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障がい者制度改革推進会議 第22回(H22.10.27) 資料2

第21 回推進会議資料「障害者基本法の改正に関する条文イメージ素案(総則関係部分)」に関する意見一覧

目次

1.目的

2.定義

3.基本的理念

4.差別の禁止

5.国民の理解

6.国際的協調

7.国及び地方公共団体の責務

8.国民の責務

9.障害者週間

10.施策の基本方針

11.障害者基本計画等

12.その他

1.目的

<条文イメージ>

 この法律は、障害者が、障害者でない者と等しく、すべての基本的人権の享有主体であることを確認し、かつ、障害の有無にかかわらず、国民が分け隔てられることなく相互に個性と人格を尊重する社会を実現するため、障害者の権利の実質的な確保並びに障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本的理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の権利の実質的な確保並びに障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とすること。(現行法第1条関係)

【大濱委員】

(結論)

 この法律は、障害者が、障害者でない者と等しく、すべての基本的人権の享有主体であることを確認し、かつ、障害の有無にかかわらず、国民が分け隔てられることなく相互に個性と人格を尊重する社会を実現するため、障害者の権利の実質的な確保並びに障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本的理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務義務等を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の権利の実質的な確保並びに障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とすること。(現行法第1条関係)

(理由)

 改正第4 条を、障害者の「権利」に対する「国及び地方公共団体の義務」と位置づけなおすことに対応するため。ただし、第6 条の「国民の責務」を含むので、「義務等」とした。

 なお、改正法において前文を設ける際には、障害者の「権利」に対する国と地方公共団体の「義務」を、第1 条ではなくて前文に配置しても良いと考える。

【尾上委員】

(結論)

 「目的」あるいは「前文」で、障害者権利条約の批准とその完全履行の趣旨を入れ込むべき。

(理由)

 このたびの障害者基本法の改正の議論は、権利条約の批准と完全履行を目的としているため。

【佐藤委員】

(結論)

 共生社会の定義のイメージの大谷案の「全ての障害者が社会の対等な構成員として位置づけられ」を「障害者を含む全ての人が社会の対等な構成員として位置づけられ」とし、「障害の有無にかかわらず差異と多様性が尊重され」を「性、年齢、障害の有無、その他の属性にかかわらず差異と多様性が尊重され」とする。

(理由)

 共生社会の定義を障害者問題・障害者政策の文脈でのみ定義するのは適切で ない。

【新谷委員】

(結論)

 実質的な確保は、漠然としている。法文規定としては明確化が必要。

 障害者権利条約の規定の尊重・順守の規定が必要。

(理由)

 法律としての実効性を確保するためには、「実質的」の内容を法律的に規定する必要がある。

【関口委員】

(結論)

 個性と人格の尊重、ではなく個性と人格の差異の尊重とすべき

 障害者の自立及び社会参加の支援等、とはなにか?

(理由)

 多様性が求められ、保障されなければならないのと、個性と人格を尊重しさ えすれば良いということになりかねない。

 等の意味が不明。自立の意味については議論のあった所なので、それを踏ま えて欲しい。

【竹下委員】

(結論)

 「障害者の自立及び社会参加の支援」ではなく、「自立及び社会参加の保障等のための」とすべきである。

(理由)

 憲法25条や障害者権利条約の理念を前提とする限りは、あくまでも障害者に対する施策は障害のある人の生存権、「自立と社会参加」を国によって保障されるべきものだからである。また、障害のある人は施策の対象者に過ぎないとすることをやめることがこれまでの議論で明確にされてきたことを踏まえれば、障害のある人は単に「支援を受ける者」ではなく、「権利を保障されるべき存在」でなければならないのである。

【久松委員】

(結論)

 「権利を確保する」という表現は馴染まないので、「権利を保障する」という表現に修正したほうがよいと思う。

(理由)

 「権利を確保する」という表現は、障害者権利条約にいくつか表記されているが、主語が締約国となっているので、締約国が「権利を確保する」ことは締約国の義務と解するのが自然である。障害者基本法の改正案では「法律が」という書き出しから始まっているので、確保するという表現よりは保障するという表現が適切ではないかと思う。

