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「障害」の表記の在り方に関係するスケジュール

●3月19日(金) 障がい者制度改革推進会議
(「障害」の表記について)

[4月23日(金)文化審議会国語分科会漢字小委員会で「「改 定常用漢字表」に関する答申案(素案)」を了承]

●5月10日(月) 障がい者制度改革推進会議

[5月19日(水) 国語分科会で答申案決定]

●6月ごろ 障がい者制度改革推進会議(中間取りまとめ) (※制度改革の基本方針にどう盛り込むか。)

[6月第1週~第2週ごろ 文化審議会から答申]

[この後、「改定常用漢字表」を内閣告示する予定]

(※「常用漢字表」の制定は昭和56年であり、今回は約30年ぶりの 改定となる。)

「「改定常用漢字表」に関する答申案(素案) 」(抜粋)

Ⅰ 基本的な考え方

(2)字種選定における判断の観点と検討の結果

 188字の追加字種候補を選定した後,追加字種の音訓を検討する過程で,字種 についても若干の見直し(追加4字,削除1字)を行い,「「新常用漢字表(仮称)」 に関する試案」では191字を追加することとした。さらに,平成21年3月から 4月に実施した,一般国民及び各府省等を対象とした意見募集で寄せられた意見を 踏まえて再度の見直し(追加9字,削除4字)を行い,「「改定常用漢字表」に関す る試案」では196字を追加字種とした。また,平成21年11月から12月には 2度目の意見募集を実施し,寄せられた意見を精査した上で更に検討を加えたが, 本答申案(素案)でも,この196字の追加字種をそのまま踏襲することとした。

 さらに,選定した196字の追加字種と5字の削除字種については,平成22年 の2月から3月に,意識調査(16歳以上の国民約4100 人から回答)を実施し, その結果は,字種の選定が妥当であったことを裏付けるものと言えよう。 なお,2度の意見募集に際し,関係者から追加要望のあった「碍(障碍)」は,上 述の字種選定基準に照らして,現時点では追加しないが,政府の「障がい者制度 改革推進本部」において,「「障害」の表記の在り方」に関する検討が行われている ところであり,その検討結果によっては,改めて検討することとする。

(* 波線部は,第2次試案からの変更点)

第41回国語分科会漢字小委員会(平成22 年4月13 日)議事録(抜粋)

○出久根委員
今の「障碍(しょうがい)」のことなんですけれども,この明治の読売新聞から拾われた 言葉を見ますと,みんな物とか,現象とか,そういう形で使われていて,いわゆる身体,人間の体の障害というのでは例が出ていないようですね。そうしてみますと,やはり身体障害という言葉が,この時代,あるいは戦前においてはそういうことはあからさまな差別として行われていたために,あえてそういう言葉を作らなかったんだろうと思うんです。身体障害という言葉が出てきたこと自体が私どもの意識がかなり向上しまして,差別問題に敏感になったとも言えると思うんですけれども,大体身体障害という言葉がいつごろできてきたのかというのが問題であります。物とか現象に対して,障碍(しょうがい),障碍(しょうげ)という言葉が使われていたのに比べて,ごく最近ではないかと思うんです。最近というのは戦後になって,差別意識がある程度出てきてから作られてきた言葉ではないかと思うんです。その時,つまり言葉ができた時になぜ「害」を使ったのかというのを知りたいところなんですけれども,これは分からないでしょうね。どうなんでしょう。

○氏原主任国語調査官
お話の中に,2点あったと思います。一つは,身体に障害を当てた例が見当たらないのではないかということです。ただ,これにつきましては,さっき見ていただいた「吾輩は猫である」の中に,「毫も内臓の諸機関に障害を生ぜず」という例があります。内臓諸機関ですから,身体にかかわるところに障害を当てているという,明治30年代の例です。
それから,もう一つの,その時になぜ「害」を使ったのかというのは,一つは,さっき見ていただいたように,ある時期からは「害」を用いた「障害」という表記の方が一般的になっています。ですから,身体という語と,「しょうがい」という語を組み合わせた語を作るときにも,表記としては「障碍」よりも当時一般に使われていた「障害」が選ばれたという事情があったのだろうと考えられます。それと,戦後になると,昭和21 年に出された「当用漢字表」に「碍」が入れられなかったということもあります。戦後に関しては,その影響は大きかったと思います。戦前から戦後すぐについては,今申し上げたように,実態としては「障害」が多かった,こういったことが背景にあったのだろうと思います。

○出久根委員
私は不思議でしようがないんです。戦前,戦争で体を損なった方,傷痍軍人さんたちが多かったわけです。それなのになぜ「害」を使ったのかというのは,ちょっと不思議なんです。本来ならば国家のために体を損ねた人たちですから,もうちょっといい形で,いい文字を当てる,そうすれば,このような,現在,私どもが討議するようなことにはならなかったのではないかという気もしないではないんです。ただ,私はこの問題というのは,現象とか,発生を抜きにしまして,大変に難しい問題だろうと思うんです。私どものこの討議だけで尽くせるものかどうかという,大きな問題だろうと思うんです。では,どうしたらいいかというのは分からないんですけれども,ちょっと荷の重い問題であるというのだけは言いたいと思います。

○内田委員
お見事です。今ずっと検証のプロセスを聞かせていただいて,説得されました。漢字の意味の変容を動機付けるものというのは,結局は使用者の側の心の持ちようであるということを実感させていただきました。偏見が生まれた時に,「障害」が,それが害をもたらすというように読み取ってしまう,心の側の問題なんだというふうに思ったんです。今回のこの字の検討を通して,使用者側にある偏見というものを対象化する契機を与えていただいたように思います。
先ほど氏原主任国語調査官が言われたように,使われていないからこそ,「障碍」の方が あかにまみれていない。心を映すものとしてイメージをわかせるものではないがために,私自身も「碍」を,差し障りを自分の身が受けるという,主体の側に,障害を持った方の主体の側に引き付けて読み取るというような,読み取り方をしていたんだなというふうに思います。
ですから,結論としては,やはり選定基準に従うということと,それから,社会政策の問題として,これから決まっていったときに改めて検討をするというふうなところが非常に妥当であると思いました。この検証のプロセスを是非論文に書いていただいて,学会に発表されてはどうでしょうか。すばらしい検証だと思います。感銘を受けました。

○前田主査
漢字ワーキンググループでは,実は,この障害にかかわる語誌,私の方でも多少調べまして,おおよその見通しは付けております。ただ,それらのことは,もう今日調べていただいたこと,今日の議論の資料で十分だと思いましたので,それについてはもう触れないことにしたいと思います。ただ,用意があるということです。
先ほども既に議論に入っている部分もありましたけれども,ただ今の御説明を踏まえまして,「障碍」以外の問題も含めまして御意見がありましたら,お願いしたいと思います。

(中略)

○納屋委員
先ほどの字種についてのことで今話をしているんだと私は思っているんです。振り仮名 のことは次の段階の問題だと思っております。先ほどの三つの字,「玻」と「碍」と「鷹」,この3字について入れるということは見合わせるということが提案でございますね。その 提案については,私は,内田委員ではないですけれども,すごい感動があります。「碍」について大変論理的に話が進められていますし,「玻」については頻度数から,「鷹」については固有名詞からという理由が明確に述べられていて,だからここには載せない,ただ,「碍」についてだけは問題点が非常に多いからということで,あれだけの説明がなされたというふうに理解をしたわけです。
以前にお話ししたところでありますけれども,昨年の秋の特別国会の時に,鳩山首相が述べられた障害者にかかわる発言,その時に私も驚いたわけです。「チャレンジド」と使われて,自分では困ってしまったところがありました。こういう問題で,「チャレンジド」と言われて,さあ,どういうふうに考えたらいいんだろうかとなったわけです。首相の発言の新聞公表の段階も「障害」の「がい」というところが平仮名書きだったわけです。その驚きというのはすごく大きかったです。つまり,バリアフリーではないんです。バリア,障害というふうな,これを少しでも取り除いていこうとする社会の動きというのではなくて,人のことをチャレンジドと言われているところにも,大きな違いを感じたわけです。
それで,漢字の1字の変更をということで,「害」から「碍」へというのが要望では一般 の方からも多く寄せられていることも分かってはいるのですけれども,これはそんな簡単な問題ではないだろうというので,以前も待った方がよろしいのではないでしょうかという発言をしてきたところであります。今日,事務局から説明された「碍」の取扱いについては大変すばらしいと思っております。字種全体について,また三つの字の取扱いはこのとおりだと,私は思います。

○金武委員
私も今の御意見に賛成なんです。それで,ちょっと補足しますと,先ほど氏原主任国語調査官が説明されたように,「碍」と「害」の違いというものが,意見書に寄せられたほど明確ではない。この資料によれば歴史的にほとんど同じように使われている。混用されているということがはっきりしていますので,それについてはここで客観的に論証された。したがって,配慮すべきことは障害者の気持ちの問題でして,つまり「害」という意味が非常に分かりやすいので,それで,非常に不愉快に思っているという方がたくさんいらっしゃる。それで,改めてほしいというのが意見書の基本的な一番強い主張だと思うので,それについては当然考慮しなければいけない。ただし,今までマスコミ等に入っている情報では,これがすべての障害者の意見ではなくて,障害者の団体によっては交ぜ書きにすればいい,あるいは「碍」でもマイナスイメージは変わらないのだから,障害という言葉をできるだけ言い換えるように考えるべきであるとか,現在の状況では「害」というものが法律が決まった時には,もっとひどい差別語があったところを差別のない言葉として,「障害」や「身体障害者」を作った。その時期のことを考えれば,今のところは「害」でいいという団体もあります。
すべての障害者団体からの希望ではないということで,結局政府の会議でその表記につ いて考えるということになりますと,各方面の御意見を聞くことになると思いますので, これは当漢字小委員会としてもそちらの結論を見守って,その時点で対応するということ でいいのではないかと思います。

○武元委員
今,多くの委員の方から出された意見に賛成をするという前提で申し上げます。お尋ね も含めてなんですけれども,さっき御説明のあった配布資料4の別紙8の,この「検討」というのが,どのようなスケジュールでなされるのかということを,まずお尋ねしたいと思います。と言いますのは,大前提としまして,「常用漢字表」というものが内閣告示・訓令として示されるものである以上,この方針と食い違う表記ということは,どう考えてもおかしいと思いますので,確かにそれと合致しなければいけないというふうに思んです。
そうしますと,姿勢として責任放棄の気味もあるんですけれども,試案中の「障」の字 の語例に「障害」が入った形になっていますが,漢字表に「障害」が入っていることとの整合性を取らなければいけないということになりますので,その辺をよく考えないといけないんじゃないかと思うんです。で,最初の質問に戻って,この「検討」というのがどのようなスケジュールで行われるのかということを伺いたいと思います。

