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総合福祉部会 第6回
H22.8.31 資料1―5

「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見
(分野D 支援(サービス)体系) その5

(分野D 支援(サービス)体系)
<項目D-6 権利擁護支援等>

論点D-6-1) 「本人が必要とする支援を受けた自己選択、自己決定、地域生活」を実現していくためには、どのようなサービス体系が必要と考えるか? ・・・2

論点D-6-2) 権利擁護を推進していくためにはどのような体制が必要か?相談支援やエンパワメントの事業化についてどう考えるか? ・・・13

論点D-6-3) サービスの質の確保等のための苦情解決と第三者評価の仕組みについてどう考えるか? ・・・24

<項目D-7 その他>
論点D-7-1) 「分野D 支援(サービス)体系」についてのその他の論点及び意見 ・・・34

(分野D 支援(サービス)体系)
<項目D-6 権利擁護支援等>

論点D-6-1) 「本人が必要とする支援を受けた自己選択、自己決定、地域生活」を実現していくためには、どのようなサービス体系が必要と考えるか?

【荒井委員】
○結論
身近に寄り添う相談支援者が必要。例えばそういった役割を有する障害者ケアマネジャ ー制度を構築すべき

【伊澤委員】
○結論
本人のエンパワメントする場所の確保が必要である(例えば、地域活動支援センター等 の有り方の中で)。関わりとしてピアサポーターによる伴走姿勢のケアマネジメント支援が 有効ではないか。

○理由
自己選択、自己決定をする為には、本人が選べる力(支援を受けながらでも)と自分が 決めて良いという安心感が無ければ、本当の意味での権利擁護にはならない。安心・安全の意思やニーズの表明は、ピアサポートにより一層鮮明になると思う。

【石橋委員】
○結論
先天性疾病や何らかの疾病や事故で中途障害によって自己選択、自己決定できない障害 者を対象とし、身上管理を主体としたサービス体系が必要。

○理由
成年後見制度は、高齢者、特に認知症を想定したもので、先天性障害者には不向き。2 0歳を過ぎても親は若く、財産管理まで委ねる考えがない。また、現状の後見人等は、障害についての理解がなく、事務的である。

【氏田委員】
○結論
知的障害、発達障害のある人の自己選択、自己決定のためには、本人に分かるように情 報を加工し本人に伝える支援と、本人の声を聞き取り代弁する支援が必要であり、セルフアドボカシーへのエンパワメントが必要である。ひとりの人の生活を支えるためのサービス体系は、本人のニーズに基づき、また選択肢が豊富でシームレスでなければならないが、現在は、障害程度区分により使えるサービスが限定されるなどニーズに沿っていない。本人のニーズを把握し、実態にあった支援が可能となるようケアマネジメントの導入とともに、現場の解決責任者 (ケアマネジャー)を地域に配置する必要がある。本人および本人の声を中心に、ケアマネジャーおよび成年後見人が核となり、支援(者)のネットワークのなかで、自己決定を保障していくケア会議を常置していくことが不可欠となる。したがって箱物的な支援体制整備ではなく、支援の人的資源を豊富に用意していく必要がある。

○理由
本人が自分の権利を十分に認識し必要な支援を自己選択していくためには、エンパワメ ント支援(自分の力を十分に発揮できる支援の中で自分の力を自己認知すること)の充実が求められる。その意味で、この点に関わるサービス体系には、自己選択・自己決定をし得る障害者に成長するための障害児の育ちをどのように支えていくかという視点が不可欠である。また、選択できるほど選べる資源があること、決定したことが実現できること、その決定に責任が持てること、責任が持てるように支援することが大事であろう。

【大久保委員】
○結論
知的障害のある人たちには、自らのニーズをうまく伝えたり、判断することが困難な人 たちが多く、ケアマネジメントを含めた相談支援は、欠くことのできないサービスである。 また、知的障害のある人たちにとって、課題はあるものの成年後見制度は重要な権利擁護の仕組みであり、成年後見制度利用支援事業を個別給付サービスとして位置付ける必要が考えられる。

○理由
知的障害のある人たちは、自ら各種サービスの利用の仕方を判断したり、単一サービスの利用であっても、その適否や変更の必要性、新たなニーズの発生などを自ら判断し、調整することが難しいことがあり、ケアマネジメント体制は、知的障害のある人たちにとって欠くことのできないものである。なお、ケアマネジメントを担う相談支援事業所の独立性と公平性、専門性が重要であることは言うまでもない。

【岡部委員】
○結論
支給決定のプロセスにおいて、当事者及びその当事者の生活を良く知るアドボケイトの 参画が担保されるべきである。

【小澤委員】
○結論

  • アドボカシー支援機関が必要。これは、サービス事業者から独立した中立性が保障され た相談支援機関で実施する。相談支援機関には、当事者運営の組織、機関も含まれる。

○理由

  • アドボカシー支援機関は、セルフマネジメント支援、サービスの苦情対応窓口の業務も 含まれる。

【小田島委員】
○結論 毎日の事については、介助者に相談しながら自分で決められるように、介助の時間を長 くできる制度にする。 大きな問題については、自分が選んだ支援者に相談しながら自分で決められるようにす る。

○理由
知的障害者は毎日相談することが多いので、毎日の事は介助者に相談できる形にして、 もうすこし大きな問題は、自分で選んだ支援者に相談できる形にするとやりやすいから。

【小野委員】
○結論
サービス体系の前に障害程度区分を廃止し、それとともに相談支援体制の拡充と強化を 図る。

○理由
自立支援法では、障害程度区分と国庫負担基準額によって選択と決定の保障が抑制され た。また相談支援事業はきわめて不十分な位置付けにとどまったため。

【門屋委員】
○結論
地域生活を本人が決めて成立継続させるためには、相談支援(窓口相談から継続・より 沿い相談など)、生活支援(生活条件/収入、住宅確保、衣食住などの確保など)、社会参 加支援、社会活動支援、就労支援、教育支援など多岐にわたる支援体系が必要です。加え て自己決定に支援できる法的支援が必要で、権利擁護者制度などが必要です。

○理由
アドボケーターが独立してどの地域の障害者も利用できる体制が必要です。アドボケー ターは支援者やサービス利用の間に立って本人の意向に従った代弁機能を果たす人として 必要です。相談支援が充実しても、サービス事業の質が高まったとしても、本人主張に無 条件で代弁する人が必要です。

【川崎(洋)委員】
○結論
身近なところでの相談支援体制を充実させ、本人中心計画が実施されるような自己決定 支援をし、本人の権利擁護支援がされるようにする。

○理由
精神障がい者はニーズを適切に言い表せないことが多い。丁寧な対応ができる相談員の 育成が必要。精神障がい者の権利擁護支援が適切に行われるようにすべきである。

【君塚委員】
○結論
社会資源の不足のため、選択枝がなく、現実と解離が大きく大変な課題である。

○理由
福祉の根幹でもあり、社会全体で福祉国家を一層進めるための叡智をあつめた息の長い 取り組みが必要である。

【近藤委員】
○結論
多くの障害者が地域で生活することを考えると、相談支援事業やケアマネジメントの拡 充、必要な際にあたりまえに利用できる日常生活自立支援事業や成年後見制度の仕組みの 充実、地域自立支援協議会の調整・評価機能の強化と、それらに関係する従事者の資質の 向上、サービス利用計画の拡充が図られる必要がある。

