】
○結論
従来のコミュニケーション支援だけでなく、知的障害者のコミュニケーション(意思 疎通・他者との交流)支援という観点からも検討すべき。

○理由
総合福祉部会でも意見としてあるように、知的障害者のエンパワメント(自分らしく 生きる能力・権利)を高めるためにも情報保障として重要である。

【西滝委員】
○結論
コミュニケーション支援は社会参加の基本的権利であり、市町村で格差が生じないよ う義務的経費とすべきである。
コミュニケーション支援を必要としているのは聴覚障害者だけでなく、健聴者も必要 としている。聴覚障害者だけが負担することはなじまない。利用者無料と明記すべきで ある。
コミュニケーション支援の人材確保が進まないのは労働条件等が非常に劣悪なため である。市町村窓口にろう重複障害者等にも対応・支援できるよう、専門性の高い手話 通訳者を雇用配置し、都道府県に設置の「聴覚障害者情報提供施設」に配置される手話 通訳者、福祉専門職と連携する体制を構築すること。
また、現状では個人が対象になっていて集団に対する情報・コミュニケーション支援 の仕組みがないので、集団に対する支援・保障する仕組みを整備する必要がある。
情報保障・コミュニケーション支援について、多くの課題を根本的に改善していくた めには、情報保障・コミュニケーション支援の目的、定義、対象者、範囲、権利行使等 のため情報・コミュニケーションに関する基本法の制定が必要である。

【野原委員】
○結論
ALS(筋萎縮性側索硬化症)やSCD(脊髄小脳変性症)、筋ジストロフィーなどの重篤 難病患者へのパソコン・個別に開発されるセンサーなどの進行・変化に対応する資材の 供給、訓練を含めた支援コミュニケーション支援をする業者の育成、家族への支援、人材の養成

【橋本委員】
○結論
発症早期から会話によるコミュニケーションが障害されるALSでは、透明文字盤や 意思伝達装置のITサポート、進行二に伴うスイッチの作成などの支援が、ボランティ アで細々と行われている。命を支えるこれらの支援の制度化が是非必要である。

○理由
視聴覚障害のみならず、重度身体障害者にもコミュニケーション支援が必要である。

【東川委員】
○結論
従来からコミュニケーション支援の重要性が指摘されていた視覚障害、聴覚障害、ま た支援の手法が異なるが、知的障害、重度肢体障害、失語症者、発達障害者などにそれ ぞれにニーズに応じた適切な支援が確保されることは基本的権利である。したがって、 その事業経費は国の義務的経費とし、市町村格差が生じないようにすべきである。 また、それらのコミュニュケーション支援については無料化するべきである。

○理由
他の者との平等な生活を保障する基本的権利であるから。コミュニケーション支援は、 コミュニケーションを必要とする全ての国民が対象となるものである。実際に、機能的 障害のある人とコミュニケーションを持つ際には、機能障害のない人もコミュニケーシ ョン上の障害を有することになるのだから。

【福井委員】
○結論
推進会議の第一次意見書にあるとおり、「障害者は必要な情報及びコミュニケーショ ンが保障される権利を有する」のである。障害別の具体的な要求が全て実現するように、 国は全力をあげるべきである。

○理由
このことは、憲法で保障された基本的人権にかかわるものであり、国連の権利条約批 准に向けた国内法の整備についても、欠かせない重要課題である。

【藤井委員】
○結論
コミュニケーション支援を受けることは基本的権利であることから、その経費は国の 義務経費とするとともに、市町村間の格差のない事業体系とし、全都道府県・市町村で 実施されるべきである。またコミュニケーション支援は、利用者のうち特定の個人等が その費用を負担することにはなじまず、無料化を徹底すべきである。

○理由
権利条約の第21 条では、「手話、点字、補助的及び代替的な意思疎通並びに障害者が 自ら選択する他のすべての利用可能な意思疎通の手段、形態及び様式を用いることを受 け入れ、及び容易にすること」を求めており、その確保を困難にしないような制度設計 が求められるため。

【藤岡委員】
○結論
まず、コミュニケーション支援は障害を持つ人が市民参加するために憲法第21条表 現の自由の保障に基づく基幹的な基本的人権保障としてなされるものであることの法 律上の明確化が重要である。