○氏原主任国語調査官
具体的に結論がいつぐらいに出るのかというのはまだ分かりません。ただ,3月19日に第5回障がい者制度改革推進会議がありまして,そこで「しょうがい」の表記についての議論がありました。その時の会議では,この後,4月か5月に,もう一度表記について検討するというようなお話が出ておりました。全体のスケジュールとして,夏ぐらいまでにある程度の中間的なまとめを出すというようなことも別に聞いております。武元委員の御質問は,こちらの答申,それから答申になったものが内閣告示・訓令になる,その流れとどう関係してくるのかというお尋ねだと思いますが,漢字ワーキンググループでもその辺りはかなり議論しておりまして,今からですと,可能性としては二つしかないと考えています。既にこの時期になっていますから,答申の前に結論が出ることはもうないと思います。そうしますと,答申が内閣告示・訓令になるまでの間に結論が出てくるのか,内閣告示・訓令になった後に結論が出てくるのか,という二つのケースしかありません。
それで,答申から内閣告示・訓令までの間ということであれば,考え方がはっきり出てきて,今後の社会の在り方として「碍」を使っていこうというような明確な結論が出るのであれば,その段階でもう一度国語分科会を開いていただいて,そこで検討して,それを受け入れましょうということになれば,その段階,つまり告示・訓令になる段階で「碍」が入ることになると思います。これまでにも,「送り仮名の付け方」などは答申と,告示・訓令とで中身が少し違っております。そういう例もあります。内閣として「しょうがい」の表記が決定されるのであれば,改定常用漢字表も内閣告示・訓令として示されるわけですから,おっしゃったようにそれと矛盾した内容になっているのはおかしいと思います。それから,内閣告示・訓令になってしまった後に結論が出てくるということになって,その結論が「碍」がいいんだということになれば,これは1字追加とか,そういった形で入れていくことになるのであろうというような話を,漢字ワーキンググループでしております。もちろんその前提としては,この国語分科会で議論して,そこで了解が取れた場合にはということでございます。そんなことで,よろしいでしょうか。

○松村委員
私は,基本的に常用漢字の字種はできるだけ増やさないということで,最初からの観点 であった造語力と出現頻度,その観点からも三つの漢字については増やすべきではないというふうにずっと考えておりましたので,今日の御提案に賛成です。特に「碍」については,私自身はこの漢字小委員会で,「碍」というこの漢字はどういう熟語として使われるのかというようなことを知らないものですから質問をさせていただいたこともありますが,多くの人たちにおいては,この「碍」については余り日常生活で目に触れていないというところで,内容的な,今日,御説明のあった変遷を知らない。そういう意味では「害」について,差別意識と言いますか,そういう観点がクローズアップされるについて,「害」の持つイメージがいろいろ取りざたされるようになった。その経緯の中で,「害」を使わないようにという意見が増えてきた,そういうふうに思います。漢字の言い換えではなくて,障害を持っている方をどういうふうに呼ぶと言いますか,どういうふうに呼んでいくことができるかということをもう少し私たちは考えるべきであって,漢字についてはこの最初の御提案のとおりということで,賛成いたします。

○前田主査
「碍」に変えるということで,追加するということではない方法という点では,言葉を言い換えるということもあるんじゃないかということですね。
まだ問題がありますので,次に移りたいと思います。字種についてのまとめは,先ほど御説明いただいたような形で,御了解を得たというふうに考えたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。(→ 漢字小委員会了承。)
それでは,その次に移って,説明していただければと思います。

(以下略)

<付:配布資料4(要望の多かった「玻・碍・鷹」の扱いについて)の事務局説明>

○氏原主任国語調査官
 (…略…)次に,配布資料の4を御覧ください。配布資料4は,追加要望の多かった,「玻・碍・鷹」の扱いについてまとめたものです。前回も申し上げたんですが,今回追加 要望というのはこの3字に集中しています。「玻」が95 件,「碍」が86 件,それから「鷹」が24 件です。後はすべて5件以下になってしまうということです。多くの要望が寄せられていますが,特にこの3字については,今申し上げたように95 件,86 件,24 件ということで多くの御意見が寄せられたので,それについてどう考えるかということで,配布資料4をまとめているわけでございます。結論は,さっき配布資料2の「1 字種について」で見ていただいたように,基本的に変更しないということです。「基本的に」と付けた理由は何かというのは,この後,御説明申し上げます。

 まず,3字のうち「玻」については出現頻度が3,949 位,語例としては「玻璃」,「玻璃」というのはガラスだとか水晶の意味ですけれども,「玻璃」という形で使われる。「碍」については「融通無碍」とか,「碍子」とかで使われる。「鷹」については,一般語としては「鷹揚に構える」というような「鷹揚」,今回調べた調査ではそれ以外の語として,前にも申し上げましたように「鷹場」とか,「夜鷹」とか,「鷹匠」とかが出てきています。

 こういった資料などを再度確認して,「玻」については出現頻度が3,949 位であるという こと,「玻璃」という語ぐらいしかないということ,そして,この「玻璃」という語が今の日常生活の中で使われているかというと,ほとんど使われていないといったことなどから考えて追加しないと判断しました。さらに,4月7日付で最高裁が抗告を棄却したということが報じられましたが,最高裁の判断でも「玻」は「常用平易でない」というような,親御さんの気持ちを思うと非常にお気の毒だと思いますけれども,そういった判断が出たことが新聞などでも報道されました。漢字ワーキンググループでも,この字を「常用平易である」,あるいは「常用漢字にふさわしい」とするのは難しいと判断いたしました。

 「鷹」については,出現頻度は1,509 位とかなり高いわけです。ただし,実際の使われ方 を見ると,固有名詞としての使用例が多いということは前から申し上げているとおりで,今回も,これまでの判断を変える必要はないだろうということを確認して,このまま追加しないと判断いたしました。

 「碍」についてです。先ほど申し上げた「基本的に変更しない」と「基本的に」とわざわざ付けた理由は,「碍」の扱いというところにあるわけです。これにつきましては,86 件の方が意見を寄せています。86 件の方の御意見を何度も読み返しました。微妙に言い方が違うんですが,意見の趣旨を大きく分けると,3点に整理できると思います。
 1点目は,戦前は「障碍」という表記を使っていたという主張。強調なさる方は,戦前は「障碍」という表記しかなかったというような言い方で意見を寄せていらっしゃいます。とにかく戦前は「障碍」を使っていたのだから,本来の表記である「障碍」に戻すべきであるというものです。

 2点目は,1点目と関連するんですが,戦前は「しょうがいしゃ」という表記はすべて「障碍者」と書かれていたという主張。戦前は「しょうがいしゃ」というのは「障碍者」という表記しかなかった,だから「障害者」を本来の表記である「障碍者」に戻すべきである,こういう御意見です。

 それから,3点目は,「障碍」と「障害」とでは意味が違うのだという主張。「害」の方 は害虫とか,公害とか,災害とか,非常に意味が悪いんだけれども,「碍」の方はそんなに意味が悪くないんだという御意見です。「碍」は「礙」という字が本来の字ですけれども,これは大きな石を前にして立ちどまる,つまり石が邪魔をしてそれより先に行けないわけですから,そこで妨げられるという意味になるわけです。そういったところから「害」のような悪い意味がない,そういうことが言われております。

 そして,もう1点大事な点は,今の三つを挙げた上で,今の3点は言葉の使い方の経緯や意味などの事実に関する御意見ですが,もう1点は,事実と離れて,そういった意見を寄せてくださった方の気持ちとして,「害」は嫌なんだということです。つまり,自分たちは社会に害をなしているわけでもないのに,「害」という字を使われることが非常に不愉快であるし,嫌だということです。これは気持ちの問題です。私などはこの気持ちの問題が一番大切ではないかというようにも感じております。

 最初に申し上げた事実にかかわることで申し上げると,戦前は「障碍」だけであった,それから,戦前は「障碍者」という言い方だけであった,そして「障碍」と「障害」とは意味が違うんだという3点になりますが,戦後になって「当用漢字表」ができて,そこに「碍」が入らなかったために「害」を使うことを余儀なくされた,だから,本来の「碍」の字に戻せ,いろいろバリエーションはあるんですけれども,こういうふうに事実関係については,御意見をまとめられるのかなというふうに考えております。

 この配布資料4は,どういう意味で作ったかと言いますと,まず今のような事実関係に関することを確認するためです。実態は,どうなっていたのかということをまず明らかにする必要があるだろうと考えたわけです。配布資料4を見ていただきますと,<「障害」と「障碍」の使用の経緯・意味等>ということで,①から⑤まで挙げております。

 ①は,江戸末期における「障害」の使用例,②は明治期から大正期にかけての「障害」と「障碍(礙)」の使用例です。それから,③は法律における「障害者」の使用例,④は,これまで我が国で使われてきた「障碍(礙)」という語の意味,それからもう一つ,大きな要素として,⑤は,障がい者制度改革推進本部の設置となっています。今回,寄せられた意見の中には,こういう「障がい者制度改革推進本部」ができて,その下に表記の在り方について検討するんだから,それを待つべきであるとか,国語分科会で結論を出すべきではない,という御意見を寄せてくださった方もいらっしゃいます。そして,そういう理由から,「碍」については追加すべきではないという御意見も寄せられています。

 今の①から④までは,先ほど申し上げた三つの点,これにかかわって実態はどうだったのかということを見ていただこうという資料でございます。まず最初のページをお開けください。別紙1です。これは,我々が調べて,最も古くまでさかのぼった例が,1862 年であるというものです。江戸時代,文久2年ですけれども,『英和對譯袖珍辭書』というのがありまして,そのAnnoy,Annoyance,の訳語として,「退屈ナル物」とか,「害」の「障害」とかが出てきます。ですから,今回寄せられた意見では「障害」は戦後になって作られたものだということを書いていらっしゃる方もいるんですが,実際はそんなことはなくて,江戸末期の文献にも見ることができます。もちろん「障碍」もあるので,その例も出しております。Rub の訳語として,そこに「障碍」があります。

 2ページ目の,別紙2を御覧ください。これも,「障害」と「障碍」とはかなり早くから両方使われていたんだということを示すものです。真ん中に線を引いている部分があると思います。『布令字弁』ですが,これは1868-72 年ということですから,明治の本当に初めです。そこにも「障害」ということで,「セウガイ」と書かれていますけれども,「しょうがい」です。「ササワリソコナフ」という意味で「障害」が挙がっております。有名な例ということで,漱石の「吾輩は猫である」,1905-06 年ですから,明治30 年代です。「毫も内臓の諸機関に障害を生ぜず」。次の?外の例は,「…障碍を加へるものであるやうに感じた」とあって,これも同じ意味で使われています。3点目として「しょうがい」の「障害」と「障碍」とは意味が違うんだというのがありましたけれども,これらの例からも同じ意味として使われているということが分かります。

 別紙3を御覧ください。法律においても,実は「障害」と「障碍」は早くから両方使われています。「障害」で言いますと,明治30 年の砂防法。法令全書までさかのぼって,一応確認できたものをここに挙げております。文部科学省の図書館の書庫に入って,法令全書を見てすべて確認しておりますので,確かにこういう形で例がある,挙がっているというものだけを挙げてあります。「害」も,それから「碍」もこんなふうに明治から既に両方が使われているというのがこれでよく分かります。これも中身を見ていただきますと,電信法とか電気事業法とか,同じような分野で使われているものもありますので,意味は同じです。要するに妨げということです。

 それから,別紙4を御覧ください。これは国立国語研究所で,雑誌『太陽』日本語データベースというのをお作りになっていて,博文館新社というところから,CD-ROMを付けたものが販売されております。その販売されたものを国語課で調べて,こんなふうにまとめてみたというものです。見ていただきますと,「障害」,「障碍」,それから「障礙」,こんなふうになっています。確認していただきたいのは,明治28 年のところと比べると,明治42 年は,13,8,5,大正6年は,20,14,6,大正14 年は,20,8,1ということで,下にそれをグラフにしておりますけれども,こんなふうに見てくると,もう大正の末には「害」が非常に多くなっている。これは昭和に入っても同じです。もっとこの傾向は進みます。ですから,「しょうがい」という場合には,一般には「障害」という表記が普通であったということは,既にこの資料からも分かります。