○理由
日常生活自立支援事業や成年後見制度などが、もっと当たり前に利用できる仕組みの構 築が必要である。 本人の声にならない声を聞くのが一番の権利擁護であり、支援者も本人の意向を引き出 す支援をしているか、常に振り返ることが必要である。

【佐野委員】
○結論
現行の訓練給付事業に、聴覚障害者コミュニケーション等訓練事業を加える。 コミュニケーション等訓練事業には、障害受容のために必要な聴覚補償への装用・機器 の知識・聴取訓練、補聴援助システム活用訓練、要約筆記利用活用のための知識習得訓練、 筆談や手話による対人関係の構築がスムーズにできる技術・知識習得のための訓練等が必 要である。

○理由
聞こえに困難を感じはじめた方、家族の方、地域の生活を共にし、聞こえに困難を感じ ているかたや身近に支援の必要を感じている方に、聴覚障害に対する基礎的知識や福祉制 度を学び、対応の方法を修得していただき、共に理解し合い、生きるということを体感し てもらい、互いの人間性を尊重できる地域社会を構築していくことが必要だから。

【清水委員】
○結論
西宮の展開について申しますと、青葉園の個人総合計画(本人中心計画)、相互エンパワ ーメント活動、個人支援会議、本人中心の相談支援展開、の延長の中で、本人とその支援 の輪の中にある本人の意志(本人の生き方、本人の希望、本人の主体)を守るための体制 づくりであったと思います。

【竹端委員】
○結論
障害のある人の権りを守るためには大きく分けて次の3つがひつよう。 1,利用者の日々の権利をまもるしくみ (ピアサポートやセルフアドボカシーの支えん、本人からの相だんに基づく支えん) 2,権利が守られていないうたがいがあるケースについての、調さや改ぜんにむけた活ど う 3,じっさいに権利が守られず、ひがいを受けた人への救さいのしえん

○理由
わたしは次の本のなかでそのことを詳しく説明しています。『障害者総合福祉サービス法 の展望』(ミネルヴァ書房)の「第7章 不服申立てシステムと権利擁護システム」p308~ 313

【田中(伸)委員】
○結論
障害者個人の意思を尊重するための支援としての意思決定補助や、障害者の有するニー ズに柔軟に対応するための創設的支援、障害者のニーズを十分聞き取るための継続的相談 支援の他、24時間の見守り支援が可能な体制づくりなどが必要である。

○理由
自ら十分に意思決定ができない障害者には、その家族など障害者個人の意思を十分汲み 取ることができる者による意思決定補助の制度が必要と考えられる。また、自己決定の前 提としての複数の選択肢を確保するために、障害特性を理解した相談支援員による継続的 相談支援と、各障害者のニーズに応じた支援計画の立案がなされる必要がある。

【田中(正)委員】
○結論 自己実現を図る上では、本人が描く望ましい状態の確認が、本人の認識の元に行われる 必要があるが、このための仕組みや方法が検討されていない。先ずは個別支援計画から初 めて、本人の意向に基づいた支援計画として描ける暮らしぶりについて、実践的な取り組 みを通して、その実現に向けた対応を行っていく。支給決定を行う自治体職員、相談支援 専門員、事業所職員等、それぞれがそれぞれの役割分担の中でサービス体系の一員である 認識も重要と考える。

○理由
自治体行政職員による受付窓口対応と措置的行政処分対応が基本である限り、どのよう に柔軟なサービス体系が用意されても利用者の日常に影響は及ばないため。

【中西委員】
○結論
本人ニーズを中心としたニーズ判定ができるように調整型モデルによる社会モデルによ る判定が行われる必要がある。またその判定、決定が不当であると利用者が判断した際に は不服審査請求を市と都道府県にあげることができるシステムを作るべきである。

○理由
自己決定の支援が必要な人については、当事者の相談支援(ケアマネジメントシステム) が機能していないので、当事者主体のケアマネジメントをまず普及させる必要がある。当 事者支援による決定は本人の親、作業所や学校の教師友人サポーターなどのニーズが理解 できる人が支援に入って、行政の調整によるサービスニード調査を受けるシステムを新た に作るべきである。現在の不服審査会は当事者の参加を義務づけておらず、総合福祉法の 理念に沿ったものになっていないので、不服審査機関として存続させるには都道府県の不 服審査会は市町村行政がサービス利用の上限を内規で決めたり、ケースワーカーによるサ ービス決定の格差が出るなどの事態が起こった場合に本人から不服審査請求を出し、地方 行政へ勧告や改善命令を出せる権限をもつ機関とすべきである。

【中原委員】
○結論
本人が選択・決定したサービスが適切に実行されているかを相談しモニタリングするた めの仕組みが必要と考える。そのためには、専門的な支援を希望する人に対してケアマネ ジメントによるトータルな支援体制の構築が必要と考える。

○理由
自らの意思決定に支援を必要とする重度の障害のある人には、本人の権利擁護を含めた 専門的かつトータルな支援体制が必要となる。

【西滝委員】
○結論
支給決定プロセスでの「不服申し立ての手続き」ついては、制度を利用しやすくするた めに、手続きの簡素化が必要であり、「障害当事者の不服申し立ての真意・苦しみ」をしっ かり受け止め、願いに応えて行く人権尊重を優先した対応が必要である。 また、成年後見人制度を利用する費用の個別給付化を図る。

【野原委員】
○結論
社会基盤の整備・拡充は、自己決定を保障する前提条件である。

【東川委員】
○結論
身近なところで、ワンストップの支援を受けられる相談支援体制を整え、すべての障害 のある人が自己選択。自己決定できる支援を丁寧に行い、地域で生活できる総合的な支援 ができる仕組みを作ることが求められる。
ケアマネジメントの体制整備を充実強化するとともに、人材育成に関して権利擁護やア ドボケイトに関する研修を充実させる。

○理由
基本的人権を保障するために。

【福井委員】
○結論
障害者の地域生活にとって、欠かせないのが相談支援体制である。地域における相談支 援体制の強化のためには、ケアマネジメントの制度化、質の向上をはかるための総合的な 体制、根拠的な機関の設置などが求められる。

○理由
この間、障害者自立支援法に対するさまざまな問題点が明らかにされてきたが、相談事 業の委託費などの地域格差、地域の自立支援協議会の形骸化、市町村障害福祉計画の裏付 けの無さなどが指摘される。加えて、権利擁護の機能を果たせる仕組みを構築していくこ とが、緊急の課題である。

【藤井委員】
○結論
サービスの支給決定プロセスや、法的能力の行使に関わる場面を含め、あらゆる意思決 定等の過程に本人が参加するとともに、ピアサポートを含め、その参加支援を確保するよ うなサービス体系が必要である。

○理由
本人の意思決定への参加を、サービスの中に具体的に確保する必要があるため。

【藤岡委員】
○結論
本人、本人の意思と生活実態を把握している介護者、生活支援員、相談専門員等が協同 して本人支援を実現していく仕組み。

○理由
本人を中核としたチーム的支援が必要。

【増田委員】
○結論
サービス体系という考え方を改める.身近な所でのワンストップの相談支援システムを 整え,障害のある人の選択を手助けする支援を丁寧に行いつつ,自分の希望する地域生活 のあり方を実現させていく.そのためには相談支援システムの充実と地域資源の拡充が必 要.

