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総合福祉部会 第6回
H22.8.31 資料1―7

「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見
(分野E 地域移行) その2

(分野E 地域移行)
<項目E-2 社会的入院等の解消>

論点E-2-1) 多くの社会的入院を抱える精神科病床からや、入所施設からの大規模な地域移行を進める為に、何らかの特別なプロジェクトは必要か? ・・・2

論点E-2-2) 現実に存続する「施設待機者」「再入院・入所」問題にどのように取り組むべきか? ・・・12

論点E-2-3) また、「施設待機者」「再入院・入所」者への実態調査と、何があればそうならないかのニーズ把握は、具体的にどのように行えばよいか?・・・22

論点E-2-4) 上記の調査を具体的な施策に活かすためには、どのようなシステムを構築すべきか? ・・・30

論点E-2-5) スウェーデンでは1990 年代初頭の改革で一定期間以上の社会的入院・入所の費用は市町村が持つような制度設計にした為、社会資源の開発が一挙に進んだ。我が国でもそのような強力なインセンティブを持った政策が必要か?必要とすればどのようなものにすべきか? ・・・34

<項目E-3 その他>
論点E-3-1) 「分野E 地域移行」についてのその他の論点及び意見 ・・・43

(分野E 地域移行)
<項目E-2 社会的入院等の解消>

論点E-2-1) 多くの社会的入院を抱える精神科病床からや、入所施設からの大規模な地域移行を進める為に、何らかの特別なプロジェクトは必要か?

【朝比奈委員】
○結論
必要。地域の関係機関と病院や施設が協働しながら、働く職員の意識改革、入院・入所している人たちの地域生活体験などを集中的に行うことで、一定の効果が期待できるのではないか。

【荒井委員】
○結論
社会的入院に関する実態把握を行い、それに基づき各地域レベルで受け皿作りを着実に進めることが必要。

【伊澤委員】
○結論
社会資源の不足を解消していくために、生活支援諸事業 (相談/入所/通所/訪問)の緊急 整備を進め、同時に病床の削減や病院マンパワーの地域配置転換を大きく進めるという 「時限立法」という荒業を駆使して整備していく。退院が促進された後の空床の活用のあ り方については、時代状況を踏まえ、先進諸国の例も引きながら検討協議する特別の機会 を設ける。一番必要なのは、関係者の意識改革と財源の地域移行である。

○理由
支援事業や社会資源は決定的に不足しており、病院に社会資本やマンパワーが集中し、 地域に受容力がないままでは地域移行は画餅に等しい。権利条約批准の最大のネックでも あるこの状況を早急に改善すべき。精神科空床の活用に関しては、精神病院を廃止したイ タリアを筆頭に先進例を参考に、決してあらたな「社会的○○」を生まないものにするこ とが重要。

【石橋委員】
○結論
精神科病床と先天性障害者の入所施設と一緒に議論しないことを前提にした特別なプ ロジェクトを設ける。
社会的入院と言われる原因の整理がまず必要である。個々の原因は決して一つではない のでケアマネージには専門の立場の支援者が中心となってプロジェクトチームで課題を 解決する。

○理由
精神科病床と先天性障害の入所施設では経緯が異なる。

【氏田委員】
○結論
入所あるいは入院中の障害者一人ひとりの希望を聞き、希望に沿った生活の実現に向け て特別なプロジェクトをつくり応援していくというのは良いことだと考える。しかし、社 会資源が不足している現状があるので、一人ひとりの希望の実現のためには地域生活が可 能となるための基盤整備は必須条件なので、この特別なプロジェクトは全国各地で社会資 源が十分に整うような準備を早急に行うとともに、現状の入所施設を大舎制から小舎制に し、知的発達障害のある人の生活能力ならびにソーシャルコミュニケーション能力の向上 をはかること、地域生活体験プログラム (実際の体験談を聞く、体験するなど)を用意し体 験してもらうこと(その後、自己選択、自己決定へ)、地域での権利擁護システムの創設、 個別支援計画の作成、支援ネットワークの構築、ケアマネージャーの育成と配置などが必 要であると考える。特別なプロジェクトは、入所や病院からの地域移行のみでなく、大人 になった知的発達障害のある人が家族 (家庭)から自立していくことを支援することも視 野に入れて応援してほしい。プロジェクト自体に反対ではないが、間違っても「施設や病 院からの追い出しプロジェクト」にならないよう慎重にも慎重を期した対応が求められる。

○理由
「入所か地域か」ではなく、その人が選び決定した場所で生活する権利を保障すること で貧弱な社会資源の状況から、やむにやまれず入所施設で生活せざるを得ない状況は解消 しなければならない。そうしたプロジェクトは必要である。

【大久保委員】
○結論
公的な力により、強制的に入所施設から地域生活移行を行うことは、現場の混乱をもた らし、望ましくないと考える。なにより、地域の様々なサービス基盤の整備を急ぐ一方で、 利用者(家族)と事業者、一般市民の地域生活移行に対する理解を促進していくことが大 切であると考える。

【大濱委員】
○結論
必要

○理由
現状のままでは実効が上がっていない

【岡部委員】
○結論
まず必要なのは特別なプロジェクトではなく、国や自治体の財政状況に関わらず、地域 自立生活のために必要と認められた給付が確実に担保される仕組みである。(E-1-5 も参 考)

○理由
最終的に旅人のマントを脱がせることができるのは数値目標という「北風」ではなく、 十分な地域支援の確約という「南風」であるため。

【小澤委員】

○結論
・施行事業を、施設、医療機関を含んだモデル地区を定めて実施し、そこでの所見をもとに、プログラム化をする。

【小野委員】
○結論
数値目標は、地域の資源や病床数減などの数値目標を設定すべきである。

○理由
退院者数の目標を設定しても意味がない。受け皿となる資源不足や社会的入院を助長す る病床数を課題とすべきである。

【門屋委員】
○結論
プロジェクトは必要である。

○理由
地域生活移行推進のためのプロジェクトを、保健所単位で設ける。 今まで行われた地域移行に関するプロジェクト報告を参考とすれば、保健所長会のもの も含めて、十分にどのようなプロジェクトを作るべきかは明らかと考える。

【河崎(建)委員】
○結論
一律に、地域移行(退院)を促進するのではなく、ケース毎に「自己実現」や「自己決 定」を目指すべきであり、地域移行を進めるための特別なプロジェクトではなく、障害者が安心して生活できる地域環境整備、地域住民や関係者に対する行政の確固とした姿勢、障害の程度と希望に応じた選択メニューの整備などのプロジェクトが必要である。更に、「大規模な地域移行」などというのは、現状では不可能であり、このような議論をする前にまず、膨大な経費と人員を必要とする受け皿(住居等)を充分に整備することが不可欠である。

○理由
特別なプロジェクトを設定すると、いわゆる「7 万2 千人問題」のような、スローガン のみが先行して、「自己実現や自己決定」さらには「個別的ニードやケア」が軽視される 恐れがある。また、「社会的入院」とは社会的理由による入院と定義すべきであり、社会 的理由は個別で異なる(例えば措置入院は社会的入院の典型例)。社会的理由の解消が図 られなければ社会的入院はなくならない。更に、「社会的入院」という、定義があいまい な概念を前提にしていることからしておかしいし、“多くの社会的入院を抱える精神科病 床~”といった考えも、精神科医療・現場に対する差別、偏見である。当事者個々の状況・ 状態への配慮や、充分な受け皿が整備されていない現状では、理想論的なプロジェクトは 不要・不可能である。

【川崎(洋)委員】
○結論
このようなプロジェクトは必要である。しかし今までもプロジェクトは組まれたが、十 分に結果を得ることができなかった。

○理由
病院のベット数の削減とも関連し、病院との連携が取りにくかった現状もある。関係者 が今後の精神科医療の方向性を十分議論して、地域医療の方向性を決めていく必要がある。