 その次を御覧ください。別紙5です。これは読売新聞が「明治の読売新聞」というのを出していまして,明治7年からの読売新聞の紙面をCD-ROMに画像データとして入れております。これは検索が難しいので,すべてCD-ROMで画像に当たって確認しないといけないということがあります。明治7年から30 年間,明治37 年まで,この辺りにあるのではないかというのをすべて索引のところで見当を付けながら,実際の索引は,本文とは違って,別な用語に置き換えられたり,要約されたりしていますので,一つ一つ見て,確認する必要があります。 30 年間分のものを見ています。そういう事情がありますので,もしかすると,これ以外の記事にも「障害」や「障碍」が出てきているかもしれません。ただ,大体の流れは分かると思います。明治9年を見ると,まず「さはりぎ」というのが出てきて「障碍木」と書いてあります。 「障碍」に「さはり」というルビを振っています。明治10 年の「障碍物飛び越し」は「しょうがいもの」,明治12 年のは「障礙(しやうげ)」と振ってあります。17 年のは「障碍」と書いてあるんですが,「さはり」と振っています。次の,18 年は「障碍飛越」,19 年「障害」,「障害」は19 年から出てきます。それから,20 年には「障碍競争」,21 年「障碍飛越」,ここで注意していただきたいのは,「障碍」の場合には,この辺りの記事では,すべて「しやうげ」と振っているということです。明治10 年のは「しやうがい」と振っていましたけれども…。ですから,この時期には,まだこの語は「しやうげ」と読まれているケースが結構多いということが,このデータからもよく分かります。明治22 年にはルビなしで「障害」と出てきます。次のページに行きます。この辺りも同じです。「障碍物(しやうげぶつ)」,「障碍飛越(しやうげとびこえ)」。それから,ちょっと面白いのは,幸田露伴が「日ぐらし物語」という新聞小説を書いているんですが,その中で「障害物(しやうがいぶつ)」というのと,「障碍(しやうげ)」,「無障碍(むしやうげ)」と使い分けているんです。「しやうがい」という場合には「障害」を使い,「しょうげ」という場合には「障碍」を使っている,こんなふうに使い分けています。明治24 年は「障碍(しやうげ)」になっていますが,25 年は「障害(しやうがい)」です。次のページも御覧ください。この辺りから「障碍」が「しやうがい」と読まれるケースが多くなってきます。明治26 年11 月「障碍(しやうがい)」,28 年も「障碍(し やうがい)」,29 年,この29 年の時には「障碍物競争(しやうげぶつきやうそう)」,「障害物競争(しょうがいぶつきょうそう)」ではなくて「障碍物競争(しやうげぶつきやうそう)」になっています。ただし,30 年にはまた「障害(しやうがい)」になっています。「障碍」はもともとは「しやうげ」という読み方であったんだというのが,こういうのを見てもよく分かると思います。「碍(げ)」というのは呉音なんですが,それが漢音の「がい」で読まれるようになって,「障碍(しやうがい)」と読まれるようになるわけです。次のページを御覧ください。明治 30 年,「大障害(だいしやうがい)」,31 年「障害(しやうがい)」。これもちょっと面白いのは,真ん中の段を御覧ください,明治33 年の3月23 日の記事と,次の明治33 年の3月24 日の記事,これは続きの記事になっています。見ていきますと,論説ということで,「日露貿易前途の一大障害(しやうがい)」と書いてあります。この「障害(しやうがい)」は3月23 日の方では「害」です。ところが,次の24 日これは前の日の記事を受けているわけで,「日露貿易前途の一大障碍(しやうがい)」という同じ表題になっていて,括弧して,承前と書いてあります。前を受けるということです。ですけれども,この「一大障碍」の「が い」は「碍」になっています。ただし,記事の中では「障害」と「害」になっています。 ですから,同じ新聞の一面の記事で,連続した記事であるにもかかわらず,「一大しやうが い」というのが「障害」と「障碍」と両方出てきます。このことは何を意味しているかと言うと,同じ意味で使っているということです。明治34 年の4月9日の記事では「障害物競争(しやうがいぶつきやうそう)」が「害」で出てきます。ですから,明治時代から「障害物競争」というのは「害」で書かれたものも使われているということです。

 その次のページ,別紙6です。法律における「障害者」等の使用例ということで,法律ではどんなふうに書かれてきたのかということで,救護法これは昭和4年ですけれども,前の語が並んでいて,「其ノ他精神又ハ身体ノ障碍ニ因リ」ということで,ここには確かに「碍」が出てきます。それから,昭和19 年,これは戦前ですけれども,「障害年金及障害手当金」を使用ということで,実はもうちょっと別な,いわゆる今でいうところの差別的な言い方が使われていたものを「障害年金及障害手当金」という言い方に改正しています。それから,以下は,戦後になるわけですけれども,昭和22 年4月5日に労働基準法というのが出てきます。ここで「身体に障害が存する場合には」ということで,「害」が使われています。初めて法律名に身体障害者という用語が用いられるのは,そこにありますように昭和24 年5月31 日です。これは国立身体障害者更正指導所設置法,ここで初めて法律名の中に身体障害者という用語が使われます。そして,その約7か月後に身体障害者福祉法が出ます。これが出ることによって,「身体障害者」という用語が広がっていきます。実は,その次に昭和57 年7月16 日,障害に関する用語の整理に関する法律というのがあります。これは恩給法など162 本の法律を一斉改正したということです。ここで162 本の法律を改正したということは,どういうことかと言いますと,それまでは「障害」という語でなくて別の語を使っていたんです。「障害」という語を使っていない法律が明治,大正,昭和戦前まで作られていたんです。それを昭和57 年に一括して改正したわけです。ですから,これはそういう意味ではここに何も書いていませんけれども,さっき申し上げたように,現在では差別的な言い方であるとされるような言い方が法律に使われていたわけです。先ほど3点に寄せられた御意見のポイントをまとめましたけれども,2点目の障害者というのは 戦前はすべて「障碍者」だったということは,事実と少し異なるということになります。実際にはもっと別な言い方がされていたんです。だから,昭和57 年に一斉改正をして,「障害」あるいは「障害」を使った語に置き換えられたんです。当初は「障害」というのは,そういった差別的な言い方に対して,むしろ「配慮ある言い方」として使われていたわけです。ところが,だんだんと文字面の,「害」というところがクローズアップされて,これは最近の10 年ぐらいだと思いますけれども,害虫だとか,災害だとか,公害だとか,そういう世の中に害をなすものとして扱うのか,そういうような言われ方をするようになるんですけれども,途中まではこんなふうに,むしろ配慮ある表現として法律の一斉改正までしているわけです。

 次のページを御覧ください。先ほど整理した3点目の話になります。では,「障害」の方 は意味が悪くて,「障碍」の方は意味がいいというふうに言えるのかという問題です。もともとは「障碍」だったんだというのは,実を言えばそのとおりなんです。ただし,「しょうがい」という読み方ではなくて,さっきの新聞の例でもお分かりになるように,別紙7にありますが,「しょうげ」と読んでいました。これはそこにありますように,「仏語」ということですからもともと仏教関係の語です。ものごとの発生,持続などに当たって妨げに なること。転じて,悪魔,怨霊などが邪魔をすること,さわり,障害とあります。例えば「今昔物語集」,1120 年ごろかと書いてありますけれども,ここには,「天魔・外道,其れに依て障?を可成し」というようなことで,天魔だとか外道が出てきます。この「?」は「礙(碍)」と同じです。それから「源平盛衰記」にも,「若し善根の衆生ありと云とも,魔王のため障?せられて」,魔王なんです。ですから,ただ単に妨げだとか,邪魔だという だけでなくて,文脈として,ここにありますように,悪魔,怨霊などが邪魔するという,「悪魔,怨霊などが」というところが問題なんです。こういうような意味で使われてきている。これは後の,そこに挙げられている用例を見てもほとんどそうです。次のページを御覧ください。次のページは『角川古語大辞典』ですが,ここにも障碍がありまして,今と同じ「今昔物語集」が最初に引かれています。それから,次に「猶天魔の障碍(しやうげ)も怖く」,天魔です。それから2番目の意味ではたたりをなすもの,魔障(ましやう)のものというのが意味として挙がっています。それから,『仏教語大辞典』には,その下にありますように,障害,さまたげということで,とくに,仏の悟りを得るための仏道修業の邪魔をするさわりとあります。ですから,もともとの意味としても決していい意味ではないわけです。悟りを得るときに邪魔をするわけですから,「碍」の方は意味がいいということはないんです。また,悪魔・怨霊などによるさまたげと書いてあります。 漢字ワーキンググループで議論した時に問題になったのは,使われ方として,悪魔・怨霊などによる妨げとか,みんなこう書いてあるという点です。ただ単に邪魔をするというより,明治期以降になると,必ずしもこういう文脈で使われなくなって,一般的な妨げとか邪魔という意味になるんですが,平安末期辺りから中世,近世にかけては,こういう悪魔・怨霊などによる妨げという文脈で使われているものがかなりあります。

 その次の,13 ページを御覧ください。これは現在よく使われている辞書の代表例ということで,『大辞泉』『大辞林』それから『広辞苑』,こういうのを挙げてみましたけれども,『大辞泉』には,障害,妨げ,仏教では悟りの障害になるものをいう。「最も障碍(しょうげ)の少なき」ということで,これはさっき見ていただいた露伴の「日ぐらし物語」です。『大辞林』は,「いかなる悪魔の障碍(しょうげ)なるか」,これは坪内逍遥です。次の,『広辞苑』では「今昔物語集」の例が挙げられていて,「天魔・外道それによりて障碍(しょうげ)をなすべし」となっています。こんなふうに見てくると,現在,「碍」に余り悪いイメージを持たないというのは,一つには「碍」が余り使われていない,融通無碍や碍子のほかには余り使われず,見掛けることが少ないので,「障碍(しょうげ)」の持つ意味というのが,それほど意識されないということがあるのだろうと思います。ただ『大辞泉』とか,『大辞林』とか,『広辞苑』といった一般的な辞書にこう書いてあるわけですから,このことはちょっと調べてみればすぐ分かります。「碍」を使った「障碍」は,もともとは「障碍(しょうげ)」だったんだ,そして,「障碍(しょうげ)」はどういう意味だったのかというのはすぐに分かります。このことは,かなり早い段階から漢字ワーキンググループでは問題点として話題にしてきたのですが,委員の皆さんに先入観を与えたくないということで,これまでは申し上げませんでした。 申し上げないまま1月19 日の漢字小委員会で議論していただいたわけです。ですけれども,「碍」を使った「障碍」のもともとの言い方である「しょうげ」には,こういう意味があります。

 最後のページになりますが,別紙8です。昨年の12 月8日に,これは閣議決定がなされております。「障がい者制度改革推進本部」の設置についてということで,「3」のところを御覧ください。ちょうど真ん中です。1月19 日に,「碍」を入れるか,入れないかという議論をしたときにも,これは議事録にはっきり残っていますので申し上げますけれども,入れた方がいいんじゃないかという委員が3名いらっしゃいました。それに対して,この別紙8にある,こういう本部が設置されているのだから,そこでどういう結論が出るかを待って,それから対応してもいいのではないかという御意見の委員が4名いらっしゃったということだったと思います。この「3」の線を引いたところを見ていただくと,「法令等における「障害」の表記の在り方に関する検討等を行う。」と書いてあって,閣議決定されているわけです。閣議でこういうことが決定されている。「障害」の表記の在り方に関する検討等を行うということです。

