第6回(H23.7.8)差別禁止部会 西村正樹委員提出資料2 地方自治体における障害者の採用に関する調査実施結果分析報告書(案) 日時:2011年7月4日現在 主管:自治労障害労働者全国連絡会 T 調査実施の概要 1 調査期間:2010年7月26日(月)から9月30日(木)まで 2 調査方法:調査票により自治労本部から各県本部へ調査を依頼した。 3 調査対象:一般採用試験は、前年度または当該年度分。障害者枠試験は、確認できる直近のもの。 4 回答状況:39県本部582単組から回答を受ける。       把握した自治体は582(28都道府県320市203町31村) 5 回収率:県本部82.9%(39/47)、単組21.2%(582/2,745) U 調査結果概要 1 障害者の採用支援等の実施状況について(複数回答可) (1)287(49.3%)の自治体が一般枠で障害者を採用している。 (2)246(42.3%)の自治体が障害者枠で採用試験を実施している。 (3)75(12.9%)の自治体は、障害者を採用していない。 (4)45(7.7%)の自治体は、その他として以下のとおり回答している。 ・町独自で採用試験を実施していない。町村会実施の試験により合格者を採用。 ・枠を確保して採用していないが、職員はいる。 ・全て一般採用試験で実施 ・合併前は障害者採用試験を行っていたが、現時点では行っていない。 ・受験可能であるが、採用に至っていない。 ・法定雇用人数不足になった場合採用を検討。 ・障害者を対象として、臨時職員、パートタイム職員を採用している。 ・H9年、10年に障害者枠の採用実施したことはあるが、法定雇用率を達成していることもあり、以降はない。 ・法定雇用率により求めた障害者数以上に障害を有する職員がいるので、しばらく実施していない。 ・毎年ではないが数年おき程度に実施 ・障害者の申し込みがあった場合は対応する。 ・障害者の選考による。 ・実施試験で合格すれば合格。 注)47(8.1%)の自治体は、障害者枠で採用試験が実施されていることを知らなかった。 2 一般枠の採用試験で障害者を雇用している実施状況について(複数回答可) (1)一般採用試験の一般的な要件としていること @117(20.1%)の自治体が試験申込書、受験票の記入を自筆としている。 A96(16.5%)の自治体が活字印刷物を読めることとしている。 B58(10.1%)の自治体が電話対応及び面接が可能であることとしている。 C52(9%)の自治体が、居住地を、当該自治体としている。 D36(6.2%)の自治体が、自家用車による来場を禁止し、一般公共交通機関を利用することとしている。 E2の自治体が身長と体重。6の自治体が視力と視野、4の自治体が聴力、その他5の自治体が、何らかの身体状況に関する規定を設けている。なお、3の自治体が、障害がある場合は、その全部または一部を免除することとしている。 F17(2.9%)の自治体から、その他として以下のとおり回答している。 ・要件を規定していないが、採用試験において試験を自らで受験できることが前提であると考える。 ・受験案内記載「身体障害者手帳を所持している方は、応募の際に申し出、又は写しを添付してください。」 ・公営企業では、障害者(色覚障害を含む)を採用していない。 ・消防職員のみ視覚、聴覚、色覚に関する要件あり。 ・署名欄のみ自筆であることを要する。 (2)一般採用試験を障害者が受験する場合にのみ要件として設けていること @79(13.6%)の自治体が介助なしで職務が遂行できることとしている。 A69(11.9%)の自治体が活字印刷物に対応できることとしている。 B66(11.3%)の自治体が、自力、介助者なしで通勤が可能であることとしている。 C45(7.7%)の自治体が、口頭での面接に対応できることとしている。 D17(2.9%)の自治体が、その他の要件を設けている。 注)17の自治体が設けている要件を確認する。 (3)その他、一般採用試験の実施に関すること @314(54.1%)に自治体が身体検査または健康診断を実施している。このうち268(46%)の自治体が障害の有無に関わりなく実施しているが、46(8%)の自治体がその他と回答している。なお、内部障害があることで全部または一部を免除している自治体は、無かった。 A151(25.9%)の自治体が体力試験を実施している。このうち9の自治体が障害がある場合は、その障害の状況に応じて、全部または一部を免除している。 