第38回障がい者制度改革推進会議(H24.3.12)
佐藤久夫委員提出資料
佐藤久夫委員提出資料
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民主党障がい者WT 座長 岡本充功
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)案
骨格提言実現の第一歩
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自立支援法から総合支援法へ
【新法案の名称】
*障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)
>社会モデル的視点から、社会参加を含め、あらゆる生活場面を想定し、総合的に支援する意味を込めた名称
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当事者団体活動等も総合的に支援する法律へ
【新法の目的】
*障害福祉サービスに係る給付に加えて、地域生活支援事業その他の必要な支援を総合的に行うものとする旨を明記
>目的に上記を追加することで、人材育成、社会啓発、障害者や家族の団体活動支援など、必ずしも個別給付になじまないが、骨格提言で求められている地域生活の資源整備上、重要な施策を新たにスタート
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法律のめざす基本理念を新設
【基本理念】
*改正障害者基本法の理念のうち
*社会参加の機会の確保
*どこで誰と生活するかの選択の機会の確保
*社会的障壁の除去
など社会モデルに基づく重要な理念を初めて明記
>これらによって地域生活の権利を実質的に保障
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制度の「谷間」を埋める大きな転換
【障害の範囲】
*治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者であって十八歳以上であるものを加えるものとすること
(児童福祉法も同様の改正)
>医学モデルによる手帳制度を制度の基本としていたこれまでの障害者福祉の根幹を大きく転換
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障害の別なく地域生活への移行を応援
【重度訪問介護の範囲拡大】
*重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるもの
>地域移行:障害者権利条約や骨格提言の最も基本的なテーマの一つ。PAへの第一歩。
>新たに知的・精神障害の方にも長時間介護サービスを提供し、地域生活の受け皿を整備
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地域移行は住まいの提供から
【ケアホームとグループホームの一元化】
*共同生活介護(ケアホーム)を共同生活援助(グループホーム)に一元化し、共同生活援助において、日常生活上の相談に加えて、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助を行うこととする
>介護給付としてのケアホームをグループホームに統合、重度の方を含め地域移行の選択肢を従来以上に広げていく
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新たな地域生活支援メニューを法定化
【地域生活支援事業の追加】
*市町村が行う地域生活支援事業として
*研修及び啓発事業
*障害者や家族等の活動に対する支援事業
*後見制度に関する人材の育成や研修事業
*手話通訳者等の養成事業を追加
*手話通訳等のうち広域的に対応する必要がある事業は、都道府県が行うものとして追加
>骨格提言で示された地域生活の資源整備についての意見を踏まえ、地域基盤の強化策として新たに法定化
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当事者参画で施策を前進させる3つの見直し
【基本指針の見直し】
*障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標
*障害者及びその家族その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずる
*障害者等の生活の実態等を勘案して、必要があると認めるときは、速やかに基本指針を変更する
【障害福祉計画の見直し】
*障害者等の心身の状況、その置かれている環境その他の事情を正確に把握した上で、これらの事情を勘案して、市町村障害福祉計画を作成する
*定期的に障害福祉計画について調査、分析及び評価を行い、必要があると認めるときは、障害福祉計画を変更する
【自立支援協議会の見直し】
*協議会を構成する者に障害者等及びその家族が含まれる旨を明記
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3つの見直しで骨格提言を実現
1)PDCA(Plan 計画-Do 実施-Check 評価-Act 改善)サイクルを障害分野に初めて導入
>障害者の生活実態などに基づく課題を循環的に施策へ反映するシステム
>行政の無謬(むびゅう)性を否定
2)提供体制の確保に係る数値目標の設定
3)国県市町村の各レベルで当事者参画の導入
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PDCAサイクルを障害分野に初めて導入
計画(Plan)→実施(Do)→検証・評価(Check)→見直し・改善(Action)→計画(Plan)継続的に改善・改革
全過程に障がい当事者が参画
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新法に組み込んだ画期的なしくみ
>PDCAサイクルと当事者参画の結合した新システムは、医学モデルが前提の、保護の客体として捉える自立支援法では為しえず、社会モデルを前提に、障害者や家族の主体性を前提にした今回の新法で初めて実現
>提供体制の確保に係る目標を法律上規定したことにより、骨格提言における「地域基盤整備10ヵ年戦略」も策定できるものとし、PDCA サイクルの導入と相まって、地域移行の受け皿の充実を図る重要なしくみを盛り込んだ
>数値目標の設定により、改正障害者基本法により設置される障害者政策委員会による監視機能も実効あらしめる
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みなさんと共に3 年で検討する骨格提言
【附則の検討事項】
*施行後三年を目途として
*障害程度区分を含めた支給決定
*常時介護を要する障害者等に対する支援
*移動支援*就労支援*コミュニケーション支援*その他サービスの在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずる
*検討にあたっては、障害者及びその家族その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずる
>骨格提言で一定時間をかけて今後さらに検討すべきとされた諸事項に3 年の時限を設定
>当事者参画の確保で検討の方向性を担保
>PA、個別給付化、協議調整方式、財政調整制度、報酬支払方式等などを検討
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我が国の法体系から自立支援法をなくします
今回の新法案は、立法技術上は自立支援法の一部改正案という形式を取っているものの、
>医学モデルを前提とする自立支援法から大きく転換、新法は社会モデルと地域移行を前提とする全く新しい原理から成り立つ
>保護の客体から権利の主体へという権利条約における障害者の位置付けの変更に伴い、障害者やその家族の意見は参考に聞くといった姿勢から、政策決定過程に積極的に参画いただき、ともに施策を作り上げるパートナーへ
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自立支援法は実質的に廃止されます
なぜ廃止条項を盛り込めなかったのか?
>(骨格提言では)支給決定におけるガイドラインや就労支援等新しい制度やしくみの主な部分が、法律の本則に盛り込めるほど内容が煮詰まっていない
>煮詰まっていない部分は附則に盛り込み、検討過程に障害者やその家族の参画を明記し、新たなしくみが固まった段階で必要な措置、すなわち自立支援法のその部分を廃止し、新たな仕組みに置き換えることを想定
>ドラスティックな形にはならなかったこと、一定の検討時間を要すること、提言全てをカバーしたとまでは言えない等不十分な点はあるにしても、新法の全体的な構造を大枠で捉えれば、自立支援法の実質廃止といえる
>つなぎ法及び新法で修正した条文は115 条中93 条、その割合は81%
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障がい者制度改革の集中期間は5 年間。
*2009年12月 障がい者制度改革推進本部設置
*2010年01月 訴訟団と厚労省の基本合意
*2010年06月 制度改革推進会議の一次意見を閣議決定
*2010年12月 「つなぎ法」が成立 応益負担を廃止
*2011年06月 障害者虐待防止法が成立
*2011年07月 改正障害者基本法が成立
*2011年08月 総合福祉部会が骨格提言とりまとめ
*2011年10月 党政調に障がい者WT設置(29回開催)
*2012年03月 障害者総合支援法案をとりまとめ
*来年は差別禁止法案を立案し、権利条約の批准をめざす