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総合福祉部会 第7回 H22.9.21 資料1-3

「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見(分野I その他)

目次

(分野I その他)

<項目I-1 介護保険との問題>

論点I-1-1) 国と「自立支援法」訴訟団との「基本合意文書」の中では「新たな福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険との統合は前提とせず」と記されている。この点から、検討すべき論点としてはどのようなことがあるか?

論点I-1-2) 現行「自立支援法」第7 条では「介護保険優先」の原則がうたわれている。介護保険対象となった際に、「自立支援法」のサービスが利用できなくなったり、サービスの量・種類が削られたりする事例が生じている。こうした事態を避けるためには、どのような制度とすることが必要と考えるか?

<項目I-2 現行の特別対策等>

論点I-2-1) 臨時特例交付金による特別対策事業についての評価はどうか? また、この中で、「特別対策」から正規の制度に組み入れる必要があるものはあるか?

論点I-2-2) また、特例交付金の延長は必要か?

論点I-2-3) 新体系への移行の期間(2012年3月)をどう考えるか?

<項目I-3 現行の特別対策等>

論点I-3-1) この法による支援のための所要額について後年度負担も含め、推計する必要があるのではないか?

論点I-3-2) この財源を安定的に確保するための方策と目途をどのようにたてていくべきか?

論点I-3-3) この法の実施に関するモニタリング機関の必要性をどう見るか?

論点I-3-4) 相談、「選択と決定」( 支給決定)、支援の利用、利用者負担等、この法に関わる全般的な不服審査・苦情解決・権利擁護機関の必要性をどう見るか?

論点I-3-5) 「分野I その他」についてのその他の論点及び意見

(分野I その他)

<項目I-1 介護保険との問題>

論点I-1-1) 国と「自立支援法」訴訟団との「基本合意文書」の中では「新たな福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険との統合は前提とせず」と記されている。この点から、検討すべき論点としてはどのようなことがあるか?

【朝比奈委員】

○ 結論

 新たな総合福祉法がI C F の考え方を採用して制度を構築した場合に、介護保険制度はどうするのか。まずは介護保険サイドから議論する必要があるのではないか。

【伊澤委員】

○ 結論

 介護保険との統合は前提とせず、どのような理由や原因にかかわらず(障害手帳のあるなしにかかわらず)、生活に不便が生じたときに使える制度になればいい。

○ 理由

 介護保険との統合こそ国民の同意を求めることが困難ではないのか? 保険制度と社会保障は根本的に位置づけが異なる。福祉目的の消費税の税率アップの方が格段に明確であると思う。
 また新制度は、骨折をして一時的に生活が不便になった時や難病で支援が必要な時なども使えるものであると良い。

【石橋委員】

○ 結論

  1. 支援者( ホームヘルパー)の資格の問題。
    介護保険では、同一(慣れた)のヘルパーとは限らない。
  2. 市町村の負担額を補填する制度。
    自立支援法:25%、介護保険:12.5%の差の補填。
  3. サービス・支援の構築。
    長時間滞在型の訪問サービス、移動支援 等
  4. 自立の概念と介護の概念の明確化。

○ 理由

 障害者のサービス・支援を医療制度と同じように年齢によって区分することができない。
 介護保険対象者になってもサービス利用の選択権は、利用者にあることを基本とする。

【氏田委員】

○ 結論

 障害者福祉に関しては税負担で行うべきである。高齢者とは異なる生来的な障害としての固有性があり、国の責任を明確にすべきである。
 国の事情によりやむをえず介護保険との統合について考えなければならない状況が生じた場合においては、現在の介護保険への統合ということではなく介護保険の改正を前提として、統合は検討されるべきであると考える。

○ 理由

 障害のある人の支援は、介護という視点だけではなく、その人が生きることの全体像を支えることである。障害のある人が、人としての尊厳が守られ、自己選択・自己決定権が尊重され、地域で暮らし続けるための社会連帯が求められており、それに見合った形となるのが自然であると考える。

【大久保委員】

○ 結論

 現行の介護保険制度にさまざまな課題があることは事実と考える。しかし、同制度をひたすら否定的に取り扱うことは、若い時に障害を負った人だけを考えた議論と受け取られかねないと危惧する。
 せめて今後は、「なぜ現行の介護保険制度では高齢になった障害のある人の地域生活を支えることができないのか」とか「高齢になった障害のある人の地域生活を支えることができる介護保険制度のあり方について」などの視点も望みたい。

【大濱委員】

○ 結論

  • 大原則としては、介護保険とは別に障害者独自の制度を作っていくべきである。ただし、障害者個々人の選択肢の1 つとして、必要な人には、訪問介護など介護保険サービスも選択可能とすることも必要。

○ 理由

  • 大原則としては、介護保険とは別の障害者独自の制度を作っていくべきである。
     ただし、障害福祉サービスの提供基盤がない地域では、介護保険の事業所が障害福祉サービスの指定を受けている等で、介護保険事業所を利用せざるを得ない障害者のケースもあるので、柔軟な制度にする必要がある。
     同時に、ALS患者等は現在、重度訪問介護と介護保険を併用している。
     このように必要に応じて選択できる制度が必要。

【岡部委員】

○ 結論

 応益負担の廃止、障害程度区分の廃止、移動介護の復活(個別給付化)、自立支援給付と訓練等給付の再統合等。介護保険との将来の統合を前提としその整合性確保のために導入された可能性のあるしくみの見直しにかんする論点のすべて。

○ 理由

 障害者福祉施策としての妥当性に対する議論と利用者側との合意形成が不十分のまま導入された仕組みのため。

【小澤委員】

○ 結論

 「障がい福祉」に関する十分な財源確保の保証をすれば、介護保険との統合は議論にはならない。

○ 理由

 介護保険との統合論の最大の背景には、「障がい福祉」の財源不足の問題がある。ここを何とかしないと、必ず、介護保険との統合の議論が生じる。

【小田島委員】

○ 結論

 介護保険と障害者福祉は別々の制度でやっていく。

○ 理由

 介護保険の中で障害者が利用できるサービスはとても少ないから。

【河崎(建)委員】

○ 結論

  • 介護保険の範囲を広げ保険料収入を財源にするという政策が誤り。基本的には消費財などの間接税を充てるべき。
  • 障害認定や事業所に対する報酬など介護保険モデルはとらないこと。

○ 理由

 自立支援法そのものが福祉財源確保から出発しておりこれが誤り。また就労を最終目標にしているところがある。これも障害者特性を無視している。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 介護保険は保険制度であり、障がい者福祉制度とは異なるものとして考えるべきではないか。

【北浦委員】

○ 結論

 介護保険のサービス体系にとらわれる必要はないが、現行のサービス体系は概ね理解され支持されつつあると思うので、現在までの経過の中で起こっている不合理や改善すべき部分についての修正を行うべきである。

○ 理由

 自立支援法のサービス体系は、概ね理解されつつある中で、また、制度改革として体系を変えることは、混乱を繰り返すことになる。

【近藤委員】

○ 結論

 介護給付と訓練等給付の考え方、障害程度区分、定率負担といった介護保険統合を前提とした制度を根本的に見直し、社会モデルに基づきそれぞれの障害の特性が反映されるような制度の設計をするべきである。

○ 理由

 介護保険統合を前提とした障害者自立支援法を抜本的に見直し、地域における自立した生活を基本とした障害者にふさわしい制度設計を新たに行う必要がある。

【齋藤委員】

○ 結論

 現行のままの介護保険との統合はすべきでないが、介護保障の財源確保及び介護制度の連関性を考えるにあたって長期的視野に立って介護保障の総合的設計が必要である。

【坂本委員】

○ 結論

 高齢化の進展で、高齢者と障がい者の境目は不分明になってきている。障がい者が65歳になったときにサービスや負担が変わる制度は分かりにくい。また、障がい者が65歳になった場合と65歳以上の人が障がい者になった場合で制度の適用が異なるようなことは、制度を運用する自治体の立場としては、町民に説明ができない。一緒に運用できないか。

○ 理由

 制度が2つに分かれ縦割りになっていることから生じる弊害(①制度の谷間の方が救えないことや、②制度が重複しているところが少なくないにもかかわらず人材やサービス等の資源が二重に必要とされることなど)をよく考える必要がある。

【佐野委員】

○ 結論

 介護保険では、適用疾病に難聴等聴覚障害が入れていない。人が人として存在するための基本はコミュニケーションです。コミュニケーションの障害である聴覚障害を介護保険の対象としてサービスが受けられるようにすべきです。また介護保険サービスに従事する職員には聴覚障害者への対応ができるような教育や実習が必要です。

○ 理由

 介護保険のサービス提供事業所や施設において、聴覚障害者へのコミュニケーションに対する配慮がなされていない。介護認定に聴覚障害に関する認定項目が入れて無いことが問題である。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 様々な論点が考えられるが、新法の理念、支援の法的意味、資格要件の定め方、支援メニューの定め方、不服申し立て方法などが主なものとして考えられる。また、他の法領域との役割分担の定め方についても、適切な規定が置かれるよう検討されなければならない。

○ 理由

 新法が介護保険の考え方と全く異なる理念に立脚する法律であることを明らかとするために、新法の理念が障害者の基本的人権の保障を実質化するものであることを明らかにする必要がある。そして、この理念の下に、個別の制度設計が行われていることを明らかにしなければならない。

【田中(正)委員】

○ 結論

 現行の介護保険に問題があるので統合は前提としないのか、障害者と高齢者は分けるべきなので統合しないのか、今のままでは議論が無く、結論が曖昧。社会保障を充実させ財源の確保を検討する視点で明確に結論を得て、方向感を明確にする必要がある。

○ 理由

 年齢による制限が地域での生活支援を提供する上で問題や課題が生じないようにするために、基本はユニバーサル( 文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができる状態)であるべきと考える。ユニバーサルな支援を進めてゆく視点が、ノーマライゼーションを理念とする地域支援を進めてゆく上では最も重要であると考えるから。

【中西委員】

○ 結論

 同一水準のサービスとなった後に、介護保険と税金で構成された高齢者サービスと制度的に合体させていくことは考えられるが、現状のような低い理念とサービス下にある介護保険との統合は全く考えられない。

○ 理由

 障害者福祉サービスである総合福祉法を国庫負担基準が満たされ、OECD平均値の予算を組むことによって施設から地域への完全移行を果たした後に、高齢者サービスを障害者サービスの水準に引き上げるべきである。

【中原委員】

○ 結論

 安定的な財源の確保。
 65歳以上の障害者のサービスの利用の仕組み。

【奈良崎委員】

○ 結論

 ぜひ、介護保険と同じ制度にするのはやめてほしいです。

○ 理由

 高齢者福祉の目的と障がい者福祉の目的がちがうから、考えてほしいです

【西滝委員】

○ 結論

  1. 高齢者と障害者では、福祉サ- ビスの質や量が異なるため、それぞれ独自の福祉サ-ビス・施策を講ずるべきである。
  2. 特別養護老人ホームにおいて生活保護受給者は個室利用ができないこととなっており、多床室で生活することを余儀なくされている。今後、障害者の施設入所支援において個室化が進んでも、生活保護受給者が利用できないような事態は避けなければならない。

○ 理由

  1. 生活保護受給者が個室利用できないこと自体、不公平だと考えているが、介護保険との統合を前提としない以上、障害者の暮らしに視点を当てて検討を進めるべきと考える。

【野原委員】

○ 結論

 「介護保険との統合を前提としない」との方針を、介護保険法を含めて法的にも疑問の余地のないよう整備すべきと考えます。

【東川委員】

○ 結論

  1. 介護保険制度のモデルをスライドした、障害区分認定制度の見直し。
  2. 介護保険制度利用年齢になった際の、保険優先の考え方の見直し。
  3. 障害福祉サービス事業所認定を受けている介護保険サービス事業所の従事者への障害者支援に関する研修の体制。

【広田委員】

○ 結論

 全世代のトータル福祉サービス。

○ 理由

 たて割り行政の連携が必要。

【福井委員】

○ 結論

 2000年4月から施行されている介護保険法は、現金給付(利用者補助)方式を最初に福祉サービス利用に持ち込んだものであり、自立支援法はこの介護保険とほぼ同じ給付形態になっている。「介護保険との統合はしない」というのは、すでに当事者と国との合意事項であり、今後高齢者は社会保険方式の介護保険、障害者は税方式の障害者福祉ということになる。しかし、障害者が65 歳以上になると介護保険が優先的に適用されるため、福祉サービスの利用に再度、応益負担が課せられるという矛盾がおこることになる。高齢者・障害者へのサービスの提供は、全額公費負担で行うべきで、公的責任によってサービスの質を確保する現物保障型の仕組みを再構築すべきである。

○ 理由

 いま、「福祉の介護保険化」が障害者から保育分野まで、広がろうとしているが、私たちの自立支援法廃止・新法制定の運動の成果は、これらの分野にも当然、影響を拡げずにはいられない。介護保険法の改正も議論されている最中で、これが残ってしまえば障害者福祉の財源確保が行き詰まってきた段階で、また介護保険との統合が息を吹き返してくることも当然考えられる。

【藤井委員】

○ 結論

 負担の仕組みの見直し、障害程度区分をベースにした支給決定の仕組みの見直し、サービス体系など。

○ 理由

 介護保険統合をにらみ拙速に導入された制度だから

【藤岡委員】

○ 結論

  • 高齢者福祉と障害福祉の理念の根本的な違いを理解すること
  • 応益負担
  • 障害程度区分認定
  • 支給量の問題

○ 理由

 高齢者福祉はADLの公的補助、障害者福祉は差別禁止原理に基づくもので根底の理念が異なるため統合が出来ないという共通理解に立つことが必要と考える。
 介護保険は応益負担制度であるが、新たな福祉制度は応益負担制度とすべきではない。
 介護保険と同様な機能障害に着目した程度区分認定がなされるべきではない。
 現行の障害程度区分の基準は,介護保険の要介護認定調査項目をベースとしており,身体障害が項目の中心となっていることに加え,個別の障害者の障害特性に応じた支援の必要性を判定できない。
 障害程度区分と支給量が連動するべきではなく、利用者の必要にもとづき十分な支給量が確保されなければならない。

【増田委員】

○ 結論

 介護保険優先の制度のもとで, 生活の困難を抱える障害のある人は多い.高齢になった障害のある人の実態を把握し,その実態にあった障害福祉サービスを創り出す必要がある.

