音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

総合福祉部会 第6回
H22.8.31 資料1―9

「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見
(分野F 地域生活の資源整備) その2

(分野F 地域生活の資源整備)
<項目F-3 長時間介助等の保障>

論点F-3-1) どんなに重い障害があっても地域生活が可能になるために、市町村や圏域単位での「満たされていないニーズ」の把握や社会資源の創出方法はどうすればよいか?
・・・2

論点F-3-2) 24 時間介護サービス等も含めた長時間介護が必要な人に必要量が供給されるために、市町村や圏域単位での支援体制はどのように構築されるべきか? ・・・9

<項目F-4 義務的経費化と国庫負担基準>
論点F-4-1) 障害者自立支援法では「在宅サービスも含めて義務的経費化」するとされたが、国庫負担基準の範囲内にとどまっている。そのため、国庫負担基準が事実上のサービスの上限になっている自治体が多いと指摘する声がある。このことに関する評価と問題解決についてどう考えるか? ・・・15

<項目F-5 国と地方の役割>
論点F-5-1) 現在、障害者制度改革の中では、「施設・病院から地域生活への転換」「どの地域であっても安心して暮らせる」方向が目指されている。一方、地域主権改革では「現金給付は国、サービス給付は地方」との一括交付金化の考えが示されている。障害者福祉サービスに関して国と地方の役割をどう考えるか? ・・・23

論点F-5-2) 障害者権利条約の第19 条を受けて、推進会議では「地域生活の権利の明文化」を求める意見が多数であった。地域の実情や特色にあったサービス提供と、この「地域生活の権利」を担保していくためのナショナルミニマムのあり方についてどう考えるか?
・・・34

<項目F-6 その他>
論点F-6-1) 「分野F 地域生活の資源整備」についてのその他の論点及び意見
・・・42

(分野F 地域生活の資源整備)
<項目F-3 長時間介助等の保障>

論点F-3-1) どんなに重い障害があっても地域生活が可能になるために、市町村や圏域単位での「満たされていないニーズ」の把握や社会資源の創出方法はどうすればよいか?

【伊澤委員】

○結論
自立支援協議会主催による「事例検討会」において浮き彫りにしていく。要は満たされ ていないニーズは、地域の中で協議する場により浮き彫りにし対策を講じるが基本。

○理由
誰もが思い通りに自由に生きられるわけではないが、障害者が置かれている現状を知り ながらその限界を超えていく発想が大事である。

【石橋委員】

○結論
市町村の地域を構成するあらゆる団体が加わった地域生活自立支援協議会と官民一体 の相談支援事業の活用により創出する。

○理由
相談事業を一義的に福祉事務所から民間事業所に移したこと、児童相談所の扱う事案が 児童虐待の措置に移したこと等で満たされないニーズが拾い難くなっている。

【氏田委員】

○結論
相談支援事業の拡充および地域自立支援協議会の機能充実が必要と考える。発達障害に ついては論点のD-1-5 とも重なるが、身近な相談場所がたくさんあることが必要である。社会資源の創出については、発達障害系の重い障害はその表現形が多様でもあり高度な専門性が必要となるので、専門的人材の養成と切り離しては考えられない。その意味では、発達障害に関しては、地域生活支援事業として展開するというよりも、全国的な状況把握に基づいて、個別給付の枠内でナショナルミニマムとしての支援事業を展開していくべきと考える。

【大久保委員】

○結論
自立支援協議会が中心となり把握し、社会資源の創出につなげていくことが考えられる。特に、重度の知的障害のある人たちについては、圏域を含めた権利擁護システムの整備が重要と考える。

【大濱委員】

○結論
24 時間介護を広報する。
1800 市町村で複数の24 時間サービス提供の重度訪問介護事業所などを設置の後押しを する。
医療的ケア(吸引・径管栄養以外)を介護職に解禁していく。

○理由
吸引・径管栄養は介護職に解禁予定だが、それ以外の医療的ケアも多い。

【岡部委員】

○結論
ケースワーカーは「申請」として顕在化するひとつひとつのニーズに誠実に向き合って 支給決定を行い、自治体はその給付のために必要な財政措置を予算として具現化すること。 利用者はその生活実態をよく知る支援者(アドボケイト)とともに誠実かつ丁寧な交渉を行うこと。

【門屋委員】

○結論
個別支援会議を義務付けて、行政は相談支援事業者と共に個別事例検討を繰り返し、複 数の障害者が満たされていないニーズを地域ニーズとして自立支援協議会で議論し、検討して協議会の中に作られた資源開発部会などで検討する。

○理由
官民協働で、審査会のように定期的に個別支援会議を開くと、1 年程度でほぼ掌握でき るように思います。はじめは大変ですが、幼児期からこれを取り組み、各市町村がデータバンクをもって登録し、必要に応じて検討することができれば、ニーズ把握も、満たされないニーズも明らかになりますし、ライフサイクルに添って支援が途切れなく可能となると考えます。 相談支援事業体と行政の共同体制を義務付ける。委託内容に組み込む。

【君塚委員】

○結論
情報公開をすすめ、相互理解を深める工夫をし、予算に反映するようにする。

○理由
全体をコーデイネイトする人材を配置する。

【近藤委員】

○結論
相談支援事業の窓口を通じて「満たされていないニーズ」の把握を行い、自立支援協議 会で検討することが考えられる。

【坂本委員】

○結論
町に必要となる財源の確保がなされることが必要である。

○理由
現在の町の収入の中で大幅なサービスの充実を行うことは難しい。

【清水委員】

○結論
すでに西宮でも、そして全国のいたるところで、たいへん重い障害のある人の地域生活 展開がすすめられている。そのことに真摯に向き合い、さっさと進めていくことである。

【竹端委員】

○結論
ちいき自りつ支えん協ぎ会で調さができるような予さんがつけられるべきだ。

○理由
論点F-2-1)とおなじ。

【田中(伸)委員】

○結論
相談支援の拡充と、相談支援を通じて明らかとなった障害者のニーズを実現するために そのニーズを各地方公共団体の施策に反映させる仕組みの構築が必要である。

○理由
障害者の意思の尊重や、ニーズの把握、支援計画の策定などは、専門性を有する相談支 援員による相談支援が中核的役割を果たすことになる。従って、ニーズの掘り起こしには相談支援事業の拡充が不可欠である。そして、把握された障害者のニーズを政策に反映させ、計画的に社会資源の整備を行うべきである。

【中西委員】

○結論
総合福祉法で国にその財政的義務化を明記すれば、ニーズは顕在化する。

○理由
重度障害者のニーズ把握は地域で重度者が暮らせるだけのサービスが保障されてない 場合には施設または親元にいて、ニーズの顕在化がはかりにくいことにその問題がある。重度障害者を受け入れているのが、現状でも当事者組織が運営している自立生活センターが中心であり、そこでニーズが顕在化され、行政との交渉が行われて、承認されたニーズとなっていくというのが現状での実態である。これは行政側が窓口でニーズの抑制を図らなければ、ニーズは顕在化されていたことを示している。なぜ行政がサービス抑制したかというと国庫補助が充分に実施されず市町村への負担が大きかったからであり、つまり財源問題である。

【中原委員】

○結論
相談支援体制や自立支援協議会を機能させていくことが重要となる。

○理由
相談支援体制や自立支援協議会というシステムは今までにない仕組みであり評価がで きるが、十分に機能していない自治体も多い。地域の特性や実情に応じた資源整備のためには有効な手段である。

【野原委員】

○結論
患者・障害者と支援者との信頼関係の構築がなければ、重篤患者・障害者のニーズはつ かめない。障害者が普通の生活をすることが当たり前の社会の文化を意識的に創出。

【東川委員】

○結論
困り感を率直に表出できる福祉サービスのインテークを行い、パーソナル・アシスンタ ス・サービスのように柔軟性をもった援助職を作り出す。

○理由
福祉サービスに柔軟性がないため、該当しない人たちが埋没してしまう。個々の困難な 点、あるいは満たしたい生きがいというものを表出し、それに応える体制をつくるべきで、その一つとしてパーソナル・アシスンタス・サービスもあると思われる。

