障がい者制度改革推進会議
第16回(H22.7.12) 資料2
虐待防止について
池原 毅和氏提出資料
精神障害のある人に対する虐待等の防止について
2010年7月12日
弁護士 池原 毅和
1 精神科病院における患者の権利侵害事件(別表)
(1) 典型的な虐待事案
- 暴行
- 性的いやがらせ
- 使役
- 違法な行動制限等(ここでは薬物の過剰投与による化学的行動制限の問題は問われていない。)
(2) 関連する権利侵害事案
- 火災による死傷(看護職員等の人員配置の乏しさ、閉鎖施設での安全管理の杜撰さが影響していると考えられる。)
- 院内感染による死亡(過剰収容、安全管理の杜撰さ、一般診療科での合併症治療が行われにくいことに遠因がある。)
- 医師等の水増し、超過収容等(単科精神科病院等では、医師・看護師数が相対的に少ないのにさらに水増しをする現象)
- 金銭の横領・搾取
- 個人情報流出
- 向精神薬の不正処方
精神衛生法は、宇都宮病院事件(1984年)を契機に精神保健法に改正され、指定医制度、行動制限規定の創設、精神医療審査会の設置、行政庁の報告聴取権限、改善命令の規定など、患者の権利保護のための諸制度が作られたが、権利侵害事件は後を絶たない。
また、虐待的な事例は潜在化しやすく、閉鎖的な施設さらに表面化しにくいので、実際には多数の暗数(統計上認識されないが実際には存在している事例)が相当に残されていることを考慮する必要がある。
2 虐待等の問題には構造的な問題があると考えられる。
(1) 精神科病院の閉鎖性と長期、大量の入院者
昭和55年以来30万人を超える入院患者数を維持し続け、5年以上入院者がその4割以上を占める。2005年におけるOECD諸国の精神科平均剤日数は18.1日だが、日本は298.4日。任意入院であっても終日閉鎖病棟で処遇されている者が40%を超える。
(2) 精神医療審査会の機能不全
「都道府県別精神医療審査会の審査状況 平成20年」によると定期病状報告の審査について
- 医療保護入院:8万7063件のうち、他の入院形態への移行が適当が4件(0.004%)、入院継続不要が3件(0.003%)
- 措置入院:3240件のうち、他の入院形態への移行が適当が3件(0.08%)
しかし、社会的入院者は7万人から10万人(入院者数の1/4から1/3)いるといわれる。もし、上記の精神医療審査会の判断に問題がないとすれば、残る任意入院者(約20万人)の二人に一人は社会的入院者ということになるが、任意入院制度はそれほどまでに杜撰なのか?そうでないとすると、医療保護入院者等の中にも社会的入院者がありえるのではないか。とすると、上記の医療審査会の現状追認の判断は適切なのか疑問もある。
(3) 患者の権利擁護者制度の不備
精神医療審査会の患者側申し立ての認容率は、退院請求で全国5%に対して大阪12%、処遇改善請求では全国5%に対して、大阪7%である。これは大阪における患者権利擁護活動が全国に比べて活発であることに基づいていると考えられる。自由の剥奪や制約を伴う措置を定めるのであれば、権利擁護者による公費の権利擁護が必要である。
(4) 行政の改善命令などは時宜に適した機能を果たし得なかった。
安田病院事件などで大阪精神医療人権センターが積極的に患者の件擁護の活動をしたが、行政が動きは非常に遅かった。
(5) モニタリングシステムの欠如
精神科病院の入院者には自ら権利主張を積極的、自発的に行うことの困難性が多重に存在している。精神障害および向精神薬の影響による意思表明の困難化、自己の健康と生活が全面的に病院側の体制に依存せざるを得ない地位、強制入院、行動制限などの強制権限発動が医療者に委ねられている構造、外部との通信面会の制限、親族が必ずしも権利擁護者たりえない本人と家族の閉塞状況などから、虐待が外部に認識されにくい。従って、積極的に外部からモニタリングをするシステムが必要である(障害者権利条約16条3項)。精神保健福祉法上の精神医療審査会の定期病状審査(38条の3)および厚生労働大臣または都道府県知事の報告徴収権限(38条の6)は、モニタリングシステムの一種とも見られるが、措置入院権限が都道府県知事にあることを考えると、これらが障害者権利条約が求める「独立した当局」によると認められないであろう。また、上記システムができ(1987年改正)て20年を超える歴史を実証的にみれば、同システムが「効果的な監視〔モニター〕」として機能していないことは経験的に証明ずみである(なお、医療法25条は都道府県知事等に必要な場合にいわゆる「医療監視」を行う権限を認めているが、これは医療法遵守の観点からなされるもので、虐待防止のモニタリングに流用することはできない)。