【三浦委員】
○結論
我が国におけるパーソナルアシスタンスの在り方や支援体系への位置付けとあわせて総 合福祉法における仕組みを考えるとともに、成年後見制度をはじめとする既存施策の見直 しと、活用できるように充実を求めることが適切である。

○理由
総合福祉法における支援の範囲のみならず、社会生活の様々な場面で適切な支援を保障 し、自己選択、自己決定を支える必要があると考えるため。

【光増委員】
○結論
障害者の中には、いままで自分のことを自分で決める機会を奪われてきた人も多い。自 分で決めることが難しい人が自分で決めていくためには、サービスの仕組みを考えるだけ では不十分だと思う。 福祉サービスとは別のサービスとして、障害のある人の権利擁護の立場からの福祉サー ビス利用支援が必要。既存のものとしては、特定非営利活動法人湘南ふくしネットワーク オンブズマンの活動が参考になる

○理由
自分で決めることが難しい人がたくさんいるのに、とつぜん「自分のことは自分で決め てください」と言われても、なかなか自分では決められない。それどころか、自分のこと をあまり理解していない支援者が、「これはこの人が決めたことです」と、勝手に決めてし まうかもしれない。そうならないような仕組みや取り組みが必要だと思う。 まず考えなければならないのは、自分で決めることが難しい人が自分で決められるよう になるためには、どうしたらいいのかということだと思う。それは、「自分で決めてもいい んだよ」とアドバイスくれるような仲間を持つことだったり、実際に自分で決めるという 経験を続けていくことだったり、支援者や周りの人が自分のことを勝手に決めないように していくことだったりする。こうしたことをサービスだけで実現していくのは難しい。ま た、自分で決めるための特別なサービスをつくっても、それだけですぐに自分で決められ るようにはならない。障害者が自分のことを自分で決められるようになるためには何が必 要なのか、サービス以外のことも考えていくことが大事だと思う。 福祉サービスの側から機能する権利擁護は、福祉サービスに人を当てはめようとするこ とから逃れられないから、福祉サービスから独立した支援が必要。

【森委員】
○結論
ケアマネジメントが、しっかりと行える相談支援事業所の機能の充実が求められる。そ のためには、専門的な知識と技能を有する人材の確保などを含めた体制整備が求められる。 また、可能な場合には、セルフマネジメントを活用できる利用者自体の課題解決能力の向 上、すなわちエンパワメントの向上、そして、サービス提供関係各機関同士の連携が求め られる。
また、自己選択しうる選択肢としてのサービスメニューの種類と量の充実も必要である。 適切な相談支援事業を円滑に行うためには、障害体験者であるピアサポーターの関与も必 要になり、相談支援事業におけるピアサポート体制、障害者相談支援者制度の社会におけ る位置づけなどが求められる。

○理由
本人の意思決定への参加を、サービスの中に具体的に確保できる支援システムが必要であ る。

【山本委員】
○結論
本人の権利主張を支援する行政・サービス提供者から独立したあくまで本人の利益に奉 仕するアドボケイトシステムが必要

○理由
サービス提供者あるいは医療機関は本人の権利主張をささえ、「公平中立」ではなくあく まで本人の利益に奉仕する機関とはなりえないから

論点D-6-2) 権利擁護を推進していくためにはどのような体制が必要か?相談支援やエンパワメントの事業化についてどう考えるか?

【朝比奈委員】
○結論
出来高払いの相談支援だけでは、潜在的なニーズに対応することはできない。権利侵害 を掘り起こしていくためには、一定の補助金が保障された公共性の高いアウトリーチ型の 相談支援事業が必要。

【伊澤委員】
○結論
相談支援事業の報酬単価を上げる必要がある。そして当事者の力 (ピアカン、ピアサポ ート)を活用する仕組みが必要。また相談支援は、中立であるという意識と構造が必要で、 エンパワメントするには、それを推進する人材が必要で有る。

○理由
指定相談支援事業ではあるが、報酬単価が低すぎるためサービス利用計画作成費を請求 する事業には手が出せないでいる。相談支援事業には、当事者相談員 (ピアカン)の必要性 は大である。共感・共鳴の中で真のニーズの表明が図れるシステムが求められるからであ る。その場合にピアカンで身を立てることができるような仕組みが必要である。相談支援 事業が市町村から法人への委託という形なので、中立になり得ず、また、法人の人事に左 右され体制も不安定である。ひとつの手法として、民間から市町村への相談員の出向によ り安定的な対応体制を作ることもできると思われる。(長野では実施されている。)

【石橋委員】
○結論
虐待も含め、守られるべき権利の定義や実例を整理する。 相談支援やエンパワメントの事業に障害当事者やその関係者(親を含む)を含めて事業 化する。

○理由
権利擁護を推進するための人材不足。市民後見人では責任と信頼が見えない。

【氏田委員】
○結論
権利擁護を推進していくためには客観性を保障するしくみは不可欠なので、特定の社会 福祉法人 (施設)が担う形ではなく、別個に準備する必要があると考える。また、相談支援 の事業所に解決責任者を兼ねたケアマネジャーを配置する必要がある。ケアマネジャーは、 担当する障害者が受けているサービスについて検証し(個別支援計画→検証→目標は達成 したか?Plan do See のしくみ)、サービス提供事業所に対して牽制する役割を担うことが 必要である。本人の声を聴き代弁するオンブズマン制度の導入なども考えられる。

○理由
契約による福祉サービスの利用は、決して対等ではなく、特に売り手市場である現在で は圧倒的に利用者が不利である。そのために、サービスに対する注文が出しにくく増して 苦情を言う時はサービスの利用を諦める覚悟が必要である。公平中立な第三者というより も、徹底的に利用者側に立つオンブズマンがいてはじめて対等になれると思われる。千葉 県や北海道の障がい者条例に見られるように、障害者の権利擁護は現時的な重要課題とな っている。この課題を解決するためには、相談支援事業の法定化(地域生活支援事業では なく)が必要であり、D-1-5 で述べた論点と同様の施策が必要である。
エンパワメント支援の事業化については、本人が本人の持てる力を発揮できるように支 えていくという視点が重要であるが、単に「頑張らせる」といった内容に堕しないような 工夫が必要である。そのためには、本人の代弁者としての支援機能(例えば、成年後見制 度)とセットにするような形で、包括的な視点からのエンパワメント支援が展開されるべ きと考える。セルフアドボカシーへのエンパワメントが必要である。(「自らの権利を獲得 する力を養い、自分で自分の権利を守る」そのための支援)

【大久保委員】
○結論
知的障害のある人たちは、その多くが権利侵害の危険にさらされていると考える。日常 生活の場面から法律行為にいたるまで、適切に支援できる身近な相談支援や権利擁護の仕 組みが不可欠であると考える。したがって、相談支援事業の充実・強化と成年後見制度の 推進が求められる。同時に、成年後見制度の個別給付化についても検討が必要である。