【福井委員】

○結論
徹底して、一人一人にニーズに基づいた要求を把握し、その実現のための方策を考え抜 くことである。国連の権利条約や国際的実践にも学び、国内のこれまでの実践も参考にしながら、粘り強く決してあきらめない取り組みが求められる。

○理由
ここを突破していくことが、新制度をつくっていく重要なポイントであると肝に銘じて 取り組んでいくべきと考える。

【藤岡委員】

○結論
ニーズはセルフアドボカシーによる把握。
社会資源の創出方法は公的義務。

○理由
基本合意と一体として各地の地方裁判所の訴訟上の和解調書に記載されている要望書 1(4)障害者福祉の社会資源の充実,基盤整備において、 「障害福祉事業は報酬単価が低廉であり,全国各地において,事業所,有資格ヘルパー等 が著しく不足しており,結果として,障害福祉施策を利用できない障害者が多数存在しま す。 「サービス契約」方式が許されるのは,国が憲法に基づくナショナルミニマム保障義務 として,全国で社会基盤整備を尽くすことが前提です。 障害福祉施策を利用できない障害者が生まれないように,事業者,ヘルパー等の基盤整 備を尽くしてください。」とされている。

【三浦委員】

○結論
地域自立支援協議会の役割・機能として位置づけるべき。また、実現にあたっては、ボ ランティア、地域住民、家族等の協力も不可欠である。
また、相談支援事業における相談内容やケアプランの作成過程で明らかとなる、社会資 源の不足状況についても集積し、資源や事業所を起こしていく仕組みを考えるべきである。

○理由
把握する責任主体を明確にする必要があり、地域自立支援協議会の役割とする方法が考 えられる。また、相談支援事業における相談内容やケアプラン作成過程で明らかになる情報は、生活の実態に即した課題であり、それを集約し施策にフィードバックする仕組みが明確化されるべきと思われるため。

【光増委員】

○結論
在宅児・者の実態調査と施設入所者、病院入院者の地域生活移行を希望する人の意向調 査と重い障害があっても地域で生活している実態調査を基に、必要とするニーズ調査を行い市町村、圏域の社会資源の実態を検討し、市町村・広域の自立支援協議会で必要とする障害福祉サービスと公的でないサービスも含めて検討する。

○理由
地域生活、地域移行を推進する上で、障害の重い人、個別支援が必要な人に必要な障害 福祉サービスが提供されることが重要であるので。

【森委員】

○結論
支援を受ける個別的障害者に基づいて費用対効果を考えるのではなく、社会資源を創出 したり、支援の充実を図る体制のために、地域住民の理解の促進を図る必要がある。また、 重い障害がある人の地域生活を支えるためのシステムを構築すること自体が、新たな雇用 や意欲を持つボランティアの創生につながるという視点での評価も大事である。

○理由
全ての障害者への地域生活を保障するためには、地域生活を支えるための新しいシステ ムの構築が必要と考える。

論点F-3-2) 24 時間介護サービス等も含めた長時間介護が必要な人に必要量が供給されるために、市町村や圏域単位での支援体制はどのように構築されるべきか?

【伊澤委員】

○結論
市町村、圏域におけるサービス内容や財源に対する認識の共有化が必要

○理由
市町村間や圏域間での情報交換が重要となる。

【石橋委員】

○結論
広域的に支援体制を構築するためには、市町村の医院(医療機関)に訪問看護を併設し、 財政的助成を設ける。

【氏田委員】

○結論
F-1-1 の論点とも重なるが、24 時間介護サービスを当該地域で実施する必要が生じたと きに、そのようなサービスを提供できる共同運営体を構想すること。すべての支援をあら ゆる地域で常時整備することが難しい現状を、国と地域と民間の工夫でいかに乗り切って いくかが大切である。

○理由
例えば、老人のケアマネージャーは24 時間対応で携帯をもっていて、本人は担当のケ アマネージャーに連絡をすることが可能となっている。このあたりにヒントはないか?

【大久保委員】

○結論
「24 時間介護サービス」の具体的実施方法によっても支援体制の構築方法は異なる。 例えば、中山間部や過疎地域のように「そもそも支援者がいない」地域の場合には、市町 村の連携や圏域での対応が考えられるが、その際、支援者が通う場合の時間や交通費など に配慮した報酬(加算措置)などを検討する必要があると考える。

○理由
先ず、「24 時間の地域でのサポート体制」とはどのようなイメージかを議論する必要が ある(介護保険審議会で議論されている巡回型なのか、マンツーマンだが間欠的訪問なの か、フルに24 時間ヘルパーが付くのか、それらの組み合わせなのか)。その上でないと、 市町村や圏域単位での支援体制の構築を検討することは難しいと考える。

【大濱委員】

○結論
24 時間介護が必要な障害者に対して、24 時間のサービスが決定されていない市町村に 対しては、県が、他県の24 時間の支給決定がされている事例のある市町村や24 時間の重 度訪問介護サービスなどを行っている団体に話を聞き、その情報支援を受けながら、県の 公的責任で、市町村に対してアドバイスしていくべきである。

○理由
低い水準の支給決定しかしていない地域では、市町村や圏域で何人集まっても24 時間 の介護ということにはならない。たとえば、「12 時間の重度訪問介護を1 時間おきに使え」 などの頓珍漢なアドバイスになってしまう(実際に地方自治体であった話)。他県の先進 地の情報を県が行政責任で強力に市町村に指導してレベルアップをしていくしかない。

【岡部委員】

○結論
まず、国庫負担基準を廃止し真の義務的経費化を図ること。さらに、自治体は必要量に 対する予算措置をきちんと行うこと。加えて、高額介護費に対する調整基金を設け人口比 で一定額を超える支給については国庫負担比率を高める等の仕組みを設けること。

○理由
給付のエンタイトルメント、確実な予算化、自治体格差の調整メカニズムの三拍子が揃 うことが重要。

【門屋委員】

○結論
重層的相談支援体制のうち、圏域 (5 万人程度)を担当する国が配置した相談支援事業体 と市町村が連携して個別支援会議を行い、サービスの必要性について検討し、審議会によ って決定される仕組みが必要。サービス事業体に対しては、加算、割り増しなどをつけて、 提供しやすくする。

○理由
個別事情に対応する柔軟な支援体制を認める制度がほしい。 無条件に本人の希望通りとなれば、不平等も含み問題が起こると考えています。

【近藤委員】

○結論
財源とともに、スキルをもったサービス提供者が必要である。事業者、福祉人材の確保 が求められる。

【齋藤委員】

○結論
小さな市町村では必要なサービスを保証するための財源は不足がちになる。適切な地域 ブロック単位の基金を作ってその必要差をカバーしていく仕組みをつくる必要がある。

【清水委員】

○結論
一人ひとりの存在に響きあい、支援の輪を構築していくこと以外に道はない。

【竹端委員】

○結論 論点F-4-1 におなじ。

【中西委員】

○結論
当事者組織による権利擁護機関が運営されること、または差別禁止法に基づく権利擁護 機関により当事者が運営責任者として、サービス利用者の必要量を市町村に訴えていける ような体制を作ることが必要である。

【中原委員】

○結論
長時間支援の必要性と量を当事者とサービス決定の機関等が連携し客観的に判断する ための仕組みが必要である。これにあわせて、今後のサービス体系にも関わることである ことから、24 時間介護サービスについてのあり方についての議論が必要である。巡回型な どの類型も必要となるのか、24 時間の一対一の介護が必要となるのか、サービスの組み合 わせで可能となるのか。

【野原委員】

○結論
看護・介護・難病・障害者ケアに生きがいをもつような人材を地域で発掘・育成して仕 事の空き時間、休暇などの細切れの時間を提供できる体制・体系をつくる。中核になる機 関があればこれらは可能である、一部地域ですでに実践している例があり、全国的に見れ ば新しい成功事例が発掘できるはず。地域・現場から学べることは多い。

