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障がい者制度改革推進会議 第16回(H22.7.12) 資料4

児童の権利に関する条約に基づき日本から提出された報告の審査について

平野 裕二氏提出資料

障がい者制度改革推進会議(2010年7月12日)資料 平野 裕二(子どもの権利条約NGOレポート連絡会議)

【資料1】 障害のある子どもに関する国連・子どもの権利委員会の勧告

第1回総括所見(1998年)

9.委員会は、子どもの状況、とくに障害を持った子ども、施設に措置された子どもならびに国民的および民族的マイノリティに属する子どもを含めて最も傷つきやすい立場に置かれたグループに属する子どもの状況に関する、子どもからの苦情の登録に関わるものも含めた細分化された統計的データおよびその他の情報を収集するための措置が不充分であることに、懸念とともに留意する。

13.委員会は、とりわけ、国民的および民族的マイノリティとくにアイヌおよびコリアンに属する子ども、障害を持った子ども、施設に措置されたまたは自由を奪われた子ども、および婚外子など最も傷つきやすい立場に置かれたカテゴリーの子どもとの関わりで、差別の禁止(第2条)、子どもの最善の利益(第3条)および子どもの意見の尊重(第12条)の一般原則が、子どもに関わる立法政策および計画に全面的に統合されていないことを、懸念する。……

14.委員会は、法律が、とくに出生、言語および障害との関わりで、条約が掲げるすべての事由に基づく差別から子どもを保護していないことを懸念する。……

20.障害を持った子どもに関して、委員会は、1993年の障害者基本法に掲げられた原則にも関わらず、こうした子どもが教育に効果的にアクセスすることを確保し、かつその社会への全面的インクルージョンを促進するために締約国がとった措置が不充分であることに、懸念とともに留意する。

41.障害者の機会均等化に関する標準規則(総会決議48/96)に照らし、委員会は、締約国に対し、現行法の実質的実施を確保するためにさらなる努力を行ない、障害を持った子どもの施設措置に代わる措置をとり、かつ、障害を持った子どもに対する差別を減らしかつ彼らの社会へのインクルージョンを奨励するための意識啓発キャンペーンを構想するよう勧告する。

第2回総括所見(2004年)

差別の禁止

24.委員会は、法律で婚外子が差別されていること、および、女子、障害のある子ども、アメラジアン、コリアン、部落およびアイヌの子どもその他のマイノリティ・グループならびに移住労働者の子どもに対する社会的差別が根強く残っていることを懸念する。

25.……委員会は、とくに女子、障害のある子ども、アメラジアン、コリアン、部落、アイヌその他のマイノリティ、移住労働者の子どもならびに難民および庇護希望者の子どもに関して社会的差別と闘いかつ基本的サービスへのアクセスを確保するため、締約国が、とりわけ教育および意識啓発キャンペーンを通じて、あらゆる必要な積極的措置をとるよう勧告するものである。

障害のある子ども

43.委員会は、精神障害を含む障害のある子どもが、条約で保障された権利の享受の面で依然として不利な立場に置かれており、かつ教育制度およびその他のレクリエーション活動または文化的活動に全面的に統合されていないことを懸念する。

44.「障害のある子どもの権利」に関する委員会の一般的討議(1997年、CRC/C/66付属文書Ⅴ)および障害者の機会均等化に関する国連基準規則(1993年12月20日の国連総会決議48/86)を考慮にいれ、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。

  • (a) 障害のある子どもに影響を及ぼすあらゆる政策を、それらが障害のある子どものニーズを満たし、かつ条約および障害者の機会均等化に関する国連基準規則にしたがうことを確保する目的で、障害のある子どもおよび関連の非政府組織と連携しながら見直すこと。
  • (b) 教育ならびにレクリエーション活動および文化的活動への障害のある子どものいっそうの統合を促進すること。
  • (c) 障害のある子どものための特別な教育およびサービスに配分される人的および財政的資源を増やすこと。

第3回総括所見(2010年)

データ収集

21.委員会は、子どもおよびその活動に関する相当量のデータが定期的に収集されかつ公表されていることを理解する。しかしながら委員会は、条約が対象としている一部の分野に関してデータが存在しないこと(貧困下で暮らしている子ども、障害のある子どもおよび日本国籍を有していない子どもの就学率ならびに学校における暴力およびいじめに関するものを含む)に懸念を表明する。

22.委員会は、締約国が、子どもの権利侵害を受けるおそれがある子どもについてのデータ収集の努力を強化するよう勧告する。……

差別の禁止

33.……委員会はまた、民族的マイノリティに属する子ども、日本国籍を有していない子ども、移住労働者の子ども、難民である子どもおよび障害のある子どもに対する社会的差別が根強く残っていることも懸念する。……

34.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。

  • (a) 包括的な反差別法を制定し、かつ、どのような事由であれ子どもを差別するあらゆる立法を廃止すること。
  • (b) とくに女子、民族的マイノリティに属する子ども、日本人ではない子どもおよび障害のある子どもに対して実際に行なわれている差別を削減しかつ防止するため、意識啓発キャンペーンおよび人権教育を含む必要な措置をとること。

障害のある子ども

58.委員会は、締約国が、障害のある子どもを支援し、学校における交流学習を含む社会参加を促進し、かつその自立を発達させることを目的として、法律の採択ならびにサービスおよび施設の設置を進めてきたことに留意する。委員会は、根深い差別がいまなお存在すること、および、障害のある子どものための措置が注意深く監視されていないことを、依然として懸念する。委員会はまた、必要な設備および便益を用意するための政治的意思および財源が欠けていることにより、障害のある子どもによる教育へのアクセスが引き続き制約されていることにも留意する。

59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。

  • (a) 障害のあるすべての子どもを全面的に保護するために法律の改正および採択を行なうとともに、進展を注意深く記録し、かつ実施における欠点を明らかにする監視システムを確立すること。
  • (b) 障害のある子どもの生活の質を高め、その基本的ニーズを満たし、かつそのインクルージョンおよび参加を確保することに焦点を当てた、コミュニティを基盤とするサービスを提供すること。
  • (c) 存在している差別的態度と闘い、かつ障害のある子どもの権利および特別なニーズについて公衆の感受性を高めること、障害のある子どもの社会へのインクルージョンを奨励すること、ならびに、意見を聴かれる子どもおよびその親の権利の尊重を促進することを目的とした、意識啓発キャンペーンを実施すること。
  • (d) 障害のある子どものためのプログラムおよびサービスに対して十分な人的資源および財源を提供するため、あらゆる努力を行なうこと。
  • (e) 障害のある子どものインクルーシブ教育のために必要な便益を学校に備えるとともに、障害のある子どもが希望する学校を選択し、またはその最善の利益にしたがって普通学校と特別支援学校との間で移行できることを確保すること。
  • (f) 障害のある子どものためにおよびそのような子どもとともに活動している非政府組織(NGO)に対し、援助を提供すること。
  • (g) 教職員、ソーシャルワーカーならびに保健・医療・治療・養護従事者など、障害のある子どもとともに活動している専門的職員を対象とした研修を行なうこと。
  • (h) これとの関連で、障害のある人の機会均等化に関する国連基準規則(国連総会決議48/96)および障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)を考慮すること。
  • (i) 障害のある人の権利に関する条約(署名済み)およびその選択議定書(2006年)を批准すること。

メンタルヘルス

60.委員会は、著しい数の子どもが情緒的ウェルビーイングの水準の低さを報告していること、および、親および教職員との関係の貧しさがその決定要因となっている可能性があることを示すデータに留意する。委員会はまた、発達障害者支援センターにおける注意欠陥・多動性障害(ADHD)の相談数が増えていることにも留意する。委員会は、ADHDの治療に関する調査研究および医療専門家の研修が開始されたことを歓迎するが、この現象が主として薬物によって治療されるべき生理的障害と見なされていること、および、社会的決定要因が正当に考慮されていないことを懸念する。

61.委員会は、締約国が、子どもおよび思春期の青少年の情緒的および心理的ウェルビーイングの問題に、あらゆる環境における効果的支援を確保する学際的アプローチを通じて対応するための効果的措置をとるよう勧告する。委員会はまた、締約国が、ADHDの診断数の推移を監視するとともに、この分野における調査研究が製薬産業とは独立に実施されることを確保するようにも勧告する。

【資料2】 日本の第3回報告書審査(国連・子どもの権利委員会)における障害児関連の主なやりとり(要旨)

○ クラップマン委員(ドイツ)

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の発症率は比較的低いものの、急増しているという報告がある。これは生活のなかで子どもの基本的ニーズが満たされていないことの反映ではないか。投薬等の医学的対応だけでは十分ではないという認識が国際的に広がっているが、ADHDの子どもに対応している医学的・心理学的サービスではこのような問題を認識しているか。

○ ヴァーマー委員(モーリシャス)

障害のある子どもの教育について、特別なニーズのある子どもが普通学校への統合を希望した場合、その希望はかなえられるのか。学校のバリアフリー化などの対応をとっているか。

○ フィラーリ委員(アルジェリア)

統合を希望する障害児が「特別なニーズ」への対応を理由に特別支援学級に行くことを求められると、フラストレーションを感じる。物理的環境の不備など、普通学校側の対応能力が十分ではないと、単純な解決策として、特別支援学級・学校に行くことを求められてしまう。これは子どものフラストレーションを増加させているのではないか。

