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場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議
第3回(H22.2.15) 資料1-2

障害者自立支援法・総合福祉法(仮称)に関する
意見一覧 ②

地域移行

利用者負担

医療支援

その他

その他(補足意見等)

○地域移行

1.重度障害者の24時間介護体制の構築についてどう考えるか
【大濱委員】

最重要課題です。
まずは、1 人暮らしの障害者が全国1800 市町村で必要な時間数の支給決定(24 時間介護が必要ならば1 日24 時間の支給決定)を受けられるように予算を確保 することが必要です。
そのうえで、家族同居の場合でも必要な時間数の支給決定が受けられるように、 さらなる制度の改善と予算の確保を行うべきです。

【尾上委員】
「障害のあるすべての人」に対する地域生活を権利として確立するためには、 24 時間の介護体制の構築は不可欠である。その際、前項でも述べたが、障害種 別を問わず、見守り支援も含めたパーソナル・アシスタンス・サービスと、そ れを可能とする財源を確保するための仕組みが必要である。

【勝又委員】
どのくらいのニーズがあるかの調査と実施した場合の費用を試行事業として行 い、その評価を実施したうえで判断すべき。

【門川委員】
→ 必要不可欠である。
一部の全身性障害者など、24時間の介護体制が生命の維持に不可欠なケー スはもちろんのこと、24時間の介護体制がないと潜在的な生命の危険に遭遇 する可能性のある人も、しっかり介護体制が保障されるべきである。
また、必ずしも常時24時間介護が必要でない障害者の場合でも、急病や災 害などに自力で対処できない場合が少なくない。したがって、24時間介護体 制を必要に応じて保障するとともに、緊急時の24時間支援の仕組みも広く構 築すべきである。

【北野委員】
A.その必要に応じて支給決定するシステムと、パーソナルアシスタンス サービスを柔軟にセルフマネジメントしたり、身近な支援者等が共同マネジメ ントできる、カナダのマイクロボード型マネジメント等が要検討課題

【佐藤委員】
24 時間介護の必要な重度障害者への支援を地域格差なく実現できるようにす べきである。
同時に24 時間常にマンツーマンで人的介護をつけるのは費用もかかり、本人 のプライバシーも保てないので、夜間の定時訪問介護体制、ICT を活用しての介 護者呼び出し体制、介護者シェアリング、障害のない人の世帯と障害者世帯が アパートにばらばらに居住し付近に介護ステーションを設けるインクルーシブ な住宅政策なども工夫し、重度障害者の選択の幅を広げるべきである。

【関口委員】
必要である。これは人権の問題である。
参考意見:長期に入院している精神障害者に対しても、待機型の24時間対応 の介助保障があれば誰でも地域生活できると断言します。
速やかに待機を介助として認めるサービス体系およびアドボケイト保障を求め ます。 全国「精神病」者集団 山本真理

【竹下委員】
(1)入所施設の存在や有用性を否定する必要はない。しかし、入所施設はあ くまでも障害者本人のための制度でなければならない。それが、「隔離」や「姥 捨て山」であってはならない。
(2)入所によって支援を受けるか、在宅での支援を受けるかは原則として自 己決定権によって決まる。第三者が決定(審査)すべきものではない。しかし、 障害の種類や内容によっては、在宅生活が危険であり、あるいは在宅での支援 が現実的には不可能な事例においては、たとえ本人の希望(意思)に反する結 果となっても、入所(または入院)による支援を決定せざるを得ない場合もあ る。その場合の決定権は、行政に委ねられるべきではなく、あるいは両親を含 む家族によるべきでもない。行政は公益的見地から意見を述べ、家族もまた参 考意見を述べる立場にすぎない。家族の都合によって入所の可否が決定される ことは前近代的であると言わざるを得ないし、重度障害者に対する支援は家族 による私的支援は補充的であり、あくまでも社会連帯の理念に立った公的支援 によって決せられなければならないからである。
(3)本人の意思に反し入所決定がされた場合には、当然に第三者機関による 審査が準備されていなければならない。

【土本委員】
今、PF(ピープルファースト)北海道の仲間が、24時間のこうてきかいご をもとめてさいばんをおこしている。
おにづかさんがさいばんをおこしているが、おにづかさんだけがよければとい うことでもなく、じゅうどしょうがいといわれている仲間たちが、ひつようで てきせつなサービスがうけられるようにしていくことにつながっていくことで す。
さいばんをおうえんしているさいちゅうです。
自分のおとうとも、じゅうどしょうがいといわれ、いまも入所施設にはいって います。
ちいきですむことは、まずはじゅうどれている仲間たちをすめるようになれば、 つぎからつぎへとちいきにすめるようになる。
入所施設は、すべてかいたいできる。

【堂本委員】
重度障害者の24時間介護体制が構築されることは、当該障害者のみならず その家族等にとっても望まれるもので、地域での安心した生活が確保される ものと考える。
しかしながら、重度訪問介護による在宅介護は、支給決定を行う自治体にと っては、財政負担が重くなること、また、地域のサービス提供事業者にとって は、ヘルパー確保や医療連携等の課題が多いと考えられる。
したがって、国においても、必要な財源を確保のうえ本事業の実施に適切な 支援を行っていく必要があると考える。

【中西委員】
必要なものである

【久松委員】
自己決定に基づき24 時間介護のニーズに応じる社会支援システムの整備を行 うべきである。

【松井委員】
重度障害者が地域で安心して生活できるようにするには、24 時間介護体制の 構築が不可欠である。しかし、現在のところこうした体制を整備している市町 村はきわめて限られていることから、地域差を解消するためには、こうした体 制整備について市町村を支援するような広域的な仕組みの構築も必要である。

【森委員】
地域生活を営む権利を保障するためにも、24 時間体制を構築すべきと考える。

2.地域移行プログラムの法定化と期限の設定についてどう考えるか

【大濱委員】
障害者支援施設などの入所者数の一定割合について、個人個人の地域移行プロ グラムの作成を法令で義務づけるべきだと考えます。
ただし、地域移行に向けたエンパワメントのため、それぞれのプログラムにつ いて最大で3 年程度の準備期間を設けることができるようにするのが良いと思 います。
⇒中途障害の脊髄損傷者の場合でも、まだ若いにもかかわらず、地域での支援 体制や本人のエンパワメントが十分でないために、施設入所を強いられてい る事例はたくさんあります。このような障害者にエンパワメントのきっかけ づくりのためにも、地域移行プログラムを法定化するべきだと思います。
ただし、準備が不十分なまま地域生活に移行してしまうと、ヘルパーとの人間 関係など、多くのトラブルを引き起こしてしまい、地域移行が失敗してしまう 場合もあります。そのため、プログラムにおける準備期間は比較的長く確保し ておいた方が良いと思います。

【尾上委員】
条約19 条の(a)項では「特定の生活様式を義務づけられないこと」とある 通り、脱施設・地域移行が基本である。
「自立支援法」下での障害福祉計画では、「地域移行」が目標化されたが、現 実には、2005 年からの2年間で、全国14 万人の入所施設において389 人が減少 したに過ぎない。また、34 万人の精神科入院患者の内の7万2千人(説によれ ば、この倍以上と言われる)社会的入院の解消も遅々として進んでいない。
元々の「1 割減」という目標自体、国際的にみてあまりにも施設・入院偏在の 状況からすると低い数値であったにも関わらず、それすら実現が危うい状況で ある。
「条約批准のための国内法整備」を課題とする障害者制度改革においては、 入所施設・精神科病床等からの地域移行は第1級の課題である。
そのために、現在のメニュー事業的な退院促進事業ではなく、地域移行プロ グラムを法定化することが必要である。
地域移行中・後の支援(入居者・入院者に対するピアサポートや体験自立等 エンパワメント等)や、新規(再)入院・入所の防止策(まずは、他の都道府 県からの受入をしない等)、支援者移行計画(施設等職員の再教育で地域支援を 担える人材に)等が含まれる必要がある。
そうした地域移行プログラムの法定化を行った上で、期限を設定して、脱施 設化を進めていく必要がある。

【勝又委員】
試行事業を一定期間(たとえば5 年間)実施したのちに、その評価を行ったう えで法制化を検討すべき。

【北野委員】
A.3とも関連するが、まず、一定年限内に地域生活希望者を全員地域移行・ 定着支援が可能で、その移行後の空きベットが埋まらないように、家族からの 地域移行・定着支援を抱き合わせにして、その全体数と年次割戻しに基づく 「地域移行・定着支援推進事業法」を通す。 さらに、それに基づいて、個人個人の「地域移行・定着支援計画」を本人と 一緒に策定し、推進事業で作られた社会資源を活用して、粛々とそれを進めて ゆく。その際、ベット数の縮に早期に取り組む法人に優先的に無償職員リカレ ントトレーニングと地域サービス事業展開を認可し助成する。

【関口委員】
精神障害者の地域移行というなら法定化は必須である。期限も設定すべきで、 その責任の所在も明らかにすべきである。
事業所等の自立支援法に基づく移行というなら、ただちに凍結すべきである。 障害者総合福祉法により抜本的にサービス体系の再編も含めて再検討する必要 がある。

【土本委員】
スウェーデンのように、だれもが地域でくらす法律をつくり、いつまでに入所 施設をなくすという、もくひょうをつくることが必要。

【堂本委員】
地域移行プログラムの具体的内容が不明であるが、福祉施設の入所者の地域 生活への移行や、入院中の精神障害者の地域生活への移行等については、都道 府県及び市町村の障害福祉計画において目標数値及び期限が盛り込まれており、 各自治体において鋭意取り組んでいるところである。

【久松委員】
法定化は当然であり、地域生活を可能とする地域移行プログラムの法定化は 必要である。期限の設定については個別対応を考慮しなければならない。

【松井委員】
障害者の地域への移行を促進するには、地域移行プログラムの法定化が必要 であろう。そのプログラムの期限については、一律に決めるのではなく、障害 者の状況や地域における受け皿の整備状況なども考慮しながら、弾力的に設定 されるべきである。

【森委員】
障害者一人ひとりのニーズやサービスは多様であることを考えれば、一律に地 域移行プログラムの法定化と期限の設定をすることは妥当ではないと考える。 3.地域移行支援策の法定化についてどう考えるか

【大濱委員】
24 時間体制で最重度障害者にも対応できるヘルパー事業所の基盤整備を支援す ることなどを、各自治体が策定する障害福祉計画に盛り込むように、法令で定 めるべきだと考えます。