【北浦委員】
○結論
入所施設からの移行を計画実施する場合には、先ず、在宅の人たちの置かれている状況 を斟酌し、優先的な対策をもって混乱に陥れることがないように配慮すること。
そのため、在宅生活安心支援プランを策定することが必要である。
これと並行して、地域移行可能者については、移行に必要な生活場所の確保、支援体制 の整備計画を策定する。移行実施に当たっては、不安や混乱を回避する配慮が必要であり、 一斉、画一的に行うのではなく、それぞれの人の置かれた状況を斟酌して、時間をかけて 関係者の理解を深め、その人の状態に応じて順次行われるように計画実施すべきである。

○理由
すべての障害者の安心、安全な生活の実現を目指すものであり、現在の在宅者にとって、 混乱や、しわ寄せがあってはならないことである。
地域移行者にとっても、それぞれの置かれた環境は複雑なものがあることをふまえ、移 行先での生活に安心安全を確保する必要があり、性急な実施は移行者に不幸な結果をもた らす恐れがあることに留意する必要がある。

【君塚委員】
○結論
加齢児を社会へ移行させようと最大限の努力を続けてきている。なんとか移行させても 次の加齢者が新たに加わってきている。プロジェクトというより、地域ごとの社会資源の 良質の充実が必要である。

○理由
肢体不自由児施設の現在の入所は、2割を占める虐待などの社会的入所をのぞいて、有 期限で平均5か月ほどであり、この期間に療育や医療を集中的に行い、目的を達して自宅 へもどっている。入所は多機能で、母子入園・脳性麻痺を中心とした手術リハビリ入園・ 肺炎やてんかん発作などへの小児科的医療入園 その他に短期入所を行っている。これら の入所機能自体が直接在宅支援となっている。
入所児の9割以上が18歳未満であるが、18歳を超えた重度の加齢児の転出先の確保に 難渋している。

【近藤委員】
○結論
多様な暮らし方ができる地域資源整備や日中活動の場の確保とともに、障害のある人が 地域で暮らすことが当たり前であるという福祉基盤の醸成のための啓発活動がまず必要 である。

○理由
地域で自分らしく暮らすには財源も必要であり、その国民的合意を得るためにも、隣人 として、当たり前に受け入れるためにも、そうしたプロジェクトが必要である。

【清水委員】
○結論
必要。

○理由
特別なプロジェクトがないと進まない。
いずれにしても重度障害者の地域生活展開実践が我々を導いている。

【竹端委員】
○結論
ひつようである。

○理由
これまでの入しょ施せつや精しんか病いんにふりむけてきたたくさんのお金を、ちいき にふりむけ、重てん的に使うための、10年たんいくらいの特べつなたいさくが必ようだ。

【中西委員】
○結論
先進実施事例を学ぶべき。

○理由
精神障害者については大阪での地域移行実施事例が存在している。当事者支援によるピ アサポート事業からはじまって地域の当事者支援組織が支援の中核に立って行政と病院 側の協力を得て地域移行を行ったものである。知的障害者については雲仙コロニーの事例 があり、地域移行において当事者支援が不十分な点、グループホームを多用している等の 欠点はもっているが、移行自体においては自主的に行えたので参考事例となる。

【中原委員】
○結論
まずは、早急に地域に様々なサービスの基盤整備を行うべきである。

○理由
基盤整備が進まないなかでのプロジェクトは「絵に描いたもち」となるばかりか、現場 に混乱をもたらすことから好ましくないと考える。

【西滝委員】
○結論
まず、入所施設の利用者の実態調査を行ない、今後の役割・機能を検証し、必要な部分 にはこれまで以上に改善、予算措置を行なう。

【野原委員】
○結論
重介護の難病患者を家族に抱えている場合(かなりある)、介護者のためのレスパイト 入院は不可欠。一概にレスパイトを排除する傾向には問題がある。

【橋本委員】
○結論
パーソナルアシスタントの制度化が必要である。

○理由
一対一の支援を時間や場所等の融通の効く制度の中で受けられるようにする必要があ るから。

【東川委員】
○結論
独自の取り組みを待っていたのでは、進めるべき所ほど進んでいかないのが実態である。 プロジェクトを行政主導で発信し、移行を確実に推進できるシステム作りが必要である。 時限立法若しくはプロジェクトは、前質問の病院や入所施設の取り組み強化も行ったう えで、民間の人材やノウハウも取り入れた国や行政主導の取り組みが必要だと考える。

【広田委員】
○結論
住宅施策のためのプロジェクト

○理由
まずは住宅の確保

【福井委員】
○結論
これまで「社会的入院の解消」は宣伝倒れになって、障害当事者と家族の自立性を奪い、 将来不安が増大するという深刻な事態となっている。大規模な地域移行に対処するために は、地域の社会資源を作り出すためのプロジェクトは必要と考える。医療、憩い、住まい、 就労など、地域生活を支援できる仕組みや、全国的に総合的な支援システムをつくり出し ていくことが、問題解決にとって不可欠である。

○理由
長く続いているこの状況から脱却するには、思い切った施策を実施する必要性を痛感し ている。

【藤井委員】
○結論
必要である。

○理由
地域移行を進める施策そのものは従来からあるが、効果が上がっていない。具体的なプ ロジェクトを特に設けなければ地域移行は進まないため。

【藤岡委員】
○結論
必要。

○理由
根気を持った取り組みが肝要であるものの、国を挙げてキャンペーン、仕掛けをもとに 本格的に取り組まないと、何十年立っても日本の現状は変わらない。社会、市民の理解、 変革が鍵だから。

【増田委員】
○結論
必要。地域メンタルヘルスチームのような担当地域に責任をもち,病状を悪化させずに 地域生活を継続させていくための支援体制を創り出す。精神科医療を一般化並みの水準と し,治療環境を整える。そうした対策と並行して病床を削減する。こうした一貫した取り 組みを推進するための時限立法が必要。

【三浦委員】
○結論
地域生活を支える基盤整備に係る特別プロジェクトについては積極的に進められるべ き。

○理由
地域移行のための条件整備については、地域社会の意識改革にも及ぶような特別なプロ ジェクト等を通じて着実に図られるべきであると考えるため。

【光増委員】
○結論
必要である。サービス提供事業者に委ねた他力依存では、サービス提供事業者の姿勢に 左右されてしまう。くまなく、誰でも均等な機会が用意されるためには、施策として、期 限付きでも国・都道府県によるプロジェクトが効果的である。(長野県西駒郷・大阪府金 剛コロニー・宮城県船形コロニー等)

○理由
入所期間・入院期間が20年30年となっている利用者の比率はどの程度であろうか。 地域生活移行に、再び長期間=例えば10年掛けていては人生が終わってしまう。数年規 模で、時間を掛けずに行うには、国・都道府県によるプロジェクトでなければ動かない・ 動けない。

【山本委員】
○結論
必要

○理由
国の謝罪の元に人権問題として地域移行が求められるから

論点E-2-2) 現実に存続する「施設待機者」「再入院・入所」問題にどのように取り組むべきか?

【朝比奈委員】
○結論
社会資源の不足が圧倒的な問題。社会資源整備を一つひとつすすめていくことしか途は 拓けない。

【荒井委員】
○結論
「施設待機者」「再入院・入所」については、障害者の自立可能性についてのアセスメ ント、当該障害者が自立するための多様な受け皿づくり(グループホーム、公営住宅、民 間賃貸住宅)、地域生活サポートの仕組みづくりという総合的な取組が必要である。

【伊澤委員】
○結論
再入院予防のマンパワーとして、現行地域生活支援事業や福祉サービスのマンパワーを 増強し、対応体制を整備すること。そして地域の中で共に考える仕組みとして自立支援協 議会の場で課題設定していくことも大切。

○理由
現行の事業のいずれもがマンパワーが不足している。まずはそこを補強し対応体制を整 え、さらに支援の幅を広げるべき。常勤換算による体制整備は実におかしい。種別や規模 を問わず、どんな事業も常勤をきちんと配置しなければ実効ある実践は不可能である。そ して地域の課題として考える仕組みが必要であり、先ずは、地域自立支援協議会をキチン と機能させる事。(市、県、国が繋がって)

【石橋委員】
○結論
「施設待機者」「再入院・入所」の対象者によって状況が異なるのでそれぞれの取組み が異なるが、「施設」の不足であれば造る、造れなければ地域生活のサポートを手厚くする。 同時に待機にいたる原因を調査する必要がある。

