全国精神保健福祉会連合会 資料
平成22 年2 月15 日
「精神保健福祉法」の「保護者制度」について
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(以下「精神保健福祉法」)では、第5章医療及び保護において、「保護者」を規定しています。(別添資料)
「保護者」には、資料にもある通り、治療を受けさせる義務、財産上の利益を保護す る義務、医師に協力する義務など、数々の義務が規定されています。
しかも医師によって、精神疾患を有すると診断された人は、その症状の別なくすべて の人に保護者が必要であるとしています。この規定の根底には、精神疾患を診断された 人、あるいは精神障がい者には自己の財産を守ったり治療を受けたりする能力がないと する差別の考えがあります。またそれを社会制度が補うのでなく、専門家でない家族に 「保護」をさせようというのです。そもそも素人の家族に、「治療を受けさせる」とい ったことを義務づけることに無理があり、治療を受ける意思がないが、治療を必要とし ている人には専門家や公的機関が関わって、専門的な立場から説得するなり、関わりを 持つべきです。
とくに「医療保護入院」は、強制入院であるにも関わらず、「保護者」の同意を必要 としています。家族にその権限があるでしょうか。明らかに専門家や公的な立場の責任 の回避です。この医療保護入院によって、その後の家族、当事者間の関係が悪くなると いうことも少なからず起こっています。家族が当事者のためにすることは、家族の愛情 から自らするものです。法律によって強制されるものではありません。
精神障がい者を差別し、家族に重い負担をかけている「保護者制度」は撤廃されなけ ればなりません。障害者権利条約の批准の前に、この差別規定がなくなることを強く希 望するものです。