【尾上委員】
2で述べたことから、ぜひとも地域移行支援策の法定化が不可欠である。そ の時に、入院・入所からの地域移行支援策だけでなく、同時に地域で必要な支 援を得て生活ができるような地域基盤整備を重点的に押し進めていく方策(後 述)が不可欠である。

【勝又委員】
試行事業を一定期間(たとえば5 年間)実施したのちに、その評価を行ったう えで法制化を検討すべき。

【川﨑委員】
精神障害者の地域移行が進まない現状を考えると、地域移行支援策が必要と考 える。住む場の確保、所得保障、必要に応じて利用できるさまざまなサービス が充実することは必要である。精神障害特性を考えると、365日24時間体 制の相談支援機関が設置され、相談の内容によって、いつでも在宅訪問できる 医療と福祉関係者による地域支援チームがそれぞれの地域で制度化され、実施 されるような制度の策定が必要。

【佐藤委員】
「地域社会で生活する権利」の項で述べたように、これは権利であって義務で はない。嫌がっているのに入所させられ、今度もまた嫌がっているのに退所さ せられては余りにも気の毒すぎる。地域の福祉・医療支援が不十分な中で無理 やり追い出されるのではないかとの懸念が身体障害者療護施設利用者からも寄 せられている。本人の希望に基づかない地域移行は行うべきではない。その前 提で4 点を補強したい。

(1)全員に地域移行の希望を聞くこと
市町村の相談支援事業のケアマネージメント体制を強化し、施設や病院のスタ ッフとチームを組んで継続的に支援できるようにする必要がある。
知的障害者分野では、北海道は2008 年度全入所者約12000 人一人一人の意向調 査を実施して、地域生活移行の確認作業をする計画を進めているという。(光増昌 久「『施設』から『地域生活』へ---障害者自立支援法の検証と自己決定の視点か ら---」、『ノーマライゼイション』、2007.12、13-15)
精神障害者分野では神奈川県は、直接入院患者本人に聞くのではないが、1年 以上の入院患者について、年齢、居住地、在院期間、診断名、生活保護、退院可 能性、退院した場合に必要とされるサービスなどを調査し、障害福祉計画に使う 予定という。(竹島正「障害福祉計画と改革ビジョン、障害者計画」、『精リハ誌』、 11(2), 2007.11, 40-43)
(2)移行の意欲を育てる支援を
平行して、地域移行することへの意欲・期待・自信を高めるために、情報提供 とともに体験の場・機会を提供することが有効であろう。市町村が単独または共 同でコーデイネーター、ピア相談員、アパート、グループホームなどを用意して 実施する。
(3)市町村負担の平準化のための装置を
精神病院からの退院先は病院周辺の市町村となりやすい。退院前の地域生活訓 練を通じての慣れ、地域の患者仲間との信頼関係、退院後の通院のしやすさ、出 身地に戻りにくい事情などによる。
入院中は負担のなかった周辺市町村は、退院を受け入れるとともに福祉サービ ス費用の4分の1を負担し、生活保護費の負担も生じる。しかも通所施設やグル ープホームなどができると当事者の「眠っていた需要」が掘り起こされ、また支 援者や理解者も増える。一方議会では「他の自治体の倍以上も整備しているのだ から、これ以上増やす必要はない」と議論され、財政部局が増設に反対する。
知的障害者の入所施設からの地域移行の場合にも似た事態が生まれるが、居住 地特例でこの点を回避している。しかし本来的には住んでいる市町村に住民票を 移し、住民税も払い選挙権も持ち、そこにサービスを申請し、近隣のインフォー マルサポートなども活用する総合的なマネージメントの支援が受けられるように すべきである。すると施設周辺市町村の過度の財政負担という問題が生じる。
これは入院中心・入所中心の国の政策の歴史的なツケであり、当該市町村の負 担とせず、障害者福祉の資源がある程度平準化するまでの間の過渡的な対応策を 考えるべきであろう。とくに病院・施設は人口過疎地につくられることが多く、 その周辺市町村の財政力は高くないのであるから。
一つの可能な案は、市町村負担額を都道府県単位で合計し、人口比率で按分す ることである。国と都道府県の負担については手をつけないので、より大きな政 治的議論は生じないと思われる。地方分権の流れに反すると批判があれば、市町 村負担分のさらに半分を按分とすることもあり得る。
(4)お金の面で「動機をそぐ」現状の解消を
施設入所者には補足給付で手元に月2.5 万円が残り(これでは社会参加もおぼ つかないが、また医療費などでほとんど残らないとの指摘もあるが)、グループホ ームでは家賃・食費・通所交通費・利用料などで年金と工賃を使い果たし、貯金 取り崩しか親の支援が必要になるといわれる。マイナスのインセンテイブでは移 行は進まない。
地域移行促進には受け皿が空いていなければならない。グループホームや通所施 設などが、定員一杯利用者を確保してもなお運営難の報酬単価で常に空きがない なら、移行は進まない。

【関口委員】
精神障害者の地域移行というなら法定化すべきである。その際に当事者にも予 算配分する必要がある。高齢化した超長期精神病院入院患者さんの地域以降は 緊急課題であり、時限立法で地域以降法を作り、住宅や所得保障介助保障体制 を確立すべきである。期限は3年程度。さらに空床保証をして安心して退院に 向けて動機付けすべきである。空床保障は強制入院を減らし即時対応可能とす るためにも必要である。
住宅保障は自治体あるいは国によるアパートの借り上げ。ショートステイも待 機型ヘルパーとあわせて、緊急に整備すべきである。これらは国および自治体 の責務とすべきだ。

参考意見:精神科病院の長期入院患者、あるいは施設への被収容者については 国の失政を認め、賠償金として退院準備地域生活準備金を支給すべきです。
全国「精神病」者集団 山本真理
事業所等の移行というなら、法定化の必要はない。むしろ、今行っている事業 の内容を精査し適切な給付を決めるべきだが、地域間格差が出ないように配慮 すべきである。すくなくとも、自治体持ち出しの構造は無くすべきであろう。

【竹下委員】
これまでの障害者福祉は、入所(または入院)による支援を主軸の1つと して位置づけてきた経緯がある。これを改革するとしても、機械的な「施設廃 止」や強引な「脱施設化」は障害のある人本人となっても不利益となるおそれ があるし、社会的な困難を招く結果ともなる。
そこで、以下のような理念と手順が検討されるべきである。
(1)入所(または入院)を継続するか否かは、第一次的には本人の意思によ って決定する。これは直ちに実施に移すことが必要である。
(2)本人が退所(退院)を希望した場合には、その可能性(在宅生活の確保 や在宅での支援の可能性)を審査することになるが、その審査方法は以下の基 準に沿って行われるべきである。
すなわち、在宅での支援を可能とする条件については、行政が提示すべきであ る。したがって、在宅での支援が不可能であることの立証責任は行政が負担す ることになる。審査のための第三者機関が速やかに設置され、障害者、医師を 含む専門家及び公益委員などによって構成された委員会が直ちに審査を開始す べきである。なお、猶予期間の設置は結局は猶予期間における人権侵害を放置 することになるし、さらに将来における猶予期間の延長を招く可能性も生じる ことになるから、「移行期間」なるものの設定はすべきではない。

【土本委員】
必要

【堂本委員】
千葉県においては、マディソンモデル活用事業をはじめとする精神障害者の 地域移行や地域定着の支援を目的とするモデル事業を実施してきた。
これらの施策を継続的に実施していくためには、訪問看護ステーションにお ける精神保健福祉士の活動に対する診療報酬や障害福祉サービスにおける当事 者が行う相談支援に対する報酬などが、法令上に位置付けられることが必要と 考える。

(千葉県における取組例)

(1)マディソンモデル活用事業(平成17年度~平成19年度) マディソンモデルは米国ウィスコンシン州マディソンで構築された包括 的な地域精神保健サービスシステムであり、モデル地域(市川市)におい て、当事者、家族、福祉・医療・行政関係者が参加して具体的なサービス を検討し、そのサービスをNPO法人に委託して実施した。
(2)訪問看護ステーションにおける精神障害者の包括的支援モデル事業 (平成20年度~平成21年度)
訪問看護ステーションに精神保健福祉士を配置することにより、地域で 暮らす精神障害者に対する継続的かつ包括的な支援を検証する。

【中西委員】
十分に自立生活が可能である支援策の法的整備が必要である。

【久松委員】
地域移行には、利用者自身が施設を出て地域移行を希望するような居住、労 働、生活にわたる環境整備が必要である。また、現行の自立支援法では入所施 設で入所支援を受けている人が現実的に地域での生活に移行した場合、施設運 営が困難となることから実質的に移行できない仕組みとなっている。利用者、 施設の双方に移行を促す施策が必要である。また、入所施設を否定するのでは なく、生活施設(入所施設)の環境整備を図るため報酬の大幅な引き上げも必 要である。特にグループホーム・ケアホ-ムでろう重複障害者が地域住民との 関わりや地域の社会資源を活用しながら自立(自律)した生活を営むために、 ケアホ-ム利用者の「手話通訳者」の利用を認めることが大切である。

〔理由〕
ろう重複障害者の要望や願いを踏まえた支援を行なうためには、高度なコミ ュニケ-ション能力(手話等)が必要であるが、低い報酬単価のなかで手話技 術を持った世話人を安定的に雇用することが困難である。今後、視覚障害を併 せ持つ聴覚障害者(盲ろう者)の地域移行(ケアホ-ムでの暮し)を考えたと き、世話人が個別に支援することができない分、一般の手話通訳者による支援 が受けられるようにする必要がある。
また、施設入所者の高齢化の対応についても課題である。

【松井委員】
障害者の地域への移行を促進するため、地域移行支援策が法定化されるべき と思われるが、地域の状況などを踏まえた柔軟な対応ができるような制度が望 まれる。

【森委員】
上記2と同じ。

○利用者負担

1.応益負担の廃止についてどう考えるか

【大濱委員】
応益負担を廃止して応能負担に移行するべきだと考えます。

【尾上委員】
条約28 条2項では、「障害に関連する必要〔ニーズ〕に係る適切かつ負担可 能なサービス、補装具〔補助器具〕その他の支援にアクセスすることを確保す るための措置」とあり、応益負担はこれと抵触すると考えられる。
すでに、「基本合意書」や来年度予算での措置においても、「応益負担の廃止」 の方向が打ち出されているが、自立支援医療部分での負担の見直しも含めて積 極的に進めていくべきである。
さらに「応益負担」に多くの障害者、家族、支援者が強く反発したのは、「障 害を障害者や家族の自己責任」と見なすかのような流れを感じたからであり、 障害の捉え方という点からも、「応益負担の廃止」は必要である。

