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日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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第30 回障がい者制度改革推進会議(H23.2.14)
小川榮一委員提出資料

2009.4.15

障害者基本法の改正に関する 日本障害フォーラム(JDF)の見解(抜粋)

1.障害者権利条約の批准にあたって

 「障害者権利条約」は、2007 年9 月28 日に日本政府が署名し、現在、批准に向けて、障害者及び その関係者をはじめとして、国民的な規模で、議論が行われているところである。
日本障害フォーラム(以下「JDF」という。)では、「障害者権利条約」の実現に向けて、2002 年の 第1 回国連特別委員会からNGO 代表団を延べ約200 人送るとともに、国内においては、政府との継 続的な意見交換、また超党派による「国連障害者の権利条約推進議員連盟」と、同条約制定に向けて 協力をしてきたところである。これら一連のJDF の行動は、障害者の人権の保障と尊厳の尊重並びに 障害者差別禁止法の制定を目指したものである。
JDF は、「障害者権利条約」の署名後も、その批准に向け、政府と度重なる意見交換会を行うとと もに、各地域において地域フォーラム等を開催し、広く啓発活動を行ってきた。
一方、国内においては、千葉県の「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」や 北海道の「北海道障がい者及び障がい児の権利擁護並びに障がい者及び障がい児が暮らしやすい地域 づくりの推進に関する条例」の制定をみた。
「障害者権利条約」の理念は、その前文に述べられているように「すべての人権及び基本的自由が 普遍的であり、不可分のものであり、相互に依存し、かつ、相互に関連を有すること並びに障害者が すべての人権及び基本的自由を差別なしに完全に享有することを保障すること」にあり、すなわち、 “障害者は権利の主体であること”、そして“障害者に対する差別は禁止されなければならないこと” の2 点に、その基本理念が集約されていると考えられる。
現在、「障害者基本法」が施行後5 年の見直しを迎え、政府は、同法の改正に併せ、「障害者権利条 約」の批准を進めていると考えられる。JDF は、一日も早い「障害者権利条約」批准を願っている。 ただし、批准に関しては、同条約の規定と国内障害者関連法制等との整合性に配慮しつつ、障害当事 者をはじめとして、国民の意見を充分に取り入れ慎重に検討していくことを望むところである。
そして、この立場からいえば、「障害者基本法」改正に臨む基本的視点は、“障害者を権利の主体と 位置づけ、施策の客体に限定しないこと”並びに“障害者の差別を禁止する法的整備を行うこと”等 にあると考えられる。
従って、まず“障害者を権利の主体と位置づける”という基本理念の視点から、「障害者基本法」の全 文の見直しを行うべきである。
“障害者の差別を禁止する法的整備”に関しては、今回の「障害者基本法」の改正とは別途、十分 な検討を経て行うべきと考えるが、今回の「障害者基本法」の改正の際には、法律創設を担保する規 定を明記するべきである。
なお、各種の障害者関連法制等は、「障害者基本法」の改正と併行して、引き続き整備を行っていく必 要がある。
 JDF は、「障害者基本法」の改正のみを、「障害者権利条約」の批准の条件であるとは考えない。た だし「障害者基本法」の改正は、条約の精神や内容を十分に踏まえて行うとともに、条約批准の主な 要件のひとつとすべきである。
このような経過を経て、JDF は「障害者権利条約」の批准の実現を願うものである。

以上

障害者基本法改正の基本方針(視点)

1.障害者基本法の改正のみを、障害者権利条約の批准の条件としないこと。ただし、基本法の改正 は、条約の精神や内容を十分に踏まえて行うとともに、条約批准の主な要件のひとつとすること。
2.障害者基本法の改正とは別に、障害者差別禁止法(仮称)を創設すること。 3.障害者差別禁止法(仮称)の創設時期は、障害者基本法の改正後3 年以内とし、障害者基本法改 正の条文として明文化すること。
4.障害者基本法の主な改正事項
(1)障害者を「権利の主体」に位置づけた規定とし、「施策の客体」に限定しないこと。
(2)障害者差別禁止法制への道筋となる規定を設け、担保すること
(3)障害者基本法で改正する事項と、障害者差別禁止法(仮称)に規定する事項を分けること。
(4)虐待防止については、障害者基本法の中に差別禁止と同様に規定すること。
(5)第2 条の定義は、障害者権利条約の規定を考慮し、障害が態度及び環境の障壁との相互作用か ら生じるという観点を含めること。
(6)差別の定義を明確にすること。
 ・直接差別、間接差別、合理的配慮の欠如、差別の積極的是正措置等に言及。
(7)監視機関(モニタリング)は計画策定機関(中障協)と、分離して設置し、障害者基本法の中 に規定すること。
(8)救済機関と監視機関(モニタリング)は分離し、救済機関については、障害者差別禁止法(仮 称)の中に規定すること。
(9)障害者基本法に規定されていない事項について、規定を追加し整理すること。
(10)同法で規定されている事項で適切でないものは明確にすること。
 ・障害者の福祉に関する施策→障害者に関する施策へ訂正など
(11)その他