3 虐待防止法の必要性
「精神科病院においては、精神保健福祉法による厳重な監督が実施されており」、「高い透明性と適切な処遇のあり方が担保されている状況にある」ということは、上記の現状からとても認められない。精神医療について虐待防止法が現行法と重複するもので、法制化を行う必要がないという議論も、後を絶たない権利侵害事件の実情からみて、現実から目をそむけた形式論でしかない。 障害者権利条約の観点からは、外部との通信面会が制約される閉鎖施設への収容は類型的には拷問等からの自由(15条)に該当する場合がある。また、そこにおける本人の意思に基づかない精神障害の治療は、心身のあるがままの状態を尊重されるべきインテグリティーの権利(17条)を侵害する可能性がある。障害者権利条約に照らした強制入院そのものの当否(14条)は別に論じる必要があるが、入院処遇下では虐待が起こる構造的危険性があり、実際に現在まで虐待の事例が多数報告されている。障害者権利条約16条1項は「あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待(これらのジェンダーを理由とする状況を含む。)から障害のある人を保護するためのすべての適切な立法上、行政上、社会上、教育上その他の措置をとる」と定めており、同条項の位置からも拷問(15条)からインテグリティーの保護(17条)に至る広範な領域を虐待の問題と理解してその防止と保護にあたらなければならないことが求められていると理解すべきである。また、虐待等については、事後的救済と再発防止のために「事案が明らかにされ、調査〔捜査〕され、かつ、適切な場合には訴追されることを確保するための効果的な法令及び政策」(16条5項)はもとより必要であるが、虐待のような悲惨な状況が起こらないように「あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待を防止するためのすべての適切な措置をとる」ことが求められる(16条2項)。
精神保健福祉法の度重なる改正はその防止に十分な効果を上げていないことが判明しているのであるから、この分野に虐待防止対策が及ぼされなければならないことは明らかだろう。
■ 精神科で発覚した主な問題事件
訴訟や個別過誤、患者同士の刑事事件はあまり収録していない。85年以前は記事の見つかった一部の案件だけ
発覚年 | 月 | 病院名 | 所在地 | 主な内容 | 分野 | |||
1954 | 1 | 千葉 | 火災で患者6人が焼死 | 火 | ||||
1955 | 6 | 千葉 | 火災で患者18人が焼死 | 火 | ||||
1957 | 3 | 新潟 | 新潟大が患者149人にツツガムシ病感染の人体実験 | 暴 | ||||
1968 | 3 | 高知 | 暴力団員が経営を握り、女性患者を次々暴行 | 性 | ||||
12 | 大阪 | 院長が患者13人をバットで殴打、1人死亡 | 暴 | |||||
1969 | 2 | 東京 | 患者詰め込みをごまかすため監査の日に土建作業 | 使 | ||||
6 | 東京 | 患者34人が集団脱走。途中で1人自殺、1人病死 | ||||||
7 | 埼玉 | 都職員に贈賄して山谷からアル中患者をかき集める | ||||||
8 | 大阪 | 看護人3人が男性患者をバットで殴り死なす | 暴 | |||||
8 | 神奈川 | 職員水増し、「とばく愛酒療法」 | 不 | |||||
11 | 徳島 | 火災で患者6 人が焼死 | 火 | |||||
1970 | 5 | 奈良 | 作業療法名目で三交代の深夜労働でプラスチック加工 | 使 | ||||
