差別禁止部会 参考資料2 第14回(H24.2.24) 「障害者に対する障害を理由とする差別事例等の調査」 (平成21年3月内閣府委託調査)(抜粋) ※下記の事例・事案は、「障害を理由とする差別に当たると考え、してほしくないこと」及び「障害によって区別や排除が制限されないように、配慮や工夫をしてほしいこと」を障害者に自由記述で尋ね、収集したものの一部である。 ◆7−1「商品サービス提供」(差別関係) 1.不動産の賃貸や売買などについて差別的に取り扱う ○障害を理由に、アパートなどの見学や賃貸契約を断ること ○火災を起こしやすいなどの誤解から住宅の賃貸・売買契約に制限を加えること など 【記述の例】 ・精神障害を明らかにするとアパートの賃貸契約を拒否された。(精神障害、20代、女性) ・視覚障害があると、火事を起こすという偏見からかガスを使っての調理は駄目だと言われるケースが多い。ガス利用について訓練を受け、安全な取り扱いができるのにと思うと悔しい。ガスが使えないと焼き魚や餅がうまく焼けないので困っている。(視覚障害、30代、女性) 2.金融や保険の利用について差別的に取り扱う ○書類の記入ができないことを理由に申し込みを断ること ○ほかの人よりも高額の保険に加入させること など 【記述の例】 ・契約書類が書けない、判断が出来ないからと店員が決めつけ、商品購入させてもらえない。保護者や後見人と同席でなければ契約させてくれない。(肢体不自由、20代、男性) ・精神障害を理由に生命保険等に断られる (精神障害、30代、男性) 3.デパートや商店で商品を買うときに差別的に取り扱う ○汚れた商品や古い商品を売ること ○値段を高くとること・高い商品を買わせること など 【記述の例】 ・展示販売などの折、本人の意志を無視して無理矢理契約させられたことがあった(公共の施設での展示販売で信用していた)(知的障害、30代、男性) ・魚屋で「こちらの方が良いですよ」と自分が選んでいたものより古いものを買わされた(盲ろう、60 代、女性) 4.レストラン、レクリエーション施設などのサービスの利用について差別的に取り扱う ○スポーツセンターやカルチャーセンターで、危険だからという理由で入会を拒否すること ○映画館で呼吸器の音がするからと、退室を求めること ○手話通訳を同行した場合に二人分の料金を請求すること ○障害者だけ本人の望まない座席に案内すること など 【記述の例】 ・スポーツジムで「聞こえない」を理由に入会を拒否(断わる)するような事があった。(聴覚障害、30代、男性) ・遊園地で腎臓が悪いというだけで乗れなくてそのしせつの半分以上乗せてもらえなかった。(メイン的なものはすべてダメ)障害者というひとくくりにされた。(内部障害、40代、女性) 5.接客するときに差別的な言動をする ○本人ではなくて介助者に話しかけること ○聞こえる家族はいないのかと尋ねること ○子ども扱いすること ○障害があるからといって無視したり、嫌な顔をすること など 【記述の例】 ・聞こえないとわかると話をやめてしまう。(聴覚障害、50代、女性) ・吃音(どもる)などの障害を笑ったり嫌な顔をされる(知的障害、50代、男性) ◆7−2「商品サービス提供」(配慮工夫関係) 1.不動産の賃貸や売買などについて配慮や工夫をしてほしい ○家主が障害者にとって必要な改造を認めること ○障害者に対応した物件を増やし、また購入の補助を行うこと など 【記述の例】 ・住宅改修制度を利用できる回数などについて正確に説明すること。視覚障害者が不動産情報にアクセスしやすいようにするため、ホームページを改善すること(視覚障害、30代、男性) ・めんどうくさがらないできちんと説明してほしい。「家賃支払えるのか?」という差別的な考えはやめてほしい。(聴覚障害、40代、女性) 2.金融や保険の利用について配慮や工夫をしてほしい ○金融機関で、見やすいようにゴシック文字や太線の伝票を用意すること ○本人が記入できない場合に代筆での申し込みや手続きを認めること ○インターネットの利用など書類以外の代替手段を設けること など 【記述の例】 ・本人が記入できないので、郵便局職員や銀行員に記入を依頼するが、断られることがある。