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公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会

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障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

Enjoy Daisy 読めるって楽しい!

公益財団法人日本リハビリテーション協会は国際シンボルマークの取扱いを行なっています。

障害者福祉の総合月刊情報誌『ノーマライゼーション』発売中

マルチメディアDAISYのCD-ROM付き絵本『赤いハイヒール』発売中

障がい者制度改革推進会議
第30回(H23.2.14)参考資料

わかりやすい第二次意見作業チーム提出資料

障害者制度改革推進のための第二次意見
法律や制度をより良いものにするための第二次意見 わかりやすい版
(案)

1.障がい者制度改革推進本部・推進会議とは?
 「障がい者制度改革推進本部」(つぎからは、「推進本部」といいます)は、 総理大臣をトップに、全部の大臣をメンバーとして、内閣(国の行政を行う ところ)に平成21 年(2009 年)12 月につくられました。推進本部の目的は、 日本の法律や制度を国連の「障害者の権利条約」の考え方に合わせて変えて いき、日本の障害のある人が暮らしやすくすることです。

 国連の「障害者の権利条約」とは、障害のある人の権利を守るという国の 約束です。障害者の権利条約は、「私たちに関係することを決める時は、必ず 私たちの意見を聞いて決めること」(英語でいうと:Nothing about us without us)という考え方にもとづいて、日本人を含む、世界の多くの障害のある人 が参加してつくられました。

【写真】国連障害者の権利条約特別委員会の政府代表団に顧問として加わって いた東俊裕障がい者制度改革推進会議担当室室長(右端)

 この推進本部が、障害のある人と、家族や支援者など障害のある人を支え る人の思いをまとめて、改革を実現するためにつくったのが、「障がい者制度 改革推進会議」(つぎからは「推進会議」といいます)です。推進会議には全 部で26 人が参加しています。半分以上は、障害のある人の代表です。例えば、 知的障害のある人、精神障害のある人、車椅子を使う人、目が見えない人、 手話を使う人、耳が聞こえづらい人などさまざまです。また、推進会議の担 当室長にも、障害のある人がなっているのは大切なことです。

 推進会議は、平成22 年(2010 年)の1 月から6 月まで、全部で14 回の会 議を開き、これからの日本の障害のある人に関係する「法律や制度をより良 いものにする方向性」についての「第一次意見」をまとめました。

【写真】菅直人総理大臣に第一次意見を手渡す小川榮一推進会議議長

 さらに推進会議は、平成22 年(2010 年)6 月から12 月まで全部で15 回の 会議を開いて、主に新しい障害者基本法の考え方について第二次意見をまと めました。これは障害者基本法を平成23 年(2011 年)に見直すと、第一次意 見に書かれているためです。

2.情報バリアフリー・情報支援の大切さ

 推進会議には、さまざまな障害のある人がいます。
会議の内容を理解して、自分の考えていることを発言するために、いろい ろな支援があります。
 たとえば、知的障害のある人には、支援者がついています。会議の資料に は、ふり仮名がつけられています。また会議の中で、むずかしいことばが使 われたり、今、何が話されているかわからないときには、「イエローカード」 (下の写真を見てください)を使って、議長に伝えることができます。耳が 聞こえなくて、話されていることがわからない人のためには、パソコンを使 って、何が話されているかを字幕にする人(筆記者)がついています。  目が見えなくて、耳が聞こえない盲ろう者には、指に点字を打つ通訳者が ついています。また、手話通訳者がいます。手話通訳者は、手話ができる人 と、手話ができない人がお互いに理解することを手助けしてくれる人です。
 こうした、いろいろな障害に応じた対応(「合理的配慮」といいます)は、 全員が会議に参加するためには欠かせません。
 推進会議の様子は内閣府のホームページ(注)の動画でも見られるように なっています。動画にも字幕と手話があります。是非、ご覧ください。