【橋本委員】

○結論
一定以上の財源は国により保障されるべきである。

○理由
市町村の財源、市町村の裁量による給付では、市町村の財政規模により給付に差がでて しまっている。ALS患者が生きられる街と生きられない街があるため。

【東川委員】

○結論
中学校区に1か所の圏域に、医療、福祉、就労などを含めた総合援助センターを設けワ ンストップの相談援助体制を確立する、圏域で、訪問リハビリテーション、介護支援事業 所、地域リハビリテーション機能せ持つデイケア、デイアクテビテイセンターを設置し、 在宅診療の行える医療機関との連携も強化できるネットワークを構築する。

○理由
現在の包括支援センターの機能では高齢者支援で手いっぱいであるが、施設面、人材配 置を強化する予算措置を講じることにより、さまざまなニーズにこたえうる可能性はある のではないか。または保健所の機能を強化して、地域の保健福祉事業とすることも可能か

【福井委員】

○結論
障害者の居宅生活をとことん支えるためには、公的責任を不問にしないという確固たる 立場が必要である。その上に立って、市町村での支援体制は、できることは全てやるとい うことで、あらゆる方策を駆使して構築されるべきである。

○理由
権利保障の確立にとって、欠かせない視点である。

【藤岡委員】

○結論
一定のレベルまでは、現行の国50%、都道府県25%、市町村25%でいいが、一定 時間を超える長時間介護は国の全額保障とする。

○理由
基本は国の生存権保障義務だから。

【三浦委員】

○結論
相談支援体制の充実とともに、居宅介護事業をはじめとするサービス提供基盤の整備と、 必要な量のサービス支給決定を促す財源の確保が求められる。

○理由
財源とともに、適切なスキルを有するサービス提供者が不可欠であるため。 インフォーマルな人的資源の養成圏域を超えるサービス事業所の協力体制も必要では ないかと考える。

【森委員】

○結論
一人にかかわる経費については個別的な費用対効果とみるのではなく、今後超高齢社会 に必要とされうる社会資源の創生として捉え、地域社会におけるソフト面、ハード面の支 援体制の充実、誰もが安心して安全に暮らしやすい地域社会の基盤づくりという視点で捉 えるパラダイムシフトが求められる。

○理由
論点F-3-1と同様、重い障害がある人を含めて地域生活を保障するためには、地域 生活を支えるための新しいシステムの構築が必要である。

<項目F-4 義務的経費化と国庫負担基準>

論点F-4-1) 障害者自立支援法では「在宅サービスも含めて義務的経費化」するとされたが、国庫負担基準の範囲内にとどまっている。そのため、国庫負担基準が事実上のサービスの 上限になっている自治体が多いと指摘する声がある。このことに関する評価と問題解決に ついてどう考えるか?

【荒井委員】

○結論
国庫負担基準額を廃止し、区市町村が必要と認め実際に支弁した総費用額の1/2を国 庫が負担すべきである。

○理由
平成21年4月の報酬改定に伴い国庫負担基準も改定されたが、実際の給付費の伸びに 追いついておらず、超過負担額は、むしろ拡大している。区市町村の歳入不足は深刻な問 題であり、義務的経費である給付費の歳入不足については抜本的な解決が必要。

【伊澤委員】

○結論
実際に自治体が支弁費用の1/2が国、1/4が都道府県を義務的に負担するという、 至極まっとうな義務的経費とすることが必要。

○理由
義務的経費を文字通りの形にすること。サービスの支給量はその人の実態やニーズに即 して供給されることが基本というのは言うまでもない。現状では現場の福祉担当の理解は 得られても、財務部局の所で却下されるとよく聞く。予算取りの段階で、現場の声を伝え る場が確保できると良い。

【石橋委員】

○結論
「義務的経費」であることは、地域間格差の平準化の観点から必要。ただし、国庫負担 基準については、地域生活が可能となる水準となるよう別に論議すべき。

○理由 「義務的経費化」については、市町村など地方自治体の財政力にかかわらずサービス実 施が可能となった(地域間格差の平準化)という評価できる側面もある。ただし、このこ とと「国庫負担基準」については別問題であり、国庫負担基準のあり方については、義務 的経費か否かとは別の論点として、地域生活が可能となる水準のあり方について、制度全 般の論議の中で、総合的に検討すべきと考える。

【氏田委員】

○結論
日本は最低基準が最高基準になってしまっているので改善が必要である。地域も前提に する。BASE を保障し、そこからの上積みをしていく方法が良いのではないか? 国庫負担基準は廃止し、必ず国2分の1、都道府県4分の1を確保する。その上で、市 区町村の規模(人口)によって「その市町村が負担すべき負担総額の上限」を定め、それ を超えた分については国と都道府県が自動的に財源補てんとすれば、当然に人口の?ない 地域は「その市町村が負担すべき負担総額の上限」が低く抑えられるため、「財布を気に して支給決定を渋る」という状況は解消されるが、このような仕組みを実現するために必 要な財源確保策こそ議論されるべきである。

【大久保委員】

○結論
国や地方の財政的観点からすれば、「在宅サービスも含めて義務的経費化」が「国庫負 担基準の範囲内」となるのもやむを得ないといえる。このサービスの上限の問題を解決す るためには、国庫負担基準は廃止し、必ず国2分の1、都道府県4分の1を確保し、その 上で、市区町村の規模(人口)によって「その市町村が負担すべき負担総額の上限」を定 め、それを超えた分については国と都道府県が自動的に財源補てんすることであろう。 しかし、その財源の問題は、いかに国民の理解を得つつ確保するのかということであり、 福祉サ-ビス全体(あるいは社会保障全体)の問題として議論をする必要があると考える。

【大濱委員】

○結論
たとえば、1人暮らしの場合は非定型でも国庫負担基準の1.5 倍や2倍を上限とするな どの規定を設けている市町村もある。 国庫負担基準は法改正で廃止する。 なお、国庫負担基準の廃止は法改正が必要だが、基準の告示額を「上限なし」等に設定 すれば、法改正なしに同じ効果が得られる。法改正ができるまでの間は告示の変更で即時 対応すべき。

【岡部委員】

○結論
利用量の一定割合を国が必ず負担することが「義務的経費」の定義である以上、そもそ も国庫負担基準に基づく制約を設けたことが誤りであり、廃止すべき。また、自治体格差 の解消を考えるならば、必要なのは逆に高額介護費に対する補填のメカニズムであろう。 (F-2-3で言及)

【小田島委員】

○結論
国庫負担基準を無くして、すべてのサービスに国が半分お金を出すようにする。

○理由
市役所は負担が多いとサービスを減らしてしまうから。

【小野委員】

○結論
問題であり、ただちに見直すべきである。

○理由
たとえば、東京都内の26 市は、自立支援法実施の2006 年度、居宅支援関係で約8 億の 赤字だった。赤字を出すほど支給している自治体はまだ良い方だが、基準額の範囲内に支 給量をとどめている自治体は多くある。

【門屋委員】

○結論
特例権限を市町村ないし都道府県に与える制度にしてはどうか。

○理由
国庫負担基準を超える必要のある事例について、特例として認める基準を作る。その特 例と判断する過程に市町村の自立支援協議会・個別支援会議、審査会などを経て、都道府 県に上げて自立支援協議会、審査会など重層的検討を経て判断されるなどの手順が必要。

【河崎(建)委員】

○結論
限られた財源の中での論議では、これ以上の改革はすすまない。消費税を福祉目的税化 して広く国民が負担し西欧並みの福祉国家を実現することが問題解決の早道と思う。また、 支援費制度の破綻が出発点になって、自立支援法が制定され、その大きな柱のひとつが「国 による義務的経費化」であった。障害者福祉が、いわゆる税方式に基づく以上、最終的に 国が財政的責任をもつのは、必要である。反面、自治体において国庫負担基準がサービス の上限となっているとの指摘については、「地方分権」の進展に期待するしかないのでは ないか。

【倉田委員】

○結論
F-1-(2)に同じ (F-5-1 も参照されたい。)

○理由
F-1-(2)に同じ (F-5-1 も参照されたい。)