 最初に申し上げたように,まず事実関係では3点あったわけです。「しょうがい」は戦前は「障碍」だけであった。それから,戦前は「障碍者」だけであった。それから,「障碍」と「障害」とは意味が違うんだということ,その3点です。これについては,今見てきていただいたとおりです。問題は,もう一つの気持ちの問題です。実際に嫌な思いをしている方がいらっしゃるのは事実なわけです。それを考えたときに,言葉にかかわる事実関係の経緯,あるいはこの言葉の持っている意味だけで判断してしまっていいのかという問題があります。漢字ワーキンググループでは,これはもう本当に長い時間を掛けて議論してきました。どういう結論を出したかと言いますと,やはりそういう気持ちの問題もある。ただし,「碍」を入れた場合に今申し上げたように「障碍(しょうげ)」という言葉の持つ問題はすぐ分かるわけです。今は「障害者」と「害」を使っていますから,余りそういうところが表に出てこないんですけれども,「碍」の方を使うようになれば,これはもともとは「障碍(しょうげ)」だったとすぐ分かるわけです。その意味がいいのかというと,これはとらえ方によると思いますけれども,「害」よりもっと悪いかもしれません。天魔・外道とか,そういうのが出てくるわけですから。それから最初に配布資料4の上に書いてあるように,出現頻度とか,造語力の観点から言うとやっぱり入らないわけです。そのように考えてくると,もし「碍」を入れるのであれば,やはり特別な事情が必要になるだろうと考えました。その特別な事情というのには何があるのだろうかということを考えていったときに,漢字ワーキンググループとしては,今,最後に見ていただいたように,ちょうど「障がい者制度改革推進本部」が設置され,その中で閣議決定で「障害」の表記の在り方に関する検討を行うというふうに明記されていますので,そこで「障碍」がいい,過去に「障碍(しょうげ)」としてこういう意味で使われてきた,そういうことを分かった上でもなおかつ「障碍」がいい,これからの社会の在り方としてそう呼ばれている人たちに対して「障碍」という表記が望ましいんだという合意がなされるのであれば,その時にはそれを受けて,もう一度「碍」について入れるかどうかを検討したらどうだろうかということになりました。

 ここで,整理いたしますと,漢字ワーキンググループが,漢字小委員会に提案する案としましては,現時点ではこれまでの選定基準がありますので,それに従って「碍」は追加候補としない。ただし一方で,閣議決定までなされた国としての障害者政策の中で,これはもう漢字の問題とはちょっと別な問題になってきているわけです。そういった方たちをどういうふうに呼ぶのが社会の在り方として,みんなの幸せにつながるのかという,そういう問題だと思います。 漢字だけでは,とても考えられる問題ではないという要素がありますので,やはり「碍」を使っていくのが望ましいということが,政府全体の合意としてそれができるのであれば,そういう決定がなされるのであれば,それに応じて国語分科会もそれを受けてもう一度検討していこうという考え方です。そういうことですから,「玻」と「鷹」については,これまでどおり選定基準から入れるのは難しい。「碍」については,選定基準から言うと難しいんだけれども,そういう気持ちの問題であるとか,社会政策としての側面があるとか,そういった様々な要素がありますので,そういうものを勘案して,「障がい者制度改革推進本部」で結論が出れば,その段階でもう一度,それを受けて検討していくことにしたらどうか,というのが漢字ワーキンググループから提案する「碍」の扱いについての基本的な考え方でございます。


漢字小委員会資料から抜粋

法律における「障害」と「障碍(礙)」の使用例

(明治~大正期)

「障害」
明治30年3月30日 砂防法
第23条 「・・・其ノ土地ニ現存スル障害物ヲ除去スルコトヲ得」

明治32年3月29日 水難救護法
第29条 「・・・航路、錨地又ハ建造物ニ障害ヲ為スト・・・」

明治42年4月13日 耕地整理法
第7条 「・・・障害の竹木土石等ヲ移転若ハ除去セシムルコト・・・」

明治44年3月30日 電気事業法
第8条 「・・・電線路ノ施設及保守ニ障害ヲ及スヘキ竹木其ノ他ノ植物・・・」
第15条 「・・・電気工作物ト其ノ他ノ工作物トノ間ニ於ケル障害ヲ・・・」

大正5年2月7日 電気事業法改正(追加条項部分)
第14条ノ二 「・・・電気工作物ノ障害ヨリ生スヘキ・・・」

「障碍(礙)」

明治23 年5 月27 日 水路測量標条例
第4 条 「測量施行ノ為メ障碍トナル竹木ヲ・・・」

明治25 年6 月23 日 海上衝突予防法
第9 条 「・・・岩礁其ノ他障礙物ニ・・・」

明治33 年3 月14 日 電信法
第37 条 「・・・通信ヲ障碍シタル者・・・」「・・・過失ニ因リ障碍シタル者・・・」

大正5 年3 月7 日 海底電信線保護万国連合条例罰則
第1 条 「・・・通信ヲ障碍シ又ハ障碍スヘキ危険ヲ・・・」

大正8 年4 月10 日 史蹟名勝天然記念物保存法
第2 条 「・・・土地ノ発掘障碍物ノ撤去ソノ他調査ニ必要ナル行為・・・」

昭和57 年7 月16 日 障害に関する用語の整理に関する法律

恩給法など162 本の法律を一斉改正


太陽コーパス(雑誌『太陽』日本語データベース)

(国立国語研究所編 CD-ROM版 博文館新社)

「障害」「障碍」「障礙」の出現頻度

出版年 障害 障碍 障礙 総計
1895(明治28)年 22 17 10 49
1901(明治34)年 48 21 19 88
1909(明治42)年 13 26
1917(大正6)年 20 14 40
1925(大正14)年 25 34
総計 128 68 41 237

法律における「障害者」等の使用例

昭和4年4月1日 救護法
第1条四 「・・・・・其ノ他精神又ハ身体ノ障碍ニ因リ労務ヲ行フニ支障アル 者」

昭和19年2月15日 厚生年金保険法(労働者年金保険法から名称を改正)
「障害年金及び障害年金手当金」を使用


昭和22年4月5日 労働基準法
第77条 「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、なおつたとき身体に 障害が存する場合においては・・・」
別表第1 「身体障害等級」という用語が用いられる

昭和22年11月30日 職業安定法
第26条 「身体に障害のある者その他特別の職業補導を加えることを必要と する者については」

昭和24年5月20日 職業安定法一部改正
第26条の次に条文が加えられ、その見出しとして「(身体障害者に対する職 業補導)」という用語が用いられる

昭和24年5月31日 国立身体障害者更正指導所設置法
法律名に「身体障害者」という用語が用いられる

昭和24 年12 月26 日 身体障害者福祉法


障害の表記の在り方に関するアンケート結果(ポイント)

1.「障害」の表記について

(1)「障害」の表記に関して、これを改めるべきとの意見については、

① 「そう思わない」が全体の43.0%と最も多く、「そう思う」 は21.9%であった。(Q1関係)

② 「そう思う」と回答した人について、どのような表記に改め るべきかについては、「障がい」が40.9%と最も多く、「障 碍」は7.8%であった。(Q2関係)

(2) 「障害」の表記を改める必要ないとの意見については、「そう 思う」が全体の42.6%と最も多く、「そう思わない」は19. 8%であった。(Q3関係)

2.「障害者」の表記について

(1) 「チャレンジド」と改めるべきとの意見については、「そう思 わない」が全体の67.0%と最も多く、「そう思う」が10.2% であった。(Q4関係)

(2) 「障害者」の表記に関して、「あなたの考えに最も合っている 表記」については、「障害者」が27.5%と最も多く、次いで「障 害のある人」が21.6%、「障がい者」が19.6%であり、他 方、「障碍者」が2.4%、「チャレンジド」が3.4%であった。 (Q5関係)

※ 1.及び2.の結果については、年代、地域、障害の有無によ って大きな傾向の違いはみられなかった。


障害の表記の在り方に関するアンケート結果(概要)

Q1 「障害」の「害」の字はイメージが悪く障害者差別につながるの で、「障害」の表記を改めるべきとの意見があります。この意見に ついてどう思いますか。(回答は、「そう思う」、「そう思わない」、 「どちらとも言えない」の三つの選択肢から一つを選択する方式)

 「そうは思わない」との回答が43.0%と最も多く、次いで「どち らともいえない」(35.1%)、「そう思う」(21.9%)の順となっ ている。

Q2 (Q1で「そう思う。」と答えた方に)どのような表記に改める べきだと思いますか。(回答は、「障がい」、「障碍」、「その他」、「分 からない」の四つの選択肢から一つを選択する方式)

 「障がい」との回答が40.9%と最も多く、次いで「その他」(3 3.8%)、「分からない」(17.5%)、「障碍」(7.8%)の順とな っている。

Q3 他方で、障害者の方々の中には、「障害」との表記で定着してい る、不都合を感じていない、さらには、障害者にとっての障害は社 会や人々の意識の中にあるものである、などの理由で表記を改める 必要ないとの意見もあります。この意見についてどう思いますか。 (回答は、「そう思う」、「そう思わない」、「どちらとも言えない」 の三つの選択肢から一つを選択する方式)

 「そう思う」との回答が42.6%と最も多く、次いで「どちらとも いえない」(37.6%)、「そう思わない」(19.8%)の順となって いる。

Q4 「障害」の表記に関連して、「障害者」を「チャレンジド (Challenged)」と改めるべきとの意見もありますが、これに対し ては障害者の方々等の中から、大きな違和感がある、障害者に対し て「挑戦」を強いる印象がある、障害は社会の中にあるという理解 にそぐわない、など、否定的な意見も出されています。「障害者」 を「チャレンジド」と改めるべきとの意見についてどう思いますか。 (回答は、「そう思う」、「そう思わない」、「どちらとも言えない」 の三つの選択肢から一つを選択する方式)

 「そう思わない」との回答が67.0%と最も多く、次いで「どちら ともいえない」(22.8%)、「そう思う」(10.2%)の順となって いる。

Q5 最後に、あなたの考えに最も合っている表記はどれですか。(回 答は、「障害者」、「障がい者」、「障碍者」、「障害のある人」、「チャレン ジド」、「これら以外の表記」、「分からない」の七つの選択肢から一つを 選択する方式)

 「障害者」との回答が27.5%と最も多く、次いで「障害のある人」 (21.6%)、「障がい者」(19.6%)、「分からない」(13.5%)、 「これら以外の表記」(11.9%)、「チャレンジド」(3.4%)、「障碍 者」(2.4%)の順となっている。

Q1 「障害」の「害」の字はイメージが悪く障害者差別につながるので、「障害」の表記を改めるべきとの意見があります。この意見についてどう思いますか。

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 21.9 43.0 35.1


20~29歳 (N=1800) 22.6 44.8 32.7
30~39歳 (N=1800) 20.8 43.6 35.6
40~49歳 (N=1800) 22.5 40.2 37.3
50~59歳 (N=1800) 23.1 41.8 35.1
60歳以上 (N=1800) 20.6 44.6 34.8

Q1 「障害」の「害」の字はイメージが悪く障害者差別につながるので、「障害」の表記を改めるべきとの意見があります。この意見についてどう思いますか。

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 21.9 43.0 35.1

男性 (N=5137) 22.0 47.9 30.1
女性 (N=3863) 21.8 36.4 41.7

Q1 「障害」の「害」の字はイメージが悪く障害者差別につながるので、「障害」の表記を改めるべきとの意見があります。この意見についてどう思いますか。

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 21.9 43.0 35.1



北海道 (N=1000) 25.1 41.5 33.4
東北 (N=1000) 24.9 41.3 33.8
関東 (N=1000) 23.3 41.2 35.5
北陸 (N=1000) 20.9 40.9 38.2
中部 (N=1000) 21.4 44.0 34.6
近畿 (N=1000) 21.0 44.9 34.1
中国 (N=1000) 20.4 43.7 35.9
四国 (N=1000) 17.7 47.4 34.9
九州・沖縄 (N=1000) 22.4 42.1 35.5

Q1 「障害」の「害」の字はイメージが悪く障害者差別につながるので、「障害」の表記を改めるべきとの意見があります。この意見についてどう思いますか。

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 21.9 43.0 35.1



障害がある (N=464) 22.4 44.6 33.0
障害がない (N=8536) 21.9 42.9 35.2

Q2 どのような表記に改めるべきだと思いますか。(SA)