○理由
第5回総合福祉部会での田中伸明委員の発言意見に同旨である。
障害者の人権保障の本質からみて、裁量的経費補助制度としての地域生活支援事業に コミュニケーション支援が位置づけられたことは、障害者自立支援法の大きな過ちであ る。
盲ろう者、視覚障害者の点訳保障その他のコミュニケーション支援請求の権利は、他 の者との平等の権利、社会参加の前提としての表現の自由、知る権利が保障されるため に重要である。

【増田委員】
○結論
コミュニケーション支援は,他の者との平等を保障するための事業であり,無料とす る。
精神障害のある人にとっても,みずからの意思を十分に伝えられない場合があり,そ うした場合には,支援者が必要となる場合がある。

【三浦委員】
○結論
当事者の意見を傾聴し、最も効果的に保障される仕組みとして改善されるべきである。 また、重度の肢体不自由者で言語障害のある方々のコミュニケーション支援について は、日常的な支援(ケア)と切り離せるものではなく、聴き取る姿勢がケアの質を決め る。従って、生活支援の中に支援時間として保障される必要がある。

○理由
障害特性により必要とされるコミュニケーション支援や制度化の方法が異なるもので あり、個々の提案を十分に勘案し制度化が図られる必要があると考えるため。また、重 度の肢体不自由で言語障害のある方々については、ニーズ表出や日々の支援における意 向の確認等を含め、支援の提供に欠かせないものであり、生活支援の中に保障されるべ きであると思われるため。

【光増委員】
○結論
今後のあり方として、コミュニケーション支援(情報提供支援を含む)を、専門領域 として取り扱うだけではなく、各福祉サービスの共通機能の中に、コミュニケーション 支援をしっかりと位置づけていく必要がある。

○理由
コミュニケーションと情報は人が暮らす上で最も重要な問題であるが、福祉サービス の中でのコミュニケーションおよび情報バリアが、日常的な権利侵害につながっている。

【森委員】
○結論
コミュニケーションの支援を受けることは、基本的な権利である。障害のある人もな い人もお互いの意思疎通には必要不可欠な手段である。利用者のうち、特定の個人等が その費用を負担することはなじまず、無料化を徹底するなどコミュニケーションの支援 のあり方について抜本的に見直す必要がある。

○理由
市町村の格差を含めて、コミュニケーションの支援のあり方を再考する必要がある。

論点D-1-7) 現行の補装具・日常生活用具についてどう考えるか?今後のあり方についてどう考えるか?

【荒井委員】
○結論
補装具の種目、基準価格等を実情に合うよう見直すべき

○理由
電動車いすやデジタル式補聴器など基準価格が実勢価格を下回っているもの、基準価 格の設定のないものがある。

【伊澤委員】
○結論
必要な人に届く体制で有れば良いと思う。

【石橋委員】
○結論
補装具とは、利用者の身に付ける物、日常生活用具とは、豊かに日常生活を過ごすた めの道具である。

  • 補装具の内容の見直しと年齢と体格でサイズを変更する際の補助制度。
  • 個人に特化する日常生活用具は、個人負担とする。(費用負担の在り方が要検討)
  • 補装具費用が「給付」となったが、積極的な事業所の開拓がないので選択権が狭い。
  • 補そう具・日常生活用具は、日進月歩で開発されている。開発品を臨機に使用できるシステムが必要です。

○理由
補装具とは、利用者の身に付ける物で先天性の障害児にとって年齢と共にサイズや内 容が変わるもの。
用具は日進月歩である、用具によって耐用年数が決められており、代替えできない 使用する人を支援する制度にしなければならない。

【氏田委員】
○結論
これらの補装具・日常生活用具については、これらのツールを必要とする人にとって の合理的配慮であると考えるので、身体障害のある人のみならず、知的障害、発達障害、 精神障害などの障害特性に応じた教育用具なども日常生活用具の給付対象とすべきと考 える。(例えば、姿勢を保つクッション、紙の上で滑りづらい定規や巧緻動作が十分でな くても使えるコンパスなど)。また、補装具・日常生活用具についての一般市民の理解も 大切であると考える。保育園、幼稚園などの時代からの他者理解教育(アンダスタンディング・ フレンズ・プログラム)が必要と思う。