【近藤委員】

○結論 国庫補助基準の上限の撤廃について検討が必要である。

【齋藤委員】

○結論
現在の区分認定の仕組みを改めれば、自動的に国庫負担基準そのものを見直すことになる。 そこで国と地方の財源負担のあり方を一からどうするかを決めなければならない。

【坂本委員】

○結論
財源の確保がきちんとなされることが必要である。

○理由
国庫負担基準を超えるサービスについては、町財源の持ち出しとなり、サービス量 の抑制につながりかねない。義務的経費とするなら国の財源確保は義務である。

【竹端委員】

○結論
論点C-2-2)とおなじ。 だが、もう一度かいておく。これを参こうにしようねという 基準は、これを守らなければならないという上限に、これまでなんども変わってきた。そ のたびに、障害のある人たちは、怒りの声をあげてきた。同じことをくりかえさないため にも、基準をこえる支えんを必要とする人にちゃんと必要な量と質のサービスがとどくた めの基金を考えるべきだ。

○理由
来年の予算はいくらくらいになるかわかっている必要がある。そして、障害のある人の 福祉にかかる予算がいくらか、基準がないとわからない、という人がいる。たしかにそう いう一面もあるが、それだけが正しいのではない。新法ができてからは、5年か10年の 間はたしかに予算は毎年増えるだろう。でも、必要なニーズが満たされたら、予算の伸び はおさまる。高齢者と違い、障害者の数とわりあいは、ほぼ一定だ。90年代に高れい者 福祉でゴールドプランを立てたように、どこかで予算を沢山用意して、不十分な地域の障 害者福祉の状況をかえる必要がある。

【中西委員】

○結論
国庫負担基準は即刻廃止されるべきである。

○理由
義務的経費化されたものについて国庫負担基準が決められるというのは国の財政責任 を果たしていないことを明らかにしている。

【中原委員】

○結論
市町村が必要な支援量を確保するために、市町村の規模ごとに市町村の負担上限額を定 めたうえで、それを超えた費用については国や都道府県が補填する仕組みが考えられる。

【野原委員】

○結論
個別ニーズはさまざま。必要な支援は公的に保障すべきである。 難病医療費の公費負担分の地方超過負担(国と地方=5:5が、現状は3:7 になって いる)は直ちに解消すべきである。 特定疾患以外の多くの難病・慢性疾患患者は、高額療養費の自己負担上限が高いことで 苦しんでいる。患者負担限度額の大幅な引き下げは急務である。

【橋本委員】

○結論
給付を自治体の裁量にすべきではなく、国庫負担基準を撤廃し、国が財源を保障すべき である。

【東川委員】

○結論
国家負担基準額は廃止し、財源が厳しい自治体については国が支援できる体制を整備す る。

【福井委員】

○結論
国庫負担基準は廃止を含めた抜本的な検討を行うべきで、障害者自立支援法の実費負担 についても早急に見直すべきである。その上で、障害者関係予算の国際水準に見合う額へ の増額を図ることが、問題解決への道である。

○理由
自立支援法の応益負担廃止の根幹に係わる問題であり、国民世論の構築も含めて、私た ちの運動の重点課題である。

【藤岡委員】

○結論
国庫負担基準の廃止。 在宅福祉の義務的経費負担。

○理由
指摘のとおりの実態があるから。 判例上も支援は個別の必要性を保障しない場合違法とされており、抜本的な制度改革を しないと国や地方自治体は違法、違憲の責任を問われる。

【増田委員】

○結論
国庫負担基準額の廃止.

【三浦委員】

○結論
十分な財源が確保されるならば将来的には国庫負担基準は不要となる。ただし、当面の 課題としては、国として一定の財政的支援を明確にする観点から、国庫負担基準を維持し つつ、基準の引き上げを行う。また、基準を超える支給決定を阻害する要因である、財源 不足やサービス提供事業者の不足等を解消するための施策を講じることが大切である。 最終的には、ケアプランをもとに、必要な支援量を認めるかたちでの支給決定とされる べき。

○理由
地域間格差の解消と必要な支給量の確保が重要であり、最終的には財源問題につきるも のと考えられる。中長期的視野にたって、必要な支援決定のなされる仕組みに近づける努 力が必要であると思われるため。

【光増委員】

○結論
国庫負担基準があるがゆえに、支給量の市町村格差が生じている。必要であれば国庫負 担基準を上回る支給量を出せる制度にし、国庫負担基準を超える場合も、市町村に補助で きる制度にすべきでないか。

○理由
一人暮らしをめざす人、グループホーム、ケアホームの生活をめざす人が必要な居宅介 護等の支給量が確保できないと、地域生活が困難になる場合があるから。

【森委員】

○結論
社会モデルによると、障害は社会との関係性から生ずる。そのように考えると、障害者 支援の延長上にあるのは、誰もが暮らしやすい社会環境の構築であり、そのための一つひ とつの支援メニューの充実が求められる。そこで、在宅サービスに関する支援メニューの 充実を図るためには、安定した財源を確保して、地域の社会環境の充実を図る必要がある。

○理由
現行のシステムでは結果として、国庫負担基準が事実上のサービスの上限になっている。

【山本委員】

○結論
上限となってはならない

○理由
支援はあくまで障害者が他のものと平等な基本的人権享受のためにある以上上限など設 定されてはならず、必要な資金は国が補償すべき

<項目F-5 国と地方の役割> 論点F-5-1) 現在、障害者制度改革の中では、「施設・病院から地域生活への転換」「どの地 域であっても安心して暮らせる」方向が目指されている。一方、地域主権改革では「現金 給付は国、サービス給付は地方」との一括交付金化の考えが示されている。障害者福祉サ ービスに関して国と地方の役割をどう考えるか?

【朝比奈委員】

○結論 障害者福祉サービスの地域間格差は大きく、国の役割は依然として重要。 ただし、それは最低保障という点にウエイトを置くべきで、地域の実情や特色に あったサービスを縛るものではない。

【荒井委員】

○結論
国・都道府県・区市町村の役割分担を明確にするべきである。
国は基本的な方針を示し、地域の自主性・自立性を尊重するとともに、障害者施策につ いて、制度設計者としての責任を負い、また、全国的にサービスを保障する観点から、確 実な財政措置を講じる責任を負うものである。さらに十分な予算確保の見通しを立てたう えで、一括交付金化についても検討するべきである。
また、地方公共団体は障害者に身近な実施主体として、地域の実情や利用者のニーズに 応じた、的確な事業を実施できる権限と責任を持つ必要がある。現在、教育、雇用、福祉、 年金・共済等、障害者の自立生活に大きく関わる各種支援主体は、国(労働局、年金機構)、 都道府県・市町村(首長部局(福祉、雇用)、教育委員会)に役割分担が分散し、入り組 んでいるので、役割の明確化を図るべき。

○理由
基本的な方針は全国で共通のものとする必要があるが、住民に最も身近な存在である区 市町村が、地域の実情に応じて必要なサービスを提供できるようにしていく必要がある。 なお、現行の地域生活支援事業のように、十分な補助金が交付されず区市町村に財源不 足を強いることのないよう、真に必要なサービスを提供できるよう財源を確保する必要が ある。
近年、国においては、地方公共団体に新たな負担が生じる制度の創設や安易な制度の組 み替えを、突然かつ一方的に行うことが多く見られるが、こうした国の措置により、その 都度、地方公共団体は混乱させられ、財政運営に重大な支障を来してきた。 地方公共団体において安定的に事業が円滑に実施できるよう、役割分担を明確化すると ともに、必要な財源が確保されなければならない。

【伊澤委員】

○結論
地域主権の掛け声のもとで、事業の実施水準を個々の地方自治体にゆだねるのは危険で ある。ナショナルミニマムの厳正な設定がはかられるべきである。基本的には、最低基準 と財源は、国がキチンと持つべき!(何処に居ても最低保証は国の役割)

○理由
地域格差をなくすために、国全体の統一の最低限の水準は必要だと考える。日本のある べき福祉の姿を国として定め、その実施の義務化を求める。根本的には、何処に居ても日 本国民なのだから、等しく支援の供給は成されなければならない。

