大谷保委員提出資料
第三回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
自立支援法・総合福祉法
追加意見 1
2010年2月12日
大 谷 恭 子
○地域移行
1.重度障害者の24時間介護体制の構築についてどう考えるか
障がいの有無、程度を問わず、社会の一員であることを認める以上は、全て、 地域での生活を望む者には、地域での生活を保障すべきである。
その結果、重度障がい者については、24 時間介護が必要となるのであれば、 その必要に応じたサービスを提供するべきである。
そのような介護ニーズに応えるための体制としては、介護者の確保と介護予 算の捻出である。利用者負担の方向が間違っていることは自立支援法の誤りに よって明らかとなった。よって、社会の側が負担することになる。ただ、その 場合、その負担必要性について社会の側が理解できるように説明する必要があ る。ここには「ゆるやかな社会連帯」「自分らしく生きることを皆が支えあう」 といった理念を浸透させる必要がある。
2.地域移行プログラムの法定化と期限の設定についてどう考えるか
現在、重度障がい者の多くが入所施設で生活している。可及的速やかに地 域での生活を実現すべく、具体的な計画を策定し、実施すべきことになる。
そのためには、住居の確保、在宅支援体制の整備、地域の理解、所得保障、 相談窓口などの整備が不可欠である。
これらの計画の実施状況を確実にするために、チェックする体制も同時に 整備する必要がある。これらについては法制度として明文化すべきである。
また、計画の実現を確実なものとするために、目標達成期限を設定するこ とは有効である。期限における達成の有無を踏まえて、第2 次計画の策定を することになる。
3.地域移行支援策の法定化についてどう考えるか
地域移行について、既に先行的に実施している地域があれば、その実践を 参考に、全国的な取り組みとして一定のガイドラインを策定し、地域移行を 推進する専門スタッフを確保し、各地に派遣して、地域移行を支援するのが 望ましい。
その支援システムについては、予算を伴うので、法定化が不可欠である。
○利用者負担
1.応益負担の廃止についてどう考えるか
応益負担は廃止すべきであると考える。応益負担(定率負担)は、障害のあ る人が生きるために必要不可欠な支援を「益」とみなし、その益に応じて負担 を求めるもので、「障害」を自己責任とする仕組みに他ならない。また、障害 が重ければ重いほど負担が大きくなることから、障害を理由とする差別である。 さらに、応益負担は、障害のある人がその支援を受けること、すなわち障害の ない人と等しく基本的人権を享受することに対して、費用負担を課すものであ り、まさに基本的人権としての平等権保障に対する課金といえ、その違憲性は 明白である。
2.負担の有無についてどのような原則と考え方をとるのか
基本的には、障害福祉施策は人権保障として実施されるべきことに鑑みれば,障 害があることを理由とする利用者負担をするべきではないと考える。
応能負担とする場合でも、平等権保障に直結する補装具については無償とすべきで あるし、子どもの権利条約第23条第3項に基づき,障害児の支援も無償とすべきで ある。さらに、就労支援施策において利用者負担を求めることは、そもそも就労と相 入れないと考える。
3.新基準の設定についてどう考えるか
これについては、平成22年1月7日に障害者自立支援法違憲訴訟原告 団・弁護団と国(厚生労働省)との基本合意書にあるとおり、原告団・弁護 団から利用者負担のあり方等に関して以下の指摘がなされているので参考に していただきたい。
① 支援費制度の時点及び現在の障害者自立支援法の軽減措置が講じられた時点の 負担額を上回らないこと。
② 少なくとも市町村民税非課税世帯には利用者負担をさせないこと。
③ 収入認定は、配偶者を含む家族の収入を除外し、障害児者本人だけで認定するこ と。
④ 介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した 選択制等の導入をはかること。
⑤ 実費負担については、厚生労働省実施の「障害者自立支援法の施行前後における 利用者の負担等に係る実態調査結果について」(平成21 年11 月26 日公表)の結果 を踏まえ、早急に見直すこと。
⑥ どんなに重い障害を持っていても障害者が安心して暮らせる支給量を保障し、 個々の支援の必要性に即した決定がなされるように、支給決定の過程に障害者が参 画する協議の場を設置するなど、その意向が十分に反映される制度とすること。 そのために国庫負担基準制度、障害程度区分制度の廃止を含めた抜本的な検討を 行うこと。
○医療支援
1.医療支援の在り方についてどう考えるか
2.負担問題についてどう考えるか
自立支援給付や補装具と同様、少なくとも低所得者(市町村民税非課税)に ついては、利用者負担を無料とすべきである。
○その他
1.現行の障害程度区分に基づく国庫負担基準の問題についてどう考えるか
2.障害者の地域生活のための財政負担の強化についてどう考えるか
3.地域間格差をどのようになくしていくのか
以上