○理由
障害種別により利用できる補装具・日常生活用具が決められてしまっているが、ニーズ に応じて種別を取り払って利用できるようにする必要がある。(例えば肢体不自由の人の 意思伝達装置ボカなどは、音声言語を持たない自閉症に人には有効)補装具・日常生活用 具を、その人の最低限の生活を保障する物と考えるのではなく、その人の能力が学校や職 場の中で十全に発揮されるために必要な物と考えるべきである。アイフォンやDSなどI Tを利用したコミュニケーションツールがもっと安価に利用できるような措置が必要で ある。そのようにして、障害を持つ人のエンパワメント、そして自立生活の確立・地域生 活への移行と維持が保障されるからである。

【大久保委員】
○結論
パーソナルコンピュータにおけるコミュニケーションツールや例えば「コミュニケー ションボード」や「トーキングエイド」などは、知的障害のある人たちにとっても活用で きる日常生活用具として考えられる。

○理由
知的障害のある人たちの中には、言語の発声が困難であっても、絵や図形により意思 などを伝えることが可能な人たちがおり、コミュニケーションボードやトーキングエイ ドなどを活用して、他者への意思表示が可能となる。

【大濱委員】
○結論
入浴・トイレやベッドから車椅子への移乗に使う介護リフトは補装具制度に入れ、修 理屋部品交換の対象にするべき。

【君塚委員】
○結論
日常生活給付事業の支給基準について、市町村で定めるのではなく、国あるいは県で 定める方が良い。児における年齢制限は撤廃すべきである。
そして

1、レンタル制の導入などを可能なものから進める。
2、座位保持装置や車いす、電動車いすなどの交付や複数交付などを生活実態に応じて 柔軟な対応ができるようにする
3、車載用座位保持装置など生活様式の時代的な変化に応じて交付内容をスムーズにで きる国のシステムが求められる
4、適応や適合の判断が適切に可能な人材の養成が必要である。
 18 歳未満の場合、福祉が担うべき経費が作成現場に肩代わりさせている。

○理由
同じ県内でも市町村ごとに支給基準がことなり、利用者の戸惑いが大きく不公平さが 大きい。年齢では3 歳以上の給付となっているもの、18 歳以上となっているものがある。
1、まだ使用可能なものでも成長や生活の変化に伴って不要となるものがかなりある。
2、生活に必要なものであっても自治体の財政的な理由から許可されない事例が多い。
時代に応じて生活様式は変化するが、交付基準などが追い付いていない。
4、しかし現行の適合判定などのシステムでは人材の問題が多く適切な適応・適合がで きていない。日常生活用具ではすべて作成施設の負担持ち出しとなっている。

【倉田委員】
○結論
自立支援法により、補装具・日常生活用具の品目の組み換えが行われたが、ストマ装 具、人工喉頭については、位置づけを補装具に戻すべきである。

○理由
ストマ装具、人工喉頭については、障害者等の身体機能を補完・代替する、不可欠性 が極めて高い用具であり、単に、日常生活上の便宜を図るための用具とはいえないため。

【近藤委員】
○結論
社会モデルで捉えることを前提に、日常生活用具のうち、障害のない人と同じ基本的 な生活を確保するためのものについては、補装具に組み入れるべきである。

○理由
基本的人権の確保のため。

【齋藤委員】
○結論
補装具と日常生活用具の事業の一体化をはかると共に、より最新の先端的な機器を認 めていけるように、必要な機器の対象を拡げていけるようなシステムをつくる。

【佐野委員】
○結論
現行制度の谷間にある、軽度・中等度難聴者に対しての国際基準に基づく補装具 (補 聴器)の購入補助給付を実施すべきである。特に児童・生徒に対する支援は、将来の人材 育成の観点からも重要なことであるから、実施すべきである。
補聴器における価格算定に関しては基本性能のみの算定であり、補聴器の多くがデジ タル補聴器に代わりつつある現在にあった、基本性能追加の変更が必要である。

○理由
地域では、障害認定基準以下の聴覚障害者に対する、独自の施策として高齢者や児童・ 生徒に対する補聴器の給付事業を実施している自治体がある。国の施策が後手後手にな っている証しである。

【田中(伸)委員】
○結論
「地域で生活する権利」を新法の中心に置く以上、補装具・日常生活用具は障害者の 生活に密接に関わるものとして、必要十分な用具が支給対象とされなければならない。 また、支給対象用具の認定については、少なくとも年1回程度の改定作業を行うべきで ある。