 なお、電子政府の「法令データ提供システム」での検索によると、「権利の保障」あるいは「権利を保障する」という表記はないものの、「保障される権利」では、「犯罪被害者等基本法」および「障害者基本法」が検出された。障害者基本法でも「保障される権利」と表記しているので、「権利を保障する」という表現が適切であると考える。ちなみに「権利が確保される」あるいは「権利を確保する」という表記は今のところ検出されていない。「確保」という用語は、安全を確保するとか財源や予算を確保するという表記のほうが一般的ではないかと思う。

【遠藤オブザーバー】

(結論)

 「障害者の権利の実質的な確保」における「実質的な確保」という規定の仕方には違和感を覚える。実質的な確保とは、どのような意味内容か不明であり、不適切ではないのか。そもそも、条文の文言として、「実質的な」という規定の仕方はあるのだろうか。

(理由)

 「障害者の権利の確保」を目的に加えることに異論があるわけでなく、他の法令の規定の仕方や用例などについても十分に参照の上、検討すべきである。

2.定義

<条文イメージ>

(1)障害の定義を、身体障害、知的障害又は精神障害その他の心身機能の損傷とすること。

(2)障害者の定義を、障害があり、かつ社会における様々な障壁との相互作用により、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者とすること。(現行法第2条関係)

【大濱委員】

(結論)

(1)障害の定義を、身体障害、知的障害又は精神障害身体的障害、知的障害、精神的障害又は感覚的障害その他の心身機能の損傷とすること。(現行法第2条関係)

(理由)

 権利条約第1 条を踏まえて、身体障害のなかから視覚障害や聴覚障害を抜き出して明確に位置づけるため。

 また、ここで定義する障害(impairment)が、身体障害者福祉法に基づく身体障害、知的障害者福祉法に基づく知的障害、精神保健福祉法に基づく精神障害を限定列挙するものではないことを明確にするため。

【尾上委員 1】

(結論)

 障害の定義について、「身体障害、知的障害、精神障害(以下略)」とされているが、「身体的障害、知的障害、精神的障害」など、権利条約第1条の書きぶりに従って、「~的」という文言を入れるべき。

(理由)

 権利条約第1条の「身体的障害」を身体障害者福祉法における「身体障害」と同一と捉えられ、狭く解釈される恐れがあるため。

【尾上委員 2】

(結論)

 大谷委員の「共生社会」の定義の新設に賛同。

(理由)

 「分け隔てなく」「合理的配慮その他必要な支援の充足を通じて」全ての障害者が地域で生きていくことが出来るという、めざすべき社会のあり方を明示すべきだから。

【佐藤委員 1】

(結論)

「心身機能の損傷」(機能障害)として「障害」を定義するのは、障害者権利条約の障害の概念と矛盾するのでさけるべきである。

(理由)

 権利条約は、障害(disability)と機能障害(impairment)とを明確に区別しており、これと矛盾すべきではない。

「(e) 障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずることを認め、」
「第一条 目的(後段)障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。」(いずれも政府公定訳)

【佐藤委員 2】

(結論)

 「障害者の定義」の条文イメージの中の「継続的に」を削除した方がよい。

(理由)

 変動する、間欠する場合が想定されないおそれがある。排除したいのは風邪を引いたなどの一時的な場合であるので、それであるなら「相当な制限」で足りる。継続的、相当な、と二重のハードルは不要。

【新谷委員】

(結論)

 障害者権利条約が「感覚的な機能障害」を加えていることから、「感覚的機能障害」を加えるべき。

(理由)

 感覚機能の障害は従来身体機能の障害に含めて考えられてきたが、感覚機能を別だしすることでコミュニケーション不全など感覚障害特有の問題を明確にできる。

【関口委員】

(結論)

 基本法はなるべく条約に準拠すべきである。

 障害者と障害の使われる範囲を考えて、定義するべき

(理由)

 短時間で検討しなければならないというのと、条約の完全履行を考えれば整合性が在る方が良い。

条約前文e)項は

障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずることを認め、

となっており一方で障害者は一条目的で

障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。

である。

障害による差別は第二条定義で

「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。

となっており、障害による差別と障害者本人に対する差別は違うので違う概念規定が必要である。

【竹下委員】

(結論)

 障害の定義として「身体障害、知的障害または精神障害その他の心身機能の損傷とする」とすべきではなく、「心身の機能の損傷や特性によって日常生活及び社会生活において困難を有する者」とすべきである。

(理由)

 身体障害、知的障害及び精神障害の定義そのものも明確とは言えないし、議論もあるところである。また、障害の定義を社会モデルに切り替えるべきであることを踏まえた場合、そうした例示は障害者の範囲を狭めるおそれが強いからである。