○理由
判断能力が不十分であるという特性のある知的障害のある人たちについては、「自己決 定・自己選択」を基本に置きつつも、過度にそのかたちに依存することにより、契約行為 等において、むしろ権利が脅かされることに留意する必要があると考える。

【大濱委員】
○結論
エンパワメント支援には、なるだけ同じ障害を持つなどの障害当事者が支援する側にい るべきである。

○理由
エンパワメント支援には同じ障害などでヘルパー制度を使った地域生活を先に行ってい る障害者など、ロールモデルが必要。

【岡部委員】
○結論
エンパワメントということばが本来意味するところは専門家から当事者への「権力の移 譲」である。その意味からも、ピア・サポートやピア・カウンセリング、当事者活動の推 進が主軸となるべきである。

【小澤委員】
○結論

  • アドボカシー支援機関で実施する。これは、サービス事業者から独立した中立性が保障 された相談支援機関で実施する。相談支援機関には、当事者運営の組織、機関も含まれ る

【小野委員】
○結論
成年後見制度の抜本的拡充。

○理由
現行の社会福祉協議会を窓口とした成年後見制度は、利用しにくく、また費用負担が生 じてしまう。それらの問題を解決しなければ制度利用の普及は困難と思われる。また相談 支援については、前述のとおりである。

【門屋委員】
○結論
障害者が地域で生活していく基本条件として相談支援やエンパワメント支援が必要です。

○理由
相談支援は中立公平な立場で本人中心のケアマネジメント支援のできる人材が必要です。 相談支援の体制は重層的に考えるべきで、5万人の人口に対して4名の相談支援専門員 を配置する基幹型相談支援センターを国が責任を持って整備すること。この他に委託相談 支援事業所を必要に応じて(障害者数および障害程度によって違う)都道府県及び市町村 ないし広域で整備する。これらを行政の相談に加えて整備することにより、個別支援体制 が整えられる。この基幹相談支援センターがエンパワメントを基本とした権利擁護の推進 役として機能する。一方で権利擁護者制度など法的な本人支援制度があるとよい。

【川崎(洋)委員】
○結論
サービス利用のトラブル・権利侵害や就労、近隣トラブルなど障害者の問題は多様であ り、常に相談できる相談体制と支援者は必要。また、エンパワメントの事業化は必要と考 える。

○理由
本人の自己選択、自己決定によるサービスを実施するためには、エンパワメントの取り 組みがあり、よって地域社会で自立し、社会参加につながるものと考える。

【近藤委員】
○結論
現在、相談支援事業は必須事業ではあるが、財源が担保されていないため、24 時間対応 も含め十分な体制がとれずにいる。相談支援を充実するためには国の事業とし、報酬水準 を引き上げるべきである。
また、その従事者のスキルアップのための支援も不足しており、充実策を図るべきであ る。

【坂本委員】
○結論
成年後見人等が不足するなど権利擁護支援体制の基礎的な基盤はまだ脆弱であるの で、人材養成や仕組みづくりなど全国的な底上げを国が強力に主導すべき段階である。

○理由
権利擁護支援に対するニーズが多いにもかかわらず、成年後見人等が大幅に不足して いるなど権利擁護支援体制は脆弱である。体制としてどのような機関が想定されている のか不明であるが、地方の町では、専門家や関係者間の調整をこなすことができるよう な人材を確保することは容易でないことを理解していただきたい。

【佐野委員】
○結論
権利意識の醸成には、人権啓発を含む学習や体験できる場が必要である。障害者にとっ ての人権啓発は障害別、自助組織別に行うことが容易な方法である。相談支援やエンパワ メントの事業化は推し進めるべきである。

○理由
相談支援やエンパワメントの事業化を通じて障害をもつ当事者の中核的人材養成の必要 があり、事業を推進できること。この相談支援事業やエンパワメントの事業化を進めるこ とにより各々の障害者の自立と自律の精神を育むことができる。

【竹端委員】
○結論
人口10万人くらいに一つ、障がい者のピアサポートやエンパワメントの取り組みをす る場(地域障害者エンパワメント事業)をおく。また、都道府県もしくは政令指定都市に ひとつ、権利を守るセンター(広域型権利擁護機関)をおく。

○理由
論点D-6-1 でのべた3つのしくみのうち、ピアサポートやエンパワメントに関する1の 部分は、10万人にひとつくらい必要です。それ以外の2と3の部分は、もう少しはんいを広げて、専もん的な調さもできる場としておくべきです。そのことについても詳しくは、論点D-6-1 で参こうにあげた本にも書いています。

【田中(正)委員】
○結論
権利擁護については、必要な機能を有する支援センターなどを設置する。その際年齢や 法的な垣根にこだわらない基礎的な自治体を中心に設置を検討する。
相談支援やエンパワメントの事業化においては、国のガイドラインを設置し、必要な業 務の最低限を具体的に示す必要がある。

○理由
権利擁護も相談支援もエンパワメントも重要とされながら地域ごとの裁量にゆだねられ ており格差が激しい。相談支援は必須となっている地域生活支援事業の中でもとりわけ重 要な内容とされるため強化が必要なため。

【中西委員】
○結論
障害者差別禁止条例を各都道府県と市町村に義務づける。

○理由
市町村においては相談支援事業所が権利擁護相談員を兼ね、市長の権限の元に差別事例 の調整、助言、勧告、氏名の公表、訴訟費用の支援等を行えるようにし、かつ当事者のエ ンパワメントの視点から、当事者エンパワメントネットワークが行っている当事者主体の ケアマネジメントの研修を義務づけておく必要がある。相談支援事業は現在国庫補助対象 から外されており、市町村の単独事業に近い状況で機能していない。権利擁護センターに は権利擁護相談員が人口5 万人単位に10 名程度配置できるような制度を構築すべきである。

【中原委員】
○結論
相談支援事業を地域生活支援事業から国が責任を持つ義務的経費の事業として強化する とともに、その独立性と専門性が重要となる。

○理由
自らの意思決定に支援を必要とする障害のある人の権利擁護のためには、相談支援事業 の強化を図る必要がある。

【西滝委員】
○結論
聴覚障害者情報提供施設の機能の充実、および各相談支援センタ-や地域生活自立支援 協議会に聴覚障害者当事者の参加を義務付ける必要がある。
単に通訳や情報提供ができる相談員やピアカウンセラ-でなく、幅広いサ-ビスを活 用・調整 (ケアマネジメント)できる人材が必要であり、そのための人材育成 (研修)が必 要である。

【野原委員】
○結論
患者力(会)、NPO (非営利活動)、ボランティアの社会的役割の重要性を見直すこと 患者会・行政・専門家・企業などとの協働による事業化は多様なニーズに応える重要な 形態

【橋本委員】
○結論
市町村による相談支援事業は、当事者の自己決定を擁護するとは限らない。あくまでも 本人の意思を尊重するためには、ピアの機能をもつNPOなどに、権利擁護事業を委託す べきである。

○理由
専門職による相談支援では、本人の自己決定を肯定しないケースが少なくないからであ る。

【東川委員】
○結論
緊急に対応でき、無償で利用できること。困った時にはこの電話の110番のようなわ かりやすい合言葉で知らせる。
また、権利擁護の推進には障害者虐待防止法の制定が不可欠である。