○ 理由

 高齢になった障害のある人が高齢者の施設で不適応を起こし,行き場を失うという状況も起こっている.介護保険制度のもとのサービスでは必要な支援を受けられていないという事実がある.その事実に基づいて検討していく必要がある.

【三浦委員】

○ 結論

  1. 障害のある人、さらには、地域生活を送る上で何らかの支援を必要する人々にとっての選択性や利便性の確保について。
  2. 高齢社会となる我が国における、障害のある人を支援する制度の中長期的な持続可能性(財源の確保)について。
  3. 全国各地の実情を踏まえた障害福祉サービス提供基盤の整備方策、介護保険と総合福祉法の役割分担と相互利用について。

○ 理由

 制度的に統合を行わない前提であったとしても、障害のある人のニーズや地域のサービス提供基盤の実情等に応じて、柔軟に双方のサービスを併用できる仕組みづくりが必要であると考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 介護保険を下敷きとした障害者自立支援法では、その影響が各所にでている。最たるものは障害程度区分である。介護保険に影響されて制度化したシステムは全て見直しすべきだ。
 介護保険と障害者自立支援法を併用する場合。低所得者の場合、介護保険は1割負担、障害福祉サービスでは、0円。併用する場合の軽減対策が必要。

○ 理由

 利用者負担のあり方で介護保険との併用の場合の軽減策を実施しないと、負担が多くなる人が出るようになるから

【森委員】

○ 結論

 障害者自立支援法第7 条の「介護保険優先」、障害程度区分、日割り方式、応益負担、食事・光熱費の実費徴収、障害程度区分による、報酬の支払い方式並びに利用制限の撤廃などについて、抜本的に検討すべきである。

○ 理由

 介護保険の統合を前提とした制度と考えられる障害者施策は、高齢者施策とは根本的に違うということをもとに検討に入るべきである。

論点I-1-2) 現行「自立支援法」第7 条では「介護保険優先」の原則がうたわれている。介護保険対象となった際に、「自立支援法」のサービスが利用できなくなったり、サービスの量・種類が削られたりする事例が生じている。こうした事態を避けるためには、どのような制度とすることが必要と考えるか?

【朝比奈委員】

○ 結論

 障害のある人一人ひとりの生活を勘案して支給決定していくことが必要であるにも関わらず、制度ありきで整合性、統一性を図ろうとする思考が働く限り、このような事態は起き得る。原則は原則として、具体的に制度間調整を図る必要が生じた際には、都道府県のレベルで何らかの協議組織に協議を委ね、その意見を参考に市町村が支給決定するような仕組みが考えられるとよい。そこで集まった事例を蓄積していくことにより、制度のモニタリング機能も一部、果たせると考えられる。

【荒井委員】

○ 結論

 介護保険が適用される年齢に達した際に、介護保険とあわせて必要なサービスが支給されるよう、わかりやすい基準をつくる等サービスのあり方を再整理するとともに、きちんと財源が確保されるべき。

○ 理由

 介護保険が適用される障害者に対し、本人や家族が納得でき、区市町村にも過大な事務処理負担が課されないような、制度間調整の基準が必要である。

【伊澤委員】

○ 結論

 介護保険と自立支援法の併用を可能にしていく方向と、支給決定に責任を持つ機関が、判断できる仕組みを作る。現状の「自立支援給付と介護保険制度の適用関係について」通知(平成19年3月28日)(2)適用関係②ア・イならびに③具体的運用の強調や実施強化の実現

○ 理由

 介護も必要で障害福祉サービス事業所の支援が必要な方がいる。必要な人に必要な支援が届くようにしなければならないので、現状適応されている上記通知内容の強調ならびに実施強化が必要である。

【石橋委員】

○ 結論

 ケアマネジャーが、ひとり一人の必要とするサービスの種類、量を的確に把握し、継続性のある個人の支援計画を作成できる制度。

【氏田委員】

○ 結論

 どちらか一方ではなく、不足については従来のサービスの継続や新たに不足が生じた場合には他のサービスの利用が可能であることが望ましい。ひとりの人の支援が年齢で分断されることでサービスの低下を招くことがあってはならない。利用者の最善を優先すべきである。切れ目のない支援をするためにライフステージに合わせ、その時々に、障害や年齢に応じた支援がプラスされるような制度設計が出来ると良いと考える。例えば、高齢になった時に、福祉サービスのメニューや内容がその人に合っていれば、介護保険であれ、障害者福祉であれどちらでも使えるようにするなど、それまで使えていた必要なサービスが使えなくなるということがないように配慮しなければならない。

○ 理由

 年齢でサービスが切り分けられることは、地域生活を送る上での不安材料となる。一方で、身体障害者手帳の所持者の70%以上が65歳以上の高齢者という現状を考えれば、介護をベースとした介護保険に障害者支援をプラスするなど、介護保険内でもきちんとしたサービスが受けられるように制度改革をすべきである。

【大久保委員】

○ 結論

 先ず、本論点において重要なことは、65歳未満の障害者と65歳以降に障害者となった人について、「他の者との平等を基礎」として考える必要がある。さらには、「法の下の平等」にも関連してくるものと考える。
 つまり、65 歳以上の障害者について、現状においては、等しく介護保険をベースとした福祉サービス利用を原則とし、障害福祉サービスの活用は、介護保険のみではサービスの量や種類が不足する場合、介護保険と同種のサービスであっても知的障害等の障害特性に配慮する必要がある場合などとすることが妥当と考える。

【大濱委員】

○ 結論

  • 介護保険優先の仕組みを変えて、障害者が介護保険か障害福祉サービスかを選択できるようにすべき。その上で、障害福祉サービスを選んだ障害者の財源は、介護保険会計から障害者施策会計に移転する仕組みを設けるべき。

○ 理由

  • 重度訪問介護のような長時間介護を介護保険の制度でカバーすることは明らかに不可能である。特定の介護者が必要な重度障害者は、障害者独自の制度とする必要がある。ただし、一般会計ベースでは、障害福祉サービス(4分の1)よりも介護保険(8分の1)の方が市町村負担が軽いので、市町村の福祉部局では介護保険の利用を勧める誘因となる。よって、財源移転は不可欠である。

【岡部委員】

○ 結論

 重度訪問介護等現在受けているサービスに相当する類型が介護保険に存在しない場合は介護保険財源から要介護認定等級に相当する給付を受けて障害福祉サービスの費用として使うことを認めればよい。(不足分については障害福祉サービスの給付を行う前提)

○ 理由

 65歳以上の高齢障害者はそもそも第一号保険者であり介護保険の受給資格をもっているので要介護度に相当する給付を受ける権利があるため。

【小田島委員】

○ 結論

 介護保険優先の決まりはなくす。

○ 理由

 障害者が利用しやすいサービスを選べるようにするため。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 「介護保険優先」の原則を即刻撤廃すべき。

○ 理由

 要介護状態に適用する介護保険と、自立を図るための自立支援法は対象も目的も手法も全く異なる。一体化を画策したところにボタンの掛け違いがある。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 「介護保険優先」ではなく並列の制度とすべき。障がいを持った高齢者が、その必要性に応じてどちらの制度も使える、選択制にすべきである。

○ 理由

 高齢者の必要とするサービスと、障害者が必要とするサービスは必ずしも一致しない。共通の必要性に応じたサービスは選択すればよいことで、年齢で区分けすることは不合理である。

【北浦委員】

○ 結論

 介護保険の被保険者として、必要な保険給付を受けるのは当然の権利であり、そこで補いきれないものは、一般の障害福祉サービスとするもので、介護保険制をなくさない限り優先の原則対応は変わらない。問題は障害福祉給付の方で削除されたりすることがないようにすることにある。このため、障害者福祉サービスとして、介護保険サービス、障害福祉サービスを含めたマネージメントを確立、トータルとしてのサービス支援計画・支給必要量等を策定できる制度とする必要がある。

○ 理由

 介護保険で実施されるべき給付が不十分であることに問題があるが、本来、障害者福祉サービスは、介護保険制度になじまない性質のものもあり、給付に当たっては、障害保健福祉サービスとしてトータルの給付制度とする必要がある。

【倉田委員】

○ 結論

 高齢期に達し加齢とともに肢体不自由等の障害者となり、身体障害者手帳を取得するという事例が増えてきている。このようなケースは、国民の共同連帯の理念に基づくという介護保険制度の趣旨からも、介護保険財政でサービスを負担すべきである。従って、「介護保険優先」の原則は堅持すべき。ただし、壮年期以前からの障害者が高齢者となった場合に、障害特性に応じたサービス量が確保されるよう、介護保険、自立支援の両サービスを総合的にコーディネイト、利用計画が策定できる権能、責務を持つ資格職を創設、制度化すべきと考える。

○ 理由

 現行制度では、地域ケア会議等においてサービス必要量の検討が行われる仕組みとなっているが、現実には介護保険、自立支援サービスが個別に利用調整されるケースが多く、結果として自立支援法のサービス廃止、量の不足等の指摘に至っている。
 若年障害者においては、障害の受容から障害特性に応じた生活支援等幅広い関わりが必要であり、そのことを前提として生活設計してきた障害者が高齢者となった場合については、介護保険、自立支援の両サービスを包括的かつ継続的な支援ができる制度の創設が必要と考える。

【近藤委員】

○ 結論

 第7条を削除し、自己選択の利用を可能とするべきである。(個人的には―少なくとも満65歳未満に受けていたサービスの量・種類については継続して利用できる仕組み)

○ 理由

 本人にふさわしい、希望するサービスの利用を担保するため。現行の通知では、市町村により解釈が異なり、希望するサービスが利用できない実態が多く生じている。

【齋藤委員】

○ 結論

 違憲訴訟原告団・弁護団との基本合意文書には、介護保険優先原則の廃止がうたわれているが、高齢者になってから障害者になる人々への介護を含めて高齢者への障害者介護の適用原則を別途定める必要がある。

【清水委員】

○ 結論

 西宮の青葉園の人で、65歳以上となった人がいます。その人はおもい障害はあるけれど、とても活動的で元気です。ですので、青葉園で今も活動していますし、ケアホームで暮らしています。その人の生き方に応じて、そのことをちゃんとすすめていく仕組みとしないとだめだと思います。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 どこまでを新法の領域とし、どこまでを介護保険法の領域とするかを明確にする必要がある。

○ 理由

 新法における支援は、障害特性に応じたものであって、障害者の人権保障の実質化のために必要なものであることを明らかとした上で、目的の異なる介護保険法との役割分担を明らかとすることが必要である。

【田中(正)委員】

○ 結論

 障害により支援が必要な状況と加齢によりサービス利用が始まる状況の差異を検討する必要がある。特に介護保険の2号保険者に生じる課題に関連づけて、利用の始まりが何によるもので、それが65歳からの区切りでよいのか等の問題も含めて、現状の課題を整理すべきである。その際、加齢による障害と6 5 歳以上での何らかの事情による障害、難病による障害等で、それぞれ支援が必要となる状況の比較整理も必要。現状を整理した上で、全てに谷間を生じないシームレスな仕組みを目指し、できることからなすべきである。