3.基本的理念

<条文イメージ>

(1)すべて障害者は、障害者でない者と等しく、すべての基本的人権の享有主体として個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有するものとすること。(現行法第3条第1項関係)

委員からの意見なし

<条文イメージ>

(2)すべて障害者は、障害者でない者と等しく、自らの判断により地域において生活する権利を有するとともに、自らの決定に基づき、社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を有するものとすること。(現行法第3条第2項関係)

【大濱委員】

(結論)

 すべて障害者は、障害者でない者と等しく、自らの判断により、特定の生活様式を義務づけられることなく、地域において生活する権利を有するとともに、自らの決定に基づき、社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を有するものとすること。(現行法第3条第2項関係)

(理由)

 権利条約第19条(a)を踏まえて、「特定の生活様式で生活するよう義務づけられないこと」をより強調するため。

【北野委員】

(結論)

 「自らの判断により」という文言を削除。

(理由)

 地域において生活する権利を、障害者権利条約第19条等に基づいて位置付ける際に、2つの問題が考えられる。

①これまで、様々な人生の経験や選択肢や、そもそも自己決定・自己選択の機会すら奪われてきた障害者の、選択肢や選択権なき判断・同意等を持って、本人が「特定の生活様式」を選択したと安易にみなされることがないようにしなければならない。

例えば、アメリカのADA 法に基づく判決においては、本人の、選択肢なき同意や判断ではなくではなく、「地域生活が可能で、それを拒否しない人」は、地域移行・地域生活が基本とされたのである。

②本人の自己決定・自己選択が困難とみなされている障害者に対して、後見人・家族・専門家等が、安易に「特定の生活様式」を選択することがあってはならない。なぜなら、他の市民と等しく、すべての基本的人権の享受主体であるということは、可能な限り「特定の生活様式」を義務づけられないようにすることが肝要だからである。

①②については、ぜひ【北野参考書面A】を参考にしていただきたい。

【長瀬委員】

(結論)

 「すべて障害者は、障害者でない者と等しく、自らの判断により地域において生活する権利を有するとともに、自らの決定に基づき、」から「自らの判断により」を削除する。

(理由)

 地域生活は、障害者の権利条約(第19 条)や、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」(第1 次意見)ならびに(閣議決定)において、改革の方向性として記述されている。過度に「自らの判断」を強調する必要はない。

<条文イメージ>

(3)すべて障害者は、手話等の言語その他の障害の種類に応じた意思疎通の手段の確保の重要性にかんがみ、日常生活及び社会生活において、可能な限り容易にそれを使用することができるよう配慮されなければならないこと。(新設)

【大濱委員】

(結論)

 すべて障害者は、手話等の言語非音声言語その他の障害の種類に応じた意思疎通の手段の確保の重要性にかんがみ、日常生活及び社会生活において、可能な限り容易にそれを使用することができるよう配慮されなければならないこと。(新設)

(理由)

 権利条約第2 条の定義をそのまま活用した。

【新谷委員】

(結論)

 障害者権利条約が「手話は・・・」と云う書き方をせず、「言語とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう」としていることを尊重すべき。

 コミュニケーションを意思疎通と無理に翻訳する必要はない。

 権利条約はコミュニケーションに「言語、文字表記・・・」と規定している。手話を言語と定義するので、コミュニケーションの中に、手話は入れる必要はない。

(理由)

 「手話は・・」と手話を特別視することは、手話が他の音声言語と等しく言語であることを貶めることとなる。

 コミュニケーションには意思の疎通に留まらない、感情の交流など多様なものがある。コミュニケーションは日常用語としても定着しつつあり、法律用語としても使用可能である。

 言語に手話が含まれることが明文化された場合、コミュニケーションには言語と規定すれば必要十分であり、重複した記述は意味内容からも法文構成からも好ましくない。

【竹下委員】

(結論)

 手話をポジティブにとらえるとしても、それを基本法に例示することは慎重でなければならない。

(理由)

 障害のある人にとってコミュニケーション手段は極めて多様であり、手話はその一つに過ぎない。視覚障害者にとっては点字がその典型的なものであり、学習障害などを有する者にとってはリライトの権利や絵文字などが保障されなければならない。したがって、仮に基本法において手話をコミュニケーション手段として例示するのであれば、現時点で概念として明確になっている意思疎通の手段がすべて例示されることが必要不可欠である。