※パソコンを持っていない、使うことがむずかしい人は、住んでいる街の役 所などに相談してみてください。

【写真】推進会議で土本秋夫構成員がイエローカードを出している様子

(注)内閣府障害者施策ホームページ
http://www8.cao.go.jp/shougai/index.html

3.障害者基本法の改正について

1 障害者基本法改正の趣旨・目的(障害者基本法をより良く、新しくするため の考え方)

1)個性と人格を認め合うインクルーシブ社会の構築
一人ひとりの個性を認め、障害がある人とない人が分けられない社会 をつくります。

2)障害概念を社会モデルへ転換、基本的人権を確認
障害についての考え方を、障害者が大変な思いをするのは社会に問題 があるという考え方(社会モデル)に変えます。また、何が障害のある 人の基本的な人権かはっきりとさせます。

3)施策の実施状況を監視する機関の創設
障害のある人に関係する法律や制度をチェックするための機関をつく ります。

2 総則関係(全体に関係する考え方)
障害者基本法の改正について、次のことを政府に求めます。

1)目的(目指すこと)
障害があってもなくても、個性を大切にする社会を目指します。

2)障害の定義(障害とは何か)
社会モデル(障害者が大変な思いをするのは社会に問題があるという 考え)に基づいて、障害を説明します。

3)基本理念(基本的な考え方)
障害のある人は障害のない人と同じ人権を持っていて、大切な人間と して認められます。そして、人間らしい生活をする権利があります。
障害のある人は、障害のない人と同じように、地域で生活する権利が あります。そのことは、障害者の権利条約にも書かれています。
支援が必要な場合は支援を受けながら、自分で決めて、社会の様々な 活動に参加する権利があります。
声を使わないことばである手話や、点字、指点字、触手話、要約筆記、 わかりやすいことばなどは必要なコミュニケーションの方法です。これ らを使って気持ちや意見を自由に言う権利があります。

4)差別の禁止(差別を禁止する)
障害を理由とする差別に関係する法律や制度を見直します。
どういうことが差別なのか、またどうすれば差別をなくせるかについ て情報を集め、誰でも知ることができるようにします。

5)障害のある女性
障害があることと、女性であることの両方で暮らしづらい思いをして いる障害のある女性のことを考え、障害のある女性の権利を守ります。

6)障害のある子ども
障害のある子どもは、障害のない子どもと同じように、「思ったり、 感じていることを表現する権利」などの人権を持っていることを認めま す。また、地域の中で、障害のある子どもや、家族に必要な支援をしま す。

7)国及び地方公共団体の責務(国と都道府県市町村の責任)
国と地方公共団体(都道府県市町村)は、障害のある人が地域で暮ら し、社会の活動に参加するために必要な支援をする責任があります。ま た、国と地方公共団体は、合理的配慮(本人の障害に応じた対応)がな いなど、障害を理由とする差別をなくす責任があります。

8)国民の理解・責務(みんなが理解することと、みんなの責任)
障害のある人もない人も同じ権利を持っているということを、国民が 理解できるようにします。
障害があってもなくても、国民がお互いの権利を大切にするようにし ます。
会社や職場、学校などに障害のある人の権利を守り、障害のある人が 様々な場面で活躍できるよう努力させます。

9)国際的協調(国を超えた協力)
障害のある人の権利を守るために国を超えて協力します。

10)障害者週間(障害のある人についての週間)
障害者週間では、障害のある人が弱く守られるべき人ではないことを 伝え、障害のある人の社会の活動への参加を進めます。障害者団体など、 民間団体に協力してもらいます。

11)施策の基本方針(障害のある人についての法律や制度が目指す方向)
障害のある人のための法律や制度は、障害のある人の自立と社会参加 をむずかしくしている社会の問題をなくすために、つくります。女か男 か、何歳か、どんな障害を持っているかに注意して、暮らしていて困る ことがなくなるように支援します。
障害者の権利条約が認めている、障害のある人が、障害のない人と同 じように、地域で生活をする権利のために、必要な法律や制度をつくら なければなりません。
障害のある人に関係する法律や制度をつくったり実施する時、障害の ある人の意見を大切にします。