【勝又委員】
なるべく早期に廃止すべき。

【門川委員】
→ 廃止すべきである。

【川﨑委員】
廃止に賛成。負担やむなければ応能負担にすべき。

【佐藤委員】
応益負担廃止は公約であり、訴訟原告団との合意事項なので議論の余地はな い。

【関口委員】
廃止すべき。

【土本委員】
はいしはとうぜんです。
お金をとられて、働かされるのは、じんけんしんがいです。
お金がかかると、ひつようとするてきせつなサービスをうける必要のある人もサービスをりようできなくなる。

【堂本委員】
利用者負担については、利用者の収入・所得の保障と表裏一体の問題である ことから、就労支援策や工賃向上策、障害者年金の検討など、利用者の収入・ 所得保障の在り方と一体的に検討を行うことが必要と考える。
本来、全ての利用者に対し無償で障害福祉サービスを提供することは理想で あるが、納税者である国民全体の理解や支持を得るためも、その能力に応じた 利用者の一定割合の負担は、やむを得ないことだと考える。

【中西委員】
賛成する。

【久松委員】
応益負担は廃止し、障害者本人の所得のみによる応能負担、非課税者は無料 とすべきである。

【松井委員】
ニーズが多い重度障害者ほど利用者負担が増えるという状況や、一部負担が あるため、サービスの利用を控えるといった課題を解消するためにも、応益負 担制度を廃止することは、当然である。

【森委員】
これまで現行法のもとで、利用料に対する措置が講じられてきたが、応能負担 及び扶養家族制度を廃止し、本人単位にすべき時期にきたと考える。

2.負担の有無についてどのような原則と考え方をとるのか

【大濱委員】
障害者施策の予算が限られている現状では、全国1800 市町村のどこでも、必要 であれば24 時間の介護が受けられる制度をつくることの方が優先課題であり、 利用者負担の有無はそのあとに解決していくべき問題だと思います。
⇒たしかに利用者負担も非常に大きな問題です。障害者が生きていくために必 要な介護は、憲法の生存権から見ても、利用者負担を徴収するのは不適切だ と思います。
しかし、その一方で、必要な時間数の支給決定が受けられず、介護の不足によ って重度障害者が命を落とす事例が、現在でも全国各地で起こっています。で すから、利用者負担よりも支給決定時間数の不足の方が重要な緊急課題です。

【尾上委員】
基本的に、「他の者(障害のない者)との平等」を基本視点とすべきであり、 障害のない人が払っているものは払う、そうでないものは総合福祉法が責任を 持つとすべきである。
具体的には、ヘルパーや職員の人件費等障害故に必要なサービス部分につい ては費用負担を求めるべきではなく、食費(食材費相当)や光熱水費(本人が 使った部分)は実費負担を原則として所得保障が整うまでの間、応能負担とす べきではないか。
また、コミュニケーション支援は、手話の言語性やコミュニケーションの双 方向性という点からも無料化すべきである。

【勝又委員】
必要なサービスの負担はなくすべき。応能負担の導入も行うべきではない。

【門川委員】
→ 「応益負担」を廃止して、「応能負担」に移行することは重要な前進であ り評価できる。しかし、原理的に言えば、それが理想ではない。
理想的には障害者が文化的で最低限度の生活を送るために不可欠な支援のニ ーズ(前述の「生存の基本ニーズ」と「文化的基本ニーズ」)については、無条 件に無償で公的に保障されるべきだと考える。
たとえば、重度障害者が自宅のトイレに行く際の介助、呼吸器で呼吸する際 のケア、あるいは、聴覚障害者や盲ろう者がだれかと会話をする折の通訳など について、それぞれ「利用者負担」が伴うことは適切ではないと考える。トイ レに行き、息をして、会話をする、といった人としての最低限の営みのために 不可欠な支援を受けることを、「商品としてのサービス」を受けるかのように取 り扱うのは不適切と考えるからだ。
求められることは、「応益負担」でもなく、「応能負担」でもない、障害者の最 低限度の生活に不可欠な支援が無条件に十分に提供されること、つまり「応要 支援」がなされることだと考える。

【川﨑委員】
障がい者福祉については、公費による給付責任を優先すべき。原則として全額 公費負担で行われるべきと考える。

【佐藤委員】
本来的には障害に伴い発生した特別な出費は社会全体で負担し、障害の有無 にかかわらず誰でも負担する食費・住宅費・交通費などは100%本人が負担 する、が理想である。障害に伴うハンデイをなくし、同じスタートラインにた って社会参加できるようにしたい、という考えである。
日本障害者協議会が1997 年に提案した「障害者福祉法への試案」ではこうした 考えを採用していた。カナダの交通費制度、オーストラリアのレクリエーショ ン施設入場料などは下記のようにこうした考え方を採用している。障害福祉サ ービスについても「無料」の国はヨーロッパなどで多い。
ただし裕福な障害者で、費用負担をしても生活水準面にほとんど影響が出な いような場合には、一部費用負担をしてもらってもよいのではないか、という おおむねの合意があるようなので、また国・自治体の財政が厳しい今日である ので、当分の間応能負担とすることに異論はない。そうした負担金によって、 国・自治体が用意できる金額以上のサービスを障害者に提供できるメリットも ある。
応能負担とする場合、所得の認定を障害児も含めて本人の収入のみとすること、 入所施設入所者の負担軽減を図ること、また就労支援事業に関しては、ILO 第159号条約や第99号、第168号勧告に照らして無料とすること、など も重要である。

<参考>
2008 年カナダでは、障害者の航空機利用に際して、障害のためにせよ介護者が必 要であるためにせよ、2つの座席が必要となっても1人分の運賃で乗れることにな った。以前から鉄道、バス、船では障害に伴う追加的座席料金を払う必要がなかっ たが、飛行機でも実現した。
オーストラリアのビクトリア州には介護を要する障害者に「要コンパニオンカー ド」を発行し、一人分の入場料でレクリエーション施設や公共交通を利用できる(介 護者のチケットを無料にする)制度があり、他州にも広がりつつある。
このカードが交付されるのは、これら施設の利用に際して、移動、コミュニケー ション、身辺処理、学習・計画・思考などにかなりの人的介護が必要な障害者であ る。その状態に波があっても生涯つづくものである必要がある。単に安心のため、 励ましのための付き添いが必要、等は除外される。このカードは、所定様式に本人 (または後見人)が必要事項を書いて、医療や福祉の専門職が証明の署名をし、郵 送で申請され、判断され、発行される。確認のために関係者がインタビューされる こともある。専門職の社会的信用という面にも注目される。
その障害者が高額所得者であるか否かに関わりなく、障害に伴う出費はその個人 の負担とせず全員で支えよう、その代わり障害者も同じように社会参加し、社会に 貢献することを期待しよう、というメッセージが伝わってくる。そうした合意形成 がカナダやオーストラリア社会にほぼできたことの反映であろう。
「弱者割引」の制度と大きな障害者観の違いがあり、日本でも学びたい。

【新谷委員】
福祉サービスは、医療・高齢者介護などでは、保険料・国庫補助・サービス 利用料で必要経費を賄う制度設計になっています。障害者福祉サービスでは保 険料積立はあり得ず、費用負担は国庫とサービス利用料ということになります が、国庫負担は国民全体が税金という形で負担するということですので、問題 は障害者福祉サービスの費用負担を、国民全体とサービス利用をする障害者自 身がどのように負担すべきか、ということになると思います。
子ども手当創設の考えは、「義務教育終了時までの養育費用は、国民全体が負 担していく」という共生社会の理念であったと理解しています。障害者が求め ている福祉サービスはそれ以上に一人の人間として生きていくための最低限度 のサービスであって、共生社会の核に位置づけられ、国民全体が負担していく ものと思います。
いま必要なことは、障害者福祉サービスにはどのようなものがあるべきか、 そのニーズがどれくらいあるのか、そのために必要な経費がどれくらいかかる のかを明確にし、その財源をどのように準備すべきかを議論することにあると 思います。
また、一般的な福祉サービスや大学授業料などの有料サービスについての障 害者への優遇措置については、障害者の稼得実態を踏まえて所得補償をどのよ うに考えるかという問題と一緒に議論すべきと考えます。

【関口委員】
必要なものについては社会が負担すべきである。本人負担があるとしても、本 人のみの収入を基準とした応能負担であるべきである。

【土本委員】
しゃかいほしょうは、国のせきむ。

【堂本委員】
負担の有無については、生存権にかかわる最低限のサービスかどうかを判断 材料としてはどうか。

【中西委員】
基本的には、障害者が社会で平等な権利を享受するために必要なサービスは無 料で提供されるべきである。

【久松委員】
基本的人権にかかわるものは、原則的に負担しないとすべきであり、利用者 負担は所得保障の履行を前提とすべきである。所得認定に当たっては、障害者 本人のみを単位とすべきである。

【松井委員】
本人自身の収入が一定レベル以上のもの以外については、負担なしを原則と することが望ましい。

【森委員】
応能負担、本人単位、そして施設入所と在宅との負担のあり方を検討、構築す べきと考える。

3.新基準の設定についてどう考えるか

【尾上委員】
原則的な考え方は2.で述べた通りであるが、実際的な展開として当面応能 負担を基本にした制度となると考えた場合、成人した障害者にとってはあくま でも障害者本人の収入を基本にした負担基準とすべき(扶養義務の撤廃)であ る。また、障害児の場合、現行の基準のままだと中間所得で負担が大きくなる ので、きめ細かな上限設定を検討すべきである。

【勝又委員】
所得や資産による負担を、税制と社会保障の現金給付において統合して実施す べき。
例、すべての現金給付を課税ベースに統合し、総合課税を実施する。すべての 現金給付には、障がい基礎年金・障がい厚生年金・業務災害における障がい給 付などすべてを含める。
また、障がい者本人や障がい者の家族にたいする、所得控除は廃止する。一方、 介助者(家族を含む)に対するダイレクトペイメントを認め、家族の支援を行 う。