○理由
補装具・日常生活用具は障害者の日常生活に密接に関わるものであるから、支給対象 の認定にあたっては、各障害種別のニーズを十分聞き取った上で、新たな機器類の開発 状況も視野に入れて、定期的に行われる必要がある。

【田中(正)委員】
○結論
日常生活用具の給付要件に原則として年齢制限を設定せず、給付対象とするかどうか は障害の程度と必要度によって検討することとする。
現在日常生活用具の品目にないアンビューバック*1 やパルスオキシメーター*2 を品 目に加える

○理由
日常生活用具の給付要件に年齢制限を設定すると、身体障害者手帳を取得していなが らも、特に乳幼児は給付を受けられない状況が発生している。
例)吸引器・吸入器・特殊マット・特殊寝台など パルスオキシメーターについてはすでに品目に加えている市町村もあるが、まだ十分 とはいえない。アンビューバックやパルスオキシメーターは小児慢性疾患の日常生活用 具の品目にも入っておらず、現状は自費購入をしている。(パルオキシメーターについて はレンタルもあり月額利用料約15000 円程度)上記も吸引器・吸入器同様、日常生活を 安全に営む上で必要となる機器であるため日常生活用具の品目に加える必要がある。

【中西委員】
○結論
現行の補装具、日常生活用具はその利用要件がこと細かに規定されており必要な人で も利用できなかったり、利用制限を受けている例が多い。補装具や日常生活用具は、障害 者の日常生活に不可欠なものであり、障害者に自己負担を求めることは根本的に間違えて いる。全額制度で保障すべきである。

○理由
IT 関係の情報発信機器は日進月歩であり、補装具や日常生活用具の制度はそれについ ていっていない。必要な機器は市場に出ると同時に活用されるべきであり、それを制度 で適用不適用と細かく規定することは不可能であるし、矛盾が多い。利用者が申請した 器具については行政単位で自由に裁量できる余地を残すべきであり、国が細かく対象品 目を規定すべきではない。

【西滝委員】
○結論
補装具は障害を補てんするものであり、本人負担はなじまない。自己負担金は全廃す べきである。補聴器の給付対象の認定基準は世界保健機構で定められている30 デシベル 以上を基準に支給をおこなうべきである。
火災警報器や、災害等の情報などの受信を容易にする、振動と光による携帯情報受信 装置を日常生活用具に加え、かつ、障害のない家族と同居しているときの支給制限をな くすこと。

【野原委員】
○結論
難病対策要綱(難病患者等居宅生活支援事業)で行われている支援の地域格差の解消 (1)福祉・介護事業での支援の一体化
難病対策要綱(難病患者等居宅生活支援事業)で支援が行われているが、利用制度 の優先順位で「難病」は最後となり使い難いことや啓発の不十分さが原因で利用度が 著しく低いのが現状
(2)現行制度との関係では、他の制度との統合や適切な周知などの改善が求められる。 また、機器の進歩に合わせて臨機応変に対応できるようにしていくべきである。 難病・慢性疾患患者の判定に際しては、当事者の訴えや専門医の意見も考慮に入れ て、当事者の状態に合った機器・用具を給付できるようにすること。
(3)進行性の疾患の場合、病気が進行し後遺症としての障害が現れる前の段階で予防 的に補装具や日常生活用具などを利用することによって、障害の重症化を未然に防ぐ ことができることもある。内部障害、慢性疾患の場合にも、電動車いすなどを利用す ることで体力の消耗を防ぎ、障害の進行・重症化を防ぐことは必要であり、そういう 場合にも補装具、日常生活用具が給付できるようにすべき。疾患名(進行性疾患など) による認定が必要になることもあり得る。
(4)電動車いすについては、難病・慢性疾患をもつ人たちへの利用が障害の重症化を 防ぐうえで有効であることを周知徹底すること。また、年齢による制限(現行では「学 齢児以上、小学校高学年以上が望ましい」とされている)を一律にせず、障害の特性 と子どもの成長・発達を考慮しながら、利用者に合わせて判断を行うこと。
(5)難病対策要綱に基づく難病患者等居宅生活支援事業は、そもそも「研究事業」と して行われていることに地域格差を生んだり、利用し難さの原因がある。福祉制度と して統合しない限りこの限界は破れない。