【氏田委員】
○結論
地域生活に必要な基盤整備 (社会資源の拡充)や福祉サービスの整備 (一人暮らし支援、 グループホーム支援)を進めるとともに、親からの自立を果たすために必要な経済的基盤 (本人のベーシック・インカム=年金を生活保護のレベルまで引き上げる)を保障するこ とが出来れば、施設待機者は確実に減少すると考える。再入院・再入所については、前段 でも述べたように、安心、安定した地域生活の継続のために一時的に本人が必要とする専 門的支援(もしくは治療)を得るための再入院・再入所であると考えるが、本人が地域で 生活をするための支援が乏しいことが理由で状態が悪くなり、再び入院もしくは入所をし なければならない事態は決して作ってはならない。また同様にこれらの社会資源が、本人 が必要とする支援を提供することなく、安易に退院、退所を求めることで障害者が路頭に 迷うようなことがあってはならない。

○理由
地域生活移行支援を最大限進めていく中で、そして同時に相談支援事業や地域自立支援 協議会の活動を実質化していく中で、「施設入所が必須と考えられるライン」や「再入所・ 再入院が求められるライン」が見えてくると考えられる。ただし地域生活支援の水準は当 面、地域による差が見込まれるので、地域生活移行支援を充実していく経過におけるセイ フティネットとしての視点からも「施設入所」「再入院・再入所」を検討する期間が必要か もしれない。施設入所待機者も、再入院・再入所希望者にしても、待機の順番ではなく、 現在の当該地域での地域生活支援の水準の観点から、実施をしていくことが求められる。

【大久保委員】
○結論
地域に必要なサービスが整備・充実していけば、入所施設に空きが生じ、真に必要とす る人たちが利用できるようになり、同時に、待機者も解消されていくものと考える。

○理由
現在、知的障害関係においては、都市圏などを中心に入所施設利用待機者がいるが、密 接な支援や昼夜の一体的支援が必要な人たちだけでなく、地域に住まいや日中活動のサー ビスが整備されていないという理由の人たちもいることが考えられる。また、これらのサ ービスが整備されれば、入所施設から地域生活移行が可能な人たちも少なくないと考えら れる。
よって、地域にそれらのサービスが整備・充実していけば、入所施設に空きが生じ、真 に必要とする人たちが利用できるようになり、同時に、待機者も解消されていくものと考 える。
ただし、この場合、併せて入所施設の専門的機能の強化を図る必要があると考える。

【大濱委員】
○結論
24時間介護を全国実施して、新規の入所を原則禁止にする。 施設待機者には必要なサービスをすべて支給する。

○理由
地域移行が進んでも、その分の空きに別の人が入所しては無意味。 新規受入を停止して、施設は段階的に縮小する。

【岡部委員】
○結論
まず必要なのは、国や自治体の財政状況に関らず地域自立生活に必要な給付をエンタイ トルメントし、その支給を確実に担保する仕組みであり、退所・退院した当事者を確実に 受け止める(当事者団体を含む)地域の支援者の育成である。(E-1-5、E-2-1 も参考)

○理由
施設の有期限化や利用期間の長期化によるベッド単価の削減だけではたらい回しや施 設ホッピングが増えるだけであり、「待機」も「再入院」も解決しないと思われるから。

【小野委員】
○結論
重い障害のある人が地域で暮らすための支援や資源の整備が必要である。

○理由
施設待機者の存在理由は、重い障害のある人にとって、現在の居宅支援の量・質的な問 題や、地域での暮らしを支える資源が圧倒的に不足しているためである。

【門屋委員】
○結論
個別検討会議を市町村レベルで開き再検討するべき。

○理由
持続的に命にかかわる事態であれば、入所・入院は当然必要である。それ以外であれば、 地域での生活、家族からの地域移行を含む現在行われている支援の退所として検討し、具 体的生活支援を始める。

【河崎(建)委員】
○結論
かつて、政策転換によって「脱施設化」をめざしたアメリカ合衆国においては、1970 年 代になると、入退院を頻回に繰り返す「回転ドア現象」が問題になった。しかし、退院患 者における危機対応には、医療面での関与をためらうべきではなく、場合によっては再入 院も有効な選択肢として、確保しておくべきである。

○理由
言うまでもなく、精神障害においては、「障害と疾病は、併存するものであり」、陽性症 状の再燃に対しては、集中的な入院治療は、有効かつ治療期間の短縮が期待できるもので ある。また、いわゆる「施設症」として、医学的関与を軽視した陰性症状に対しても、入 院機能やデイケア機能を有効に利用した心理社会的リハビリテーションが有用だと考え られる。

【北浦委員】
○結論
施設入所は、その人の生活の維持、生命の維持、治療のための選択として必要欠くべか らざる場合がある。したがって、施設入所を希望する者の必要な事情を把握し、必要限度 において入所施設を提供(用意)すべきである。しかし、一方では、入所後の療育・治療 効果により、施設から地域への移行が可能となる者もあるので、該当者には地域移行の支 援を推進し、入所待機者のために提供することも必要である。

○理由
施設は、必要時には入所を選択し、目的達成すれば在宅へと復帰する機能、役割を持つ ものである。入所希望者には、在宅支援での対応を十分に尽くして実施したその上で、な お必要性があるものには配慮されるべきであり、施設入所を排除することはその人の生き る権利を損なうことになるのではないか。

【君塚委員】
○結論
家族の高齢化のもと、今後ますます重度化が進んでいくことを、検討の際に考慮しなけ ればならない。
待機者については、施設の空きが無いため「親無きあと」のことを考えて、いよいよ家 庭でみられなくなった時のために先を見越しての入所申請が多いと思われ、実態調査が必 要である。緊急の際には必ず入れるような予備があれば申請は大きく減ると考えられる。 社会的入所であるが、他に移行でき、かつ有期限の入所を原則とすればその余裕ができる と思われる。

○理由
大都市で施設を開設しても、多くの待機者が居るにもかかわらず、なかなか入所が埋ま らなかった現実がある。

【近藤委員】
○結論
その理由をしっかりと把握するべきである。その上で、その理由を改善すべき施策を講 ずるべきである。また、安全・危機回避等のための支援は提供することも必要である。

【齋藤委員】
○結論
地域生活保障を可能にする諸政策をしっかりとすすめる他はない。

【清水委員】
○結論
「施設待機者」という概念はない。そもそも地域生活展開構造の構築をすすめていく以 外にないのではないか。

○理由
いずれにしても重度障害者の地域生活展開実践が我々を導いている。

【末光委員】
○結論
施設待機者が地域での生活を維持できる体制をできるだけ整備する。その上で、入所緊 急?を短期、長期どちらでも活用できる多機能?として、各施設に整備する。その場合、 状態が改善すれば地域生活にもどれるよう、入所サービスと地域サービスの相互並行利用 ができる制度の柔軟さが必要である。また、待機者、再入所者の?は、入所時は重症心身 障害であったが今は改善している方などを適切な地域での受け皿に移行することで空き をつくることも必要である。その上で、不足するベッドは、重症心身障害病床の、増床、 増築が必要である。ただし、今後は、漫然と長期入所にするのではなく、地域支援システ ムと連携し、安定すれば再び地域にかえる選択もできる方向性でのベッドの割合を増やし ていく必要がある。

○理由
超重症・準超重症児者は入所児者の2倍以上が既に地域で生活している。これらの児者 を含め重症心身障害児者が、長期入所にならなくても済むように、地域の体制を整えるこ とが必要である。
しかし、最も切実な権利である、生命への権利、健康への権利を守ることを優先すべき 場合があり、やむを得ない事情から長期入所を選択せざるを得ない場合がありうる。

【竹端委員】
○結論
なぜそういう人がいるのか、そういう人は何をもとめているのか、どうすれば施せつで のくらしをしなくてもいいのか、をちゃんとしらべるべきだ。

○理由
きほんてきに、この問だいは、ちいきでの支えんのしくみのうすさ、少なさが理ゆうと して考えられる。であれば、そういう人の声をきくことによって、どういうことをすれば、 あらたに、あるいはふたたび施せつや病いんに入るひとをへらすことができるか、の対さ くをかんがえることができる。それは、ぜひとも来ねんどからでも、まず行うべきだ。