○理由
国民みんなが知っておく必要があるから。
児童虐待防止法や高齢者虐待防止法が制定されたことで、通報義務等が明確化され以前 より業務が増えたが、介入がやり易くなったとの実感がある。一方、障害者に関しては問 題が残る。相談支援やエンパワメントなどソフトな事業は大切であるが、その前に法的(ハ ード)な根拠があってこそ生きるものである。

【広田委員】
○結論
精神障害者の傾聴と共感という現状が相談支援事業というのであれば、解決できる相談 にしてほしい

○理由
傾聴と共感という名のあいづちを打っているのであれば、話相手の方が必要

【福井委員】
○結論
相談支援事業および体制の役割を、はっきりと位置付けることが重要である。財政的裏 付けをしっかりと作り、最低でも4人くらいの体制が必要である。差別禁止法や虐待防止 法との関連から、権利擁護の部署を必ず設置すべきである。相談支援やエンパワーメント の事業化も必要である。

○理由
これまでの取り組みでは、当事者や住民の参画が保障された中での計画策定になってい ない。地域の状況が十分に反映されていない点などが指摘されているので、もっと内容の 充実したものにしていくことが求められ、市町村障害福祉計画の中にしっかりと位置づけ なければならない。

【藤岡委員】
○結論
今まで述べたことに加え、弁護士が果たすべき役割の強化を法定化することが必要。

○理由
全ての障害者に弁護士が付けとは言わないが、弁護士が障害者支援の意味を正しく理解 した上で、いざというときに権利擁護が可能な状態が保障されていることは意味があるの では。
後者は「論点C-1-2」等とかぶる。

【増田委員】
○結論
社会福祉協議会の実施するあんしんサポートネット,成年後見制度ともにさまざまな問 題がある.緊急に対応でき,無償で利用できること,また相談にあたる人材養成が課題で ある.

【三浦委員】
○結論
各支援を受ける場面における権利擁護を指定基準等で義務付けるとともに、支援する者 の意識や資質の向上を継続的に図る必要がある。また、差別禁止法や虐待防止法の議論や 動向と整合性を取りながら、地域生活の様々な場面における実効的な権利擁護体制を構築 する必要がある。
なお、事業化については、今後の各支援事業における内容(支援メニュー)の課題とし て考えるのか、個別に制度化する必要があるのかについては一定の議論がなされるべき。

○理由
生活の様々な場面において権利擁護は実現されるべきである。国民全体の意識改革のた め、制度が先導する形で、最も適した制度体系、支援内容が考えられるべきであると思わ れるため。

【光増委員】
○結論
障害者の中には、いままで自分のことを自分で決める機会を奪われてきた人も多い。自 分で決めることが難しい人が自分で決めていくためには、サービスの仕組みを考えるだけ では不十分だと思う。
福祉サービスから独立した、自己決定について総合的な視点から支援をするために、当 事者や市民が運営する自己決定支援センター機能が必要。

○理由
いままで自分で決める機会を奪われてきた人たちに、とつぜん「これからは自分で決め てください」と言っても、自分で決めることは難しい。だから、まずは、自分で決めるこ とが難しくても自分の好きな生活ができるように、ケアマネジメントの仕組みを先につく らなければならない。それと合わせて、自分の生活について自分で決めていいんだと障害 者みんなに伝え、自分で決める機会を増やしていくことが必要だ。また、自分で決めるこ とを難しくしているのは障害者自身の責任ではなく、支援の仕方や考え方を間違えていた 支援者が多かったことも大きな理由なので、「障害者が自分のことは自分で決められるよう に支援していこう」というように、支援者の考え方を変えていくことも大切だ。 行政や福祉サービスの側から相談支援やエンパワメントを考えるのではなく、当事者や 市民による総合的な視点で支援を考えることが必要である。

【宮田委員】
○結論
地域生活支援と権利擁護の根幹は相談支援である。相談支援事業の財源を確保して(個 別給付化または国庫補助)拡大・充実させ、障害者へのケアマネジメントとエンパワメン トの質と量を確保する。また、乳幼児期からの育児支援や発達支援の根幹として「障害児 の相談支援事業」を児童福祉法に位置付ける。

○理由
相談支援事業は「権利擁護」「地域生活支援」「事業者と当事者の対等な関係に基づく利 用・契約」を基本とする障害者総合福祉法の根幹となるべき事業であり、ケアマネジメン トとエンパワメントを具現化する事業でもある。そのため、相談支援事業の財源を義務的 経費として確保し発展・拡大を図ることが必要である。また、障害児に対する相談支援は、 「障害の確定する前」からの育児支援から始まり、発達支援、就学支援など障害者の相談 支援とは異なる要素をもつ。そのため、児童福祉法に位置付けて(個別給付ではなく)実 施する必要がある。

【森委員】
○結論
社会福祉協議会が担っている日常生活支援事業について、事例の収集などを行い、充実 をはかるとともに、権利擁護に関する理解の促進につなげる必要がある。さらにケアマネ ジメント、可能な場合にはセルフマネジメントによって、障害当事者の課題解決能力を向 上させるシステム構築が求められる。このときには、自治体で位置づけられている障害者 相談員との連携によるピアサポートシステムを備えた相談支援事業所が、大きな役割を担 うと考えられる。目標はセルフマネジメント、または適切な専門職の支援を受けたケアマ ネジメントの活用、すなわち障害当事者自体が課題解決能力を身につけることであり、自 らの生活に主体的に取り組むエンパワメントの向上である。

○理由
自治体によって位置づけられている障害者相談員との連携によるピアサポートシステム を備えた相談支援事業所の活用を構築すべきである。

【山本委員】
○結論
行政およびサービス提供者および家族団体から独立した、本人の権利主張を支えるアド ボケイトシステムが必要

○理由
行政、サービス提供者および家族団体は本人の権利主張支援は不可能だから

論点D-6-3) サービスの質の確保等のための苦情解決と第三者評価の仕組みについてどう考えるか?

【朝比奈委員】
○結論
苦情解決は、現状を維持。虐待については、介入する基盤が必要であり、新法の制定が待たれる。
第三者評価は実効性を挙げているとは言い難い。行政による指導検査、監査との関係を 含めて、必要性そのものから議論すべき。

【荒井委員】
○結論
客観性や実効性の担保が必要。また、利用者の立場に立った、機動的で実行力のある、 苦情解決の対応機関が必要である。

○理由
利用者が事業者とのトラブルを解決できないときは、社会福祉法第83条に基づく「運 営適正化委員会」が、専門的な知識を備えた委員が中立的な立場から解決にむけた仲介を 行っているが、利用者の立場に立ち、より機動的に実行力をもって苦情解決できる仕組み が必要と考える。

【伊澤委員】
○結論
形式的なシステムでは無く、利用者及び事業者がそれぞれ相談できる仕組みが必要。行 政監査の有り方と第三者評価の有り方の連携が必要。

○理由
利用者と事業者が対立関係になると対応が形式的になる。また、支援者側に余裕が無い と事故等のリスクが高まる。管理だけでなく、予防という視点を重視する仕組みが必要で あり、第三者評価だけでなく、法人内で可視化、共有化する仕組みも必要。