○ 文部科学省

……障害をもつ子どもの教育についてですが、特別支援学校のみならず、小中学校においても、受け入れを可能とするためにバリアフリー化、ひとりひとりの障害の状況等に応じたカリキュラムの弾力化、教材の選定、教員の研修といったことを通じて、進めているところです。この特別支援教育には、通常の小中学校に在籍する、たとえばADHDをはじめとした発達障害のある子どもに対する教育も含まれています。その子どもの就学先、障害をもつ子どもの就学先を決めるのは、地方公共団体の教育委員会になります。この決定を行う際には、保護者の意見をきくことが、義務づけられておりまして、教育的見地、医学的見地、心理学的見地、といった専門的、総合的観点から決定することとなっております。

○ クラップマン委員(ドイツ)

ADHDは障害として扱われているのか。障害として認定することに対しては抑制的アプローチをとらなければならないと考えているが、日本ではどうなっているか。

○ 文部科学省

ADHDについては、その発達障害のある子どもというのも、そういった特別なニーズがあるということを認知して、その障害に配慮した指導等を行なって、たとえば支援員による支援というのも広がっておりますし、そういったところに取り組んでいるということを申し上げておきます。

【資料3】 子どもの権利委員会 一般的意見9号(2006年) 障害のある子どもの権利

子どもの権利委員会

第43会期(2006年9月11~29日)採択

CRC/C/GC/9(原文英語)

日本語訳:平野 裕二

* ここに掲載したのは未編集版からの翻訳である。正式な国連文書化の過程で文言等の修正が行なわれる可能性がある。

一般的意見9号(2006年) 障害のある子どもの権利

A.はじめに

なぜ障害のある子どもに関する一般的意見なのか?

1.世界には障害のある人々が5億~6億5000万人いると推定されている。これは世界人口のおよそ10%であり、そのうち1億5000万人は子どもである。80%以上が開発途上国に住んでおり、サービスにアクセスすることがほとんど、またはまったくできていない。開発途上国の障害児の大多数は学校に通っておらず、完全に識字能力を欠いている。戦争、疾病、貧困といった障害の原因の大多数が予防可能であることは、早期の/時宜を得た介入が行なわれないために生ずることの多い障害の二次的影響を予防および/または縮減することの可能性とともに、認識されているところである。したがって、社会のあらゆる層の参加を得ながら障害を予防するためのもっとも効果的な行動について調査し、かつそれを実行に移すために必要な政治的意思と真のコミットメントを創り出すべく、さらなる対応が必要とされている。

2.この数十年の間に、障害者一般およびとくに障害児に対しては積極的な焦点が当てられるようになってきた。これは、障害のある個人ならびに国内的および国際的非政府組織(NGO)の障害者権利擁護者の声にますます耳が傾けられるようになったためでもあるし、人権条約および国連人権条約機関の枠組みのなかで障害者にいっそうの注意が払われるようになったためでもある。条約機関はこの分野で相当の潜在的可能性を有しているが、全体としては、障害者の権利を増進するうえで十分に活用されてはこなかった。1989年11月に採択された子どもの権利条約(以下「条約」)は、障害にとくに言及し(差別の禁止に関する第2条)、また障害児の特別な権利とニーズをとくに取り上げた独立条項(第23条)を有する初の人権条約である。条約発効(1990年9月2日)後、子どもの権利委員会は、障害を理由とする差別に対して特別の注意を一貫して払ってきている[1]。他の人権条約機関のさまざまな総括所見でも、差別の禁止に関する条項の「その他の地位」を根拠として、障害を理由とする差別に注意が払われてきた。1994年には社会権規約委員会が障害者に関する一般的意見5号〔http://www.bfp.rcast.u-tokyo.ac.jp/nagase/2003p01.htm〕(E/1995/22)を採択し、「障害を理由とする差別の影響は、教育、就労、住居、移動、文化的生活、ならびに公共の場所およびサービスへのアクセスの分野でとくに深刻である」と述べている。1994年には、国連社会開発委員会の「障害に関する特別報告者」が初めて任命された。特別報告者の任務は、1993年に国連総会で採択された「障害者の機会均等化に関する基準規則」[2]の実施状況を監視し、かつ世界中の障害者の地位を増進させることである。1997年、委員会は障害児に関する一般的討議を開催した。その結果として採択された詳細な勧告(CRC/C/66、パラ310-339参照)には、障害児に関する一般的意見を起草する可能性について委員会として検討すべきことも含まれている。委員会はまた、「障害のある人の権利および尊厳の保護および促進に関する包括的かつ統合的な国際条約に関する特別委員会」の活動にも、評価の意とともに留意するものである。同委員会は、2006年8月25日にニューヨークで開催された第8会期において、障害者権利条約草案を採択した。

[1] Wouter Vandenhole, Non-Discrimination and Equality in the View of the UN Human Rights Treaty Bodies, p.170-172, Antwerpen/Oxford, Intersentia 2005 参照。

[2] 国連総会第48会期採択(1993年12月20日の国連総会決議48/96添付文書)。

3.委員会は、締約国報告書を審査するなかで、世界中の障害児の状況に関する情報を豊富に蓄積するとともに、圧倒的多数の国では、障害児に関してとくに何らかの勧告を行なわなければならないことを見いだしてきた。そこで特定され、取り上げられてきた問題は、意思決定からの排除から、障害児に対する深刻な差別および実際の殺害まで、さまざまである。貧困は、障害の原因でもあり結果でもある。障害児とその家族には、十分な食糧、衣服および住居を含む十分な生活水準に対する権利と、生活条件の不断の向上に対する権利がある。貧困下で暮らしている障害児の問題は、十分な予算上の資源を配分することにより、また特別な保護および貧困削減プログラムに対する障害児のアクセスを確保することにより、対応されるべきである。

4.委員会は、第23条にとくに関わる留保または解釈宣言がいかなる締約国によっても行なわれていないことに留意する。

5.委員会はまた、障害児が、条約に掲げられた権利の全面的享受の面で依然として深刻な困難および障壁を経験していることにも留意する。委員会は、障壁は障害そのものではなく、障害児が日常生活のなかで遭遇する社会的、文化的、意識的および物理的障壁の組み合わせであることを強調するものである。したがって、障害児の権利を促進するための戦略は、これらの障壁を取り除くために必要な行動をとることにほかならない。委員会は、障害児にとって第2条および第23条が重要であることを認めつつ、障害児を対象とする条約の実施がこれらの条項に限られるべきではないことを冒頭から述べておく。

6.この一般的意見は、障害児の権利を実施するための努力を進める締約国に対し、条約のあらゆる規定を網羅する包括的な方法で指針および援助を提供しようとするものである。すなわち、委員会はまず第2条および第23条に直接関わる若干の所見を明らかにするが、実施に関する一般的措置の枠組みのなかに障害児を明示的に含めることの重要性にも詳細に注意を払う。その後、(委員会の慣行にしたがってクラスター別に分類された)条約のさまざまな条項が障害児にとってどのような意味を有し、かつどのように実施されるべきかについての所見を明らかにする。

定義

7.障害者権利条約草案 [3] 第1条2項にしたがい、「障害のある人には、さまざまな障壁との相互作用により、他の人との平等を基礎とする全面的かつ効果的な社会参加を妨げる可能性のある長期的な身体的、精神的、知的または感覚的損傷を有する者を含む」。

[3] 障害のある人の権利および尊厳の保護および促進に関する包括的かつ統合的な国際条約に関する特別委員会第8会期が、2006年8月25日、ニューヨークで採択した障害者権利条約草案。

B.障害児に関する中心的規定(条約第2条および第23条)

第2条

8.第2条は、締約国に対し、その管轄内にあるすべての子どもが条約に掲げられたすべての権利を享受できることを確保するよう、求めている。この義務は、締約国に対し、障害を理由とする差別も含むあらゆる形態の差別を防止するために適切な措置をとるよう、求めたものである。第2条では差別禁止事由のひとつに障害が明示的に挙げられているが、これはこれまでに例がなく、障害児は子どものなかでももっとも被害を受けやすい立場に置かれた集団のひとつに属するという事実から説明できる。諸要素の組合せにより被害を受けやすい立場に置かれている一定の集団、たとえば障害のある女子、農村部で暮らす障害児等は、諸形態の複合差別により、いっそう被害を受けやすくなることが多い。したがって、差別禁止条項で障害に明示的に言及することが必要であると考えられたのである。差別は、障害児の生活の種々の側面および障害児の発達との関わりで――しばしば事実上の差別として――生じている。ひとつの例として、社会的差別とスティグマの付与は障害児の周縁化と排除につながりかねず、暴力という形でその生存および発達を脅かす可能性さえある。サービス供給における差別は障害児を教育から排除することにつながり、また良質な保健サービスおよび社会サービスに障害児がアクセスすることを不可能にする。適切な教育および職業訓練を提供しないことは、将来の就労機会を否定することによる障害児差別である。障害児に対する社会的スティグマ、恐怖心、過剰な保護、否定的態度、誤った考え方および支配的偏見は多くのコミュニティで依然として強力であり、障害児の周縁化と疎外につながっている。この一般的意見において、委員会はこれらの諸側面について詳しく述べていく。