【中西委員】
○結論
地域のサービスを充実させる以外に待機者や再入院をさせない方法はない。

○理由
知的障害者の場合、家族が求めているのはショートステイと地域での24時間に近い介 助サービスで、親のいない時に利用できる体制が必要である。また長期にわたる地域での 知的障害者や精神障害者の生活支援にあたる相談支援事業者の充実が必要であり、そのた めに10カ年戦略で提案した人口5万人に一カ所の支援センターに各20名の相談支援 員の配置が不可欠である。これならば精神障害者、知的障害者、重度身体障害者の地域で 継続的な自立支援が保障できる。

【中原委員】
○結論
論点E-1-6と同様

【西滝委員】
○結論
待機者の実態調査をおこなう。施設等の待機・入所希望の理由を踏まえ、真に施設入所 が必要か、それともケアホ-ムや通所施設等の在宅のサ-ビス利用が必要かを検討する。 待機者の実態調査を踏まえて、今後の入所施設の役割・機能を整理する。

【野原委員】
○結論
個別事情で対応すること。

【東川委員】
○結論
地域に受け皿が十分に整っていないことが原因である。また、家族支援について検討す ることが急務の課題である。地域生活が家族の負担を増大するような結果になってはなら ないのはもちろん、地域生活の意義や安心して託せると家族が思えない現実を変えていく ことが求められる。家族の意識を変えるための社会資源の整備、具体的な家族へのアプロ ーチの方策も重要である。
訪問型(アウトリーチの)地域生活支援体制の整備が必要である。

【広田委員】
○結論
再入院が新たな社会的入院や長期入院にならなければ、ネガティブに考えなくてよいと 思う

○理由
ショートステイか、入院かという選択肢として考えればいいと思う 私自身思考が停止すると短期入院している

【福井委員】
○結論
地域で普通に生きられる環境が充実・整備されない限り、この問題の解決はない。

○理由
特に重症児者に関係して、入所者が外出や一時帰宅した際には、地域の制度が使えない など、一つ一つのハードルを取り除きながら、地域支援システムを作り上げて行かなけれ ばならない。

【藤岡委員】
○結論
再入院は失敗と決め付けることなく、ある程度織り込まれた現象と捉える。
医師、PSW,看護師、家族等が連携し、日本型ACT(包括型地域生活支援プログラ ム)が実現するようチーム支援を実施できる制度を。

○理由
精神障害の特性は起伏も大きく、単純、単線に運ばないことは当然。

【増田委員】
○結論
精神科病棟の環境を整備し、必要に応じて入院治療を利用していく。

【三浦委員】
○結論
地域生活を継続できる支援基盤を整えることとあわせて、地域性を十分に考慮し、必要 な生活資源の整備は着実に進められるべきである。

○理由
待機者の生活を支える地域生活支援基盤を整備することは早急に進められるべきであ る。一方で、地域分析のもと生活資源が不足する地域については引き続き整備が進められ るべき。

【光増委員】
○結論
施設待機者(入所施設待機者)は、都道府県では地方事務所が把握しているのが通例で ある。既に入所・入院・近い将来を見込んで・あるいは待機者となる事由が消滅している 人たちも登録されている場合が某県ではあった。まずすべきは、施設待機者の名簿を精査 し、緊急か否か、名簿内容を具体的にし、ケアマネジメントを徹底して把握し、課題を圏 域単位(身近な地域)での自立支援協議会等で検討すべきである。

○理由
将来への不安から名簿登録されている場合がある。しかも、それは本人の意思確認がさ れないまま家族の都合で登録されている場合もある。本人ニーズ優先というケアマネジメ ントの徹底が最優先されなければならない。本人不在のまま名簿の数字が一人歩きし、自 治体議会で受け皿が論議される愚は避けなければならない。

【山本委員】
○結論
すでに述べた地域での支援体制確立で再入院は防止できる

○理由
24 時間365 日の待機支援で入院は防止できる、純粋に医療として入院でしか治療できな い例はほとんど例外である

論点E-2-3) また、「施設待機者」「再入院・入所」者への実態調査と、何があればそうならないかのニーズ把握は、具体的にどのように行えばよいか?

【朝比奈委員】
○結論
数量調査では限界があり、個別の状況把握が必要。サンプル調査でも行う意義は大きい。

【伊澤委員】
○結論
現在の再入院の方々への丁寧な協力依頼により、再入院プロセスの把握、事態回避の条 件設定などに関する調査研究を実施する。

○理由
実態をつかみながらのシステム研究の必要性を思う。どうしても、施設、病院依存の考 えが、利用者も含めて大きい。暮らし方のイメージの共有化が急務である。基本は、その 地域の人々の暮らし方だと思う。そういう意味では権利条約の整備が、イメージづくりに も大きな力にはなると思う。

【石橋委員】
○結論
公平性を保つためにも実態調査とニーズ把握を行政が行う。具体的な方法は、当事者団 体と話し合って決める。

【氏田委員】
○結論
「施設待機者」については、相談支援事業の相談内容と、同時期の施設入所者の数、退 所者の数からおおよその数が把握でき、同時に相談支援の内容、施設入所者の入所理由、 退所者の退所理由を把握することで施設待機の背景を推定することができると思われる。 また「再入院・入所者」についても、入院・入所前の記録をチェックすることで再入院・ 再入所の繰り返し数やその背景を大まかに把握でき、さらに再入院・再入所の際に、その 理由の詳細を把握することで、実際の状況を押さえることができると思われる。以上の実 数調査・背景調査を一定期間実施することで、「何があればそうならないかのニーズ把握」 につながると思われる。

【大久保委員】
○結論
現在、入所施設においては、相当数の退所者がみられるなか、新たな入所者も数多くあ るという実態がある。先ず、この実態を分析できるような調査研究が重要と考える。 例えば、個人別調査として

  • 入所希望者と新たな利用者の障害ならびにニーズの状況(本人の意向を含む)
  • 現在あるいは入所前の住まいと日中活動、収入、家族等の状況、
  • 地域のサービス基盤の状況
  • 再入所者の地域生活の断念の理由(経済的、健康、障害の変化など) などを把握することにより、地域生活移行(継続)に向けた効果的な施策を検討すること ができると考える。

【大濱委員】
○結論
施設待機者への意向調査には、適切なサービスを受けている自治体の障害者の事例を紹 介する映像などを見てもらい、地域が24 時間サービスになった場合の知識を持ってもら った上で希望を調査する。(例えば24 時間重度訪問利用者なども含めて長時間や中程度の 時間など映像にまとめる)

○理由
意向調査で、貧弱な在宅サービスのイメージしかない障害者に希望を聞けば、施設を望 むのが当然なので、調査の意味が無い。先進地の事例などを見てもらって判断してもらう べき。

【小田島委員】
○結論
市役所に施設入所の申し込みをした人や同居家族に、どういうサービスがあれば地域で 生活できるかという聞き取りをする。そして必要とされているサービスを市は提供できる ようにする。

○理由
本人から施設に入りたいと思う人はほとんどいない。
家族も地域で生活できるサービスがあれば施設に入れたくないと考えている人が多いか ら。

【門屋委員】
○結論
施設待機者については市町村が把握しているので、調査はすぐに可能。 入院については病院への調査しかなく、調査は協力次第。困難か。

○理由
行政が行うべきながら、その内容は国が定めることと、すでに自立支援法において市町 村ごとないし広域で作られているはずの自立支援協議会の個別支援会議などを開き、個別 検討を行うことがよい。

【河崎(建)委員】
○結論
「施設待機者」「再入院・入所」者とは何か定義付けがあいまい。再入院は症状再燃時 の状況によるものであり、そうならないための方策は困難。

○理由
施設入所、入院=悪 という発想が見え隠れする。

【北浦委員】
○結論
そのニーズは個別、具体的に把握する必要があるが、一般的な従来型の調査では、待機 等の調査対象者を把握することはきわめて難しい問題がある。

○理由
調査対象者の把握は、個人情報の保護という壁があり、困難を伴うが、一つの方法とし て、公的機関や、入所施設などで利用申し込み者(待機者)を把握している場合があるの で、これらを活用する方法があるのではないか。

