差別禁止部会 第8回(H23.9.12) 資料1 欠格事由に関して 臼井久実子氏 資料 (スライド番号1) 障害者差別禁止法に求めるもの 障害者欠格条項撤廃をめざす取組から言えること 欠格条項を残したまま、 権利条約を批准できますか? 臼井久実子(障害者欠格条項をなくす会事務局長) (スライド番号2) 障害者権利条約4条を遵守できる差別禁止法を! 障害者権利条約第4条 (締結国の一般的義務) 政府仮訳 (b) 障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。 (c) すべての政策及び計画において障害者の人権の保護及び促進を考慮に入れること。 (スライド番号3) 障害を理由に国が法律で権利を制限=障害者欠格条項 障害者欠格条項は、主に国の法律に明記された、障害を理由とする権利制限。 古くからの障害者観によって法律条文に記載された欠格条項が、社会の障害者観、慣習・慣行にも影響。差別偏見を固定化し、障害者を無権利にする構造をつくってきた。 *元のPDF資料には「法律・規則」と「障害者欠格条項」と「慣習・慣行」の関係を表した図がある。 (スライド番号4) 欠格条項が奪ってきたもの 早瀬久美(はやせくみ)さんは1998年、薬剤師国家試験を受験し合格したが、聴覚障害を理由に、免許交付申請を却下された。 諦めず発言を続け、合格から4年目(2001年)にようやく、改正薬剤師法の施行と同時に、 免許を交付された。 現在、大学付属病院で薬剤師として勤務しながら、各方面で活躍している。 *元のPDF資料には、「聴覚障害女性に薬剤師免許欠格条項見直し後、初2001年7月17日毎日新聞」というタイトルで薬剤師免許証を持つ早瀬さんの写真が掲載されている。 (スライド番号5) 欠格条項が奪ってきたもの 介助者をつけて民間賃貸で一人暮らしをしてきて、公営住宅に申し込もうとした。 「施設に入所したほうがよい」と、市役所の玄関から車イスごと押し出され、持って行った入居申込書を投げつけられた。 1996年群馬 自活状況申立書 1 炊事は自分でできますか 2 買物は自分でできますか 3 食事は自分ででいますか 4 排便は普通の便所で1人でできますか 5 入浴は自分でできますか 6 掃除、洗濯は自分でできますか 7 住居の出入は自分でできますか (スライド番号6) 欠格条項が奪ってきたもの 「二十歳からずっと選挙に行ってました。また行きたいです」 成年後見制度を利用することで選挙権を奪われた。東京地裁に提訴し裁判が開始している。 茨城2011年 *元のPDF資料には本人の写真が掲載されている。 (スライド番号7) 国が見直し対象とした63制度のうち、51制度に相対的欠格条項が残されている。 障害者欠格条項がなくなった 12制度、9法令、19% 検察審査員 製菓衛生師 栄養士 調理師 地域伝統芸能等通訳案内業 医師国家試験・予備試験 風俗営業 公営住宅への単身入居 など 相対的欠格条項が残されている 51制度、44法令、81% 理学療法士 はり師又はきゆう師 美容師 保健師、助産師、看護師又は准看護師 薬剤師 義肢装具士 獣医師 作業主任者 通訳案内業 警備員 自動車等の運転免許 など (スライド番号8) 63制度にとどまらない権利制限 内容、対象、数、例の順 資格を認めない・認めないことがある 成年被後見人・被保佐人 128 公務員、馬主 資格を認めない・認めないことがある 成年被後見人のみ 18 選挙権・被選挙権 資格を認めない・認めないことがある 心身の障害 69 行政書士、通訳案内士 資格を認めない・認めないことがある 精神の機能の障害、精神の著しい障害、等 56 船員、狩猟 資格を認めない・認めないことがある 視覚や聴覚の機能の障害 27 医師、看護師 もっている資格を取り消す・取り消すことがある 「心身の故障」、成年被後見人・被保佐人、何らかの障害 344 各種の委員会の委員、法人役員、学校教員 資格や免許に限らない権利の制限 さまざまな権利制限 35 精神病院の入退院の自己決定、遺言の立会人 2009年調査から計数。複数の分類にあてはまる法令が多く法律数443と表の単純合計は一致しない (スライド番号9) 法制度のバリアフリー化を重点課題に! 