まちがいがおきないためとのことだが、その場合、複数の職員で記入した内容を確認することで対応してほしい。銀行は通帳の内容や、貯金や保険に関わる情報を希望者には点字で通知してほしい。(視覚障害、50代、女性) ・本人がいろんなしりょうなどに手続きをする時に、相手の人がもうちょっとわかりやすくせつめいをしてくれたら私達でも、ちゃんと手続きができますのでそれをしてほしい(知的障害、30代、女性) 3.ATM・自動券売機などの利用について配慮や工夫をしてほしい ○車いすでも手が届く高さに設計すること ○画面の白黒反転、文字の拡大、ふりがなの表示、点字表示、音声案内など、利用者が選べるようにすること ○タッチパネルだけでなくボタンでも操作できるようにすること ○画面やボタンの配置などを統一すること ○連絡用のインターフォンを、テレビ電話にすること など 【記述の例】 ・車いすからだと画面が光って見えにくく操作がしづらい。車いす用のATMの設置をして欲しい。パネルをタッチするのに画面に添うように手を伸ばすので目的のところではなく違うところが反応してしまう。(肢体不自由、50代、女性) ・ATMブッシュボタンで 暗証番号 金額等を入力してヘッドホーンで音声確認できる機械の設置、駅名を入力し券売可能機設置 自動券売機 音声入力(路線)(視覚障害、70代以上、男性) 4.デパートや商店で商品を買うときに配慮や工夫をしてほしい ○ショーケースを低くしたり、鏡をつけて車いすでも見えるように商品を展示すること ○電化製品など障害があっても使えるかどうか試用できるようにすること・商品を手にとって触れるようにすること・車いすで試着できるスペースを確保すること ○筆談の対応や、店内の案内など必要に応じた配慮をすること ○値札や賞味期限は見えやすい大きさ、色に、記載場所を規格化し、統一すること など 【記述の例】 ・商品を実際にさわれて、動かしてみることができると良い。食品も同様で、ラップだと分からない。匂いと味見ができたらうれしい。(盲ろう、60 代、女性) ・試着室に段差があったり、スペースが狭く試着できない(肢体不自由、50 代、男性) 5.レストラン、レクリエーション施設などのサービスの利用について配慮や工夫をしてほしい ○映画館や美術館などの案内表示に、ふりがなをつけたり、挿し絵を入れてわかりやすくすること。また音声ガイド・文字ガイドを併用すること ○スポーツクラブ・カルチャーセンターを障害者が使えるように設計すること ○床屋や美容院の出張サービスを充実すること ○点字や拡大文字のメニューを置くこと など 【記述の例】 ・レストランに点字のメニューや美術館に触れてみる企画展を開催して欲しい。(視覚障害、60代、男性) ・オストメイトは補装具さえきちんと付けていればカルチャーセンターやスポーツセンターで他の人に迷惑をかけることはないということを衆知すること。(内部障害、70代以上、男性) 6.制度について配慮や工夫をしてほしい ○障害者が重要な契約(住宅や店舗の賃貸・売買や高額の買い物)をするときの支援制度を設けること ○個人商店などのバリアフリー化を促進するために、改築の補助制度を設けること ○障害者が自立して生活できる住宅(公営住宅)を増やしたり家賃などを補助すること ○精神科に通院中でも旅行保険や民間保険に加入できるようにすること ○金融機関などで用紙に記入できない障害者のための代筆についての制度を設けること ○消費者庁などに、障害者専門の窓口を作ること など 【記述の例】 ・10年以上前の話であるが、一式百万円のスーツを誤って、買ってしまったことがある。(後で、親が情報を調査したところ、あまり評判の良くない会社だったことが判明した。→重要な契約をするときの支援制度の充実化。(精神障害、30代、女性) ・ユニバーサル商品の開発を促進する。詰め替えの洗剤などを牛乳パックの容器に入れないことを決める。表示を読めない視覚障害者や子ども、知的障害者などは非常に危険である。劇薬である旨の表示は、高齢者や弱視者にも見えやすいように、はっきりと表示することを決める。身体障害者補助犬法に反した場合の罰則規定を設ける。(視覚障害、50代、女性)