【君塚委員】
○結論
利用期間や目的などどのような場合にどのように、どのタイプの入所施設を利用された いか等を把握したい。

○理由
生き甲斐などを含めて障害をもった方を家庭の中心とした生活を作り上げていること が多いと思われ、短期入所より長い期間の有期限の入所利用の確保が現在、求められてい ると考えられるがそのようになっていないので。

【近藤委員】
○結論
本人、家族、関係者からの丁寧で公正中立な聞き取り調査が必要ではないか。

【齋藤委員】
○結論
今回厚労省が行う実態調査では、そのようなことは把握できない。対象を入院、入所者、 待機者本人やその家族のしぼった丁寧な調査があればよいが、必ずしもこの場合調査がな ければニーズ把握ができないというものではない。

【坂本委員】
○結論
調査にあたっては、調査を受ける障がいのある方や保護者の心情に十分配慮する必 要がある。

○理由
施設入所を希望される理由は様々であり、また複雑な事情を抱えた家庭も少なくな い。

【清水委員】
○結論
そもそも「施設を待っている~~さん」は存在しないのではないのではないか。「今、 ここで生きていこうとする~~さん」。そこから真のニーズを受け止めなければならない。

○理由
いずれにしても重度障害者の地域生活展開実践が我々を導いている。

【末光委員】
○結論
施設待機者の理由を明らかにすべきであり、偏見のない調査を行う必要がある。 障害者本人のみならず、地域における支援者(家族等)の実態調査も必要である。

○理由
施設を必要とする障害者の実態を明らかにしなければ、今後必要な施設の種類や規模の 体系を策定出来ない 障害者本人も支援者も共に人権が守られなければならず、施設待機者には在宅支援が困 難な理由を一方的な理念で否定することのないような調査にすべきである。

【竹端委員】
○結論
それぞれの施せつの「待き者リスト」を県レベルでもらい、そのリストについて調さす る。あるいは市町村の自りつ支えん協ぎ会で、あてはまる人についての調さをする。

○理由
施せつや病いん「しかない」とおもう人がいることは、そのちいきでの支えんの仕くみ が不そくしていることでもある。であれば、県や市町村がちゃんとその事じつと向きあう ような調さをする必ようがある。とうぜんそのための予さんは、国から県や市町村にむけ てしはらうべきである。

【中西委員】
○結論
利用者に充分に説明すればまったく不可能ではないので、努力すべきである。

○理由
施設入居者は地域にサービスが充分になかったために施設入居を選択せざるを得なか った人たちである。まず入居者への調査をおこない、次に施設待機者のリストは都道府県 が管理しているので、その人たちがなぜ施設を選択せざるを得ないかを調査すべきである。 プライバシーの侵害などの理由を挙げて断る都道府県がある。またすすまない理由の一つ として考えられるのは、県外施設に利用を求めた場合に、市町村も都道府県も実態把握が 不可能になっているためである。

【中原委員】
○結論
入所施設では退所者がいる一方で、新たな入所者や待機者がいる現状があることから、 まずはこの現状を分析できるような調査が必要である。
その上で、本人の状況やニーズ把握とともに、地域のサービス基盤の状況や「施設待機 者」「再入院・入所」となった理由などを把握できるような調査とするべきと考える。

【東川委員】
○結論
統計的な調査より、典型的な具体例について緻密に調査・分析することが必要と思われ る。その結果を踏まえ、施設待機や再入院・入所の要因を明らかにし、対策を講ずること が必要である。
追跡実態調査からある程度のニーズは把握可能と考える。

【福井委員】
○結論
一人一人の障害者やその家族と向かい合って、その要求をしっかりと聞き取る調査を積 み重ねながら、何が必要かというニーズの把握に努め、それを分析しながら実践の方向を 出していく活動の系統的・継続的な取り組みが必要である。

○理由
これまでの、数多くの実態調査などから学んで得た結論である。

【藤岡委員】
○結論
精神障害当事者の心情、特性に配慮した慎重さが必要。

○理由
当事者への威圧やプレッシャーにならないようデリケートに扱うべき。

【増田委員】
○結論
入院中の人の入院前の居住区の保健師や生活支援センターの職員・ピアスタッフなど複 数の関係者が,病棟に訪問し,本人並びに病棟スタッフとの意見交換を行い,退院に向け て必要な支援内容を明らかにしていく.

○理由
精神科病棟の閉鎖性に課題がある.

【三浦委員】
○結論
「施設待機者」のリストは各施設が持っているので、各施設から伺って待機者の調査承 諾が得られれば、訪問・聴き取り調査、又は郵送調査で可能と思うが、誰の権限で調査を 実施し、誰が調査員となるかなどと共に、調査設計等には検討を要す。 「再入所」は、事例の有無を全施設に調査し、有る場合は聴き取り調査を行なうことも 可能かと見る。

【光増委員】
○結論
実態調査にあたっては、一定のスケール(必要度・地域生活阻害要因・既存サービスと のずれ・新たなサービス等)について行うことが必要である。同時に、現在入所・入院し ている人たちに対する「地域生活移行希望者」も、同時並行して調査しなければ片手落ち となることを関係者は重視しなければならない。調査に当たっては、調査員の事前研修を 含めた調査方法を既に実施している実施団体資料を活用する。

○理由
調査については、長野県西駒郷・大阪市金剛コロニー・北海道全入所施設利用者調査・ 大阪市入所施設利用者調査等、既に蓄積がされており、厚生労働省研究調査成果物として 蓄積されている。助成金に拠る研究調査成果を有効に活用すべきである。
実態調査と称するものが誰の意向を反映したものなのか。例えば、知的障害の場合意思 の表明に難があるからということで、当事者より家族の意向が調査の対象となる傾向あり。 決して家族の意向を軽々に扱うものではないが、調査の対象はあくまで当事者中心。

【山本委員】
○結論
先に述べた24 時間対応の駆け込めるところとんできてくれる人を保障すれば、再入院 は防げる調査についてはすべての精神科診療所および精神病院各病棟に調査票を置き何が必要 か本人に聞けばいい

○理由
障害者は権利の主体であるとすれば、また調査の主体であり、対象であってはならない 論点E-2-4) 上記の調査を具体的な施策に活かすためには、どのようなシステムを構築すべ きか?

【朝比奈委員】
○結論 個別の状況把握に相談支援機関を活用し、単なる調査に終わらせずに具体的な生活支援 や自立の提案に結びつける。

【伊澤委員】
○結論 システム論よりは、基本理念を十分に深める必要がある。 ○理由 仕組みばかりに視点が行くと、本来の目的が薄れて行くような気がします。

【石橋委員】
○結論 既存の事業では、障害福祉計画の計画に法的拘束力を持たせる。

【氏田委員】
○結論 上記の調査により明確化された「何があればそうならないか」を国レベルのプランへ反 映させ、身近な市町村で具体的なサービスに生かす仕組みとすることが必要である。

【大久保委員】
○結論 先ずは、調査から得られたデータの信頼性と妥当性を確保できるような調査の企画と実 施、調査結果の分析が求められる。また、国においてこれを実施するのであれば、当然、 施策に反映するものと考える。 31

【門屋委員】
○結論 対象者と家族の調査に加えて、検討された内容についての調査を行う。 ○理由 これら全体の調査を集約すれば、当然具体的対処内容が見えてきて、現状のサービスで 不足しているとすれば、新たなサービスを生み出すことができる。

【北浦委員】
○結論 調査結果を分析して、

【竹端委員】
○結論 施せつや病いんにくらす人、それを求める人の調さは、わけずにひとかたまりのものと して考え、ちいきいこうの「10年たんいくらいの特べつなたいさく」のなかに入れるべ きだ。 ○理由 論点E-2-1)の理由とおなじ。

【中西委員】
○結論 地域移行戦略会議を障がい者制度改革推進会議のもとに構成すべきである。 ○理由 ここには行政、施設、当事者、親など施設入所の関係者が集められるべきであり、施設 移行を実際に行ってきたもので、すべて会議を構成し、財務省からも職員もよぶべきであ る。