○ 理由

 障害者自立支援法の見直しを、谷間に落ちる人がいる前提を解消するために行うのであれば、介護保険も同様の視点での見直しが必要である。この前提を一致させなければ、障害者の立場からの改善だけでは新たな谷間を生み出し問題は解消されない。

【中西委員】

○ 結論

 利用者が介護保険でも総合福祉法のサービスでも自由に選択できるようにすべきである。

○ 理由

 先進的な市町村では既に行われているが、介護保険の優先利用条項には付則があり、介護保険にないサービスはそれを使えることになっており、現行法のままでも介護保険を選択せず自立支援法の重度訪問介護などのサービスのみを使うことは可能である。これを法的に明確に位置づけ、利用者が介護保険でも総合福祉法のサービスでも自由に選択できるようにすべきである。その場合、両方のサービスへの負担が求められることのないよう、主なサービスでの負担のみにとどめる必要である。

【中原委員】

○ 結論

 新しい支給決定の仕組みを構築し、真に必要な支援がとぎれることなく提供できるようにする。例えば、セルフマネジメント・ケアマネジメントについても障害当事者に合わせて選択できる仕組みにするとともに、決定後のモニタリングを徹底できる仕組みとする。

○ 理由

 介護保険制度は高齢者の介護を基本としたものであって、障害者にとっての介護は支援の一部にすぎない。特に障害者への支援は生涯にわたる継続的なものであるとともに、自立と社会参加を目的としていることから、65歳以上の障害者については介護保険によるサービスを優先とせず、本人の希望を優先することが必要。

【奈良崎委員】

○ 結論

 ぜひ、福祉サービスには一人ひとりのサービスを考えてほしいです。

○ 理由

 今の日本の(障がい者)福祉サービスは、高齢者福祉サービスと同じです

【西滝委員】

○ 結論

  1. どちらが優先という考え方をなくし、個々の障害者が効率的・有効に障害福祉サ-ビスが利用できるよう「ケアマネジメント」を実施し、本人の選択を基本とし、どちらか利用しやすいサ- ビスを利用する仕組みをつくる必要がある。

○ 理由

  1.  ろう重複障害者(聴覚障害者)が利用できるサ-ビス(社会資源)が少ない中で、地域活動支援センタ-や生活施設等では、若年から高齢者まで多様な年齢層およびニ- ズの方が利用しているのが現状である。
     単に年齢等で利用できるサ- ビスを限定すると、必要なサ-ビス(社会資源)のない地域では必要なサ- ビスが受けられない事態が起こることは必至である。

【野原委員】

○ 結論

 新法では、介護保険優先の原則はなくし、障害者の実情に応じて、選択して利用できるようにすべきです。介護保険による福祉施策と障害者施策との整理は必要ですが、谷間を生まないためには、双方の制度がある程度重なるように制度設計をすべきです。

○ 理由

 制度間の棲み分けをきっちりとしてしまうと、どうしても谷間が生じます。医療が必要で状態が日々変化する難病・慢性疾患をもつ障害者にとっては、どちらの制度も使えて、選択ができるようにすることが谷間をなくすことになります。

【東川委員】

○ 結論

 まずは、前項で指摘した介護保険との統合にかかる問題を整理し、市町村と、地域包括支援センターのケアマネージャーの連携が、ケア会議実施が必須となっている中で保障されるように、障害者相談支援事業所のケアマネジメントを行う相談支援専門員や、医療機関の相談者などと、市町村の障害福祉担当者( 課) との実質的連携を、持てる仕組みの構築が必要である。そのために、自立支援協議会の役割などについては検討すべきとも考えられる。

○ 理由

 市町村によっては、相談支援事業を委託事業者にまる投げしているが、ケアマネジメントの位置づけが保険制度とならなくても、ケア会議(個別支援会議)開催がサービス給付を所管する市町村も含めてきちんと為されることが重要。

【福井委員】

○ 結論

 前段で述べたように、その矛盾を解決するためには、介護保険の応益負担の自立支援と同様に廃止することが妥当ということになる。過渡的には、「基本合意文書」でうたっているように「介護保険優先原則を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること」であると考える。有利な方を選択できるということにすべきで、新しい法律、障害者総合福祉法の中では、高齢者も対象として構想していくべきである。

○ 理由

 将来的な方向を確認しつつ、現実におこっている不利な条件は直ちに取り除いていかなければならないので。

【藤井委員】

○ 結論

 保険優先の原理をどう乗り越えるかは課題であるが、65 歳を超えてもそれまでのサービスが継続される制度が必要である。

○ 理由

 サービス利用者の生活の質の後退をさせないため

【藤岡委員】

○ 結論

 介護保険法の規定による保険給付(介護給付、予防給付および市町村特別給付)が自立支援給付に優先するとの規定( 介護保険優先原則)(法7条、施行令2条)を撤廃し、介護保険が強要されない制度として、障害のある人は65歳になっても障害福祉制度にもとづく支援と介護保険法に基づく介護給付を選択できる制度とすることが必要である。

○ 理由

 介護保険と、障害福祉制度は、制度趣旨の違いから来る内容の違いがある。
 介護保険(特に在宅介護サービス)は,身体介護を中心として,高齢者の日常生活維持に必要な介護の基礎部分のみをカバーしており、社会参加のために必要な支援を含む障害福祉制度の支援の代替にならない。
 また、介護保険は応益負担(1割負担)であって、軽減措置を利用しても1ヶ月の自己負担額が高額である。介護保険は、高齢者が一定の資産形成をしていることを前提として設計されており、資産形成困難な障害者を対象とすることは困難である。
 65歳になったからといって、必要な支援が変わるわけではないにもかかわらず、介護保険の支給量を使い切らなければ自立支援の給付を受けられなくなり、自己実現に必要な社会参加の機会を奪われ、さらに利用者負担が著しく高額になることは、不合理な差別であって、憲法13条、14条に反し、憲法25条に定める最低限度の生活を下回る生活を強いられる恐れもあり、障害者の権利を侵害している。

【増田委員】

○ 結論

 介護保険優先の原則を廃止する.その人のニーズに合わせて選択する制度とする.

【三浦委員】

○ 結論

 障害のある人がいずれかを選択できる仕組みとするとともに、必要に応じて併用が可能な仕組みとするべきである。

○ 理由

 障害のある人が希望する地域や場所で生活することを実現するため、必要なサービスは柔軟に利用できることを原則とするべきである。また、支援の必要度や地域のサービス提供基盤の状況等に応じて、双方を組み合わせて利用することも求められると考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 「介護保険優先」の原則を撤廃し、利用者の自己選択を優先すべき
 その人の暮らしにとって必要なサービスが柔軟に利用できるように。介護保険制度には無いサービスが受けられるよう、つまり両方が質量とも満足できるレベルで使えるようにすべき。地域生活支援事業は市町村により、両用を可とする場合もあるが全てのサービスが使えるように。

○ 理由

 「介護保険優先」の考え方が存在するから、全国で混乱が生じている。
 障害福祉サービスと介護保険のサービスを選択するのは利用者の自己決定を優先すべきだ。一方、介護保険のサービスを利用する知的障害のある人が、誤解と偏見で介護保険のサービスから排除される場合もある。障害に関するサービスは介護の概念だけでは括れないものであり、当然介護保険重視の立場からは当事者にとって不便で限定的な生活が強いられる結果ともなる。

【宮田委員】

○ 結論

 介護保険のサービスメニューの拡大や支給量の増加の方が緊急の課題。

○ 理由

 同じ年齢であれば、障害のある・なしにかかわらず同じ支援体系になることには矛盾はない。しかし、現状では、障害者が介護保険対象になる問題というより、介護保険のサービスメニューの貧しさの問題の方が大きい。実際の在宅現場では、介護保険のサービスメニューの少なさに加えて、介護保険審査による支給量の少なさのため、一般高齢者が障害者手帳に基づく障害サービスで補填されるという逆の問題が生じており、障害分野の予算が介護保険の支給量の補填に回されている現状がある。

【森委員】

○ 結論

 自立支援法第7 条は撤廃すること。

○ 理由

 介護保険の統合を前提とした制度と考えられる障害者施策は、高齢者施策とは根本的に違うということをもとに検討に入るべきである。

【山本委員】

○ 結論

 7条を廃止すべき

○ 理由

 高齢の長期入院者の地域移行に際してはその障害によって、手厚い介助体制が必要だが、介護保険では保障されないから

<項目I-2 現行の特別対策等>

論点I-2-1) 臨時特例交付金による特別対策事業についての評価はどうか? また、この中で、「特別対策」から正規の制度に組み入れる必要があるものはあるか?

【荒井委員】

○ 結論

 国において個別事業の効果を検証し、必要に応じ長期かつ安定的な制度とするべきである。
 特別対策事業は、事業所の運営の安定化や新体系への移行促進のための基盤整備、また職員の処遇改善などに資するものであり、評価できる。このうち、特に事業運営安定化事業や福祉・介護人材の処遇改善事業については、今後とも推進していく内容であるので、報酬改定での措置など正規の制度に組み入れ、恒久的な対策を図る必要がある。
 また、基盤整備事業は、社会福祉法人以外の法人が基盤整備をする場合や、工賃向上への取り組み等に有用であり、別途事業化が必要と考える。

○ 理由

 国において効果を検証したうえで、必要に応じて長期的かつ安定的な制度とするよう検討する必要がある。
 障害福祉サービスを的確に供給していくため、サービス事業者の経営の安定は不可欠なものである。
 また、福祉・介護職員は他の職種に比べ給与水準が低く人材確保が困難であり、人材の確保、定着を図る必要がある。

【伊澤委員】

○ 結論

 基盤整備事業については、当事者や地域ニーズを踏まえ事業展開を行う場合に、設備整備、備品整備などハードな条件整備の必要な時に活用できる仕組みとして重要である。

○ 理由

 施設、備品の整備、改修・増築などの事業環境整備は正規の事業として組み入れ、総じて地域の支援体制整備に向かう必要がある。先述の社会的インフラ整備に繋がる話でもある。

【石橋委員】

○ 結論

 特別支援事業は、負担の軽減と事業所運営に寄与して障害者に安心を与えた点を評価する。「特別対策」で正規の制度に組み入れるのは、①通所サービス利用促進事業、②ディサービス事業等緊急移行支援事業、③障害者自立支援基盤整備事業、④地域移行・就労支援推進強化事業、⑤相談支援体制整備特別支援事業、⑥障害児を育てる地域の支援体制整備事業、⑦就労意欲促進事業、⑧その他法施行に伴い緊急に必要な事業。
 また、「移行することが困難な小規模作業所」に対する助成制度を新たに整備する必要があると考える。

【氏田委員】

○ 結論

 通所の送迎費用、事務員の増員補助などを正規の制度に組み入れる必要があると考える。

○ 理由

 地域生活維持に必要であるとの評価が高い。

【大久保委員】

○ 結論

 自立支援法の諸課題を一定程度解消したことについては評価できる。しかし、法令の改正を行わずに、事実上は制度変更に近いものがあり、その意味では、法令の枠組みが曖昧になってきていると思われる。
 正規の制度へ組み入れた方が良いかは、事業ごとに検証すべきであるが、例えば、次の事業は組み入れる必要があると考える。
 通所サービス等利用促進事業、就労系事業利用に向けたアセスメント実施連携事業・一般就労移行等促進事業、地域移行支度経費支援事業、障害者自立支援基盤整備事業、障害者地域移行体制強化事業、相談支援体制整備特別支援事業、障害児を育てる地域の支援体制整備事業、障害児の保護者が児童デイⅡ型で相談対応する事業、相談支援充実・強化事業、地域における施設の拠点機能に着目した事業者支援事業、重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業、福祉・介護人材緊急的な確保を図る措置( 福祉・介護人材の処遇改善事業)

【大濱委員】

○ 結論

  • 特に事業所や介護者の不足でサービスが受けにくい重度訪問介護等については、新人介護者の教育のためにベテランと新人の2人体制で利用者宅に入る教育期間の経費や、求人広告費の助成は、旧在宅重度障害者地域生活支援基盤整備事業のような基金事業ではなく、正規の制度に組み入れることが必要。また、同事業では1 事業所あたり年間100万円の上限があったが、最重度の障害者の介護に積極的に取り組んでいる事業所ほど教育経費や求人広告費が多くかかるので、実質的な助成率が下がることになる。よって、1法人ないしは1事業所ごとの金額の上限は撤廃すべき。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 家族支援に関して言えば、家族会支援として有効な支援事業を行うべきである。

○ 理由

 家族の支援であって、家族会の支援でないと言われるなど制約が多く、問題点が指摘された。家族会を支援することは、まさに家族支援であり、個々の家族のエンパワメントにつながるのみならず、家族会活動は国や地方自治体に対して重要な提言を行うなどなくてはならない活動として公的に認めるべきである。  また現在はボランティアで行われているピア活動、ピアサポート事業などへの支援が正規化されるとよいと考える。

