音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ


WWW を検索 サイト内を検索 Google

メールマガジン登録

公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会

障害者情報ネットワーク

日本障害者リハビリテーション協会の活動にご支援をお願いします。(ご寄付)

JDF東日本大震災被災障害者総合支援本部

被災者生活支援ニュース(厚生労働省)

マルチメディアDAISY(デイジー)で東日本大震災に関わる情報を

障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

Enjoy Daisy 読めるって楽しい!

公益財団法人日本リハビリテーション協会は国際シンボルマークの取扱いを行なっています。

障害者福祉の総合月刊情報誌『ノーマライゼーション』発売中

マルチメディアDAISYのCD-ROM付き絵本『赤いハイヒール』発売中

障がい者制度改革推進会議 資料5 第37回(H24.1.23)

南相馬市 提出資料

第37回障害者制度改革推進会議資料 南相馬市

1.「災害時要援護者」に対する取り組みについて

(議論のポイント)

・現行の取り組みの実効性について

南相馬市の「災害時要援護者名簿」は、高齢者・障害者(要介護度3以上、身体障害者手帳1~2級、療育手帳A)を対象に、個人情報について同意の得られた方(66.94%)を対象に策定し、4,280人の登録がある。

この計画は、民生委員、区長、消防団等に配布してあるが、今回の震災では地域全員の市民が避難となったため、機能しなかった。

・避難計画策定や訓練への障害者団体の参画と連携について

南相馬市防災計画が策定されており計画により毎年南相馬市防災訓練が実施されているが避難計画策定や訓練には障害者団体に対しての呼びかけは行っておらず、障害者団体との連携はなかったのが現状である。

・要援護者名簿の作成について(対象者の範囲の設定、プライバシー保護等)

対象者の範囲については、目的外利用も考慮し、高齢者・障害者等の範囲としプライバシー保護については、平時は、個人情報保護法等により個人情報が強く守られているので、現行法体系の中では、同意の得られた方のみとした。しかし、今回の災害を受けて、高齢者や障害者等要援護者全員を対象とした要援護者名簿の必要性を強く感じる。

・個別支援計画の在り方について

災害時においては、安否確認が必要であるが、確認時に個別支援の必要な方も出てきており、このことからあらかじめ個別支援計画の策定が必要である。今回のJDFによる調査により得られた、支援の必要な方の情報については、南相馬市で委託する相談支援事業者等と情報を共有し対応する考えである。

2.安否の確認と支援ニーズの把握について

(議論のポイント)

・安否の確認と支援ニーズの把握の責任主体とその体制について

災害時における安否の確認や支援ニーズの把握は、市民の生命と安全を守ることから行政の責任と考える。しかし実施にあっては、障害団体や事業所等と連携し速やかに行動する体制を構築していくことが必要である。

・福祉関係者による確認と行政との連携について

・情報開示について

NPO法人さぽーとセンターぴあ、JDF被災地障害者支援センター福島から開示要望があり、「緊急やむを得ないため開示ができないか」という観点から個人情報の開示について検討した結果、南相馬市個人情報保護条例の特例を適用し「障害者の生命、身体及び財産」を守るため開示することが適当との判断により開示した。

・入所、通所、ホームヘルプ等、福祉サービス利用者の安否確認について

入所、通所サービス利用者等の障害福祉サービス利用者については、それぞれの事業所で確認を行ない避難を行ったが、ホームヘルプ等利用者等個人利用者や在宅障害者についてはは当初確認できなかった。

・上記サービスを利用していない障害者の安否確認について

サービスを利用していない障害者のうち、身体・知的障害者については情報開示を行いNPO法人さぽーとセンターぴあ、JDF被災地障害者支援センター福島の支援協力により590名の安否確認を行なった。

精神障害者については、精神通院医療受給者を対象に市や県の保健師が精神科治療の継続がなされているかどうかという切り口で、235人(27.7%)対象に安否確認をおこなった。

3.災害直後における障害者支援の仕組みの在り方について

(議論のポイント)

・避難所の在り方について

・一般の避難所の課題

一次避難所は、学校の体育館等がほとんどであり、身体障害者用のトイレがない所や段差があり、バリアフリーとなっておらず障害を持っている方に対応できない避難所が多く課題となった。