 聴覚障害者にとって手話は重要なコミュニケーション手段であるが、非音声言語は手話だけではないことも喚起すべきである。

【長瀬委員】

(結論)

 意思疎通と言語の明確化。現在の文言は、言語を意思疎通(コミュニケーション)の文脈で位置づけているが、手話の言語としての位置づけを明確化するために、少なくとも別の文章で扱うべきである。

(理由)

 障害者の権利条約の交渉過程で、言語とコミュニケーションに関する議論が行われた際にも、例えば、音声・書記言語の表記形態の一つである点字と手話は別の文脈で扱うべきとされたように、意思疎通(コミュニケーション)の定義の中に言語が含まれている(第2 条「定義」)にしても、言語と意思疎通は可能な限り別の文脈で扱うことによって誤解が避けられる。

【久松委員 1】

(結論)

 障害者権利条約で「言語」の定義と「コミュニケーション」の定義が独立した条文として存する。「言語」と「コミュニケーション」とはその特徴、機能が根源から異なるので、障害者基本法でも「言語」と「コミュニケーション」とは分けて独立した条文とすることが望ましいと考える。

(理由)

 欧州や米州では「公用語」あるいは「言語」はなじみのある言葉として定着しているが、日本人にはほとんど馴染みがない。学校教育の場で日本語は国語として、日本は単一民族国家として教えられていたために多くの日本人には馴染みがなく言語感覚が薄いのである。欧米諸国は多民族国家なので国内に多くの民族語があり公用語(言語)政策がその国の重要な施策となっている。そういう背景もあって手話を公用語の一つとして法制度を整備している国は多い。国連・障害者権利条約の立役者であるドン・マッケイ元議長は、自身の出身国であるニュージーランドの障害者制度の特徴を「手話言語法(2006 年制定)」であると明言したように、その国の障害者制度を語るうえで障害者差別禁止法と同じように手話言語法の制定を大きな特徴としてあげることができる。日本ではろう学校が口の形を読み取る「口話法」を採用し「手話」を排除したために、「手話」は「手真似(てまね)」と呼ばれ蔑まれていた時代が長く続いた。手話を言語として認知し国語(日本語)と同じように法制度(公用語政策)を整備することが必要である。以上の主旨により、障害者基本法では独立した条文として扱われることが望ましい。

 コミュニケーションについて、障害者権利条約での政府仮訳では「意思疎通」と訳されているが、日本では意思の伝達という狭い意味に解釈される傾向が強い。本来のコミュニケーションは、意思の伝え合い、双方向性という性格をもつものであり、この特徴を理解しないと、手話通訳はろう者を支援するためだけに必要なのではなく、ろう者とコミュニケーション(会話)をする相手も必要なのだという意識を持つことが難しい。欧米ではそのコミュニケーションの特徴をよく理解しているので、裁判所、病院、学校など公的機関にて手話通訳を配置することが当然のこととして整備されている。

 また、耳が聞こえにくい人のコミュニケーションの手段は、その聞こえの度合い、聞こえにくくなった時期によって様々であること、目が見えにくい人も同様に、見えなくなった時期、見え方の度合いによって点字を必要とするのか、拡大文字を必要とするのか、拡大機器を必要するのか様々であること、盲ろう者に至っては、盲ろう者一人ひとりによってコミュニケーション手段のニーズが異なることを理解している人は少ない。

 このように、多様な言語、多様なコミュニケーションがあり、それを必要とする人がいることを理解することは、権利として保障し、法制度として整備し、義務として必要な施策を講じることを進めることが重要である。よって障害者基本法において、「コミュニケーション」は「言語」と切り離して独立した条文にすることが望ましいと考える。

【久松委員 2】

(結論)

 「コミュニケーション(意思疎通)」は双方向の性格をもつ。手話通訳を必要とするのは聞こえない人だけではない、手話を解しない人も必要とするので、聞こえない人のみに「可能な限り容易にそれを使用することができるよう配慮する」という表現は馴染まない。なおコミュニケーションの保障は努力義務ではなく、他の基本理念の条文と同じように「権利を有するものとすること」とすべきである。

4.差別の禁止

<条文イメージ>

(1)何人も、障害を理由とする差別(障害者が、障害者でない者と実質的に平等に活動することを可能とするため、個々の場合に必要となる合理的な変更又は調整が実施されないことを含む。以下同じ。)その他の権利利益を侵害する行為をしてはならないこと。(現行法第3条第3項関係)

