差別禁止部会 第19回(H24.5.25) 太田委員追加提出資料
2012年5月25日
障害者差別禁止法における救済のしくみについて(意見書)
JDF差別禁止法制小委員会委員長 太田 修平
障害者差別禁止法における救済のしくみ
障害者差別禁止法の枠組みで、障害者差別を対象にした救済のしくみを提起する。
【枠組み】
① 法律上の差別事例に特化したしくみ(一般的な権利救済、虐待事例を除く差別事例)
② 障害者がアクセスしやすい、つまり身近に使えるしくみ
③ 中央と地方の救済のしくみについて
〇中央と地方の役割と関係
中央:政策委員会のもとに置く。
※必ずしも政策委員会の所掌事務ではないかもしれないが、少なくとも内閣府のもとに置き、障害者の人権確立に向けた運動を展開している全国レベルの障害者団体との連携が必要という認識である。
- 都道府県をまたぐ案件の検討
- 国家レベルの問題や案件の検討
- 都道府県の政策委員会の所掌以外の問題
- 都道府県の委員会で解決できず、上申された案件の検討
地方:都道府県条例によって、救済の仕組みが規定されているところはそこで、ないところは政策委員会的な審議体で。相談員で調停などをおこない、それで解決されない場合は、千葉県の紛争調整委員会のようなものを各都道府県の政策委員会のもとにおく。それでも解決されない場合は、中央の救済機関での検討を可能とさせる。
- 基本的には当事者の居住地域と差別事案が起きた地域で地方組織への申立て等が可能とすべき
- 原則都道府県ごと。場合や相手によっては中央。
○救済機関のメンバーについては、中央、地方ともに、障害者の差別問題や人権問題に長年取り組んできた障害当事者団体の構成メンバーあるいは、それらの問題に精通する法律家、学識経験者によって構成する。地方については、案件によっては、都道府県をまたがって、特別にメンバーを補強できる仕組みとしていく。
〇都道府県の権能の公平性の確保。「公表」等の規定ぶりなど
- 法律で、地方の救済のしくみにおいて「公表することができる」との規定を行う
【個別救済に求められる機能】
①相談
②調査
③斡旋(申立人、相手の話を聞いて案を出す)
④調停(紛争当事者双方の間に第三者が介入して紛争の解決を図ること)
⑤仲裁(当事者の合意(仲裁合意)に基づき、第三者(仲裁人)の判断(仲裁判断)による紛争解決を行う手続をいう。裁判外紛争解決手続(ADR)の一種。仲裁の判断は確定判決と同じ効力があり、当事者は拒否することができない)
⑥勧告
⑦勧告不履行の場合に公表
⑧裁定(物事の是非などを考えて決定すること。)
【調査権】
- 協力義務「調査に協力しなければならない」
【個別救済以外の所掌事務】
- 合理的配慮の判断等(文部科学省や国土交通省でも合理的配慮のあり方を検討しているが、最終的な判断は、障害者差別禁止法における救済機関が判断する)
- 障害に基づく差別の実態調査・研究
- 合理的配慮に関するガイドラインをつくる権限
- 周知啓発
- 訴訟支援
【その他】
- 団体訴権の付与(救済のしくみ)
- オンブズパーソン制度の並立の可能性の検討