【石橋委員】

○結論
国民の健康と最低限の生活の保障が憲法に示されているので、国は、障害当事者等の参 画の下に基本的な制度を作成、財源の確保をし、その実施主体である地方は、地域の特徴 を当事者が参画した中で加味し、計画を実施する。

○理由
障害当事者とその家族及び支援者が常に参画するということが基本。

【氏田委員】

○結論
ナショナルミニマムを明確にし、地方の特殊性を生かす形で国と地方の役割分担が出来 ると良いと思う。

○理由
制度の中で国と地方の役割分担を決めることに終始するのではなく、制度の中での国と 地方の役割分担を原則としつつも、地域格差を解消していくための国の役割を明確にして いくことが必要。経済的に立ちゆかない地域在住の障害者が「自分の暮らしたい生活」を あきらめないような柔軟な制度を国と地方とで工夫していくことが求められる。そういっ た工夫の中に民間の知恵が生きる土壌も生まれてくるのではないだろうか。

【大久保委員】

○結論
障害福祉サービスにおいて、地域主権改革をそのまま進めれば、現在の地方の現状を見 る限り、その多くで混乱やサービス水準の?化がもたらされ、地域間格差がさらに拡大す る危険があると考える。当分の間は、国としての一定水準の障害福祉サービスを確保しな がら、地方の主体的な成長を促す施策を講じる必要があると考える。
なお、国と地方の役割に関しては、国の責務として「ナショナルミニマム」の水準を定 めて、そのいわゆる「上乗せ」「横出し」部分を(財源とともに)地方へ任せるかたちが 望ましいと考える。

○理由
我が国の方向性としては、地域主権改革を否定するものではないが、地方(特に市区町 村)の現状を鑑みると、障がいのある人の暮らしが著しく低い水準に留め置かれてしまう 危険性は高いと言わざるを得ない。また、障害者制度改革の中で、国としてのナショナル ミニマムのあり方と地域福祉の主体としての地方の役割・機能に関する議論が不十分であ り、現在の地域主権改革の早急に進めることには危惧がある。

【大濱委員】

○結論
障害福祉サービスについては、24 時間介護の1800 市町村での実施など、地域間格差が なくなるまでは国の施策として実施するべき。将来、それが達成した後であれば、全国一 律の体系ではなく、地方によっての差もありえる。北国では冬の燃料費、南国では夏の冷 房費なども要るように、地域差、例えば人口密度の?ない地域への対応など。

○理由
権利条約や憲法にあるナショナルミニマムの実施までは国の責務のため。

【岡部委員】

○結論
全国で一元化されたサービスの費用を個人単位で給付する制度である以上、国は自治体 格差の調整を含めた財の再分配機能を軸とし、自治体については支給決定事務や援護の最 終責任を基本とする役割分担を行うべきである。

【小澤委員】

○結論

  • ミニマム水準の保障までは、国が行い。地域の実情に応じて、必要なサービス給付は地 方が行う。
  • 地方の範囲は、市町村よりも広い一定人口をもとにした福祉サービス圏域を設定し、基 盤整備を効率的に推進するようにする。

○理由

  • 地方主権の考え方はよいが、市町村の体力差(人口、基盤、財政などの差)が激しいた め、結果的に格差になっている問題を是正した上で実施する。

【小田島委員】

○結論
障害者のサービスは国が責任をもってやるべき。

○理由
国が責任をもたないと、サービスのない地域では障害者は暮らせないので。

【小野委員】

○結論
絶対に通すべきではない。

○理由 現状のまま、地域主権改革法が通ってしまったら、さらに地域間格差はひろがり、制度 改革そのものがストップしてしまう。またわが国は、福祉施策の国庫負担の地方交付金化 で失敗し、国庫負担金に戻した経緯がある。 27

【門屋委員】

○結論
結果的に地域によってサービス内容が違うこともあってよいと思う。

○理由
現在まで、全国一律の制度であったはずの実態は、精神医療に限れば、都道府県によっ て入院者数、入院期間の格差ははなはだしくあり、医療費の都道府県格差も大きく、財源 配分の明らかな不平等が認められる。これらは根本から見直すべきである。

【河崎(建)委員】

○結論
国が障害者制度改革を国家プロジェクトとして位置付けるならば、当然、財政的裏付け を行うべきである。その上で実際のサービス給付が、地域格差なく提供できるのであれば サービス給付は地方が行うべき。

【川崎(洋)委員】

○結論
障害者福祉サービスにおいて、地方が最低限守るべき基準は、国が確固たるものを作る べきである。

○理由
障害者権利条約において守らなければならないものは、地方に一任されるものではない。

【北浦委員】

○結論
障害者制度においては、地方は、住民のニーズに基づいて福祉サービスを計画的に提供 する責務があり、その支援に要した費用に対し、国は、一定の割合を持って財源を負担す る役割がある。しかし、一括交付金化された場合には、地方の首長の裁量で財源配分が決 定されるため、障害福祉の必要財源が確保されない恐れがある。

○理由
国と地方は、それぞれの与えられた役割を着実かつ効果的に果たす必要がある。 28

【倉田委員】

○結論
障害福祉分野においては、ナショナルミニマムとすべきサービス基準と運用ルールは国 で定めるべきであるし、一括交付金だろうとなんであろうと、そのナショナルミニマムを 担保できるだけの財源は当然に国が確保すべき。地方の役割は、それらを着実に執行する ことと、地域の事情にあわせて地方の創意工夫を活かし、将来のナショナルミニマムを創 出するようなトライアルを重ねることである。

○理由
「地方分権/地域主権」というキーワードを、本来、国が果たすべき責任・役割を放棄 する言い訳に使うのは、地域主権改革への“悪ノリ”であり、背徳行為である。生存や生 活の基礎となる社会保障分野においては、A市では生きていけるが、B市では生きていけ ない、などということがあってはならず、国は「人の生存」について積極的に最低ライン を確保する「責任」と「矜持」を忘れるべきでない。

【近藤委員】

○結論
サービス提供の基準や財源は、ナショナルミニマムとして国が責任をもつべきであり、 その上で地方による上乗せ・横出しを行うべきであると考える。

【齋藤委員】

○結論
福祉サービス・地域主権の下で進められてるのは将来像としては絶対に必要である。そ のために財源の地域移行、地域での人材育成が前提である。それが全く不十分な中での一 括交付金では充分福祉サービスが供給されない地域が生まれる危険性が大である。

【清水委員】

○結論
障害福祉サービス(個別給付を中心とする)に関しては基本的に国の役割であると考え ます。

【竹端委員】

○結論
「他の者との平どう」を守るサービスは、どの地いきであっても同じように保しょうさ れるべきもの(ナショナル・ミニマムやシビル・ミニマムにあたるもの)。なので、地方 の自由にまかせるべきではなく、国として守るべき。地方にまかせるのは、それ以上の「よ りよいサービス」をするためのやり方について、であるべき。

○理由
障害のある人に権利として守られるべき部分までを地方の自由さいりょうにまかせて はいけない。地方が独じに判だんしてよいのは、上を守ったうえで、それいじょうの「よ り良いサービス」を作ろうとするこころみ、である。このふたつをちゃんと分けて考える 必ようがある。

【田中(伸)委員】

○結論
新法における支援は、障害者の基本的人権の行使を支えるものとして位置づけられるべ きである。従って、国と地方公共団体は協力して障害者への支援体制を構築すべきである。 国と地方公共団体の安易な役割の分担は避けるべきである。

○理由
障害者の基本的人権の保障の実質化は、国と地方公共団体が協力して行うべきである。 例えば、財源については、国と地方公共団体とで適切な案分割合を定めた上で、障害者の 生命・身体を保護するために必要な支援、精神的自由の行使を支える支援などに必要な費 用は義務的給付とすること、支援計画の策定にあたっても、最小限の共通項目を国レベル で定め、これに地域の実情に合わせた支援を上乗せできるようにするなどが考えられる。

【中西委員】

○結論
生命生活の基盤を守るべきは国の義務である。

○理由
地域主権改革でサービス給付は地方がすべての財政負担を行うという一括交付金の考 え方は、現実には市町村に財源が投入される保障はないので、国が最重度の障害者の生活 を守れる制度を国民に保障すべきである。