12)その他
国や地方公共団体が、障害のある人のために何をしていくのかを書い たもの(障害者基本計画や都道府県市町村障害者計画)をつくるときは、 障害のある人が参加します。
障害者基本法に書かれたことを実行するために、差別を禁止する法律 など必要な法律をつくったり、必要な政府のお金(予算)を用意します。
障害のある人の暮らしがどうなっているのかや、障害のある人に関係 する法律や制度についての報告書を毎年、国会に出します。

2 基本的施策関係(基本的な法律と制度)
 次のことを政府に求めます。

1)地域生活(みんなと一緒にまちでくらす)
 地域で暮らす権利を実現するために、親や家族だけにたよらなくても 自分が望む必要な支援が受けられるよう法律や制度をつくります。障害 のある人が施設や病院ではなく、地域で暮らせるように支援を増やしま す。
 支援にお金を一部払う場合でも、家族の収入を含まないで、自分の収 入だけに合わせて決めます。

2)労働と雇用(はたらく)
 障害のある人は労働者としての権利が守られ、はたらく場で必要な支 援や合理的配慮(本人の障害に応じた対応)を受けながら、暮らせるだ けの給料がもらって働けるように法律や制度をつくります。
 障害のある人がさまざまな仕事をできるように法律や制度をつくりま す。
法律で決められている障害のある人を雇う義務を、身体障害と知的障 害以外の障害にも広げるための法律や制度をつくります。

3)教育(学校と勉強)
 障害のある子どももない子どももいっしょに勉強する制度(インクル ーシブ教育制度)をつくります。
 どの学校、学級で勉強するかを決める時に、本人や保護者の気持ちに 従います。
 障害のある子ども一人ひとりに必要な支援や、合理的配慮(本人の障 害に応じた対応)を提供するための法律や制度をつくります。

4)健康、医療(健康と病院)
 障害のある人の権利を守って、必要な病院に行けたり、医者に診ても らえるように法律や制度をつくります。
 身近な場所で必要な時に病院に行ったり、医者に診てもらえたり、支 援が受けられるようにする法律や制度をつくります。
 難病(治すのがむずかしい特別な病気)の調査や研究を進めます。

5)障害の原因の予防(障害の原因となることをなくす)
 障害が悪いことだと感じられる言い方や書き方はしません。
 障害の原因をなくすことは、みんなの健康を守るための法律や制度の 一部として行います。

6)精神障害者に係る地域移行の促進と医療における適正手続の確保(精神 障害のある人が地域で暮らせるようにして、望まないのに入院させられる ことがないようにする)
 地域で受け入れる支援がないために、精神障害のある人が必要もない のに精神病院に入院していること(社会的入院)を、支援を増やすこと によってなくし、地域で自立した生活ができるようにする法律や制度を つくります。
 本人が望まない医療を受けさせるときでも、本人の権利が守られる制 度をつくります。

7)相談等(困ったときに、相談できる)
 障害のある人がそれぞれわかりやすい方法で、身近なところで、困っ たことや心配ごとを相談できるように、法律や制度をつくります。
 障害のある人や家族などに研修をして、障害のある人や家族などが相 談を受けられる制度をつくります。

8)住宅(住むところ)
 障害のある人が施設・病院や親・家族から離れて、自分で選んだ地域 での生活をするために、住宅(住むところ)が見つかるようする法律や 制度をつくります。

9)ユニバーサルデザインと技術開発(すべての人に使いやすく、わかりや すくする)
 様々な道具や建物・設備、サービスが、障害のある人を含めてすべて の人に使いやすく、わかりやすくしていくことがユニバーサルデザイン です。すべての法律や制度に、ユニバーサルデザインの考え方を入れる ようにします。
 障害のある人を支える道具や機械をもっといいものにするために、法 律や制度をつくります。