【近藤委員】

○ 結論

  1. 移行時運営安定化事業は、当分の間、継続が必要である。
  2. 通所サービス等利用促進事業は送迎加算として障害福祉サービスの報酬に組み入れるべきである。
  3. 事務処理安定化支援事業は、事務員の報酬算定を厚くして、報酬に上乗せするべきである。
  4. 地域移行支援支度経費支援事業は、正規の事業として継続するべきである。
  5. 障害者自立支援基盤整備事業は、正規の事業として継続するべきである。
  6. 職場実習、職場見学促進事業は、正規の事業として継続するべきである。
  7. 目標工賃達成助成事業は、障害福祉サービスの報酬に組み入れるべきである。
  8. 事業者コスト対策は、正規の事業として継続するべきである。
  9. グループホーム・ケアホームへの移行促進事業
  10. 福祉・介護人材の処遇改善事業は、障害福祉サービスの報酬に組み入れるべきである。
  11. 社会福祉施設等耐震化等臨時特例交付金は、正規の事業として継続するべきである。

○ 理由

  1. 措置費制度から支援費制度、そして障害者自立支援給付、総合福祉法と、障害者施策がめまぐるしく変化するなか、利用者が安心して利用できる基盤が整うまでの間、従前額保障により、職員の確保が必須である。
  2. 公共交通機関が不十分であったり、支援が必要な利用者が多いなど、通所支援策が不可欠である。
  3. 事務の煩雑化、複雑化のなか、特別対策を超える評価を報酬に組み込むべきである。毎年の制度改変で、事務処理の負担は過大となっている。
  4. 地域移行を進めるために、制度化するべきである。
  5. 現行では基盤整備が不十分であり、制度化が求められる。
  6. 企業の協力を得るためには必要な事業である。
  7. 事務の煩雑化を解消し、かつ目標工賃達成加算を手厚くするため、報酬に組み入れるべきである。
  8. 経済状況の不安定さが続く間、正規の事業とするべきである。
  9. 今後とも借上げによるグループホーム、ケアホームが増加するものと考えられる。
  10. 改善の継続や、現在の職種限定の課題を解消するためにも、報酬に盛り込むべきである。
  11. 施設利用者の生活の安全確保が第一であり、全ての耐震化対象施設の耐震対策が終了するまで継続するべきである。

【齋藤委員】

○ 結論

 特別対策事業は基本的に障害者自立支援法への移行にともなう事業であり、当然に必要な事業であったが、新法制定にあたっては特別対策からの組入れを考えるという視点は必要でない。

【坂本委員】

○ 結論

 例えば施設の改修等の費用を補助する基盤整備事業により就労支援に大きな効果があった。仮に事業が存続するのであればそれはそれでありがたいが、国費等が限られている中で、施策の優先順位付けが必要である。

○ 理由

 特別対策事業を存続させることにより、もっと必要度の高い施策に財源が回らないことは避けるべきである。

【清水委員】

○ 結論

 特別対策事業でよくなったこともたくさんありましたが、臨時とか特別対策とかいうのは、とっても不安を感じます。一人ひとりが価値的存在として堂々と生きていけるよう、後押しする仕組みにしてください。お金の持ってきかたについては、よくわからない所もあります。厚労省の人は持ってきかたの知恵をたくさんお持ちだと思いますので、よろしくお願いします。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 必要な対策である。利用者負担軽減措置、事業者に対する激変緩和措置については、それぞれ新法における応能負担のあり方や、報酬支払い方式の検討の中で、十分な検討がなされる必要がある。また、新法移行のための緊急的な経過措置については、新法施行後数年間は必要となると考える。

○ 理由

 特別対策は、自立支援法の抱える問題点を是正するための対策であり、必要なものである。また、特別対策のそれぞれの内容については、新法における制度設計の中に解消するものと、新法施行後も経過措置として必要なもの に分けて考えるべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 現在実施中の処遇改善事業については、この金額を基本単価として報酬改定すべき。
 また利用者の負担にかかわるものや相談支援に関わるものも必要である。

○ 理由

 処遇改善によってそれなりの報酬になった現状を調査すべきである。これが最低の基本単価と考え、さらにモデルとなる事業展開を設定し地域支援に必要な報酬体系を構築すべきである。
 相談支援が地域支援をすすめてゆくうえでは担うべきことが多いが、地域生活支援事業の枠組みで市町村の財源頼みでは相談事業に対する財源確保のあてが薄いため。

【中西委員】

○ 結論

 報酬単価の中でおこなうべきである。

○ 理由

 臨時特例交付金は役だったが、20%の増額については緩い制度枠のなかでほとんどの事業所が受託可能となった。しかし30%増を望む場合には、煩雑な業務が課されるようになっており、ほとんど一人分の人件費が必要となり、業者への負担が重すぎる。国はサービス支給額を支援法下で減額し過ぎたので、減額した分30%を増額したいという意図はわかるので、余計な業務を増やすような継ぎ足し臨時特例対策ではなく恒久的な制度改革をし、なんの報告書や義務も業務負担も発生させることなく30%の収入増を支 給単価の中でおこなうべきである。

【中原委員】

○ 結論

 一定の評価はするが、本来は期限の定められた特別対策で対応すべきでな いものが含まれている。
 正規の制度に組み入れる必要がある事業の例としては、
○ 通所サービス等利用促進事業 ○ 事務処理安定化支援事業 ○ 障害者自立支援基盤整備事業 ○ 相談支援体制整備特別支援事業 相談支援充実・強化事業 ○ 福祉・介護人材の処遇改善事業 などが考えられる。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 特別対策に頼る、また補助・加算ではなく、事業が円滑に運営できる報酬体系が必要である。
  2. また、相談機能については地域生活支援事業に繰り入れる。
    その他の特別対策事業についても既存の事業に統合する。
  3. 市役所の窓口に手話通訳者の代わりに通信機器を設置する緊急基盤整備事業は現実離れした発想であり、検証が必要である。

○ 理由

  1. 期限付きの特別対策では、将来の経営見通しが立たず、安定した正規職員の雇用すら困難である。
  2. 基本となる事業に、上乗せしていく方法では、自治体や事業所の負担が大きく、実施しにくい。

【東川委員】

○ 結論

 地域移行・地域定着支援事業。

【福井委員】

○ 結論

 特別対策によって、利用者負担軽減策や事業者に対する激変緩和措置などがとられた意義は大きい。しかし、そのことは、それほど自立支援法による影響が大きく深刻なものだったことを裏付けるものといえよう。一割負担の制度は障害者の生活実態からみて、到底馴染まないものだったのである。過渡的な対策なので、新制度に組み入れられるものはないと考える。

○ 理由

 これまでの経過の上に、新法への移行のための支援、特に緊急的な支援にも配慮する必要がある。

【藤岡委員】

○ 結論

 その場凌ぎのカンフル剤。
 表記事業は、障害者自立支援法の事業体系を前提として、同法の体系に移行するための支援であることから、新法制定に当たっては、同事業にこだわることなく、新たな制度を設計すべきである。

○ 理由

 そもそも、法制定後に事業者に対する激変緩和策等がなくとも、運営の安 定化をはかることができる事業体系をとるべきである。
 「重度訪問介護の利用促進市町村支援事業」など、現状の欠陥を埋めよう とした反面教師として参照されるべき程度。

【増田委員】

○ 結論

 平成25年8月に新法が成立するまでは,継続させる.

【三浦委員】

○ 結論

 特別対策事業については、制度改革にあって、利用者の負担軽減策や施設・事業所の経営の安定化や地域のサービス提供基盤の整備の促進等に一定の効果があったものと評価できる。そこで、必要性の高い事業(メニュー)については、制度的に位置付け、継続的に実施される必要がある。

  • 福祉・介護人材の処遇改善事業
  • 移行時運営安定化事業
  • 通所サービス等利用促進事業
  • 障害者自立支援基盤整備事業
  • 事務処理安定化支援事業
  • 地域移行支援支度経費支援事業
  • ケアホームの重度障害者支援体制強化事業
  • 相談支援充実・強化事業
  • 地域における施設の拠点機能に着目した事業者支援事業
  • 事業者コスト対策

○ 理由

 地域生活支援と地域におけるサービス提供基盤の拡充、また、人材確保や施設・事業者の安定的なサービス提供を図るために重要な事項であると思われるため。

【光増委員】

○ 結論

 全国都道府県での予算執行率はかなりばらつきがある。その原因分析を行い、必要に応じてスクラップ&ビルドとなる組み換えを検討すべきである。一方で、利用者負担の軽減措置、事業者に対する激変緩和措置(送迎補助、入院中の報酬支払い、グループホーム等への移行時の各種支援、グループホーム等の防火、消防設備の設置費用の助成等) が必要である。

○ 理由

 評価は誰が行うのか。要求だけではなく、評価を丁寧に行う必要がある。
 新制度施行までのつなぎ対策と、新制度施行後に制度に組み入れる両面の対策が必要。

【森委員】

○ 結論

 評価できない。(現行上では、ないよりはまし)

○ 理由

 本来、新法を設計する時に、このような臨時特例交付金による特別対策事業は実施しなくともいいように正規の制度として措置すべきもの(特に、事業者に対する運営の安定化などを図る措置や、小規模作業所緊急支援事業に対する特別対策などは、正規の制度のなかで措置するべき事業である)と考える。

論点I-2-2) また、特例交付金の延長は必要か?

【荒井委員】

○ 結論

 原則として、報酬改定や安定的な補助制度により、必要な対応ができるようにするべき。
 ただし、新体系への移行が遅れていることから、新体系への移行等のための円滑な実施を図るための基盤整備に必要な臨時的事業などについては、特例交付金を延長して実施する必要がある。
 なお、サービス事業者の経営に必要な報酬を安定的に確保するための事業運営安定化事業などや人材の確保・定着のための福祉・介護人材の処遇改善を図る事業については、恒久的な対策を図る必要がある。

○ 理由

 必要なものは、長期的かつ安定した制度により実施すべきである。

【伊澤委員】

○ 結論

 よほどの変化がない限り、延長、継続は必要だと思う。

○ 理由

 現状ではまだまだ職員の処遇改善がされていない。根本的な解決ができるまでは、やはり必要である。事業の充実のためには設備、備品整備が必要であり、予算がないと拡充できないのでやはり継続は必要である。

【石橋委員】

○ 結論

 上記を踏まえ、新法は、特別対策などを必要としない制度設計をきちんと論じることが重要であり、環境の整備を前提に延長しない。しかし、整備がなされるまでの期間延長は一考すべきと考える。

【氏田委員】

○ 結論

 制度改革後の制度に組み入れられるまでは延長すべきである。

○ 理由

 新しい制度の中に組み入れて、制度設計すべきである。

【大久保委員】

○ 結論

 延長すべきかどうかは、事業ごとの検証をすべきである。例えば、次の事業はしばらく延長する必要があると考える。
 事務処理安定化支援事業、小規模作業所緊急支援事業、小規模作業所移行促進事業、移行定着支援事業のうち小規模作業所部分のみ

【大濱委員】

○ 結論

  • 延長し、箱物への支援は廃止し、人件費等への支援中心にすべき。
    1. 1時間以上かかる遠方の重度障害者に対する介護サービスの提供や相談支援の訪問などには、移動中の交通費と移動時間の人件費を国が10分の10で補助する。
    2. 最重度の利用者に新しい介護者が入る前に、かなりの長期間にわたってダブル介護体制でベテランから新人介護者が介護方法を習う事が必要な場合、その間の新人の人件費も国が10分の10で補助する。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 3年を限度とした交付金は有効とは言えない。継続的に効果を検証しながら、続けられる事業にすべきである。

【近藤委員】

○ 結論

 前項での正規の事業化や報酬への組み込みが早急に行われない場合には、延長が必要である。

○ 理由

 特例交付金によって、めまぐるしい制度改変になんとか対応できている実態がある。

【齋藤委員】

○ 結論

 新法制定にまではまだ時間がかかるので、その間事業移行のためのものは必要でないが激変緩和等のために特例交付金の延長は必要である。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 必要である。

○ 理由

 障害者が必要とする支援は日常的に生じており、経済的理由から、障害者の生命、身体が危険にさらされる事態が生じることや、基本的人権の侵害状態が生じる事態は避けなければならない。

【中西委員】

○ 結論

 当然である。

【中原委員】

○ 結論

 基本的には必要であると考える。

○ 理由

 特別対策終了は平成24 年3 月となっているが、障害者総合福祉法の施行は早くても平成25年8月の予定である。障害者自立支援法の様々な課題が解決しない間の延長は必要である。
 また、特別対策の開始時は障害者自立支援法への円滑な実施を図るために設けられた経緯があるが、さらに障害者総合福祉法への円滑な実施のためにも特別対策の延長は必要となる。しかし、現在の特別対策の事業のなかには制度の不十分な部分を補う目的のものもあることから、これらの事業については新たな制度のなかで対応すべき。

【西滝委員】

○ 結論

 延長ではなく、基本となる事業に統合、報酬体系の改善が必要である。

【東川委員】

○ 結論

 総合福祉法が施行されるまでは必要。

○ 理由

 そもそも、自治体が予算編成をする段階には間に合わない公示であり、大体が2年目以降取り組みになっているが、その周知も成果も見えないような期間で打ち切るのは、自治体にとっても事業所現場にとっても、サービス利用者にとっても勿体ない。ぼいう自治体から特利交付金事業の実施を要望したら、あとからはしごを外されるような事業を実施しなさいとは言えないと言われたことがある。

【福井委員】

○ 結論

 当然のことながら、障害者も毎日懸命に生きているわけなので、法の移行による隙間を作ってはならないと考える。

○ 理由

 自立支援法施行後のさまざまな事例、犠牲をこれ以上拡げてはならないので。

【藤井委員】

○ 結論

 新法の施行まで延長が必要である

○ 理由

 新法の水準を高めるためにも現行の水準を維持すべきだから

【藤岡委員】

○ 結論

 新たな福祉法制定までは延長してもよい。

○ 理由

 事業者の運営を安定させ、障害者支援を低下させないため。

【増田委員】

○ 結論

 平成25年8月に新法ができるまで継続させる.

