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第26回障がい者制度改革推進会議(H22.11.22) 佐藤久夫委員提出資料

2010年11月16日

障がい者制度改革推進会議 御中

〒558-0011 大阪市住吉区苅田5-1-22
NPO法人大阪障害者センター
障害者生活支援システム研究会
座長 瀧澤 仁唱

「障害者基本法の改正について」の意見の提案

 私ども「障害者生活支援システム研究会」は,2000年の障害者制度転換期において,「社会福祉法及び関連法案が成立し,いよいよ本格的な『利用契約制度』への移行を開始,また『介護保険法』も混乱しながら実施段階に入った状況下,今後の障害者施策への政策的展望を実態に即して理論的に構築すると共に,支援費がらみで見直しを図ろうとする障害認定の見直し基準や『介護保険法』への障害者施策連動の動きの中で『障害者の介護認定』等等について具体的な提言を行い,国民的世論を構築し,民主的障害者運動の理論的,政策的裏付けを提供する。」を目的に,同年9月30日に第一回合宿研究会が開催されたことを契機とし,研究者と現場,当事者・家族が連携して,状況に応じた各種調査活動を行い,厚生労働省との共同学習会を開催するなどの活動を通じて,障害者施策等への政策提言活動などを行ってまいりました。(資料2参照)

 この度の,貴会議設置にあたって,制度改革への大きな期待を持つとともに,私ども研究会が整理させていただいた「どうつくる? 障害者総合福祉法~権利保障制度確立への提言~」を佐藤久夫委員の紹介も受け,各委員等に献本させていただくことなどを通じて,制度改革への思いを提案させていただきました。

 この度,第二次意見書の取りまとめに向けて,「障害者基本法の改正について」の議論がすすめられていますが,この改正に向けて,私どもの研究会としての意見素案を以下取りまとめましたので,ここに提案をさせていただきます。

 いままさに,障害者の権利保障制度の確立が大きく期待されているとき,真に有効な制度確立のため,より積極的な議論をいただき,この期待にお応えいただきますよう期待するものです。

「障害者基本法の改正」に関する意見素案

障害者生活支援システム研究会

○障害者基本法の他の障害者関係法に対する基本的位置づけの明確化を行うべきである。そのためには,当該基本法が,障害者に関わる実定諸法の上位法として,基本的な我が国の障害者関連法の内容を拘束し,かつこれらの規定に従って,各関連法が,定期的にモニタリングされ,その見直しを含めた,改善が行われる仕組みを創設すること。

【理由】この間,基本法を実効のない規定と評価される向きもあり,これでは当該法の実効性が担保できないこととなるため,その位置づけを明確にする必要がある。

○「目的」は,「障害者の基本的人権の享有」のために「障害者の権利の実質的な確保」について,国および地方公共団体の責務を明確にし,その施策推進のための法であることを明示すること。

○「定義」は,基本的に,障害者権利条約の批准を想定し,権利条約上の「障害」,「障害者」の定義との矛盾のない規定とすること。その際,ICFの考え方で,医学モデルと社会モデルの統合モデルとしての規定を行うこと(今後,この規定に基づいて,国内法の再整備が行えるよう,明確な規定を行うこと)。

○「基本理念」は,権利条約に規定される「障害のある人が,地域社会の全般的な福利及び多様性に対して既に又は潜在的に貴重な貢献をしていることを認め,また,障害のある人による人権及び基本的自由の完全な享有並びに完全な参加を促進すること」(「障害のある人の権利に関する条約」川島聡=長瀬修仮訳(2008 年5 月30 日付)による。以下同じ)及び「障害のある子どもが,他の子どもとの平等を基礎として,すべての人権及び基本的自由を完全に享有すべきであること」,「家族が,社会の自然かつ基礎的な単位であり,かつ,社会及び国による保護を受ける権利を有することを確信し,また,障害のある人及びその家族の構成員が,障害のある人の権利の完全かつ平等な享有に家族が貢献することを可能とするために必要な保護及び援助を受けるべきであること」を想定した内容とすること。

○「差別の禁止」は,権利条約で規定される「『障害に基づく差別』とは,障害に基づくあらゆる区別,排除又は制限であって,政治的,経済的,社会的,文化的,市民的その他のいかなる分野においても,他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し,享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には,合理的配慮を行わないことを含むあらゆる形態の差別を含む。」とし,その差別を禁止することと合わせ,差別解消に向けた,国及び自治体の責務を明確にすること。

【理由】基本的に今回の基本法改定は,障害者権利条約の批准を行えるための国内法整備の目的があることから,先の目的・定義・基本理念・差別の禁止については,当該権利条約との齟齬の無いように整備されるべきであり,抜本的な改定を行う必要がある。

○「施策の基本方針」は,障害者の性別,年齢,障害の特性,生活の実態,及び個別のニーズに応じて,かつ総合的・複合的に策定され,実施されなければならない。

【理由】施策の基本方針は,現在までの医学モデル中心で行われてきた施策から脱皮し,権利条約が求める水準を担保するために,個別のニーズに基づき,個々のライフサイクルに合わせて,総合的・複合的な支援を行えるよう再整備が図れるよう基本的な視点を定めるべきである。

○「障害者政策委員会」は,今後想定される,差別禁止法や虐待防止法等における,各種委員会との連携を明記するとともに,スウェーデンにおける「制度オンブズマン」のような,制度監視機能なども付加すべきである。