また、122の自治体が、その他と回答している。 B346(59.5%)の自治体が、面接または集団討論試験を実施している。このうち5の自治体が、聴覚に障害がある場合は、手話通訳等を配置し情報保障に努めている。また、15の自治体が、その他と回答している。 Cその他を選択したる自治体は、以下のとおり回答している。 ・二次試験受験者から診断書を提出してもらっている。 ・健康診断は採用決定以後に実施 ・消防職員の一次試験合格者のみ障害の有無に関わりなく健康診断の提出を求めている。 ・消防職のみ体力試験を実施している。 ・障害の有無に関係なく実施していない。 ・消防職員の第一試験合格者のみに実施している。 ・保育士、幼稚園教諭のみ実施。 ・警察試験のみ体力検査あり ・二次試験には面接があり、必要に応じて対応すると思われます。 ・障害の有無に関わりなく面接試験を実施している。 (4)一般採用試験において障害者の受験を考慮した配慮について @138(23.7%)の自治体が車いす使用者の必要に応じて駐車場を確保している。 A134(23%)の自治体が、試験会場をバリアフリーとしている。 B50(8.6%)の自治体が、試験案内、申込書に障害者が受験可能であることを記載している。また、福祉機器等の持込を必要に応じて許可している。 C37(6.4%)の自治体が、試験案内、申込書に障害によって必要とする配慮を記載できるようにしている。 D18(3.1%)の自治体が、手話通訳者の配置、13(2.2%)の自治体が点字試験の実施及び要約筆記者の配置、9(1.5%)の自治体がパソコンによる文字通訳の配置、8(1.4%)の自治体が試験時間の延長を必要に応じて対応することとしている。 E5(0.9%)の自治体が、採用人数に一定率の障害者枠を設けている。 F171(29.4%)の自治体が、ケースバイケースで対応している。また、63(10.8%)の自治体が、特に考慮していないとしている。 G以下のとおりその他として回答を受けた。 ・目の不自由な方について、教養試験の問題及び解答用紙を拡大して対応することができる。 ・特に意識していないが、バリアフリー車イス対応になっている。 ・車イス受験者の座席を、極力移動が容易な位置にする。 ・配慮を必要とする障害者の受験実績がない。 3 障害者枠(別枠・特別枠)の採用試験の実施状況について(複数回答可) (1)障害者枠(別枠・特別枠)の採用試験で応募要項に記載していること @233(40%)の自治体が、介助者なしで職務が遂行できることとしている。 A207(35.6%)の自治体が自力、介助者なしで通勤が可能であることとしている。 B197(33.8%)の自治体が、活字印刷物に対応できることとしている。 C98(16.8%)の自治体が、口頭面接に対応できることとしている。 D48(8.2%)の自治体が、車いす使用者等の駐車場の確保及び福祉機器の持込を許可している。 E9(1.5%)の自治体が試験延長を可能としている。 (2)受験資格を有する障害者について @222(38.1%)の自治体が身体障害者手帳、14(2.4%)の自治体が知的障害者であることを証明する手帳、10(1.7%)の自治体が精神保健福祉手帳の所持者としている。 A149(25.6%)の自治体が身体障害者、5(0.9%)の自治体が知的障害者、1(0.2%)の自治体が、精神障害者としている。 V 上記調査結果の分析について 1 障害者雇用に関する認識について 以下の本調査の回答結果から、障害者雇用及びその現状に関する知識や認識が、不十分であると思われる。 (1)障害者枠の採用試験の実施を知らない実態がある。 (2)障害者枠の採用試験における受験資格を有する障害の状況及び手帳の所持について、身体障害者手帳の所持を60%以上の回答が、要件としていない。 2 障害者の受験機会をその機能障害を理由として制限していると思われる受験要件(社会的障壁または差別)について (1)介助なしで職務が遂行できること(←→介助を必要とする全身性障害等) (2)活字印刷物に対応できること(←→点字等を必要とする視覚障害) (3)自力、介助者なしで通勤が可能であること(←→介助を必要とする全身性障害等) (4)口頭での面接に対応できることと(←→手話や文字通訳を必要とする聴覚障害等) 3 合理的配慮と思われる配慮について (1)一般の採用試験において実施している体力試験を、障害がある場合は、その障害の状況に応じて、全部または一部を免除している。 (2)手話通訳等を必要とする聴覚障害者が、一般及び障害者枠の採用試験の受験時に、面接または集団討論試験を受けるときに手話通訳等を配置し情報保障に努めている。 (3)障害のない受験者には、認めてないが、公共交通機関の利用が困難な車いす使用者の必要に応じて駐車場を確保している。 (4)試験会場をバリアフリーとしている。 (5)手話通訳及び文字通訳者の配置、点字、拡大文字、時間延長及び福祉機器の持込許可等による採用試験の実施等、障害者が障害のない人と同様に採用試験を受験する機会を保障するために必要とする環境を整備している。 4 その他、障害者に配慮していると思われること (1)一般の採用試験の案内、申込書に障害者が受験可能であることを記載している。 (2)一般の採用試験の案内、申込書に障害によって必要とする配慮を記載できるようにしている。 (3)一般の採用試験における採用人数内に一定率の障害者枠を設けている。 自治労発2010第0857号 2010年7月16日 各県本部委員長様 全日本自治団体労働組合 中央執行委員長 徳永 秀昭 (総合政治政策局社会福祉評議会) 地方自治体における障害者枠採用試験の実施状況に関する調査について 連日の取り組みに対し敬意を表します。 自治労は、障害者雇用と障害労働者の組織化を重要課題として位置づけ、1981年の国際障害者年に、障害をもつ組合員の結集軸として、「自治労障害労働者全国連絡会(全国障労連)」を設置し、障害者雇用の促進に向けた運動を進めてきました。 2006年12月に国連において「障害者権利条約(以下、権利条約)」が成立し、以降、2007年9月に日本政府署名、2008年5月に条約発効、そして現在、民主党を中心とした新政権は、この条約を批准するために「障がい者制度改革推進会議」を設置して、具体的な国内法の検証と見直し作業を進めています。 今回、地方自治体における障害者の採用に関する試験の実施状況の実態を把握し、権利条約に基づく障害者雇用施策の改善に資することを目的として、標記調査を行います。 各県本部におかれましてはお忙しいところ恐縮ですが、各単組、社会福祉評議会、障労連関係者に広くご周知いただき、調査にご協力いただきますようよろしくお願い申し上げます。 記 1. 調査方法 @各県本部・各県本部障労連を通じて、各単組へ調査をお願いします。 A調査は、当局への照会や各自治体のホームページ(採用)を確認しご回答ください。 なお、(財)地方自治情報センターのホームページから各自治体のホームページを確認できます。 http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/cms/1,0,15.html 2. 調査期間 〜2010年9月30日 3. 回答方法 下記の調査票にご記入の上、本部・社会福祉評議会まで、FAXまたはe-mailにてお送りください。 (報告先)  自治労本部・社会福祉評議会     FAX  03-5210-7422     e-mail kenpuku@jichiro・gr.jp 4. 回答締切期限 9月30日(木)までに、自治労本部・社会福祉評議会まで、FAXまたはメールにてご返信ください。 5. その他 お問い合わせについては、本部社福評(秋野、永野)までお問い合わせください。 TEL 03-3263-0261 FAX 03-5210-7422 2010年9月30日締め切り 自治労本部・社会福祉言平議会 FAX:03-5210-7422 Email:kenpuku@jichiro.gr.jp 県本部名 単組名 担当者名 自治体名 地方自治体における障害者の採用に関する調査票 注1 その他の回答を選択された場合やカツコがある設問には、具体的な内容をカッコ内ご記入ください。  2 「特記事項(自由記載)」や「自由記載」のある設問には、設問に関係する事項をご記入ください。 問1 障害者の採用試験の実施状況を教えてください。(複数回答可)ご記入ください。  1.一般採用試験で採用している。・・・・・・・・問2〜5と7の質問項目にお進みください。  2.障害者枠の採用試験を実施している。・・・・・・・・問6以降の質問項目にお進みください。  3.障害者を採用していない。・・・・・・・・・・問2〜4と7の質問項目にお進みください。  4.その他( 問2 障害者を対象とした別枠・特別枠の採用試験を実施している自治体があることを知っていますか  1.