「四つの障壁」の除去 (障害者対策に関する新長期計画1993年制定) 1)物理的な障壁→階段や段差だけの住宅、建物、駅 2)文化情報の障壁→テキストデータや音声読み上げや点字や字幕や手話の提供がない 3)意識の障壁→人の手を借りずに何でもできることが自立という見方や、古くからある障害者観 4)法制度の障壁→資格や免許の交付などで障害を理由とした欠格条項、障害を理由としたさまざまな権利制限 とくに遅れているのは法制度の障壁の除去 (スライド番号10) かつての絶対的欠格条項の条文 例:医師法 第三条【絶対的欠格事由】目が見えない者、耳が聞こえない者又は口がきけない者には、免許を与えない。 第四条【相対的欠格事由】該当する者には、免許を与えないことがある。第一号精神病者 第七条第一号医師が、第三条に該当するときは、厚生労働大臣は、その免許を取り消す。 第十三条目が見えない者、耳が聞こえない者及び口がきけない者は、医師国家試験及び予備試験を受けることができない。 (スライド番号11) 現行の相対的欠格条項の条文例:医師法 医師法 第四条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。 第一号 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの 医師法施行規則 第一条 医師法第四条第一号の厚生労働省令で定める者は、視覚、聴覚、音声機能若しくは言語機能又は精神の機能の障害により医師の業務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 (スライド番号12) なぜ入れた?「心身の障害」 「試案のような表現としましたのは、対象となる者を明確に規定すべきという法制上の観点に鑑み、『心身の障害により』という規定を設けなければ、・・・心身の障害を原因とするもの以外まで含まれることになり、・・・かえって不明確になりかねないものと考えております。」 「障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための医師法等の関係法令改正試案」に寄せられた意見について、厚生労働省の回答より2001年3月 (スライド番号13) 欠格の「理由」とは? ・常時の介護を必要とする者は、自立して日常の生活を行なうことが極めて困難なため、公営住宅に単身入居できない。 ・視覚および聴覚に障害のある者は、患者や関係職種と連絡連携しながら医療行為を適正に行なうことが困難である。 ・精神病者、精神薄弱者、てんかん病者、目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者、・・・が自動車等を運転することは、著しく道路における交通の危険を生じさせる。 ・精神病者は一般的に判断力、自制力に欠けるところがあり、さらには、他人の生命、身体及び財産を侵害するおそれもあり、警備業務を適正に実施することを期待できない。 各省庁が回答した「欠格の理由」1998年総理府資料 (スライド番号14) 欠格の「理由」には根拠がある? 障害者=「できない人」?「ミスや危険につながる人」? ↑ 「障害」と「できない」「危険」を「イコール」で結びつける見方で、一律的な扱いをしている。 根拠を聞くと、具体的な説明も客観的なデータもない。 人が等しくもつ権利を、どうしても制限しなければならないという場合、制限を受ける本人も納得するような、具体的理由が必要である。 (スライド番号15) ・・・深く考えたことがありますか? 「欠格条項で制限している障害者を支援する制度が、まだ整っていないので、欠格条項を削除できない」? ↑ 合理的配慮を提供しなければ平等な扱いにならない。 上記には、そのような認識は皆無である。 問い直しと各方面の議論によって、「本質的な業務」「補助者 や補助的手段」を考慮するなどの重要な変化はあった。 それでも相対的欠格条項を存続させ、“半端な門戸開放”に とどまっている。そして障害を理由とする権利制限は63制度 の他にも広汎にある。 (スライド番号16) 差別禁止法に求めるもの 障害者差別禁止の法理に基づく法整備の要として 日本には差別禁止法がなく、障害者差別禁止の法理に基づく法整備がなされてこなかった。 合理的配慮を提供しないことも差別であると明確にする法律もなかった。 そのもとで、欠格条項をはじめ障害者に対する差別となる法制度の廃止に根本からは手がつけられず、合理的配慮の提供も非常に遅れている。 そのように、長年にわたって欠格条項があり今も残されていることが、障害者の社会参画を阻み、合理的配慮の確立を妨げることにもなっている。 (スライド番号17) 差別禁止法に求めるもの 法制度の差別廃止と合理的配慮の確立に必要な規定 ・障害者権利条約第4条が規定する「障害者に対する差別となる既存の法律、規則・・・」に欠格条項は該当しており、これらを「修正し、又は廃止する」(同4条)ことを、差別禁止法の中に明記する。 ・政府・地方公共団体が、既存の法律・規則・条例などの差別を調査し、情報公開し、差別を修正し又は廃止することを、義務づける規定を設ける。 ・合理的配慮を提供しないことも差別であることを明記する。 (スライド番号18) 差別禁止法に求めるもの 説明責任明確化、苦情申立と権利回復の仕組み規定 ・「これは差別ではない」とするとき、その客観的根拠を説明する責任は、免許権者や試験実施者や雇用主などの側にあるという説明責任の転換を、明確にする条文を設ける。 ・苦情を申し立て、権利を回復できる条文と仕組みを設ける。 (スライド番号19) 資料目次 スライド形式(数字はスライド番号) ・20 主な経過 ・21 2001年を境とする変化 ・22 医師など ・23 看護師など ・24 自動車等の運転免許 ・25 選挙に行けなくなった ・26 日々届いている声 A4サイズ(巻末) ・63制度の一覧 ・参考文献など (スライド番号20) 主な経過 1870年代 現在の欠格条項と同様の条文が制定された。 新しい法律ができるときにコピーされて増加してきた 1993年 障害者基本法制定、「障害者対策に関する新長期計画」スタート。「資格制限等による制度的な障壁」など四つの障壁の除去をかかげる 1998年「制度的な障壁」除去停滞。障害故に薬剤師免許 交付申請を却下された早瀬久美さんが発言。政府検討開始 1999年政府「障害者に係る欠格条項の見直しについて」 を決定、63制度を対象に。障害者関係者は街頭署名も。 2001年「障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るた めの医師法等の一部を改正する法律案」成立 2011年改正障害者基本法成立 (スライド番号21) 2001年を境とする変化 「本質的な業務」をその人が遂行できるかが基準になった 臨床医なら診断することが「本質的な業務」になる。「本質的な業務」は見直し作業のなかで議論されてきて、「障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための医師法等の関係法令改正試案(2001年)」にも記述がある。 補助者や補助手段などを考慮にいれるようになった 第一条の二 厚生労働大臣は、医師免許の申請を行つた者が前条に規定する者に該当すると認める場合において、当該者に免許を与えるかどうかを決定するときは、当該者が現に利用している障害を補う手段又は当該者が現に受けている治療等により障害が補われ、又は障害の程度が軽減している状況を考慮しなければならない。(現行の医師法施行規則から引用) 条文に「意見の聴取」を追加した 医師法第七条第五号など。2001年までは欠格条項に該当すると判定された人にとって「意見の聴取」の機会さえもなく、全く問答無用だった。 (スライド番号22) 医師など 2001年以前は障害のある医療従事者は「いないはずの人」だった。 2002年から、点字や音声でも受験できるように試験方法を変え、全盲の医師や耳の聞こえない医師も誕生している。 ただし、相対的欠格条項のため、合格後に審査が加えられたり、研修を受け入れる病院が少ないことも障壁となっている。 免許交付申請時の診断書提出についても2001年当時から疑義が出されている。 大里晃弘(おおさとあきひろ)さん精神科医。医学生の時に失明、鍼灸マッサージ師として働いてきた。欠格条項見直し後、2002年から医師国家試験に再挑戦、2005年に合格し半年後に免許交付を受けた。 *元のPDF資料には大里さんの写真が掲載されている。 (スライド番号23) 看護師など 2001年の薬剤師法改正直後の試験では受験者が補聴器の装用を 拒否された。各試験の連絡窓口も電話のみの記載で、聞こえない本 人には連絡できないものだった。 欠格条項のもとで、障害者が平等に受験できる環境づくりも、非常に 遅れてきた。 左の調査で、91校の看護学校学部に聴覚障害学生が学ぶようになっているが、手話通訳や筆記通訳の実施は皆無であり、ほとんど何も合理的配慮が行なわれていないことが明らかになっている。 *「左の調査」とは、「平成20年度障害者保健福祉推進事業(障害者自立支援調査研究プロジェクト) 医療系大学等における聴覚障害学生への講義保障のための調査研究事業」のことである。元のPDF資料には、この事業の報告書の表紙の画像が掲載されている。 (スライド番号24) 自動車等の運転免許 ・道路交通法90条は運転免許試験に合格しても病気によって免許を交付しないか又は取り消すことがあるとしている。病状を自己申告する仕組みだが、病気があれば危険という見方ゆえに条文も病気の有無に焦点がある。 ・運転免許試験の適性検査の合格基準は道路交通法施行規則23条にある。日本では視力0.7未満で免許不可とされるが、警察庁委託調査報告にある国々は、視力基準平均0.5程度で、個々人について安全に運転する可能性を検討している。 ・同じく調査報告にある10か国のうち9カ国が、自家用車の運転については聴力不問。日本では、聴覚障害者は補聴器か特別なミラーの装着が条件だが、似た制度があるのは韓国 のみで、その韓国も2010年からタクシー免許等を認めている。 (スライド番号25) 選挙に行けなくなった 成年後見制度での選挙権確認求め提訴 2011年2月1日TBS放送  判断能力の不十分な人が財産管理などを代理してもらう「成年後見制度」。この制度を利用している女性が「制度を利用すると選挙権が奪われる公職選挙法の規定は憲法違反だ」として、国を相手取り訴えを起こしました。 *元のPDF資料は写真が掲載されています。 2011年、東京・埼玉・京都の各地裁に相次いで選挙権の確認を求めて提訴されている。 成年被後見人への欠格条項は数多くあり殆どが絶対的欠格条項。 例えば公務員法では、成年被後見人には受験資格がなく、もし成年後見制度を利用したときは退職しなければならない。必要な人に対して財産管理等に支援を提供することが、その人から参政権や労働権などの基本的権利を奪うことになっているのは、全く不合理である。 (スライド番号26) 日々届いている声 ■■の資格免許を取得したいが、欠格条項はないか? 障害があるが、□□の免許試験は受験できるかどうか? 相対的欠格条項に該当するとされて、試験に合格しても、免許交付申請を却下されるのではないか? 働くなかで、病気や障害をもった。そのために免許をとりあげられるのではないか? 平等に受験するために必要な配慮を求めたが断られた。 相対的欠格条項の存在を理由に、専門学校等が受け入れない。/入学を辞退するよう学校から求められた。 国が1999年に見直し対象とした63制度 2011年8月現在 資格免許、法律名、現状の順 1 検察審査員 検察審査会法 障害者にかかわる欠格条項の全廃 2 製菓衛生師免許 製菓衛生師法 障害者にかかわる欠格条項の全廃 3 栄養士免許 栄養士法 障害者にかかわる欠格条項の全廃 4 調理師免許 調理師法 障害者にかかわる欠格条項の全廃 5 地域伝統芸能等通訳案内業免許 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律 免許の廃止 6 歯科医師国家試験・予備試験 歯科医師法 受験欠格の撤廃 7 医師国家試験・予備試験 医師法 受験欠格の撤廃 8 公営住宅への単身入居 公営住宅法施行令 2011年地域主権関連法成立に伴い6条を削除、地方公共団体に委ねられた 9 改良住宅への単身入居 住宅地区改良法施行令 2011年地域主権関連法成立に伴い6条を削除、地方公共団体に委ねられた 10 風俗営業の許可 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 不許可対象から「精神病者」を削除 11 風俗営業の許可基準に係る調査業務 風俗環境浄化協会に関する規則 不許可対象から「精神病者」を削除 12 風俗営業の営業所の管理者 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 不許可対象から「精神病者」を削除 13 建設機械施工の技術検定 建設業法施行令 受験欠格の見直し。