【石橋委員】
○結論
苦情の申し出先を利用者と利害関係のない第三者機関とする。

○理由
利用者と利害関係のあるところへの申し出は、うやむやにされることと真実が見えにくくなっている。

【氏田委員】
○結論
第三者評価が、書類が整っているかどうかを見る情報公開制度と一緒になったこと、事 業者が料金を支払い評価表を選ぶなど、現在のものは権利擁護の仕組みとしてはまったく 機能していないと言っても過言ではない。事業所の苦情解決の制度は、形骸化している。 とくに第三者委員をリーチアウト型にし、オンブズマン的な機能を持たせ、第三者委員の ネットワーク化が求められる。D-5-1 の論点ともつながるが、地域自立支援協議会を法定 化し、地域の障害者支援のサービスの質を定期的に評価し公表する「サービスの質の評価 機能」を持たせることも考えられる。ただしその場合には、サービス提供者と地域自立支 援協議会の独立性を保つための工夫、例えば、サービス提供事業に関わる人を委員長には 据えないなど、が求められる。また同時に相談支援事業を法定化・拡充することによって、 身近な相談を可能としていくことが必要であろう。また、苦情解決制度での第三者委員が 月に1 回はサービス提供事業所を訪問し、利用者からの声を聴いたり、様子を見たり、環 境を見ることで、サービスの質を問うことができるのではないかと考える。 成年後見人制度の利用を増やし、身上監護ということでサービスについて要望するとい うことも考えられる。

○理由
苦情解決の制度は、監査項目に過ぎず、配置されることがチェックされるのみであり実 質的な内容をしっかり評価するものがない。また運営適正化委員会も法的な権限がないた めに、あいまいな組織になっているゆえに、権利擁護機関として、結びついていない現状 がある。第三者評価も、調査機関の営業的な側面もあり、また調査員の質的な問題もある ために、あいまいなものとなっている。とくに障害児者施設における評価は、障害者自立 支援法における施設体系の変化に伴い、調査自体が難しくなっている現状がある。

【大久保委員】
○結論
苦情解決と第三者評価の取組みの実態とその実効性を検証し、両者を制度化すべきであ る。

○理由
苦情解決と第三者評価はサービスの質の確保に有効であるとともに、苦情解決は危機管 理上も有効といえる。ただし、それらを実効性あるものとするためには、都道府県等への 報告義務や公開義務などを含めた制度化が必要と考える。

【岡部委員】
○結論
苦情解決担当者に施設職員、苦情解決責任者に施設長や理事長を想定している現行の苦 情解決制度では深刻な虐待事件等への対処は困難である。また、事業者が評価者を選ぶの では真の「第三者評価」とはならない。当事者が参画し施設への強制立ち入り権を有し行 政訴訟の主体とも成り得る真の第三者機関(当事者主体の権利擁護機関)が必要である。

【小野委員】
○結論
現行制度が有効な制度になっていると思えない。

○理由
施設の側は苦情解決の仕組みをつくっているが、利用者側がそれを有効に活用している 実態にない。日常的な苦情対応は施設を窓口にできても、潜在的な苦情を施設運営に反映 させるためには、第三者 (機関)の苦情受付の保障が必要であり、財政的な保障も含めて制 度の見直しをしないと実質化しない。また複数の調査会社に利用者満足度調査を依頼して きたが、請求額に見合った調査とは思えなかった。

【門屋委員】
○結論
あるべき。

○理由
特に相談支援センターなどは第三者評価の対象とすべきであり、サービス事業所も当然 評価されるべきである。苦情解決は身近に存在して使いやすいことが重要と考えています。

【川崎(洋)委員】
○結論 苦情解決のためのシステムと第三者評価の仕組みは必要である。 ○理由 サービスの質の確保と利用者の人権擁護のため。

【君塚委員】
○結論 苦情解決としての利用者の忌憚のない意見を求めること重要で、解決への取り組みを知 らせる必要がある。研修などを通して、苦情解決に向けた資質を確保するようにしたい。 第三者評価は一定程度の効果があるが、それぞれの作業所の特性に応じた部分の調査内容 が乏しい傾向がある。評価の時間的な制約などがあり、さらに評価の継続性に欠けている など限界が大きい。 ○理由 少なくとも、児と者とでは調査内容を再吟味すべきである。

【近藤委員】
○結論 重要であるが、現状としてあまり機能していない。第三者評価については、障害福祉サ ービスに対する適切な評価者の育成や評価基準の作成が求められるとともに、制度として 組み込むべきである。 特に、中立公平な立場にある市町村からの委託相談支援事業者を評価する仕組みは必要 である。 ○理由 苦情に関しては、現状として、サービスを受けているという立場上、なかなか言い出し にくい状況にあるというのが実情ではないか。 28 また、相談支援事業者についても、評価されることにより中立度が保たれ、支援者のス キルの向上も期待できる。

【齋藤委員】
○結論 第三者による評価であるから、ただちに評価できるものではない。その評価の視点が従 来の行政による監査とはいかに異なっているのか。より必要な事業内容の評価につながっ ているのかがもっと吟味される必要がある。

【竹端委員】
○結論 入しょ施せつや精しん病いんについては、精しん医りょうオンブズマンや施せつオンブ ズマンのような、市民による第三しゃによるチェックが新たにひつよう。今の苦情解決の しくみがよいかどうか、は検しょうする必要がある。 ○理由 質のかくほのためには、ちがう立ばの人による、ふくすうの目でのチェックがひつよう だ。行政は、法にひっかかるかどうかのチェックをする(行政監査)。それ以上の質のチェ ックは、情ほうの公かいはもちろんのこと、それ以がいの訪もんによる調さや苦じょうを 受け付けるしくみなどが、求められる。特にへいさ性のつよい精しんか病いんや入しょし せつには、大阪で行われていた精しん医りょうオンブズマンのようなしくみの制ど化がひ つようだ。また、今、社会福祉きょうぎかいで行われている「運えいてきせい化委員会」 が、じっさいにどれほど役にたっているのか、は検しょうする必ようがある。

【田中(伸)委員】
○結論 市町村に苦情解決機関を置き、障害者からの申し立てを契機として、事実調査、是正勧 告などを行うべきである。また、この苦情解決機関の構成員は半数を障害当事者とするこ とが望ましい。第三者評価についても、市町村に設置された苦情解決機関の構成メンバー が定期的に行い、潜在的に苦情が生じる可能性がある場合には、予防的な調整を行う必要 があると考える。 ○理由 苦情解決及び第三者評価の機関は、障害者の日常生活に最も密接な関係を有する市町村 に設置すべきである。そして、苦情解決、及び第三者評価に際しては、障害者の視点から の意見や評価がなされる必要がある。

【中西委員】
○結論 サービスの質の管理は利用当事者が判定すべきものである。 ○理由 サービスの質の管理は利用当事者が判定すべきものであり行政が判定すべきものではな い。質の悪いサービスは誰も使わなくなるような良貨が悪貨を駆逐する経済論理をもとに するほうがよい。ただし、人権侵害や密室の個別サービスが行われる場合、権利擁護機関 にそれを訴えられるシステムを構築しておくべきである。

【中原委員】
○結論 サービスの質の確保や利用者の権利擁護からも有効である。実効性のある体制整備と透 明性と中立性の確保がポイントとなる。 ○理由 福祉サービスに対する満足感を高めることとなる等の効果が期待でき、事業者への信頼 の構築や透明性の確保につながる。