「障がい」 「障碍」 その他 分からない
全体 (N=1971) 40.9 7.8 33.8 17.5


20~29歳 (N=406) 45.3 6.9 31.3 16.5
30~39歳 (N=374) 43.9 5.1 35.0 16.0
40~49歳 (N=405) 40.2 7.7 37.0 15.1
50~59歳 (N=415) 36.4 8.0 31.6 24.1
60歳以上 (N=371) 38.8 11.6 34.5 15.1

Q2 どのような表記に改めるべきだと思いますか。(SA)

「障がい」 「障碍」 その他 分からない
全体 (N=1971) 40.9 7.8 33.8 17.5

男性 (N=1128) 39.8 9.4 36.5 14.3
女性 (N=843) 42.3 5.7 30.2 21.7

Q2 どのような表記に改めるべきだと思いますか。(SA)

「障がい」 「障碍」 その他 分からない
全体 (N=1971) 40.9 7.8 33.8 17.5



北海道 (N=251) 47.0 6.8 30.7 15.5
東北 (N=249) 44.6 7.2 31.3 16.0
関東 (N=233) 39.1 8.2 35.2 17.6
北陸 (N=209) 36.4 5.7 43.5 14.4
中部 (N=214) 37.4 5.1 34.6 22.9
近畿 (N=210) 41.9 8.1 28.1 21.9
中国 (N=204) 37.3 10.8 36.8 15.2
四国 (N=177) 39.0 9.6 36.2 15.3
九州・沖縄 (N=224) 43.3 9.4 29.9 17.4

Q2 どのような表記に改めるべきだと思いますか。(SA)

「障がい」 「障碍」 その他 分からない
全体 (N=1971) 40.9 7.8 33.8 17.5



障害がある (N=104) 40.4 8.7 31.7 19.2
障害がない (N=1867) 40.9 7.8 34.0 17.4

Q3 他方で、障害者の方々の中には、「障害」との表記で定着している、不都合を感じていない、さらには、障害者にとっての障害は社会や人々の意識の中にあるものである、などの理由で表記を改める必要はないとの意見もあります。この意見についてどう思いますか。(SA)

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 42.6 19.8 37.6


20~29歳 (N=1800) 48.3 17.7 34.1
30~39歳 (N=1800) 42.4 17.8 39.8
40~49歳 (N=1800) 39.7 19.9 40.4
50~59歳 (N=1800) 39.4 21.4 39.2
60歳以上 (N=1800) 43.3 22.3 34.4

Q3 他方で、障害者の方々の中には、「障害」との表記で定着している、不都合を感じていない、さらには、障害者にとっての障害は社会や人々の意識の中にあるものであるなどの理由で表記を改める必要はないとの意見もあります。この意見についてどう思いますか。(SA)

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 42.6 19.8 37.6

男性 (N=5137) 44.5 22.2 33.3
女性 (N=3863) 40.1 16.6 43.3

Q3 他方で、障害者の方々の中には、「障害」との表記で定着している、不都合を感じていない、さらには、障害者にとっての障害は社会や人々の意識の中にあるものである、 などの理由で表記を改める必要はないとの意見もあります。この意見についてどう思いますか。(SA)

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 42.6 19.8 37.6



北海道 (N=1000) 43.6 19.5 36.9
東北 (N=1000) 41.3 20.2 38.5
関東 (N=1000) 44.6 18.9 36.5
北陸 (N=1000) 38.7 21.4 39.9
中部 (N=1000) 42.8 21.4 35.8
近畿 (N=1000) 41.3 18.8 39.9
中国 (N=1000) 45.1 19.4 35.5
四国 (N=1000) 43.9 20.1 36.0
九州・沖縄 (N=1000) 42.2 18.6 39.2

Q3 他方で、障害者の方々の中には、「障害」との表記で定着している、不都合を感じていない、さらには、障害者にとっての障害は社会や人々の意識の中にあるものである、などの理由で表記を改める必要はないとの意見もあります。この意見についてどう思いますか。(SA)

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 42.6 19.8 37.6



障害がある (N=464) 40.9 25.0 34.1
障害がない (N=8536) 42.7 19.5 37.8

Q4 「障害」の表記に関連して、「障害者」を「チャレンジド(Challenged)」と改めるべきとの意見もありますが、これに対しては障害者の方々等の中から、大きな違和感がある、障害者に対して「挑戦」を強いる印象がある、障害は社会の中にあるという理解にそぐわない、など、否定的な意見も出されています。 「障害者」を「チャレンジド」と改めるべきとの意見についてどう思いますか。(SA)

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 10.2 67.0 22.8


20~29歳 (N=1800) 12.0 65.6 22.4
30~39歳 (N=1800) 10.7 65.7 23.7
40~49歳 (N=1800) 9.3 66.6 24.1
50~59歳 (N=1800) 9.6 66.4 24.0
60歳以上 (N=1800) 9.2 70.8 20.1

Q4 「障害」の表記に関連して、「障害者」を「チャレンジド(Challenged)」と改めるべきとの意見もありますが、これに対しては障害者の方々等の中から、大きな違和感がある、障害者に対して「挑戦」を強いる印象がある、障害は社会の中にあるという理解にそぐわない、など、否定的な意見も出されています。
「障害者」を「チャレンジド」と改めるべきとの意見についてどう思いますか。(SA)

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 10.2 67.0 22.8

男性 (N=5137) 9.4 70.2 20.4
女性 (N=3863) 11.2 62.7 26.1

Q4 「障害」の表記に関連して、「障害者」を「チャレンジド(Challenged)」と改めるべきとの意見もありますが、これに対しては障害者の方々等の中から、大きな違和感がある、障害者に対して「挑戦」を強いる印象がある、障害は社会の中にあるという理解にそぐわない、など、否定的な意見も出されています。
「障害者」を「チャレンジド」と改めるべきとの意見についてどう思いますか。(SA)

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 10.2 67.0 22.8



北海道 (N=1000) 10.5 68.9 20.6
東北 (N=1000) 9.1 67.8 23.1
関東 (N=1000) 9.0 67.7 23.3
北陸 (N=1000) 10.0 67.4 22.6
中部 (N=1000) 9.6 68.0 22.4
近畿 (N=1000) 11.1 65.2 23.7
中国 (N=1000) 11.9 64.3 23.8
四国 (N=1000) 9.4 68.3 22.3
九州・沖縄 (N=1000) 10.8 65.4 23.8

Q4 「障害」の表記に関連して、「障害者」を「チャレンジド(Challenged)」と改めるべきとの意見もありますが、これに対しては障害者の方々等の中から、大きな違和感がある、障害者に対して「挑戦」を強いる印象がある、障害は社会の中にあるという理解にそぐわない、など、否定的な意見も出されています。
「障害者」を「チャレンジド」と改めるべきとの意見についてどう思いますか。(SA)

そう思う そうは思わない どちらともいえない
全体 (N=9000) 10.2 67.0 22.8



障害がある (N=464) 12.5 61.9 25.6
障害がない (N=8536) 10.0 67.3 22.7

Q5 最後に、あなたの考えに最も合っている表記はどれですか。(SA)

「障害者」 「障がい者」 「障碍者」 「障害のある人」 「チャレンジド」 これら以外の表記 分からない
全体 (N=9000) 27.5 19.6 2.4 21.6 3.4 11.9 13.5


20~29歳 (N=1800) 31.1 22.7 1.8 17.9 4.8 10.2 11.6
30~39歳 (N=1800) 28.1 21.6 2.3 17.9 3.9 11.6 14.5
40~49歳 (N=1800) 25.8 18.9 2.6 19.7 3.5 14.6 14.8
50~59歳 (N=1800) 24.2 18.6 2.7 24.8 2.7 12.8 14.1
60歳以上 (N=1800) 28.5 16.2 2.7 27.5 2.3 10.5 12.3

Q5 最後に、あなたの考えに最も合っている表記はどれですか。(SA)

「障害者」 「障がい者」 「障碍者」 「障害のある人」 「チャレンジド」 これら以外の表記 分からない
全体 (N=9000) 27.5 19.6 2.4 21.6 3.4 11.9 13.5

男性 (N=5137) 32.6 18.3 3.1 18.9 3.5 12.3 11.4
女性 (N=3863) 20.8 21.3 1.6 25.2 3.4 11.5 16.2

Q5 最後に、あなたの考えに最も合っている表記はどれですか。(SA)

「障害者」 「障がい者」 「障碍者」 「障害のある人」 「チャレンジド」 これら以外の表記 分からない
全体 (N=9000) 27.5 19.6 2.4 21.6 3.4 11.9 13.5



北海道 (N=1000) 25.1 23.2 2.4 21.4 2.5 14.1 11.3
東北 (N=1000) 27.1 20.8 2.6 20.8 3.4 13.8 11.5
関東 (N=1000) 26.8 20.6 3.7 20.5 3.0 12.8 12.6
北陸 (N=1000) 25.9 18.1 2.1 22.7 3.3 12.3 15.6
中部 (N=1000) 30.3 19.7 1.3 19.6 3.5 11.9 13.7
近畿 (N=1000) 27.9 19.2 2.6 22.5 3.1 10.5 14.2
中国 (N=1000) 26.9 18.8 2.9 22.7 4.4 10.6 13.7
四国 (N=1000) 30.8 15.8 1.9 22.8 3.6 10.0 15.1
九州・沖縄 (N=1000) 27.0 20.3 2.4 21.2 4.2 11.4 13.5

Q5 最後に、あなたの考えに最も合っている表記はどれですか。(SA)

「障害者」 「障がい者」 「障碍者」 「障害のある人」 「チャレンジド」 これら以外の表記 分からない
全体 (N=9000) 27.5 19.6 2.4 21.6 3.4 11.9 13.5



障害がある (N=464) 28.2 17.2 2.2 20.7 3.7 13.6 14.4
障害がない (N=8536) 27.5 19.7 2.4 21.6 3.4 11.8 13.4

 


「障害」の表記の在り方に関するアンケートについて(概要)

1.調査目的
「障害」の表記については、国民の間で様々な見解があり、合意が形成され ていないことを踏まえ、政府における検討を進める上で、幅広く国民の意見 を聴取するため実施。

2.調査対象
年代や地域による偏差を可能な限り小さくするため、以下の方法により、合 計9,000サンプルを収集。

○「20歳代」、「30歳代」、「40歳代」、「50歳代」、「60歳代以上」の 各年代のサンプルをそれぞれ1,800ずつ収集。
かつ、
○「北海道」、「東北」、「関東」、「北陸」、「中部」、「近畿」、「中国」、「四国」、 「九州・沖縄」の地域別のサンプルをそれぞれ1,000ずつ収集。

3.調査時期
平成22年4月16日(金)~18日(日)

4.調査方法
インターネット登録モニターからのアンケート方式により実施(業者委託)

5.調査内容
別添のとおり。


(別添)

《属性の調査項目》

1.年齢
①20~29
②30~39
③40~49
④50~59
⑤60~69
⑥70~
⑦回答なし

2.性別
①男
②女
③回答なし

3.居住地域
① 北海道
② 東北
③ 関東
④ 北陸
⑤ 中部
⑥ 近畿
⑦ 中国
⑧ 四国
⑨ 九州・沖縄
⑩ 回答なし

4.障害の有無
①障害がある
②障害がない
③回答なし

5.障害種別(4.で①と回答した方について、差し支えない範囲でご回答お 願いします。)
①視覚障害
②聴覚障害
③言語障害
④盲ろう
⑤肢体不自由
⑥内部障害
⑦知的障害
⑧精神障害
⑨発達障害
⑩難病
⑪ その他
⑫ 重複障害で主な障害が特定できない人
⑬ 回答なし