9.一般論として、締約国は、障害児に対するあらゆる形態の差別を防止および解消するための努力のなかで、次の措置をとるべきである。

  • (a) 差別の禁止に関する憲法条項に差別禁止事由として障害を明示的に掲げ、かつ(または)、差別を禁ずる具体的な法律または法規定に、障害を理由とする差別の具体的禁止を掲げること。
  • (b) 障害児の権利が侵害された場合に、障害児およびその親ならびに(または)その子を養育するその他の者が容易にアクセスできる効果的救済を提供すること。
  • (c) 障害児の事実上の差別を防止および解消する目的で、公衆一般および特定の専門職集団を対象とする意識啓発・教育キャンペーンを行なうこと。

10.障害のある女子は、ジェンダー差別のため、社会において差別をはるかに受けやすくなることが多い。このことを踏まえ、締約国は、障害のある女子が十分に保護され、あらゆるサービスにアクセスでき、かつ社会に全面的に包含されることを確保するために必要な措置(および必要な場合には追加の措置)をとることにより、障害のある女子に特段の注意を払うよう要請される。

第23条

11.第23条1項は、障害児を対象として条約を実施する原則の筆頭と見なされなければならない。すなわち、尊厳を確保し、自立を促進し、かつコミュニティへの積極的参加を助長する条件のもとで、十分かつ人間にふさわしい生活を享受できるようにすることである。障害児の権利の実現に関わって締約国がとる措置は、この目標を志向するものであることが求められる。同項の中核的メッセージは、障害児は社会に包含されなければならないということである。障害児に関わって条約上の権利を実施するためにたとえば教育および保健の分野でとられる措置は、社会において障害児が最大限に包含されることを明示的に目指すものでなければならない。

12.第23条2項にしたがい、締約国は特別なケアに対する障害児の権利を認めるとともに、資格のある子どもおよびそのケアに責任を負う者に対する援助の拡充を奨励および確保するものとされる。援助は、子どもの条件および親または子どもをケアする他の者の状況に適したものでなければならない。第23条3項では、具体的措置の費用と、援助において達成が試みられるべきことに関してさらに詳しい規則が定められている。

13.第23条の要求を満たすためには、締約国が、行動計画をともなう包括的な政策を策定し、かつ効果的に実施することが必要である。当該政策は、条約に掲げられた諸権利が差別なく全面的に享受されるようにすることを目指すのみならず、障害児およびその親または子どもをケアする他の者が、条約にもとづいて権利を有する特別なケアおよび援助を確実に受けられるようにすることも確保するものでなければならない。

14.第23条2項および3項の具体的内容については、委員会は次の所見を明らかにしておく。

  • (a) 特別なケアおよび援助は利用可能な資源にしたがって提供され、可能な場合には常に無償で与えられなければならない。委員会は、締約国に対し、障害児に対する特別なケアおよび援助に高い優先順位を与えるとともに、障害児差別を解消することおよび障害児を社会に最大限に包含することに対して、利用可能な資源を最大限に投資するよう促すものである。
  • (b) 当該ケアおよび援助は、障害児が教育、訓練、保健サービス、回復サービス、就労の準備およびレクリエーションの機会に効果的にアクセスし、かつこれらを享受することを確保する目的で計画されなければならない。委員会は、これから条約の具体的領域について取り上げていくなかで、このことを達成するために必要な措置について詳しく述べていく。

15.第23条4項について、委員会は、予防および治療の分野における締約国間の国際的情報交換がきわめて限られていることに留意してきた。委員会は、締約国が、子どもの障害の予防および治療の分野で自国の能力およびスキルを向上させられるようにする目的で、第23条4項で構想されているような積極的な情報交換のための効果的な、かつ適切な場合には対象を明確にした措置をとるよう勧告する。

16.開発途上国のニーズが、第23条4項で求められているように、どのようにかつどの程度考慮に入れられているのかは明らかでないことが多い。委員会は、条約の規定にしたがい、二国間または多国間の開発援助の枠組みのなかで、障害児ならびにその生存および発達に特段の注意が払われることを確保するよう、締約国に対して強く勧告する。このことは、たとえば、障害児を社会に包含することを目的とした特別プログラムを開発および実施し、かつそのために使途指定した予算を配分することによって実現することが可能である。締約国は、委員会に対する報告書のなかで、このような国際協力の活動および結果についての情報を提供するよう、促される。

C.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条6項)[4]

[4]この一般的意見においては、委員会は、一般的措置の文脈のなかで障害児に特別な注意を払うことの必要性に焦点を当てている。これらの措置の内容および重要性に関するより詳細な説明は、子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号(2003年、CRC/GC/2003/5)参照。

立法

17.差別の禁止に関して勧告されている立法措置(パラ9参照)に加えて、委員会は、条約のすべての規定が障害児(適切な場合には障害児への明示的言及が求められる)を含むすべての子どもに適用されることを確保するため、締約国があらゆる国内法および関連の規則を包括的に再検討するよう勧告する。国内法規には、障害児の具体的権利、とくに条約第23条に掲げられた諸権利の保護および行使に関する、明確かつ明示的な規定が掲げられるべきである。

国の行動計画および政策

18.子どもの権利条約のあらゆる規定を統合した国レベルの行動計画が必要であることは十分に認められた事実であり、委員会もそのことを締約国にしばしば勧告してきた。行動計画は、障害児のための計画および戦略を含んだ包括的なものでなければならず、また測定可能な成果を有するものであるべきである。障害者権利条約草案[5]は、第4条1項(c)においてこの側面を含めることの重要性を強調し、締約国は「すべての政策およびプログラムにおいて障害者の人権の保護および促進を考慮する」ことを約束すると述べている。また、すべてのプログラムにおいて財源および人的資源が十分に用意されること、および、たとえば正確な成果測定を可能にする指標のような、監視のための機構が組み込まれることも必要不可欠である。見過ごされるべきではないもうひとつの要素として、政策およびプログラムにすべての障害児を包含することの重要性が挙げられる。締約国によっては、すばらしいプログラムを開始しながらすべての障害児を包含していない例も見られる。

[5]障害のある人の権利および尊厳の保護および促進に関する包括的かつ統合的な国際条約に関する特別委員会第8会期が、2006年8月25日、ニューヨークで採択した障害者権利条約草案。

データおよび統計

19.締約国が自国の義務を履行するためには、データ収集機構を設置し、かつ発展させることが必要である。データ収集機構は、正確であり、標準化されており、かつ細分化を可能にするとともに、障害児の現状を反映するようなものであることが求められる。この問題は、予防の面からとる必要がある措置のみならず、プログラムへの資金拠出のために必要なきわめて貴重な資源の配分にも影響を及ぼすにも関わらず、見過ごされ、かつ優先課題としてとらえられないことが多い。正確な統計を入手するさいの主な課題のひとつは、障害に関して広く受け入れられた明確な定義が存在しないことである。締約国は、障害児が自分たちのために発展させられてきた特別な保護およびプログラムから利益を受けられるよう、すべての障害児が包含されることを保障する適切な定義を確立するよう奨励される。障害児は親または子どもをケアするその他の者によってしばしば隠されるため、障害児に関するデータを収集するために特別な努力が必要とされることも多い。

予算

20.予算配分:第4条に照らし、「……締約国は、自国の利用可能な資源を最大限に用いることにより、……これらの措置をとる」ものとされる。条約では、子どものためのサービスおよびプログラムに振り向けられるべき国家予算のもっとも適切な割合について具体的勧告は行なわれていないが、子どもが優先されるべきことは強く主張されている。この権利の実施状況は委員会にとって懸念の対象となってきた。多くの締約国は、十分な資源を配分しないのみならず、この間、子ども向けに配分される予算の低下傾向を示してきたためである。このことはとくに、優先順位がきわめて低く、またはまったく優先されないことさえある障害児にとって、多くの深刻な意味を有している。たとえば、すべての子どもを対象として義務的かつ無償の良質な教育を確保するための資金を締約国が十分に配分しなければ、障害児教員の養成のために、または障害児に対して必要な教育補助機器および移動手段を提供するために、資金が配分される可能性は低い。現在では地方分権化と民営化が経済改革として進められている。しかし、サービス供給に関する厳格な指針にしたがって障害児に十分な資金が配分されているかどうかを監督する最終的責任が締約国にあることは、忘れられるべきではない。障害児に対して配分される資源は、障害児のすべてのニーズを網羅するのに十分であるべきであり、かつ他の目的のために使用しないことが求められる。ここでいう障害児のニーズには、教員、理学療法士および政策立案担当者など障害児とともに働く専門家の訓練、ならびに、教育キャンペーン、家族に対する財政的支援、所得の維持、社会保障、補助機器および関連のサービスのために設けられたプログラムが含まれる。さらに、学校が障害児にとってアクセス可能なものとなるようにするための改修も含め、メインストリームの教育に障害児を包含するために必要なその他のプログラムに対する資金も確保されなければならない。

調整機関:「障害担当窓口」

21.障害児のためのサービスはさまざまな政府機関および非政府機関によって供給されていることが多く、またたいていはばらばらに供給されていて調整が行なわれていないため、機能の重複や供給の不均衡が生じている。したがって、適切な調整機構を設置することは必要不可欠である。このような機関は、官民を問わずあらゆる組織を包含した部門横断的なものであるべきであり、またその可能性を全面的に発揮しながら機能できるよう、政府の可能なかぎり高いレベルから権限付与および支持を得なければならない。障害児に関する調整機関を、子どもの権利に関するより幅広い調整システムまたは障害者に関する国レベルの調整システムの一環として設けることには、すでに設置されたシステムのなかで活動するという利点がある。ただし、そのシステムがすでに十分に機能しており、かつ必要な財源および人的資源を十分に振り向けられることが条件である。他方、独立の調整システムは障害児に注意を焦点化するうえで役立つ可能性がある。