【野原委員】
○結論 難病の場合、苦情の第三者評価に保健所・医療関係者、当事者の参画が不可欠。

【橋本委員】
○結論 特に必要ない。 ○理由 サービスの提供システムが当事者主体の理念であれば、第三者評価の仕組みはいらない はずである。

【東川委員】
○結論 評価機関はその施設や事業者に全く関係のない機関[地縁血縁のない]を選定すること。 苦情解決機関に独立性と「自己の発意による調査権」を付与すべきである。 ○理由 第3者評価が行われていると言っても事実はかなり違っている現状がある。 内部告発でもしない限りうやむやにされてしまう場合がある。 現状の苦情解決機関は施設内や行政機関内等に設置され、苦情解決担当者は独立的な業 務が行えない。担当者が「おかしい」と感じた場合、案件がなくても、自己の発意で介入 でき、当該施設等に情報公開させるといった調査権を与えるべき。ヨーロッパの公的な苦 情処理型オンブズマンは、独立性と「自己の発意による調査権」を保持している。

【広田委員】
○結論 新しい仕組みを作りお金を投入する前に職員の質の向上が必要

【福井委員】
○結論 もちろん、苦情解決と第三者評価は欠かせないが、当事者にとって分かりやすく使いや すい仕組みにしていくことが求められる。これには、周知徹底をする広報も含める。第三 者評価は、人選に当たっての検討とともに、その評価が関係者にしっかりと返され、今後 に役立つようなシステムを作っていくことが重要である。 ○理由 これまでも、こうした窓口や仕組みがあっても、有効に機能していないという懸念や批 判があったため。

【藤岡委員】
○結論 行政の通常の窓口職員とは別途独立した苦情解決機関の設置が必要。 第三者評価に個別利用者の声を確実に反映する制度的保障を。 ○理由 現状の第三者評価システムは形作り、形骸化の印象がある。 第三者評価システムは、基本的に個別の利用者が個別の苦情や提言、意見、評価を反映 させることが出来ないものとなっており、つまるところ、事業者サイドからの情報を基に 作成された「無難な」評価しか出来ない。

【三浦委員】
○結論 今後積極的に活用されるよう、苦情解決制度や第三者評価制度の実効性(質の向上)に 向けて、制度の仕組みと人材確保を検討する課題がある。 ○理由 苦情解決制度において第三者委員が機能する方法、また、県単位で行われている第三者 評価機関の認定、評価者の試験(資格)等も見合せながら、真にサービスの質の評価がで きるよう、第三者評価の価値を高めなければ、受審率が高まる(制度が機能する)可能性 が低いと考えるため。

【光増委員】
○結論
苦情解決と第三者評価は必要である。さらに当事者(利用者)評価の視点を制度に反映 させることも必要である。
苦情解決の仕組みで、第三者委員の選任方法を自治体による公募等工夫が必要。

○理由
法人事業所が主体となる仕組みは見直しが必要。社会基盤としてのサービスが不足して いる中では、利用する側と事業所側とが対等な関係からの仕組みにはならない。その中で、 特に第三者委員の選任方法は工夫が要される。
障害のある当事者(利用者)の評価も必要である。障害のある人と援助者でつくる日本 ブループホーム学会入居者委員会では、グループホーム等の入居者評価を試みている。 第三者評価の委員に当事者も含むことも当事者性の考え方で重要である。

【宮田委員】
○結論
施設・事業所には苦情解決の実施を義務付ける。市町村には第三者評価機関の活用を進 めて、地域自立支援協議会との協働体制による地域におけるサービスの拡大と評価を一元 的に進める。

○理由
当事者と事業者の対等な関係を前提とする制度の下では、適切な苦情解決システムと施 設・事業所に対する第三者評価は不可避である。しかし現状では、施設や事業の不足を背 景として適切な苦情解決の仕組みは形成されておらず、第三者評価を受けることも施設・ 事業者の任意となっていて進展していない。両制度ともに障害者総合福祉法に明確に位置 付け、施設や市町村の積極的な取り組みを誘導するべきである。

【森委員】
○結論
サービスの質の確保などのための苦情解決と第三者評価の仕組みは、重要な意義をもつ。 しかし、その意義について、利用者、家族、そしてサービス提供事業所においては、十分 な認識と学びを深める必要がある。「サービスの質の確保等のため」という視点を互いに理 解、共有すべきである。
苦情解決と第三者評価の仕組みに、障害当事者団体の活用を考えるべきである。

○理由
サービスの質の確保等のための苦情解決と第三者評価の仕組み、特に虐待防止法、差別禁 法等の制定による障害者の権利の擁護を保障するため障害当事者団体の活用が必要になる。

【山本委員】
○結論
不服申し立てについては勧告権、団体交渉権、団体訴権のある利用者組合制度の導入が 妥当である。

○理由
不服申し立てシステムとしてこれまでの苦情解決・第三者評価は専門職で構成する組織 やサービス提供側の指名によるものなどであり、第三者性が担保されていなかった。だか らこそ、利用者で構成する組合をつくり、そこで苦情解決及び第三者評価をすることで、 第三者性が担保されるから。

<項目D-7 その他>
論点D-7-1) 「分野D 支援(サービス)体系」についてのその他の論点及び意見

【伊澤委員】
○結論
事業のネーミングや利用の仕組み等、利用者に判りやすいほうが良い。

○理由
複雑な仕組みは、利用者に判りにくい。自己決定する為にも、誰にでも判りやすい仕組 みが必要である。

【石橋委員】
○結論
分野Dの名称について 障害者が生存するために必要な支援をサービスと呼ぶのに違和感がある。支援に統一し た方がよいと考える。

【氏田委員】
○結論
障害者施設も地域にある社会資源なので地域福祉に役立つ開かれた施設でなければなら ない。知的障がい・発達障がい・精神障がいのある人に対する成年後見制度利用料を個別 給付化することなども当然に検討すべきである。