【大濱委員】

(結論)

(1)何人も、障害を理由とする差別(障害者が、障害者でない者と実質的に平等に活動することを可能とするため、個々の場合に必要となる合理的な変更又は調整が実施されないことを含む。以下同じ。)その他の権利利益を侵害する行為をしてはならないこと。(現行法第3条第3項関係)

(2)前項に掲げる行為のうち、女性である障害者、障害児及び重度障害者(障 害者のうち障害程度が重い者を言う。)等の障害とその他の属性による複合 的な差別を受けやすい者に対する障害を理由とする差別その他権利利益を 侵害する行為については、特にしてはならないこと。(新設)

(理由)

 女性、障害児、重度障害者などの複合的な差別を受ける障害者の問題を強調するため。

 たとえば重度障害者については、ALS 患者等の医療的ケアを要する最重度障害者などでは、社会的入院・入所を余儀なくされたり、尊厳死を選択するように圧力を受けたりする等、非常に差別的な状況に置かれているのが現状である。

【新谷委員】

(結論)

 間接差別、介助者・家族などへの差別を加えるべき。

(理由)

 差別概念の明確化のため。

【関口委員】

(結論)

 この条文は障害者差別禁止法を担保するものと考えるが、とすれば極めて不十分、不完全である。

(理由)

条約に出てくる、

「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。

ならば精神障害者関連の差別を全て含むと思うが、たたき台では、その多くが抜け落ちるのではと、危惧するから。

【竹下委員】

(結論)

 障害者権利条約2条に忠実な規定とするか、同条約2条を十分に投影した規定とすべきである。

(理由)

 差別の要素としては不利益取扱いと合理的配慮義務だけではない。「区別」もまた差別であることを忘れてはならない。アメリカで長年にわたり黒人差別が行われてきた過程で「equal but separate」が温存されてきたからこそ、その克服が大きな課題となっていたことを考えれば、必要性ないし合理性のない区別は差別であることを重視すべきである。

 また、権利条約2条が効果主義を採用していることも重要である。すなわち、差別の是正や救済にあたり、差別者の主観的要件を問題とすることなく、結果として差別が惹起されている場合にはその救済が必要不可欠である。

【松井委員】

(結論)

 意味としては実質的には変わらないが、障害者権利条約(2009 年政府仮訳)で用いられている「合理的配慮」という表現を使ったほうがよい。

(理由)

 「合理的配慮」は、こなれた日本語としてはなじみにくい表現かもしれないが、障害者権利条約第2条で、「均等を失した又は過度の負担を課さないもの」という条件も含め、定義されているので、それを定着化させる意味でも、その表現を使うのが、適当であろう。

【森委員】

(結論)

 障害者差別禁止にかかる条項については、これまでの議論のなかでも述べた通り、障害者差別禁止法の制定への道筋として、附則等で法制度の措置をするよう明記すべきと考える。

【遠藤オブザーバー】

(結論)

 創設予定の障害者差別禁止法(仮称)をはじめ他の既存の法律との関係を整理しつつ、議論を深めることを基本とすべきである。その上で、合理的配慮の提供が行われない場合の規定については、かっこ書きで明記するのではなく、条文をかき分けるべきであると考える。

(理由)

 合理的配慮については、影響度合いが大きい新しい概念であり、周知を十分に図って国民の理解を得る必要がある。

<条文イメージ>

(2)国は、障害を理由とする差別の防止に関する普及啓発を図るため、障害を理由とする差別に該当するおそれのある事例の収集、整理、及び提供を行うものとすること。(新設)

委員からの意見なし

5.国民の理解

<条文イメージ>

 国及び地方公共団体は、第三条に定める基本的理念に関する国民の理解を深めるよう必要な施策を講じなければならないこと。(現行法第5条関係)

【新谷委員】

(結論)

 権利条約第8条の規定をうけた独立条項「障害に関する意識向上」を設け、その一部とする。

(理由)

 「国民の責務」を規定する法律は多いが、おおむね国民の理解を求める理念的なものにとどまっている。障害者権利条約第8条「意識向上」を根拠に一般社会での障害に対する意識向上の取組みをある程度細かく書き込むことが有効と考える。

6.国際的協調

<条文イメージ>

 障害者の権利の実質的な確保並びに障害者の自立及び社会参加の支援が国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、障害者に関する施策は、国際的協調の下に行われなければならないこと。(新設)