・福祉避難所の課題

南相馬市では、障害者や高齢者に対応できる福祉避難所を設けていなかったことから今後福祉避難所を設けることが課題となっている。

又福島県としても制度がなかったことから県内避難者が体育館等に避難を余儀なくされ避難者が適応できなく自宅や親戚等に移動している状況にあった。今回の災害により国、県等が主体として広域的に制度として福祉避難所の指定が必要である。

・緊急避難時における障害者支援について

・避難所における情報提供、支援物資の提供

避難所にテレビ・インターネット環境を設置するとともに、広報等各種情報紙等により情報提供を行なった。また、食事の提供や布団等の生活支援物資の提供を行なった。

・在宅避難者における情報提供、支援物資の提供

在宅避難者に対しては南相馬市FM局を設置し災害関連情報を提供するとともに、広報等各種情報紙等により情報提供を行なった。また、在宅者には、不定期ではあるが米等の生活支援物資の提供を行なった。

一般には、公共施設において定期的に物資の提供を行ったが、障害者や車のない市民に対しては、個別に支援を行った。

・緊急避難時の相談支援体制について

本市では、市の窓口に保健師を配置し、避難者からの相談にあたっており、更に要請があったところについては、保健センター保健師や社会福祉協議会の介護職がチームを作り巡回訪問等を実施し相談や支援を行った。また、以前から2ヶ所の指定相談支援事業所に相談業務を委託し緊急避難時を含め相談体制をとっている。

・その他

初期の在宅者による周知は、防災無線放送や広報車による放送により行ったが全員に徹底していなかったことや、放射線被害から予防するため窓を閉め切っており、情報が行き届かない多くの市民がいた。

4.復興にむけた障害者支援の在り方について

・住居の確保について

・仮設住宅について(バリアフリー住宅の建設、住宅改修について)

今回の震災における南相馬市に配備された仮設住宅はバリアフリー仕様のものが無く、入り口の段差の解消等はスロープ等の設置への苦情があったことから後日対応した。バリアフリー仕様の仮設住宅を多く用意することが必要であると思う。

・みなし仮設住宅について

借上げ住宅等については、貸主の同意があれば日常生活用具給付事業で住宅改修を認めている。多くの方がみなし借り上げ住宅を利用している。南相馬市では現在民間借り上げ住宅4,308戸仮設住宅3,060戸となっている。

・個別生活支援について ・民間支援団体による継続的支援の有効性と限界

今回の震災ではJDF被災地障害者支援センターふくしま等の団体により支援いただき大きな成果をあげることができたが、スタッフはそれぞれの団体に所属するため、長期の支援には限界がある。集めたデータの管理と活用が課題となる。又JDFの存在すら知らない状況であり平常時から周知が必要となっている。

・行政福祉サービスの継続と新規ニーズへの対応

特に災害時において、命に関わることから障害福祉サービス等の継続的支援が重要である。今回の震災では、震災直後の一時期を除いて、継続できたものと思っている。今回災害時特例として制度化された利用者負担金の免除等新規ニーズについても対応致した。

・福祉事業者への支援

福祉事業者に対しては、原発事故により施設の除染が必要になったため、市の除染計画に基づき除染を行なうことになっており、また、福祉事業者からの相談に応じて対応しているが介護スタッフがいない、休業により資金ショートがおきている等課題がある。

・就業支援について

本市には国のハローワーク、県の相双障害者就労支援センターがあり、この機関により就業支援を行っております。また、本市の地域自立支援協議会に設置する就労支援部会に、ハローワーク、相双障害者就労支援センター、障害者施設等の職員が集い、障害者の就労に向け検討を行なっています。

・相談支援体制の充実について

本市には2ヶ所の指定相談支援事業所があります。今回の震災で相談件数が増えているため、1ヶ所増設し3カ所で対応する予定となっている。

・復興に向けた課題について

・何が障害者にとっての復興か

障害者にとって、物的・精神的側面を含め震災前と同じような状況になり更に改善されることが復興である。南相馬市は復興に向けて計画を策定しているが地域に居住する障害者にとっては、地域での支え合い体制が必要である。又早急な入所施設、通所施設及び医療機関の再開が復興と連動している。

・復興計画の策定、実施に向けた障害者団体の参画について

復興計画の策定にあたっては、障害者団体の参画が必要であるが、今回の計画策定は各種団体の代表者が参画しているものの、残念ながら当事者や障害団体の構成員は皆無の中で策定しました。今後の計画策定にあたっては、障害者団体や当事者の参画が必須である。

以上