国際協力および技術的援助

22.締約国の間で情報への自由なアクセスを可能にし、かつ、とくに障害児への対応およびそのリハビリテーションに関する知識の共有の雰囲気を醸成するため、締約国は国際協力および技術的援助の重要性を認識するべきである。障害児の権利を保護および促進するプログラムを確立し、かつ(または)そのための資金を拠出するうえで援助を必要とする開発途上国に対し、特段の注意を払うことが求められる。これらの国々は、障害者の切迫したニーズを満たすための十分な資源を動員するうえでますます多くの困難を経験しており、障害の予防、サービスの提供およびリハビリテーションならびに機会均等化の面で緊急に援助を必要としているはずである。しかし、これらの増大するニーズに応えるためには、国際社会が資金集めのための新たな方法および手段(資源を相当に増加させることも含む)を模索するとともに、資源動員のために必要なフォローアップ措置をとることが求められる。したがって、政府からの自発的拠出、地域的援助および二国間援助の増額ならびに民間の資金源からの拠出も奨励されるべきである。ユニセフとWHOは、開発途上国が障害児をとくに対象とするプログラムを開発および実施するのを援助するうえで有益な役割を果たしてきた。知識交流のプロセスは、最新の医学的知識の共有に加え、早期発見、ならびに、早期介入および家族への支援に対するコミュニティを基盤とするアプローチといった望ましい実践を共有するうえでも、また共通の課題に対応していくうえでも、価値を有する。

23.国内紛争または外国との紛争に耐えてきた(または現に耐えている)国々は、その過程で地雷が敷設された場合には特段の課題に直面する。締約国は、地雷や不発弾が敷設された土地の用地計画について関知していないことが多く、またこれらの地雷の除去費用は非常に高い。委員会は、残存する地雷および不発弾によって引き起こされる死傷被害を防止するため、対人地雷の使用、貯蔵、生産および移譲の禁止ならびに廃棄に関する条約(1997年)にしたがった国際協力の重要性を強調するものである。これとの関連で、委員会は、武力紛争地帯および(または)過去に武力紛争が発生した地域であらゆる地雷および不発弾の除去を完了するために、締約国が緊密に協力することを勧告する。

独立の監視

24.条約と障害者の機会均等化に関する基準規則はいずれも、適切な監視機構を設置することの重要性を認めている[6]。委員会は、国内人権機関がしたがうべき指針として、非常にしばしば「パリ原則」[7]に言及してきた(子どもの権利の保護および促進における独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年、CRC/GC/2002/2)も参照)。国内人権機関は、オンブズマンやコミッショナーなど多くの形式または形態をとりうるし、幅広い基盤を有することも、具体的問題を扱う特定の窓口となることもある。どのような機構が選択されるにせよ、それは次のような条件を備えたものでなければならない。

  • (a) 独立しており、かつ人的資源を含む十分な財政的支援を受けていること。
  • (b) 障害児およびその養育者に対して十分に周知されていること。
  • (c) 物理的な意味でのみアクセス可能であるに留まらず、障害児が容易にかつ秘密裡に苦情または問題を提起できるようなアクセス可能性も備えていること。
  • (d) このような機関は、障害児が子どもであることおよび障害を有していることの両方に配慮した方法でその苦情を受理および調査し、かつこれに対応する適切な法的権限を有していなければならない。

[6]障害者に関する社会権規約委員会の一般的意見5号(1994年、E/1995/22)も参照。

[7]「人権の促進および保護のための国内機関の地位および職務に関する原則」1993年12月20日の国連総会決議48/134。

市民社会

25.障害児のケアは国の義務であるが、NGOも、政府からの適切な支援、資金または承認を受けないままこれらの責任を遂行していることが多い。したがって締約国は、NGOの支援およびNGOとの協力を進めてNGOが障害児のためのサービス供給に参加できるようにするとともに、NGOが条約の規定および原則を全面的に遵守しながら活動することを確保するよう、奨励されるところである。これとの関連で、委員会は、サービス提供者としての民間セクターに関する一般的討議において採択された勧告(CRC/C/121、パラ630-653)に対して締約国の注意を促す。

知識の普及および専門家の養成

26.子どもの権利条約および障害児を取り上げた具体的規定に関する知識は、これらの権利の実現を確保するために必要な、強力な手段である。締約国は、とくに、組織的意識啓発キャンペーンを行なうこと、墨字や点字による条約の子ども向け版のような適切な資料を作成すること、および、障害児に対する前向きな態度を促進するためにマスメディアを活用することなどの手段により、知識の普及を図るよう奨励される。

27.障害児とともにおよび障害児のために働く専門家に関しては、障害児の権利に関する、対象および焦点の明確な教育が資格認定の前提として養成プログラムに含まれていなければならない。これらの専門家には、とくに政策立案担当者、裁判官、弁護士、法執行官、教育者、保健ワーカー、ソーシャルワーカーおよびメディア関係者が含まれるが、これには限られない。

D.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止

28.障害児に関する中心的規定について触れた節のパラ8-10参照。

子どもの最善の利益

29.「子どもにかかわるすべての活動において、……子どもの最善の利益が第一次的に考慮される」。この条が幅広い性質を有しているのは、あらゆる環境における子どものケアおよび保護のあらゆる側面を網羅しようとしたためである。同条は、障害児の権利を保護するための法的枠組みの定立を委ねられた立法者と、障害児に関わる決定を行なう法制度をその対象としている。同条は、プログラムおよび政策を定めるさいの基盤とされるべきであり、また障害児に対して提供されるすべてのサービスにおいて、かつ障害児に影響を与えるその他の活動において、考慮されるべきである。

30.子どもの最善の利益は、障害児のためのサービスを提供する居住型施設その他の施設においてとくに関連性の高いものとなる。これらの施設は、基準および規則を遵守し、かつ子どもの安全、保護およびケアを第一義的考慮事項とすることを期待されているためである。このような考慮事項は、他のあらゆる考慮事項よりも、またたとえば予算を配分するときのようなあらゆる状況下で、重視されるべきである。

生命、生存および発達に対する権利

31.生命、生存および発達に対する固有の権利は、障害児の場合には特段の注意を払うにふさわしい権利である。障害児は、世界の多くの国で、この権利を完全にまたは部分的に阻害する多様な慣行の対象とされている。新生児殺人の被害をいっそう受けやすいことに加え、文化によってはいずれかの障害のある子どもが「家系を汚す」不吉な前兆と見なされることもあり、その場合にはコミュニティで指定された特定の人物が組織的に障害児を殺害するのである。これらの犯罪は処罰されないことが多く、あるいは加害者が減刑の対象となる。締約国は、このような慣行に終止符を打つために求められるあらゆる必要な措置をとるよう促されるところである。このような措置には、公衆の意識啓発を図ること、適切な立法を確立すること、および、生命、生存および発達に対する障害児の権利を直接にまたは間接的に侵害したすべての者の適切な処罰を確保する法律を執行することが含まれる。

子どもの意見の尊重

32.たいていの場合、障害児に関わる政策立案および決定は障害者であるおとなとそうでないおとなが行なっており、子どもたち自身はその過程から除かれている。障害児が自分に影響を与えるあらゆる手続で意見を聴かれ、かつその意見が発達しつつある能力にしたがって尊重されるようにすることは、必要不可欠である。これには、議会、委員会その他の場のようなさまざまな機関に障害児の代表が出席し、意見を表明するとともに、自分たちに影響を及ぼす決定に、子ども一般として、また具体的に障害児として参加することが含まれなければならない。このようなプロセスに障害児の参加を得ることは、政策が障害児のニーズと望みに合うものとなることを確保することにつながるのみならず、意思決定過程が参加型のものとなることも確保されるので、インクルージョンの貴重な手段でもある。子どもには、意見表明を容易にするあらゆるコミュニケーションが用意されるべきである。締約国はさらに、子どもが自分自身の生活のなかでますます意思決定の責任を負っていく能力の発達を促進および尊重することに関する、家族および専門家を対象とした訓練の発展を支援することが求められる。

33.障害児は、その可能性を最大限に発揮できるよう、保健および教育の分野で特別なサービスを必要とすることが多いが、この点についてはそれぞれの箇所でさらに取り上げる。しかし、障害児の霊的、情緒的および文化的発達ならびにウェルビーイングは非常にしばしば見過ごされることに、ここで留意しておくものである。子どもの生活の重要な側面であるこれらの点を対象としたイベントや活動に障害児が参加することは、まったくないか最低限に留まっているかのいずれかであり、またその参加は障害児のみをとくに対象とした活動に限定されることが多い。これは、障害児のさらなる周縁化につながり、その孤立感を強めるだけである。子どもの文化的発達および霊的ウェルビーイングのためのプログラムや活動は、障害のある子どもも障害のない子どもも参加する、双方の子どもを対象としたものとして、統合的かつ参加型のやり方で進めることが求められる。

E.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条および第37条(a))