建設業法施行令の欠格条項は存続 14 理学療法士・作業療法士免許 理学療法士及び作業療法士法 精神相対、従前のまま 15 理容師免許 理容師法 精神相対、従前のまま 16 薬局開設許可 薬事法 精神相対、従前のまま 17 麻薬の輸入等に係る免許 麻薬及び向精神薬取締法 精神相対、従前のまま 18 医薬品等の一般販売業等の許可 薬事法 精神相対、従前のまま 19 けしの栽培許可 あへん法 精神相対、従前のまま 20 医薬品等の製造業等許可 薬事法 精神相対、従前のまま 21 あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゆう師の免許 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 精神相対、従前のまま 22 柔道整復師免許 柔道整復師法 精神相対、従前のまま 23 美容師免許 美容師法 精神相対、従前のまま 24 医師免許 医師法 視聴覚言語相対に。精神相対は従前のまま 25 視能訓練士免許 視能訓練士法 視聴覚言語相対に。精神相対は従前のまま 26 言語聴覚士免許 言語聴覚士法 視聴覚言語相対に。精神相対は従前のまま 27 臨床工学技士免許 臨床工学技士法 視聴覚言語相対に。精神相対は従前のまま 28 保健婦、助産婦、看護婦又は准看護婦免許 保健師助産師看護師法 視聴覚言語相対に。精神相対は従前のまま 29 歯科医師免許 歯科医師法 視聴覚言語相対に。精神相対は従前のまま 30 診療放射線技師免許 診療放射線技師法 視聴覚言語相対に。精神相対は従前のまま 31 救急救命士免許 救急救命士法 視聴覚言語相対に。精神相対は従前のまま 32 歯科衛生士免許 歯科衛生士法 視聴覚言語相対に。精神相対は従前のまま 33 歯科技工士免許 歯科技工士法 視覚障害相対に。精神相対は従前のまま 34 薬剤師免許 薬剤師法 聴覚言語障害は絶対的欠格を削除。視覚障害相対に。精神相対は従前のまま 35 義肢装具士免許 義肢装具士法 聴覚言語障害は絶対的欠格を削除。視覚障害相対に。精神相対は従前のまま 36 臨床検査技師・衛生検査技師免許臨床検査技師等に関する法律 聴覚言語障害は絶対的欠格を削除。視覚障害相対に。精神相対は従前のまま(「衛生検査技師」資格は廃止された) 37 特定毒物研究者の許可 毒物及び劇物取締法 視聴覚言語と色覚削除、精神相対は従前のまま 38 毒物劇物取扱責任者 毒物及び劇物取締法 視聴覚言語と色覚削除、精神相対は従前のまま 39 国家公務員の就業禁止 人事院規則 精神障害者の就業禁止は船員である職員に残されている 40 火薬類取扱い 火薬類取締法 知的、精神を、「精神の機能の障害」に変更 41 獣医師免許 獣医師法 視聴覚言語精神障害者および「上肢障害者」を相対に 42 家畜人工授精師免許 家畜改良増殖法 「上肢の機能の障害」も相対に 43 外国人の上陸制限 出入国管理及び難民認定法 精神障害について相対的欠格に。 44 鉄砲又は刀剣類所持に係る許可 銃砲刀剣類所持等取締法 精神、てんかん、そううつなどを対象に厳しい制限 45 狩猟免許 鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する法律 精神、てんかん、そううつなどを対象に。視聴覚基準の変化なし。四肢体幹障害については補助手段に言及 46 自動車等の運転免許 道路交通法 精神、てんかん、そううつなどを対象に。免許交付更新申請書に病状申告欄新設。視力基準は変更なし。聴力は2008年に特定後写鏡免許を新設。 47 指定射撃場の設置者及び管理者 指定射撃場の指定に関する内閣府令 銃刀法に準拠 48 海技試験制度(自衛艦) 船舶の配員の基準に関する訓令「身体の障害」を「身体の故障」に変更 49 無線従事者免許 電波法 設備操作に支障がない場合には免許交付、ただし限定条件あ 50 一般労働者の就業禁止 労働安全衛生規則 精神障害者就業行為制限の一部および雇入時色覚検査削除 51 衛生管理者・作業主任者・クレーン等の運転免許 労働安全衛生法 規則で、精神・身体機能の障害ゆえにある作業内容を行えない者への相対規定 52 海技従事者国家試験(一般船) 船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規 身体検査基準は実質的運動能力で評価へ 53 動力車操縦者運転免許動力車操縦者運転免許に関する省令身体検査基準の見直し。運動機能は「運転に支障がある障害 がないこと」に変更 54 水先人免許 水先法 身体検査標準表の見直し。業務を行うに差し支える重い疾病又は身体機能の障害がないこと 55 船舶乗務のための身体検査基準 船員法 法文表現の見直し。