【三浦委員】

○ 結論

 継続的に必要と思われる特別対策事業(メニュー)が、適切かつ早急に制度化されない場合には、延長が必要である。

○ 理由

 特例交付金によって、既存制度で不十分なサービス等を補い、課題や問題点を緩和している現状があるため。

【光増委員】

○ 結論

 必要である。24年4月以降25年8月までの行程が見えない不安が利用者・家族・事業者・自治体にある。

○ 理由

 24年3月までは、旧体系が移行するが、既に移行している事業所は、特例交付金を見込んで運営している。24年4月から新しい法律が施行されるまでの、つなぎはどうするのかが見えていなく不安を抱えている。現行の特例交付金だけでなく、総合福祉法が施行されるまでのつなぎに何が必要かの論議を経て、検討すべきである。

【森委員】

○ 結論

 特例交付金の延長は必要と考える。

○ 理由

 障害者総合福祉法( 仮称)ができて、特別対策事業をすべて同福祉法の中でクリアーするまでは延長することが必要であると考える。

論点I-2-3) 新体系への移行の期間(2012年3月)をどう考えるか?

【伊澤委員】

○ 結論

 「障がい者総合福祉法」(仮称)という新たな枠組み(事業構成等)ができるのであれば、自立支援法の事業への移行は必要ないと思う。

○ 理由

 不全感も含め、信用のおけない障害者自立支援法の事業へ移行することへの妙を感じる。そして、そこを経由してさらに王道の「障がい者総合福祉法」(仮称)の事業に移行するのは、現場も利用者も職員も混乱、そして手続きも煩雑になる。2012 年3 月以降も存続できる小規模作業所等があっても、つまり障がい者総合福祉法を待つ事業所があって良いと思う。

【石橋委員】

○ 結論

 移行期間は、2012年3月までを原則とする。

【氏田委員】

○ 結論

 基本的に二つの制度が併存している期間が長いのは良くないと思う。事業移行が出来るように新体系の内容検討も含めて制度整備を急ぐべきである。

○ 理由

 新しい総合福祉法が制定される段階で、旧法、自立支援法が入り乱れていると前提措置を作るなど、再び混乱が生じるのではないか? 新しい法制度においては、同じスタートラインに立つことが望ましいと考える。

【大久保委員】

○ 結論

 移行の期間を議論する理由は、事業所の事務的問題や収入の問題以外に見当たらず、特段の理由はないと考える。新体系は、旧体系に比べ利用者の様々なニーズに応えようとするものであり、特に、旧法入所施設の昼夜分離を確実に進めるうえでも、旧体系施設は必ず期限(2012年3月)までに新体系に移行すべきと考える。

○ 理由

 本論点を示す意図が理解できない。もし、旧体系施設から総合福祉法(仮称)の体系への直接移行を視野に入れたものであるなら、ますます無理があると考える。
 つまり、経過措置の延長は現行法の改正である。現在、総合福祉法の制定と施行時期は見込みであり、それをもって現行法の改正はあり得ないと考える。仮に、その意図で現行法を改正するのであれば、総合福祉法の制定時に可能と考えるが、2012 年の通常国会と予定されており、その時期に経過措置の延長は現実的ではないと考える。また、経過措置の延長は、半数以上の事業者が移行しているなか、事業所間に不公平が生じることになる。そもそも、総合福祉法においても経過措置を設けることが想定され、その間、「現行の旧法」、「現行の自立支援法」、「総合福祉法」の3法の体系が乱立するような状態は、もはや制度とはいえないと考える

【大濱委員】

○ 結論

  • 2012年3月までに新体系に移行すべき。

【小澤委員】

○ 結論

 政府が「障害者自立支援法」の廃止を明言しているのに、廃止予定の法制度の体系に移行する期限の遵守の強調は、理論的にまともな議論とは思わない。「障害者自立支援法」の廃止を政府が明言した以上、2012年3月の期限は、撤回するしかない。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 新法が施行されるまで経過措置を延長すべきである。

○ 理由

 精神保健福祉法に規定された精神障害者社会復帰施設は、2006(平成18)年の障害者自立支援法の施行により、同法に規定される障害者福祉サービス体系へ、5 年の経過措置を経て移行することとなっている。経過措置が過ぎた段階で、これらの精神障害者社会復帰施設をどう取り扱うのか。
障害者総合福祉法(仮称)の中で、どう位置づけられるのか、が明確にならない現段階では、障害者総合福祉法が施行されるまでの間は、経過措置期間を延長して対応するのが、現実的で混乱を招くことが少ないと考える。

【近藤委員】

○ 結論

 実態を踏まえた慎重な検討が必要である。

○ 理由

 現在、移行先の事業を限定(無認可作業所から就労継続A型へ)する都道 府県がある。
 そうした事業所の意向や実態を無視したことは是正するべきである。また、移行できない理由について早急に精査し、移行を可能とする制度とすることが不可欠である。
 例えば、24年4月からは、就労継続支援事業+施設入所支援による障害者支援施設が認められておらず、施設入所支援を受けるには、生活介護を利用することが求められている(障害程度区分が3、4以下の場合は、経過措置者としての利用)。
 職住分離の原則のもと、地域生活移行への努力は当然であるが、地域での基盤整備が整うまでの間、就労継続支援事業+ 施設入所支援を認めることが必要である。
 「働きたい」思いをもつ就労継続支援の利用者の方々が、3000円の工賃支給さえ規定されない生活介護の利用を余儀なくされることをよしとせず、移行を躊躇する入所授産施設は多い。

【齋藤委員】

○ 結論

 新法の制定がその翌年には予定されており、そこでは現在の事業体系の抜本的な見直しがされることとなる故、あえてその1 年前にまでに移行を終了させる期間設定はおかしい。新法実施まで移行は猶予する必要がある。

【末光委員】

○ 結論

 2012年3月を移行の期限とする必要はない。

○ 理由

 障害者自立支援法そのものの見直しが前提となっている中で、この障害者自立支援法での新体系への移行の期限を設定する必要はない。

【田中( 正) 委員】

○ 結論

 全ての事業所に対して2012 年3 月に新体系へ移行する段取りを踏むようにすべき。2014年8月以降に設定される新たな法への段取りについては、その時点から移行に対する新たな経過措置を新たな期間設定も含め検討すべき。

○ 理由

 支援費から自立支援法への移行に際しての経過措置は、居宅支援費を活用した仕組み(グループホーム、デイサービス、ホームヘルプ等)には用意されず、措置(施設訓練等支援費)の仕組み(法内の入所施設と通所施設)にしか用意されていない。そのため2012年3月の区切りを見過ごすと、措置の仕組みだけが意味もなく温存されかねない。これでは個別給付が始まらず、今後めざすべき地域支援の充実にブレーキとなる懸念がある。

【中西委員】

○ 結論

 改善できるものは早急に改善すべきである。すでに部会などで緊急要望があがっているので、それにそって早急に改革改善を進めるべきである。

【中原委員】

○ 結論

 2012年3月までの新体系への移行については法律上定められているが、翌年の2013 年からは障害者総合福祉法による新たなサービス体系となれば、さらに新たな体系へ移行しなければならず利用者、事業者、地方自治体など福祉現場の負担も大きい。総合福祉部会としての結論を早急に出すべきと考える。
 また、新体系移行への課題も多く移行できない事業所があることも事実であることから、国としてもきめ細やかな支援をお願いしたい。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 長妻厚生労働大臣はすでに「期限までに移行は進める」と明言し、都道府県や市町村に対して移行を円滑に進めるよう通知を出している実態がある。すでに移行している事業所があるなかで、移行期間を変更することは混乱を招く。
     一旦、事業移行を完了・足並みを揃え、報酬やサ-ビス体験等の抜本的な見直し(総合福祉法の制定)を進めるべきである。
  2. 全国的に見て、まだ多くの事業所が移行に踏み切れない状況をどう見るか。国として検証をする必要がある。

【福井委員】

○ 結論

 深刻な実態からいえば、「一日も早く! 」ということだが、提起されている日程からいえばやむを得ないので、推進会議も総合福祉部会も全力をあげていくべきだと考えている。
 しかし、新体系の移行までの間は、すでに提案している緊急要望にしたがって、予算措置をはかっていくべきである。

○ 理由

 前段で述べたように、この間も障害者とその家族の暮らしがあることを、片時も忘れてはならない!

【藤岡委員】

○ 結論

 現行法を前提とした新体系への移行期間にこだわる必要は無い。

○ 理由

 新たな福祉法制を確立しようとしているから。

【増田委員】

○ 結論

 現在旧体系事業で行っている事業所の移行については移行を行わない通知を出すべきである.その後新法の内容と施行状況を鑑みて新法に基づく移行について検討する.

○ 理由

 廃止が決定している法律に基づく事業移行を進めることは,財政的にも損失が大きいと考える.また, 各事業所の事業移行に伴う負担を考えると,新法ができて事業体系が明確になるまで移行は中止するべきである.

【三浦委員】

○ 結論

 次なる新体系である、総合福祉法にもとづくサービスを円滑に開始する観点で見ると、期間の設定はやむをえない。
 移行が困難である施設・事業所については、その理由を精査し、移行を可能とするような施策、支援を積極的に行うとともに、制度がつながるような仕組みは検討されるべきである。

○ 理由

 既に新体系に移行している施設・事業所が半数を超える現状があり、また、移行を準備・検討している施設・事業所も多いので。
 たび重なる短期間での制度改編に事業所は疲弊しているが、方向性としては、新体系から総合福祉法体系へ進む前提で新法議論がなされている現状により、一定のスタートラインも必要ではないかと考える。

【光増委員】

○ 結論

 移行ができない事業者の実態を分析し、2 5 年8 月までの対策を考えるべきだ

○ 理由

 10割保障があるから皆新体系に移行できるとは限らない。

【森委員】

○ 結論

 障害者総合福祉法(仮称)では、現行障害者自立支援法のサービス体系を廃止・修正するなど、全く違う体系に作り直すかによって対応が違う。従って、新体系への移行問題は、至急、検討すべき課題である。

○ 理由

 国が新体系移行の促進を図っていくことを明言しているが、関係者の意見も含め、慎重に対処策を検討・設計していかないと、障害者総合福祉法(仮称)施行時に、大混乱が生じるのでないか危惧される。

【山本委員】

○ 結論

 法が廃止されるのである以上移行を強制することは無意味であり、今ある事業を保障できる体制が必要

○ 理由

 各地の精神障害者関係の事業所が移行できずこのままでは解散しかないところに追い込まれているから

<項目I-3 現行の特別対策等>

論点I-3-1) この法による支援のための所要額について後年度負担も含め、推計する必要があるのではないか?