【長瀬委員】

(結論)

 総則について、「国際」に関する条文の新設は歓迎するが、「国際的協調」ではなく、障害者の権利条約に従って「国際協力」そのものを総則そのものに盛り込むべきである。

(理由)

 障害者の権利条約を大きな指針として基本法の抜本的改正を行うという今回の取組の趣旨からして、障害者の権利条約32 条の「国際協力」にならうべきである。

 さらに「国際的協調」自体が、時に危険を伴うためである。欧米に発した優生学が国際的潮流だった時代がある。手話を廃し、口話を強制する国際的潮流が主流だった時代がある。そうした時代に「国際的協調」は何を意味しただろうか。障害者の権利条約に則った国際協力こそが求められている。

7.国及び地方公共団体の責務

<条文イメージ>

 国及び地方公共団体は、障害者の権利の擁護及び障害者に対する差別の防止を図りつつ障害者の自立及び社会参加を支援する責務を有すること。(現行法第4条)

【大濱委員】

(結論)

7.国及び地方公共団体の責務義務

 国及び地方公共団体は、障害者の権利の擁護及び障害者に対する差別の防止を図りつつ障害者の自立及び社会参加を支援する責務義務を有すること。(現行法第4条)

(結論)

 障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)でしてきされているように、障害者を「権利」の主体として捉えるという権利条約の理念に基づいて障害者基本法を改正するにあたり、国と地方公共団体の「責務」を、障害者の「権利」に対する「義務」として位置づけるため。

【竹下委員】

(結論)

 国及び地方公共団体の役割は、障害者の権利の擁護ではなく、障害のある人の「権利の保障」でなければならない。

 また、「社会参加を支援する」ではなく、「社会参加を保障する」でなければならない。

 なお、国の役割は「責務」でよいのか、「責任」とすべきではないか。少なくとも「責務」とするのであれば、「責務」の内容ないし概念が明確にされなければならない。

(理由)

 国が障害のある人の権利を「擁護する」というのは、憲法25条や障害者権利条約からしても不十分である。国は障害のある人の権利を単に「擁護」するのではなく、「基本的人権の保障」でなければならないからである。ましてや「支援」という用語は、障害のある人を「支援される人」として位置づけることになり、自立と社会参加が基本的人権の一要素として保障されなければならないという理念に反することになるからである。

 これまで「責務」という用語は「政治的責任」「努力目標」として位置づけられることが一般的であった。これに対し、「責任」「義務」は規範性をもって具体的施策が義務付けられたり、その反対としての障害のある人からの請求権の存在を位置づけるものとしてとらえることができるからである。

 これに対し、「責務」の内容として「責任」に「権限ないし権能」を加えた機能として理解するのであれば、そのことを何らかの形で明文化することが必要である。

8.国民の責務

<条文イメージ>

 国民は、障害の有無にかかわらず、分け隔てられることなく相互に個性と人格を尊重する社会を実現するため、障害者の人権が尊重され、障害者が差別されることなく、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することができるよう努めなければならないこと。(現行法第6条関係)

【新谷委員】

(結論)

 権利条約第8条の規定をうけた独立条項「障害に関する意識向上」を設け、その一部とする。

(理由)

 「国民の責務」を規定する法律は多いが、おおむね国民の理解を求める理念的なものにとどまっている。障害者権利条約第8 条「意識向上」を根拠に一般社会での障害に対する意識向上の取組みをある程度細かく書き込むことが有効と考える。

9.障害者週間

<条文イメージ>

 国民の間に広く障害者の権利の擁護及び障害者に対する差別の防止についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加することを促進するため、障害者週間を設けること。(現行法第7条関係)

委員からの意見なし

10.施策の基本方針

<条文イメージ>

(1)障害者に関する施策は、障害者の自立及び社会参加を困難にする社会的な要因を除去する観点から、障害者の性別、年齢障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならないこと。(現行法第8条第1項関係)

委員からの意見なし

<条文イメージ>

(2)障害者に関する施策を講ずるに当たつては、障害の種類及び程度による支援の格差が生ずることのないよう配慮がなされるとともに、障害者の自主性が十分に尊重され、かつ、障害者が、自らの判断により地域において自立した日常生活を営むことができるよう配慮されなければならないこと。(現行法第8条第2項関係)

【大久保委員】

(結論)

