ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:外務省】
ヒアリング項目 |
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【ヒアリング項目】国際協力に関する法的根拠 1.障害者基本法を含め、わが国の障害関連法には国際協力に関する明文の規定はない。ただ、障害者基本法に基づく障害者基本計画(2003~2012年度)及び同計画に基づく重点施策実施5か年計画には「国際協力」が含まれており、「第2次アジア太平洋障害者の十年(2003~2012年)」の行動計画としての「びわこミレニアムフレームワーク(BMF)」および行動指針としての「びわこプラスファイブ」などを踏まえた内容となってはいる。 しかし、障害者の権利条約第32条に定められる障害者施策に関する国際協力を恒常的な取り組みとしていくためには、時限的な計画等のみでは不十分であり、法律に明文化すべきとの意見について、どう考えるか。 |
回答 |
【結論】 障害者権利 条約第32条の国際協力に係る規定の趣旨については、関係国内法に国際協力に関する規定を設けるまでもなく「政府開発援助(ODA)大綱」において、障害者を含めた社会的弱者の状況を考慮することとしていること等により従来からこれと同様の考え方に立って対応している。 【根拠、理由】
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ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:外務省】
ヒアリング項目 |
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【ヒアリング項目】政府開発援助大綱 2.1992年に閣議決定された政府開発援助大綱(旧ODA大綱)の「4.政府開発援助の効果的実施のための方策」では、その13項に「子供、障害者、高齢者等社会的弱者に十分配慮する」との規定があった。 しかし、2003年に改定されたODA大綱(新大綱)では、障害及び障害者に関する規定はない。かろうじて、新大綱における「2.基本方針」「(3)公平性の確保」の中の「社会的弱者」に旧大綱の子供、障害者、高齢者を読み取ることができるのみである。これでは、国際協力における障害者の位置づけが後退したとしか言いようがないので、新ODA大綱の改定にあたっては、障害者に関する記述を明確に盛り込むべきという意見があるが、こうした意見についてどう考えるか。 |
回答 |
【結論】 現行のODA大綱は、障害者を含むより広い「社会的弱者」への配慮を重視している。国際協力における障害者の位置付けが後退してはいない。 【根拠、理由】 現行のODA大綱には、社会的弱者の状況を考慮する旨が規定されているが、これは障害者のみならずより広い「社会的弱者」に配慮していくことを明確にしたもの。旧ODA大綱と比して障害者の位置づけが後退したということではない。実際、2008年度では、「カンボジア国身体障害者用歩行補助具供与計画」等の援助案件を実施。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:外務省】
ヒアリング項目 |
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【ヒアリング項目】障害者団体の参画 3.障害者の権利条約32条には、国際的及び地域的機関並びに市民社会(特に障害者の組織)との連携が謳われている。一方、現行のODAに関する規定には障害者の参画が盛り込まれていない。このことについてどう考えるか。 |
回答 |
【結論】 ODA大綱に規定される社会的弱者への公平性の確保及び国民各層の広範な参加という基本方針を踏まえ、障害者の組織を含む市民社会との連携に努めている。 【根拠、理由】 2008年度にNGOとの連携により実施した障害者支援案件は以下のとおり。
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ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:外務省】
ヒアリング項目 |
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【ヒアリング項目】ESCAPとの連携 4.ESCAPを中心とするアジアでの日本の障害分野への貢献は高く評価され、特に第1次アジア太平洋障害者の十年の設立から最終評価、第2次十年の開始まではその支援は顕著であった。第2次十年の終了を見据えて、日本のNGOからは政府に権利条約推進の十年の提案国となることへの要望がある。こうした要望も踏まえた対応について、外務省としてどう考えるか。 また、ESCAPの障害分野に対する今後の支援について、どう考えるか。 |
回答 |
【結論】 第3次アジア太平洋障害者の十年については、第2次十年の最終レビュー会合を開催予定の韓国とも歩調を合わせつつ、積極的に参画していく考えである。 ESCAPの障害者分野に対する今後の支援については、ESCAPと連携し、障害者分野をリードすることは、有益であると考えており、ODA見直しの結果も踏まえつつ検討していきたい。 【根拠、理由】 障害者案件に対するESCAP事務局の積極的対応を踏まえ、障害者分野については、他の国際機関と比してESCAPに比較優位があると評価されている。我が国は長年ESCAPにおいて障害者分野をリードしてきており、第2次十年の行動計画は「びわこミレニアムフレームワーク」と呼ばれる等、日本のプレゼンスを大きく示すものであった。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:外務省】
ヒアリング項目 |