【中原委員】

○結論
国が施策を通して最低限保障すべき基準(ナショナルミニマム)を定めた上で、その上 乗せ部分を地方の取り組みに任せる仕組みが望ましい。

○理由
地域が主体的に創意工夫のもとにサービスを提供していくという趣旨には賛同する。し かし、わが国の現状において地域主権改革の考え方がそのまま進めば、サービスの質の低 下や地方間格差が拡大される可能性が大きい。

【野原委員】

○結論
地域財政力は、自治体ごとにさまざま。支援の地域格差を生む最大の原因になっている。 地域主権改革でも福祉に関わる財源は国からの指定財源とし一般財源化しないようにす べきである。「施設・病院」と「地域生活」の二者択一では安心して暮らせる課題は解決 せず、地域で安心して暮らせるためにも、必要な時に入所したり入院治療ができる施設・ 病院の確保、これらの社会資源を障害の実情に応じてコーディネートできる支援員や相談 体制、地域ネットワークなどの確保のため、広域の視点も不可欠。国、地方が一体となっ て支えるしくみがあってこそ、「どの地域であっても安心して暮らせる」が実現できる。

【橋本委員】

○結論
地域においては、サービス提供者の増員に関する具体的な政策を、国においては長時間 サービスを実現する財源の確保をお願いしたい

【東川委員】

○結論
障害者支援の最低基準は国が定め,国の責任で行う.すなわち、財源などの理由でその 最低基準を実施できない地域については、国が支援策講ずることが求められる。

【福井委員】

○結論 地域のことは、住民が決める「地域主権」への転換に意義を唱えるものではないが、地 域の障害者施策の義務規定や当事者参加の規定までが自治体の裁量に委ねられることで、 地域間格差がさらに増大することになる。また、一括交付金化によって、障害者施策が縮 減されてはならない。むしろ国は今、障害者制度改革の立場から言えば、率先して地域生 活中心のサービスと財政構造への転換を進めなければならない時である。

○理由
この地域主権推進一括法案が国会で決められれば、障害者の権利の後退を招き、現在推 進会議やこの部会で議論している制度改革にも、大きく影響してくることは必至である。

【藤井委員】

○結論
地域の創意工夫は活かすべきであるが、福祉サービスにおいても、地方が守るべき最低 の基準は国が設けるべきである。(※個別に付与される請求権、ナショナルミニマムなど)。

○理由
自治体の財政事情には大きな隔たりがあり、また政策の重点にも特徴がある。こうした 状態で障害者政策を自治体に委ねた場合に、障害がある人と他の者との平等の確保は難し くなるため。

【藤岡委員】

○結論
国は障害者の命と生活を守る憲法上の義務があり、「サービス給付は地方」との考えは 許されない。

○理由
障害は、自らの選択で負うものでなく、一部の人に固定的に偏在する不公平なものであ り、憲法の法の下の平等、生存権、個人の尊厳保障から、障害者支援は国の行なうべき最 も基本的な義務である。

【増田委員】

○結論
障害者支援の最低基準は国が定め,国の責任で行う.自治体はその地域の実態に合わせ て最低基準の上乗せを行う.

【三浦委員】

○結論
サービス提供の基準や財源については、国の責任において維持すべきであり、その上で 地方による上乗せ・横出しを促進する仕組みとするべきである。 各地域においてサービスが公平に整備され保障されるよう国として監視し、必要に応じ て支援する責任をもつ必要がある。

○理由
権利条約に掲げられる事項を実現するためには、国のナショナルミニマム保障の枠組み の中で実現されるべき事項、さらに、地方の独創性や努力によって補完されるべき事項が あるように思われる。そのため、国及び地方それぞれの責任を明確にしつつ、どの地域で も一定のサービスが保障される体制を構築するべきであると考えるため。

【光増委員】

○結論
一定の指針(障害福祉計画)による財源の裏づけは国が背負うこととなるが、地方の事 情によりサービス提供に幅が生じることは否定しない。ただし、障害福祉計画の数値を以 って上限となってはならない。例えば、縛り60%(障害福祉計画をミニマムレベル=ナ ショナルミニマム)・地方裁量40%程度(ニーズに基づいたマキシムレベル)等の弾力 性を持たした枠組みを検討・議論すべきである。

○理由
地域主権を否定しないが、どの地域でも一定のサービスが提供される権利保障の観点か ら、一定レベルのサービス提供指標を設定する必要がある。その前提で、地域特性を加味 した地方裁量であれば、それは地域間格差にはならない。また、「安心して暮らせる指標」 を設定していくことは、障害福祉計画とリンクさせていく根拠となる。

【森委員】

○結論
施設・病院から地域生活への転換を図り、地域で安心して暮らせるシステムの構築は、 将来、予想される医療や介護にかかる財源の大幅な削減につながることである。ただし、 そのシステムの構築までの過程においてさまざまな困難が生じることが予想される。 現在直ちに、地域主権改革によってサービス給付の責任が地方にもたらされる状況にな れば、地域の格差が生じるという不安を感じる。地方自治体の力量にばらつきがみられる 現状においては、地域主権改革への不安の方が大きい。ただし、地域主権改革は今後の流 れとしては、十分に想定しうることであるので、地方自治体に専門的な知識と技量を有す る職員の採用の促進を図ることが是非とも求められる。また、障害者福祉サービスにおい ては、地方が守るべき基準は国が設けるべきである。

○理由
地方自治体の財政等の大きな格差があること、障害者施策が遅れていること、何よりも 人権保障に格差があってはならない。

【山本委員】

○結論
国が責任を持つべきであり、国が支給し地方が給付するとすべき

○理由
憲法および障害者権利条約の求める他のものと平等な基本的人権教授のための支援で あるから

論点F-5-2) 障害者権利条約の第19 条を受けて、推進会議では「地域生活の権利の明文化」を求める意見が多数であった。地域の実情や特色にあったサービス提供と、この「地域生 活の権利」を担保していくためのナショナルミニマムのあり方についてどう考えるか?

【伊澤委員】

○結論 先述のとおり地域間格差を解消していく術として、全国一律の最低基準は設定すべき、 それを上回る部分として地域の実情や特色を物語る施策サービスであるべき。 基本的視 点は、国の何処に居ても生活が出来る仕組みが必要である。その要素は、その地域におけ る人々の暮らしと同じように暮らせることを保障すると考えれば良いと思う。

○理由 住む地域によって暮らし方に違いが有るのは当然である。その地域での暮らし方につい て差別や不当な扱いを受けないことが大切である。

【石橋委員】

○結論 ナショナルミニマムは必要と考えますが、「地域生活の権利」としてではなく、生活保 護を含めての検討が必要と考える。 制度にだけ頼ると「地域」や「家庭」の力が失われる心配もある。

○理由 大都市、地方都市や密集地、過疎地それぞれの環境に応じた内容のナショナルミニマム にしないと住むところに制約を受けることになる。生活保護法で対応できないだろうか。 障害者は特別な人ではない。

【氏田委員】

○結論 総合福祉法は「地域生活の権利」を保障するための法律であり、「地域生活の権利」を 明文化する以上、障がいが重くとも地域で生活することができるだけの福祉サービスを保 証することが国の責務となり、ナショナルミニマムとなる。

【大久保委員】

○結論 実定法といえる総合福祉法に「地域生活の権利」をそのまま明文化することには疑問が ある。その権利を明文化した場合は、最終的にはその保障が国の責務となり、国と地方の 関係を基本的に見直すことになるのではないかと考える。現実的には、確実に地域生活を 推進していく上での国として講ずべき施策が何であるかを検討していくことになると考 える。

【大濱委員】

○結論 24 時間必要な人には、24 時間の介護サービスが、10 時間必要な人には10 時間の介護サ ービスが、全国1800 市町村にいきわたること。

【岡部委員】

○結論 サービスの選択権及び必要な受給量の確保のためには、その人のライフスタイルに添っ た当たり前の暮らしとしての「地域生活」を権原とする必要がある。

○理由 たんなる抽象的な「生存権の確保」や政府/地方政府による「援護の義務」を根拠とす ることでは、画一的で低コストの集団処遇/入所施設という選択を強いられても対抗でき ないため。