○理由
補装具、日常生活用具については、障害者自立支援法、介護保険法、児童福祉法に基 づくもののほか、「難病患者等居宅生活支援事業」や「小児慢性特定疾患児日常生活用具 給付事業」によるものが並存している。給付対象となる用具の種目がそれぞれ異なるほ か、適用の優先順位もあり、非常に分かり難く、使い難い。制度の統合や適切な周知な ど、改善が必要です。また、医療機器関連などの進歩はとても早く、最新の支援が受け られるようにすべきである。
例…パルスオキシメーターなどは、呼吸器障害の対象に対する支給を行っている自治体 があるが、まだわずかである。また、実施されているところでも心臓病のような循 環器系の障害については支給対象となっていない。
例…心臓機能障害の場合、歩行困難な状態にあるにも関わらず、電動車いすの支給対象 と見られないことが多々ある。体幹障害で身体障害者手帳をもっている多発性硬化 症患者で、病気の知識のない判定員により、その人に合った電動車いすが給付され ない事例もある。

【橋本委員】
○結論
意思伝達装置は補装具扱いであるが、給付を早くしてほしい

○理由
進行が早い患者には申請から給付まで時間がかかると、間に合わないことになる。

【東川委員】
○結論
高次脳機能障害者に必要なメモリーアシスト、トーキングエイドなども障害を補う必 要な道具として認められるべきである。

○理由
障害を補うツールであるため。

【福井委員】
○結論
支給が障害別の要求にしっかり応じられるような検討と改善を望みたい。支給要件の 緩和、支給された後の修理や持続した使用が可能となるようなアフターケアも充実すべ きである。障害当事者も入れた検討会議を、設置すべきである。

○理由
この分野では、諸外国に比べても後れをとっており、本人負担の軽減も含めて、誰で もが最新の用具を使えるよう、制度の拡充を図るべきである。

【藤岡委員】
○結論
日常生活用具支援も補装具と同じく、個別給付とされるべき。
必要性や規格の認定、支給額の決定などの抜本的な見直しが必要。

○理由
基本合意と一体の要望書の「1 障害福祉制度の根本問題」の「(7)」は 「障害者のニーズにあった補装具支給制度の抜本的見直し」として、 「障害者の日常生活・社会生活支援のための補装具につき、必要性や規格の認定、支 給額の決定などについて、各障害者のニーズにふさわしいものとなるように、現在の認 定制度や基準を抜本的に見直すこと。」としています。

【増田委員】
○結論
障害による生活上の困難さを減らしていくためにも、それぞれの障害のある人に有効 な日常生活用具の開発が必要。

【三浦委員】
○結論
障害のある人々の環境改善と障害の軽減につながる大切なものなので、必要な補装具・ 日常生活用具が活用できるように費用負担の在り方、支給のあり方、また、給付対象と なる補装具等の種類の柔軟な追加等の方法について検討されるべきである。

○理由
日常生活に不可欠である補装具等の利用に係る経済的な負担を軽減することが必要で あるとともに、我が国の技術による機器開発の推進に期待し、障害特性に応じた適切な 機器等が柔軟に利用できる仕組みが必要と考えるため。

【光増委員】
○結論
介護保険の特定疾病に該当する病気で障害者となった場合に、介護保険制度優先の見 直しが必要。

○理由
40 代で介護保険の特定疾病で障害者となった場合、リースしかできず、ずっと1 割負 担が必要になる。介護保険の利用者負担の制度を変えることも検討し、どちらの制度を 使うのか、選択できる仕組みにできないか

【森委員】
○結論
主として、財政面による現行の区分は福祉用具の二―ズの高まりと福祉用具の技術的 進歩、さらには、障害者権利条約第19条の地域生活権の保障の観点からも再考が求め られる。早急に、現行の補装具・日常生活用具に区分するあり方を抜本的に見直す必要 がある。

○理由
日常生活用具から補装具に移行したことにより、重度障害者用意思伝達装置の開発や 利用の促進に拍車がかかった。しかし、同装置の使用には専門的な支援が求められ、そ のための人材養成と専門的技術と知識を有した人材の適確な配置が必要になる。その他 の福祉用具についても、適確なアドバイスと使用に関する支援が必要であり、そのため の施設と専門的人材の養成と配置が喫緊の課題となっている。

論点D-1-8) 現行の自立支援医療についてどう考えるか? 基本合意において、「当面の重点な課題」とされている利用者負担の措置に加えて、どのような課題があると考えるか?