《質問内容(全5問)》

【調査の背景・趣旨】

 現在、政府においては、内閣に「障がい者制度改革推進本部」(本部長は内閣 総理大臣)を設置して、障害者に係る制度の集中的な改革を行っています。その 中で、法令等における「障害」の表記の在り方についても検討項目の一つとなっ ており、本部の下に置かれた「障がい者制度改革推進会議」において具体的な検 討を進めているところです。
「障害」の「害」については、「「害悪」「害虫」などを連想させるためイメージ が悪く、他の表記に改める必要がある。」とのご意見がある一方、「「害」は社会 の中に存在する様々な障壁にあるのだから、表記を改める必要はない。」「表記を 改めることによって、逆に社会の中にある問題の本質を覆い隠すことになる。」 等のご意見があります。また、表記を改めるべきとのご意見の中でも、具体的な 表記については、「障がい」「障碍」等のご意見があります。さらに、障害者は「チ ャレンジド」「障害のある人」等に言い換えるべきとのご意見があるなど、「障害」 の表記を巡っては、国民の間に様々なご意見があり、合意が形成されていない状 況にあります。
今回の調査は、政府における検討を進める上で、より多くの皆様方にご意見を いただきたいという趣旨で実施するものです。

 なお、現在、文化庁の文化審議会(国語分科会漢字小委員会)において常用漢 字表の見直しについて検討を行っているところですが、現行の常用漢字表に掲載 されていない「碍」を追加することについては、4月13日の小委員会において、 選定基準に照らして追加しないとの方針が確認されました。「障碍」は仏教用語 の「障碍(ショウゲ)」から来ており「悪魔、怨霊などが邪魔すること」「たたり」 などの意味で使用されてきたことも説明されています。

※注1 「障がい者制度改革推進本部」等の名称に「障がい」の表記を使用したの は、国民の間に様々なご意見があることを踏まえて、特定の漢字を用いない こととしたものであり、「障がい」の表記を推奨することを意図したもので はありません。「障がい」のように漢字とひらがなを交ぜ書きすることにつ いては、反対意見もあります。

※注2 「碍」という字は、石の前に人が悩んでいる様を表し、邪魔をする、妨げ るの意味であり、マイナスのイメージが少ないというご意見があり、このよ うな観点から、佐賀県知事、一部IT企業等は「障碍」の表記を使用されて います。他方、「障害」を「障碍」とすることについては、上記のとおり、 さらに悪い表記となったということにもなりかねないとの懸念が4月13 日の小委員会において示されています。

※注3 「チャレンジド」は、神によって試練を与えられた人という意味があり、 米国等での使用例がありますが、宗教色があるとのご意見があります。鳩山 総理が所信表明演説において言及しています。

 

問1 「障害」の「害」の字はイメージが悪く障害者差別につながるので、 「障害」の表記を改めるべきとの意見があります。この意見についてど う思いますか。
  • そう思う。
  • そうは思わない。
  • どちらとも言えない。
問2 (①で「そう思う。」と答えた方に) どのような表記に改めるべきだと思いますか。
  • 「障がい」
  • 「障碍」
  • その他
  • 分からない。
問3 他方で、障害者の方々の中には、「障害」との表記で定着している、不 都合を感じていない、さらには、障害者にとっての障害は社会や人々の意 識の中にあるものである、などの理由で表記を改める必要ないとの意見も あります。この意見についてどう思いますか。
  • そう思う。
  • そうは思わない。
  • どちらとも言えない。
問4 「障害」の表記に関連して、「障害者」を「チャレンジド(Challenged)」 と改めるべきとの意見もありますが、これに対しては障害者の方々等の中 から、大きな違和感がある、障害者に対して「挑戦」を強いる印象がある、 障害は社会の中にあるという理解にそぐわない、など、否定的な意見も出 されています。「障害者」を「チャレンジド」と改めるべきとの意見につい てどう思いますか。
  • そう思う。
  • そうは思わない。
  • どちらとも言えない。
問5 最後に、あなたの考えに最も合っている表記はどれですか。
  • 「障害者」
  • 「障がい者」
  • 「障碍者」
  • 「障害のある人」
  • 「チャレンジド」
  • これら以外の表記
  • 分からない。

HPに寄せられた「障害」の表記の在り方に関する主な意見の抜粋

(平成22年4月28日(水)現在)

●3月19日の第5回推進会議で「障害」の表記問題が議論されますが同時に「精 神障害者」の呼称・表記の改変についても議論してください。 「精神障害」固有の問題ということであれば精神部会?での検討を希望します。 各種アンケート結果を総合すると精神障害当事者は大多数(7~8割)が「精神 障害者」と呼ばれることを嫌っています。 障害当事者に限らず関係者や一般市民にも変更を希望する声が多くあります。 「精神障害者」という言葉は過去常に「犯罪」や「不祥事」とセットで大量に 報道されてきたため精神障害者の実像との乖離が大きいというのがその理由の 一つです。

●推進会議が発足して4回を終了、画期的な試みなのにメデイアの扱いが小さい のが気になります。全国民の関心を集めるような戦略が必要ではないでしょう か。例えば「障害」の「表記」の問題から入れば一般市民もメデイアも関心を 持つでしょう。法律論は難しく一般受けしません。所詮は世論の支持なしには 障碍福祉の前進は望めません。「障碍者抜きで決めないで」とは言っても「障 碍者だけでは決められない」ということも事実です。推進会議は一般国民に対 する絶好の普及・啓発の場であり国民意識の変革にも直結すると思います。現 状では長時間の録画を見るのは関係者だけでしょう。

●「障害」の表記について障害は,障害者でも健常者でも壁はあると思います。 で,いっそう「障害者」とか「障がい者」でなく,「自立支援者」の方が良い と思います。 意味は,私は体に障害がありますよでなく,体が悪いので自分でがんばります が,支援(手伝って下さい<補装具など物を含む>)もして下さい。というこ とです。 例えば,「身体障害者」でなく,「身体自立支援者」になるといいです。 いかがでしょうか?

●東室長さま、お役目ご苦労様です。録画を拝見しています。表記の議論は消 極論のオンパレードで感情論も多く世論との乖離が大きく心配しましたが最後 に貴台に見事に総括していただきほっとしています。議題の主旨を正しく理解 されているのは佐藤・竹下のお二人だけで他の方々は理解不足(特に常用漢字 との関連性)ではないでしょうか。他の議題も多く長時間の会議で同情はして おりますが。「害」の表記にもっとも敏感であるべき精神関係の委員の声が聞 けないのは残念です。委員の人選との関係もあるのでしょうが。 精神分裂病の統合失調症への呼称・表記の変更を世論は歓迎し支持しており確 実に精神保健福祉の前進に寄与しています。精神関係の委員がこの事実を認識 していないとすれば大きな問題で会議をミスリードすることにもなりかねない と危惧します。 障碍者権利条約は国際条約であり同じ漢字圏の実情にも配慮が必要と考えます。 その他推進会議での表記に関する議論の感想を以下のブログに記載しておりま すのでご笑覧いただければ幸甚です。 民主党衆院議員が文化庁宛に提出した「碍」に関する資料の写しが手元にあり ますが委員各位の理解不足を補うため配布させていただければと思いますが如 何でしょうか。

●障害の表記については、「福祉対象者」「福祉者」などではいかがですか。

●北九州市も基本構想案の中で「障害者」の表記を「障がい者」と表し、パブ リックコメントに寄せられた多くの意見に従い、「障がい者」については引き 続き検討をするとして「障害者」表記を継続しています。 しかし、一部の自治体で「障がい者」という表記をしていることも事実です。 「障がい者」に換えようとする根拠は。「障害者」の「害」の字のイメー ジが悪いということのようです。「害」の意味は、傷つける、そこなう。順調 な生存の妨げになるもの、災い、となっています。害虫、風水害、害毒等々確 かに良いイメージのことばには使われていません。しかし「障がい者」に「障」 の字は残っていますが、「障」にはマイナスイメージはないのでしょうか?「障 り」として、邪魔、さしつかえ、さまたげ、などの意味があります。これも「害」 同様マイナスイメージに満ちています。「障害者」がマイナスイメージだとい う方々にとって「障がい者」はマイナスイメージではないのでしょうか? それでは、「しょうがい者」としたらどうなのか。 「スシ・バー」といわれてあなたは何を思いますか?多分外国のすし屋さんを 思い浮かべると思います。スシ=寿司を思うからです。「しょうがい者」も同 様、しょうがい=障害とおきかえるでしょう。このことをどう解決するのでし ょうか? 私は、下肢に障害を、行動の妨げになる損傷を負った、しかし、障害者とい うことばに違和感はない。 受傷した1969年以前の私と以後の私は同じ人間であるが健常者、障害者と いう違いは生じてしまった。それを表す符丁に過ぎない。 32 障害者を見る時「個人モデル」、「社会モデル」という見方がある。「個人 モデル」とは、障害者が困難に直面するのは「その人に障害があるから」であ り、克服するのはその人(と家族)の責任だとする考え方である。それに対し て「社会モデル」は、「社会こそが『障害』をつくっており、それを取り除く のは社会の責務だ」と考える。「障害があるから不便」なのではなく、「障害 とともに生きることを拒否する社会であるから不便」なのだ、と発想の転換を 促すのである。 この考え方からすると、社会に参加することに妨げ・障害を受けている人と いう意味で「障害者」ではなく「受障者」とするのも一案かもしれない。これ ならば「障がい者」案の方がこだわっていない「障」の字だから問題ないので はないだろうか。

●内閣府政策統括官が取りまとめた「平成22年度障害者施策関係予算(案)の概 要」を拝見。その中の総務省主管の「情報バリアフリー化の推進」と「社会参 加を支援する情報通信システムの開発・普及」の項で、障害者を「チャレンジ ド」と読み替えた表記が4か所あります。 「障害の表記」については第5回推進会議で採り上げられていて「チャレンジド」 と読み替えることについては、大方の委員が必要なしという意見だと理解して います。したがって、総務省の読み替えは推進会議の審議無視とも言えますし、 それを何ら問題視しない統括官も、推進会議の関係者として、いささか見識に 欠けると考えますが、この点いかがお考えですか。

●毎回の会議、興味深く拝見させて頂いております 私自身、ウツ病患者であり、自立支援も適用して頂いております。自立支援が 無ければ今、生きていないでしょう。 さて、第6回の議事録ですが、障害者を「障がい者」と書いているのに「障害児」 と記載されているのはちょっと違和感があります。 こうして欲しいという意見では無いのですが、「障害」を「障がい」と記載す ると統一するならば、児童にも適用した方がいいのではないでしょうか?