てんかん、精神病など絶対的欠格から相対的欠格に 56 航空機乗り組のための身体検査基準 航空法 航空法施行規則において身体検査基準の見直し 57 通訳案内業免許 通訳案内士法 精神障害が相対に 58 放射性同位元素等の使用、販売等の許可 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律 精神障害が相対に 59 放射性同位元素又はこれに汚染された物の取扱い並びに放射線発生装置の使用の制限 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律 精神障害が相対に 60 警備員の制限 警備業法 精神障害が相対に 61 警備員等の検定資格 警備業法 精神障害が相対に 62 警備業の認定 警備業法 精神障害が相対に 63 警備員指導教育責任者・機械警備業務管 警備業法 精神障害が相対に ※1番から12番までは障害者欠格条項はなくなった  13番から63番については現在も相対的欠格条項が残されている ■参考文献など 障害者欠格条項をなくす会ニュースレター51号 2011年 ADA の現状と活用の仕組み −ADA 二十周年を迎えた米国での短期調査から 臼井久実子・瀬山紀子『福祉労働130』 2011年 障害者欠格条項の現状と課題 臼井久実子・瀬山紀子 『障害学研究4』 障害学会 2008年 『Q&A 障害者の欠格条項』 臼井久実子編著 障害者欠格条項をなくす会企画 明石書店 2002年 英国におけるDeaf people への看護教育の現状について 栗原房江 『看護教育』2011年8月号 医療系大学等における聴覚障害学生への講義保障のための調査研究事業報告書 2009年 http://www.com-sagano.com/jisls/publications/svision04.html 『医療現場で働く聞こえない人々−社会参加を阻む欠格条項』聴覚障害をもつ医療従事者の会編著 2006年 『もう一度選挙に行きたい−成年被後見人に選挙権の回復を』NPO 法人PandA-J 2011年 人権と障害者−保障と障壁(一)(二)(三)(四) 田中邦夫 国立国会図書館『レファレンス』所収 1997-98年 旧障害者施策推進本部ウェブサイト http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/suishin.html 「資格取得試験等における障害の態様に応じた共通的な配慮について」 障害者施策推進課長会議決定(2005 年11 月9 日) http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sikaku.html 障害者欠格条項をなくす会ウェブサイト http://www.dpi-japan.org/friend/restrict/ 附則・付帯決議から引用、抜粋(いずれも2001年6月) 「障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための医師法等の一部を改正する法律案」提出時法案は、次の附則修正を加え、参議院・衆議院それぞれで附帯決議をつけて成立した。 附則 修正第2条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律における障害者に係る欠格事由の在り方について、当該欠格事由に関する規定の施行の状況を勘案して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 付帯決議 ・各種資格試験等においては、これが障害者にとって欠格条項に代わる事実上の資格制限や障壁とならないよう、点字受験や拡大文字、口述による試験の実施等、受験する障害者の障害に応じた格別の配慮を講ずること 道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 一、障害者等に対する免許の拒否等の基準を定めるに当たっては、交通の安全と障害者等の社会参加が両立するよう、障害者団体を含め、広く各界の意見を十分聴取すること。 三、運転免許の適性試験・検査については、これが障害者にとって欠格事由に代わる事実上の免許の取得制限や障壁とならないよう、科学技術の進歩、社会環境の変化等に応じて交通の安全を確保しつつ、運転免許が取得できるよう、見直しを行うこと。