 「障害の種類及び程度による支援の格差が生ずることのないよう配慮がなされるとともに」と「自らの判断により地域において自立した日常生活を営むことができるように」の文言について、再検討する必要がある。

(理由)

 「障害」が機能障害を指すものか否か、また、「支援の格差を生ずることのないよう」とあるが、機能障害を指す場合であっても、そのニーズにより、支援の質や量が異なる場合は当然あるものと考えるが。

 「自らの判断により」の「判断」という文言は、知的障害に関連して「判断能力」という文言が使われているところから、この文章は、知的障害のある人たちにとって不利な事態を招く危険がある。

【北野委員】

(結論)

 「自らの判断により」という文言を削除。

(理由)

 地域において生活する権利を、障害者権利条約第19条等に基づいて位置付ける際に、2つの問題が考えられる。

①これまで、様々な人生の経験や選択肢や、そもそも自己決定・自己選択の機会すら奪われてきた障害者の、選択肢や選択権なき判断・同意等を持って、本人が「特定の生活様式」を選択したと安易にみなされることがないようにしなければならない。

例えば、アメリカのADA 法に基づく判決においては、本人の、選択肢なき同意や判断ではなくではなく、「地域生活が可能で、それを拒否しない人」は、地域移行・地域生活が基本とされたのである。

②本人の自己決定・自己選択が困難とみなされている障害者に対して、後見人・家族・専門家等が、安易に「特定の生活様式」を選択することがあってはならない。なぜなら、他の市民と等しく、すべての基本的人権の享受主体であるということは、可能な限り「特定の生活様式」を義務づけられないようにすることが肝要だからである。

①②については、ぜひ【北野参考書面A】を参考にしていただきたい。

<条文イメージ>

(3)障害者に関する施策を講ずるに当たつては、障害者その他の関係者の意見を聴き、当該意見が尊重されなければならないこと。(新設)

【竹下委員】

(結論)

 障害者の権利を実現するための施策については

(1)施策の決定段階への参加

(2)施策の実施段階ないし手続きにおける参加

を明文で保障するものとして制度化されることが必要である。

(理由)

 施策の決定にあたっては、「意見を聞き」「意見が尊重されなければならない」だけでは不十分である。これまでも当事者の意見を述べる機会や意見の尊重は制度化されてきたが、当事者による参加の実質的保障としては、政策決定における賛否を含む権限が与えられるべきである。

 障害者に対する施策が実態に即し、適正に実施されるためには、実施過程での当事者の参加や手続き的保障が制度化されていなければ十分な施策の実施(実現)が期待できないのである。

11.障害者基本計画等

<条文イメージ>

 政府は、障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「障害者基本計画」という。)を策定しなければならないこと。(現行法第9条第1項関係)

委員からの意見なし

12.その他

(1)全体

【土本委員】

障害者基本法は 国は 障害者を ぬきで きめてきた。

改正をするときに やっと 前の 基本法が しらされてきた こともあり、
これからの 障害者基本法は、私たちに 関係する ことを
決める時は 必ず 私たちの 意見を 聞いて 決めることを
もとにし 障害者の いけんを もっとも 大切に していくべきです。

知的な ハンディを もっている 仲間たちや 自分としても なかみに
ついては むずかしいことが かかれていて、意見を どのように いって
いけばいいのか むずかしい。

またもや 知的の仲間は おいて いかれることが ある。

とっても 大切な ことなので 知的の仲間にも 合理的配慮を もって
誰にも 出番や 役割が あるように 知的の仲間にも わかりやすく して
なかみの なかに 意見を いれていくべきす。

自分たちの 中に いれていくのに 時間も かかるので 合理的配慮を
もって いただけますよう おねがい いたします。

かぎられた 日時で まとめていく ことも ひつようと おもいますが
これから だいじな 法律なので 時間も かけることも ひつようだと おもいます。

よりよい 障害者基本法 になって いくべきで あるので だれでも
わかりやすい 障害者基本法に していくべきだとおもいます。

仲間や まわりの 人たちも みてもらいたいという おもいが あります。

【久松委員】

(結論)

 条文イメージ素案の中には「~的」という表現が多用されているが、その解釈は新たな議論を招くので、できるだけ使用しないほうが良いと思う。

(2)前文

【新谷委員】

(結論)

 障害者権利条約の実施を目指して、当事者の参画のもとに障害者基本法改正を行う趣旨の前文を置く。

(理由)

