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公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会

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障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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大久保委員提出資料

雇用に関する意見(第三回障がい者制度改革推進会議)

社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
常務理事 大久保常明

○一般就労
1.適用範囲(手帳制度の問題点)についてどう考えるか

 身体障害、精神障害、知的障害それぞれにおいても手帳制度の法的位置づけや取扱いが 異なっている。また、発達障害においては手帳制度がないなど、多くの課題がある。障害者施策における手帳制度の在り方を含め、今後十分な議論が必要と考える。

2.障害の種別による制度的格差についてどう考えるか
 精神障害の雇用率制度での非義務化や発達障害、難病等への雇用支援施策の不備などを 改善すべきと考える。

3.現行法定雇用率制度等の問題点(雇用率、ダブルカウント制度、特例子会社、雇用納付金制度等)についてどう考えるか
(1)雇用義務の対象となる障害者の範囲や法定雇用率について
 雇用義務の対象となる障害者の範囲や雇用率の見直しを行う必要があると考える。
我が国の割当雇用制度における法定雇用率は、1.8%となっており、同様の制度を有する フランスは6%(戦争犠牲者遺族含む)、ドイツは5%となっており、大きな開きがある。なお、人口に占める障害者の割合が、我が国では約5%(ドイツは約10%)となっており、我が国の障害者数が諸外国に比べかなり少ないことは疑問視される。また、障害者権利条約に基づいて、障害者基本法を始めとした各種法律の障害者の定義や範囲の見直しが想定されるところから、障害者の範囲や法定雇用率の見直しが求められる。

(2)ダブルカウント制度について
 ダブルカウント制度は不適切と考える。
ダブルカウント制度は、重度障害者とそれ以外の障害者を二分し、数値に換算するとい う、雇用率そのものに注目するものであり、企業において重度障害者を含めより多くの障害者雇用を推進、定着させていく意識の形成にとって適切な仕組みとは考えない。

(3)除外率の引き下げ・全廃
 除外率を早期に全廃できるよう、明確な指標を設ける必要がある。
平成14 年の障害者雇用促進法の改正においては、除外率は廃止することとし、経過措置 として段階的に縮小することを定めている。しかし、現在もなお、全廃に至る先行きが不 透明となっており、法の改正趣旨をも損なうものと考える。よって、早期に全廃できるよ う、明確な指標を設ける必要がある。

(4)特例子会社等の課題
 特例子会社制度は、企業が障害者を雇用しやすい条件を提供し、雇用促進策の一環とし て設けられ、普及している。しかし、一方で危惧されることは、障害者を集め、他の労働 者と異なる労働条件・労働環境を容認するという性格があり、賃金の高い保護雇用という 見方もできる。特に、特例子会社の中で長く働き続けることによりその傾向が強まると考える。 ついては、特例子会社を固定的な職場とすることなく、親企業等に異動していくなどの 仕組みが大切だと考える。また、新たに設けられた中小企業における事業協同組合につい ても同様の対応が必要と考える。

(5)賃金の減額措置制度
 最低賃金法の改正により、「適用除外制度」から「減額措置制度」となり、減額対象労働 者に対しても同法が厳格に適用されることになったことは望ましいと考える。しかし、障 害者の賃金体系が他の労働者と異なることを許可するものとなることから、厳格な許可基 準によるものとし、それが固定的な状態にならないような対応が必要と考える。

4.職場における合理的配慮の実現プロセスと異議申立についてどう考えるか

(1)合理的配慮の取扱いについて
 合理的配慮については、単なるガイドラインだけではなく、実効性ある制度や仕組みの なかに位置づけていく必要があると考える。

(2)相談支援の重要性について
 知的障害のある人にとって、職場において気軽に相談できたり、苦情を伝えられる窓口 が必要と考える。また、その窓口が専門支援機関につながっていることが重要である。 障害者職業生活相談員の制度があるが、知的障害のある人たちには中小零細企業に就労 している場合も多く、就労する障害者が5人未満であっても、相談・苦情受付の窓口を職場に整備する必要があると考える。同時に、障害者職業生活相談員の役割・機能については、障害者の権利を基本とした見直しが肝要だと考える。
つまり、知的障害のある人は、自らの思いや考えを表現したり、訴えたりすることが難 しい場合がある。配置換えや上司・同僚の異動など職場環境の変化に対応しきれなかったり、職場において、いじめ、からかい、いやがらせなどを受けることも多々あり、人間関係のつまずきから離職する例も多くみられる。従って、前述の環境条件が必要と考える。