34.名前および国籍に対する権利、アイデンティティの保全、表現の自由、思想、良心および宗教の自由、結社および平和的集会の自由、プライバシーに対する権利、ならびに、拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰を受けない権利および不法に自由を奪われない権利はいずれも普遍的な市民的権利および自由であり、障害児を含むすべての者を対象として尊重、保護および促進されなければならない。ここでは、障害児の権利侵害の可能性が高い分野、または障害児の保護のために特別なプログラムが必要な分野に特段の注意が向けられるべきである。

出生登録

35.障害児は、出生時に登録されないという被害を不相応に高い割合で受けやすい。出生登録がなければ障害児は法律でその存在を認められず、また政府統計でも目に見えない存在となってしまう。出生登録が行なわれないことは、市民権が得られないこと、社会サービス・保健サービスならびに教育にアクセスできないことを含め、障害児の人権の享受に甚大な帰結をもたらす。出生登録をされていない障害児は、ネグレクトおよび施設措置の対象とされるおそれが、また死んでしまうおそれさえも、いっそう大きくなる。

36.条約第7条に照らし、委員会は、締約国が障害児の出生登録を確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。このような措置には、効果的な出生登録制度の開発および実施、登録料の免除、移動登録所の導入、および、まだ登録されていない子どもについては学校での登録所の導入などが含まれるべきである。この文脈において、締約国は、第7条の規定が差別の禁止(第2条)および子どもの最善の利益(第3条)の原則にしたがって全面的に執行されることを確保するよう、求められる。

適切な情報およびマスメディアへのアクセス

37.情報通信技術・システムを含む情報および通信へのアクセスは、障害児が自立生活を送り、かつ生活のあらゆる側面に全面的に参加することを可能にする。障害児およびその養育者は、障害の進行(原因、対応および予後を含む)についての学習につながるような、自己の障害に関わる情報にアクセスできなければならない。このような知識は、障害への適応を可能にするのみならず、自分自身のケアに関わる決定に参加し、かつ十分な情報を得たうえでその決定を行なえるようにもしてくれるので、きわめて貴重である。障害児はまた、テレビ、ラジオおよび印刷媒体ならびに新しい情報通信技術・システム(インターネット等)を含むあらゆる形態のメディアへのアクセスを可能とする、適切な技術その他のサービスならびに言語(たとえば点字・手話)も利用できなければならない。

38.一方で締約国は、障害児を含むあらゆる子どもを有害な情報、とくにポルノ的な題材、および、外国人嫌悪その他のいずれかの形態の差別を助長し、かつ偏見を強化しかねない題材から保護することが求められる。

公共の移動手段および施設へのアクセス可能性

39.公共の移動手段およびその他の施設(とくに行政の建物、ショッピング街、レクリエーション施設を含む)に物理的にアクセスできないことは、障害児の周縁化および排除における主要な要因のひとつであるとともに、保健および教育を含む諸サービスへの障害児のアクセスを顕著に阻害している。この点に関わる対応は先進国においてはおおむね実現されているが、開発途上国ではかなりの程度、未対応のままである。すべての締約国は、公共の移動手段を、障害児にとって安全であり、容易にアクセスでき、かつ(親または子どもをケアするその他の者の財源を考慮に入れながら)可能な場合には常に無償のものとする適切な政策および手続を確立するよう、促される。

40.新たな公共建築物はいずれも障害者のアクセスに関する国際的仕様を遵守するべきであり、また既存の公共建築物(学校、保健施設、行政の建物、ショッピング街を含む)は、それを可能なかぎりアクセス可能なものとするために必要な改築の対象とされるべきである。

F.家族環境および代替的ケア(条約第5条、第18条1~2項、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条4項ならびに第39条)

家族の支援および親の責任

41.障害児は、自分自身の家族環境のなかでこそ最善のケアおよび養育を受けることができる。ただし、そのためには家族があらゆる側面について十分に支援されていなければならない。このような支援には、障害とその原因についてだけではなく1人ひとりの子どもに特有の身体的および精神的要求についての(両)親およびきょうだいの教育、障害児の家族にのしかかるストレスや困難に配慮した心理的支援、親やきょうだいが障害のある家族構成員とコミュニケーションできるようにするための家族の共通言語(たとえば手話)に関する教育、特別手当ならびに消耗品および必要な装備(障害児が家族およびコミュニティに全面的に包含されながら尊厳のある、自立したライフスタイルを送るために必要と考えられる特別な家具および移動補助具など)という形態の物質的支援が含まれる。この文脈においては、養育者の障害の影響を受けている子どもに対しても支援が拡充されるべきである。たとえば、障害のある親またはその他の養育者とともに暮らしている子どもは、自己の権利の全面的保護につながり、かつ子どもの最善の利益にかなう場合には常にその親と暮らし続けることを可能にするような支援を受けられなければならない。支援サービスには、在宅ケア援助や、地域レベルで直接にアクセス可能な保育施設といった、種々の形態のレスパイトケアも含まれるべきである。このようなサービスは、親が働くこと、またストレスを緩和して健康的な家族環境を維持することを可能にする。

暴力、虐待およびネグレクト

42.障害児は、家庭、学校、私立・公立の施設(代替的ケアのための施設を含む)、職場ならびにコミュニティ一般を含むあらゆる環境において、精神的、身体的または性的なものであるかに関わらず、あらゆる形態の虐待をいっそう受けやすい立場に置かれている。しばしば引用される数字であるが、障害児が虐待の被害者となる確率は〔障害のない子どもの〕5倍である。家庭や施設において、障害児は精神的・身体的暴力ならびに性的虐待の対象とされることが多く、また家族にとってはさらなる身体的・財政的負担となることが多いためにネグレクトや怠慢な取扱いもとくに受けやすい。加えて、適切に機能する苦情受理・監視制度にアクセスできないことが、組織的かつ継続的な虐待を助長する。学校でのいじめは子どもが被害を受けやすい立場にさらされる特有の形態の暴力であり、たいていの場合、この形態の虐待では障害児が標的とされる。障害児がとくに被害を受けやすい立場に置かれる主な理由としては、とくに次のものを挙げることが可能である。

  • (a) 耳が聞こえなかったり、ひとりで移動、着替え、用便および入浴ができなかったりするために、侵襲的な身体ケアまたは虐待をいっそう受けやすくなる。
  • (b) 親、きょうだい、拡大家族および友人から切り離されて生活することにより、虐待の可能性が高まる。
  • (c) コミュニケーション障害または知的障害がある場合、虐待について苦情を申立てても無視され、信じてもらえず、または誤解される可能性がある。
  • (d) 親または子どもをケアするその他の者は、子どものケアに関わる身体的、金銭的および情緒的問題により、相当のプレッシャーまたはストレスを抱える場合がある。研究の示すところによれば、ストレスを抱えている者は虐待を行なう可能性が高くなることがある。
  • (e) 障害児は、性的な存在ではなく、自分自身の身体についても理解していないと誤ってとらえられることが多く、そのため虐待を行なう者、とくにセクシュアリティを根底に置いた虐待を行なう者の標的とされる可能性がある。

43.暴力と虐待の問題に対応するにあたり、締約国は、障害児に対する虐待および暴力を防止するため、たとえば次のようなあらゆる必要な措置をとるよう促される。

  • (a) 親または子どもを養育するその他の者に対し、子どもの虐待のリスクおよび徴候について理解するための訓練および教育を行なうこと。
  • (b) 子どもの養育者および施設の選択にあたって親が警戒感を持つことを確保するとともに、虐待を発見する親の能力を高めること。
  • (c) 子どものケアおよび子どもの障害への対応の面で、親、きょうだいおよび子どもをケアするその他の者を援助するため、これらの者を対象としたサポートグループを提供および奨励すること。
  • (d) 子どもには尊厳と尊重の念をもって取扱われる資格が権利としてあること、および、これらの権利が侵害された場合には適切な公的機関に苦情を申立てる権利があることについて、子どもおよび養育者が知ることを確保すること。
  • (e) 学校は、学校でのいじめを闘うためにあらゆる措置をとるとともに、障害児に対して特段の注意を払い、メインストリームの教育制度へのインクルージョンを維持しつつ必要な保護を提供しなければならない。
  • (f) 障害児をケアしている施設が、特別な訓練を受けた職員を擁し、適切な基準にしたがい、定期的な監視および評価の対象とされ、かつアクセスしやすく配慮のある苦情申立て機構を備えることを確保すること。
  • (g) パリ原則にもとづき、アクセスしやすく子どもに配慮した苦情申立て機構および適切に機能する監視制度を確立すること(この一般的意見のパラ24も参照)。
  • (h)加害者を処罰し、かつ家庭から立ち退かせることによって、子どもが家族を奪われず、安全かつ健康的な環境で暮らし続けられるようにするために必要なあらゆる立法上の措置をとること。
  • (i)虐待および暴力の被害者について、その全般的回復プログラムに特別な焦点を当てながら治療および再統合を進めること。

44.この文脈において、委員会はまた、子どもに対する暴力に関する国連研究のために提出された独立専門家の報告書(A/61/299)に対しても締約国の注意を促したい。同報告書は、とくに暴力の被害を受けやすい子どもの集団として、障害児にも言及している。委員会は、締約国に対し、同報告書に掲げられた全般的勧告および場面に応じた勧告を実施するため、あらゆる適切な措置をとるよう勧告するものである。