【荒井委員】

○ 結論

 今後増大する障害福祉サービスの所要額について、後年度負担も含め、客観的な根拠に基づく試算値を公表すべきである。
 安定的な法制度とするため、実施に係る所要額を法施行後の見込みも含め、推計することは不可欠である。地方財政においても、長期的な見通しを持つ事が必要であり、国において確実な財源を確保する必要がある。

○ 理由

 障害者福祉制度の今後の所要額について明らかにし、広く国民の議論を経たうえで、新たな制度を検討していく必要がある。
 安定的な制度とするため、後年度推計を行い、財政負担の裏づけをする必要がある。

【伊澤委員】

○ 結論

 利用者負担が発生しないように、所要額の推計と予算確保は必要である。配偶者のいる利用者も、自分の所得のみを負担の根拠とすべき。

○ 理由

 配偶者に気を使って利用の制限をする人もいるから。

【石橋委員】

○ 結論

 国の後年度負担と考える。
 障害が固定し難いことから推計は難しいが、議論(財源)をするために必要と考える。

【氏田委員】

○ 結論

 必要があると思う。

【大久保委員】

○ 結論

 当然、推計すべきである。新たな制度を構築する上で、推計された所要額に基づかない議論はあり得ないと考える。

○ 理由

 本部会は、今後の障害福祉制度の理念的方向性のみを議論するのではなく、どのようにすれば実現可能性のある新たな制度を構築できるかを議論する場であると考える。

【大濱委員】

○ 結論

  • 総合福祉部会で推計し、推進会議でも議論した上で、「①すぐに行うべきもの」と、「②財源を確保した上でできるだけ早急に行うべきもの」に整理し、推進本部・閣議に報告し、将来、消費税などの税率の議論が行われる際には、障害施策に回すべき経費として議論される環境を作るべき。

○ 理由

  • 自公政権時代に官邸の下に設けられた検討会「社会保障国民会議」で、「高齢者施策・年金・医療の合計でいくらかかるか、消費税何パーセントに相当するか」が検討され、報告書が作成されているが、障害者施策については検討されていないため、政府に公式な資料がない。早急に作っておかないと、増税時に財源確保できない。

【柏女委員】

○ 結論

 障害児支援に要する所要額について後年度負担も含めて推計し、子ども・子育て新システム基本制度案要綱に基づいて創設される「子ども・子育て勘定」(仮称)に、それを組み入れることを検討すべきである。

○ 理由

 障害児の地域生活支援を進めるため、子ども・子育て新システムに障害児支援を組み込んでいく必要がある。

【河﨑(建)委員】

○ 結論

 必要である。

【近藤委員】

○ 結論

 推計と確保策を講ずべき。

○ 理由

 推計にあたっては、現行を前提とせず、真に必要な所要額を推計し、その確保策を講じなければ「絵に描いた餅」になるおそれがある。

【齋藤委員】

○ 結論

 しっかりとした推計を行なわなければならない。部会としての提言作成にあたっても、その過程においてどれほどの所要額を要するのかを見極めをしつつ検討を進めなければならない。

【坂本委員】

○ 結論

 所要額について推計するのは当然であり、重要な論点である。「その他」扱いにするような論点ではない。  所要額の推計だけでは不十分であり、各支援策ごとの所要額の推計や各支援策の優先順位付け、具体的な財源確保のための方策の検討が必要である。

○ 理由

 具体的な財源確保の検討もなく議論するのは、無責任で非効率ではないか。

 国費等が限られているので、必要性のより高い施策にきちんと財源が充てられることが重要である。責任感のある議論を行うためにも、各施策ごとに所要額を推計し、その優先順位付けが必要である。

【清水委員】

○ 結論

 あると思います。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 必要がある。

○ 理由

 新法の確実な実効性を確保する上でも、所要額の推計は必要である。そして、この所要額の推計は、新法の守備範囲を定めるための考慮要素となる。

【中西委員】

○ 結論

 推計は早急に行うべきである。その推計に基づいて来年度予算を作成すべきである。

【中原委員】

○ 結論

 必要があると考える。

○ 理由

 現状では地域の障害福祉サービスの基盤整備が脆弱である。実態調査等を行い障害者本人のニーズを十分に把握した上で、必要なサービスの種類・量を推計し、早急に地域の基盤整備を進める必要がある。

【西滝委員】

○ 結論

  1. ある。

【東川委員】

○ 結論

 そのとおり。

【福井委員】

○ 結論

 当然、必要である。

○ 理由

 新制度を実質的にスタートさせるために、財政的措置は欠かせないから。

【藤岡委員】

○ 結論

 推計の必要はあるが、方法が問題である。障害者の必要性を基準とすべきである。

○ 理由

 現時点の利用量を前提とすると、自立支援法下で抑制された所要額が算出される恐れがある。

【増田委員】

○ 結論

 決まったパイの配分という考え方は改め,障害のある人が他の者との平等を担保するために必要な支援や環境整備をするために必要な所要額を推計する.

【三浦委員】

○ 結論

 当然に必要である。中長期的な視点にたち、所要額を推計すべきである。

○ 理由

 継続的かつ安定的な所要額の確保が重要であるとともに、既存の枠組みを前提とせず、所要額を示すべきであると考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 必要である。

○ 理由

 財源対策をはっきりとするべきであるため。

【森委員】

○ 結論

 後年度負担も含め、推計する必要がある。

○ 理由

 障害者総合福祉法(仮称)で、現行の特別対策などをどのようにカバーできるのかが問題であり、同福祉法への円滑な移行に対処するためには、その財源を確保しておくことが必要であると考える。

論点I-3-2) この財源を安定的に確保するための方策と目途をどのようにたてていくべきか?

【荒井委員】

○ 結論

 今後増大する社会保障全体の所要額について、後年度負担も含め、客観的な根拠に基づく試算値を公表すべきである。

○ 理由

 社会保障全体の今後の所要額について明らかにし、広く国民の議論を経たうえで、新たな制度を検討していく必要がある。

【伊澤委員】

○ 結論

 実際どれほどの財政規模が必要かの把握を強め、それをベースに高額所得者からの税収を増すよう、累進課税制度も見直す。あるいは手段としての消費税率アップも視野に入れる。

○ 理由

 新しい財源がなければどうにもならないが、その前に整理すべき問題(精神保健医療福祉の財政配分(医療対福祉=97:3)等)をクリアしたり、必要財政枠の指し示しが必要。それがないと国民的コンセンサスの形成は難しいのではないか。

【石橋委員】

○ 結論

 普通に暮らしていくことを「権利」ではなく、「当たり前」という状況を創り出し、消費税全体もしくは、消費税のアップ分を障害福祉に特化する。
 しかし、この会議でこの論議は必要なのか。消費税アップ等に関連することであり、国民全体の総意が必要な事項と考える。

【氏田委員】

○ 結論

 消費税を福祉目的税として増額する必要がある。

【大久保委員】

○ 結論

 国民の過半数に理解してもらえるような実現可能性が高い制度を政府に提案し、立法化を目指す一方、必要となるその財源の確保は、政府、厚生労働省、各政党と協働して取り組むことになると考える。

○ 理由

 財源は税金であり、最終的に制度を決めるのは国会である。また、実際に予算獲得の矢面に立つのは厚生労働省である。これらとの関係性を抜きに制度改革はあり得ないと考える。

【大濱委員】

○ 結論

  • 将来の消費税の議論に於いて必要な額、消費税率の1~2%程度を障害福祉サービスの財源として確保。場合によっては、特別会計として確保すること。

○ 理由

  • 財務省と厚労省障害保健福祉部の予算折衝や、シーリング、政権交代などによって、福祉予算が毎年変動するのが現状である。しかし、この福祉予算の中でも、最も重要な( 場合によっては生命に関わる)障害者介護の予算は安定的に確保する必要がある。

【柏女委員】

○ 結論

 子ども・子育て新システムにおける財源の一元化検討に合わせて検討を図る必要がある。

○ 理由

 障害児支援サービスをできる限り児童一般施策に組み込んでいくことが、ノーマライゼーションの実現につながる

【河﨑(建)委員】

○ 結論

 消費税充当。西欧先進国並みの医療、保健、福祉予算を目処。

○ 理由

 民主党の政策だから。また今後の国益に一致するから。

【近藤委員】

○ 結論

 前年度対比で考えるのではなく、OECDデータに示された欧米諸国並みの対国民総所得比に引き上げるべきである。(日本1.21%、アメリカ1.82%、フランス2.74%、イギリス3.09%、ドイツ3.97%、スウェーデン8.45%)
 さらに、国民的なコンセンサスを得るための、何らかの努力が必要。

○ 理由

 現行障害施策の予算が低すぎるため。国民的なコンセンサスがなければ大幅な改善は難しい。

【齋藤委員】

○ 結論

 この部会のみで判断できるような課題ではなく、まず政府の基本的な方針をふまえつつ、どのような方策が可能になり、どのような目途が立てられるのかの学習を行なわなければならない。

【坂本委員】

○ 結論

 これまでの議論を踏まえるとかなりの財源が必要と見込まれることから、介護保険のように公的部門だけではなく民間部門も含め幅広く財政支援を求めることも想定せざるを得ないのではないか。そのためには、財政支出を行う地方自治体は勿論、経済団体や国民等に十分説明する必要がある。

○ 理由

 支援策を実現するためには財源確保が重要であり、国民全体の理解が必要である。公的部門だけではなく民間部門も含め幅広く財政支援を求めうることも想定し、部会での議論が国民的議論になるよう、もっと国民に説明、アピールしていく必要がある。

【清水委員】

○ 結論

 一人ひとりの存在の価値に基づく貫かれた理念と、一人ひとりの主体が共に立ち上がっていく、わかりやすい仕組みのもとで、本人がみんなの気持ちをかえていき、本人がみんなのために財源を確保していく方向で進めていければと思います。いずれにしてもみんなの理解が必要です。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 財源の確保は、新法だけの問題にとどまらない。根本的には、少子高齢化の中で、将来どのような国家としていくのか、という国民的議論を行う必要がある。その議論に合わせて、税制( 直間比率のあり方、消費税率のあり方、福祉目的税の導入など) の改正や、国と地方との役割分担のあり方なども議論し、障害者の人権保障に必要な額を確保していく必要がある。

○ 理由

 国民の基本的人権の保障は国家の責務である。従って、これに必要な財源は義務的経費として確保されなければならない。しかし、そのためには国民の理解も必要であり、そのためには、税制改正や地方分権のあり方などを含めた国づくりを考慮する必要がある。

【中西委員】

○ 結論

 財源を安定的に確保するためには財務省との特別な話し合いが必要であり、政治の側からも重点項目として総合福祉法の緊急費用については要望していくべきである。

【中原委員】

○ 結論

 社会保障全体のなかで議論する必要がある。議論にあたっては、障害者が人として生きるために必要な支援に係る財源は確保するという視点が必要。

【西滝委員】

○ 結論

  • 国が責任を持って考えるべきである。

【野原委員】

○ 結論

 障害者施策にどの程度の力点を置くか… 偏に政治的な判断にかかわる問題である。

○ 理由

 OECDなみの予算(GDP費)をこの分野に当てれば、多くの要望は解決する筈です。

【福井委員】

○ 結論

 先ず、法の理念の確立についての一致をはかること、つまり今後の障害者施策は憲法に則った権利として、公的に保障されるべきである。その観点に立てば、財源は国の責任において安定的に確保すべきである。

○ 理由

 自立支援法の制定は、障害者の自己責任と受益者負担、市場の規制緩和、 福祉の介護保険化などを強行に押しつけてきた過程である。今や、私たちは この観点からの脱却をはからなければならないのである。

【藤岡委員】

○ 結論

 障害福祉予算の増額が必要。国庫負担基準を廃止すべきである。

○ 理由

 財源の安定的確保は重要である。財源確保に当たっては、新たな福祉法制において、「障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。」と基本合意文書に謳ったことを想起し、障害者の支援の必要性を第一義に考えるべきである。財源確保を理由に障害当事者への負担が求められてはならない。
 日本の障害福祉予算はO E C D 諸国の中で低水準にとどまっており、予算の増額が必要である。

【増田委員】

○ 結論

 この国の社会保障のあり方を見直す中で,障害のある人の支援のあり方も考えていく.

【三浦委員】

○ 結論

 税制全体の見直しと、社会保障全体の見直しを踏まえた上で整理すべき。

○ 理由

 障害者施策予算について諸外国並みの水準(OECD平均以上)を目指し確保しなければ、障害者制度改革推進ならびに新法に検討されている支援の実現性は低く、現行の障害施策関連の予算を大幅に増額する必要があると思われるため。

【光増委員】

○ 結論

 障害福祉の領域だけでなく、社会保障全体をどうするかの国民論議が必要。そのための税の負担のあり方も論議すべきである。税収を求める場合には、目的税として他の所に使用されないような仕組みが必要である。

○ 理由

 財源が確保できない中での論議には限界がある。

【森委員】

○ 結論

 障害者総合福祉法( 仮称)の現行の特別対策などとの調整を図ったうえで、その道のプロの力を借りながら検討する必要があると考える。

○ 理由

 障害者総合福祉法( 仮称) で、現行の特別対策などをどのようにカバーできるのかが問題であり、同福祉法への円滑な移行に対処するためには、その財源を確保しておくことが必要であると考える。

【山本委員】

○ 結論

 支出については、治安に向けられた予算、たとえば精神科救急や心神喪失者等医療観察法の予算を削るべき。また戦後一貫して犯罪が減っているにもかかわらず行われている警察官増員を元の水準に戻すべき
 軍事費についても見直されるべき米軍への思いやり予算も含め
 財源としては所得税の累進性を元に戻す、相続税減免も元に戻すという方策が必要

○ 理由

 ニュージーランド前政権が、アメリカと新兵器購入の契約も破棄し専守防衛に徹し、福祉を充実させた前例がある。軍隊のないコスタリカも障害者福祉が充実している警官増員の重圧が自治体にとっては負担となり、医療福祉へのしわ寄せを生んでいる

論点I-3-3) この法の実施に関するモニタリング機関の必要性をどう見るか?