【理由】この基本法が改正されれば,当然その規定に基づき,これまでの障害者諸制度の中で取り扱われてきた,障害の規定などの見直しなども想定されるため,これらの矛盾を解消できるよう,制度チェック機構を付加する必要があること。また,差別禁止・虐待防止等のために設置される各種委員会との関係性も明確にしておく必要がある。

※なお,こうした基本的な改正への視点を提案したうえで,資料としてすでに提案されている条文イメージについて,最低限修正を必要とするものについては,以下資料1として添付する。

【資料1 障害者基本法の改正に関する条文イメージ素案【たたき台】への問題と考えら れる主な個所】(本研究会の修正意見を下線部で示した。)

【趣旨】

1.目的

<条文イメージ>(第21回:2010.10.12:当日資料1)

 この法律は,障害者が,障害者でない者と等しく,かつ障害者間の差別がないようにすべての基本的人権の享有主体であることを確認し,かつ,障害の有無にかかわらず,国民が分け隔てられることなく相互に個性と人格を尊重する社会を実現するため,障害者の権利の実質的な確保並びに障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し,基本的理念を定め,及び国,地方公共団体等の責務を明らかにするとともに,その施策の基本となる事項を定めること等により,障害者の権利の実質的な確保並びに障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とすること(現行法第1条関係)。

2.定義

<条文イメージ>(第21回:2010.10.12:当日資料1)

(1)障害の定義を、身体障害、知的障害又は精神障害その他の心身機能の損傷とすること。

(2)障害者の定義を、障害があり、かつ社会における様々な障壁との相互作用により、継続的に日常生活又は社会生活に相当な(削除)制限を受ける者とすること。(現行法第2条関係)

4.差別の禁止

<条文イメージ>(第21回:2010.10.12:当日資料1)

(1)何人も,障害を理由とする差別(障害者が,障害者でない者と実質的に平等に活動することを可能とするため,個々の場合に必要となる合理的な変更又は調整が実施されないことを含む。以下同じ)ならびに障害者となった理由およびその時の法的地位による差別、その他の権利利益を侵害する行為をしてはならないこと(現行法第3条第3項関係)。

7.国及び地方公共団体の責務

<条文イメージ>(第21回:2010.10.12:当日資料1)

国及び地方公共団体は,第1条に規定する目的を実現するための権利の擁護保障及び障害者に対する差別ならびに障害者間の差別の防止を図りつつ障害者の自立及び社会参加を支援する責務を有すること(現行法第4条)。

10. 施策の基本方針

<条文イメージ>(第21回:2010.10.12:当日資料1)

(2)障害者に関する施策を講ずるに当たっては,障害の種類及び程度ならびに障害者となった理由及び障害者となった時の法的地位による支援の格差が生ずることのないよう配慮がなされるとともに,障害者の自主性が十分に尊重され,かつ,障害者が,自らの判断により地域において自立した日常生活を営むことができるよう配慮されなければならないこと(現行法第8条第2項関係)。

【推進体制関係に関わる提案】

○推進体制関係部分(第22回:2010.10.27:当日資料3)

1.障害者政策委員会の設置

 障害者政策委員会では,国や地方公共団体(立法または条例による)差別行為だけでなく,一般的な差別行為も是正できないと考える。

7監視官(新設)

 議会は,独立した監視官を任命することができる。

 2 監視官は,申立がなされた場合,それを調査する。

 3 前項の調査により,制度上の問題が明らかになった場合,監視官は議会に対して制度の改善その他を勧告するとともに,障害者政策委員会における審議を勧告できる。

 4 議会又は障害者政策委員会は,勧告があった場合,制度の適合性について審議を行い,改善が必要な場合に制度改善の措置をとらなければならない。

【資料2:当研究会の調査・提言】

□ これまで実施してきた当研究会が行ってきた実態調査等

○「障害(児)者の家庭での介護支援についての実態調査」(2001年12月)

○「障害(児)者入所施設実態調査」(2003年12月)

○「障害者児の社会的支援ニーズ実態調査」(2005年2月)

○「通所施設における生活指導員の業務調査」(2006年4月)

○「障害程度区分試行調査」(2006年4月)

○「障害者自立支援法のサービス利用に関する全国影響調査」(2006年10月)

○「グループホーム・ケアホームの支援体制のあり方調査」(2008年11月)

□ 出版,提言一覧

○障害者福祉改革への提言―地域と施設の支援システムをつくる(2002/5)

○よくわかる支援費制度 ―あたらしい障害者福祉制度活用の手引き(2002/5)

(シリーズ 障害者の自立と地域生活支援)

○ノーマライゼーションと日本の脱施設 (2003/7)

○SOS 支援費制度 840 円(2003/11)

○希望のもてる「脱施設化」とは(2003/12)

○個別支援計画をつくる(2004/03)

○疑問あり!介護保険統合論(2004/04)

○精神障害をもつ人が地域でくらしていくために(2004/10)

○障害保健福祉改革のグランドデザインは何を描くのか(2005/02)

○障害者自立支援法と応益負担(2005/05)

○障害者自立支援法 活用の手引き(2006/02)

○障害者のくらしはまもれるか(2006/08)

○障害者自立支援法と人間らしく生きる権利 障害者福祉改革への提言2(2007/3)

(障害者の人権とこれからの社会保障シリーズ)

○どうなるどうする障害者自立支援法(2008/8)

○障害者の「暮らしの場」をどうするか?(2009/4)

○どうつくる? 障害者総合福祉法~権利保障制度確立への提言~(2010/5)