(2)スキルアップ・キャリアアップの機会
 知的障害のある人は、従事する業務が固定しがちで、本人の意欲に拘わらずスキルアッ プやキャリアアップの機会が少ない傾向にある。それにより、労働意欲が減退していくこ とにもなる。従って、長期にわたり固定した業務に従事している場合は、本人の希望を踏 まえ、スキルアップやキャリアアップの機会を提供する必要があると考える

(3)異議申立について
 異議申立については、先ずは、調整機能を有する救済機関等を設置し、救済を図るシス テムが必要と考える。

○福祉的就労
1.労働者性と労働法規の適用についてどう考えるか

(1)福祉的就労について
 現在、福祉分野において、就労継続支援事業(A型・B型)、就労移行支援事業、小規模 作業所等とともに生産活動による賃金支給を含めれば、広く福祉的就労の場が設けられて いる。現状の就労継続支援事業(A型)を除いた他の事業所の賃金は、一般企業のそれに 比べ、格段の差がある。
 しかし、現状の福祉的就労における障害者のニーズに応じた、賃金の多寡に拘わらず、 活動や参加の視点から「働く」という意義や柔軟な作業時間・作業内容などを考えた場合、 福祉的就労における賃金の確保や企業就労への移行推進を図っていくことが現実的な対応 と考える。

(2)就労継続支援事業(A型)について
 現行の就労継続支援事業(A型)の従業員(利用者)である障害者は、労働者としての 雇用契約と福祉サービス利用者としての利用契約を結び、その利用者負担(定率負担)を 支払う仕組みになっていることには無理がある。そこで、同従業員は、明確に労働者とし て位置づけ、雇用施策の中で同事業を取扱うことが望ましいと考える。

2.最低賃金と賃金補填についてどう考えるか
賃金補填については、障害基礎年金の性格や諸手当なども含めて総合的に「所得保障」 をどう考えるかということに結びつくと考える。十分な議論が必要と考える。

3.就労支援事業のあるべき姿にどう考えるか
 特に、就労継続支援事業B型と就労移行支援事業の機能について検討が必要と考える。 機能を分けたことにより課題が生じている可能性がある。利用者に着目して再検討する必 要があると考える。

4.一般就労における就労支援(通勤支援、身体介護、ジョブコーチ)についてどう考えるか
 職場での介護には、支援者の配置(専任であること)や期限(10 年)に問題がある。ま た、通勤支援は雇用対策の中で考えていくべきと考える。

○シームレスな支援
1.一般就労と福祉的就労の制度間格差とサービスの断絶の問題についてどう考えるか

○雇用の創出
1.社会的事業所の法制度化についてどう考えるか

 社会的事業所は、障害者だけでなく、外国人や母子家庭など「働きにくさ」を抱える人 全般を包含した制度とする必要がある。

2.いわゆるハート購入法についてどう考えるか
 小規模作業所や就労継続支援B型事業所などで、利用者の安定した仕事を確保し、工賃 の改善につながる、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法 律を早期に制定する必要がある。
 現在、知的障害のある人たちの地域の活動や働く場となっている小規模作業所や就労継 続支援B型事業所での平均工賃は、約12,000 円程度のものであり、多くの人たちが、この 工賃と障害基礎年金2級(約66,000 円)が唯一の収入となっている。これでは、経済的に 地域生活を送っていくことは困難であり、同法律の速やかな制定を望む。