6 | 栃木 | 火災で患者17人が焼死 | 火 | |||||
6 | 神奈川 | 患者の半数52人に県が入院不要と退院命令 | 反 | |||||
1971 | 2 | 宮城 | 火災で患者6人が焼死 | 火 | ||||
1972 | 5 | 東京 | 電気ショックや使役労働を嫌って患者3人が逃走。さるぐつわされた看護婦死 | 使 | ||||
? | 静岡 | 医師・看護師を保護室に閉じ込め患者29人が改善要求 | ||||||
? | 奈良 | 退院要求を無視して不当に長期入院 | 反 | |||||
? | 福岡 | 青年患者が院内で首つりしたが、全身に外傷 | 暴 | |||||
1973 | 4 | 北海道 | 肝臓病患者に「精神病質」の診断でロボトミー手術 | |||||
1975 | 3 | 福岡 | 院長が約2億円脱税 | 税 | ||||
7 | 神奈川 | 職員水増し、使役労働、患者の金の流用 | 不 | 使 | ||||
9 | 東京 | 職員不足でずさん医療 | ||||||
1977 | 2 | 三重 | 火災で患者3人が焼死火 | 火 | ||||
1980 | 1 | 大阪 | 看護人が男性患者に暴行、死なす | 暴 | ||||
9 | 姫路 | ガラス店や鉄工所で作業療法と称して低賃金労働 | 使 | |||||
1982 | 6 | 徳島 | 患者8人が集団脱走、うち2人は連れ戻されたあと自殺 | |||||
1984 | 3 | 栃木 | 患者が職員らのリンチで死亡。院長らが患者虐待、使役労働、無資格診療、違法解剖 | 暴 | ||||
10 | 広島 | 火災で患者、看護婦ら6人焼死 | 火 | |||||
1985 | 4 | 群馬 | 看護士が患者を殴って頭の骨を折る | 暴 | ||||
7 | 千葉 | 入院患者の急死、違法入院など | 反 | |||||
7 | 東京 | 無資格の看護職員が注射やレントゲン | 反 | |||||
1985 | 10 | 東京 | 乱脈経理、患者の金を理事長らが着服、不要入院 | 反 | 金 | |||
1986 | 5 | 東京 | 職員水増し、使役労働、違法拘束 | 不 | 使 | |||
10 | 東京 | 自殺を病死に工作、処方箋の記入を部外に大量発注 | 反 | |||||
1989 | 2 | 兵庫 | 看護婦が患者57人の預かり金150万円を着服 | 金 | ||||
5 | 福岡 | 違法な入院・拘束、看護士が電気ショック | 反 | |||||
1992 | 6 | 福岡 | 電気ショックで82年に患者2人死亡。不当な強制入院 | 反 | ||||
1993 | 2 | 大阪 | 男性患者が院内で暴行を受け不審死 | 暴 | ||||
9 | 兵庫 | 男性患者が何者かに暴行を受けて重傷 | 暴 | |||||
1994 | 4 | 神奈川 | 患者にエアガン乱射、違法拘束、職員水増し | 暴 | ||||
12 | 山形 | 精神科病棟の火災で女性患者がCO中毒死 | 火 | |||||
1995 | 9 | 福岡 | 職員水増し、2億2700万円不正受給 | 不 | ||||
10 | 山形 | 職員水増し、7億円不正受給、選挙不正 | 不 | |||||
11 | 北海道 | 精神科職員が患者の金を着服 | 金 | |||||
12 | 神奈川 | 男性患者がベッドに縛られたまま流動食を詰め窒息死 | ||||||
1996 | 2 | 北海道 | 医大学生が宿直、無資格者がレントゲン | 反 | ||||
11 | 長野 | 院長が死亡患者の預金着服、脱税、患者虐待 | 金 | |||||
1997 | 1 | 愛知 | ベッド使用料など1200万円不当徴収、1億円不正受給 | 不 | 金 | |||
1997 | 1 | 茨城 | 職員水増し、6億5000万円不正受給 | 不 | ||||
2 | 高知 | 職員2人が女性患者の頭を壁に打ちつけ死亡 | 暴 | |||||
3 | 大阪 | 暴行死、違法入院・拘束、電話・面会妨害、使役労働、職員水増し、24億円不正受給 | 暴 | 不 | 反 | 使 | ||