10)公共的施設のバリアフリー化と交通・移動の確保(みんなが使う建物と 乗り物をバリアフリーにする)
 都会でも地方でも、みんなが使う建物や交通機関をバリアフリーにす ることが必要です。
 障害のある人が建物や交通機関を使うとき、合理的配慮が受けられる よう法律や制度をつくります。

11)情報アクセスと言語・コミュニケーション保障(情報を得ることと、こ とば、コミュニケーション〔気持ちを伝えること〕の方法が用意されるこ と)
 障害のある人が、情報を知り、理解するためには、手話や、点字、指 点字、触手話、要約筆記、わかりやすいことばなど、様々な方法が必要 です。こうした支援や方法が利用できるように、法律や制度をつくりま す。
 特に、地震や津波、台風、洪水などの災害が起きたときには、障害の ある人に情報が伝わるように、法律や制度をつくります。

12)文化・スポーツ(文化とスポーツ)
 障害のある人が文化(テレビ、映画、本、美術、音楽、ダンスなど) やスポーツを楽しんだり、参加したりできるように、法律や制度をつく ります。

13)所得保障(暮らすためのお金)
 障害のある人が地域で生活できるように年金や手当を増やし、障害が あることで支払わなければならないお金は少なくなるように、法律や制 度をつくります。

14)政治参加(投票したり、立候補する)
 障害のある人が、障害のない人と同じように投票したり、立候補する ために、必要な支援や配慮が受けられるよう、法律や制度をつくります。
 選挙の時に、障害のある人に必要な情報が伝わり、投票できるような 法律や制度をつくります。

15)司法手続(裁判と捜査、刑務所)
 障害のある人が逮捕されたり、裁判に出たりするときに、必要な情報 を知らされ、必要なことを言えるようなコミュニケーションの方法(手 話や、点字、指点字、触手話、要約筆記、わかりやすいことばなど)が 用意されるよう、法律や制度をつくります。
 また、警察官や刑務官(刑務所ではたらく人)などが障害のある人の ことを理解できるように、研修を行うための法律や制度をつくります。

16)国際協力(国を超える助け合い)
 国は、外国の障害のある人のために、外国の政府や国際機関、様々な 民間団体と協力するための法律や制度をつくります。
 障害のある人たちに関係することを含め、様々な国際協力活動に障害 のある人が参加できるよう、合理的配慮を用意し、バリアフリー化を進 めなければなりません。

4.推進体制(障害のある人のための法律や制度をより良くするための仕組み)

 中央障害者施策推進協議会と推進会議を合わせて、新しい審議会を内閣府 につくります。その審議会の委員の半分以上は障害のある人とします。
 この新しい審議会は、障害者基本計画や障害のある人に関係する制度や法 律について調べたり、話し合います。また、どのように法律や制度が実施さ れているか、チェックするのも仕事です。審議会の質問や注意に役所は必ず 返事をしなければなりません。

 新しい審議会は、集中して改革するための期間が終わる、平成26 年(2014 年)終わりまでは、制度改革についても調べたり、話し合います。

 新しい審議会は仕事をするために、他の役所や団体に協力を求めることが できるようにします。手話や、点字、指点字、触手話、要約筆記、わかりや すいことばなど、必要な情報を知ることができるようにするなど、審議会の 委員が仕事をしっかりとできるようにします。

 都道府県市町村の審議会は、委員の半分以上は障害のある人とし、障害の ある人に関係して都道府県市町村が行うことをチェックすることも仕事とし て追加します。

「障害」の表記(「障害」をどのように書くか)

 「障害」を、どのように書くかについて、いろいろな意見があります。法 律では当分の間、「障害」と書き、集中して改革するための期間が終わる、平 成26 年(2014 年)終わりまでにどうするか決めます。