【野原委員】
○結論 難病の場合は、生活・療養実態調査を先ず国が責任を持って行う必要がある。 32 現状は、「難病」といっても、範囲も、従って人数も分からない…施策のための予算の 算定(予測)できない事態を解決する必要がある。 難病対策要綱を進めてきた医師、研究者、行政(厚労省疾病対策課・保健所)、研究班 当事者が協働して調査を行うことが求められている。

【東川委員】
○結論 調査委員会に当事者の声を反映できるようにすること。 集計データの分析からどのような施策が必要か、当事者を交え検討すること

【福井委員】
○結論 目的を明確にした調査、参加者の意志統一の中で得た結果は、必然的に具体的な施策へ の導きとなる。あとは、それを実現するための手順、財政的保障の獲得である。障害当事 者、住民、自治体関係者、専門家などのプロジェクトが不可欠である。 ○理由 あらゆる分野の参加を保障することで、この取り組みを通じて、障害者に対する権利保 障の真の意味を獲得することになる。

【藤岡委員】
○結論 関係者の連携する地域生活保障システムの構築。居住環境の確保、働く場の確保等の総 合的な支援システム。 ○理由 地域が一体として支えることが大切だから。

【増田委員】
○結論 入院時から退院後生活する地域の支援者と病院関係者が本人を交えて退院に向けた検 討を進めていく.検討の中で社会資源などの問題で退院が難しい場合に,その地域の障害 33 者施策推進協議会などに問題提起を行う.

【三浦委員】
○結論 もし、調査が実施できれば、結果に基づく施策提言の段階において、当事者、相談関係 者、サービス事業者、医療関係者等が参加し、国・地方自治体に提言を行い、国及び自治 体が対応策を持つようなシステムが検討出来るのではないかと考える。

【光増委員】
○結論 施策に活かすためにも、調査はプロジェットとし、各都道府県担当職員を配置し、サー ビス提供事業所・相談支援専門員・第三者性を保つためにも研究者を含めたチーム編成で 行う。結果については、真摯に受け止め、具体的な施策に反映していくことが担保されな ければならない。 ○理由 利用者の意向を聴く意味は、実現をするために聴くのでなければ失礼にあたる。これま でケアマネジメントの考え方が浸透しているが、では、実際聴いて受け止めた結果につい て、誰が責任を負うのかが不透明であってはならない。施策に反映する意向を持って調査 にあたる必要がある。

【山本委員】
○結論 本人のを主体とする調査過程そのものが障害者のエンパワーメント過程となるので、そ うした調査に基づき体制が作られるべきである ○理由 障害者は調査の客体ではなく主体であるべきだから 34 論点E-2-5) スウェーデンでは1990 年代初頭の改革で一定期間以上の社会的入院・入所の 費用は市町村が持つような制度設計にした為、社会資源の開発が一挙に進んだ。我が国で もそのような強力なインセンティブを持った政策が必要か?必要とすればどのようなも のにすべきか?

【荒井委員】
○結論 社会的入院に関する実態把握を行い、それに基づき各地域レベルで受け皿作りを着実に 進めることが必要。

【伊澤委員】
○結論 試みとして有用性を感じるが、過疎地であったり財政力のない自治体には難しいのでは ないか。それを支える国、自治体の役割は大きいのでは。 ○理由 やはり、改革を進めるには、痛みというよりは、強力なインセンティブが必要である。

【石橋委員】
○結論 成功事例となるのであれば、積極的に同様のシステムを強力なインセンティブを持って 導入すべきだが、十分な検討と国民のコンセンサス得る段階を経ることが最も必要です。 ○理由 高負担、高福祉の国民的理解(信頼)がないため、スウェーデンのシステムの良いとこ ろだけを持ち込むことには無理がある。

【氏田委員】
○結論 北欧型にどのようにして近づけていくかが問われていると思うが、フリーターやホーム レスの存在、刑務所や少年院も含めて考えていく必要があるのではないか。市町村に社会 的入院・入所の費用を担うだけの経済的体力がなければ、逆に、実態が表に現れない状態 35 で、当事者の生活適応が増悪する可能性も考えられる。税制システムの抜本的改革など、 地方財政の底上げなくしては、スウェーデン型の展開は難しいと思われる。

【大久保委員】
○結論 我が国において、現時点では、むしろ逆効果であると考える。現在必要なことは、障が いのある多くの人たちが「これなら地域で暮らすことができる」と実感できるような支援 (福祉サービス以外の支援も含む)体制を全国各地で整備していくことであると考える。 ○理由 現時点でそのような強権的な仕組みを発動しても、無駄に現場が混乱するだけである。 スウェーデンの入所施設の歴史や機能と我が国の入所施設のそれらは必ずしも同様とは 言い切れないことと、現在の入所施設の性格やそれに依存する意識などを十分に踏まえる 必要がある。

【大濱委員】
○結論 必要である。 また、医療保険から障害福祉会計に繰り入れるべき。 (ただし、あまりハードランディングをすると、現場で混乱することで利用者が困るこ とも多い。在宅の制度・事業者に十分な受け皿を作らないと、危険な場合もある。) ○理由 医療保険に頼って市町村が福祉予算をかけないほど財政余裕ができる仕組みを変える べき。

【岡部委員】
○結論 期限で区切るのではなく、入所施設支援費と地域生活支援費の国庫負担比率を変えるほ うが自治体にとってはより効果的なインセンティブになるのではないだろうか(たとえば 前者は国:自治体=30:70、後者は逆に70:30とするとか)。また、入所者の費 用負担の出身地主義もなくすべき。 36 ○理由 期限で区切ることでは却ってたらい回しや施設ホッピングが増える懸念がある。また、 施設の報酬単価を切り下げることは利用者のQOLの低下や人権問題につながる恐れも ある。

【小澤委員】
○結論 ・行政的なインセンティブは必要だが、スウェーデンと異なり、わが国の施設、医療機関 のほとんどが民間機関なので、民間機関の経営、人材の配置の問題を、どのような施策 で誘導するかが、問われている。

【小野委員】
○結論 当面は、国の資源整備計画と財政負担を強化すべきである。 ○理由 現在の自治体にペナルティ制度を課すだけでは、単なる追い出しになってしまうため。

【門屋委員】
○結論 市町村の責任を具体的に示すことは大変好ましい。 ○理由 やはり本気に取り組む条件提示は必要。

【河崎(建)委員】
○結論 財源移譲等の問題が解決して、真の「地方分権」がなされない限りは、地方における社 会資源の開発といった目論見どうりには、いかないと考える。したがって上述のようなイ ンセンティブ政策は、地域格差拡大といった逆効果を生む。 ○理由 財源移譲の進まない現状においては、地域独自の保健医療福祉政策が展開される余地は 37 少なく、むしろ「国保と協会健保の都道府県単位での地域統合」や後期高齢者医療、介護 保険における保険者機能の広域化が企図されている。市町村単位でのサービス運営は、困 難なのが実状である。

【川崎(洋)委員】
○結論 社会的入院の課題は、従来の仕組みでは解決できていない。大胆な制度改革が必要と考 える。地域生活に必要な資源を確保するためには、地域生活支援策を講じて、住宅手当、 生活費、24時間の相談体制を制度化する。社会的入院の費用は国が持つという方がいい のではないか。国の大胆な政策転換が必要。 ○理由 遅遅として進まない社会的入院は、地域の受け皿としての資源不足による。財源、マン パワーを充実させ、病院から地域移行して本人らしい生活は保障されなくてはならない。 国はこれらの問題に真剣に取り組む必要がある。

【北浦委員】
○結論 社会資源の開発が飛躍的に進むとは考えられない。むしろ抑制されて混乱が生じ、結果 として、被害をこうむるのは障害者であることに留意する必要がある。