○理由
成年後見制度の障害者の利用が少ない理由に後見人への報酬の問題がある。

【大濱委員】
○結論
ヘルパー制度についての諸問題について

  • 入院時の利用を可能にする。 重度の全身性障害者の介護方法は1人1人特殊で介護方法が異なり、日ごろ長時間介 護に入るいつものヘルパーでないと介護ができない。日本一の看護師でも介護できない。 慣れたヘルパーでないと、睡眠も取れず衰弱して病気が悪化してしまう。
  • 重度訪問介護の趣旨に反した短時間支給決定を不可能にする単価制度に。 たとえば、1時間や2時間のサービスは居宅介護と同じ単価とし、それ以降は徐々に 下げて、8時間連続サービスで今の重度訪問介護と同じ単価にする。
  • 訪問系サービスの人数を最高2人から3人に (人工呼吸器利用者などで、3人同時にヘルパーが必要な時がある)
  • 重度訪問介護と居宅介護を併用する場合で、同じ事業所からサービス提供を受けられる ようにする。
  • 重度訪問介護について。介護保険訪問介護や居宅介護でも認められている「障害者自身 が残存機能を使って行う調理・家事等の一部介護・見守り」(障害者自身が行えばヘル パーの助けを借りながらでも家族の分の家事も行える)と全身性障害者が重度訪問介護 員のそばで見るなどして逐一指示を出す形での調理やその他の家事(同年代の世帯の健 常者であったら通常行う家事の範囲に限る)は、同等と位置づけ、重度訪問介護の対象 にする。
  • 地域移行に向けて、入所中及び入院中から地域のヘルパーをつかった外出介護の利用を 可能として地域移行を進めるべき。
  • 通院時の通院介護(重度訪問介護も)で待合室や診療中の介護(透析などでヘルパーつ けられない問題)をよりひろく可能にする。
  • (1)泊りがけの外出の制限も廃止、(2)通年かつ長期の外出の制限を廃止、(3)通 勤の利用を可能に(外出先制限の廃止)。予算確保までの当面の間は、現在の重度訪問介 護や移動支援の1 ヶ月の支給量の範囲で、外出先制限(1)(2)(3)を撤廃すること で対応すべき。予算確保後は支給量の勘案事項に通勤・通学等を加える。
  • 重度訪問介護、行動援護、通院等介助、移動支援事業の介護内容として、自動車運転(道 路運送法に抵触しない障害者が用意した車)を認めるべき。重度訪問介護を利用する場 合、ヘルパーが運転中であっても、排泄、上着の脱着、水分補給、体位調整などの介護 が必要になれば、障害者が指示を出してすぐに路肩に停車させることにより、介護を受 けることができる。
  • 自立支援法で、単身者以外は、障害者本人の洗濯・食事作り・掃除など家事援助を原則 禁止にされたが、支援費制度の頃に戻す。
  • 短時間家事援助が支給決定された場合の事務費などの固定費やキャンセルによる損失を 補填。精神障害者の場合、キャンセルが多いので、利用契約に応じてくれる事業所が少 ない。
  • 障害者の育児をヘルパーが支援できることの自治体へのより一層の周知徹底
  • 居宅介護計画を介護ローテーションの参考書類程度にとどめる(報酬算定は実績ベース で)。(現行制度は厳密には介護計画のとおりにしか請求できないと報酬告示で規定。) 重度訪問介護や居宅介護の資格問題と事業所の自由競争によるサービス水準向上の方策につ いての基本的考え方について (障害者の選択がより出来るようにすることによる水準確保か資格高度化か等)
  • 重度訪問介護はOJTの考え方で行われるため資格要件の緩和が必要。利用者の許可が 出るまではベテランと新人の2人体制を続けている上に適切なOJT体制を前提に、働 き始めは資格不要で、働いて1 年以内に、別途、都道府県指定ではなく障害者団体など の行う講習を受ける方法等を導入。
  • 全身性障害者の地域生活支援事業の移動支援のサービス提供については重度訪問介護資 格で行えること、知的障害者、精神障害者の地域生活支援事業の移動支援はヘルパー3 級 資格でもできることを徹底すべき。
  • 3級を無くさないこと。
  • 3級の三割減算をやめる。 社会参加の支援その他
  • 障害者の乗る自家用車の改造費(運転装置改造、リフト取り付け等)を地域生活支援事 業の必須事業に

【近藤委員】
○結論
地域生活の安全・安心を確保するため、地域における昼夜を問わず支援できる拠点機能 「地域生活拠点支援センター(仮称)」を創設すべき。

○理由
地域生活における安心確保のためには、医療以外にも様々な緊急サポート(相談支援を 含む)が必要である。特に夜間、休日については、そうした資源が皆無であり、バックア ップ施設のボランティアに頼っている状況にある。新たな制度として検討されたい。

【中西委員】
○結論
支給決定を調整モデルとする。

○理由
調整モデルについては本人ニーズに基づいて支援費で行っていた7 項目の判断基準(勘 案事項)に基づいて市町村のケースワーカーと利用者本人若しくは支援者とがサービス支 給量について相談して決める方式をとる。身体介護、家事援助、移動支援の3 分類をやめ 生活支援という一類型の中で月間のサービス支給時間を決定する。一日8時間以上の利用 については国の全額負担とし市町村、都道府県に負担をさせない。このことによって市町 村が時間やサービス利用抑制を行う必要はなくなる。ケースワーカーは在宅訪問をしてニ ーズの実態を確認し利用者のニーズが適切でないと判断した場合は行政側にその立証責 任を負わせる。利用者側にはサービスニードの立証責任を負わせない。その理由はこれま で福祉サービスはチャリティー=慈善として行われ、スティグマを張っての利用抑制をし てきた歴史があり、性悪説に基づいて利用抑制をかけてきた。今後はこの反省にたって、 利用者性善説で、ニーズをそのまま認める必要がある。介助サービスは必要以上に支給さ れても、プライバシーの侵害を受けるため利用者自身が利用抑制をする性質のものであり、 使い残しができるだけであるから長時間の支給決定は財政的に負担になる可能性はない。 また、利用抑制をかけるニーズ判定自体に多大な費用がかかっており、その判定をやめる ことによって利用可能な介助時間の伸びが期待されるからである。自立支援法では8億円 以上の判定費用が行政の負担となり、サービスの抑制につながっている事実がある。

【中原委員】
○結論
①D-1-4でも述べたが、サービス体系の簡素化が必要。それに伴い、アセスメントか ら個別支援計画、モニタリングまでの一連の流れが重要になる。
②障害児支援の視点から見ると児童福祉法と障害者自立支援法の二法により組み立てられ ているが児童福祉法に一元化する。その際に現状の介護給付による事業と地域生活支援 事業を一元的なサービス体系とするべきである。

【野原委員】
○結論
公平性とは何か?…その基準は、一般に支援を提供する側から語られる場合が多い。 新法では、多様な「当事者のニーズ」を基準にして提供する「公平」の基準が必要。

【東川委員】
○結論
障害者自立支援法の応益負担により退所した人、退所したと思われる人の実態把握を行 い、再び、必要な支援が受けられるようにする。

○理由
不利益を被ったわけですから、その権利を回復させるのは当然のことでしょう。

【福井委員】
○結論
現行の障害程度区分は廃止し、支給決定は相談支援計画を充分に考慮した上で、市町村が行う。

○理由
地域の中に、広く関係者のネットワークを構築し、支援(サービス) 体系のあり方と実施の方向を確立していくため。

【増田委員】
○結論
障害者自立支援法の応益負担により退所した人、退所したと思われる人の実態把握を行い、 再び必要な支援を受けられるようにする。

【森委員】
○結論
65歳になった場合における支援や、障害者が認知症になった場合の支援のあり方など について検討すべきである。
65歳以上になった場合には、介護保険事業が優先されるが、聴覚障害や視覚障害がある場合は、介護保険事業サービスには適切なコミュニケーション支援(手話や点訳など)などが配置されていないために充分な支援を受けることが困難な現状がある。また、65歳以上になった知的障害者への支援についても、介護保険では十分な対応ができないことが指摘されている。障害者福祉の領域では、地域移行が大きな課題であるが、高齢になった障害者の生活支援についての議論が十分に行われているとは言い難い。

○理由
高齢障害者の生活支援についての議論が十分に行われていないなかで、介護保険との統 一をしないことを前提とした抜本的見直し中の最重要課題として検討すべきである。