家族型の代替的ケア

45.拡大家族は、多くのコミュニティでいまなお子どものケアの主要な柱のひとつであり、子どものケアのための最善の選択肢のひとつと見なされている。親または子どもを養育するその他の者を支援するために拡大家族の役割を強化し、かつそのエンパワーメントを図るべきである。

46.里親家族が多くの締約国で受け入れられ、かつ実践されている代替的ケアの形態であることは認めながらも、障害児のケアを引き受けるのに消極的な里親家族が多いのもまた事実である。これは、障害児がさらなるケアを必要とする場合があり、またその身体的、心理的および精神的養育の面で特別な対応を必要とすることから、しばしばむずかしい課題が生ずることを理由とする。したがって、子どもの里親託置を担当する機関は、ふさわしい家族に対して必要な訓練および励ましを行なうとともに、里親家族が障害児を適切にケアできるようにするための支援を提供しなければならない。

施設

47.委員会は、施設に措置される障害児が多いこと、および、多くの国では施設措置がもっとも好まれる選択肢となっていることに、しばしば懸念を表明してきた。提供されるケアの質は、それが教育、医療またはリハビリテーションのいずれを目的とするかに関わらず、障害児のケアのために必要な水準よりもはるかに劣っていることが多い。これは、基準が明らかにされていないためか、その基準の実施および監視が行なわれていないためである。施設はまた、障害児が精神的、身体的、性的その他の形態の虐待ならびにネグレクトおよび怠慢な取扱いをいっそう受けやすい立場に置かれる、特別な環境でもある(前掲パラ42-44参照)。したがって委員会は、締約国に対し、施設措置はそれがどうしても必要で、かつ子どもの最善の利益にかなうときに、最後の手段としてのみ利用するよう促すものである。委員会は、締約国が、子どもの移動の自由を制限する目的のみで施設措置が利用されることを防止するよう勧告する。加えて、子どもの権利およびニーズを中心に組織された小規模な居住型ケア施設に焦点を当てながら既存の施設を転換すること、施設におけるケアについての国レベルの基準を発展させること、および、これらの基準の効果的実施を確保するために厳格な審査および監視の手続を確立することにも、注意が払われるべきである。

48.委員会は、親子分離および措置の手続で障害児がしばしば意見を聴かれていないことを懸念する。一般的に言って、意思決定過程においては、これらの決定が子どもの生活および将来に遠大な影響を及ぼすにも関わらず、パートナーとしての子どもが十分に重視されていない。したがって委員会は、評価、親子分離および措置の手続において、家庭外ケアにおいて、かつ移行プロセスの期間中に、障害児に影響を与えるあらゆる事柄について障害児の意見を考慮し、かつその参加を促進するための努力を継続および強化するよう勧告する。委員会はまた、子どもが保護措置の過程全体を通じて、すなわち決定が行なわれる前ならびにその実施中および実施後において意見を聴かれるべきであることも強調するものである。この文脈において、委員会は、親のケアを受けていない子どもに関する一般的討議のさいに採択された委員会の勧告(CRC/C/153、パラ636-689)に対し、締約国の注意を促す。

49.したがって、施設措置の問題に対応するにあたっては、締約国は障害児の脱施設化プログラムを確立し、家族、拡大家族または里親養育システムへの措置替えを図るよう促される。親および他の拡大家族の構成員に対しては、子どもを家庭環境に迎え入れるために必要な体系的支援/訓練が提供されるべきである。

G.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条3項、第23条、第24条、第26条および第27条1~3項)

健康に対する権利

51.「可能なかぎり高い健康水準への到達」ならびに良質の保健ケアへのアクセスおよびその負担可能性は、すべての子どもにとって固有の権利である。障害児は、差別、情報および(または)財源の欠如、移動手段、地理的分布および保健ケア施設への物理的アクセスを含むいくつかの課題により、取り残されることが多い。もうひとつの要因は、障害児の特定のニーズに対応する、対象の明確な保健ケアプログラムが存在しないことである。保健政策は包括的であるべきであり、また障害の早期発見、早期介入(心理的および身体的治療を含む)およびリハビリテーション(たとえば義肢、移動補助機器、聴覚補助機器および視覚補助機器などの身体的補助機器を含む)を取り上げなければならない。

52.ただし、保健サービスは、障害のない子どもに対しても対応する同一の公的保健制度内において、可能な場合には常に無償で、かつ可能なかぎり最新のおよび近代化されたサービスとして提供されるべきであることも、重要な点として強調しておかなければならない。障害児への保健サービスの提供にあたっては、コミュニティを基盤とする援助およびリハビリテーション戦略の重要性が強調されるべきである。締約国は、障害児とともに働く保健専門家が可能なかぎり最高水準の訓練を受け、かつ実践にあたって子ども中心のアプローチをとることを確保しなければならない。この点について、多くの締約国は国際機関および他の締約国との国際協力からおおいに利益を得ることができよう。

予防

53.障害の原因は複合的であり、したがって予防のあり方もさまざまである。しばしば障害の原因となる遺伝性疾患は、血族間の婚姻を慣行とする一部社会においては予防可能であり、このような状況下では公衆の意識啓発および適切な受精前検査が勧奨されよう。感染症は世界中でいまなお多くの障害の原因となっており、予防可能なあらゆる感染症を対象とする完全予防接種の達成のため、予防接種プログラムを強化しなければならない。栄養状態が貧弱であれば子どもの発達に長期的影響が生じ、ビタミンA欠乏症によって引き起こされる失明のような障害につながる可能性がある。委員会は、締約国が子どものための産前ケアを導入および強化するとともに、分娩中に十分な質の援助を確保するよう勧告するものである。また、締約国が十分な産後保健ケアおよび栄養についての情報を提供するためのキャンペーンを発展させるようにも勧告する。これとの関連で、委員会はまた、締約国がとくにWHOおよびユニセフとひきつづき協力し、かつその技術的援助を求めるようにも勧告するものである。

54.家庭内の事故および路上の交通事故が障害の主要な原因となっている国もいくつかあり、シートベルトや交通安全に関する法律のような、これを防止するための政策を確立および実施しなければならない。妊娠中のアルコール・薬物濫用のようなライフスタイル上の問題も障害の予防可能な原因であり、国によっては胎児性アルコール症候群が大きな懸念の対象となっているところもある。公衆の教育や、このような有害物質を濫用している可能性のある妊婦の発見および支援は、子どもの障害の原因を予防するためにとりうる措置の若干例にすぎない。有害な環境毒性物質も、多くの障害の原因の助長要因となっている。鉛、水銀、アスベスト等は、ほとんどの国で共通に見いだされる毒性物質である。各国は、有害物質の廃棄および環境を汚染するその他の手段を防止する政策を確立および実施するよう求められる。さらに、放射能事故を防止するための厳格な指針および安全措置も設けられるべきである。

55.武力紛争およびその余波(小火器・軽火器の利用およびそれらへのアクセスが容易になることを含む)もまた障害の主要な原因である。締約国には、戦争および武力紛争の有害な影響から子どもを保護し、かつ、武力紛争の影響を受けている子どもが心理社会的回復および社会的再統合を含む十分な保健サービスおよび社会サービスにアクセスできることを確保する義務がある。委員会はとくに、死傷を防止する目的で、地雷および不発弾の危険性について子ども、親および公衆一般を教育することの重要性を強調する。締約国が、ひきつづき地雷および不発弾の所在を特定し、疑わしい地域に子どもが立ち入らないようにするための措置をとるとともに、地雷除去のための活動を強化し、かつ適切な場合には国連機関によるものも含む国際協力の枠組みのなかで必要な技術的および財政的支援を求めることは、必要不可欠である(地雷・不発弾についてはパラ23、武力紛争については特別な保護措置に関する節のパラ78も参照)。

早期発見

56.障害は子どもの人生のかなり遅い時期に発見されることがきわめて多く、そのために効果的な治療およびリハビリテーションの機会が失われてしまう。早期発見のためには、保健専門家、親、教員、および子どもとともに働くその他の専門家の間に高い意識があることが必要である。これらの人々は、障害の徴候をもっとも早い段階で発見し、診断および対応のために適切な付託をすることができなければならない。したがって委員会は、締約国が、出生登録、および、幼い段階で障害が発見された子どもの進行を追跡するための手続とあわせ、保健サービスの一環として早期発見・早期介入システムを確立するよう勧告する。サービスはコミュニティと家庭の双方を基盤とし、かつアクセスが容易なものであるべきである。さらに、子どものスムーズな移行を促進するため、早期介入サービス、就学前施設および学校との間の連携を確立することが求められる。

57.設置されたシステムは、障害の発見後に治療およびリハビリテーションを含む早期介入を行ない、障害児がその機能的能力を全面的に発揮することを可能にするあらゆる必要な機器、とくに移動補助機器、聴覚補助機器、視覚補助機器および義肢を提供する能力を有していなければならない。また、これらの対応は可能な場合には常に無償で提供されるべきであり、またこれらのサービスを利用する手続は、長時間の待機および官僚的手続を避けた、効率的かつ単純なものであるべきことも強調しておく必要がある。

分野横断型ケア

58.障害児は複合的な健康問題を抱えていることがきわめて多く、これに対してはチーム・アプローチにもとづく対応がとられなければならない。子どものケアには多くの専門家が関わっていることが非常にしばしばあり、そのような専門家としてはとくに神経科医、心理学者、精神科医、整形外科医および理学療法士を挙げることができる。理想的なのは、これらの専門家が共同して障害児への対応計画をまとめ、もっとも効率的な保健ケアが提供されるようにすることである。