【君塚委員】
○結論 小児の領域では学校と施設が重要な社会資源であり、充実が必要。脳性麻痺を中心とし た脳障害を有する児の教育をさらに充実していく必要がある。 1、児童においても潜在的待機者が、NICU、小児病棟、乳児院、児童養護施設などに存 在することを念頭に置いた調査と施策の実現を希望する 2、在宅している重心児者は家族の努力によってかろうじて在宅生活を維持している。 彼らも潜在的待機者として調査検討する視点が必要である 3、看護師常駐ではない身体障害者療護施設にも重心相当の方が存在しているが、ほか に行き場がなく現場職員の努力で生活を何とか維持している。 38 4、以上の解決のために、ある程度の医療的ケア実施可能な重い障害の方のケアホーム の実現と児童の場合の生活と発達保障の場の実現を希望する ○理由 施設が児の持っている能力を最大限引き出す通院、入院訓練治療を実施し、必要に応じ てそれを繰り返し、日常の学校で使える能力まで引き上げていく必要がある。通院訓練だ けでは児の能力を最大限引き出せない例も多い。 1、現在存在する専門機関の力を効率よく結集することが現実的である 2、現在、所外活動の財政的保障は不安定であり、専門機関の持つ力を十分に地域で発 揮できる体制となっていない 3、重い障害のある児童が主に生活・訓練を行う特別支援学校で、教育関係者とリハビ リテーション専門職が協力することが最も効率的な方法である。月に1,2 度病院でリ ハビリを受けるしかない現状では、機能の退行を防ぐことも困難な現状である。

【齋藤委員】
○結論 確かに地域移行をお題目として掲げても現在のままの地域生活保障があるだけではな かなか地域移行は進まないだろう。そうはいってもわが国では強力な強制策をとるには相 当の政治力と事前準備が必要となり、並大抵のことでは実現しない。

【竹端委員】
○結論 ひつようである。 ○理由 よく「お金がたりない」ということばを、何もかえない理ゆうにきく。でも、ほんとう にお金がたりないなら、障がい者のために効かてきに使うことを真っ先に考えるべきだ。 社かい的な入いん・入しょは、ちいきでくらすより、効かてきではなく、かつまあまあ高 いお金がかかる。ならば、それをやめるための政さく(政策誘導)はあってしかるべきだ。 39

【中西委員】
○結論 まず国家による障害者支援の義務づけを障害基本法と差別禁止法と総合福祉法とをも っておこなう。その後、地域サービスの整備を5カ年かけて行い、その後、5カ年かけて 施設を閉鎖し、地域に移行する戦略を立てる。 ○理由 スウェーデンとちがって施設が民間運営であるため、閉鎖させるには施設側にインセン ティブがはたらくように政策決定をしなければならず、例えば施設経営者に国家賠償金を 払うようにする。

【中原委員】
○結論 自立支援法になり、支給決定・地域生活支援事業・障害者福祉計画など市町村に権限を 持たせる仕組みが導入されたが、市町村ごとの格差も問題視されてきた。従って、一気に 様々な権限を市町村に持たせることは拙速と考える。まずは、自立支援法の検証とこの国 の障害者施策ビジョンを、国が示すべきと考える。 ○理由 わが国でそのような強制的な仕組みを導入しても混乱を招くと考える。スウェーデンと わが国における入所施設の歴史的な背景や性格は異なっている。これらを踏まえた上で、 わが国にあった障害福祉施策のビジョンを考える必要がある。

【野原委員】
○結論 必要である。国と地方、民間、NPO などの活動財源を国がしかるべき割合を負担する。 障害を持つ人も「人間として当たり前に」暮らしていける世の中であるべき。

【橋本委員】
○結論 必要ない。我が国での実施は性急である。 ○理由 40 一般市民に障害に対する理解がない地域では、偏見による差別や被害がでる恐れがある。 重度障害者の地域移行においても、十分な介護給付が用意されていない。命に関わる重度 障害者の介護費用は、市町村ではなく国が保障すべきである。

【東川委員】
○結論 財源の地域格差で移行が進まない、ということがあってはならない。財源も厳しい時代 に入っているので、スウェーデンのような制度を考えるのであれば、自治体の財政事情に 応じて国がバックアップできるシステムが求められる。 必ずしも入院・入所施設の費用を自治体負担にすることでは解決しないことへの対策が 必要。 ○理由 精神障害の社会的入院の中には生活保護受給者が少なくない。生活保護費の医療費の4 分の1は精神科医療であり、入院医療費の約半分近くが精神科入院医療費である。生活保護の退院促進事業もあるが、実施に消極的なところが少なくない。その背景には、入院しているほうが地域生活支援を担当する負担が増えるより楽という福祉事務所の現業ワー カーたちの思いもある。

【広田委員】
○結論
日本ではそうは考えられない

○理由
その様な財政があるのであれば、まず住宅施策

【福井委員】
○結論
20 年前のスウェーデンで成し遂げたことを今、日本でもという提起か。確かに、強力で 意欲的な施策提起は、人々をして決起させる力を持っている。障害当事者が中心になっての政策提起に取り組んでいる今こそ、それを私たちの運動の中で築き上げていきたい。

○理由
当事者の訴え、切実な要求の提起が、広範な理解と国民世論の構築を促すものである。

【藤岡委員】
○結論
設問のような制度、社会的入院者の退院を実現した精神科病院への報奨金援助や一定期 間の空き病床分の補償など。
それらが一定程度必要だが、地域での支援体制の確立とのセットが必要。

○理由
支援のないまま病院から放り出されて孤立して症状が悪化する当事者が出るような事 態はあってはならない。

【増田委員】
○結論
我が国の場合には全国各地が最低限の水準が整えられていくまで,国が責任もって費用 を負担し進めるべき.自治体による格差をこれ以上拡大することは避けなければならない。

【光増委員】
○結論
必要である。ただし、インセンティブは、支援者が持つと同時に、支援を受けるサービ ス利用者の意向が動機付けとならなければ、支援者側の意向・作為で物事が動いてしまうことになる。あくまで利用者の意向データを根拠として、地域生活支援に関わる社会資源(全ての人に対するサービス利用計画をプランニングする相談支援担当者の育成と計画 作成費の予算化・受け皿となる社会資源整備費)の財源化が必要である。

○理由
動機付けには、支援者の意向は後からであって、利用者本人の意向を根拠としたインセ ンティブでなければ、支援される・支援するという位置関係は改善できない。

【山本委員】
○結論
必要である

○理由
入院させておけば、市町村は負担がないという体制を改革すべきだから

<項目E-3 その他>
論点E-3-1) 「分野E 地域移行」についてのその他の論点及び意見

【荒井委員】
○結論
障がい及び障がい児(者)に対する地域の理解を促進させる施策を盛り込むべき。

○理由
「地域移行」を進めるには「地域の理解」が不可欠である。障がいがあっても、地域の 一員として、いきいきと暮らしていくためには、「地域の理解」が必要であるので、すべての住民を対象として地域の理解を求めていくような方策を検討することが必要と思わ れる。

○結論
在宅者の「地域生活支援」として、在宅障害者の親亡き後の問題や、障害者家族への支 援方法、障害者の高齢化への対処などを論点とすべきである。

○理由 障害者・家族とも今後一層の高齢化が見込まれ、障害福祉分野での制度的対応を考える 必要があるため

【伊澤委員】
○結論
我が国の入院医療体制の規模要件の適正さを浮き彫りにする視点やそれを目的とした研 究の立ち上げ実施を急ぐ。また地域移行を進めて行く推進員の存在は大きい(当事者も含めて)。その確保を、地方財政や事情に左右されず進められるとよい。

○理由
異常なまでの病床数の削減は急務である。また地域を繋ぐコーデイネーターの存在は大 きい。色々な所に顔を出し、状況を掴み、調整をして行く作業が出来る存在を、地域の中に持つ事は重要である。

【氏田委員】
○結論
「地域移行」の議論が施設からの移行だけになっている感があり、「家族からの自立」、「自家からの移行」に関する項目がまったくないが、「自家からの移行」についての議論も必要ではないか。

【大久保委員】
○結論
自家(家族との同居)からのグループホーム等やアパートへの移行も地域生活移行と考 え、課題のひとつであるが。

【大濱委員】
○結論
医療的ケアについて
・痰の吸引、経管栄養注入(注入開始も含む。胃瘻を含む)、摘便、人工呼吸器の操作や着脱などを利用者が「適切にこれらの行為を行える」と利用者が認めたヘルパーが行 えるように要件緩和。このためのヘルパー研修への参加時の日当・交通費等の助成等 が必要