【門屋委員】

○結論 国は「地域生活の権利の明文化」と地域生活条件を満たすナショナルミニマムを、所得 保障などで示すべきと考える。

○理由 障害者のある国民と障害のない国民と平等であるためには、富の分配を年金という形で 所得保障し、重度であれば加算を、働けない障害であれば加算を、賃貸住宅を利用するの であれば加算を・・・・といった形で支給するなどしてはいかがでしょうか。 某国では働けない障害者でも年金から税金を払うことで納税者として国民の義務を果 たさせることにより、対等性を担保するということのようで、サービスを地方が責任を持 つのであれば、現金給付によって国は障害者の国民としての最低保障を考えるべきではな いでしょうか。

【河崎(建)委員】

○結論 福祉国家を目指すという確固とした国家的宣言が必要。

○理由 わが国のこれまでの障害者福祉制度は決して満足できるものではない。西欧を見習って 不足しているサービスの展開を図るべきと思う。それは国民の生きる権利の行使に他ならな いから。一方為政者には福祉予算削減の意図が明らかであり、そのための議論は権利条約 に背を向ける行為である。よって、障害者に対し国なり地方公共団体が「地域生活の権利」 を侵害することのないような縛りをはめることが大事である。

【川崎(洋)委員】

○結論 国は「地域生活の権利」について基準を設けるべきである。

○理由 地域の実情や特色にあったサービスの提供は、人手がないからサービス料が減るという ことにつながってはならない。

【近藤委員】

○結論 サービス提供の基準や財源は、ナショナルミニマムとして国が責任をもつべきであり、 その上で地方による上乗せ・横出しを行うべきであると考える。

【齋藤委員】

○結論 F-5-1)とも絡んで地域生活を保障していくための地域自治体単位でナショナルミニマ ムをまず国が作ることは現在のようなサービス供給や財源力地域間格差が大きい中で絶 対に必要である。

【清水委員】

○結論 ?なくとも一人ひとりが価値的存在として地域で生きていくことの保障は、きっちりと 国がしていかなくてはならない。一人ひとりの存在を地域で含みこみ、みんなで地域を豊 かにしていくことについては、ちいきのみんなで考え地域の実情や方策にあった対応が必 要。

【竹端委員】

○結論 「たの者との平どうのくらし」の保しょうは、「地いきの実じょう」よりも、ゆうせん して考えるべきである。

○理由 「地いき生かつの権利」とは、「どこで、だれと、どのようなくらしをするか」を本に んが決められる権利である。これはどの地域であっても、ほしょうされなくてはいけない。 「この地域ではこういう重い障がいの人はくらせません」という言いわけのために、「地 いきの実じょうや特しょく」が使われてはならない。

【田中(伸)委員】

○結論 「地域生活の権利」は内容が漠然として不明確であるので、その具体的内容となる柱を 検討し、新法に明示すべきである。地方公共団体では、新法の内容を基本とした上で、「横 出し」または「上乗せ」の措置を講じることができるようにすべきである。

○理由 ナショナルミニマムの設定は、新法の内容として明示すべきであるが、その主な内容を 可能な限り具体的なものとして明示すべきである(住居の確保、就労・就学の場の確保、 移動支援、コミュニケーション支援、障害者の日常生活を支える支援体制の構築など)。 その際、「地域生活の権利」の内容が、社会の経済状態や、社会の進展に伴って変化し得 るものであることを考慮し、その内容は現時点で考えられる主なものを例示したものであ ることを確認すべきである。

【中西委員】

○結論 障害をもっていても同世代の国民と同等の生活を営むことは地域生活の権利として障 害基本法と差別禁止法の中で明記されるべきである。

○理由 裁判によって司法においてもそれが保障されるように、また立法府においても、国民の 主権の一つとして保障されるべき。憲法25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限 度の生活を営む権利を有する。」の条文の解釈を、地域生活の権利として時代に沿う形で 解釈し直す必要がある。戦後50年経って健康で文化的な生活の意識も変化してきている ので、障害者が同世代の国民と同等の生活をおこなう権利というものとし、25条の解釈 として普遍化すべきである。

【中原委員】

○結論 理念法ではなく実効性をもつ障害者総合福祉法(仮称)において地域生活の権利をその まま明文化することには疑問がある。具体的施策を通して地域生活を推進していくことが 重要であると考える。

【野原委員】

○結論 難病・障害者の権利が侵害されている事例については、全国どこからでも不服申し立て ができ、それを審査・是正できる権限をもち当事者も参画した機関の創設が必要。

【東川委員】

○結論 障害者自立支援法訴訟の経過や合意文書の内容なども考慮して、国としての最低基準 (ナショナルミニマム)については、国民としての合意を形成していくことが今後の作業 として求められよう。

【福井委員】

○結論 推進会議の指摘は、権利条約に照らしても的確なものと考える。誰もが有する地域で暮 らす権利の実現をめざし、必要な財源の確保、財政上の措置を講ずることが必要である。 実態に即したサービス提供やナショナルミニマムのあり方についての理論構成はすでに 明確であり、まとめていくための仕組みづくりと、市民合意の形勢に向けての丁寧な取り 組みが求められる。

○理由 私たちが進めている今後の改革の、基本をなすところである。当事者や研究者とも一層 連携を深めて、立法化に向けた運動を進めていかなければならない。

【藤井委員】

○結論 地域の創意工夫は推奨すべきであるが、その名の下に、地域生活の権利を担保するため のサービスや施策が後退することは許されない。ナショナルミニマムの規定は言うまでも なく、個別の請求権が確保されない限り第19 条の実質化は果たせないのではないか。

○理由 地域生活の権利は条約に明記されており、国はこれを確保するための基準を明確に持つ べきであるため。権利条約の批准にあたっては、最も問われる条項の一つであろう。

【藤岡委員】

○結論 障害者がどの地域で暮らしても同じように暮らせる権利という意味である。

○理由 障害者自立支援法で「地域の実情や特色にあったサービス提供」との口実でろくな事が 行なわれていない。 障害者福祉の分野でほんとに地域に実状にあったその地域だけで必要な独特の支援が どれほどあるだろうか。 良い支援なら他の地域でも援用できる先駆的な取り組みという意味であって、その地域 だけに必要な支援ではない。

【増田委員】

○結論 地域の実情の前に,全国的に立ち遅れている社会資源整備が求められている.地域生活 を安心して送るためのナショナルミニマムを明確にし,地域ではそれに上乗せする形で支 援提供を行う.

【光増委員】

○結論
「地域の実情や特色にあったサービス提供」とナショナルミニマムのあり方にあたって は、国民生活や地域住民の生活実態と、個別具体的なサービスによって実現される生活と の比較分析、討議によって決定されるべきである。

○理由
ナショナルミニマムとは、国民的最低限生活保障であり、その設定にあたって検討対象 としたり、比較対象とすべきは、サービスの質量の多寡それ自体や、サービス利用者間の サービスの質量の多寡ではなく、国民生活、地域住民の生活実態でなければならない。 ナショナルミニマムの決定に当たっては、当事者参加、決定の根拠の明示、公開性の確 保がなされなければならない。 「地域の実情や特色にあったサービス提供」であっても、権利性がなければ、到底ナショ ナルミニマムにならない。 「地域の実情や特色にあったサービス提供」が、周辺地域や、周辺ではない他の地域へと、 波及・拡大していくのを支える制度的な仕組みが必要。 決定された保障内容(サービスの種類・量)の消費によって実現される個人の生活に対 して、国家の介入は避けなければならない。

【森委員】

○結論
地域の創意工夫は推奨すべきであるが、その名のもとに、地域生活の権利を担保するた めのサービスや施策が後退することは許されない。ナショナルミニマムの規定は言うまで もなく、個別の請求権が確保されない限り第19 条の実質化は果たせないのではないか。

○理由
地域生活の権利は条約に明記されており、国は、これを確保するための基準を明確に持 つべきであるため。権利条約の批准にあたっては、最も問われる条項の一つである。

【山本委員】

○結論
19 条を具体化するため国が責任を持つべき

○理由
人権問題だから

<項目F-6 その他>
論点F-6-1) 「分野F 地域生活の資源整備」についてのその他の論点及び意見

【伊澤委員】

○結論
先述のとおり複数の要素をもった時限立法による緊急整備を実施する。要は権利条約の 批准に足りうる条件づくりである。山井政務官が総合福祉部会第一回冒頭で発した「世界 に誇れる日本の障害者福祉」を追求していくためにも必要な措置と考える。

○理由
財源の問題は、国民含めて皆で考える必要が有る。地域の中でキチンと話される仕組み が有れば、ことは効率よく進むような気もする。それも含め自立支援協議会には期待をも つ。いずれにせよ日本の障害者福祉に輝きをもたらす、真の改革であれ!