【荒井委員】
○結論
自立支援医療については、現行ではいまだに原則一割負担が基本で、応益負担となっ ているが、個人単位を基本として低所得者に対する軽減措置を図るなど障害者が安心し てサービスを利用できるようにすべき。
また、自立支援医療における更生医療については,その大部分が腎臓機能障害に係る 医療となっている現実を踏まえ,抜本的な予防施策の推進を進めるべきである。

○理由
自立支援医療については、サービスの利用者負担や補装具の利用者負担のような軽減 措置が講じられていないため。

【伊澤委員】
○結論
自己負担の発生しない制度が必要。そもそもは全国民的に無料化を志向する必要を感 じる。現状では大阪は国保加入者の負担はゼロと聞いている。全国普及すべし。さらに 医療対応体制として、夜間救急 (相談対応含)も大切。また一方で、医療の大量多剤投与 (精神で顕著)、デイケアの(漫然とした)長期利用等を助長しているようにも思う。よっ て必要以上の医療にならないかを見極められる仕組みが必要だと思う。

○理由
日常生活を送る上で大多数が医療とのつながりがある精神障害者にとって、医療は生 活をしていく上で欠かせない、補そう具のようなものであると考える。経済的理由によ り通院が滞り地域生活が破たんすることの無いよう願う。一方で「医療過多」とも見え る整理すべき問題も多く、理念と視点とを担保しながら臨む必要あり。

【石橋委員】
○結論
障害基礎年金を含めた年収での軽減策であり、世帯(家族等)への負担が大きい。生 活保護世帯同等に負担免除にするべきである(実際収入が無い障害者が多い)。
また、慢性疾患やてんかん、精神障害など継続治療を要する障害者であれば、完全免 除にするべきである。
更生医療などは、社会参加には欠かせない様々な補そう具や車いす作成に自己負担が 強いられることは、完全参加の保障の理念からも認められない。

○理由
継続治療と言うが、てんかんや精神疾患などコントロールされていることで社会参加 が保障されるので、社会が保障すべき点である。

【氏田委員】
○結論
向精神薬等が高価であることを考えると本人の自己負担はかなり深刻なものとなって いる。また、発達障害の場合、投薬だけでなく、障害特性に応じた発達相談やカウンセ リングによって日常生活適応が改善する。また、グループセラピーなどによってもその 後の生活適応が向上するということが、就学前期から学齢期、思春期、成人期のすべて の年齢期において認められている。そのため発達障害に応じた自立支援医療助成の具体 的内容を今後、盛り込んでいくべきである。

○理由
児童精神科、小児神経科などで行われている発達障害の診察や発達相談、カウンセリ ングなど、相談やカウンセリングには時間がかかる割に安価であるため、十分に時間を 取ってもらえないことが多い。カウンセリング料を時間制にして時間をかけることが必 要であり、十分な時間が本人の状態を正しく評価することにつながる。

【大久保委員】
○結論
自立支援医療については、低所得者層の負担軽減策から漏れおり、その対応が求めら れると考える。また、育成医療については、保護者の年齢層が若いことに着目し、単に 低所得者層の負担軽減をするだけではなく、中間所得層(年収350 万円~700 万円程度) の負担について特に配慮する必要があると考える。
現在の育成医療は、対象が身体的な障害に限定されているが、小児精神科などで行わ れている診察や発達相談、カウンセリングなどの保険診療も育成医療の対象とする必要 があると考える。また、自立支援医療のうち、都道府県が窓口となっているのは育成医 療だけであり、市区町村で手続きできるようにする必要があると考える。なお、医師が 制度のことを良く知らないため、制度適用が遅れてしまう実態もあり、制度周知が重要 である。

○理由
現在の育成医療は、対象が身体的な障害に限定されているが、「治療により改善が見込 まれる障害や疾病がある18 歳未満の子どもに対し、医療費を助成する」仕組みであると ころから、小児精神科などで行われている診察や発達相談、カウンセリングなどの保険 診療も育成医療の対象とする必要があると考える。一方で小児精神科医の絶対数が圧倒 的に不足している現状があり、併せて小児精神科医の養成が欠かない。
現在、育成医療の申請窓口は都道府県(保健所)であり、地域によっては非常に遠く まで手続きに行かなければならない。市区町村で手続きできるようにする必要があり、 それにより、市区町村も、支援ニーズの高い児童を早期に把握することができる。(現在 の身体障害者手帳のように「市区町村の経由事務」にし、実際の審査や医療機関の指定 は都道府県が実施すれば、市区町村も事務量増加とはならないと考えられる。)また、育 成医療は医師の判断により比較的柔軟な認定が可能な制度であるが、医師が制度のこと を良く知らず、制度適用が遅れてしまう(最悪の場合、使えない)事例が発生している。