知っている  2.知らない  3.その他( 問3 一般採用試験で受験または採用の要件としていることを教えてください。(複数回答可) 1. 一般的な要件として、以下の要件の有無  (1)一般公共交通機関を利用すること。(自家用車による来場の禁止)  (2)活字印刷物の判読が可能であること。  (3)電話対応、面談が可能であること。  (4)自家用車通勤が不可であること。  (5)居住地が当該自治体内であること。  (6)試験申込書・受験票の記入は、自書であること。 2. 障害に関する要件として、以下の要件の有無 (1)身体状況等に関する規程がある。(以下の該当項目をチェックしてください)   □身長 口体重  口視力・視野 口聴力  □その他   □障害がある場合は、その障害の状況に応じて、全部または一部を免除している。 (2)身体に障害がある場合は、自力・介助者無しで通勤が可能であること。 (3)身体に障害がある場合は、介助者無しで職務が遂行できること。 (4)身体に障害がある場合は、活字印刷物に対応できること。 (5)身体に障害がある場合は、口頭での面接に対応できること。 (6)その他( 問4 一般採用試験の実施状況を教えてください。(複数回答可) 1. 身体検査の実施または、健康診断書を受理している。(以下の該当項目をチェックしてください) □障害の有無に関わりなく実施している。 □内部障害等がある場合は、その障害の状況に応じて、全部または一部を免除している。 □その他 2. 体力試験を実施している。(以下の該当項目をチェックしてください)   □障害の有無に関わりなく実施している。   □障害がある場合は、その障害の状況に応じて、全部または一部を免除している。   □その他 3. 面接試験または、集団討論試験を実施している。(以下の該当項目をチェックしてください)   □障害の有無に関わりなく実施している。   □聴覚に障害がある場合は、手話通訳等を配置して情報を保障している。   □その他 問5 一般採用試験で障害者の受験に対して配慮されていることを教えてください。(複数回答可) 1. 試験案内・申込書に障害者も受験可能であることを記載している。 2. 試験案内・申込書に障害によって必要とする配慮を記載する項目を掲載している。 3. 試験会場がバリアフリーである。または、受験者の必要に応じて対応する。 4. 車いす使用者等が利用できる駐車場を確保している。または、受験者の必要に応じて確保する。 5. 点字試験を実施している。または、受験者の必要に応じて実施する。 6. 面談試験等において手話通訳を配置している。または、受験者の必要に応じて配置する。 7. 面談試験等において要約筆記を配置している。または、受験者の必要に応じて配置する。 8. 面談試験等において文字通訳(パソコン)を配置している。または、受験者の必要に応じて配置する。 9. 福祉機器等の持込を許可している。または、受験者の必要に応じて許可する。 10. 試験時間の延長を認めている。または、受験者の必要に応じて認める。 11. 採用人数に一定率の障害者枠を設けている。(内容  ) 12. ケースバイケースで対応している。 13. 特に考慮していない。 14. その他(  ) 問6 障害者を対象とした別枠・特別枠採用試験の応募要項に記載していることを教えてください。(複数回答可) 1. 自力・介助者無しで通勤が可能であること。 2. 介助者無しで職務が遂行できること。 3. 活字印刷物に対応できること。 4. 口頭での面接に対応できること。 5. 車いす使用者等の駐車場を確保している。 6. 福祉機器等の持込を許可している。 7. 試験の時間延長を可能としている。 8. 居住地が当該自治体内であること。 9. 障害者手帳を所持していること。(以下の該当項目をチェックしてください)    □身体障害者手帳 口療育手帳(愛の手帳) □精神保健福祉手帳 □その他(  )  10.障害の種別を定めている(以下の該当項目をチェックしてください)    □身体障害者  口知的障害者     口精神障害者   □その他(  )  11.障害の等級を定めている(以下の該当項目をチェックし、カッコ内障害の等級を記入してください)    □身体障害者(    ) □知的障害者(    ) □精神障害者(    ) 問7 障害者雇用に関するご意見・提言・方針等があれば教えてください。 ありがとうございました。