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【ヒアリング項目】アクセシビリティの保障について 5.同条約には、あらゆる機会への障害者のアクセシビリティの保障と合理的配慮(reasonable accommodation)の規定があり、国際協力においては特に、「国際協力(国際的な開発計画を含む。)が、障害者を受け入れ、かつ、障害者にとって利用可能なものであることを確保すること。」との規定(第32条1項a)がある。 しかしながら、ODA大綱には障害者のアクセシビリティの確保に関する援助が盛り込まれていないため、相手国政府や実施機関にその確保を求めることができず、実態としても確保がされていないという指摘がある。また、草の根・人間の安全保障無償資金協力やJICA等の援助案件にアクセシビリティの確保に関する援助を盛り込むべきではないか、外務省の政策評価の対象にアクセシビリティの確保に関する項目を入れるべきではないかという見解があるが、これらの意見についてどう考えるか。 |
回答 |
【結論】 障害者のアクセシビリティの確保に資する援助は重要であり、相手国政府や実施機関に対しその重要性に対する理解促進を図りながら、現在もアクセシビリティの確保に関する援助案件を数多く実施している。今後も可能な限り、アクセシビリティの確保に資する援助の実施に努めていく。 【根拠、理由】
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ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:外務省】
ヒアリング項目 |
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【ヒアリング項目】ODA予算等について 6.(1)相手国の要望に沿う現行の要望主義では、相手国側から障害が優先要望項目として出てくる可能性が格段に低くなるものと考えられ、その改善のために方策を講じるべきとの意見があるが、こうした意見や具体的な方策について、どう考えるか。 (2)ODA予算の使い方について、現在、リハビリテーションセンターの建設等、ハード面への支出が主である。一方、こうしたハード面の整備が障害者の地域生活の拡充につながっておらず、むしろ人材養成を含めた地域生活中心の援助へシフトすべきという意見もある。障害者権利条約に示されている地域で生活する権利の規定を踏まえて、援助のあり方についてのこのような意見について、どう考えるか。 |
回答 |
【結論】 我が国は、相手国の自主性を尊重する一方で、障害者を含む社会的弱者への配慮を重視しており、ソフト、ハード両面のバランスに留意しつつ、障害者に配慮した支援を、今後とも実施していく。 【根拠、理由】 我が国は、ODA大綱において、援助手法については、ソフト、ハード両面のバランスに留意しつつ、これらの有機的な連携を図るとともに、適切な見直しに努めるよう規定している。これに従い、今後とも、障害者の地域生活中心の援助に向け、障害者のニーズに対応した適当かつ効果的な支援に努めていく。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:外務省】
ヒアリング項目 |
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【ヒアリング項目】障害者の権利条約の訳について 7.同条約の日本政府仮訳文について、条約の成立過程や正文(英語、仏語、西語等)からみると、表現が不十分ではないかという議論がある。現在、政府仮訳文のほかに、条約の成立過程にかかわったNGOからも仮訳が出されている。今後、仮訳文を正式な訳文としていく過程において、こうした民間主体の意見を十分に反映させるべきという意見について、どう考えるか。また、今後の正式な訳文作成のスケジュールについて、どのように考えているか。 |
回答 |
【結論】
外務省としては、本条約が障害者の人権及び基本的自由の完全な実現を確保し促進する上で、重要な意義を有していることを十分に踏まえ、障害者団体等のご意見も参考としつつ、締結に向けた検討を進めてきたところである。 障害者団体とは、本条約の条文交渉時から意見交換等を通じて協力してきている。今後とも、頂いたご意見も参考としつつ、本条約の締結に向けて検討を進めていく考えである。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:外務省】
ヒアリング項目 |
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【ヒアリング項目】障害者の権利条約の批准について 8.障害者の権利条約の批准については、現在進めている障害者制度改革の集中期間における国内の関連法整備が終了したタイミングで行うべきとの考えについて、どのように考えるか。 |
回答 |
【結論】 外務省としては、「障がい者制度改革推進本部」及び「障がい者制度改革推進会議」における議論の状況も踏まえ、できる限り早期の締結を目指して鋭意必要な検討を進めたいと考えている。 【根拠、理由】 外務省としては、本条約の可能な限り早期の締結を目指し、所要の準備を行ってきている。締結のタイミングについては、関連する国内の対応に関する議論をなお尽くすべき、との意見があることも踏まえ、引き続き調整を続けていく考えである。なお、本条約を締結するために必要と考えられる水準の措置を確保した上で条約の締約国となり、条約の定める義務を負った形で条約の目的を達成していくことにより、内外からの客観的な評価や検証を一層厳しく受けて、我が国における障害者の人権及び基本的自由の実現に資するとの考え方もあり得るところであるが、いずれにせよ、「障がい者制度改革推進本部」や「障がい者制度改革推進会議」における議論も踏まえ検討していきたいと考えている。 |