思春期の健康および発達

59.委員会は、障害児が、とくに思春期の間、同世代の子どもとの関係の確立の分野およびリプロダクティブヘルスの分野において複合的な課題およびリスクに直面することに留意する。したがって委員会は、締約国が、障害のある青少年に対して十分な、また適切な場合には障害別の情報、指導およびカウンセリングを提供するとともに、HIV/AIDSと子どもの権利に関する委員会の一般的意見3号(2003年、CRC/GC/2003/3)および子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達に関する同一般的意見4号(2003年、CRC/GC/2003/4)を全面的に考慮に入れるよう、勧告するものである。

60.委員会は、障害児、とくに障害のある女子に対する強制的不妊手術の慣行が蔓延していることを深く懸念する。この慣行はいまなお存在しているが、身体的不可侵性に対する子どもの権利を深刻な形で侵害するとともに、身体的・精神的健康への悪影響を生涯にわたってもたらすものである。したがって委員会は、締約国に対し、障害を理由として子どもに強制的不妊手術を行なうことを法律で禁止するよう促す。

調査研究

61.障害の原因、予防および障害への対応については、国および国際社会の調査研究課題において、おおいに必要とされる関心が向けられていない。締約国は、この問題に対して高い優先順位を与え、倫理的含意に特段の注意を払いつつ、障害に焦点を当てた調査研究への資金拠出およびモニタリングを確保するよう奨励される。

H.教育および余暇(条約第28条、第29条および第31条)

良質な教育

62.障害児は教育について他のすべての子どもと同一の権利を有するのであり、条約で規定されているとおり、いかなる差別もなく、かつ平等な機会にもとづいてこの権利を享受するものとされる[8]。この目的のため、「子どもの人格、才能ならびに精神的および身体的能力を最大限可能なまでに発達させること」を促進すべく、教育に対する障害児の効果的アクセスが確保されなければならない(子どもの権利条約第28条・第29条ならびに教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年、CRC/GC/2001/1)参照)。条約では、障害児が積極的な教育上の成果を達成できることを確保するため、学校の慣行を修正し、かつ、多様な能力を持った子どもに教えるための準備ができるような普通教員養成を図る必要性が認められている。

[8]この文脈において委員会は、国連ミレニアム宣言(A/RES/55/2)およびとくに、初等教育の完全普及について取り上げたミレニアム開発目標2に言及しておきたい。各国政府は、「あらゆる場所の子どもが男子も女子も同様に初等学校教育の全課程を修了できること、および、女子と男子があらゆるレベルの教育に平等にアクセスできること」を2015年までに確保するとの決意を表明している。委員会はまた、インクルーシブ教育という考え方を支持するその他の国際的コミットメント、とくに「特別ニーズ教育に関する世界会議:アクセスと質」(スペイン・サラマンカ、1994年6月7~10日、国連教育科学文化機関およびスペイン教育科学省)で採択された「特別ニーズ教育に関するサラマンカ宣言および行動枠組み」〔http://homepage2.nifty.com/1234567890987654321/Salamanca-Statement.html〕と、世界教育フォーラム(セネガル・ダカール、2000年4月26~28日)で採択された「ダカール行動枠組み――万人のための教育:われらの共同のコミットメントの達成」にも言及しておきたい。

63.障害児はそれぞれ非常に異なっているので、親、教員およびその他の専門家は、1人ひとりの子どもが、その子どもの可能性にもっともよく合ったコミュニケーション、言語、相互交流、適応および問題解決の方法およびスキルを発達させる援助をしなければならない。子どものスキル、能力および自己発達を増進させる立場にある者はだれでも、目標が十分に明確な、かつもっとも適切な方法で教育および発達を支援するため、子どもの進歩を綿密に観察し、かつ言語および感情による子どものコミュニケーションに注意深く耳を傾ける必要がある。

自尊感情および自立

64.障害児の教育に、尊厳をいかなる形でも制約されることなく他者から人間として尊重されるという障害児自身の経験にもとづく、積極的な自己意識の強化が含まれることはきわめて重要である。子どもは、他者から尊重され、かつ人権と自由を認められていることを実感できなければならない。障害児を教室の子ども集団に包含することにより、その子どもに対し、その子はアイデンティティを認められており、かつ学習者、仲間および市民のコミュニティに属していることを示すことができる。障害児の自尊感情の増進につながる仲間の支援は、もっと広く認識および促進されるべきである。教育においては、子どもが、エンパワーメントにつながるような形で自己管理、達成および成功を可能なかぎり最大限に経験できるような機会も提供されなければならない。

学校制度における教育

65.障害や特別なニーズは乳幼児期教育施設で最初に認識されることが多いので、乳幼児期教育は障害児にとって格別の意味を有する。子どもがその可能性を全面的に発達させられるよう援助するうえで、早期介入は何よりも重要である。子どもに障害または発達の遅れがあることが早い段階で発見されれば、子どもが乳幼児期教育から利益を得る機会ははるかに向上する。乳幼児教育は、子どもの個別のニーズに応じて組み立てられなければならない。国、コミュニティまたは市民社会機関が提供する乳幼児期教育は、あらゆる障害児のウェルビーイングと発達にとって重要な援助となりうる(乳幼児期における子どもの権利の実施に関する委員会の一般的意見7号(2007年、CRC/C/GC/7 and Rev.1)参照)。初等教育(初等学校に加え、多くの締約国では中等学校も含む)は、障害児に対して無償で提供されなければならない。すべての学校は、コミュニケーション上の障壁とも、移動能力が低下した子どものアクセスを妨げる物理的障壁とも無縁であるべきである。能力にもとづいてアクセス可能とされる高等教育も、障害のある青少年で資格のある者に対してはアクセス可能でなければならない。教育に対する権利を全面的に行使するため、多くの子どもは個人的援助が必要である。これにはとくに、多種多様な能力を有する子どもに教育するための手法および技法(適切な言語その他の形態によるコミュニケーションを含む)について訓練を受け、かつ子ども中心の個別的な教育戦略を用いることのできる教員、ならびに、適切かつアクセスしやすい教材、装備および補助機器が含まれる。締約国は、これらの個人的援助を、利用可能な資源を最大限に用いて提供するべきである。

インクルーシブ教育

66.障害児教育においてはインクルーシブ教育 [9] が目標とされるべきである。しかし、一部の障害児の教育においては普通学校では提供できない種類の支援が必要とされる場合もあるので、どのような種類の教育をどのような場所で提供するかは、子どもが有する個別の教育ニーズによって判断されなければならない。一般論としては、適切な配慮および個別の支援を備えた学校が障害児教育の目標とされるべきである。委員会は、障害のある人の権利に関する国際条約草案においてインクルーシブ教育という目標に対して明示的コミットメントが表明されていることに留意するとともに、インクルージョンに向けたプログラムを開始していない締約国に対し、この目標を達成するために必要な措置を導入するよう奨励する。ただし委員会は、インクルージョンの程度は多様でありうることも強調するものである。インクルーシブ教育を近い将来に達成することが実現不可能である状況、または障害児の能力を「最大限可能なまで」促進することが不可能な状況においては、サービスおよびプログラムの連続的な選択肢が維持されなければならない。

[9] ユネスコ「インクルージョンのための指針:教育へのアクセスをすべての者に確保する」( Guidelines for Inclusion: Ensuring Access to Education for All, UNESCO, 2005 )〔http://unesdoc.unesco.org/images/0014/001402/140224e.pdf〕では、次のような定義が示されている。「インクルージョンとは、学習、文化およびコミュニティへの参加を増進させ、かつ教育におけるおよび教育からの排除を減少させることにより、あらゆる学習者の多様なニーズを取り上げかつそれに対応していくプロセスとしてとらえられる。これには、適当な年齢層のすべての子どもを網羅する共通のビジョンと、すべての子どもを教育するのは普通教育制度の責任であるという確信に立って、内容、アプローチ、体制および戦略を変革および修正していくことがともなう。……インクルージョンは、障壁の特定および除去に関心を持つ」

67.近年、インクルーシブ教育に向けた運動は多くの支持を得てきた。しかし、インクルーシブという言葉はさまざまな意味で用いられる場合がある。中核的には、インクルーシブ教育とは、すべての生徒にとって意味のある、効果的かつ良質な教育を追求しようとする一連の価値観、原則および実践であり、障害児だけではなくすべての生徒の多様な学習条件および要求に正当に対応しようとするものである。この目標は、子どもの多様性を尊重するさまざまな組織的手段によって達成することができる。インクルージョンの範囲は、障害のあるすべての生徒をフルタイムでひとつの普通学級に措置することから、一定の特別教育も含めながらインクルージョンの程度をさまざまに変えつつ普通学級に措置することまで、多様なものとなりうる。インクルージョンが、障害児をその課題およびニーズに関わらず普通制度に統合するだけのものとして理解および実践されるべきではないことは、重要な点として理解されなければならない。特別教育に従事する者と普通教育に従事する者との緊密な協力が必要不可欠である。学校カリキュラムは、障害のある子どもと障害のない子どものニーズを満たせるような形で再評価および開発されなければならない。インクルーシブ教育の理念を全面的に実行に移すため、教員および教育制度に従事する他の職員の養成プログラムの修正が達成されなければならない。

