障がい者制度改革推進会議 第22回(H22.10.27) 参考資料2
第20回障がい者制度改革推進会議における質問事項への経済産業省回答
追加質問項目
(1)「アクセシブルデザイン(狭義のユニバーサルデザイン)」及び広義のユニバーサルデザインの定義について。また、両者の定義の相違点及びその関係性について、ご意見を伺いたい。
回答
「アクセシブルデザイン」の定義、及び「ユニバーサルデザイン」との関係については、JIS Z 8071「高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針」に次のとおり規定されている(下線部参照)。
3.2 アクセシブルデザイン 何らかの機能に制限を持つ人々に焦点を合わせ、これまでの設計をそのような人々のニーズに合わせて拡張することによって、製品、建物及びサービスをそのまま利用できる潜在顧客数を最大限まで増やそうとする設計。その実現の方法として、
―修正・改造することなくほとんどの人が利用できるように、製品、サービス及び環境を設計する。
―製品又はサービスをユーザーに合わせて改造できるように設計する(操作部の改造等)。
―規格の採用により、障害のある人々向けの特殊製品との互換性をもたせ、相互接続を可能にする。
が挙げられる。
参考1. デザインフォーオール、バリアフリーデザイン、インクルーシブデザイン、トランスジェネレイショナルデザインは類似しているが、それぞれ異なった意味合いで使われる。
2. ユニバーサルデザインは、アクセシブルデザインを包含する概念で、すべての人が、可能な限り最大限まで、特別な改造や特殊な設計をせずに利用できるように配慮された、製品や環境の設計を指す。
注)上記はJIS Z 8071「高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針」から抜粋
追加質問項目
(2)金融機関のATMのタッチパネルは、視聴覚障害者には使いづらい。そこで、ユニバーサル・デザインの普及の観点から、金融機関等のATMのタッチパネルを視聴覚障害者にも使いやすいものとすることについて、ご意見を伺いたい。
回答
ATMメーカー及び自動販売機メーカーで構成される一般社団法人日本自動販売機工業会では、平成14年4月に『視覚障害者対応ATM設計指針』を制定し、視聴覚障害者が戸惑うことなく一人でATM操作が可能となるようなATMの開発の考え方について指針を示しているところ。
また、『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス』シリーズとして日本工業規格(JIS)を制定しており、ATMを含む情報通信機器及びサービスのアクセシビリティ改善のための指針や、情報アクセシビリティを確保する際に配慮すべき事項を示しているところ。
視聴覚障害者等のATM利用に際しての利便性の向上に寄与するために、これら指針や規格の利活用を引き続き促してまいりたい。
追加質問項目
(3)金融機関のATMのタッチパネルについて、静電気式のものは、圧力センサ式のものと異なり、義手等を使っている人には使えない。そこで、金融機関等のATMのタッチパネルを、義手等を使っている人にも使いやすいものとすることについて、ご意見を伺いたい。
回答
近年のATMメーカーは、赤外線方式を採用したタッチパネルの製品を生産、 出荷していると聞いている。赤外線方式はタッチパネル上のXY方向から赤外線 を照射し、タッチパネルに触れることにより赤外線が遮断され、触れた位置を座 標として認識し、取引内容を確認するもの。この方式は義手等でも操作が可能で ある。
今後は赤外線方式によるタッチパネルが浸透していくものと理解しており、そ の状況を注視してまいりたい。
追加質問項目
(4)ユニバーサルデザインに関して、技術開発と知的財産権との関係をどのように整理されているのかについて、ご意見を伺いたい。
回答
ユニバーサルデザイン関連の技術開発と知的財産権との関係については、一般的な技術開発と同様に、申請がなされ、知的財産権が付与されたら、開発した企業・個人の権利は保護されることになる。
追加質問項目
(5)アメリカではDVDに字幕を付けることを法律で義務付けている。日本でもそのような義務付けを行うべきではないかと思うが、そのような義務付けを行うことについて、意見を伺いたい。
回答
日本国内においては、業界団体や民間企業が連携・賛同し、2009年6月に特定非営利活動法人メディアアクセスサポートセンターを設立。「聴覚障害者用字幕」と「視覚障害者用音声ガイド」など制作や普及活動等を行っている。
また、一部民間企業についても、自主的に字幕付与に取り組んでいると聞いている。
なお、実際にDVDを制作している会社は中小企業が大半であることから、経済的、技術的な視野を含めた判断が必要となるため、こうした民間企業等の動向を注視してまいりたい。