 今回の改正の持つ意味を明確にするため。

【関口委員】

(結論)

前文が必要である。

(理由)

 障害者権利条約においても、a)項をはじめてして重要な理念を書いており、~を確信して、となっている。本則に書き込みにくい理念について本則の解釈指針を与え、補強する意味でも重要。

【森委員】

(結論)

 障害者基本法の改正にかかる検討は、障害者権利条約を踏まえて行われており、そのことからみれば、障害者権利条約の規定にそって、基本法の改正がされた主旨を前文または総則(新設)に明記すべきと考える。

(3)地方モニタリング機関

【尾上委員】

(結論)

 地域でも中央のモニタリング機関に準じ、「監視」することができる機関が必要。最低限でも「評価」と「公表」

(理由)

 地方に監視を行うモニタリング機関を設置することは地域主権と矛盾しない。地域主権改革の目的は、身近な住民が政策決定に関与すること、ということであり、障害者施策に対する監視を行う機関もその一貫となる。

 また、障害者施策は人権に関与している部分がほとんどである。地域主権改革の議論では、人権に直結したものは「従うべき基準」とされるとのことだが、それらは、国が担保することが必要である。例えば公営住宅における単身入居に関わる欠格条項について、国が音頭を取って精神、知的障害者への絶対欠格条項が撤廃された。自治体で条例委任になると、絶対欠格も可能ということになるおそれがあり、人権に関わることは監視が必要であるためである。

 さらに、制度改革の狙いは、戦後築かれてきた施策、入所施設中心、病院中心から地域生活中心に転換することであり、地域生活の基盤整備がきちんと進んでいるか監視が必要となるためである。

 総則の議論において、実態調査、評価のことが言われているが、先ほどの例で言えば、公営住宅の入居に関する各自治体の実体や条例等を全国比較でき、各自治体がお互いにスパイラルアップできるようなモニタリング体制が求められるためである。

【関口委員】

(結論)

 自治体間格差を無くす意味から、比較可能なモニタリング項目を全自治体に設定すること。

 基礎自治体単位だけだ無く中間の都道府県の役割をしっかりしたものにして欲しい。

 自治体の中でダブっているところは統合して経費と事務の削減が必要。

(理由)

 地域間の差異があるところから、自治体独自のモニタリング項目は条例で定める。

 憲法、条約、法律、条例の順に適用になるが、精神の分野は、広域で考えないと、現状では地域間の差があり過ぎるから。

 地域主権改革は現予算の7 割で済むと言う話だが、人権が7 割にされてはたまらない。その為には、行政の重複を避けるスリム化のための合理化が必須であるから。

【竹下委員】

(結論)

 モニタリング機関(委員会)の役割として、勧告権を含む監督・監視だけでは足りないのではないか。モニタリング機関は障害者施策についての実施責任及び個別的救済機能をもあわせ持つ物とすべきではないか。また、中央委員会と地方委員会の関係も検討されるべきである。

(理由)

 モニタリング機関は障害者施策が適正に実施されているか否かについて監督権限を行使し、関係機関に対し勧告を行うのであれば、障害者施策がどのように実施されているかについての調査権限や立入調査権が与えられていなければならないし、差別事象などが発生している場合にどのような是正措置が講じられるかについても把握しておかなければ十分な監視機能ないし勧告権を行使することはできないと思われる。監視機能と個別救済機能は異なるものであることは理解しているが、それらがまったく異なる機関によって行われた場合、両機関の判断基準に齟齬が生ずるおそれも懸念されるからである。また、中央委員会と地方委員会との関係は、一方で地方の特性を勘案した監視が必要であると同時に、国としての統一性やレベルアップとの関係では常に地方機関と中央機関との調整が必要不可欠と思われる。

(4)現行法第10 条「法制上の措置」

【新谷委員】

(結論)

 「国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行わなければならない。また、必要な財政上の措置を講じなければならない」と改正する。

(理由)

 障害者基本法は、行政各部に対しては施策上の強制力をもった実質的な法規範とする必要がある。

(5)調査・統計の実施

【新谷委員】

(結論)

 国及び地方公共団体は、障害者に関する定期的・継続的な実態調査・統計を実施し、障害者に関する施策の策定、実施は、一般国民と比較可能な障害者の生活実態調査に基づいて行わなければならない、と云った趣旨の規定を設ける。

(理由)

 調査・統計の持つ意味を明確にするため。