【小澤委員】
○結論

  • 難病を対象にすることにより、難病に関する専門医療も自立支援医療に含まれる。

○理由

  • これまで、難病対策として取り組まれてきた医療費助成制度を、自立支援医療に含む ようにして、制度の整合性を図る。

【小野委員】
○結論
福祉法と医療は切り離し、医療制度として体系化し原則無料とする。

○理由
福祉と医療の制度を独立した法制度として確立することは制度の歴史的な発展として 当然のことである。それを無理矢理に自立支援医療として組み入れたのか、未だにその 意図がわからない。

【門屋委員】
○結論
精神科におけるデイケアが自立支援医療の対象となっているが根本的に考え直すべき です。また、多量多剤投薬による本人の身体的負担や実際に服用せずに廃棄されている現 実など、経費の無駄について検討すべき。

○理由
財源利用についてデイケアの活動内容が質的に問題があり。地域活動支援センターな ど日中通所資源よりも質的に劣るところ、ないし同じようなところもあるにもかかわら ず、経費が高すぎるなど問題があります。それだけの経費と人材を地域活動に向けるべ きです。

【河崎(建)委員】
○結論
自己負担限度額については応能負担でよいと思う。

○理由
医療の必要があるのにも関わらず低所得のため受診を継続できないことを考えると応 能負担を原則とすべきである。応能負担により、低所得者であっても状態悪化時にはい つでも受診できるという安心感が生まれる。

【川崎(洋)委員】
○結論
利用者負担の軽減措置は入院費にも適用されるべきである。福祉的支援をするという 目的であれば、3割を上限として本人の収入を基にした応能負担とすべきである。

○理由
精神疾患は、病状が安定せず、入院が必要な場合もあり、長期に亘る。無年金者も多 く、入院医療の3割負担は厳しく、入院拒否のケースもでてしまう。早急に改善してほ しい。

【齋藤委員】
○結論
当面の課題として今すぐ利用者負担が自立支援医療のみが残されたことをまず解決し なければならないが、長期的には医療全体のあり方をどうするかの議論の中で自立支援 医療の位置付けを考える。

【竹端委員】
○結論
福祉と医りょうの重なる部分であり、使っている人の実たい調査にもとづいて、必要 な支えや負たんのあり方を考えた方がいい。

【中西委員】
○結論
障害に基づく必要な医療は無料で行われるべきである。現在の自己負担制度は即刻廃 止すべきである。

○理由
障害に基づく医療費は本人の責任ではらわなければならない理由はどこにもなく、す べての障害に起因するサービスは無料で行われるのが当然であるから。

【中原委員】
○結論
都道府県の重度障害者医療費補助制度とあわせた包括的な医療支援制度とすべきであ る。

○理由
重度障害者医療費補助は自治体によって異なり対象者も限定されていることから、自 立支援医療の対象とならない疾病を持つ障害者が過度な医療費負担を強いられている。 重度障害者医療費補助制度を国の制度とし、自立支援医療とあわせた包括的な医療支援 制度とすべきである。

【西滝委員】
○結論
自立支援医療の定率負担は廃止すべきである。

【野原委員】
○結論
障害者の医療費負担軽減策を抜本的に見直すことが必要である。また、自治体で行わ れている障害者医療費助成制度を新法で位置づけること。医療の「集約化」により遠隔 地で治療する場合の入院時の付き添いのための滞在費や通院のための交通費など、入院 や治療に伴う支出を補填する制度を検討すること。
難病については、難病対策要綱で「難病医療」とでもいえる独自の体系を作ってきた。 (ここでいう「難病」とは、医学的に難治性であるだけでなく、高額の医療費負担や生 活上の困難など、社会的にも支援の必要な広義の意。難病対策要綱でいう施策には、小 児慢性特定疾患はもちろん、育成医療や更生医療、重度心身障害児者施設など医療ケア の必要な人たちへの支援も含まれている)。
これの成果と課題を確認しながらそれを継承発展する立場で新体系を構築すべきであ る。
現行の自立支援医療について具体的に述べると、育成医療については児童福祉法にも どすこと。更生医療は、障害の「軽減・除去」のみでなく維持的な治療行為も範囲に含め ること。現行の身体障害者手帳所持を要件とせず、障害の悪化を最小限にするための医療 行為(内科的治療を含め)も対象にすべき。