●障害の表記について 「障碍」の表記がどうしてもいいと意見ではありません。ただ、常用漢字の審 議が行われている今、「碍」を入れておくほうがいいと思います。 法令や公用文書は基本的に常用漢字を使うというのが、「日本語表記の基準」 にあります。これは目安とはいえ、現実には法令の漢字は常用漢字を使う以上、 「碍」にしたいとなったとき、常用漢字には入っていないという理由で「障碍」 と表記できないことが起きるのは避けたいと思います。今、表記について結論 を出すためにほかの議論を犠牲にして話し合う必要はありませんが、可能性を 広げておくという意味で常用漢字表に入れるよう、文化審議会には出しておい たほうがいいと思います。

●泉政務官さま、東室長さまあて緊急のご連絡。4月13日に文科省文化審議会漢 字小委員会が開催され「碍」の字を常用漢字に追加するかどうかの最終の審議 が実施されます。貴障碍者制度改革推進会議は「碍」の追加に消極的と仄聞し ていますが世論に反しているのではと危惧します。民主党衆院議員2名を含む多 数(86通)の追加要望意見書が文科省に届いています。「碍」が追加されたか らといって「障碍」表記の使用を強要するものではなく表記は自由です。貴推 進会議の意見が「障碍者」表記を希望している多数の国民の選択肢を剥奪する 結果とならないようご高配をお願い申し上げます。できれば4月13日以前に早急 に文科省あてに「碍の追加」につき肯定的な意見を表明されることをお薦めし ます。本件は各界の国民の間で広く議論すべきものと考えます。言葉は障碍者 のみの専有物ではありません。

●東室長さま 本日午前の文化庁の会議(漢字小委員会)で「碍」を常用漢字 に追加するかどうかは推進会議と相談して決めることになったと仄聞しました。 しょうがい表記の選択肢の一つとして「碍」をぜひ常用漢字に加えて欲しいと のご意見を文科省あてにご提出をお願いします。選択肢の一つとしてであれば 構成員の皆様もご異存はないものと愚考します。私は他の漢字圏の手前もあり 「障碍者権利条約」の表記を支持しています。

●東室長さまへ 文科省は「碍」の字の改定常用漢字表への追加の是非の判断 を見送り推進本部の判断に委ねました。つきましては貴推進会議にて「しょう がい」表記を再度議論される際に?一般国民用と?条約・法令用に分けて議論さ れることをお薦めします。?の一般国民向けは自由表記とすれが合意は容易です し?については推進会議の主要議題でもある「しょうがいしゃ権利条約」の表記 をどうするかを討議されては如何でしょうか。例えば「障害者権利条約」「障 がい者権利条約」「チャレンジド権利条約」「障碍者権利条約」の4択で採決さ れるのも一案でしょう。この場合日本は漢字圏構成員の一員であること、条約 の性格上国際的視野からの判断も必要であることを構成員各位に事前にご理解 いただくことが肝要かと存じます。なお、いずれの場合でも「障碍」表記を妥 当とする国民が多数存在する以上「碍」をその選択肢の一つとして改定常用漢 字に加えておくことは表現の自由を担保する意味でも必要と考えます。詳しく は以下の小職のブログを参照いただきたく。
http://d.hatena.ne.jp/tokujirou/20100417/1271478139

●法令等の表記として「障碍」を使用することについては、様々な意見があり、 一概に決められるものではありません。 しかし、次の理由により、少なくとも、「碍」を使いたい人が公的には使え ないことは不合理であり、これを可能な状態にすることが必要と考えます。 ?国語分科会に「碍」の追加を求める意見が多く寄せられたこと、?多くの自治 体で「障害」の表記を避けるため、「障がい」と漢字かな交ぜ書きで表記して いるが、表記の検討に当たって、常用漢字に「碍」がなく、「障碍」の検討が できなかったこと 障がい者制度改革推進会議として、改定常用漢字表に「碍」の字を追加する よう国語分科会に意見を提出されることを要望します。

●私は障害者手帳を有する者ですが、予てから「害」の表記に不快感があり、「碍」 の使用を願っておりました。今回、「碍」の常用漢字表への追加については、 貴推進会議に実質的に委ねられたことを知り、改めて「碍」の追加を要請する ものです。 なお、ご検討にあたり「精神障害」なる呼称も見直し、「心的障碍」を採用 されるよう併せ要請致す次第です。 以上

●障がい者制度推進改革会議御中。 今般の文化審議委員会におかれましては「碍」の常用漢字表への追加を推進 本部の判断に委ねられたと伺っております。 ワープロ等が普及して漢字の記載が容易になつた現在、一般的には漢字はマ スコミや個人の判断で自由に使用すべきものと考えますが、法令や条約で使用 する漢字をどうするかと云う問題が残るかも知れません。 障害の「害」の字に悪いイメージがある一方、障碍と記載するには「碍」の 字が常用漢字として採用されていないことがネックになっていることとと想像 されます。 障碍者への差別感をなくす為にも「碍」の文字を常用漢字に追加願いたいと 考えております。 尚、差別感と言う意味では「精神障害」という言葉ももう少し配慮のある表 現が出来ないものかと思います。「心的障碍」という言葉を使用している地域 もあると聞いております。 以上宜しくご高配のほどお願い申し上げます。

●常用漢字に『碍』の字の採用をお願いします。 文科省は「碍」の字の改定常用漢字表への追加の是非の判断を見送り、「障 がい者制度改革推進本部」の判断に委ねたと聞きました。 現在常用漢字として表記されています「障害者」の「害」の字には、「公害」 「害虫」等、人に悪い行為、或いは影響を与えるマイナスのイメージが強く感 じられます。 「知的障害者」とか「精神障害者」などという文字からは、本来、社会的弱 者である筈のこれらの人々が、他人に危害を加える怖ろしい語感の言葉になっ ているのは、極めて問題だと言わざるを得ません。 それに対して『碍』に字には、「さまたげの疑いのあるもの」と云う意味で ありますが、それから逃げるのではなく逆に何らかの対応やアプローチをして クリアーにすると云う意味を持つものと考えられますので、障がい者へ向き合 うという点から適切な文字だと思料します。 言葉・表現より実体を重視すべきと云う意見がありますが、例えば、「痴呆 症」が「認知症」に、「精神分裂病」が「統合失調症」に改められたことによ って本人やその家族の精神的負担が如何に軽減されたか、言葉の表記は極めて 大きな影響をもたらすものだと考えられます。 その意味で、特に、「精神障害者」は言葉自身にも問題があり、「心的障碍 者」と表現を改めることが適切だと感じております。 又、文科省の審議会では、『碍』の字の使用頻度が現状低いと云ことが不採 用の理由だと聞いておりますが、それは本来使用しなければならない『碍』の 字を使わずに「害」の字を使用している現在の常用漢字に原因があり、『碍』 の使用が認められれば頻度は高くなるのは至極当然のことと思われます。 そういう意味から、本来社会的弱者である筈の「障がい者」を表記するのに は平仮名との交ぜ書きではなく、中国・台湾・韓国など漢字圏にも通用するよ うに且つ又漢字の持つ本来的な意味を考慮して、是非とも『碍』の字の採用を お願いします。

●障碍者を是非使えるように、常用漢字に入れて下さい。 害⇒碍 最初は慣れなくとも戦前の日本や現在の韓国では民間に浸透してい ます。差別を無くすように、まず”碍”から始めたいと思います。



第174回国会(常会)衆議院文部科学委員会における「害」
と「碍」の字に関するやりとりについて

【平成22 年4 月21 日(水)衆議院文部科学委員会会議録(抄)】

○馳委員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。

 まず最初に、障害という言葉の表記について質問をいたします。

 まず、政府に伺います。政府の障がい者制度改革推進本部の表記は、障害者につい ては害の字が平仮名で表記をされております。どうして仮名まじり文字になっている のか、お答えをいただきたいと思います。

 〔委員長退席、笠委員長代理着席〕

○松田政府参考人 お答え申し上げます。

 障害の表記をめぐりましては、国民の間にさまざまな御意見がございまして、合意 が形成されていない状況にございます。

 このような背景から、障がい者制度改革推進本部それから障がい者制度改革推進会 議の立ち上げに当たりまして、本部及び会議の名称に限って、特定の漢字を用いず、 平仮名を交えて「障がい」と表記することとしたものでございますが、これは、障害 の表記に関しまして今後の検討に対して予断を与えることにならないといった配慮 によりまして、平仮名を特段推奨したものではございません。

 なお、総理の所信表明演説あるいは民主党のマニフェストにおきましても、平仮名 まじりで「障がい」と表記されているところでございます。

○馳委員 この仮名まじり表記のあり方について、文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。

○川端国務大臣 国語の先生にお答えするのが大変この間からプレッシャーになってしまっておりますが、いわゆる仮名と漢字をまぜて表記するということは、そのことによって読み取りが困難になったり、語の意味が把握しにくくなったりする場合は 避ける必要があるが、そのようなことがない場合には、むしろわかりやすくなるとい うことも含めて、必ずしも問題があるというふうには思っておりません。 なお、文部省用字用語例、昭和五十六年十二月においても、「漢字書きで示した語 についても、場合によっては、仮名書きにしても差し支えない。」と明記されており ますので、特段の問題があるという認識ではありません。

○馳委員 文字には表意文字と表音文字とあるんですよね。漢字はどちらですか、大 臣。

○川端国務大臣 基本的には、万葉仮名を除けば表意文字であるというふうに思って おります。

○馳委員 そうなんですね。別に今から国語の授業をするわけではありませんが、ち ょっと肩の力を抜いて、そうは言っても、漢字は表意文字である。そして、その漢字 を見て成り立ちを理解し、意味を理解し、これはまさしく教養なんですよ。

 したがって、私は、最初に自分の見解を言いますが、小学校から漢字を習う我が国 の教育の中においては、一年生で習う漢字、二年生で習う漢字、順番になっておりま して、最終的に高校三年生で習う漢字を全部含めると常用漢字すべてを習うというこ とになっておりますが、そういう輪切りで理解をするというよりも、国語の教科書に は、あるいは他の教科書にもいろいろな漢字が使われますから、まだ習っていないと しても、読み仮名をつけて意味を理解するということを訓練する、これによって教養 を身につけさせる、この方針というのは必要なのではないかと私は思っています。大 臣、どう思われますか。

○川端国務大臣 漢字で書くということは、それぞれの漢字の由来も含めて視覚で入 ってくるという部分で、私も何か脳の学者に聞いたところ、仮名で入るのと漢字で入 るのでは記憶される場所が違うということを伺いました。

 そういう意味で、漢字にも独特の、特有の意味があり、教育上も大変大事な問題で あることは事実でありますし、今の制度の中で、先生御指摘のような論も根強くある ことも事実でありまして、たしか世田谷区においては、小中学校で、いわゆる「日本 語」という科目をつくって、教材として、小学校一年生からすべて、古今東西の、西 はどうかわかりません、漢文も含めて、仮名まじりで、漢字、原文を書いて音読させ るということで効果を上げている例もありますので、先生の御主張にも認識としては 共有するものがたくさんあると私も思っております。

○馳委員 一定の理解をいただいて、ありがとうございます。

 スケジュールを確認しますが、文化審議会の国語分科会の中の漢字小委員会におい て常用漢字の追加漢字を協議している、それはことしの六月までに最終的な決着を図 る、まずこのスケジュールについて、私が今申し上げたとおりでよろしいでしょうか。

○川端国務大臣 スケジュールではそのように予定をしておるということでござい ます。

○馳委員 そこで、報道でもされておりますし、私は、きょうはプラカードを準備し てまいりましたので、まず行きますよ。これは、政府の改革本部、「障がい者」と表 記をしております。「障がい者」、平仮名ですね。速記の方も一応見ておいてください ね。

では、次。これはいわゆる一般的に今常用漢字にも使われている「害」の字を使っ た「障害者」であります。

 きょうの私の、今の質問の目的は次なんです。(資料を示す)この漢字を使うこと によって、障害者に対する政府の政策をより一層前に進めてほしいという願いを込め て、こういう表記を、いわゆる公文書あるいは法律用語に使って、ぜひ国民に意識の 啓発をしていただきたいという願いであります。

 そこで、この「碍」の字は、今常用漢字に採択されていますか、いませんか。

○川端国務大臣 入っておりません。

○馳委員 実は、昭和二十一年、当時は当用漢字という言い方をしましたよね。当時、 この漢字は採択をされませんでした。いろいろな事情があったと思います。

 これは実は俗字と言われておりまして、もともとの漢字はこの字なんです。「礙」。 共産党の宮本さん、読めますか。(発言する者あり)なかなか読めないとは思います けれども。

 私は、その漢字の語源というものを調べてまいりました。私だけの知識ではおぼつ かないので、玉川大学の中田幸司准教授にも、日本文学の先生ですが、裏をとるとい うか、事実関係も調べていただいてきました。