【荒井委員】

○ 結論

 モニタリング機関の機能を明確にするとともに、実効性の上がる機関となるための検討が必要である。

【伊澤委員】

○ 結論

 必要と思う

○ 理由

 施行に際しての「法見直し条項」とともに、法の実施に伴う進行管理や状況把握を小刻みに行うべきである。それを実施する機関を、既存か新設かはともかく必要と感じる。

【石橋委員】

○ 結論

 モニタリング機関は、必要であるがその内容と新設については、時間をかけて議論する必要がある。

○ 理由

 上限管理となるようなモニタリングは不要であり、権利保障となるべきモニタリングは必要と考える。

【氏田委員】

○ 結論

 障害者権利条約と国内法の整合性はもちろんのこと、国内法が整備されてもその進捗状況を把握し、改善に向けて提言、解決していく機関は必要である。

【大久保委員】

○ 結論

 論点の意味が不明である。それぞれの法律ごとにモニタリング機関を置くというのであれば、不要と考える。一方で、障害者基本法の改正に併せて、障害者権利条約に基づくモニタリング機関の設置を議論することになっており、そのモニタリングの事項に障害福祉施策が入ることは当然であるからである。

【小澤委員】

○ 結論

 総合福祉法の計画の進捗状況の点検と評価には、きちんと評価できる行政 とは独立したモニタリング機関が必要である。

○ 理由

 これまで、障害者基本計画、障害福祉計画を策定しても、自治体の施策推進協議会には、行政に対して計画の実行できなかったことへの強制的な改善勧告などの措置がなかったことに課題がある。

【河﨑(建)委員】

○ 結論

 国や地方自治体の進度管理のためのモニタリングは必要。

○ 理由

 実現可能性が低いから。

【川﨑(洋)委員】

○ 結論

 必要である。当事者、家族など利用者参加の仕組みが必要。

【近藤委員】

○ 結論

 必要である。

○ 理由

 第3者によるモニタリングが必要である。

【坂本委員】

○ 結論

 モニタリング機関の機能をどのようなものとするかにもよるが、人口1万人足らずの町で、障がい者関連制度に明るく、かつ、利用者個人や地域の事業者と何の関係もない中立的な人材を確保することは現実には困難であることを理解していただきたい。

【清水委員】

○ 結論

 当事者を中心とした今の推進会議をバージョンアップしたような機関が常にモニタリングしていく必要があると思います。それはぜったい必要だと思います。

○ 理由

 この法は本人がつくり本人が動かしていくものだと思うので。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 必要である。

○ 理由

 障害者が必要とする支援に対して、適切な支援が実施されることが障害者の基本的人権の保障に不可欠なものであることからすれば、適切な支援が行われているかについての監視機関を設置する必要性は高い。

【田中(正)委員】

○ 結論

 個別給付としてのサービス利用計画作成費を用意し、相談事業に個別支援計画の進行管理の役を担わせる。勘案事項に基づく個別給付の決定の際もモニタリングを踏まえた対応を盛り込む。

○ 理由

 サービスの利用意向の聴取がされていないのは、モニタリングの仕組みが弱いからである。

【中西委員】

○ 結論

 総合福祉部会、制度改革推進会議を改組して、総合福祉法のモニタリング機関を創設して今後の福祉サービスの動向を調査し、市町村に対する助言、調停、斡旋を行うべきである。

【中原委員】

○ 結論

 国の施策に対し、改善が必要と判断すれば勧告するなど、障害者の視点で行政を監視する機関の設置は必要であると考える。

○ 理由

 モニタリング機関の設置は権利条約批准の要件となっている。

【奈良崎委員】

○ 結論

 ぜひ、モニタリング機関をつくってほしいです。

○ 理由

 本人一人ひとりに話を聞くことは大切です。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 必要である。

○ 理由

  1. 小手先の検証や見直しではなく、この間の調査や要望、特に報酬等明らかになった課題については、大胆に見直し・改善をすべきであり、それらを進める上で改善の効果や進捗状況等を把握・検証、さらなる改善をすすめる機関として必要である。

【野原委員】

○ 結論

 必要です。

○ 理由

 地域格差や人権問題が多くありながら顕在化しないのは、独立したモニタリング機関がないことと無関係ではない。

【東川委員】

○ 結論

 かなりの財源を充てているのだから、モニタリングは行うべき。機関の必要性については、しっかりとモニタリングを行え、その結果を公表できればよい。
 障害者権利条約33 条に位置付けられ、今後設置が予定されているモニタリング機関が新法の実施についてのモニタリングも行うべきと考える。

○ 理由

 当事者主体が貫かれることが重要で、独自の機関を設置する必要性はない。

【福井委員】

○ 結論

 特に必要はない、と考える。

○ 理由

 実態から見て、この法の実施は緊急を要することであり、新制度は何よりも障害当事者の要求を基本に作られるものであるから。

【藤井委員】

○ 結論

 新法の実施に関するモニタリング( 監視) は、これから障害者基本法の抜本改正等の議論の中で本格的に検討される障害者施策全般を監視するシステムの中で行うべきである。

○ 理由

 新法の実施状況も、障害者権利条約の規定等に沿って障害者施策が行われているかどうかという視点からモニターされるべきであるから。新たにモニタリング機関をとなると、屋上屋を重ねることになりかねない。

【藤岡委員】

○ 結論

 必要である。

○ 理由

 権利条約3 3 条2 項、3 項は条約実施の監視機関の設置を定める。
 個別救済だけでなく、施策実施に関する全般的な監視機関が必要。
 改正障害者基本法に基づき障害者施策全般に関して「障害者施策監視委員会」を設置し、総合福祉法に基づき同法の施策が実施されているかを実効的に検証する監視機関として、市町村に監視機関を義務的に設置するべきである。その際、市民、障害者の参加が保障されなければならない。

【増田委員】

○ 結論

 必要である.現在の障がい者制度改革推進会議を法定化し,モニタリング機関とし,各県ごと,各市町村ごとに設けていく必要がある.達成期限と達成目標を数値化していく.
 障害者支援の質が担保されるための評価の指標も検討される必要がある.

【三浦委員】

○ 結論

 必要である。
 モニタンリング機関については、第三者性を確保できるような既存の仕組みの活用を含め設置について検討するべきである。

○ 理由

 第三者によるモニタリングは必要であり、そのモニタリングの結果を適切に改善・是正に反映できる仕組みも必要であると思われるため。

【光増委員】

○ 結論

 必要である。

○ 理由

 第三者機関と第三者機関に障害当事者も参画する必要がある。

【宮田委員】

○ 結論

 必要である。地域によっては、地域自立支援協議会がモニタリングとケアマネジメントの役割を担ってきている。地域自立支援協議会は障害者自立支援法により設置された仕組みではあるが、「良いものは良い」として法定化して発展させ、地域の自治型モニタリング機関として確立させて行くべきである。

○ 理由

 法の実施・展開については、これまでも地域格差が大きな問題であった。生まれ育つ地域によって支援に差ができる状況は、障害者権利条約の時代においては「障害者差別」として厳しく糺されなくてはならない。

【森委員】

○ 結論

 モニタリング機関は必要と考えるが、既に、推進会議での障害者基本法改正の論点にも出され、またこれからの検討において、障害者施策全般の実施状況を監視するシステムのなかで行うべきではないだろうか。

【山本委員】

○ 結論

 必要
 支給決定情況、利用実績状況、不服申し立ての情況、などの調査公開が必 要

○ 理由

 実態把握なしにはよりよい支援の充実につながらないから

論点I-3-4) 相談、「選択と決定」( 支給決定)、支援の利用、利用者負担等、この法に関わる全般的な不服審査・苦情解決・権利擁護機関の必要性をどう見るか?

【伊澤委員】

○ 結論

 必要である。ひとりひとりにケアマネジャーがつかない、今のやりかたであると権利擁護がちゃんとできない。

○ 理由

 第三者の目がないと真に権利は守られない。例示として、ヘルパーが入っているにもかかわらず、ゴミやしきになっている状態が維持されている等、権利侵害が発生している。そのことに気づいていない利用者がいるという現状もある。

【石橋委員】

○ 結論

  1. 利用者(当事者)に親を加えて直接会話ができるようにした不服審査・苦情解決機関が必要と考える。行政窓口ではなく、第三者機関で審査できる体制が好ましい。
  2. 権利擁護については、機関( 担う人を含む)、制度の見直しが必要。
    認知症を前提とした権利擁護制度は、障害者には不向きで、権利擁護ではなく権利を剥奪されている。

○ 理由

 施設に設置されている苦情機関では、十分に苦情が受け止められていない。
 不服審査を担う市町村の「自立支援協議会」の設置は、努力規定であり、 当事者の参加も少なく利用者の信頼が得られていない。

【氏田委員】

○ 結論

 障がいのある人の権利を擁護し、保障するための重層的な機関が必要である( 1 ヶ所で解決できるものではないと考える)。また権限を持った代弁を行 う第三者機関 (障がい者オンブズマン等)の創設が必要である。

○ 理由

 権利条約でも保護の対象から権利の主体へと基本的な考え方が変化する中、本人の「意思決定を支援する」ことに立脚した相談支援機関がないと権利が保障されない。知的や発達障害の権利擁護はまだまだ不十分な状態である。苦情や不服申し立て、権利擁護は、まさに子どもの権利条約と障がい者権利条約に規定されている諸権利であり、権利行使を監視、代弁、擁護していく、子どもオンブズマン、障がい者オンブズマンが不可欠となると考える。

【大久保委員】

○ 結論

 本論点の事項はそれぞれ大切であると考えるが、もう少し整理する必要があると考える。
 不服申し立ては、支給決定プロセスと深く関係するものと思われる。苦情解決や第三者評価は、権利擁護と関連するもののサービスの質の確保が中心と考えられる。一方、権利擁護機関は、成年後見や虐待、差別などかなり広い対象となることが考えられる。
 これらを整理し、総合福祉法にどのように盛り込むかは、さらに検討を要するものと考える。

【大濱委員】

○ 結論

  • 不服審査は、国や都道府県につくる第三者による監視機関に大幅な権限を与え、市町村の支給決定を取り消す権限や、場合によっては本人に必要な支給量を決定できる制度とし、大幅に権限を拡大するべき。現状では、不服審査会が審理を行い市町村の支給決定を取り消すことはできても、それ以上の口出しができないので、取り消された市がほんのわずかだけ支給量を増やして終わりにするケースが多い。県が支給決定の内容にまで口出しできる制度にするべき。また、県の不服審査に納得がいかない場合は、国で不服審査請求ができる上告制度を作るべき。

○ 理由

  • 24時間介護の必要な1人暮らしの人工呼吸器利用者に、24時間の半分以下の時間しか支給していなかった市で、県が不服審査請求を受けて支給決定を取り消したが、市は一日に30分だけ増やした決定を行った例がある。同様の例は他の市町村でも起きている。逆に、県の審査委員が「24時間介護が必要なら( 本人が望んでいない)デイサービス利用も検討しろ」と、法を逸脱した指摘を行ってしまう例もあり、県の審査システムは完璧ではない。上告の仕組みが必要。

【小澤委員】

○ 結論 総合福祉法に関わる不服審査、苦情解決、権利擁護機関は、行政や事業者 から独立した機関が必要である。

【柏女委員】

○ 結論

 障害児における家庭裁判所の承認による施設入所の場合、面会通信の制限や付きまといの禁止措置などが取れるが、施設を解除され、成人の福祉サービスを利用する場合の親からの虐待防止策について検討する必要がある。

○ 理由

 とくに性的虐待の場合など、児童と同等の保護策がとれるようにしておく必要がある。

【河﨑( 建) 委員】

○ 結論

 あってよい。

○ 理由

 国の施策については監視する必要あり。

【川﨑(洋)委員】

○ 結論

 必要であるが、権利擁護機関や不服審査は、国および都道府県単位での設置とし、苦情に関しては身近なところ( 市町村等の自治体)での設置が望ましい。

○ 理由

 福祉サービスに関するトラブル、権利侵害事例は現場で多く報告されている。利用者本人が理解し納得できる解決が必要。

【近藤委員】

○ 結論

 必要である。

○ 理由

 現行でも仕組みはあるが十分機能していない。わかりやすい、手続きが複雑でない、第3者機関による仕組みが求められる。

【末光委員】

○ 結論

 必要である。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 必要である。

○ 理由

 新法独自のものとするか、あるいは差別禁止法における機関と統合したものとするかについては、十分に検討する必要があるが、不服申し立て、苦情処理、権利擁護機関の設置は、障害者の基本的人権保障を実質化するための支援を定める新法においては不可欠である。その員数構成についても、要検討事項である。