【門川委員】
→ 前述のように、「生存の基本ニーズ」と「文化的基本ニーズ」に対する支 援は、原則として無償で提供されるべきだと考える。
ただし、どういう支援がこの二つの基本ニーズのリストに属するかという問 題の合意形成はまだなされておらず、さらに現行制度を支えるわが国の社会保 障体制全般との関連で、まったくの無償での公的支援の方式を全面的に実施す ることは困難だと思われる。
そこで、現実的には、「応能負担」での支援と「無償支援」をどのように適切 に組み合わせるか、という問題であろう。
その際注目したいことは、応能負担を採用するにしても、利用者(障害者) にとってまさに「負担」にならぬよう、低廉な負担水準を設定することと、負 担のあり方とは別に、実際に提供される支援の量的・質的な充実をいかに担保 するかということである。

【関口委員】
他のものと平等な基礎に立って、人間の尊厳に基づく人権を保障するものであ るべきである。

【竹下委員】
(1)応益負担は障害者福祉の本質に反するものであることは、もはや論を待 たないが、応能負担という名の下に、障害のある人の生存や社会参加を阻害す る可能性が生ずる利用者負担は絶対に避けなければならない。
(2)利用者負担そのものが障害者福祉の本質(理念)に適合したものと言え るかどうかについての検討(議論)が不足している現状においては、応能負担 は過渡的なものとして位置づけられるべきである。そして、将来的には応能負 担のそのものの妥当性やホテルコストを含む利用者負担の妥当性を検討するこ とが必要である。
(3)利用者負担は、ホテルコストや給食費等の負担をも含めて、以下の要素 ないし基準が検討されるべきである。
ア 施設利用料や人件費は利用者負担の対象にはしない。
イ 食費に関する実費は応能負担の対象として検討する。
ウ 現行の障害基礎年金は最低生活保障(憲法25条)に基づく支給であるか ら、年金のみの収入により生活している障害者には利用者負担はゼロとする。
エ 個人の尊厳や自己決定権、あるいは介護をはじめとする支援が社会連帯の 理念に基づく公的支援であることを前提として、本人の所得のみによって応能 負担が判断されるべきである。

【土本委員】
ちてきの仲間たちの中で、自分ではたらいて大金もちになった人、自分ではた らいて、お金をためて家をたてた人をきいたことがない。
仲間たちが、いっしょうけんめい、いのちをけずっていっぱんの会社ではたら いても、多い人で月に10万円ていどです。そんな仲間たちからお金をとらな いでほしい。

【堂本委員】
利用者負担額については、利用者の所得区分・資産要件を基本に、きめ細や かさと分かりやすさを両立した新基準を設定すること。また、サービス事業所 に対して支払われる報酬(現行、利用者負担は全体報酬の1 割)とは直接連動 しないようにすることが重要。
なお、新基準の設定に際しては、利用者の現状を踏まえ意見を聞きながら、国 において複数のサンプルについてシミュレーションをする必要がある。

【中西委員】
自立支援法の国庫補助基準については早急にその必要額を補填するとともに、 市町村の過剰な負担を避けるために、国が介助サービスにおいて1日8時間以 上の介助利用者については、その負担を軽減する方策を講じること。
事務局長が選任する推進会議以外に必要な人員8名以内で構成する、自立支援 法の制度改革委員会のたち上げを緊急に要望する。

【松井委員】
本人自身の収入をベースとした基準を設けるべきである。その収入が一定レ ベル以下のものについては、無料を原則とすること。

【森委員】
上記2と同じ

○医療支援

1.医療支援の在り方についてどう考えるか

【勝又委員】
障がい者医療としてだけの限定した議論ではなく、医療制度改革の中で議論す べき。

【門川委員】
→ 内部障害者、精神障害者、高齢障害者、難病のある障害者など、継続的 な医療ユーザである障害者への丁寧な対応が望まれる。
これらの医療機関を多用する障害者だけでなく、単発の利用も含めて、障害 者にとっての医療をめぐる支援のあり方が検討されるべきである。医療費負担 軽減の問題以外にも、たとえば医療機関を利用する際に生じる「文化的基本ニ ーズ」への適切な対応が重要である。
(例) 医師・看護士とのコミュニケーション、自らに関わる医療情報の入手、 病院内や通院時の移動、など。
また、たとえば、ある盲ろう者がある地域で入院した際、介護はすべて病院ス タッフが行うということで、通訳・介助者の派遣が認められなかった。しかし、 盲ろう者は特殊で独自のコミュニケーションニーズがあるため、病院スタッフ では対応できず、コミュニケーションに時間がかかる盲ろう者は結果的に疎ま れる、といった事例があった。

【川﨑委員】
精神障害者の医療支援に関しては抜本的な改革が必要である。病気を発症して からの早期支援、治療経過中の危機時の対応など、どれもきわめて不備であり、 安心して医療を受け生活できない状態でいる。医師、看護師,ソーシャルワー カー、作業療法士、保健師などの他職種チームが地域において十分な医療、福 祉のケアをするという体制ができないと、精神障がい者は、いつも入院か在宅 かの二者択一を迫られる結果となる。

【佐藤委員】
都道府県の重度障害者医療と自立支援医療など総合的体系的に見直すことが 望まれる。

【関口委員】
医療は人間の尊厳に基づく人権を保障するものであるべきである。精神病院に おける人権侵害は枚挙にいとまがない。多くは泣き寝入りである。現在「人と しての尊厳を取り戻す闘い」が鳥取地裁で行われている最中である。
基本は本人の要請による見守りと待機、適切な外来医療に限定すべきである。
高齢化した超長期精神病院入院患者さんの地域以降は緊急課題であり、時限立 法で地域以降法を作り、住宅や所得保障介助保障体制を確立すべきである。
空床保障は強制入院を減らし即時対応可能とするためにも必要である。
住宅保障は自治体あるいは国によるアパートの借り上げも考えるべきである。
ショートステイも待機型ヘルパーとあわせて緊急に整備すべきである。これら は国および自治体の責務とすべきである。
なお、病院に戻る、長期入院者がいることは、その理由を真剣に考慮しなけれ ばならない。
精神病院の解体を求める意見も数件、寄せられたことを、付言しておく。

【竹下委員】
医療支援は入所における支援において述べた内容(地域移行の1)がその ままここに当てはまることになる。したがって、入院による治療は本人の意思 が第一次的であり、本人の意思に反して入院による支援を決定する場合につい ても第三者機関による審査が条件である。

【土本委員】
必要な人が、ちゃんと病院でみてもらえるようにするべきです。

【堂本委員】
現在の障害者に対する国費での医療支援は、自立支援医療(育成医療・更生 医療)に限られており、その対象外となる日常的に必要となる医療への支援は 各地方自治体に委ねられているが、本来、障害者は全国一律に同等のサービス を受けられることが望ましく、医療支援についても、国の制度として自立支援 医療(育成医療・更生医療)に限らない包括的な医療支援制度を創設すべきと 考える。
医療、福祉の実施側の問題としては、まず、障害者に対する医療の提供を考 えた場合に、医師、看護婦、理学療法士、言語聴覚士といった医療関連スタッ フの不足があり、リハビリ施設の不足など障害者に対する十分な医療の提供が されていない現状がある。
また、地域における医療機関と福祉機関の間で十分に情報が伝わっていない など、医療と福祉の連携が十分とれていない現状があり、このような状況を改 善するためには、医療、福祉、教育といった分野横断的な連携体制の構築が求 められている。
このような状況を改善するため、医療スタッフの養成やリハビリ等の障害者 向け医療に対する診療報酬の増額といった医療への支援や分野横断的な連携体 制の構築を進めるための制度的、財政的な支援が必要である。

【中西委員】
障害者が過度な医療費の負担を強いられているので、医療費支援は必要である。

【久松委員】
重度の重複障害を持つ聴覚障害者が入院をする場合、コミュニケ-ションが 取れないとの理由で入院を断られること(病院のたらい回し)が多くある。入 院時のコミュニケ-ション支援は治療上必要であるため、施設の職員が何とか 支援を行っているが、手話通訳者や手話ができるヘルパ-の利用が可能なよう にすべきである。

【森委員】
自立支援法の下で、育成医療、更生医療、精神障害者医療が自立支援医療へ移 行したが、旧制度を含めて再構築すべきと考える。

2.負担問題についてどう考えるか

【尾上委員】
自立支援医療の負担については、「基本合意書」にもふれられている通り、早 急に、まずは応能負担化に向けた軽減措置の予算確保が必要である。

【勝又委員】
障がい者医療としてだけの限定した議論ではなく、医療制度改革の中で議論す べき。

【門川委員】
→ 障害者の中には、その障害ゆえに医療機関を継続的かつ頻繁に利用する者 もいるため、医療費の負担が加重にならぬよう対応すべきである。とくに精神 障害者の医療費助成制度の拡充が求められる。

【川﨑委員】
精神障害者の多くは生涯病気と付き合うことになり、医療費の負担は大きい。 外来医療費、入院医療費ともに公費を原則とすべきである。現在の自立支援医 療では、外来が1 割、入院が3 割である。外来は収入によって上限額が決めら れているが、入院はそうした配慮がない。今や国民の多くがかかる精神疾患に 対しては、国としても十分に取り組むべきである。

【佐藤委員】
自立支援医療・補装具費の自己負担も応能負担とすること。

【関口委員】
精神には医療が密接不可分だが、通常、医療は生活の一部でしかない。自立支 援法でいえば入院医療も自発的入院である限り自立支援医療として給付の対象 とすべきである。非自発的精神医療については、別に論じる。
また、自立支援医療も負担が高くなる結果となっており、容認できない。上限 を設けるなら、世帯収入ではなく本人収入でみるべきである。即時に改定して 欲しい。

【竹下委員】
医療における負担は前項の利用者負担の内容と同様である。

【土本委員】
お金がなくて、病院にかよえないばあいは、せいかつほごをつかえるようにす ること。

【堂本委員】
重度障害者に対しては、各地方自治体で行っている重度心身障害者(児)に 対する医療助成があり、相当程度負担が軽減されているが、自治体個々の制度 であるため、自治体間の差異も大きく、本来、障害者は全国一律に同等のサー ビスを受けられることが望ましいことから考えると、全国的な制度を創設すべ きと考える。
また、現在各地方自治体で行っている重度心身障害者(児)に対する医療助 成は、規模が大きく財政的な負担が大きいものとなっていることから、これに 対しての国庫負担金制度の創設や現物給付化した場合の国民健康保険の調整交 付金の削減措置の廃止など検討すべきである。