【氏田委員】

○結論
障害基礎年金を月額25,000 円程度増額する必要がある。

○理由
障害者自立支援法の付帯決議で、収入を増やすことが明示されているので、障害基礎年 金をアップすることを早急に検討してほしい。

【河崎(建)委員】

○結論 「地域生活」を「入所、入院」の対語としてとらえている感じがある。このようなこと のないよう願う。「障害者支援の社会化」をキーワードに、国家的プロジェクトとして西欧並みの 福祉国家を目指すことが必要。

【坂本委員】

○結論 障がいのある方の生活全体を福祉サービスですべてカバーすることは困難であり、 いろいろな立場の人が協力しあって、「支え合う」地域づくりにも力を入れるべき。 この「支え合う地域づくり」については、高齢者福祉分野や児童福祉分野において も必要性が高まっているので、地域包括支援センターや認知症サポーターなども活用 すればよいし、福祉分野に限らず、幅広い観点から行えるように、国においても各関 係省庁や関係機関が連携するようお願いしたい。 また、そうした「支え合いの地域づくり」の土台として、鳥取県の「あいサポート 運動」のような、すべての国民が障がいについて理解するような普及啓発運動も必要 と考える。 (鳥取県の「あいサポート運動」については、別添資料及びパンフレット等を参照。)

○理由 障がいのある方の生活全体を福祉サービスだけでカバーすることは困難である。す べての国民が障がいを理解し、一人ひとりがお互いを尊重し支え合うような社会を社 会基盤として意識的に整備することが、障がいのある方もない方も暮らしやすい社会 につながる。(バリアフリー住宅などで実証済み)

【清水委員】

○結論 たいへん障害の重い人たちは処遇 (保護)されてきただけではありません。新しい価値 観の社会、地域を生み出していく主体者として、「要る人」として、一緒に立ち上がって きました。そのことを推し進めていくしくみを。

○理由 30年前の青葉園基本理念を参考資料とさせていただきます。幼稚なものかもしれませ んが青葉園の本人たちは西宮で30年以上まちを変え続けて生きてこられました。

【中西委員】

○結論 今後の改革とその実施において、資金源と必要な人員を糾合する必要がある。

○理由 財政的な根本のその改革に財源と人員を確保しなければ、そのためには今後不必要とな る文部省の特殊教育課、障害福祉部の企画課施設管理室、それに地域支援に担当している 障害福祉課の部局等を統合して、今の推進室を推進局に格上げして従来の部局でつかわれ ていた予算を新たな局に移管する。人員も新たな推進局に移管するという施策をとるべき である。

【野原委員】

○結論 1.「難病対策要綱」(事業主体は都道府県)の果たしてきた役割の本格的な総括・評価を 行い、そこから新法で継承すべき医療的福祉的措置を明らかにすること。 2.難病・障害者の災害時支援体制整備策定を地方に求めることが必要。

【東川委員】

○結論 法の基の平等の原則に立ち、どんなに重い障害を持っても地域で人間らしい生活が実現 できること保障できる資源の整備が必要である。

○理由 共に生きる者の責務であるから

【広田委員】

○結論 1.住宅施策 2.所得保障 3.ホームヘルパーの充実 4.いつでも、どこでも、誰でも安心して利用できるソフト精神科救急システム確立 5.ひとりひとりの障害者がその人らしく生きている姿が、最大の教育であり啓発だと思 う 6.空気を吸うように、食事をするように、ひとりひとりの障害者を含めた人が、社会貢 献できるという視点をもつことが大事だと思う 7.総合病院の中に精神科が必要 8.社会的入院者の解放、精神科病床の削減、いわゆる差別的な精神科特例を見直し他科 並みのスタッフ配置、国民にとって安心して利用できる国民の精神科医療にするため の診療報酬値上げ

【福井委員】

○結論 ここでの設問にもある「地方主権改革」については、部会としても議論し、国に向けて の要望を早急に提出すべきと考える。

○理由 前述のとおりである。

【光増委員】

○結論 ① 国庫補助のグループホーム等の施設整備費(創設と修繕)の補助金の増額と補助件数 を増やす必要がある。又NPO 等でも国庫補助が受けられるように検討してほしい。 グループホームを一定数運営する事業者には、地域生活支援センターを併設し運営 する補助金を創設してほしい。特に入所施設を閉鎖して地域生活支援を行っている事 業者には優先的に地域生活支援センターを併設してほしい。 居住形態の再編論議が必要である。 グループホーム、ケアホーム、福祉ホーム、自立訓練(生活訓練)(宿泊型)等の居 住型の規模、定員、運営形態、支援形態などを再考すべきである。 ② まだ地域によってグループホームを開設する時に反対運動がおきているところがあ る。残念である。また開設にあたって地域住民の同意、又は同意書の提出を求めてい る自治体もあるので問題である。

○理由 ① 国庫補助のグループホームの施設整備の協議は都道府県、政令市、中核市が行ってい るが、自治体間の格差が生じている。グループホームを全国で大幅に増やす必要がある。 居住の保障と地域生活を支援するための地域生活支援センターを全国に配置する必 要がある。地域の相談支援事業者と連携して、地域生活へ移行した人が孤立しないよう な支援が必要とされている。居住体系の見直しでは、規模と利用定員も含めて再編する 必要がある。現在の基準では、都道府県知事が認めれば1ユニット(1居住居)10名 を3ユニット連結させる建物が作られている所がある。また建物が独立していれば同一 敷地に3棟並べることも制度上可能であり、これでは入所施設の定員30名と変わらな くなってしまう。グループホームは2人から4~5人の居住形態が望ましい。 ② 地域に住むのに、地域住民の反対運動が起きないような啓発活動も必要である。また、 住民として地域に住むのにグループホーム開設にあたって同意を自治体が求めるのは おかしい。

【森委員】

○結論
地域生活の資源整備の充実を図るためには、障害当事者団体や自助グループ(セルフヘ ルプグループ)、患者団体が大きな役割を担うと期待される。ただし、その可能性はきわ めて大きいものの、団体自体の成熟度には不足が認められることも事実である。当事者団 体などの成熟を図るための財政を含めた支援の仕組みが求められる。障害を体験して、障 害とともに生活してきた経験にもとづき、障害者団体自体がサービス提供者になるシステ ムが求められる。また、ボランティアなどによるインフォーマルな支援の必要性や非日常 的な状況、すなわち災害発生時などに障害者を支えるシステムの構築についても、当事者 を主体とした関係各機関、関係各領域のネットワークをもとに検討すべきと考えられる。

○理由
今後、地域生活の資源整備の充実を図るためには、障害者団体が大きな役割を担うこと が期待される。しかし、その可能性はきわめて大きいものの、団体自体の成熟度には不足 が認められる。団体の育成のための国・自治体による財政支援が必要になる。

【山本委員】

○結論
障害者団体が地域生活の資源整備に参加できるよう立ち上げ資金を保証すべき 地域生活は人権問題であり国が保障すべき

○理由
多くの障害者団体とりわけ精神障害者団体が直接地域資源を立ち上げるためには立ち 上げ資金保証がなければ不可能だから