第12回差別禁止部会(H24.1.27) 西村正樹委員提出資料 中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ報告―学校における「合理的配慮」の観点―(案)に対する意見 自治労障害労働者全国連絡会 代表幹事 西村正樹  中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会・合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループにおいて改正された障害者基本法に対応して検討されたことに敬意を表します。  しかしながら、その内容では、インクルーシブ教育の必要性がとりあげられている反面、障害者の権利条約の理念が十分に認識されていないと危惧する点がありましたので、以下のとおり、意見を提出します。 意見1.社会モデルとしての視点を強調すること <理由>  改正された基本法では障害を、「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」と定義しています。このことがこの報告(案)では十分にふまえられていません。たとえば、教育の内容が「障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するため、また、障害の特性、個性、その持てる力を高めるために必要な知識、技能、態度、習慣を身に付けられるよう支援する。」となっており、「特性」が記されているものの従前の「医学モデル」が中心になっています。したがって「障害による学習上又は生活上の困難は障害及び社会的障壁により生じることをふまえ、能力、かつ、特性に応じた教育をしなければならない」とすべきです。  これ以外の具体的な事例等も社会モデルをふまえた記述に変えるべきです。 意見2.「合理的配慮」の必要性を明確にすること <理由>  「『合理的配慮』の否定は障害を理由とする差別に含まれるとされている」ことを明示したことは評価できますが、「留意する必要がある」と記述されていることは問題です。差別はしないように留意すればすむことではなく、明確にしてはいけないとすべきです。 意見3.障害の有無によって分けないことを原則とすること <理由>  特別支援学校および特別支援学級におけるとりくみは具体的なものがありますが、普通学級で障害のある子どもが学びやすくするための具体的な記述が十分にされていません。たとえば、「就学奨励費を普通学級で学ぶ障害のある子どもたちも対象にする」、「入学試験やテスト等、評価基準を学力だけに限定せず、学ぶ意欲等、多様な評価基準を設定する」等、具体的な記述をするべきです。