職業教育および職業訓練

68.キャリア開発および職業生活への移行のための教育は、年齢に関わらず、すべての障害者のためのものである。キャリア開発は早期に開始され、生涯にわたって継続する過程ととらえられるので、低年齢のころから準備を始めることが肝要である。職業意識および職業上のスキルをできるかぎり早く、小学校段階から発達させることにより、子どもはその後の人生において就労面でよりよい選択を行なえるようになる。小学校で職業教育を行なうといっても、幼い子どもを利用して労働させるということではない。それは最終的には経済的搾取への扉を開くことである。職業教育は、生徒が低年齢の時期に自分の発達しつつある能力にしたがって目標を選ぶことから始まる。その後に、中等学校の実用的カリキュラムを通じて十分なスキルと労働経験へのアクセスが用意されるべきである。労働経験は、学校と労働現場との組織的調整および監視のもとで進められなければならない。

69.キャリア開発および職業上のスキルは学校カリキュラムに含まれるべきである。キャリア開発および職業上のスキルを義務教育年限に編入することが求められる。義務教育が小学校の年限に留まっている国では、小学校以降の職業訓練が障害児に対して義務的とされるべきである。政府は職業訓練に関する政策を確立し、かつそのために十分な資金を配分しなければならない。

レクリエーションおよび文化的活動

70.条約は、第31条で、子どもの年齢にふさわしいレクリエーションおよび文化的活動に対する子どもの権利を定めている。同条は、子どもの精神的、心理的および身体的な年齢および能力を含むものとして解釈されるべきである。遊びは、社会的スキルを含むさまざまなスキルを学習する最善の機会として認められてきた。社会における障害児の全面的インクルージョンの達成は、子どもがおたがいに(障害のある子どもとも障害のない子どもとも)遊ぶ機会、場所および時間を手にするときに実現される。学齢の障害児に対しては、レクリエーション、余暇および遊びのための訓練が〔カリキュラムに〕含まれるべきである。

71.障害児に対しては、さまざまな文化的および芸術的活動ならびにスポーツに参加する平等の機会が提供されるべきである。これらの活動は、表現のための手段であると同時に、自ら満足できる生活の質を実現するための手段としても見なされなければならない。

スポーツ

72.スポーツ活動は、競争をともなうものもともなわないものも、可能な場合には常にインクルーシブな形態で障害児を包含できるように計画されなければならない。すなわち、障害のない子どもと競い合える障害児は、そのような競争を奨励および支援されるべきである。しかしスポーツという領域においては、スポーツの身体的要求ゆえに、障害児が公正かつ安全に競い合える、障害児のみのゲームや活動が必要とされることもしばしばある。ただし、そのような障害児のみのイベントが行なわれるときには、メディアが、障害のない子どもたちのスポーツに対して向けるのと同じ関心を向けることによって、その役割を責任のある形で果たさなければならないことも強調しておかなければならない。

Ⅰ.特別な保護措置(条約第22条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)~(d)ならびに第32~36条)

少年司法制度

73.第2条に照らし、締約国には、法律に(第40条1項に掲げられたような形で)抵触した障害児が、条約に掲げられたすべての規定および保障、すなわち少年司法にとくに関わる規定(第40条、第37条および第39条)のみならず関連する他のあらゆる規定(たとえば保健および教育の分野におけるもの)によって保護されることを確保する義務がある。これに加えて締約国は、必要な場合、障害児がこれらの権利によって事実上の保護を受け、かつこれらの権利から利益を受けることを確保するために具体的措置をとるべきである。

74.第23条に掲げられた諸権利を参照し、かつ障害児が非常に被害を受けやすい立場に置かれていることを踏まえ、委員会は、パラ73で行なった一般的勧告に加えて、法律に抵触した(とされる)障害児の取扱いにおいて次の要素が考慮されるべきことを勧告する。

  • (a) 法律に抵触した障害児が、適切な言語を用いて事情聴取されるとともに、その他の面でも、この点に関して適当な訓練を受けた警察官、弁護士/権利擁護者/ソーシャルワーカー、検察官および(または)裁判官等の専門家によって対応されることを確保すること。
  • (b) 司法手続の利用を回避する目的で、子どもの個別の能力にあわせて措置の修正が可能となるような多様性と柔軟性を備えた代替的措置を発展させ、かつ実施すること。法律に抵触した障害児は、可能なかぎり、正式な/法的な手続に訴えることなく対応されるべきである。このような手続は、公の秩序の利益に照らして必要な場合に限って検討することが求められる。そのような場合、少年司法手続および当該手続における権利について子どもに情報を提供するため、特別な努力が行なわれなければならない。
  • (c) 法律に抵触した障害児は、審判前拘禁の場合であれ処罰の場合であれ、通常の少年拘禁所に措置されるべきではない。自由の剥奪は、犯罪の遂行に至った問題に対応するために十分な処遇を提供する目的で必要な場合にのみ適用されるべきであり、また子どもは、特別な訓練を受けた職員およびこのような特定の処遇を提供するためのその他の便益を有する施設に措置されるべきである。このような決定を行なうにあたり、権限のある公的機関は、人権および法的保障が全面的に尊重されることを確保するよう求められる。

経済的搾取

75.障害児は、最悪の形態の児童労働ならびに麻薬取引および物乞いを含むさまざまな形態の経済的搾取の被害をとくに受けやすい立場にある。この文脈において、委員会は、就労が認められるための最低年齢に関するILO第138号条約〔http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/st_c138.htm〕と最悪の形態の児童労の禁止および撤廃のための即時の行動に関するILO第182号条約〔http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/st_c182.htm〕をまだ批准していない締約国が、両条約を批准するよう勧告するものである。これらの条約の実施にあたり、締約国は、障害児の被害を受けやすい立場およびニーズに特別な注意を払うことが求められる。

ストリートチルドレン

76.障害、とくに身体的障害のある子どもは、経済的および社会的要因を含むさまざまな理由から、ついには路上で暮らすようになることがしばしばある。路上で生活しかつ(または)働いている障害児に対しては、栄養、衣服、住居、教育機会、ライフスキル訓練ならびにさまざまな危険(経済的および性的搾取を含む)からの保護を含む、十分なケアを提供することが必要である。これとの関連では、子どもの特別なニーズおよび能力を全面的に考慮した個別的なアプローチが必要とされる。委員会は、障害児が路上その他の場所で物乞いの目的で搾取されることがあることを、とくに懸念するものである。ときとして、物乞いの目的で子どもが障害者にされる場合もある。締約国は、このような形態の搾取を防止するためにあらゆる必要な行動をとるとともに、このようなやり方による搾取を明示的に犯罪化し、かつ加害者を裁判にかけるために効果的措置をとるよう求められる。

性的搾取

77.委員会は、子ども買春および子どもポルノグラフィーの被害を受ける子どもの人数が増大しつつあることに、しばしば重大な懸念を表明してきた。障害児は他の子どもよりもこれらの重大な犯罪の被害を受ける可能性が高い。各国政府は、子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書(OPSC)を批准および実施するよう促される。締約国は、選択議定書にもとづく自国の義務を履行するにあたり、障害児がとくに被害を受けやすい立場に置かれていることを認めて、その保護に特段の注意を払うべきである。

武力紛争における子ども

78.武力紛争は、前述したように〔パラ55〕、子どもが実際に紛争に関与しているか、戦闘の被害を受けているかに関わらず、障害の主要な原因のひとつである。この文脈において、各国政府は、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書(OPAC)を批准および実施するよう促される。武力紛争の結果として障害を負った子どもの回復および社会的再統合に、特段の注意が払われるべきである。委員会はさらに、締約国が、軍隊への徴募対象から障害児を明示的に除外するとともに、その禁止規定を全面的に実施するために必要な立法上その他の措置をとるよう勧告する。

難民および国内避難民である子ども、マイノリティに属する子どもならびに先住民族の子ども

79.一部の障害は、人災または天災など、一部個人が難民または国内避難民になることにつながる諸条件の直接の結果として生ずる。たとえば地雷や不発弾は、武力紛争が終結してかなりの時間が経っても、難民、国内避難民および居留民である子どもの死傷につながるのである。難民および国内避難民である障害児は複合的形態の差別を受けやすい立場に置かれる。難民および国内避難民である女子障害児の場合はなおさらで、このような子どもは男子よりも性的虐待を含む虐待、ネグレクトおよび搾取の対象とされることが多い。委員会は、難民および国内避難民である障害児に対し、予防のための援助を含む特別な援助、保健サービスおよび社会サービス(心理社会的回復および社会的再統合も含む)へのアクセスの面で高い優先順位が付与されるべきことを勧告する。UNHCRは子どもに政策上の優先順位を与えており、その分野における活動の指針とするための文書をいくつか採択してきた。これには「難民である子どもに関する指針」(1988年)も含まれ、これは「難民である子どもに関するUNHCRの方針」に編入されている。委員会はまた、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年、CRC/GC/2005/6)を考慮するようにも勧告するものである。

80.障害児の権利を保護および促進するためにとられるあらゆる適切なかつ必要な措置には、すでにコミュニティのなかで周縁化されている可能性の高い、マイノリティに属する子どもおよび先住民族の子どもの特別な脆弱性およびニーズ〔への対応〕が含まれなければならず、またこれらの脆弱性およびニーズに特段の注意が払われなければならない。プログラムおよび政策は常に、文化的および倫理的配慮を備えたものでなければならない。