【田中(正)委員】

○ 結論

 先ずは相談事業を充実させる。併せて権利擁護機関を位置づけて、個別給付に基づく地域の基盤整備が年次的に進むように法整備に向けての検討をするべき。

○ 理由

 地域支援の基盤整備を進める上で核となる個別給付が未だ定着しておらず、行政の事務処理の窓口と相談の窓口の線引きされた役割分担が十分に行われていない。その際の権利擁護の視点で機能する仕組みも不十分なため。

【中西委員】

○ 結論

 都道府県にある不服審査会を強化し、障害者のニーズに応じたサービス提供されていない市町村については都道府県の審査会で調停、斡旋をすべきであり、そこでも解決しない場合、上級審としての権利擁護機関を制度改革推進会議の延長になるモニタリング機関で行うべきである。

【中原委員】

○ 結論

 必要である。
 障害者本人の意思決定や障害福祉サービスの質の担保、権利擁護の視点から重要となるが、障害者総合福祉法にどのように規定していくのか検討を行う必要がある。

【奈良崎委員】

○ 結論

 ぜひ、本人たちの権利擁護を大切にしてほしいです。

○ 理由

 本人が自分で選択して、決定すること、それについて考えることは大切です。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 当然必要なことと考えるが、聴覚障害者の場合、手話で不服や苦情の申し立てができる機関が極めて少ない。そのため、「制度利用アクセス権」を制度設計に明記し、聴覚障害者情報提供施設における相談支援機能を確立する必要がある。
  2. 「利用者本位の制度・サ- ビス利用」を実現するために、本人および家族の選択権・決定権を保障することは必要なことであり、不服審査・苦情解決・権利擁護機関の仕組みは必要。
  3. 上記の制度や仕組み、利用手続き等について、本人および家族に分かりやすく情報提供する方法を国として整備すべきである。どこの窓口に相談に行けばよいかすら分からない本人・家族は多い。

○ 理由

  1. 身近なところで相談できる体制が必要であるが、聴覚障害者の場合、コミュニケーションバリア等のため相談できない。これは制度を活用できないという意味で「制度利用アクセス権」制度設計に明記する必要がある。聴覚障害者の場合、都道府県ごとに設置が進められている聴覚障害者情報提供施設の活用が最も効果的と考える。

【野原委員】

○ 結論

 決定に対して疑問や不満があった場合に、手軽に相談できるし審査請求できる不服審査機関、苦情解決機関、権利擁護機関は必要と考えます。

○ 理由

 内部障害の認定をめぐっては、現行制度においても、基準が実態にあわず、利用者の疑問や不満も多く、不服審査制度も使いづらく時間もかかり、あきらめてしまう人も多いのが現状です。制度への信頼を確保するためにも、本人の申し立てが手軽にできて、丁寧に対応してもらえるような審査のしくみが必要です。

【東川委員】

○ 結論

 必要と考える。

○ 理由

 当事者の権利擁護のために、また、適正運営をチェックするために、市町村単位もしくは都道府県単位で、利用者本位のサービス提供が行われているか、全般的な権利擁護機能を有する独立型の機関が必要である。この機関は、あくまでも障害者主体という視点を尊重し、当事者を支援し、エンパワメントするという機能を併せ持つことが重要である。

【福井委員】

○ 結論

 法の実施に伴って、出てくるであろう利用者側からの意見や要望などは当然受け止めて、解決をはかっていくべきである。機関の設置も、必要である。

○ 理由

 新法は、何よりも、障害者の権利保障の立場に立った民主的手続きの確立をはからなければならないから。

【藤井委員】

○ 結論

 必要である。

○ 理由

 サービスに対する個別請求権、協議と調整によるサービスの支給決定の制度等の導入のためには、障害者本人の権利を擁護し、本人を支援し、本人をエンパワメントする機関、請求権との関係から不服についてきちんと審査する機関が必ず必要だから。

【藤岡委員】

○ 結論

 実効的な第三者機関が必要である。

○ 理由

 論点C-3-4)、論点D-6-3参照

【増田委員】

○ 結論

 利用するサービスや事業所を選択できるような情報が開示され,選択できるような制度や社会支援の拡充が必要である.障害のある人が権利の主体として,自らの権利侵害を訴えられたり,調整を求めることができる第三者機関の設置が求められている.

○ 理由

 選択を可能にするためには,地域資源の拡充が必要である.権利擁護の仕組みをつくることと同時に時限立法で立ち遅れている社会資源整備を行う必要がある.

【三浦委員】

○ 結論

 必要である。
 既存の仕組みの活用、機能強化や改善を含め設置について検討するべきである。

○ 理由

 障害のある人の権利保障の観点からは、不可欠な仕組みである。また、制度の公平、適正な運営を担保するために必要であると考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 必要である。ただ時間をかけすぎなく、早く対処できるシステムが必要。個人まかせでなく、相談支援事業所が必ず係るようにする。

○ 理由

 不服審査請求は、事務量、時間がかかりすぎる。不服審査前に解決できる新しいシステムが必要。

【宮田委員】

○ 結論

 必要。「利用・契約制度」の根幹として、苦情解決と権利擁護の仕組みを法定化しなければならない。

○ 理由

 利用者、事業者、行政が対等な立場でサービスを供給・需要するシステムの構築のためには、適切な苦情や不服の申し立てとその解決のための仕組みは必然である。

【森委員】

○ 結論

 全般的な不服審査・苦情解決・権利擁護機は必要である。

○ 理由

 利用者主体の自己決定、自己選択に基づく自己実現のシステムにおいて、その円滑な運用に際して、さまざまな課題が想定される。それらの課題に迅速に対応し、利用者一人ひとりにとって充実した生活が実現されるためには、全般的な不服審査・苦情解決・権利擁護機関は必要である。

【山本委員】

○ 結論

 必要
 とりわけ障害者団体による一人一人の権利主張を支える権利擁護機関は 特に必要であり、団体訴権も考えるべき

○ 理由

 他のものと平等な基本的人権の享受のための法律であり、そのためには上記不服申し立てや苦情解決の機関同様に、それらを使いこなすための権利主張を支援する障害者団体の活動が何より必要であり

論点I-3-5) 「分野I その他」についてのその他の論点及び意見

【荒井委員】

○ 結論

 障害者の生活安定のための制度として利用されている心身障害者扶養共済制度の安定的な運用をどう確保するか等について、論点に加えるべきである。

○ 理由

 公費の投入がないと制度の運用が困難な状態となっていることに加え、県における事務量が増大していることから、制度の安定的な運用を確保する方策を検討する必要があるため。

【伊澤委員】

○ 結論

 道筋として、支援の構造をしっかり作ることを先行し、特に精神保健医療福祉の固有の問題としてある医療と福祉の予算の分配率(97:3の配分問題)も大きく是正したうえで。実際どれほどの財政規模が必要かを把握する。それをベースに高所得者からの税収を増すよう、累進課税制度も見直す。あるいは手段としての消費税率アップも実施する。

○ 理由

 新しい財源がなければどうにもならないが、その前に整理すべき問題をクリアしなければならない。国民のコンセンサスが得にくい。

【氏田委員】

○ 結論

 「福祉サービス」という言葉をやめてほしい。障害者の支援は、人として生きることへの根幹的な支援であり、サービスというレベルのものでは到底あり得ない。サービスという言葉を使用するようになり、支援の厚みや奥行きがなくなり、支援が薄くなったと感じている当事者や家族たちは少なくない。ぜひ検討をしてほしい。障害者施策については、政権交代の有無に影響されない超党派による普遍的かつ一貫した取り組みが不可欠であり、理想とする制度を視野に置きつつ、段階的、計画的に前進させていくなど制度のさらなる充実とともに、制度の安定性、継続性を視野におき、財政面も含めた裏付けと現実感のある検討が必要である。

【大久保委員】

○ 結論

 「他の者との平等を基礎とする」地域生活や社会参加の保障を目指す以上、やはり「他の者」の暮らしの実態を把握し、目指すべき水準を明確化する必要があるのではないか。
 個々人でライフスタイルは異なるとはいえ、公費を投入する以上、何らかの形で「決して贅沢ではない」ということを客観的に示す必要があるのではないかと考える。国勢調査をはじめとして基礎資料は豊富にあると思われるので、今後の障害者に対する実態調査と関連して検討することを望みたい。

【柏女委員】

○ 結論

  • 子ども・子育て新システムにおける障害児支援のあり方を検討するにあたり、障害者自立支援法と介護保険法との間に生じた問題について、先行事例として学ぶ必要がある。
  • 障害者総合福祉法の施行時期と子ども・子育て新システムの開始時期をそろえるべきである。
  • 障害児支援に当たっては、障害児とその家庭支援と一般児童とその家庭に対する支援を分離せず、子ども・子育て家庭に普遍的に必要とされるサービスは障害児及びその家庭にも適用し、そのうえで、障害児及びその家庭に固有に必要とされるサービスを用意することを施策の原則とすべきである。

○ 理由

  • 障害者自立支援サービスにおいて、「介護保険対象となった際に、「自立支援法」のサービスが利用できなくなったり、サービスの量・種類が削られたりする事例が生じている。」といった指摘があることから。
  • 障害児支援をできる限り児童一般施策内で進めるためには、制度の整合性を図るためにも、検討と施行の時期を合わせることが合理的である。
  • 障害児は、障害である前に、まず子どもとして尊重されなければならない。

【近藤委員】

○ 結論

 緊急な特別対策として、入所施設の居室の個室化など住環境の整備に向けた対策を講じるべきである。

○ 理由

 地域移行の方向性はあっても、今、入所施設を利用している方のプライバシーやQOLの尊重を考えたとき、緊急に対応する必要があると思われるため。

【清水委員】

○ 結論

 障がい者総合福祉法(仮称)の制定以前に早急に対応を要する課題の整理(当面の課題)における、①利用者負担の見直し ②法の対象となる障害の範囲の見直し ③地域での自立した暮らしのための支援の充実 ④新法作成準備のための調査、情報収集、試行的事業実施についての予算措置を早く実態化してください。

【野原委員】

○ 結論

 難病・慢性疾患をもつ障害者を新たに加えた福祉施策を検討するうえで、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会および、厚生労働省内に設置された「新たな難治性疾患対策の在り方検討チーム」(座長=長浜副大臣、副座長=足立・山井両政務官、構成員=各局長、事務局長=健康局疾病対策課長)との連携をもつべきです。

○ 理由

 難病対策委員会では、難治性疾患に関する実態調査がすすめられようとしています。また医療費負担のあり方については、社会保障審議会医療保険部会で高額療養費制度の見直しについての議論も始まっており、それらの見直しのなかで、難病・慢性疾患をもつ障害者への支援のあり方を考えるべきです。谷間をなくすと言いながら、推進会議および総合福祉部会での議論では、これら関連する分野をふまえての議論が行われておらず、適当な時期に集中した議論、意見交換の場が必要と考えます。

【福井委員】

○ 結論

 障害者福祉分野の「自立支援法」廃止、新法制定というこの間の方向転換は、高齢者や保育など他の福祉分野に比べても突出した状況になっている。全体として「福祉の介護保険化」の傾向を押し止めていくための方策も、ともに検討していく必要性を痛感しているところである。

○ 理由

 前述したように65 歳以上の高齢障害者は、介護保険の適用になって応益負担となれば年齢による差別が生じることになり、放置できない。高齢化社会到来の中、新法制定の中で特に検討しなければならない重要な課題である。

【光増委員】

○ 結論

 自立支援法になって言葉の使い方が変わったが、報酬、営業、事業者、サービスなど、という言葉は変更すべきである。

○ 理由

 サービスという言葉については、正しい使い方だと思うが、ここで使っているサービスという考え方と、一般の人が理解するサービスという言葉の使い方が異なっている。一般には「おまけ」とか「恩恵」とか言う意味で「サービスしておく」というような使い方がされており、そういうふうに理解している人が多く、基本がずれている。
 報酬、営業、事業者という言葉については、営利事業という意味合いになり、障害のある人たちとの関係そのものが違ってきてしまう。
 根本が競争原理を意識した言葉になっていると思うが、実際には事業者が競争をすることによって質があがるという状況にはなっていない。逆にお互いが情報交換をはかりながら全体の質を上げていくといったことを損なっているところがある。
 指定管理についても同じ。福祉という意味合いとあわない。お金で価値をはかっているというやり方が全体の福祉の担い手作りを阻んでいる。