1998 | 7 | 香川 | 精神科元職員2人が患者の預貯金を着服 | 金 | ||||
9 | 新潟 | 違法拘束中の女性がノドに物を詰めて窒息死 | 反 | |||||
11 | 鹿児島 | 女性患者を庭木に縛る。ニセ医師が診療 | 暴 | 反 | ||||
12 | 北海道 | 保護室に男性患者2人を入れ、1人が暴行死 | 反 | |||||
1999 | 2 | 三重 | インフルエンザで19人死亡。超過収容、使役労働 | 感 | ||||
5 | 福岡 | 医師水増し、10億円不正受給 | 不 | |||||
7 | 秋田 | 医師水増し、7億8000万円不正受給 | 不 | |||||
11 | 福岡 | 患者の退院・処遇改善請求を取り下げさせる | 反 | |||||
2000 | 1 | 佐賀 | 職員水増し報告 | 不 | ||||
3 | 東京 | 死亡患者の改印届を銀行に提出、職員水増し | 金 | |||||
4 | 福岡 | 医師水増し、22億円不正受給 | 不 | |||||
5 | 埼玉 | 中3少女がビタミン併用を怠った輸液で死亡 | ||||||
5 | 山口 | 看護職員が患者の預かり金164万円を着服 | 金 | |||||
8 | 鹿児島 | 看護婦が入院患者の預け金約40万円を着服 | 金 | |||||
9 | 長崎 | 看護士が勤務中に女性患者と性関係 | 性 | |||||
9 | 北海道 | 精神科PSWが入院患者の預金750万円引き出す | 金 | |||||
11 | 埼玉 | 不要な中心静脈栄養、違法拘束、病室で手術 | 反 | |||||
12 | 山口 | 12人の措置入院の必要性に主治医が疑問 | 反 | |||||
12 | 愛知 | 外出時の介助料、入浴料など不当徴収 | 金 | |||||
2001 | 1 | 東京 | 女性を拘束して病院へ搬送中に窒息死(業過で有罪) | |||||
2 | 大阪 | 看護士がゴルフクラブで頭を殴るなど暴行 | 暴 | |||||
3 | 福岡 | 事務長が患者の金や市の補助金など9500万円着服 | 金 | |||||
8 | 福岡 | 職員水増し、不正受給、超過収容 | 不 | |||||
8 | 大阪 | 職員水増し、違法拘束、外出制限、電話妨害 | 不 | 反 | ||||
12 | 東京 | 保護室で抑制中の男性患者が窒息死 | ||||||
12 | 山口 | 女性患者の不審死届けず。両親の面会を半年拒否 | 反 | |||||
2002 | 1 | 愛知 | 男性入院患者が何者かに扼殺。違法な院内作業 | 使 | ||||
4 | 富山 | 指定医の診察なく隔離、カルテ改ざん | 反 | |||||
7 | 和歌山 | 看護助手が男性患者を殴打して死なせる | 暴 | |||||
8 | 栃木 | O157に123人が集団感染、9人死亡 | 感 | |||||
10 | 福島 | 保護室に複数収容、電話面会制限、不正請求 | 反 | |||||
12 | 東京 | 任意入院の女性患者の退院を不当に拒否 | 反 | |||||
2003 | 4 | 福岡 | 任意患者の退院拒否、電話制限、違法拘束 | 反 | ||||
5 | 山梨 | 心臓に持病の男性患者に電気ショック療法、死亡 | ||||||
8 | 福島 | 作業名目で清掃作業、違法拘束、超過収容 | 使 | 反 | ||||
12 | 岐阜 | 入院患者に掃除や配膳などの院内作業、県も容認 | 使 | |||||
2004 | 1 | 茨城 | 閉鎖病棟の入院患者が抜け出し凍死。鍵かけ忘れか | |||||
2 | 富山 | 院長が7740万円の脱税で起訴 | 税 | |||||
6 | 茨城 | 患者8人と男性医師が結核感染 | 感 | |||||
6 | 高知 | 准看護師が入院患者8人の預金643万円を引き出す | 金 | |||||
10 | 山形 | 無資格の理事長や職員らが4年間、薬を調合 | 薬 | |||||
11 | 東京 | 身体拘束によるエコノミークラス症候群で5年間の4人死亡 | ||||||