○結論
・重度訪問介護事業所などにむけ、医療的ケアの研修を行う当事者団体に対して助成す る。また、医療的ケアを行うヘルパーを雇用する事業所が、積極的に研修を行える環 境整備、助成を行う。参加するヘルパー等には交通費や宿泊費・日当を助成する。

【河崎(建)委員】
○結論
地域移行は選択枝の一つと考えるべきで、選択メニューが少ないところに、わが国の福 祉施策の課題がある。特に、精神障害分野においては、殊更に、「社会的入院」という言葉が多用されるが、精神病床からの退院(地域移行という言葉が使われていても・・・)といった極めて医学的見地に基づく判断を、「総合福祉法」といった福祉の法体系に委ねることについての違和感を禁じえない。前述の「法の守備範囲」とも関連するが、「医療」の部分について依拠するのは、どの法律なのか。

【君塚委員】
○結論
虐待 (肢体不自由児施設では入所の約1割を占めている)を中心とした社会的入所では、 家族とのトラブルが絶えず、施設の機能の充実が課題となっているが、この面でも対応を検討しておかなければならない。また、児に対しては心理的サポートに於いて専門的な特殊性が必要とされる。
家庭の崩壊の場合、地域に移行しても機能を維持向上させるには、地域で日常で使える レベルまで機能を高め、必要に応じてリフレッシュできる入院・通院訓練治療ができる体制が必要である

○理由
小児の場合地域に移行するだけでは、児の能力を伸ばすことができないばかりでなく、 機能が伸びる時期に必要な頻度の訓練治療を受けずに、伸びる時期を逸してしまうことも多い。

【坂本委員】
○結論
地域移行を進めるためには、その土台となる「(障がいに対する)地域の理解」が 不可欠である。このため、まずは、鳥取県の「あいサポート運動」のような、すべて の国民が障がいについて理解するような普及啓発運動が必要と考える。 (鳥取県の「あいサポート運動」については、別添資料及びパンフレット等を参照。)

○理由
障がいについて理解を深める「普及啓発」に関する施策は、障がいのある方が暮ら しやすい地域を作るために欠かせないため。

【末光委員】
○結論
「地域」と「施設」は必ずしも対立するものではない。 地域移行が可能な人たちにとって、施設の持つ専門機能を移行時及び移行後の支援機能 として活用していただく施設であり、地域生活を支えるための施設、地域の中の施設、文化的な生活を支えるための施設である。

○理由
生命を守り、健康かつ一定水準以上の「生活の質(QOL)を確保した地域生活には専門 性を備え、在宅の人たちには開かれた施設の存在が不可欠である。そのことは欧米諸国でも再認識されつつある。

【田中(正)委員】
○結論 親亡き後の地域での対応を考慮して、地域移行を考える時、必要な受け皿に対する具体 的な方策についてどのように考えるべきか?

○理由
地域移行とする表現は必ずしも施設や病院などからの地域移行ととらえずに、家族同居 からの地域移行とする視点も持ち、項目を起こす必要があるため。

【中西委員】
○結論
イタリアの地域移行においては精神科医フランコ・バザーリアが『自由こそ治療』とい う書物の中でふれたように、精神疾患は社会的な偏見や差別から起こっているので、医師や看護師の精神障害者に対する偏見の除去から取り組み、精神科病院で暮らすより地域で暮らす方が精神障害の改善に役立ったという事例を積み上げて、医療従事者自体の考え方を変えていった。日本における精神科医の質は低く、そのような改革に取り組む事例を聞かない。地域での精神科クリニックの中には良心的なものも見受けられるので、精神科病院に投入している膨大な予算を地域クリニックでのショートステイや市町村が運営する 医療付きショートステイに移行するなどの手立てをうった上で、精神科病院での在院機関を2週間以内と限定する施策を打ち出すべきである。3ヶ月以上の入院患者の退院率は非常に低くなっていくことから長期入院を阻止することが第1段階である。
身体障害者にとって大切な存在であったピア・カウンセラーや自立生活プログラムは知 的、精神障害者にとっても有効なことは実証されつつある。当事者組織育成は容易なことではないが当事者の自由な活動拠点とそれを支援する当事者運営による職員体制が整備 できれば全国どこでも可能である。地域移行システムの運営の中核を構成する委員会には当事者が過半数入るべきである。

【西滝委員】
○結論
地域移行、暮らしの場をグル-プホ-ム、ケアホ-ムに限定することなく、入所施設 (生活施設)の役割・機能も併せてしっかり検証すること。
本当に重度障害者の暮らしをどう守るのか、これまで果たしてきた入所施設の役割を検 証する必要がある。

【東川委員】
○結論
家族支援。市民啓発のプロジュクトをNPO団体などとしばしば協働事業として実施す ること

○理由
障害に対するマイナーなイメージからの脱却。文化価値観の改革

【福井委員】
○結論
この分野は、積年の課題であり、わが国特有の歴史的な経過もあるので、丁寧な討論が 必要と考える。なお、このことについては、推進会議での討論について異論を唱えた運動なども起こっていることから、この項目での討論課題とすべきと考える。

○理由
上記のとおりである。

【増田委員】
○結論
長期入院を生み出した責任は我が国の政策の不備(隔離収容政策・民間病院依存)によ るものである。国の責任を明確にし、地域資源の拡充に責任をもつ。

【光増委員】
○結論
障害があり、社会的養護の必要な児童の多くは、障害児施設や児童養護施設などに入所 していることが明らかになっている。このような児童についても、ノーマライゼーションの原理に則り、施設入所だけでなく地域における安心した生活が確保されるべきである。そのために、地域における家庭に近い生活形態である里親制度やファミリーホームなどの活用が望まれる。
地域生活移行の結果、入所施設や病院の周辺に障害者が集中して暮らすのを防止する対策が必要。
地域移行は地域生活移行の表現に変えるべき

○理由
虐待などを受けた社会的養護の必要な児童が障害児施設に、また、障害のある児童が児童養護施設などに入所している実態が明らかになっている。彼らは、障害と虐待などの二重のハンディがあり、自ら権利を擁護するとか、家族による権利を擁護されることに困難な状況がある。このような児童についても、ノーマライゼーションの原理に則り、施設入所だけでなく地域における安心した生活を保障される権利があると考える。すでに里親に委託されている児童の多くに障害があることが明らかになっているが、更に、地域における家庭に近い生活形態である里親制度やファミリーホームなどの活用を推進していくことが子どもの最善の利益の観点から重要であると考える。
「病院の近くの方が安心」「何かあったときに施設に戻れるように近くにいたほうがいい」といった声が、本人や家族にあるが、こうした不安を解消するような仕組み整えることが必要である。

【宮田委員】
○結論
社会的養護の必要な障害児についても、施設入所だけでなく地域における安心した生活の確保が必要である。そのために、地域における家庭に近い生活形態である里親制度やファミリーホームなどの活用を促進する。

○理由
虐待を受けた社会的養護の必要な児童が障害児施設に、また、障害のある児童が児童養護施設などに入所している実態が明らかになっている。彼らは、障害と虐待という二重のハンディがあり、自ら権利を主張したり、家族に権利を擁護されたりすることが困難である。このような児童についても、ノーマライゼーションの原理に則り、施設入所だけでなく地域における安心した生活を保障しなければならない。地域における家庭に近い生活形態である里親制度やファミリーホームなどの活用を推進していくことが子どもの最善の利益の観点から重要である。

【森委員】
○結論
地域移行支援や移行後の日常生活や社会生活を支える支援のシステムの構築を図るとともに、非日常時、すなわち、災害発生時などにおける緊急支援システムが必要である。そのためにも地域社会の障害理解と、インフォーマルな支援体制整備の構築が求められる。また、地域移行後に、移行者の健康感の充実をはかり、健康維持に関する支援体制を整備することも重要である。

○理由
地域移行支援や移行後の日常生活や社会生活を支える支援のシステムの構築について、速やかに検討すべきである。

【山本委員】
○結論
地域移行型ホームおよび退院支援施設は直ちに廃止されるべき

○理由
精神病院病床の単なる看板架け替えに過ぎないから