○理由
障害者権利条約第25 条「健康」の規定からも、障害ゆえにかかる費用負担軽減のため の支援の観点から、現行の育成医療、更生医療の範囲の見直しが必要。慢性疾患の場合、 安定した時期が続いていたとしても、急に病状が悪化することもあり、早急な治療が必 要になる。その予測は不可能であることが医療の特徴。身体障害者手帳の所持が条件で は、更生医療が受けられない状況が現在も内部疾患で起こっている。新法においては、 そういう谷間をなくすことも大きな課題である。

【東川委員】
○結論
総合福祉法と自立支援医療を分けて考えるべきである。
リハビリテーション医療の診療報酬問題などは十分なリハビリテーションが行われる ために別個の問題とするべきである。障害に伴う医療費の 利用者負担の軽減は、十分配慮されなければならない。

○理由
医療的な支援がなされることで自立生活が促進されるが、高度医療における自己負担 は生命にも影響を及ぼしかねない。救命医療、難病の方々の高額治療費などは、総合福 祉法とは別の視点から検討されねばならない。

【広田委員】
○結論
これ以上、財政負担を若い人におしつけるのはよくない 当面現行でいいと思う

○理由
無料ということはコンシューマーとっていいことばかりではない

【福井委員】
○結論
今年度の予算措置において、自立支援医療の低所得者に対する利用者負担の軽減が見 送られたことは大変遺憾であり、早急に実施すべきである。加えて、医療についてはいつ でもどこでも無料で、必要な医療が継続して受けられるようにすべきである。

○理由
日本てんかん協会でも、過日「『自立支援医療』制度における利用者負担軽減を求める 要望書」を厚生労働大臣に提出したところである。特にてんかんの場合、「医療」と「福 祉」の双方が充実することで、初めて安全で安定した地域生活を送ることができる。した がって、通院医療費公費負担制度は欠かすことのできない重要なサービスであり、生活保 障である。

【藤岡委員】
○結論
「育成医療」は児童福祉の分野へ。
「更生医療」の手帳要件を無くし、対象範囲を広く。中間所得層の利用者負担の軽減。
「精神医療」は精神保健福祉法旧32条の5%負担を超える負担にならないこと。
重度障害者医療費助成制度等含め、障害者の医療費助成は生存権保障として国が基本 的責任を持つ制度に。

○理由
「当面の重要な課題」は低所得者だけを想定している。

【増田委員】
○結論
総合福祉法の中に医療を含めない。利用者負担を廃止し,原則無料とする。その際に 精神科病院への入院治療も無料とする。

【三浦委員】
○結論
障害のある人々が、過度の負担なく必要な医療が受けられる仕組みを構築することが 重要である。そのため、一般の医療制度との関係性を含め、負担や軽減の在り方につい て、自立支援医療受給者の実態の把握、医療制度上の課題等の整理と解決策を検討すべ き。

○理由
地域において必要な医療が適切に受けられる体制の整備とともに、経済的な負担軽減 を含めたアクセスが保障されるべきであるため。

【光増委員】
○結論
自立支援医療も低所得者には、負担を0円とすべきだ。ただし、重度医療の補助が受 けられない人には自立支援医療も含めて負担の見直しか、補助制度を創設すべきでない か

○理由
医療費負担の個人差が広がるので、障害者の一般医療費の補助も検討すべき

【山本委員】
○結論
自立支援医療の自己負担は廃止されるべき。また精神科入院にも使えるようにすべき

○理由
自立支援医療の自己負担の重さ、および「重度かつ継続」というレッテルが、精神障 害者にとって著しく力をそぐものとなっているから
た精神科入院が必要であり本人も望んでいても入院費がないため入院できない層が存 在している
市町村としても精神科に入院させておいたほうが負担が0 ですみ、地域支援を充実さ せると負担が増えるという矛盾があるから