【中西委員】
議論の内容は来年度予算案が必要なもの、政省令で対応できるものに限定して 行う。負担枠については緊急に自立支援法の制度改革委員会を立ち上げること。
その構成員については、推進会議以外に必要な人員8名以内で構成し、事務局 長が選任する。

【久松委員】
「障害により必要となる医療」「障害ゆえに必要となる医療」にかかる個人負 担は課すべきではない。

【松井委員】
本人の収入が一定レベル以下のものについては、無料を原則とすること。

【森委員】
上記1と同じ

○その他

1.現行の障害程度区分に基づく国庫負担基準の問題についてどう考えるか

【大濱委員】
国庫負担基準は廃止する必要があります。
⇒自立支援法第2 条第1 項の理念、厚労省の事務連絡、区分間合算の仕組みに もかかわらず、多くの市町村では、国庫負担基準が個々人の支給量の目安や上 限に転化してしまっています。

【尾上委員】
障害者自立支援法のメリットとしてその当時言われていたのが、「義務的経費 化」であった。しかし、実際には、あくまで障害程度区分とリンクした国庫負 担基準の範囲内でのものでしかなかった。そのために、多くの自治体で国庫負 担を基準とした支給決定がなされ、重度障害者が地域で暮らすための長時間介 護の確保等が困難となった。
次に述べる通り、国庫負担基準を廃止して、市町村が実際にサービスに要し た費用に対して国は責任をもって負担すべきである。

【門川委員】
→ 画一的な国庫負担基準の設定は撤廃すべきである。
また、十分な財源の確保に取り組むべきである。

【川﨑委員】
国の費用負担を義務化することで財源の裏づけをしているが、市町村において は、国庫負担基準の合算額を越えて支給すると、その超過分は市町村の財源で 賄われることから、実質的には国庫負担基準が個々の利用者の支給量の上限と なっているといわれている。自治体における一人当たりの支給水準にばらつき が生じているともいわれている。国庫負担基準の額の見直しを検討すべきか。

【北野委員】
A.支給決定プロセス4に包摂

【佐藤委員】
これを廃止して、市町村の支出の2 分の1 を国が負担する単純な制度にすべ きである。その上で実態を明らかにし、市町村、都道府県格差がどの程度のも のか、なぜ生じているのか、許容できる程度の格差であるのかどうか、データ に基づく議論をすべきである。

【関口委員】
精神においては、程度区分そのものが意味をなしていない。区分6は保護室の 人というのは、あまりに馬鹿にした話だ。

【竹下委員】
障害程度区分は速やかに廃止されるべきであり、したがってそれを前提と する国庫負担基準はあり得ないこととなる。
障害者福祉における財源は、国と地方による負担割合が定められるとして も、国庫負担は当該市町村における障害者数や障害者の社会参加の度合いや地 域性などによって異なることを前提として基準化されるべきである。

【土本委員】
区分にサービスのりようのせいげんや、国が地方じちたいにせきにんをとらせ ることをやめてほしい。
国がせいげんしていたら、しせつから仲間たちはちいきにでられない。
ちいきにくらすなかまたちも、しせつにいくしかなくなる。

【堂本委員】
障害者福祉サービスについて、必要な者が必要なサービスを受けられるよう 現行負担基準については、廃止することが適当と考える。
市町村が、居宅介護をはじめとする訪問系の障害福祉サービスの支給決定を この国庫負担基準に沿って支給量を決定した場合には、申請者に対して必要な サービス量を給付できない場合や、逆に、基準に沿わずに支給量を決定した場 合には、市町村の持ち出しとなってしまう場合がある。

【中西委員】
現行の国庫負担基準は廃止し、特に1 日8 時間以上など長時間介助を要する場 合などは全額国庫負担としていく。

【久松委員】
現行自立支援給付事業の財源は「国県市が50:25:25」であり、国の負担が義 務的経費であっても自治体負担は必要。自主財源の乏しい自治体が事業拡大に 消極的であることは変わらない。地域格差をなくすためには、財源については 上記国の負担割合を大きくする必要がある(自立支援法だけの課題ではない)。
あるいは国の制度として確立すべきである。

【森委員】
障害程度区分の仕組みの基底にある考えは、介護保険制度そのものと認識して いる。従って、障害程度区分は、国庫負担基準、本人負担も含め廃止すべきと 考える。

2.障害者の地域生活のための財政負担の強化についてどう考えるか

【大濱委員】
一定ラインを超える長時間の訪問系サービスについては、市町村が費用を負担 しなくても良いように、国の財政負担を強化するべきです。

⇒現在、訪問系サービスの利用者は全国で約10万人いますが、このなかで連続 長時間の支給決定を受けている障害者はごくわずかです。逆に言えば、小さ な市町村では、市町村内に長時間介護を必要とする障害者が住んでいる確立 も非常に低いです。

これに対して、たまたま長時間介護の重度障害者が住んでいたという理由で、 その介護費用の25%を小さな市町村に負担させるのは、非常に酷です。
たとえば、スウェーデンのLSS法では、週20時間以上(月80時間以上)のホーム ヘルプサービスについては、全額を国が費用負担しています。
なお、当会では、

  • 1日8時間を超える訪問系サービスを利用しているのは全国で2800人程度(障 害福祉サービスの利用者55万7600人の0.5%)
  • この2800人が利用する訪問系サービスのうち1日8時間を超える部分は年間74 億円程度(障害福祉サービスの総費用額9200億円の0.8%)
    と推計しています。

当面の措置として、国庫負担基準を超過している市町村に対する財政支援につ いて、政令指定都市や中核市も対象に拡充するべきです。

⇒現在の障害者自立支援対策臨時特例交付金による特別対策事業(基金事業) の「重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業」による財政支援では、 訪問系サービスの給付費が国庫負担基準を超えている市町村に対して、国と 都道府県が財政支援を行えることになっています。しかし、政令指定都市と 中核市は対象になっていません。

よって、総合福祉法の施行により、一定ラインを超える長時間の訪問系サービ スに対する国の財政負担の強化が実現されるまでの間、現行の財政支援策につ いて、都道府県と市町村が活用しやすいように見直すべきだと考えます。

【尾上委員】
まずは、「義務的経費」というならば、障害程度区分と国庫負担基準が連動す る仕組みを廃止して、市町村が実際にサービスに要した費用に対して、義務的 に負担する仕組みとすべきである。
また、全体の財政規模で言えば、日本の障害者予算の対GDP費は先進国の中 でも最低水準にある。民主党マニフェストの改革項目その15、17 にある通り、 障害者予算を国際水準にふさわしいレベルに飛躍的に充実させることが必要で ある。そして、とりわけ、地域生活基盤に重点的にその財源を振り分けていく 必要がある。

【門川委員】
→ 財政負担の絶対額が少なすぎる。わが国の障害福祉関連予算の対GDP 比が、OECD諸国内で最下位レヴェルである現状を打開すべきである。
自立支援給付の拡充が求められる他、 たとえば、地域生活支援事業の21 年度予算はわずかに450億円である。障害者の範囲が拡大し、そのニーズも 複雑化・多様化する中で、今の予算水準は現実のニーズに対応できていないと 思われる。

【北野委員】
A.支給決定プロセス4に包摂

【佐藤委員】
必要とされる障害者福祉関係予算を義務的経費として確保するとともに、安 易な地方分権による「財源移譲なき権限委譲」はおこなわないこと。
精神保健医療福祉財政においては入院医療に大きく偏った財政配分(97:3)は早 急に是正されるべきである。世界中の精神科病床162 万のうち20%を超える配置 のあるわが国の異常さを解消すべきで、これを「適正な入院医療規模」の割り 出しとともに進めるべきである。「病院から地域へ」という施策の方向は、お 金の流れも病院から地域へと変えていくことを含むものである。

【関口委員】
強化すべきだが、地域間格差をなくし、適正な競争原理が働くように配慮すべ きだ。

【竹下委員】
わが国における社会保障費ないし障害者福祉費は、ヨーロッパにおけるそ れと比較しても極めて低い水準となっている。したがって、第一次的には、OECD の平均値を超える社会保障費ないし障害者福祉費が確保されるべきであるし、 将来的にはヨーロッパにおける財政負担が基準とされるべきである。

【土本委員】
国にいけばじちたいのせいにして、じちたいにいけば国の予算のせいにする。
どちらもお金がないといって、仲間たちはいつまでもほうちされている。

【堂本委員】
国、地方公共団体ともに厳しい財政状況にある中で、公費負担を強化する場 合には、その目的、対象事業等について十分検討することが適当であると考え る。

【中西委員】
障害者の権利の観点から考えるべき問題であり、そのため障害者の権利条約の 正式な訳を採択し、国民への啓発につとめる

【長瀬委員】
地域生活のための財政のみならず、日本の障害関係予算の少なさ(OECD の対GDP 比公的社会支出)はつとに指摘されている点である。日本社会の格差是正と貧 困削減の取り組み全般の一環として、地域生活促進を含む「障害関係予算の数 値目標」と「法制上・財政上の措置」(昨年4 月に参議院に提出された「障がい 者制度改革推進法案」のそれぞれ第18 条と第20 条)両方の観点から、財政(税 制と社会保障)の機能を回復、強化し、障害関係予算の大幅な増額を求める。

【久松委員】
地域生活確立のためには人材養成等の基盤整備が極めて重要にもかかわらず 財政的に軽視されている。障害者が地域で生きていくためには多数の支援者を 必要としており、都道府県市町村への予算配分の強化が必要である。

【松井委員】
障害者が地域で生活することを権利として保障することを前提すれば、障害 者が地域で必要かつ適切な支援サービスを利用しながら、生活できるようにす るための財政負担の強化は必要である。

【森委員】
障害の有無にかかわらず、誰もが同じように地域で生活できるシステムにする ことが「障害者権利条約」の遵守であり、そのために必要な財政は十分行政が 負担すべきで、最初に財源ありきで考えるべきではない。

3.地域間格差をどのようになくしていくのか

【大濱委員】
総合福祉法では、必要な場合には国が市町村に対して指示できるように規定す るべきだと考えます。
⇒市町村が十分な支給決定を行わないことは、重度障害者の命にかかわる非常 に重要な問題です。しかし、現在の自立支援法では、悪質な市町村が十分な時 間数を支給決定しない場合でも、国は直接市町村に対して指示(地方自治法第 245 条第1 項ヘ)することはできません。