12 | 熊本 | 患者6人と職員5人が結核感染 | 感 | |||||
11 | 埼玉 | 職員が女性患者に暴行、男性患者の窒息死届けず、不正請求 | 暴 | 不 | ||||
2005 | 2 | 長崎 | 看護師を患者への暴行で容疑で逮捕 | 暴 | ||||
4 | 愛知 | 女性の患者の胸をさわったとして院長逮捕、有罪確定 | 性 | |||||
6 | 栃木 | 6人が結核感染 | 感 | |||||
7 | 福岡 | 看護師2人が入院中の小5男児を殴って負傷させる | 暴 | |||||
8 | 山口 | 薬剤師が向精神薬約150錠と注射器を外部へ横流し | 薬 | |||||
11 | 大阪 | 医師がうつ病の女性患者の家に上がり、体を触り逮捕 | 性 | |||||
12 | 北海道 | 精神保健福祉士が患者の金30万円を盗む。本人否認で釈放 | 金 | |||||
12 | 宮城 | ノロウイルス集団感染。患者89人と職員20人 | 感 | |||||
2006 | 1 | 静岡 | ノロウイルスに集団感染。患者47人、職員17人 | 感 | ||||
1 | 岡山 | 不当な漫然長期入院・使役労働。弁護士会が人権救済勧告 | 反 | 使 | ||||
4 | 岩手 | 元通院患者の女性に医師が睡眠薬を飲ませ、準強姦で逮捕、有罪 | 性 | |||||
6 | 岩手 | 経営職員解雇で団交拒否。地労委が不当労働行為と認定 | ||||||
6 | 宮崎 | 閉鎖病棟で火災、男性1人が死亡 | 火 | |||||
6 | 岩手 | 女性患者が預けた預金通帳と印鑑で事務職員が890万円を着服 | 金 | |||||
7 | 埼玉 | 准看護師が患者に暴行・負傷。法務局が勧告。傷害で略式命令 | 暴 | |||||
7 | 奈良 | 精神科医が患者91人の情報を入れたパソコン紛失 | デ | |||||
7 | 富山 | 高岡市の公費助成患者1500人の情報がネットに流出 | デ | |||||
8 | 京都 | 患者の金数百万円が不明。女性看護師長が30万円返還 | 金 | |||||
8 | 大阪 | 男性患者が口にぬれタオルを置かれ心肺停止。同室患者の行為 | ||||||
9 | 香川 | 5階病棟の床下に白骨死体。02年6月に行方不明の女性患者 | ||||||
9 | 東京 | 准看護師が患者のキャッシュカードを盗んで316万円を引き出し、逮捕 | 金 | |||||
9 | 新潟 | 使途不明通帳が2冊(計約77万円分)が見つかる | 金 | |||||
10 | 東京 | 保護室で患者が放火、女性患者1人死亡、4人重傷。保護室カギあけず | 火 | |||||
10 | 千葉 | 入院費など計約436万円を着服した係長が着服、懲戒免職 | 金 | |||||
10 | 広島 | 看護師が入院患者8人の預かり金の計78万余円を着服、懲戒免職 | 金 | |||||
11 | 千葉 | PTSDの女性患者を男性医師が殴る。民事判決で認定 | 暴 | |||||
11 | 京都 | 医師が注射、自宅から町が患者を強制搬送(98年)。一審で違法認定(2、3審で逆転) | ||||||
12 | 大阪 | ノロウイルス集団感染。患者112人、職員18人 | 感 | |||||
2007 | 1 | 山梨 | ノロウイルスに集団感染。患者24人、職員14人、職員家族2人 | 感 | ||||
1 | 東京 | 説明を求めた女性患者の頭を院長が壁にたたきつけ負傷。傷害で逮捕、有罪 | 暴 | |||||
1 | 東京 | 患者1688人分の個人情報が入った私有パソコンを医師が紛失 | デ | |||||
2 | 千葉 | 無届けの介護施設。オリに閉じこめる、手錠をかけるなど虐待 | 反 | |||||
2 | 埼玉 | 職員水増しで不正請求。男性看護助手が患者に暴力 | 不 | 暴 | ||||
2 | 北海道 | ノロウイルス集団感染。患者30人と職員3人が発症 | 感 | |||||
4 | 千葉 | ノロウイルスに76人感染。2人死亡のうち女性1人は身体拘束中に嘔吐 | 感 | |||||