以上

障害者施策推進本部の組織

       本部会議
       本部長 内閣総理大臣
       副本部長 房長官
       内閣府特命担当大臣
      (障害者施策)
       本部員 すべての国務大臣

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     |       |         |
     |       |         |
     |       |         |
     |       |         |

参 与
(有識者)
       ↓    幹事会
各省庁の事務次官

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             |     
             |     

障害者施策推進課長会議
(各省庁の課長級職員)

             |     
             |     
             |     

各課題別推進チーム
(主要関係省庁の職員等)

出典 内閣府:http://www8.cao.go.jp/shougai/honbu/taisei.html


障害者施策推進課長会議の設置について

平成16 年3月29 日 本部長決定
平成16 年4月 1日 一部改正
平成17 年10 月1日 一部改正
平成19 年3月23 日 一部改正
平成19 年5月22 日 一部改正
平成19 年7月1日 一部改正
平成20 年8月1日 一部改正

1 障害者基本計画に沿った障害者施策の総合的かつ効果的な推進を図る ため、障害者施策推進本部に障害者施策推進課長会議(以下「推進会議」 という。)を設置する。

2 推進会議の構成員は、別紙のとおりとする。

3 推進会議に、総合的に対応すべき重点課題を効果的に推進するため、 内閣府及び当該課題の主要関係省庁の職員並びに有識者により構成され る課題別推進チームを設けることができる。

4 推進会議の庶務は、関係省庁の協力を得て、内閣府政策統括官(共生 社会政策担当)において処理する。

5 前各項に定めるもののほか、推進会議の運営に関する事項その他必要 な事項は、議長が定める。

(別紙)

○議長

内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(障害者施策担当)

○構成員

警察庁長官官房総務課企画官
金融庁総務企画局政策課長
総務省大臣官房企画課長
法務省人権擁護局人権啓発課長
外務省総合外交政策局人権人道課長
財務省大臣官房企画官
文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長
厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課長
農林水産省経営局人材育成課長
経済産業省経済産業政策局参事官(産業人材政策担当)
国土交通省総合政策局安心生活政策課長
環境省大臣官房総務課長
防衛省大臣官房文書課長

出典:内閣府:http://www8.cao.go.jp/shougai/honbu/secchi_h16.html


障害者施策の在り方についての検討結果について(抜粋)

平成20年12月26日
障害者施策推進課長会議

 平成16 年6月に障害者基本法の一部を改正する法律(平成16 年法律第80 号)が公布さ れ、同法附則第3条においては、「政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法 律による改正後の規定の実施状況、障害者を取り巻く社会経済情勢の変化等を勘案し、障 害者に関する施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる ものとする。」と規定されたところである。
 平成21 年6月には、上記改正後5年となることから、障害者施策推進本部の下に設置 された当会議においては、本年6月から、この規定を踏まえ、
①これまでの障害者施策が障害者基本法の趣旨及び規定どおりに実施されてきたか。特 に、障害者基本計画(平成14 年12 月24 日閣議決定)及び重点施策実施5か年計画(平 成14 年12 月24 日障害者施策推進本部決定)に基づく施策は計画どおり実施されてき たか。
②施策の実施状況を踏まえ、障害者施策にはどのような課題があるか。また、どのよう な措置が必要となるか。
③障害者の権利に関する条約(仮称)の締結に際して、障害者基本法に関しどのような 措置が必要となるか。
の各視点から検討を行ってきた。これらの検討に当たっては、障害のある人又はその御家 族等延べ46 の個人及び団体からの意見聴取を行うとともに、中央障害者施策推進協議会 及び障害者施策推進本部参与会において御議論をいただいた。
以下は、当会議における検討の結果を取りまとめたものである。

1.障害者基本法の実施状況等

 障害者基本法の実施状況等については資料1のとおりであり、我が国の障害者施策は、 以下のとおり、法制面、予算面での各種取組等を通じて、障害の有無にかかわらず、国民 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の実現に向けて着実に推進されて きている。
 今後とも、障害者基本計画及び新たな重点施策実施5か年計画(平成19 年12 月25 日 障害者施策推進本部決定)等に基づき、障害者施策の総合的かつ計画的な推進を図るもの とする。(中略)

3.障害者権利条約の締結に際し必要と考えられる障害者基本法の改正事項

 平成19 年12 月に策定された新たな重点施策実施5か年計画においては、「障害者権利 条約の可能な限り早期の締結を目指して必要な国内法令の整備を図る」こととしている。
 障害者権利条約においては、障害を理由とする差別の定義として「合理的配慮の否定」 という新たな概念を含むことが規定されるとともに、障害のある人等の関与・参加の下、 条約の実施の促進、保護、監視を行う枠組み等を設けることを求めている。
 一方、障害者基本法においては、障害を理由とする差別の禁止に係る基本的理念、国・ 地方公共団体及び国民の責務等が規定されている。
 当会議においては、障害者権利条約の締結に際し、障害者基本法について、どのような 措置が必要となるか検討し、その結果、同条約の締結に際し必要と考えられる改正事項を 以下のとおり整理した。