施設や病院から地域移行した障害者に対する自立支援給付について、居住地の 市町村と出身地の市町村で、費用負担を分担する財政制度を設けるべきです。

⇒国立病院の筋ジストロフィー病棟などの専門病院から障害者が地域生活へ移 行する場合、通院や緊急入院のため、退院元の専門病院の近くにアパートを 借りて暮らす例がたくさんあります。この場合、A市からB市の病院に入院し た障害者がB市内へ地域移行するため、人口に比べて大勢の重度障害者がB市 で地域生活することになり、財政負担がB市に重く圧し掛かってしまいます。 この結果、B市で暮らす障害者には十分な時間数が支給決定されにくくなって しまいます。

一方、現在の制度では、障害者支援施設、療養介護、ケアホーム、グループホ ームなどで、居住地特例が適用されています。これによって、居住地の市町村 ではなく、出身地の市町村が支給決定を行い、費用も負担することになってい ます。

しかし、たとえば訪問系サービスの場合、障害者の心身の状態や生活環境を把 握し、適切な支給量を決定することを、遠く離れた市町村が行うのはとても大 変です。
よって、

  • 施設や病院から地域移行した障害者に対する自立支援給付について、居住地 の市町村(B市)が支給決定する。
  • 居住地の市町村(B市)の支給決定に対して、その市町村負担分を、居住地の 市町村(B市)と出身地の市町村(A市)が半分ずつ負担する。

などにより、居住地の市町村(B 市)の財政負担が重くなりすぎることのないよ うにするべきだと考えます。

【尾上委員】
2.で述べた市町村が実際にサービスに要した費用に対して、国・都道府県 が義務的に負担する仕組みにしても、なおかつ、市町村には4分の1の負担が 求められる。そうすると、市町村の人口規模や財政状況によって格差が生まれ てしまう可能性は残る。そのために、例えば、都道府県単位等での基金を積み、 市町村の負担を緩和して、必要なサービス量を支給決定できるように財政的に 支える仕組みが必要である(スウェーデン等では週20時間以上の長時間介護 が必要な障害者は、国全体で集めた財源で賄う仕組みにしている等の例を参考 にして検討が必要である)。

また、長年の入所や入院が中心の政策展開の中で、地域生活に関する支援は 大きな地域間格差があり、未だに是正はされていない。どんな障害があっても、 どの地域でも当たり前に地域で暮らせるようにするために、地域基盤整備のた めの特別立法や計画を策定して、地域生活支援に関して重点的に整備を行って いくことが求められる。

【勝又委員】
地域間格差がどのような状況にあるのか、それがどのような原因で起きている のか、また格差がどのような影響を与えているのか、について十分な情報があ るとは言えない。それらの実態を調査整理して、地方自治との関係で議論を行 うことが重要。
地域間格差はすべて悪と言えるのかどうか、少数のケースだけでの議論は避 けるべき。
地方自治体の実情について客観的な状況の把握が必要。

【門川委員】
→ 国の財政的責任の強化が望まれる。
地域福祉の実施主体が市町村(一部都道府県)であることには、多くの評価 すべき点がある。しかし、財政面については、地域格差が許容限度をはるかに 越える状態にあると言わざるを得ない。
自立支援給付、地域生活支援事業のいずれについても、国の財政的責任をい っそう強化すべきである。

【北野委員】
A.支給決定プロセス4に包摂

【佐藤委員】
地域における大きなサービス格差が生じないよう、国の財政負担を明確にしな がら、地方におけるサービス確保と基盤整備を図ること。援護の実施者であり、 制度の運営者でもある市区町村職員の専門性を高め、地域間格差の解消の一助 とすること。

【関口委員】
事業所の地域間の相互乗り入れと、国による予算配分の調整が必要となる。

【竹下委員】
障害者自立支援法における地域福祉権利擁護事業が地域間格差を拡大した ことは紛れもない事実であるが、自立支援給付であれ、かつての支援費制度で あれ、さらには措置制度の下においても、地域間格差が生じていたことは否定 できない。そうした地域間格差は、自治体(市町村)の積極性や地域における 障害者の運動が影響していたものと思われる。今後は、自治体の財源や積極性 にかかわりなく、障害のある人が必要とし、希望する支援が実施される体制が 整えられるべきであり、そのためには支給量や支援方法などについて審査する 機関が全国共通の制度として設置され、審査機関における審査基準の統一性、 均衡が図られるべきである。

【土本委員】
自立支援法は、一部のサービスについて地方じちたいにせきにんをなげた。
そのため、サービスに差がでている。
国が、せきにんをもってほしょうすること。

【堂本委員】
福祉サービスは、まず各自治体の首長や職員が福祉の重要性を認識し、厳し い財政状況にあっても、財源を確保し、自治体としての役割を果たさなければ ならない。
しかし、地域格差は、それぞれの市町村の財政的な負担力が異なっているこ とも大きな理由と考えられ、直ちに解消することは難しいかもしれない。
そのため、地域の福祉サービス等の市町村間格差に対しては、一定のサービ ス水準を示し、財政的支援を行いつつ、徐々にその水準の確保を図っていくこ とが適当と考える。
例えば、市町村の地域生活支援事業においても格差が生じていることから、 国においては、サービス水準等を示すとともに、十分な財源を確保して支援を 行う必要がある。

【中西委員】
方策はいろいろあるので、事務局内に自立支援の委員会を設置し、協議してい くべきである。

【松井委員】
地域間格差を解消するには、財政基盤やサービス基盤が虚弱な過疎地などの 市町村を広域的に支援できるような仕組みを国が都道府県と密接に連携しなが ら構築する必要がある。

【森委員】
上掲法定サービスメニュー2と同じ

○その他(補足意見等)

【佐藤委員】
その他・追加1 基本的視点

新しい福祉に関する法律は、自立支援法の延長線上で検討するのではなく、従前から 指摘されている家族依存政策や所得保障など、障害分野の基幹課題の解決に道筋をつ ける施策全般にわたる制度改革の一つとして位置付けるとともに、最優先課題とすべ きである。

今般の制度改革は、先進諸国から大きく立ち遅れたわが国の障害者施策を飛 躍的に前進せる契機とすべきであり、そのためにも、障害者権利条約の批准や ILO159号条約の完全実施などの大きな視野から着手すべきである。

(きょうされん政策調査検討素案)

その他・追加2 法体系再編の課題
新しい福祉の法律の制定にあたっては、身体障害者福祉法、知的障害者福祉 法、精神保健福祉法等との関係を整理し、シンプルな法体系としての再編を図 る。
就労保障に関しては、雇用か福祉かという分立した制度ではなく、雇用制度 による労働権の確立を図ることを基本とし、あわせて福祉制度による支援を可 能とした連結施策を講じることが必要である。そのために現行の雇用促進法を 抜本的に改正し、障害のある人の労働及び雇用の権利の実施を義務付けた実定 法としていくべきである。
医療保障に関しては、自立支援医療制度ではなく一般の医療施策に基づく、 障害医療制度としての確立を図る。そのための医療法、医療保険法などの抜本 改正が必要である。

(きょうされん政策調査検討素案)

その他・追加3 自立支援法訴訟の基本合意文書を前提に検討する

 
とりわけ下記の諸点に留意すべきである。
-障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するもの であることを基本とする
-応益負担(定率負担)制度の廃止
-新たな福祉制度の構築にあたっては、現行の介護保険との統合は前提としない
-利用者負担のあり方等に関して原告らから指摘された以下の問題点をふまえる
①支援費制度の時点及び現在の障害者自立支援法の軽減措置が講じられた時点の負担 額を上回らないこと。
②少なくとも市町村民税非課税世帯には利用者負担をさせないこと。
③収入認定は、配偶者を含む家族の収入を除外し、障害児者本人だけで認定すること。
④介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選 択制等の導入をはかること。
⑤実費負担については、厚生労働省実施の「障害者自立支援法の施行前後における利 用者の負担等に係る実態調査結果について」(平成21 年11 月26 日公表)の結果を踏 まえ、早急に見直すこと。
⑥どんなに重い障害を持っていても障害者が安心して暮らせる支給量を保障し、個々 の支援の必要性に即した決定がなされるように、支給決定の過程に障害者が参画する 協議の場を設置するなど、その意向が十分に反映される制度とすること。 そのために国庫負担基準制度、障害程度区分制度の廃止を含めた抜本的な検討をお こなうこと。

(きょうされん政策調査検討素案)

その他・追加4 サービス利用者の参加
現在、身体障害者療護施設で利用者自治会を作ろうとすると施設管理者が圧 力を加えるという苦情がある。
身体障害者日本障害者協議会が1997年に提案した「障害者福祉法への試案」で は、「障害者福祉施設においては、施設を利用する障害者の意見を施設運営に反 映させるために、施設を運営する法人の役員に利用者またはその保護者の代表 を加えること、利用者自治会の結成とその活動を支援すること、苦情処理のた めの第3者機関を設けること、その他効果的な措置をとるよう努めなければな らない。」とした。このような規定を、入所施設・通所施設・グループホーム などに適用すべきである。
オランダのように通所も含めすべての保健福祉サービスの運営者に、利用者 自治会(カウンシル)の設立とその運営への参加を義務付ける法律を持つ国も ある時代である。日本では「措置から契約へ」と変わり自治体からのモニタリ ング機能も弱まった。せめて努力義務を課すことは実現したい。

その他・追加5 よい制度の継続・発展
とくに障害福祉計画、自立支援協議会、ケアマネージメント規定の継続と充 実が必要

その他・追加6 補装具、日常生活用具の制度の見直し
これら福祉用具は障害者の日常生活と社会参加に非常に重要であり、それだ けに全国的な公平な支給を図りつつ、タイムリーに、かつ個別障害者の要望が 反映されやすいようにする必要がある。以下の提言を参考にしてほしい。

 

2010年1月20日

障がい者制度改革推進会議への意見・要望
(支援機器の供給制度についての要望書)