5 | 宮城 | 看護師が患者2人の預金312万円を着服、懲戒免職 | 金 | |||||
6 | 香川 | 入院患者が同室の患者を刺殺 | ||||||
7 | 愛媛 | 患者13人からの預かり金975万円を男性職員が着服、懲戒解雇 | 金 | |||||
9 | 青森 | 精神科の入院料2189万円を過剰請求、看護師配置の計算ミス | 不 | |||||
10 | 東京 | 入院中の少年(18)が男性看護師(33)を刺殺 | ||||||
10 | 東京 | リタリンの無資格処方で院長と事務員を逮捕 | 薬 | |||||
11 | 東京 | リタリンを無診察・無資格で処方した容疑で捜索。のち院長を書類送検 | 薬 | |||||
11 | 山口 | 入院中の女性が病室のベッドで首を圧迫され死亡。殺人で捜査 | ||||||
11 | 福井 | 救急搬送の男性に鎮静剤投与後、心肺停止。1年後死亡 | ||||||
11 | 三重 | 面会室で交際相手の女性を絞殺、入院患者の男を逮捕 | ||||||
12 | 兵庫 | ノロウイルス感染で入院患者53人と職員7人が発症 | 感 | |||||
12 | 兵庫 | 女性患者に診察なしで抗うつ剤を宅配。県が改善指導 | 薬 | |||||
12 | 群馬 | 男性看護師が男性患者の頭をけり、死なす。傷害致死で逮捕。以前から暴行 | 暴 | |||||
2008 | 2 | 富山 | 男性患者(84)が同室の男性患者(87)を殴って殺害。のち殺人容疑で書類送 | |||||
4 | 静岡 | 肺炎球菌で院内感染64人、患者4人が死亡。保健所報告は発生の約4週間後 | 感 | |||||
6 | 石川 | 患者ら2730人の個人情報がネット流出。職員がメモリーで持ち出していた | デ | |||||
6 | 千葉 | 火災で保護室の患者が煙を吸い死亡。看護師がカギ開けず。別の患者を放火で逮捕 | 火 | |||||
7 | 京都 | リタリン大量に使途不明。院長を近畿厚生局が書類送検(起訴猶予) | 薬 | |||||
8 | 鳥取 | 男性入院患者の顔を殴ったとして看護助手を暴行容疑で書類送検(起訴猶予) | 暴 | |||||
10 | 大阪 | 向精神薬エリミン約20万錠が不明。暴力団に売った元事務長を近畿厚生局が書類送検 | 薬 | |||||
11 | 千葉 | 男性入院患者の腕をねじ上げ、骨折させたとして看護師を傷害容疑で逮捕 | 暴 | |||||
12 | 東京 | 元患者につきまとい、脅迫メール。元院長をストーカーと脅迫容疑で逮捕 | 性 | |||||
12 | 大阪 | 違法拘束中の男性患者が重体、転院先で死亡。看護職員の暴力で患者が告訴 | 反 | 暴 | ||||
12 | 千葉 | 入院患者18人と職員6人が感染性胃腸炎。ノロウイルスか | 感 | |||||
2009 | 3 | 大阪 | 男性患者が保護室内で3月に不審死(外傷性の腸管破裂) | 暴 | ||||
4 | 奈良 | 処方せんなしで睡眠薬を知的障害者らに販売。近畿厚生局が書類送検 | 薬 |
平成22年5月27日
障がい者虐待の防止、障がい者の介護者に対する支援等に関する法律案に関する意見
社団法人日本精神科病院協会
常務理事 千葉 潜
これらの虐待防止施策について法整備されることに賛同する。
精神科病院においては、精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)による厳重な監督が実施されており、それらの医療サービスを受けている者の処遇については、高い透明性と適切な処遇のあり方などが担保されている状況にある。
精神科医療とくに入院治療の場面のみを特段に取り上げて、実際に機能している現行の法律に重複し、さらなる法制化をおこなう必要はないものと思われる。
精神科医療現場においておこなわれる行動制限(隔離・拘束など)は、厚生労働大臣の定める基準に従い、患者の自傷他事などを防御するための他の方法が無く、やむを得ず実施するものであり、それらは常に最小限にとどめる努力をおこなうものとされている。また、これらについての厳重な管理義務が課せられ、定期的な立ち入り検査が実施されている。