(1)差別の定義を新たに設け、差別について類型的に記載する。
(2)(1)の定義においては、「合理的配慮の否定」が差別に含まれることを明記する。
(3)基本的理念として規定された差別の禁止について、(2)を踏まえたものとする。
(4)国及び地方公共団体の責務として規定された差別の防止について、(2)を踏まえ たものとする。
(5)国民の理解のために、(1)及び(2)において定義された差別に該当するおそれ のある事例を国が収集し、公表することとする。
(6)国民の責務における差別防止の努力について、(2)を踏まえたものとする。
(7)中央障害者施策推進協議会について、障害者基本計画の作成及び変更の際の意見聴 取に加えて、障害者施策に関する調査審議、意見具申及び施策の実施状況の監視等の 所掌事務を追加する。
(8)中央障害者施策推進協議会について、関係行政機関に対する資料提出等の協力の要 請ができることとする。

 なお、障害のある人等からの意見聴取において、障害者基本法の改正に関し、 下表3に掲げる御意見をいただいている。これらの意見の中には、障害者権利条 約の締結に当たって必要と考えられる改正事項(上述の(1)~(8))には該 当しないものも含まれている。

(中略)

表3 障害者基本法に係る障害のある人等からの意見

障害者の定義 ・障害者権利条約の規定を十分に考慮し、障害がすべての種類の機能障害に 関連するもので、態度及び環境の障壁との相互作用から生じるという観点 を含めること。
・発達障害を明確に位置付けること。
差別の定義 ・合理的配慮について、あらゆる分野に関わる重要な概念として、明確な定 義づけを行うこと。
基本的理念 ・「すべて障害者は、あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられる」(第 3条第2項)は恩恵的な規定であるので、「あらゆる分野の活動に参加す る機会が確保されなければならない」と変更すること。 ・障害者の差別禁止については、障害者基本法の差別禁止条項の見直しに留 まらず、裁判規範性を持つ独立した「障害者差別禁止法」を制定すること。
国及び地方公共団体の責 務、国民の責務 ・国及び地方公共団体の責務として、事業者が合理的配慮を実施することが できるための財政的支援を含む必要な措置を行うことを明記すること。 ・事業者の責務として、合理的配慮の提供を含む必要な施策、支援を義務付 ける規定を明記すること。
施策の基本方針 ・第8条第2項の「可能な限り」を削除し、原則として、地域生活を送るに 当たって必要なサービスや支援を受けることができるようにすること。
医療・介護等 ・在宅生活を希望する場合には、それに必要なホームヘルプサービスがきち んと利用できるように、支給決定とサービス提供基盤の両面で条件整備を 行うことを明記すること。
・本人の意向に反して、ケアホームや入所施設などの特定の生活様式を強い られることがないようにすることを明記すること。
職業相談、雇用の促進等 ・雇用に関するすべての事項に関する差別の禁止と、苦情手続等による権利 保護に関する措置の必要性を明記すること。
・作業所や授産施設等から一般雇用への移行を図るための適切な措置の必要 性を明記すること。
・小規模作業所に対する支援について規定すること。
情報の利用におけるバリアフリー化 ・手話を言語として位置付け、言語的な処遇を行うこと。 相談等 ・障害者権利条約ではすべての障害者に法的能力を認めることとなっている ことを踏まえ、成年後見制度に係る規定(第20 条)を削除すること。 ・差別等を具体的に救済する独立した人権救済機関の設置について明記する こと。 障害の予防 ・障害はあってはならず、治療しなければならないものという障害観が色濃 く反映されているので、「障害の予防に関する基本的施策」(第3章標 題)、「早期発見及び早期治療」(第23 条第2項)を削除等すること。
障害者施策推進協議会 ・障害者施策推進協議会の位置付けと役割、当事者参画について、障害者権 利条約上の独立した仕組みによるモニタリングの役割を担うため、特別の 機関を内閣府に設置すること。
その他 ・障害者施策の策定とその評価は、一般国民の生活実態との比較が可能とな る障害者の生活実態調査を踏まえて行われるものとすることを明記する こと。

 以上の検討結果を踏まえ、当会議としては、障害者基本法について、障害者権利条約 の早期締結に向け、3.(1)から(8)までに掲げる改正事項を盛り込むことが適当と 考える。
 障害者基本法は、これまで議員立法によって制定・改正がなされてきたところであり、 今後、国会における障害者基本法の見直しに向けた議論を注視しつつ、必要な協力を行 っていくこととする。