一般社団法人 日本車いすシーティング協会 代表理事 川村 慶

1. 障がい者自身が選び、利用できる制度に
※ 福祉用具の選択権は、障がい当事者(ニーズ中心)であることを法律の最優先事 項として宣言して下さい。
2. 補装具費支援制度の抜本的改正を
※ 現行の補装具給付制度、日常生活用具給付制度を抜本的に見直し、障害者権利条 約と整合する障がい者中心の制度に改正して下さい。
① 重度の障がい者の負担が大きくならない制度とする。
② 医療機関の中間ユーザーや、供給事業者、役所の窓口が供給の補助制度利用の有 無や内容を過剰にコントロールすることのないように障がい者自身の意思によっ て用具を選択できる制度とする。
③ 物に対しての補助制度ではなく、使用する人を支援する制度に改正する。
④ 対象となる用具品目を見直し障がい者自身が必要な機器とサービスをタイムリー に提供できる制度にする。
⑤ 購入後も使用者の継続的な安全が確保されるように、定期的なメンテナンスが可 能な制度とする。
⑥ 福祉用具の普及に対し、わが国と同等の経済力を持つ諸外国と同等のサービスを 提供できる予算を確保する。
3.福祉用具産業が共に発展できる制度に
※自由な競争の中で、供給事業者が適切なサービスが提供できる制度にして下さい。 ※国内の事情に合った制度にすると同時に、グローバルスタンダードとして日本の福 祉用具が世界市場で競争できるように技術やサービスの発展を促す制度にして下さ い。
4.関係当事者による「福祉用具部会」の設立を
※福祉用具は対象者の障害や目的によって様々なニーズがあり、対応する事業者の事 情も異なります。具体的な制度改正案を設計するためには、供給者側からの視点を含 め、長期的視点に立った丁寧な制度設計が不可欠です。
例えば、障がい者当事者団体、障がい児の保護者の会の団体、義肢装具事業者団体、 車いすおよび姿勢保持事業者団体、補聴器事業者団体、福祉用具供給事業者団体、介 護保険に関連する団体や行政関係者等の代表者によって構成する「福祉用具(支援機 器)部会」の早急な開催をお願いします。

その他・追加7 いろいろなサービス利用制限の解消を
施設入所者・病院入院中の障害者がホームヘルプ・ガイドヘルプを利用でき ない、身体障害者がグループホームを利用できない、特別支援教育卒業後直接 に就労継続支援事業B型を利用することはできない、視覚障害者が子どもの保育 所の送迎をする時に移動支援サービスが使えない(家族としての役割の遂行に 使えない)、聴覚障害者用の屋内信号装置は聞え難い困難は変らないのに等級に より補助を受けられない、精神障害者にも行動援護の必要な人がいるなど、合 理的根拠があるのかどうか疑わしい各種の制限があり、解消するか事情によっ て利用できるようにするなどの柔軟化が必要と思われる。

その他・追加8 事業者への費用支払いは月額制を基本とすること
福祉事業の特性から市町村から支払われる費用の大部分は人件費に使われるので、こ れを月額制にすべきである。その際、現行費用支払い体系の各種加算を本体費用に組 み込むとともに、真に必要な事業運営ができる費用単価とすべきである。また、本人 が希望するサービスを組み合わせて利用できるよう、複数事業所による月額費用の案 分または日割り減算等のしくみを構築することにより、複数のサービスが利用できる ようにすべきである。

その他・追加9 障害者総合福祉法を待たずに早急に行うべき事項
第171回通常国会で廃案となった障害者自立支援法改正案について、相談 支援の充実や障害者自立支援協議会の法定化、移動支援事業の個別給付化など、 その内容が現状の改善につながるものに加え、コミュニケーション支援事業の 個別給付化など、早急に実施すべきである。

その他・追加10 障害児のサービスの扱いについて
障害児のサービスのあり方に関する関係者の意向は、原則「児童福祉法」に 位置づけるべきであるというものである。また障害児のサービスは契約制度に よらず、必要なサービスを利用できるしくみとすべきとの意見が強い。
児童福祉法4 条(定義)の「2 この法律で、障害児とは、身体に障害のある児 童又は知的障害のある児童をいう。」を改正し、成人以上に柔軟な支援対象とす べきである。

その他・追加11 多様な関係者の知恵を結集
制度構築にあたっては、障害当事者のみならず、事業者や制度運営にあたる 市区町村の参画を保障すべきである。

その他・追加12 新たな就労支援策を
就労継続支援事業A型の二重契約に代表される矛盾の解消を図るとともに、 福祉と労働の連携を強化し、社会支援雇用(保護雇用)制度の創設、及びジョ ブコーチの個別給付化など新たな就労支援策を構築すべきである。

その他・追加13 利用者負担の上限管理事務加算の見直し
文書のやり取りで現場の事務作業を増やし、税金の無駄遣いとなり、利用者 の主体性も奪っているとの批判がある。利用者自身に負担上限管理の主導権を 持ってもらうような工夫が必要ではないか。

【関口委員】
補充意見・資料
国が進めてきた、入院治療への方向付けと入院している多くの人に謝罪して欲 しい。
自立支援法で、特定医というのがドサクサ紛れでできた。
これは、精神障害者の拘禁をより安易に行うことが出来る制度だが、 このように、入院へのベクトルを強化する施策は、精神障害者は怖い危ないの 風評の元凶である医療観察法とともに廃止すること。
さらに、精神のサービスの水際阻止も近時、多くみられるところである。早急 に実態調査を含む是正措置が取られなければならない。
今自立支援法の中で精神障害者が必要な支援介助がないために精神科病院が抱 え込んでいるわけで(自立支援法のサービスも医療法人系でしているところも ある)、医療保険でするべきではないことを医療機関が行っているという部分 が大きい。
国民医療について
05年で総額は 33.13 兆
うち精神科医療費は 1.89 兆 7.6パーセント (うち入院医療費1.4 兆)
しかし病床数は 総病床数の27パーセント
精神科の入院医療費は少なすぎると考えられる。

精神医療保健福祉 総額 1兆9,300億円
医療約 1兆8,800億円
入院医療 1兆4,000億円
地域生活支援 500億円

医療:地域 97:3 である。

とすると、医療費を倍として、約3.7 兆円としてみると、そのうちの入院医療 費を2 兆 8000 億円とする。その上で病床を半減すれば、 残った約1兆で通院 医療費増加は、4000 億も掛からないでしょうから、どう転んでも 地域生活支援 には 、5000 億は使えるはずで、
今の10 倍になる。

全国「精神病」者集団行動計画添付

大阪精神障害者団体連合会
1.「今後の精神保健福祉のあり方検討報告」を以下の点について徹底して批判してください。
a.精神障害者に対する隔離・収容施策に対する国としての公式な謝罪が存在しない。
「医療観察法」ついて凍結し、見直し論議の中で不必要な法は廃止すること。
b.退院促進事業がなくなり、一般のケアマネージメントの中に吸収されてしまった。
退院促進の対象が、統合失調症・認知症に重点が置かれ、躁鬱・鬱・アルコール依存等の患者 が取り残される可能性が高い。退院促進事業の復活を。同時に病院のケアマネジャーではなく、 あくまで地域施設のケアマネージャーが退院促進のケアマネの軸となること。
c.精神科医療特例の廃止もなければ、精神科病棟の大胆な削減もない。15 万床の病棟を削減す れば、年間5000 億の予算が確保でき、それをもとに病棟のスタッフの倍増・退院促進の推進は 実現できる。7 万人ではなく15 万人の社会的入院者の退院促進を図ること。
d.精神科医療の質を上げていくために、第三者機関による病院訪問・監査活動-オンブズマン事 業が必要である。
e.退院後の住まいの確保の具体策がない。
f.施設コンフリクトに対する人権問題としての国の毅然とした態度が見られない。
g.ピアサポートについて危機からの脱出・退院促進から地域生活支援までの広範な領域とは考え られていない。
h.ホームヘルプについて精神障害者の体調の波や特性を尊重し「見守り」を事業に位置付けるこ と。ホームヘルプ・ガイドヘルプともに給付事業し、本格的充実を図ること。
i.地域生活資源の全国的・本格的拡充をはかること。全国的な格差・市町村格差の解消。
j「医療保護入院」についていまだに今後の検討課題とし、廃止する方向性さえ明らかにされて いない。廃止の方向性を明らかにし、具体的廃止へとむかうこと。

塚本正治

2、 自立の概念・・
「自立」はだれが作った言葉ですか?私たちは懸命に自立して生きています、こ の設問の裏には「障害者は現状に甘えている」という先入観があるように思えてな りません、仮にそれが事実だとしても前提として現実の社会の中で「自立」するこ とが過酷だからに他なりません。
○その他
1、 私たち当事者だけで集まっているグループでは、突き当ってしまった壁をどう切 り抜けるかということをたびたび話し合います、実際には「どう嘘をつくか」が最 大の関心事です。
1、 障害の範囲
範囲は可能な限り広くすべきだと確信します、適用から外れた人とのいさかいが 時々起ります。
○法定サービスメニュー
1,2,3,4、には答えることが出来ません、言えることは「どんな生命でも心安ら かに生きていける社会を望みます。
○支給決定プロセス
1 これは私たち「障害者」に求める設問ではないと考えます。 2、 3、 セルフマネジメント・・・ 私たちは毎日ピアカウンセリング、ピアサポートをしています、これをしなか ったら地域で身を寄せ合って生きる事ができないのです。 4、 不服の場合・・・ 若い人たちについてはよく解りませんが50歳代以上には2つの道があります。 ① 大喧嘩をして乗り越える。 ② 黙って現状に甘んじる。
○地域移行
1、 重度障害者の24時間・・・・ 当然必要です。豊かな人たちのことは知りませんが、私たちの仲間は貧しい人 たちばかりです、24時間介護体制に隙間があると重に家族がそこをうめなけれ ばいけません、長引けば家族は潰れます、だいたい今家族がちゃんとした形をと ることさへできないじゃぁありませんか! 2、地域移行プログラム・・・ 病は中断なく私たちを苦しめています「プログラム」とか「期限」など考えている 暇はありません。 3、 地域移行支援策・・ 法律じゃぁ無いでしょう、現金が今必要なんです。
○利用者負担・・
1、 応益負担・・ 廃止すべき、誰が利益を得ているのでしょうか?国や自治体が利益を得ているとし かおもえません。 2、 負担の有無・・・ 「障害」の有無にかかわらず、市民の医療費は社会全体で支えるべきです。 全国「精神病」者集団 坂根

 