 さて、行きますね。つくりの部分が疑うという字ですね。それから、そこに石とい うへんがついておるというふうな漢字であるということは一目瞭然であります。

 この疑うという漢字の語源というものを御存じでしょうかというところから入り たいと思います。これは、思い迷うさま、とどまる、立ち尽くす、そういう語源がご ざいます。そして、それに石があることによって、石を目の前にして立ち尽くす、そ こから派生をして、妨げるというふうな意味になっているそうであります。

 そして次に、今現在、常用漢字にも採択されておりますうかんむりの「害」、非常 にマイナスのイメージが多くございます。この「害」の字の語源について御存じでし ょうか。

○川端国務大臣 承知しておりません。

○馳委員 これは、ぜひ皆さん、私が掲げているプラカードを見ていただきながら、 ちょっと解説をいたします。

 うかんむりですね。うかんむりというのは、まさしくこれは傘を意味しておりまし て、覆い隠す。まさしくこのうかんむりで、かぶせる、妨げる、覆い尽くす、こうい うふうな意味がありまして、その下ですよ。語源を調べて、私も、ああ、なるほどな と改めて思いましたが、口、これは祈りの言葉を意味しているそうでありました。祈 りの言葉。祈りの言葉を切り刻んで覆い隠すというところから「害」という漢字が成 り立ってきたという意味を伺って、例えば自害という言葉がありますよね。自害とい うのはどういう意味か御存じですか。

 では、鈴木副大臣に聞いてみましょう。自害。余りいいイメージじゃないですね。 自害、自害する。

○鈴木副大臣 まさに、みずから、みずからの命、体を切り刻んでという意味だと思 います。

○馳委員 そうなんです。この「害」という字には、傷つける、そして殺すという意 味までも含んでいるんですよね。

 そして私、もとに戻って、あえて、いしへんに疑うと書いて「礙」の、ここでちょ っと皆さんにも説明したいと思うんですけれども、障害者にとっての石はなんでしょ うか。先入観であったりとかあるいは社会環境の不備であったり政策の不備、英語で 言えばバリアと言えばいいのでしょうか、まさしくそれを前にして障害者の方々が立 ちすくんでいる、そして、障害者が社会環境や政策的な不備に妨げられている状況に あるというふうな読み方をすることができるんですよ。

さっきのに戻ります。

 したがって、大臣や、また内閣府の松田さんもちょっとごらんいただきたいんです が、現在の表記の「障害者」、障害者自身が妨げられているわけですよ。害を社会に 与えているわけではありません。当たり前の話ですね。むしろ、私たち国会の責任で あったり、政策の責任であったり、あるいは国民全体の障害者との距離感の問題でも あろうと私は思っているんです。

 だから、今、文化審議会の漢字小委員会で議論をされておりますが、あえて言いま すが、この「碍」を常用漢字として採択するという方針を政府が示し、「障碍者」と いう漢字は、公文書にも法律にもこの漢字を使うことによって、先入観とか政策の不 備、社会環境によって妨げられ、立ち尽くしている障害者を支援する、そういう国家 となっていかなければいけないという意思を表示する、そういう段階ではないのかな というのが、実は私の、あえてきょう申し上げてきた意見なんです。

 大臣、これは最終的に専門家の漢字小委員会のメンバーで議論されておりまして、 実は私もその議事録を全部読みました。読みましたが、漢字の語源にさかのぼっての 議論は残念ながら見ることができませんでして、ちょっと残念だなと私は思いました。 私が今申し上げてきた議論というのは、実は、高校レベルか、大学生に漢文学の授業 でちょっとするような話なんですが、むしろ、常用漢字に採択をする追加の文字を議 論している今この段階でこそ、私はもっと踏み込んだ議論をしてほしいなと思ってい るんですよ。

大臣の見解を伺いたいと思います。

 〔笠委員長代理退席、委員長着席〕

○川端国務大臣 改めて、先生に国語を習った生徒は、漢字に対して非常に興味を持ち、勉強するという子に育つだろうなと、やはり教育というものの何か大事さというのを感じて、漢字は本当にもっと勉強しておいたらよかったなというふうに今は思っております。

 そういう中で、国語審議会の立場で申しますと、この漢字を入れるかどうかは、よ く使われる漢字ということ、それから、今回でいいますと、県の名前であるのに入っ ていないというのは、そんなに使われないかもしれないけれども、やはり一般的に使 われるから、熊本の熊とか栃木の栃とかいうのも入れようということであります。

 今御指摘の「碍」の字は、いわゆる電柱の上にある碍子、それから障碍以外はほと んど使われる場所がない漢字でありまして、漢字の何かランキングと言うと変ですけ れども、よく使われるランキングがあって、「碍」の出現頻度というのが三千四百六 十一位ということで、表外漢字として二千五百一位以下のものについては個別に採用 する、常用漢字表に入れるということで、例えば、肥沃な土地とかいう沃というのは 三千二百六十八位ですが採用するとか、進捗の捗とか、訃報の訃とかいうのは採用す るんですが、障碍、融通無碍の碍、それから碍子という以外には余り言葉としてない という意味で、今入っていないんです。入れるところにも、議論としてはなかなか難 しいなと。

 ただ、御指摘のように、障害者の「障害」というのをどう表記するべきかが一方で 議論されております。そういう中で、これは、今のようなお話も含めて、この委員会 でどう表記するかというときに、その動向によっては、それが例えばこの字になると いうことであれば、改めてそういう、非常にあまねく使われる漢字としてはこれに入 れるべきかどうかという判断は入るべきものだと思いますから、順番としては、こち らが入れてということの環境にはないけれども、この結論は非常に注目をしていくと いうふうに伺っております。

○馳委員 大臣の今の答弁を融通無碍というんですよ。

 ちなみに、ガイとも読みますし、ゲとも読みますが、これは漢音か呉音かという、 その違いなだけなんですよね。そうなんですよ。呉の時代、漢の時代にどう発音して いたかという違いから、ガイという読み方をするか、ゲという読み方をするかという だけの問題であって。

 もう一つ、なぜ私が大臣に失礼にも融通無碍という言い方をしたかというと、常用 漢字に採択されていないから積極的に使われていないという見方をすることもでき るんですよ。鳩山総理は、障害者という呼び方をそもそも変えた方がいいんじゃない かと。例えばチャレンジドというふうな言い方もおっしゃいました。これは、私は鳩 山総理なりの一つの配慮だと思っているんです。ただし、障害者をチャレンジドと変 えたからといって、根本的に何かが解決するかという問題ではないとこれは思います よ。

 あえて言うならば、私は、漢字の語源にさかのぼった上で、今表記しております 「碍」という漢字の成り立ちを考え、今まさに「障碍者」は、社会環境や政策的な不備によ って立ちどまり、考えて、思い悩んでいる状況にあるんですよ。そこを政府の意思と して、今、内閣が議論をしておられますけれども、ここは私は政権交代の一つの象徴 とすべき問題でもあると思って、だから私は今あえて、ちょっとしつこく追及をして いるんです。もちろん、私たち政治家が文化審議会の国語分科会漢字小委員会に圧力 をかけるものではありませんが、より多くの国民に理解を求める、それはやはり政治 の仕事ではないのかなと思って質問をしているんですね。

改めて大臣の見解をお伺いいたします。

○川端国務大臣 何か鶏と卵みたいな話で、融通無碍に答弁をして しまったかもしれませんが、改めてこの漢字の持つ意味というのは再認識をさせていただきました。

 おっしゃるように、この審議会に、入れたらどうかということを言うものでは ないというふうには思っておりますが、私も障がい者制度改革推進本部のメンバーでもあります。 そういう意味で、先生御指摘の部分で、漢字を先に入れて、あまねくそうい うことが、もっと本来の意味でしっかり使われるようにということを行い、その結果 も含めて、「障碍者」という言葉がこの漢字で使われることが望ましいという御意見、 御主張はよくわかるんですが、今までの漢字の位置づけ、こういうものを採用すると いうときにおいては、これを広く、あまねく世の中に使われるようにしようという意 図で漢字を決めるという概念はどうも余りなくて、先ほど申し上げました、よく使わ れているとか、それから、造語としてその組み合わせによる言葉もたくさんあるとか いう判断で今まで審議をされてきたということがありますので、この議論は大変本質 的な、大事な議論ですので、漢字として採用するかどうかというよりも、やはり本旨 は、障害者という表記が、本当にこの漢字が持つ意味を含めてやるべきではないかと いうのが先生の御趣旨の一番根幹だと思いますので、そういう御議論はしっかり私も 踏まえながら、これからいろいろな部分に参考にさせていただきたいというふうに思 っております。

○馳委員 しばしば報道されているとおり、最近もこの「碍」の 字を常用漢字に採択するかどうかというのは本当に注目されているんですよね。

 では、内閣府の松田政策統括官にあえて伺います。現状、本部においてどういう議 論がされているんでしょうか。

○松田政府参考人 先ほどちょっと申し上げませんでしたけれども、昨年十二月に障がい者制度改革推進本部を設置した閣議決定におきまして、第三項でございますが、本部で「法令等における「障害」の表記の在り方に関する検討等を行う。」ということで、きちっと閣議決定で、この本部の使命として検討を行う、こういうことがまず決まっておりまして、それを受けまして、本部のもとに置かれました障害当事者の 方々等から成ります障がい者制度改革推進会議、これで検討を行っているという段階 でございます。

 去る三月十九日に一回目の議論があったわけでございますけれども、「障害」の表 記のあり方について議論があった。その際の議論の結果でございますが、今後、イン ターネットによる意識調査を実施して、再度課題を整理した上で、推進会議でまた再 度議論を行おう、今そういった状況にあるということでございます。

○馳委員 そのとおりなんですよ。そして、漢字小委員会においても、障がい者制度改革推進本部の議論を踏まえて最終的に判断しましょうということで、今私が指摘をした「碍」の字が入るかどうかという瀬戸際は、内閣府の障がい者制度改革推進本部の議論に実は決着がゆだねられている状況でもあるし、そのメンバーに川端文部科学大臣が入っているからこそ、あえて、私はきょうはこの「碍」の字の語源にまで踏み込んで質問をさせていただいているんですよ。

 これは政府が進めようとしている政策、国民にあまねく広く障害者政策を理解し、 協力し、また税金も使いますよ、その姿勢が問われているんですよ。ただ単に、仮名 まじり文字はちょっと読みづらいですねというレベルの話ではないんですよ。だから、 私は、民主党政権の政策の方針として極めて重要な問題でありますよということを指 摘しているんですね。改めて答弁をお願いします。

○川端国務大臣 まさに改めてでありますが、漢字が一文字で持つ意味というものを語源にわたって御紹介をいただき、まさにこれからの障害者のいろいろな施策をするときに非常に適した字であるという御認識は、私も改めてお教えをいただき、認識を持たせていただきました。

 今おっしゃるように、委員会においてこの表記をどうするかというのはかなり大きなテーマの一つでもございます。そういう部分で、関係団体、関係者、あるいはネットを含めて、いろいろな御意見を今聞いているところでありますが、非常に説得力の ある、深い意味を持つ御主張として、当然議事録もこれはでき上がりますので、そういうものを皆さんにお披露目もしながら、これからの議論の参考にさせていただきたいというふうに思っております。

○馳委員 ちなみに、夏目漱石の代表作である「吾輩は猫である」には「障害」という言葉を使っております。そして、森鴎外の作品である「金貨」、これには「碍」を使って「障碍」と表記をしております。森鴎外はお医者さんでもありますよね。私は、なるほど、やはり配慮をして使っているんだなと。「吾輩は猫である」の方が先に世に発表された作品で、「金貨」の方は後に発表された作品でもあり、あえて世の中に使い分けを問うたのかなと私は国語の先生として思っております。