差別禁止部会 第14回(H24.2.24) 資料1 商品の購入、役務の提供、不動産の利用について、担当室整理メモ 1、相手方の範囲 ・事業として行っている場合に限定するか  ○韓国差別禁止法 無限定(・・・の提供者)  ○「業として対価を得て物品、不動産、権利又は役務を提供する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い」をしてはならない(154回国会に提出された人権擁護法案(3条1項1号ロ)) ・有償の場合に限定するか(公共サービスは無償でも対象)  ○「業として対価を得て物品、不動産、権利又は役務を提供する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い」をしてはならない(154回国会に提出された人権擁護法案(3条1項1号ロ)) ・公共的又は商業的な性格を有する 行政、事業者、団体、個人 「障がいを理由とする差別を禁止する法律」日弁連法案概要 2、何が差別か(合理的配慮については別項) ・商品や役務の提供を拒むこと ・商品や役務の提供に当たって不当な条件を付すこと ○「障がいを理由とする差別を禁止する法律」日弁連法案概要 (1)サービス提供者が、障がいを理由として、サービスの提供を拒否若しくは制限し、又はサービスの提供について不利益な取扱いを行うこと。 (2)サービス提供者が、2の合理的配慮義務に違反すること。 ○韓国差別禁止法 第15条(財・用役等の提供における差別禁止) (1)財・用役等の提供者は、障害者に対して、障害を理由に、障害者ではない人に提供することと実質的に同等ではない水準の便益をもたらす物、サービス、利益、便宜等を提供してはならない。 (2)財・用役等の提供者は、障害者が該当の財・用役等を利用することにより、利益を得る機会を剥奪してはならない。 第16条(土地及び建物の売買・賃貸等における差別禁止) 土地及び建物の所有・管理者は、当該土地及び建物の売買、賃貸、入居、使用等において、正当な事由なしに障害者を制限・分離・排除し、又は拒否してはならない。 第17条(金融商品及びサービス提供における差別禁止) 金融商品及びサービスの提供者は、金銭貸出、信用カードの発給、保険加入等、各種金融商品とサービスの提供において、正当な事由なく障害者を制限・排除・分離・拒否してはならない。 ○障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例 2 この条例において「差別」とは、次の各号に掲げる行為(以下「不利益取扱い」という。)をすること及び障害のある人が障害のない人と実質的に同等の日常生活又は社会生活を営むために必要な合理的な配慮に基づく措置(以下「合理的な配慮に基づく措置」という。)を行わないことをいう。 三 商品又はサービスを提供する場合において、障害のある人に対して、サービスの本質を著しく損なうこととなる場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、商品又はサービスの提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 七 不動産の取引を行う場合において、障害のある人又は障害のある人と同居する者に対して、障害を理由として、不動産の売却、賃貸、転貸又は賃借権の譲渡を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 3、何が例外か ○商品や役務の本質を損なう場合(商品の本質を損なう場合があるのか分からないが)  例えば、千葉県条例の解釈指針では「障害特性から、クラシックコンサートの最中に会場で大声を上げてしまった場合、当該サービスの提供に不可欠な静謐さを壊さないように当該サービスの提供を拒否しても、「合理的な理由」があるとし、不利益取扱いとは解」さないとされている。  また、熊本県条例の解説書案では「映画館、劇場、コンサートホールなどで、障がい特性のために大声を上げてしまうなどの場合は、当該サービスの提供に不可欠な静寂さを壊してしまい、他の観客に対して本来のサービス提供が困難になることから、サービスの質が著しく損なわれるおそれがあるとし、サービスの提供を拒否しても、不利益取扱いには当たらないと解される」とされている。 ○生命又は身体の保護のためやむをえない場合  例えば、千葉県条例の解釈指針では「遊園地の遊具に乗車中に本人の体調が急変した場合、本人の生命、身体の保護のために当該サービスの提供を中止(拒否)しても、「合理的な理由」があるとし、不利益取扱いとは解」されず、また、「障害特性と災害時に避難方法を考慮して、賃貸する部屋を避難経路の近くにしたなど、障害のない人と異なる取扱いをすることについて、科学的な根拠に基づく理由がある場合は、不利益取扱いとは解」さないとされている。 4、契約自由との関係でどのように考えるか。 とくに、閉鎖的なメンバーズクラブなどとの関係をどう考えるか そもそも対象外とするか、例外規定で対処するか 5、約款との関係  商品や役務の提供はあらかじめ定型的に定められた契約条項に基づいて行われることが多いが、障害者にとって不当な契約条項により権利利益が侵害される場合があることから、条項自体の問題もある。  問題となりうる条項として、例えば、障害があることを契約拒否事由に挙げるもの(事例A)や、障害が生じた場合には契約を打ち切ることを決めておくもの(事例B)などがあるが、どう考えるか。  また、合理的配慮の提供に関連して、特別な費用の負担をさせるものやサービスの提供に当たって付き添いを求めるもの(事例C)があるが、どう考えるか。 6、合理的配慮について  どのような合理的配慮が必要か。例外はどういう場合か  商品に関して、情報保障以外に合理的配慮の問題はあるか。役務に関しては、様々な合理的配慮の問題があるのではないか。  「障がいを理由とする差別を禁止する法律」日弁連法案概要では、詳細な規定があるが、例示規定が必要であるかどうか。 7、不動産に特有の問題はあるか  不動産特有の問題として、商品・役務とは切り離して議論しておくべきことはあるか。不動産の分野では、例えば、賃貸契約の際に障害者との契約を拒むことや不当な条件を課すこと、あるいは、知的障害のある者が不動産売買をする際、保護者の同伴を求められることなどがあるが、先に論じた「提供を拒むこと」「不当な条件を課すこと」以外に不動産特有の問題があるか。 約款の例 A:障害があることを契約拒否事由に挙げるもの 【事例A−1】スポーツクラブの会則 刺青のある方、伝染病、皮膚病、精神病疾患者、医師により運動等が不適切と指導されている方は入会資格がありません。 【事例A−2】ホテルの宿泊約款 当ホテルを利用する方が心身耗弱、薬品、飲酒による自己喪失など、自身の安全確保が困難であり、他の客に危険や恐怖感、不安感を及ぼすおそれがあると認められるときは、直ちにご利用をお断りします。 【事例A−3】留学等のあっせん事業者の約款 参加条件に関して、参加者は心身共に健康な成人で、ビザの申請条件を満たし、ビザの取得に問題のない方であること。 B:障害が生じた場合には契約を打ち切ることを決めておくもの 【事例B−1】賃貸借契約書 入居者に精神障害が生じ、他の入居者又は関係者に対して財産的、精神的迷惑をかけたとき、賃借人は直ちに明け渡しを請求することができる。 【事例B−2】介護老人保健施設の入所利用約款 利用者の病状、心身状態等が著しく悪化し、当施設での適切な介護保健施設サービスの提供を超えると判断された場合、利用者及び扶養者に対し、入所利用を解除、終了するものとする。 【事例B−3】ゴルフ練習場の利用約款 次の各号のいずれかに該当する場合はご利用をお断りすることがあります。 ・当施設の雰囲気にそぐわない、周囲の方々に迷惑をかけていると認められる場合 ・お客様が異常な言動や威圧的な言動をとるなど特にお断りする必要があると認められる場合 ・お客様がエチケット・マナーに著しく反する行為をしたと認められる場合 C:特別な費用の負担をさせるものやサービスの提供に当たって付き添いを求めるもの 【事例C−1】旅行会社の旅行条件書 慢性疾患をお持ちの方、現在健康を損なわれている方、妊娠中の方、心身に障害をお持ちの方などで、特別の配慮を必要とする方は、その旨旅行の申込み時に申し出ください。当社は可能かつ合理的な範囲でこれに応じます。なお、お客様からの申し出に基づき、当社がお客様のために講じた特別な措置に要する費用はお客様の負担とします。また、現地事情や関係機関等の状況などにより、旅行の安全かつ円滑な実施のために介助者・同伴者の同行などを条件とさせていただくか、あるいはご参加をお断りさせていただく場合があります。 【事例C−2】スキースクールの旅行業約款 ・募集型企画旅行の参加に際し、特別な配慮を必要とする旅行者は、契約の申込時に申し出てください。このとき、当社は可能な範囲内でこれに応じます。 ・前項の申出に基づき、当社が旅行者のために講じた特別な措置に要する費用は、旅行者の負担とします。