NPO法人 ほっととうがらし
棚谷直巳

1.現行の障害程度区分に基づく国庫負担基準の問題についてどう考えるか
新法では障害者程度区分には「廃止する」ときいています。先の法律の国庫負担基準の問 題についていうと、3つの障害を無理やりに統合したため、障害程度区分において3つの 障害のそれぞれの特殊性への配慮がなされず、かえって統合することによって3障害が差 別をされたと考えていました。特に精神障害者の障害程度区分の基準について障害区分認 定の106項目のうち精神障害に関わる項目が少なすぎて、程度区分5を貰っている人が 1割にも満たない状況でした。精神障害者の障害程度については年金支給においても問題 となっているところですが、貴改革推進会議においては精神障害者の障害の辛さ、しんど さ、欠格条項の存在、圧倒的な入院者、手帳交付を受けていない人が多いこと、等々十分 に議論して、国庫負担基準の問題について3障害平等になるよう考えてほしいと思います。

2.障害者の地域生活のための財政負担の強化についてどう考えるか
具体的な例について話します。精神障害者は初診日において障害年金の権利について誰か らも教えられていないため、無年金者が他の障害者よりも圧倒的に多いです。また、障害 年金の取得基準となる項目には例えば「ナイフを持っていても安全か」と、単に自傷行為 だけでなく、差別的な表記が多すぎると考えます。年金基準の項目について改めて項目を 変更し改善していただきたいと考えます。また無年金者の精神障害者における救済を早急 に打ち出して下さい。

3.地域間格差をどのようになくしていくのか
狭い範囲ですが、宇治市と京都市の場合を比較して論じます。例えばですが、京都市はタ クシー割引チケット市内公共交通機関全てに関して手帳を示せば無料で京都市民は無料で 使えます。ところがその隣の市である宇治市においては、公共交通機関は会社の運営規則 について尋ねると、まだ正式には精神障害者の割引制度については明文化していないそう です。慣例的に半額となっているだけです。また、タクシー割引チケットは配布されてい ません。地域によって公共交通機関の割引においても格差があります。交通機関において はまずJRが身体障害者旅客運賃割引規則をJRが率先して精神障害者にも格差を設けな いことを明白にすることが大事だと思います。
また、京都市内には約25軒以上の気軽に通える精神科、診療所(クリニック)がありま す。ところが宇治市内には診療所は2軒しかなく、逆に病床数が200を越える大規模の 精神病院が3箇所あります。さらに、地域で住む精神障害者をサポートする機関も京都市 内には生活支援センターをはじめ作業所が25箇所以上、障害者自立支援法に移行した施 設も多数あります。が、宇治市は障害者自立支援法に移行した施設が1軒と、移行してい ない施設が2軒のみです。明らかに医療においても福祉サービス事業においても京都市と 宇治市には格差があります。
また、宇治市においては、大病院はケースワーカーが国の基準で急性期医療のための精神 保健福祉士・PSWを設置しているだけなので、地域医療の補填役を無認可小規模作業所 がやっている(急性期患者の病院までの移送、病院デイケアを追い出された人の受け入れ 等)。
対して京都市は、ひきこもりの、自分からは病院に行けない人への訪問医療をしている医 療機関が2軒、他に役割分担として訪問看護をしている生活支援センターが多数あり、医 療につなげています。ここにも大きな地域間格差があります。
さて、これらの地域間格差をどのようになくしていくかの具体的提案ですが、まず宇治市 のように無認可共同作業所はより事業を拡大していけるように公的に支援していくこと、 (ただし作業所ならではのことですが、作業所が急性期の患者さんを移送できるというこ とは、普段の通っている職員が信頼関係をもとに本人を説得してまず受診することを勧め ている、そのことだけをしているのですが、それは作業所ならではの信頼関係であって、 いきなり知らない人のところへ急性期の移送をするということは無理です。逆に言えば作 業所は普段の信頼関係を元に、また医療機関との長年の連携による信頼関係によりそれら が可能になっているということであります。)
地域間格差をなくしていくには最も理想的なことは、国が地方に精神医療を丸投げしてき た歴史によって地域間格差ができてしまった歴史を、国として反省し、国が貧困な精神医 療・精神福祉おの現場に積極的な支援策・財政支援をすることが先決であると考えます。

【長瀬委員】
(障害者自立支援法違憲訴訟)
障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国(厚生労働省)との基本合意文 書及び要望書(2010 年1 月7 日)に基づいて、障害者自立支援法の廃止と総合 的な福祉法制の制定と実施に向けての取り組みを専門部会で開始する際には、 要望書にある訴訟団からの推薦を考慮すべきである。

【久松委員】
○その他①
「コミュニケーション支援(事業)」については、論点が設けられていないが、 項目を作って論じるべきではないか。コミュニケーション支援(事業)は、聴 覚障害者が福祉制度を利用する際に、また社会参加をする場合に必須の事業で あり、関係範囲は全分野にわたる。本来的に双方向であるコミュニケーション にかかるものであり、基本的人権の保障として利用料を負担しないことを求め るべきである。応能負担による仕組みには相容れない。これらのことから、「障 がい者総合福祉法(仮称)」ではなく、「情報・コミュニケーション法(仮称)」 として個別法を新規に制定する必要がある。

  • コミュニケーションの権利性(双方向性)に基づき無料として実施すること
  • 地域格差の解消のための事業の実施主体と財源についての見直し
  • コミュニケーション支援事業が市町村実施となっていることの弊害の一つ に、広域派遣問題がある。このような問題を解決するため、都道府県コミュニ ケーション支援の必須化等、基本的な枠組みを整備する必要がある。
  • 手話通訳士の国家資格化等、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・ 介護員の養成カリキュラム策定と資格認定による人材養成(情報保障水準の向 上)
  • 手話通訳者の公的機関への雇用(同質の住民サービスの享受)
  • 利用分野の拡大(社会的自由の拡大)
  • 利用時間の拡大(24 時間対応)
  • 「情報・コミュニケーション法(仮称)」の整備と関連して、ぞの下支えの ための基盤整備が重要であり、現在38 箇所の設置にとどまっている聴覚障害 者情報提供施設を、障害者計画に基づき一刻も早く全国設置すること

○その他②
生活施設の利用者の状況(年齢や利用理由、支援内容等)の調査を国が責任 を持って実施し、必要な施設整備と専門の職員が配置できるよう適切な措置を 図るとともに、全国規模でのろう重複者の実態調査をおこない、少なくとも都 道府県に一箇所、入所(生活施設)の整備を早急に進めていく必要がある。

〔理由〕
全国でろう重複障害者が利用できる生活施設(入所施設)が他の障害者施設 に比べ圧倒的に少ない中で、地域社会の中で必要なサ-ビスも受けられず自宅 での閉じこもり生活や精神科の病院での社会的入院が余儀なくされている人が 多くいる。厳しい在宅や入院生活で疲弊した人格を取り戻し豊かな人生を歩む (復権)ためにも、コミュニケ-ションや情報保障、集団生活ができる入所施 設の整備が必要である。

○その他③介護保険との関係

  • 介護保険利用者は、1 割の利用者負担制度(定率負担)となっている。65 歳 以上の人たちが生きていくために必要なサービスを受ける際に自己負担があ ることをどう整理するのか。地域の中で暮らすためのサービス利用における介 護保険制度の自己負担について整理しないと、今後障害者関連制度を作ってい くときに幅広い市民の理解が得られにくい。

【土本委員】
自立支援法について

かいごほけんのとうごうに反対してきた こうれしゃがつぎつぎに施設におくられてた とうごうされたらしょうがいのある仲間たちは病院や入所施設からでられなく なる。
いまちいきでくらしている仲間は、いまいじょうにちいきのサービスがうけら れなくなるとゆうことで反対をしている。

区分でつかえるサービスやりょうがかってにきめられてしまうこともある。 本当は どんなこんなんをかかえているか それでサービスをつかえるように していくべきです。

てちょうのはんていくぶんやしょうがいていどくぶんで、つかえるサービスな どをわけて、せいげんするのをやめてほしい。
もっともっと、せいどをつかうがわが、よくわかるようにしてほしい。
仲間たちには、みまもりやこえかけがひつような人もおおく、それがないため にこまったり、ひがいにあっている。

わかりやすいじょうほうもないままにきている。
わかりやすい支援をしていくことです。
けいけんをしてどんなくらしがあるかをしっていくことで、自分でえらんでき めていくこともあります。

施設でくらしたけいけんをもち、グループホームや1人ぐらしをした人たちは みんな施設にはもどりたくないといっている。
それはなぜか。施設には自由がないからという。
自分のおかねなのに自由にもたせないのでジュース1本もかえずにいる人もい る。
外出も年に2回しかないところもある。
毎日かんりされたにっかですごしている。
みんなおなじごはんをたべている。
職員のゆうことをきかないとならない。
ある施設ではかかえこみもある。
外にださないでいる。職員はけいたいをもっているのにそこを利用している仲 間たちはけいたいももたせないでいる。
しっぱいをすることでまなぶこともある。
お金のことでもしっぱいをしながら、とおもいます。
施設では子供あつかいもされている。
せまいへやにもとじこめられている。
かんりは、ぎゃくたいや人権しんがいにつながる。

いまPF 北海道の仲間が24 時間のこうてきかいごをもとめてさいばんをおこし ている。
おにづかさんがさいばんをおこしているが、 おにづかさんだけがよければとゆうことでもなく、じゅうどしょうがいといわ れている仲間たちがひつようでてきせつなサービスがうけられるようにしてい くことにつながっていくことです。さいばんをおうえんをしているさいちゅう です。
自分のおとうともじゅうどしょうがいといわれ、いまも入所施設にはいってい ます。

入所施設について
自分からのぞんで施設にはいった仲間はいない。
そちせいどからずうとはいっている。
おや、ぎょうせいがきめたことを自分たちからきめられずにいた。自由をうば われ、けいけんやたっせいかんもなくすごしているところもある。
施設いがいにくらしのけいけんしたこともない。けいけんもしていないのに、 どこですむかをえらべとゆわれても、えらびようがない。ちてきはそうぞうす ることにこんなんをかかえている。

ちいきですむことは まずはじゅうどといわれている仲間たちをすめるように なれば、つぎからつぎへとちいきにすめるようになる。
入所施設はすべてかいたいできる。

「いままでは 自分たちのいけんをきかずにやってきたのですが こんどこそ 自分たちのおもいをとうしてわたしたちにかんすることをきめるときにはかな らずわたしたちのいけんをきいてからきるようにこれからもそうゆうことをし ていきたいです。」
わたしたちの仲間たちは、いきていくうえでさまざまなひつようとするてきせ つな支援がひつようです。

2010年2月5日(金)
ピープルファースト北海道 土本秋夫